オリゴヌクレオチドの分析法
オリゴヌクレオチドの分析法を提供する。この方法は、オリゴヌクレオチドの混合物を、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で脱塩することおよび/またはオンライン脱塩によって脱塩すること、脱塩されたオリゴヌクレオチド混合物を質量分析計へ導入すること、および質量分析計によって混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを定量することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオリゴヌクレオチドの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは医薬分野において現在かなり関心がもたれている。そのような化合物は、成長するオリゴヌクレオチド鎖へのシントンの段階的付加によって一般に合成される。単一ヌクレオチドの付加の基本的順序は、一般に脱保護−結合(couple)−酸化−キャップである。所望の配列アセンブリーの完成時には、合成中の競合反応を防ぐために用いられた保護基は除去される。そして、オリゴヌクレオチドが固相法を用いて合成される最も一般的な状況では、オリゴヌクレオチドは固体支持体から切り離される。従って、一般的な22量体オリゴヌクレオチドの合成には多くの個別的な処理工程が含まれる。関与する工程数を考慮すると、現代のオリゴヌクレオチド合成化学は効率が高く、また、潜在的に反応性の部位が多く存在するにもかかわらず、少量の不純物が合成中にしばしば形成される。カップリング/キャッピング効率が100%未満であるため、一般に、そのような不純物は予想よりも短い配列、あるいは副反応に起因するかもしれない予想分子量以上のものからなる成分を含む。従って、オリゴヌクレオチド生成物中に存在する不純物レベルの識別でき、且つ定量できる必要がある。
【0003】
オリゴヌクレオチド中に存在する不純物の定量法には、定量のために紫外線検出、特性決定のために質量分光分析を伴うHPLCクロマトグラフィーが一般的に含まれる。国際公開第2006/107775号には、オリゴヌクレオチドがクロマトグラフィーによって部分的に分離され、分離されたオリゴヌクレオチドの定量が、同時溶出オリゴヌクレオチドの質量分析による定量と組み合わせたUV分析によって実施される方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/107775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法は多くの時間を必要とするクロマトグラフィー分析および複数の定量法を必要とする。従って、より速くかつより簡単な分析に適した別の方法を見つけ出すことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面では、
a)オリゴヌクレオチドの混合物を、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法を提供する。
【0007】
本発明の第2の側面では、
a)オリゴヌクレオチドの混合物をオン−ライン脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩した混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1における脱塩処理の結果を示す。すなわち、上のクロマトグラムはUV分光計記録を示し、下のクロマトグラムは質量分析計記録を示す。
【図2】図2は、実施例1のオリゴヌクレオチド試料中に存在する不純物の質量スペクトルを示す。
【図3】図3は、不純物がスパイクされたオリゴヌクレオチド試料について得られたプロットを示す。
【図4】図4は、実施例2のオリゴヌクレオチド試料について、各濃度レベルで、三連一組の反復試験における各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットしたグラフである。
【図5】図5は、実施例2のオリゴヌクレオチド試料中に通常存在する不純物(例えば、POおよびN−1成分)についてのプロットを示す。
【図6】図6は、実施例3のオリゴヌクレオチド試料について、ソフトウエアのMaxEnt機能を用いたm/zスペクトルのデコンボリューション後のプロットを示す。
【図7】図7は、実施例4のオリゴヌクレオチド試料について、ソフトウエアのMaxEnt機能を用いたm/zスペクトルのデコンボリューション後のプロットを示す。
【図8】図8は、粗製オリゴヌクレオチド合成溶液の分析結果を示す。
【図9】図9は、単一ストランド領域を示すRNA二重鎖のデコンボリューション後のスペクトルを示す。
【図10】図10は、二重鎖領域を示すRNA二重鎖のデコンボリューション後のスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法で用いることができるオリゴヌクレオチドの混合物は、一般的には固相化学合成、好ましくはホスホロアミダイトアプローチによる合成の生成物である。そのような混合物は主成分として目標の完全な長さのオリゴヌクレオチド生成物および様々な量の不純物、例えば、ショートマーまたはしばしばn−x配列と呼ばれる破損配列(nはオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの数、xは正の整数であり、x<nであり、例えばn−1、n−2およびn−3配列);付加物、例えばアセチル付加物、イソブチリル付加物、クロラール挿入物;アクリロニトリル付加から生じるシアノエチル付加物、メチル付加物および関連する群;1つ以上の核酸塩基を欠いた配列、例えば脱プリン化または脱ピリミジン化配列;しばしば核酸塩基のアミノ基への付加による、特別なヌクレオシドを含む配列;ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド中のモノホスホジエステル不純物および類似の硫黄欠損不純物;およびショートマーまたは破損配列上を含む、オリゴヌクレオチド上の付加ホスフェート基を含む。
【0010】
使用可能なオリゴヌクレオチドには、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド並びにデオキシリボ−およびリボヌクレオチドを含むキメラ化合物が含まれる。オリゴヌクレオチドは単一ストランドでも二重鎖でもよい。1種以上の変形体、例えばホスホロチオエート結合、2’−変形体、例えば2’−O−アルキル、特にメチル;2’−O−アルコキシアルキル、例えばメトキシエチル;2’−C−アリル;および2’−フルオロ変形体が存在してもよい。脱塩基部分および異常な核酸塩基、例えばイノシンおよびヒポキサンチンが存在してもよい。オリゴヌクレオチドはD形態、L形態でもよく、あるいはDおよびL−ヌクレオチドの混合物を含んでいてもよい。多くの態様では、オリゴヌクレオチドはストランド当たり70以下、一般には5〜50の核酸塩基、例えばストランド当たり16〜25の核酸塩基を含む。多くの態様では、オリゴヌクレオチドの混合物は医薬品を構成する。
【0011】
