説明

オルガノポリシロキサン化合物及びアミドアミン化合物

【課題】繊維、毛髪、紙、無機充填剤等の表面処理を行うことができるシロキサン分岐構造を有する新規オルガノポリシロキサン化合物を提供。
【解決手段】重量平均分子量が300〜200,000であり、(SiO2)単位及び(R1SiO3/2)単位のうちの少なくとも1個を有するオルガノポリシロキサン化合物。(R1は、アルキレン基およびイミノ基で、珪素原子と連結されたピロリドン環を有し、ピロリドン環に置換基として−COOR2を有し(R2は、水素原子、アルキル基、又はアルカリ金属)した置換基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐状構造を含み、かつピロリドンカルボキシル基を含有するオルガノポリシロキサン化合物及び該オルガノポリシロキサン化合物を用いて得られるアミドアミン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンは電気、電子、自動車、OA機器、医療、化粧品、食品、建築などあらゆる産業分野で使用されている。各分野における要求特性、使用方法は様々であり、シロキサン骨格に種々の有機基を変性したポリシロキサンが多く開発され、使用されている。カルボキシル基を含有するオルガノポリシロキサンは、反応性、電解性などの特徴があり、樹脂の改質、繊維、毛髪、紙への処理剤として有用である。
【0003】
カルボキシル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記の化合物
3Si−R’−COOH(Rはアルキル基等、R’はアルキレン基等)
が知られているほか、下記の化合物(特許文献1:特開2002−114849号公報)
【化1】

下記の化合物(特許文献2:特開2004−307520号公報)
3Si−(RO)n−R’−(OR)n−COOM
下記の化合物(特許文献3:特表平11−504665号公報)
【化2】

が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−114849号公報
【特許文献2】特開2004−307520号公報
【特許文献3】特表平11−504665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に示したように、カルボキシル基を含有するオルガノポリシロキサンの中で、ケイ素原子とカルボキシル基とを結合している原子団はそれぞれ異なり、エステル結合、アミド結合、エーテル結合を持つものが開示されている。この中で、N−ヘテロ環を含有するものは特許文献3に示されているが、ポリシロキサン構造が直鎖状であり、繊維、毛髪、紙、無機充填剤等の表面処理をする際に分子内の疎水部位であるポリシロキサンに3次元的な広がりがないため、効果が不十分なことがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、上記のような欠点を解決するために必要なシロキサン分岐構造を持つピロリドンカルボキシル基含有オルガノポリシロキサン化合物及びアミドアミン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記式(1)
【化3】

(式中、R2は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はアルカリ金属であり、Aは、同一又は異なり、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、Bは−NR3−、硫黄又は酸素原子であり、ここで、R3は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。nは0又は2であり、n1は0又は1であり、n2は0又は1であるが、nが0及びn2が1の場合はn1は1であり、nが2及びn2が1の場合はn1は0又は1であり、nが2及びn2が0の場合はn1は0である。)
で示される基を含有するオルガノポリシロキサンにおいて、(SiO2)単位(Q単位)及び/又は(R1SiO3/2)単位(T単位)を導入することが有効であることを見出した。またこの場合、特に上記T単位のR1のうち少なくとも1個を上記式(1)で示される基とすることにより、これを化粧料に配合した場合に、直鎖状オルガノポリシロキサンでは成し得なかった効果的な粉体、毛髪の処理、更に、べたつかず、さらっとした感触でありながら、肌への付着性、化粧持ちの良い化粧料が得られることを見出した。
【0007】
従って、本発明は、下記オルガノポリシロキサン化合物及びアミドアミン化合物を提供する。
請求項1:
重量平均分子量が300〜200,000であり、1分子当たり少なくとも1個の下記式(1)で示される有機基を有し、(SiO2)単位及び(R1SiO3/2)単位のうちの少なくとも1個(但し、R1は、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、及び下記式(1)で示される基から選択される有機基である。)を有することを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物。
【化4】