合成オリゴヌクレオチド混合物は、普通は不揮発性塩、一般に無機塩、例えばナトリウム塩を、外部の塩としてまたはオリゴヌクレオチドに対する対イオンとして含む。そのような塩は質量分析法による分析を妨げる。そのような不揮発性塩をオリゴヌクレオチドから除去するプロセスは脱塩として知られている。脱塩は本技術分野で公知の方法、例えばアルコール沈殿、イオン交換法、サイズ排除クロマトグラフィーおよびイオン対逆相液体クロマトグラフィー(「RPLC」)によって実施することができる。オリゴヌクレオチドを脱塩するためには、不揮発性対イオン、一般的にナトリウムイオンを揮発性対イオン、例えばアンモニウムイオン、特に有機アンモニウムイオンと交換する。そのような交換はオリゴヌクレオチドを揮発性対イオン、好ましくはアンモニウム塩の溶液と接触させることによって通常行われる。使用可能なアンモニウム塩の例はNH4+、並びに第1、第2および第3アンモニウム塩であって、これらは1つ以上のアルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキル部分を含む。存在させることができる好ましいアルキル基はC1−8アルキル基、特にC1−4アルキル基であって、これらは第1、第2および第3アルキル基である。存在させることができる好ましいアリール基はフェニル基である。存在させることができる好ましいアルカリール基はC1−8アルキルフェニル基である。存在させることができる好ましいアラルキル基はフェニルC1−8アルキル基、特にベンジルまたはフェニルエチル基である。一般的に用いられるアンモニウム塩には酸、特に炭酸またはカルボン酸で形成される塩、例えばカーボネート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテートおよびプロピオネート塩がある。穏やかな酸性の揮発性化合物、例えばハロゲン化C1−4アルコール、特にヘキサフルオロイソプロパノールのようなポリフッ化アルコールがアンモニウム塩の形成に用いうる。
【0012】
オンライン脱塩が、オリゴヌクレオチドの混合物を脱塩し、そして脱塩されたオリゴヌクレオチド混合物を中間での手動による介入なしに、好ましくは脱塩された混合の中間加工または中間処理なしに、質量分析計へ移すプロセスを指すことは明らかなことであろう。オンライン脱塩は、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で行われるのが最も好ましい。
【0013】
サイズ排除クロマトグラフィーはオリゴヌクレオチド混合物の溶液を媒質、一般には多孔質ビーズへ通すことを含み、多孔質ビーズは、特定サイズ未満の物質が媒質へ入り込むことを可能にし、その媒質への通過を遅らせるが、これにより、より大きな物質は通過する。オリゴヌクレオチドを脱塩する場合、不揮発性塩は媒質の中へ進み、従って、オリゴヌクレオチドから分離される。
【0014】
サイズ排除クロマトグラフィーが脱塩に用いられるとき、オリゴヌクレオチド混合物は、最も一般的には水溶液の形でサイズ排除クロマトグラフィー媒質を通り抜ける。流量およびカラムの大きさは、オリゴヌクレオチド混合物が10分未満、最も好ましくは5分未満で溶出するように一般に選択される。オリゴヌクレオチドの溶出は、望ましいならば、イン−ラインUV検出によって定性的に検出することができ、あるいは好ましくは、溶出液は定量分析のために質量分析計へ直接移される。オリゴヌクレオチド混合物の溶出後、クロマトグラフィー媒質上に保持された塩は、好ましくは廃棄するために、洗浄によって除去することができる。
【0015】
イオン対逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)は、疎水性の差に基づくオリゴヌクレオチド混合物成分のクロマトグラフィー分離を行うために条件が通常選択される、オリゴヌクレオチド分析の周知の技術である。本発明では、従来のRPLC媒質、一般にアルキル化されたシリカ媒質、例えばRP C−18が用いられるが、溶出条件はオリゴヌクレオチド混合物が単一ピークとして溶出するように選択される。条件は、オリゴヌクレオチド溶液の導入時に、比較的より疎水性のオリゴヌクレオチドはRPLC媒質に保持されるが、親水性の不所望な塩はカラムをすみやかに通過するように選択される。多くの態様では、溶媒条件は、オリゴヌクレオチドの保持、その後のオリゴヌクレオチドの溶出と共に、不所望な塩のすみやかな通過を促すために変更される。溶媒勾配が用いられるが、多くの態様では、一般に親水性溶媒である投入溶媒から一般に疎水性溶媒である溶出溶媒へ大きく変更するのが好ましい。
【0016】
RPLCを用いて脱塩するとき、水性または好ましくは水に混和性の有機溶液(主に水性)を用いてオリゴヌクレオチド混合物をRPLC媒質へ投入するのが好ましい。好ましくは、投入溶液は少なくとも60%v/v水、一般に少なくとも75%v/v水、特に少なくとも85%v/v水、最も好ましくは少なくとも90%v/v水を含む。最も好ましくは、投入溶液は揮発性対イオンの塩を含む。不揮発性塩を溶出した後、溶出溶媒をRPLC媒質に通すことによってオリゴヌクレオチド混合物を溶出する。好ましくは、オリゴヌクレオチド混合物は、水と水混和性有機溶液(主に有機物)との混合物で溶出する。好ましくは、溶出溶液は少なくとも55%v/v有機溶媒、一般に少なくとも65%v/v有機溶媒、特に少なくとも75%v/v有機溶媒を含む。溶出溶液は揮発性対イオンの塩をさらに含む。存在させることができる水混和性有機溶媒には、HPLCで一般に用いられるもの、例えば、メタノールまたはエタノールのようなC1−3アルコールおよびC1−3トニリルが含まれる。アセトニトリルは投入用および溶出用の両溶液に用いられる好ましい有機溶媒である。最も好ましくは、投入用および溶出用の両溶液は揮発性対イオンの塩、一般に上記のようなアンモニウム塩、好ましくはトリアルキルアミンおよび酸よりなる塩を含む。好ましいトリアルキルアミンには、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルブチルアミンおよびジエチルブチルアミンが含まれる。好ましい酸には、炭酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸が含まれる。ジメチルブチルアミンおよび酢酸を含むバッファーが最も好ましい。ある態様では、移動相はほぼ中性のpH、例えば6〜8、好ましくは6.5〜7.5に緩衝化される。オリゴヌクレオチド混合物が一般に10分未満、最も好ましくは5分未満で溶出するような条件を選択するのが有利である。オリゴヌクレオチドの溶出混合物は検出法を介在させることなく、質量分析計に直接通してもよいが、多くの態様では、オリゴヌクレオチドの溶出は、定量的質量分析の前に、最も好ましくはインラインUV検出によって、定性的に検出されるのが好ましい。
【0017】
オリゴヌクレオチド混合物の脱塩は、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で行われる。好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、特に少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する。
【0018】
多くの態様では、脱塩は、不揮発性塩、特にナトリウム塩が質量分析計による分析を妨げない濃度に低下させるように行われる。オリゴヌクレオチド混合物は、不揮発性塩、特にナトリウム付加物がオリゴヌクレオチド混合物の20%v/v未満、より好ましくは10%v/v未満、特に5%v/v未満、とりわけ2%v/v未満よりなる程度に脱塩されるのが好ましい。
【0019】
本発明で用いられる質量分析法はいわゆるソフトイオン化技術、例えば大気圧化学イオン化、特にエレクトロスプレーイオン化よりなるのが好ましい。
多くの好ましい態様では、脱塩段階における移動相の性質は、質量分析計によってもたらされるオリゴヌクレオチドの電荷状態が崩壊して単一の又は主として単一の電荷状態となるように選択される。好ましい電荷状態は−3、−4および−5である。
【0020】
他の態様では、脱塩段階における移動相の性質は、質量分析計によってもたらされるオリゴヌクレオチドの電荷状態が単一のまたは主として単一の電荷状態に崩壊しない、従って、多電荷状態に維持されるように選択される。そのような状態の例は、穏やかな酸性の揮発性化合物、例えばハロゲン化C1−4アルコール、特にヘキサフルオロイソプロパノールのようなポリフッ素化アルコールを用いて脱塩段階でアンモニウム塩を形成することである。そのような条件は二重鎖オリゴヌクレオチドの分析において特に有利である。