(式中、R2は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はアルカリ金属であり、Aは、同一又は異なり、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、Bは−NR3−、硫黄又は酸素原子であり、ここで、R3は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。nは0又は2であり、n1は0又は1であり、n2は0又は1であるが、nが0及びn2が1の場合はn1は1であり、nが2及びn2が1の場合はn1は0又は1であり、nが2及びn2が0の場合はn1は0である。)
請求項2:
下記式(2)で表される請求項1記載のオルガノポリシロキサン化合物。
(R43SiO1/2a(R42SiO)b(R1SiO3/2c(SiO2d (2)
(式中、R1は上記の通りである。R4は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、及び式(1)で示される基から選択される有機基であり、aは3〜50、bは0〜2,000、cは0〜30、及びdは0〜30であり、但しc+dは1以上である。)
請求項3:
(R1SiO3/2)単位を少なくとも1個含有し、かつR1の少なくとも1個が式(1)で示される基である請求項1又は2記載のオルガノポリシロキサン化合物。
請求項4:
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン化合物の式(1)の基と下記式(3)で示されるアミン化合物とを反応させることによって得られるアミドアミン化合物。
HNR5(CH2n3NR67 (3)
(式中、R5は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、R6及びR7は、同一又は異なり、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、カルボキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、あるいはR6及びR7は、各々が結合している窒素原子と一緒になってN−複素環を形成してもよい。n3は、0以上の整数である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の新規オルガノポリシロキサン化合物は、シロキサン分岐構造を有することによって効果的に繊維、毛髪、紙、無機充填剤等の表面処理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、重量平均分子量が300〜200,000であり、1分子当たり少なくとも1個の式(1)で示される有機基を有し、(SiO2)単位及び(R1SiO3/2)単位のうちの少なくとも1個(但し、R1は、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、及び下記式(1)で示される基から選択される有機基である。)を有する。
【0010】
【化5】

【0011】
ここで、R1は、水素原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜16のアルキル基、炭素原子数3〜6、特に5〜6のシクロアルキル基、上記アルキル基の水素原子の一部(1個又は2個以上)又は全部をフッ素原子で置換したフッ素置換アルキル基、炭素原子数6〜20、特に6〜9のアリール基、炭素原子数7〜20、特に7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜20、特に1〜6のアルコキシ基等のオルガノオキシ基、又は上記一般式(1)で表される基である。具体的には、R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、オレイロキシ基、アリロキシ基等のオルガノオキシ基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基等のフッ素置換アルキル基、式(1)で表される基等を挙げることができ、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、オクチル基、ノニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基である。
【0012】
2は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はNa、K、Li等のアルカリ金属であり、Aは、同一又は異なり、炭素原子数1〜12、特に1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、Bは−NR3−、硫黄又は酸素原子であり、ここで、R3は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。nは0又は2であり、n1は0又は1であり、n2は0又は1であるが、nが0及びn2が1の場合はn1は1であり、nが2及びn2が1の場合はn1は0又は1であり、nが2及びn2が0の場合はn1は0である。
【0013】
好ましくは、R2は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基、Aは炭素原子数1〜3のアルキレン基、Bは−NH−であり、式(1)の基としては、下記の基が好適なものとして例示される。
【0014】
【化6】

【0015】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、下記式(4)で表される(R1SiO3/2)単位(以下「T単位」という)及び下記式(5)で表される(SiO2)単位(以下「Q単位」という)のうちの少なくとも1つを有する。T単位のみ又はQ単位のみを有するものであってよいが、必ずそのいずれか1つは存在する。T単位は下記式(4)で、Q単位は下記式(5)でそれぞれ表されるが、式中、Oから伸びる結合手は、他のSi原子に結合している。好ましくは、T単位とQ単位の合計が10個以下である。より好ましくは、T単位が1〜5個、Q単位が0〜3個である。
【0016】
【化7】