【0021】
オリゴヌクレオチド混合物の定量分析は、定められたピークの質量スペクトルピーク面積または高さを、既知量の試料のピークからの面積または高さと比較することによって実施することができる。これは、デコンボリューションを行い又は行わずに、1つ以上の電荷状態イオンの抽出イオンクロマトグラムにより実施しても、あるいはデータのスムージングを行い、セントロイド法で処理(すなわち、面積または高さデータの垂直ラインに還元)してもよい。ある態様では、望ましい生成物に似た分子量の不純物の場合、不純物および生成物の応答ファクターは同じであると思われる。従って、既知不純物または生成物のいずれかに対する較正プロットを定量に用いることができる。異なる応答ファクターを有する不純物の場合、不純物に対する較正プロットを形成することができ、あるいは不純物の量は特定の不純物の既知量を加え、応答対量の関係をプロットすることによって測定される。
【0022】
本発明の方法は合成オリゴヌクレオチドの定量分析、とりわけ合成オリゴヌクレオチドのマルチバッチ分析における不純物の迅速プロファイリングに特に適している。
次の実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例】
【0023】
実施例1
移動相A(5mM DMBAA、5%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(50mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAA、80%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(80mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
装置
Waters XBridge(登録商標)2.5ミクロンカラム、寸法4.6mm×50mmを取り付けた、Waters ZQ2000質量分析計プラスWaters Alliance2795RPLCプラス996PDA。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 25V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 100℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 20L/時
脱溶媒ガス流: 790L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 1500−1900
波長: 250−270nm
勾配表:
【0024】
【表1】
【0025】
オリゴヌクレオチド試料
移動相A中の十分に脱保護された22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの1mg/ml溶液(固相ホスホロアミダイト化学によって製造され、7043の分子量を有する)をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示した段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計で分析した。
【0026】
十分な脱塩がなされたことは図1に示されており、上のクロマトグラムはUV分光計記録を示し、下のクロマトグラムは質量分析計記録を示す。塩のピークは、質量分析計記録において0.5分で溶出することをはっきり示している。
【0027】
質量分析計ソフトウエアを用いる3〜3.75分にわたるオリゴヌクレオチドピークの分析は図2に示す質量スペクトルを生じた。データは、オリゴヌクレオチド混合物が主に−4の電荷状態にあったことを示した。
【0028】
オリゴヌクレオチド試料の分析を2回さらに繰り返した。
完全な長さのオリゴヌクレオチドと比較して2つの5−末端ヌクレオチド(TおよびC)を欠いたN−2不純物の既知量でスパイクされたオリゴヌクレオチドの試料について、分析法を三連一組で再度反復した。1%、3%および5%w/wのN−2不純物を含有する試料を製造した。測定されたスパイクの百分率として表される各試料の平均ピーク面積をプロットしてグラフにした。
【0029】
図3は、試料中に存在するN−2不純物の量が1.3%であったことを示す。
実施例2
移動相A(5mM DMBAA、3%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAA、40%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(400mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0030】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 25V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.5
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 1350−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0031】
【表2】
【0032】
オリゴヌクレオチド試料
内部標準として25量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7776)の1mg/mL水溶液を含有する1組の試料を製造した。試料は関心のあるオリゴヌクレオチドである22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7048)を内部標準に対して150%〜10%で変化する割合で含有した。試料はRPLCカラムおよび上記勾配表に示す段階的条件を用いて三連一組の分析を実施した。
【0033】
試料については−4の電荷状態そして内部標準については−4および−5の電荷状態の信号強度を評価に用いた。各濃度レベルで、三連一組の反復試験における各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットした(図4)。
【0034】
同様な処理を、オリゴヌクレオチド試料中に通常存在する不純物(例えば、POおよびN−1成分)に用いることができる。低レベルでは直線性が示され(図5)、これらの不純物は低レベルで定量するとき主ピークの代わりとしての役割を果たすこともある。
【0035】
実施例3
移動相A(1%HFIP、0.2%TEA、3%ACN)の製造
ヘキサフルオロイソプロパノール(10.0mL)、トリエチルアミン(2.0mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(1%HFIP、0.2%TEA、12%ACN)の製造
ヘキサフルオロイソプロパノール(10.0mL)、トリエチルアミン(2.0mL)およびアセトニトリル(120mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0036】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.5
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0037】
【表3】
【0038】
オリゴヌクレオチド試料
内部標準として25量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7776)の1mg/mL水溶液を含有する1組の試料を製造した。試料は、対象オリゴヌクレオチドである22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7048)を内部標準に対して150%〜10%で変化する割合で含有した。試料はRPLCカラムおよび上記勾配表に示す段階的条件を用いて三連一組の分析を実施した。
【0039】
ソフトウエアのMaxEnt機能を用いてm/zスペクトルを解析した。各濃度レベルで、三連一組の反復試験におけるデコンボリューション後の各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットした(図6)。
【0040】
実施例4
移動相A(5mM DMBAF、3%ACN)の製造
ギ酸88%(0.22mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAF、40%ACN)の製造
ギ酸88%(0.22mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(400mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0041】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.1
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0042】
【表4】
【0043】
オリゴヌクレオチド試料
末端ホスフェート基を有する58量体ホスホジエステルオリゴヌクレオチド(分子量17950)の1mg/ml水溶液をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0044】
ソフトウエアのMaxEnt機能を用いてm/zスペクトルをデコンボリューションした。オリゴヌクレオチド、並びにその不純物および付加物の分子量は図7に示す。
実施例5
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
【0045】
移動相AおよびBは実施例3に記載のように製造した。
移動相Cはアセトニトリルからなっていた。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.1
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0046】
【表5】
【0047】
オリゴヌクレオチド試料
いくらかのロックされた核酸(LNA)を含有する16量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの粗生成物合成溶液をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0048】
ジメトキシトリチル保護基(DMT)は合成完了時には完全な長さのオリゴヌクレオチドに通常結合している。この疎水性基は溶出のために50%アセトニトリルの特別な工程を必要とした。図8は、一般的なショートマー不純物(DMT−off)に続く主なオリゴヌクレオチド(DMT−on)の溶出を明らかに示している。
実施例6
用いた装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。移動相は実施例3に記載のように製造した。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.0
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−1400
波長: 250−270nm
勾配表:
【0049】
【表6】
【0050】
オリゴヌクレオチド試料
標準および2’−Oメチルヌクレオチドのいずれも含む21量体ホスホジエステルRNAオリゴヌクレオチドを23量体相補的RNAストランドと混合して、二重鎖形成を誘導した。試料をRPLCカラムに投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0051】
図9および図10ではそれぞれ、両シングルストランドが観察され、二重鎖はカリウム付加物のクラスターとして観察される。
実施例2〜6は、いかに多様な成分が、本発明の方法の後に、例えば実施例1に記載の定量法を用いる定量分析で検出できるかを示すものである。
【技術分野】
【0001】
本発明はオリゴヌクレオチドの分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチドは医薬分野において現在かなり関心がもたれている。そのような化合物は、成長するオリゴヌクレオチド鎖へのシントンの段階的付加によって一般に合成される。単一ヌクレオチドの付加の基本的順序は、一般に脱保護−結合(couple)−酸化−キャップである。所望の配列アセンブリーの完成時には、合成中の競合反応を防ぐために用いられた保護基は除去される。そして、オリゴヌクレオチドが固相法を用いて合成される最も一般的な状況では、オリゴヌクレオチドは固体支持体から切り離される。従って、一般的な22量体オリゴヌクレオチドの合成には多くの個別的な処理工程が含まれる。関与する工程数を考慮すると、現代のオリゴヌクレオチド合成化学は効率が高く、また、潜在的に反応性の部位が多く存在するにもかかわらず、少量の不純物が合成中にしばしば形成される。カップリング/キャッピング効率が100%未満であるため、一般に、そのような不純物は予想よりも短い配列、あるいは副反応に起因するかもしれない予想分子量以上のものからなる成分を含む。従って、オリゴヌクレオチド生成物中に存在する不純物レベルの識別でき、且つ定量できる必要がある。
【0003】
オリゴヌクレオチド中に存在する不純物の定量法には、定量のために紫外線検出、特性決定のために質量分光分析を伴うHPLCクロマトグラフィーが一般的に含まれる。国際公開第2006/107775号には、オリゴヌクレオチドがクロマトグラフィーによって部分的に分離され、分離されたオリゴヌクレオチドの定量が、同時溶出オリゴヌクレオチドの質量分析による定量と組み合わせたUV分析によって実施される方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/107775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法は多くの時間を必要とするクロマトグラフィー分析および複数の定量法を必要とする。従って、より速くかつより簡単な分析に適した別の方法を見つけ出すことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面では、
a)オリゴヌクレオチドの混合物を、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法を提供する。
【0007】
本発明の第2の側面では、
a)オリゴヌクレオチドの混合物をオン−ライン脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩した混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1における脱塩処理の結果を示す。すなわち、上のクロマトグラムはUV分光計記録を示し、下のクロマトグラムは質量分析計記録を示す。
【図2】図2は、実施例1のオリゴヌクレオチド試料中に存在する不純物の質量スペクトルを示す。
【図3】図3は、不純物がスパイクされたオリゴヌクレオチド試料について得られたプロットを示す。
【図4】図4は、実施例2のオリゴヌクレオチド試料について、各濃度レベルで、三連一組の反復試験における各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットしたグラフである。
【図5】図5は、実施例2のオリゴヌクレオチド試料中に通常存在する不純物(例えば、POおよびN−1成分)についてのプロットを示す。
【図6】図6は、実施例3のオリゴヌクレオチド試料について、ソフトウエアのMaxEnt機能を用いたm/zスペクトルのデコンボリューション後のプロットを示す。