【0017】
この場合、本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、1分子当たり上記T単位を1個以上含むと共に、このT単位において、ケイ素原子に結合するR1の少なくとも1個が上記一般式(1)で示される有機基であるものが好ましい。
【0018】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は300〜200,000であり、好ましくは300〜50,000、更に好ましくは1,000〜10,000である。
【0019】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、下記式(2)で表されるものであることが好ましい。
(R43SiO1/2a(R42SiO)b(R1SiO3/2c(SiO2d (2)
上記式(2)は、オルガノポリシロキサンが有する構成単位と、その数を表すものであり、各構成単位の並び方を表すものではない。該式において、(R1SiO3/2)は上記T単位であり、(SiO2)は上記Q単位である。
【0020】
上記式中、R1は上記の通りであり、R4は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、又は上記式(1)で示される基であり、R1と同様のものが挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基、オクチル基、ノニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基、式(1)で表される基である。
【0021】
aは3〜50、bは0〜2,000、cは0〜30、dは0〜30であるが、c+dは1以上である。この場合、T単位の個数を表すc及びQ単位の個数を表すdについては、上述したように、c+dが10以下であることが好ましく、特にcが1〜5、dが0〜3であることが好ましい。a及びbについては、重量平均分子量が300〜200,000となる範囲で適宜選択することができ、典型的にはaは3〜50、より典型的には3〜20、bは0〜2,000、より典型的には1〜1,000である。
【0022】
本発明で用いられる1級アミノ基を有するオルガノポリシロキサンは、シリコーンハンドブック(第165〜166頁、(株)日刊工業新聞社)に記載される方法により、末端源、及びT単位、Q単位源としてトリス(トリメチルシロキシ)メチルシランやテトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアミン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルエチレンジアミン等を適宜選択し、アルカリ触媒存在下で重合させることによって1級アミノ基を含有する分岐オルガノポリシロキサンを調製することができる。
【0023】
上記の1級アミノ基を含有する分岐オルガノポリシロキサンは、特許文献3に記載の方法と同様にイタコン酸又はそのエステルを1級アミン官能基に対して約0.5〜1.5当量、好ましくはおよそ化学量論量を使用し、高温で実質上全てのイタコン酸又はそのエステルが1級アミノ官能基と反応するのに十分な時間反応させることによって、容易にかつ直接的に調製することができる。特には、1級アミノ官能基に対して約0.5〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.1当量のイタコン酸又はそのエステルを反応させると、実質上全てのイタコン酸と全ての1級アミノ官能基が反応し、少なくとも一つのピロリドンカルボキシル官能基及び/又はそのエステルを有するオルガノポリシロキサン化合物が形成される。
【0024】
この場合、本発明で使用されるイタコン酸又はそのエステルは、下記式(6)で表される化合物であることが好ましい。
CH2=C(COOR8)CH2COOR8 (6)
(式中、R8は、同一又は異なり、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
【0025】
反応は、溶媒なしで又はアルコール、炭化水素溶媒、塩素化された炭化水素等の溶媒中で、好ましくは約90〜約130℃で行うことができる。反応は容易に進行し、イタコン酸又はそのエステルと1級アミノ官能基との完全な反応は約1〜約5時間で起こる。反応の完結は、常法によりアミン価及び酸価の分析、水及び/又はアルコールの放出の測定によって決定することができる。
【0026】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、ヒドロシリル化反応によっても容易に調製できる。ここで用いられるSiH基を有するオルガノポリシロキサンは既存の方法で調製することができ、T単位、Q単位源としてトリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリメトキシメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を用い、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、所望により末端源としてヘキサメチルジシロキサン等を酸触媒により、重合させることによって調製することができる。
【0027】
かかるヒドロシリル化反応においては、上記で得られたケイ素鎖上に1個又は2個以上のヒドリド置換基(SiH基)を有するオルガノポリシロキサンをN−アルケニルカルボアルコキシ基を含有するピロリドン環に加え、貴金属(VIII族金属)触媒存在下、好ましくは可溶な白金触媒の存在下、高温で(65〜130℃)全てのN−アルケニルカルボアルコキシ基を含有するピロリドンがヒドリド基(SiH基)と反応するのに十分な時間反応させる方法を採用し得る。上記のN−アルケニルカルボアルコキシ基を含有するピロリドン反応体は、N−アリル基、又は少なくとも一つのヘテロ原子を含むことができる3又は4以上の炭素原子からなる更なるオレフィニル基を有していてもよい。反応は、溶媒なしで、又はトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ヘプタン等の不活性溶媒中で行うことができる。この場合、ヒドリド官能基(SiH基)に対して、約0.5〜1当量、好ましくは約0.9〜1.1当量のN−アルケニルピロリドン基をオルガノポリシロキサンと反応させることが好ましく、かかる反応において、好ましくは実質上全てのN−アルケニルカルボアルコキシ基を含有するピロリドン基及び全てのヒドリド官能基が反応する。好ましい白金触媒は、可溶化された白金化合物、又はアルミナ、活性炭等の不活性担体上の白金金属が挙げられる。
【0028】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、少なくとも1つの下記式(1)に示す基を有している。
【化8】