【図7】図7は、実施例4のオリゴヌクレオチド試料について、ソフトウエアのMaxEnt機能を用いたm/zスペクトルのデコンボリューション後のプロットを示す。
【図8】図8は、粗製オリゴヌクレオチド合成溶液の分析結果を示す。
【図9】図9は、単一ストランド領域を示すRNA二重鎖のデコンボリューション後のスペクトルを示す。
【図10】図10は、二重鎖領域を示すRNA二重鎖のデコンボリューション後のスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法で用いることができるオリゴヌクレオチドの混合物は、一般的には固相化学合成、好ましくはホスホロアミダイトアプローチによる合成の生成物である。そのような混合物は主成分として目標の完全な長さのオリゴヌクレオチド生成物および様々な量の不純物、例えば、ショートマーまたはしばしばn−x配列と呼ばれる破損配列(nはオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの数、xは正の整数であり、x<nであり、例えばn−1、n−2およびn−3配列);付加物、例えばアセチル付加物、イソブチリル付加物、クロラール挿入物;アクリロニトリル付加から生じるシアノエチル付加物、メチル付加物および関連する群;1つ以上の核酸塩基を欠いた配列、例えば脱プリン化または脱ピリミジン化配列;しばしば核酸塩基のアミノ基への付加による、特別なヌクレオシドを含む配列;ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド中のモノホスホジエステル不純物および類似の硫黄欠損不純物;およびショートマーまたは破損配列上を含む、オリゴヌクレオチド上の付加ホスフェート基を含む。
【0010】
使用可能なオリゴヌクレオチドには、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド並びにデオキシリボ−およびリボヌクレオチドを含むキメラ化合物が含まれる。オリゴヌクレオチドは単一ストランドでも二重鎖でもよい。1種以上の変形体、例えばホスホロチオエート結合、2’−変形体、例えば2’−O−アルキル、特にメチル;2’−O−アルコキシアルキル、例えばメトキシエチル;2’−C−アリル;および2’−フルオロ変形体が存在してもよい。脱塩基部分および異常な核酸塩基、例えばイノシンおよびヒポキサンチンが存在してもよい。オリゴヌクレオチドはD形態、L形態でもよく、あるいはDおよびL−ヌクレオチドの混合物を含んでいてもよい。多くの態様では、オリゴヌクレオチドはストランド当たり70以下、一般には5〜50の核酸塩基、例えばストランド当たり16〜25の核酸塩基を含む。多くの態様では、オリゴヌクレオチドの混合物は医薬品を構成する。
【0011】
合成オリゴヌクレオチド混合物は、普通は不揮発性塩、一般に無機塩、例えばナトリウム塩を、外部の塩としてまたはオリゴヌクレオチドに対する対イオンとして含む。そのような塩は質量分析法による分析を妨げる。そのような不揮発性塩をオリゴヌクレオチドから除去するプロセスは脱塩として知られている。脱塩は本技術分野で公知の方法、例えばアルコール沈殿、イオン交換法、サイズ排除クロマトグラフィーおよびイオン対逆相液体クロマトグラフィー(「RPLC」)によって実施することができる。オリゴヌクレオチドを脱塩するためには、不揮発性対イオン、一般的にナトリウムイオンを揮発性対イオン、例えばアンモニウムイオン、特に有機アンモニウムイオンと交換する。そのような交換はオリゴヌクレオチドを揮発性対イオン、好ましくはアンモニウム塩の溶液と接触させることによって通常行われる。使用可能なアンモニウム塩の例はNH4+、並びに第1、第2および第3アンモニウム塩であって、これらは1つ以上のアルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキル部分を含む。存在させることができる好ましいアルキル基はC1−8アルキル基、特にC1−4アルキル基であって、これらは第1、第2および第3アルキル基である。存在させることができる好ましいアリール基はフェニル基である。存在させることができる好ましいアルカリール基はC1−8アルキルフェニル基である。存在させることができる好ましいアラルキル基はフェニルC1−8アルキル基、特にベンジルまたはフェニルエチル基である。一般的に用いられるアンモニウム塩には酸、特に炭酸またはカルボン酸で形成される塩、例えばカーボネート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテートおよびプロピオネート塩がある。穏やかな酸性の揮発性化合物、例えばハロゲン化C1−4アルコール、特にヘキサフルオロイソプロパノールのようなポリフッ化アルコールがアンモニウム塩の形成に用いうる。
【0012】
オンライン脱塩が、オリゴヌクレオチドの混合物を脱塩し、そして脱塩されたオリゴヌクレオチド混合物を中間での手動による介入なしに、好ましくは脱塩された混合の中間加工または中間処理なしに、質量分析計へ移すプロセスを指すことは明らかなことであろう。オンライン脱塩は、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で行われるのが最も好ましい。
【0013】
サイズ排除クロマトグラフィーはオリゴヌクレオチド混合物の溶液を媒質、一般には多孔質ビーズへ通すことを含み、多孔質ビーズは、特定サイズ未満の物質が媒質へ入り込むことを可能にし、その媒質への通過を遅らせるが、これにより、より大きな物質は通過する。オリゴヌクレオチドを脱塩する場合、不揮発性塩は媒質の中へ進み、従って、オリゴヌクレオチドから分離される。
【0014】
サイズ排除クロマトグラフィーが脱塩に用いられるとき、オリゴヌクレオチド混合物は、最も一般的には水溶液の形でサイズ排除クロマトグラフィー媒質を通り抜ける。流量およびカラムの大きさは、オリゴヌクレオチド混合物が10分未満、最も好ましくは5分未満で溶出するように一般に選択される。オリゴヌクレオチドの溶出は、望ましいならば、イン−ラインUV検出によって定性的に検出することができ、あるいは好ましくは、溶出液は定量分析のために質量分析計へ直接移される。オリゴヌクレオチド混合物の溶出後、クロマトグラフィー媒質上に保持された塩は、好ましくは廃棄するために、洗浄によって除去することができる。
【0015】
イオン対逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)は、疎水性の差に基づくオリゴヌクレオチド混合物成分のクロマトグラフィー分離を行うために条件が通常選択される、オリゴヌクレオチド分析の周知の技術である。本発明では、従来のRPLC媒質、一般にアルキル化されたシリカ媒質、例えばRP C−18が用いられるが、溶出条件はオリゴヌクレオチド混合物が単一ピークとして溶出するように選択される。条件は、オリゴヌクレオチド溶液の導入時に、比較的より疎水性のオリゴヌクレオチドはRPLC媒質に保持されるが、親水性の不所望な塩はカラムをすみやかに通過するように選択される。多くの態様では、溶媒条件は、オリゴヌクレオチドの保持、その後のオリゴヌクレオチドの溶出と共に、不所望な塩のすみやかな通過を促すために変更される。溶媒勾配が用いられるが、多くの態様では、一般に親水性溶媒である投入溶媒から一般に疎水性溶媒である溶出溶媒へ大きく変更するのが好ましい。
【0016】
RPLCを用いて脱塩するとき、水性または好ましくは水に混和性の有機溶液(主に水性)を用いてオリゴヌクレオチド混合物をRPLC媒質へ投入するのが好ましい。好ましくは、投入溶液は少なくとも60%v/v水、一般に少なくとも75%v/v水、特に少なくとも85%v/v水、最も好ましくは少なくとも90%v/v水を含む。最も好ましくは、投入溶液は揮発性対イオンの塩を含む。不揮発性塩を溶出した後、溶出溶媒をRPLC媒質に通すことによってオリゴヌクレオチド混合物を溶出する。好ましくは、オリゴヌクレオチド混合物は、水と水混和性有機溶液(主に有機物)との混合物で溶出する。好ましくは、溶出溶液は少なくとも55%v/v有機溶媒、一般に少なくとも65%v/v有機溶媒、特に少なくとも75%v/v有機溶媒を含む。溶出溶液は揮発性対イオンの塩をさらに含む。存在させることができる水混和性有機溶媒には、HPLCで一般に用いられるもの、例えば、メタノールまたはエタノールのようなC1−3アルコールおよびC1−3トニリルが含まれる。アセトニトリルは投入用および溶出用の両溶液に用いられる好ましい有機溶媒である。最も好ましくは、投入用および溶出用の両溶液は揮発性対イオンの塩、一般に上記のようなアンモニウム塩、好ましくはトリアルキルアミンおよび酸よりなる塩を含む。好ましいトリアルキルアミンには、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルブチルアミンおよびジエチルブチルアミンが含まれる。好ましい酸には、炭酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸が含まれる。ジメチルブチルアミンおよび酢酸を含むバッファーが最も好ましい。ある態様では、移動相はほぼ中性のpH、例えば6〜8、好ましくは6.5〜7.5に緩衝化される。オリゴヌクレオチド混合物が一般に10分未満、最も好ましくは5分未満で溶出するような条件を選択するのが有利である。オリゴヌクレオチドの溶出混合物は検出法を介在させることなく、質量分析計に直接通してもよいが、多くの態様では、オリゴヌクレオチドの溶出は、定量的質量分析の前に、最も好ましくはインラインUV検出によって、定性的に検出されるのが好ましい。
【0017】
オリゴヌクレオチド混合物の脱塩は、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で行われる。好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、特に少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する。
【0018】
多くの態様では、脱塩は、不揮発性塩、特にナトリウム塩が質量分析計による分析を妨げない濃度に低下させるように行われる。オリゴヌクレオチド混合物は、不揮発性塩、特にナトリウム付加物がオリゴヌクレオチド混合物の20%v/v未満、より好ましくは10%v/v未満、特に5%v/v未満、とりわけ2%v/v未満よりなる程度に脱塩されるのが好ましい。
【0019】
本発明で用いられる質量分析法はいわゆるソフトイオン化技術、例えば大気圧化学イオン化、特にエレクトロスプレーイオン化よりなるのが好ましい。
多くの好ましい態様では、脱塩段階における移動相の性質は、質量分析計によってもたらされるオリゴヌクレオチドの電荷状態が崩壊して単一の又は主として単一の電荷状態となるように選択される。好ましい電荷状態は−3、−4および−5である。
【0020】
他の態様では、脱塩段階における移動相の性質は、質量分析計によってもたらされるオリゴヌクレオチドの電荷状態が単一のまたは主として単一の電荷状態に崩壊しない、従って、多電荷状態に維持されるように選択される。そのような状態の例は、穏やかな酸性の揮発性化合物、例えばハロゲン化C1−4アルコール、特にヘキサフルオロイソプロパノールのようなポリフッ素化アルコールを用いて脱塩段階でアンモニウム塩を形成することである。そのような条件は二重鎖オリゴヌクレオチドの分析において特に有利である。
【0021】
オリゴヌクレオチド混合物の定量分析は、定められたピークの質量スペクトルピーク面積または高さを、既知量の試料のピークからの面積または高さと比較することによって実施することができる。これは、デコンボリューションを行い又は行わずに、1つ以上の電荷状態イオンの抽出イオンクロマトグラムにより実施しても、あるいはデータのスムージングを行い、セントロイド法で処理(すなわち、面積または高さデータの垂直ラインに還元)してもよい。ある態様では、望ましい生成物に似た分子量の不純物の場合、不純物および生成物の応答ファクターは同じであると思われる。従って、既知不純物または生成物のいずれかに対する較正プロットを定量に用いることができる。異なる応答ファクターを有する不純物の場合、不純物に対する較正プロットを形成することができ、あるいは不純物の量は特定の不純物の既知量を加え、応答対量の関係をプロットすることによって測定される。
【0022】
本発明の方法は合成オリゴヌクレオチドの定量分析、とりわけ合成オリゴヌクレオチドのマルチバッチ分析における不純物の迅速プロファイリングに特に適している。
次の実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例】
【0023】
実施例1
移動相A(5mM DMBAA、5%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(50mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAA、80%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(80mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
装置
Waters XBridge(登録商標)2.5ミクロンカラム、寸法4.6mm×50mmを取り付けた、Waters ZQ2000質量分析計プラスWaters Alliance2795RPLCプラス996PDA。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 25V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 100℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 20L/時
脱溶媒ガス流: 790L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 1500−1900
波長: 250−270nm
勾配表:
【0024】
【表1】
【0025】
オリゴヌクレオチド試料
移動相A中の十分に脱保護された22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの1mg/ml溶液(固相ホスホロアミダイト化学によって製造され、7043の分子量を有する)をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示した段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計で分析した。
【0026】
十分な脱塩がなされたことは図1に示されており、上のクロマトグラムはUV分光計記録を示し、下のクロマトグラムは質量分析計記録を示す。塩のピークは、質量分析計記録において0.5分で溶出することをはっきり示している。
【0027】
質量分析計ソフトウエアを用いる3〜3.75分にわたるオリゴヌクレオチドピークの分析は図2に示す質量スペクトルを生じた。データは、オリゴヌクレオチド混合物が主に−4の電荷状態にあったことを示した。
【0028】
オリゴヌクレオチド試料の分析を2回さらに繰り返した。
完全な長さのオリゴヌクレオチドと比較して2つの5−末端ヌクレオチド(TおよびC)を欠いたN−2不純物の既知量でスパイクされたオリゴヌクレオチドの試料について、分析法を三連一組で再度反復した。1%、3%および5%w/wのN−2不純物を含有する試料を製造した。測定されたスパイクの百分率として表される各試料の平均ピーク面積をプロットしてグラフにした。
【0029】
図3は、試料中に存在するN−2不純物の量が1.3%であったことを示す。