【0029】
従って、上記オルガノポリシロキサン化合物の式(1)の基と下記式(3)で示されるアミン化合物とを反応させることにより、脱水、脱アルコール、脱R2OH反応で下記式(7)で示される基を有するアミドアミン化合物を得ることができる。
【0030】
HNR5(CH2n3NR67 (3)
(式中、R5は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、R6及びR7は、同一又は異なり、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、カルボキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、あるいはR6及びR7は、各々が結合している窒素原子と一緒になってN−複素環を形成してもよい。n3は、0以上の整数である。)
【化9】

【0031】
ここで、R5は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、又はアルキレン基の炭素原子数が1〜6のポリオキシアルキレン基である。R6及びR7は、同一又は異なり、炭素原子数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、アルキル基の炭素原子数が3〜6のカルボキシアルキル基、又はアルキレン基の炭素原子数が1〜6のポリオキシアルキレン基である。あるいは、R6とR7とが結合してこれらが結合する窒素原子と共にN−複素環、例えばピペリジン基、ピロール基等を形成してもよい。n3は0以上の整数、好ましくは2〜8である。
【0032】
上記のアミン反応体とカルボキシル反応体との反応体比は、モル比として好ましくは1:1であるが、1:0.5〜1:1.2の比で変化させることができる。反応は、溶媒なしで、又はキシレン、トルエン、クロロベンゼン等の不活性溶媒中で行うことができる。反応温度は100〜150℃が好ましく、反応時間は通常3〜8時間である。
【0033】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、皮膚などに対して適用した場合、べとつきを改善し、さらさら感を与えるなどの点から化粧料に配合して用いることができ、そのまま各種化粧料に配合してもよく、又は各種粉体をこのオルガノポリシロキサンで処理したものを各種化粧料に配合してもよい。
【0034】
この場合、化粧料としては、皮膚用化粧料、毛髪用化粧料に配合し得、例えば、サンスクリーン剤、乳液、ヘアクリーム、メイクアップ除去剤、ヘアメイクリムーバー、メイク落し、ホホ紅、アイライナー、アイシャドウ、サンカットクリーム、サンタンクリーム、ファンデーション、保湿クリーム、ハンドクリーム、美容液、制汗剤、クレンジングクリーム、トリートメント剤、タイパック化粧料、脱臭剤等が例示されるが、これに限られるものではない。また、化粧料の形態としては、固形状、パウダー状、ゲル状、クリーム状、液状、O/Wエマルション、O/W/Oエマルション、W/O/Wエマルションなど、いずれでもよい。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下に記載する「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
【0036】
[実施例1]
セパラブルフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン44部、オクタメチルシクロテトラシロキサン600部、下記式
【化10】

(zは整数)
で示されるアミノプロピルポリシロキサン75部を仕込み、3%カリウムシリコネート0.8部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に1.5部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表される分岐オルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/23〔(CH32SiO〕57〔(CH3)(CH2CH2CH2NH2)SiO〕4.5(CH3SiO3/21
この生成物は無色透明な液状であり、アミン当量は1,066g/molであった。
上記で得られた分岐オルガノポリシロキサン350部とイタコン酸42部とをセパラブルフラスコに仕込み、150℃で4時間攪拌し、水を溜去した。得られた生成物は、上記式においてCH2CH2CH2NH2
【化11】

に置き換った淡黄色透明な液状であり、カルボキシ当量は1,299g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量5,100であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
[実施例2]
セパラブルフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン98部、オクタメチルシクロテトラシロキサン347部、下記式
【化12】

(zは整数)
で示されるアミノプロピルポリシロキサン55部を仕込み、3%カリウムシリコネート0.5部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に1部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表される分岐オルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/23〔(CH32SiO〕15〔(CH3)(CH2CH2CH2NH2)SiO〕1.5(CH3SiO3/21
この生成物は無色透明な液状であり、アミン当量は945g/molであった。
上記で得られた分岐オルガノポリシロキサン350部とイタコン酸ジメチル14.7部をセパラブルフラスコに仕込み、140℃で4時間攪拌し、メタノールを溜去した。得られた生成物は、上記式において、CH2CH2CH2NH2
【化13】

に置き換った黄色透明な液状であり、アミン当量、カルボキシ当量共に0g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量1,800であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表2に示した。
【0039】
【表2】