実施例2
移動相A(5mM DMBAA、3%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAA、40%ACN)の製造
氷酢酸(0.3mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(400mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0030】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 25V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.5
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 1350−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0031】
【表2】
【0032】
オリゴヌクレオチド試料
内部標準として25量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7776)の1mg/mL水溶液を含有する1組の試料を製造した。試料は関心のあるオリゴヌクレオチドである22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7048)を内部標準に対して150%〜10%で変化する割合で含有した。試料はRPLCカラムおよび上記勾配表に示す段階的条件を用いて三連一組の分析を実施した。
【0033】
試料については−4の電荷状態そして内部標準については−4および−5の電荷状態の信号強度を評価に用いた。各濃度レベルで、三連一組の反復試験における各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットした(図4)。
【0034】
同様な処理を、オリゴヌクレオチド試料中に通常存在する不純物(例えば、POおよびN−1成分)に用いることができる。低レベルでは直線性が示され(図5)、これらの不純物は低レベルで定量するとき主ピークの代わりとしての役割を果たすこともある。
【0035】
実施例3
移動相A(1%HFIP、0.2%TEA、3%ACN)の製造
ヘキサフルオロイソプロパノール(10.0mL)、トリエチルアミン(2.0mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(1%HFIP、0.2%TEA、12%ACN)の製造
ヘキサフルオロイソプロパノール(10.0mL)、トリエチルアミン(2.0mL)およびアセトニトリル(120mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0036】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.5
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0037】
【表3】
【0038】
オリゴヌクレオチド試料
内部標準として25量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7776)の1mg/mL水溶液を含有する1組の試料を製造した。試料は、対象オリゴヌクレオチドである22量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(分子量7048)を内部標準に対して150%〜10%で変化する割合で含有した。試料はRPLCカラムおよび上記勾配表に示す段階的条件を用いて三連一組の分析を実施した。
【0039】
ソフトウエアのMaxEnt機能を用いてm/zスペクトルを解析した。各濃度レベルで、三連一組の反復試験におけるデコンボリューション後の各質量の強度を平均し、試料対標準の平均強度比を試料濃度に対してプロットした(図6)。
【0040】
実施例4
移動相A(5mM DMBAF、3%ACN)の製造
ギ酸88%(0.22mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(30mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
移動相B(5mM DMBAF、40%ACN)の製造
ギ酸88%(0.22mL)、ジメチルブチルアミン(0.7mL)およびアセトニトリル(400mL)を水に溶解し、1リットルの体積にした。
【0041】
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.1
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0042】
【表4】
【0043】
オリゴヌクレオチド試料
末端ホスフェート基を有する58量体ホスホジエステルオリゴヌクレオチド(分子量17950)の1mg/ml水溶液をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0044】
ソフトウエアのMaxEnt機能を用いてm/zスペクトルをデコンボリューションした。オリゴヌクレオチド、並びにその不純物および付加物の分子量は図7に示す。
実施例5
使用した装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。
【0045】
移動相AおよびBは実施例3に記載のように製造した。
移動相Cはアセトニトリルからなっていた。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.1
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−2000
波長: 250−270nm
勾配表:
【0046】
【表5】
【0047】
オリゴヌクレオチド試料
いくらかのロックされた核酸(LNA)を含有する16量体ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの粗生成物合成溶液をRPLCカラムへ投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0048】
ジメトキシトリチル保護基(DMT)は合成完了時には完全な長さのオリゴヌクレオチドに通常結合している。この疎水性基は溶出のために50%アセトニトリルの特別な工程を必要とした。図8は、一般的なショートマー不純物(DMT−off)に続く主なオリゴヌクレオチド(DMT−on)の溶出を明らかに示している。
実施例6
用いた装置およびカラムは実施例1に記載のものと同じであった。移動相は実施例3に記載のように製造した。
パラメーター
極性: ネガティブESI
細管: 3kV
コーン: 10V
抽出器: 3V
RFレンズ: 0.5V
源の温度: 130℃
脱溶媒温度: 400℃
コーンガス流: 60L/時
脱溶媒ガス流: 600L/時
LM 1分解能: 15
HM 1分解能: 15
イオンエネルギー1: 0.0
マルチプライヤー: 650V
質量範囲: 602−1400
波長: 250−270nm
勾配表:
【0049】
【表6】
【0050】
オリゴヌクレオチド試料
標準および2’−Oメチルヌクレオチドのいずれも含む21量体ホスホジエステルRNAオリゴヌクレオチドを23量体相補的RNAストランドと混合して、二重鎖形成を誘導した。試料をRPLCカラムに投入し、上記勾配表に示す段階的条件を用いて溶出した。オリゴヌクレオチドの溶出はUVによって検出し、溶出液は質量分析計によって分析した。
【0051】
図9および図10ではそれぞれ、両シングルストランドが観察され、二重鎖はカリウム付加物のクラスターとして観察される。
実施例2〜6は、いかに多様な成分が、本発明の方法の後に、例えば実施例1に記載の定量法を用いる定量分析で検出できるかを示すものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オリゴヌクレオチドの混合物を、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)オリゴヌクレオチドの混合物をオンライン脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法。
【請求項4】
オンライン脱塩が、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下でクロマトグラフィーによって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
不揮発性塩付加物が20%w/w未満、好ましくは5%w/w未満のオリゴヌクレオチド混合物を含む程度に、オリゴヌクレオチドの混合物が脱塩される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ナトリウム塩付加物が2%w/w未満のオリゴヌクレオチド混合物を含む程度に、オリゴヌクレオチドの混合物が脱塩される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドの混合物が逆相液体クロマトグラフィーによって脱塩される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
逆相液体クロマトグラフィーが、アンモニウム塩を含む移動相によるオリゴヌクレオチド混合物の溶出を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アンモニウム塩がC1−4アルキルt−アンモニウム塩、好ましくはジメチルブチルアンモニウム塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンモニウム塩が、カーボネート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテートまたはプロピオネート塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
質量分析計中のオリゴヌクレオチド混合物の電荷状態が崩壊して単一の又は主として単一の電荷状態、好ましくは−3、−4および−5となる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、
a)オリゴヌクレオチドを合成すること、および
b)該オリゴヌクレオチドの組成を分析すること、ここで、オリゴヌクレオチドは請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって分析される
の工程を含む方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが固相ホスホロアミダイト化学によって合成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが医薬品である、請求項13および14のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
a)オリゴヌクレオチドの混合物を、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下で脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)オリゴヌクレオチドの混合物をオンライン脱塩すること;
b)オリゴヌクレオチドの脱塩された混合物を質量分析計へ導入すること;および
c)混合物に含まれる1種以上のオリゴヌクレオチドを質量分析計によって定量すること
を含む方法。
【請求項4】
オンライン脱塩が、オリゴヌクレオチド混合物の分離が実質的に生じないような条件下でクロマトグラフィーによって行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%のオリゴヌクレオチドが同時溶出する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
不揮発性塩付加物が20%w/w未満、好ましくは5%w/w未満のオリゴヌクレオチド混合物を含む程度に、オリゴヌクレオチドの混合物が脱塩される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ナトリウム塩付加物が2%w/w未満のオリゴヌクレオチド混合物を含む程度に、オリゴヌクレオチドの混合物が脱塩される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドの混合物が逆相液体クロマトグラフィーによって脱塩される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
逆相液体クロマトグラフィーが、アンモニウム塩を含む移動相によるオリゴヌクレオチド混合物の溶出を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アンモニウム塩がC1−4アルキルt−アンモニウム塩、好ましくはジメチルブチルアンモニウム塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンモニウム塩が、カーボネート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテートまたはプロピオネート塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
質量分析計中のオリゴヌクレオチド混合物の電荷状態が崩壊して単一の又は主として単一の電荷状態、好ましくは−3、−4および−5となる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、
a)オリゴヌクレオチドを合成すること、および
b)該オリゴヌクレオチドの組成を分析すること、ここで、オリゴヌクレオチドは請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって分析される
の工程を含む方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが固相ホスホロアミダイト化学によって合成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが医薬品である、請求項13および14のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−500394(P2012−500394A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523440(P2011−523440)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001940
【国際公開番号】WO2010/020750
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(502449299)アベシア・バイオテクノロジー・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001940
【国際公開番号】WO2010/020750
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(502449299)アベシア・バイオテクノロジー・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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