【0040】
[実施例3]
セパラブルフラスコにテトラキス(トリメチルシロキシ)シラン35部、オクタメチルシクロテトラシロキサン740部、下記式
【化14】

(zは整数)
で示されるメチルアミノプロピルポリシロキサン94部を仕込み、3%カリウムシリコネート0.8部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に1.5部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表される分岐オルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/24〔(CH32SiO〕100〔(CH3)(CH2CH2CH2NH2)SiO〕8(SiO21
この生成物は無色透明な液状であり、アミン当量は1,120g/molであった。
上記で得られた分岐オルガノポリシロキサン300部とイタコン酸35部をセパラブルフラスコに仕込み、140℃で4時間攪拌し、メタノールを溜去した。得られた生成物は、上記式において、CH2CH2CH2NH2
【化15】

に置き換った黄色透明な液状であり、カルボキシ当量は1,250g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量10,000であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表3に示した。
【0041】
【表3】

【0042】
[実施例4]
実施例1において得られたカルボキシ当量1,299g/molの分岐オルガノポリシロキサン200部とジメチルアミノプロピルアミン31部をセパラブルフラスコに仕込み、150℃で5時間攪拌し、水を溜去した。更に、減圧下で未反応物を溜去し、得られた反応生成物は、
【化16】

に置き換った黄色透明な液状であり、アミン当量は1,370g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量5,500であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表4に示した。
【0043】
【表4】

【0044】
[実施例5]
セパラブルフラスコにヘキサメチルジシロキサン32.4部、オクチルトリエトキシシラン55.2部、テトラメチルシクロテトラシロキサン12.0部、オクタメチルシクロテトラシロキサン222.0部を仕込み、濃硫酸19部、水5.4部を添加し、10時間室温で攪拌後、水洗した後、未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表される分岐オルガノハイドロジェンポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/24〔(CH32SiO〕30〔(CH3)HSiO〕2(C817SiO3/22
この生成物は、無色透明な液状であり、動粘度は58mm2/s(25℃)であった。
上記の分岐オルガノハイドロジェンポリシロキサン200部とトルエン100部をセパラブルフラスコに仕込み、0.5部の塩化白金酸錯体の(白金0.5%)トルエン溶液を添加した。この混合物を110℃で攪拌しながら、下記式で示される23.4部のN−アリル−4−カルボメトキシピロリドンをゆっくり滴下した。
【化17】

【0045】
110℃で5時間攪拌した後、未反応物を減圧下で溜去し、淡黄色透明の液体を得た。この反応生成物はNMR測定した結果、SiH基はなく、従って、上記式において、(CH3)HSiOが
【化18】

に置き換ったもので、反応の完結していることを確認した。GPCの測定結果からこの生成物が重量平均分子量3,200であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表5に示した。
【0046】
【表5】

【0047】
[実施例6]
セパラブルフラスコに下記式で示されるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアミン1,480部、
【化19】

オクタメチルシクロテトラシロキサン706部、3%カリウムシリコネート2.0部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に3.0部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/23〔(CH32SiO〕10〔(CH2CH2CH2NH2)SiO3/21
この生成物は無色透明な液状であり、アミン当量は1,020g/molであった。
上記で得られたオルガノポリシロキサン300部とイタコン酸38部をセパラブルフラスコに仕込み、140℃で3時間攪拌し、エステルアダプターで理論量の水を溜去した。得られたピロリドンカルボキシル基含有オルガノポリシロキサンは、上記式において、CH2CH2CH2NH2
【化20】

に置き換った動粘度270mm2/s(25℃)で淡黄色透明な液状であり、カルボキシ当量は1,300g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量1,200であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表6に示した。
【0048】
【表6】

【0049】
[実施例7]
セパラブルフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアミン34部、オクタメチルシクロテトラシロキサン422部、3%カリウムシリコネート0.8部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に1.5部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/23〔(CH32SiO〕60〔(CH2CH2CH2NH2)SiO3/21
この生成物は無色透明な液状であり、アミン当量は4,540g/molであった。
上記で得られたオルガノポリシロキサン200部とイタコン酸5.8部をセパラブルフラスコに仕込み、140℃で3時間攪拌し、エステルアダプターで理論量の水を溜去した。得られたピロリドンカルボキシル基含有オルガノポリシロキサンは、上記式において、CH2CH2CH2NH2
【化21】

に置き換った動粘度420mm2/s(25℃)の淡黄色透明な液状であり、カルボキシ当量は4,670g/molであった。GPCの測定結果から重量平均分子量4,900であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表7に示した。
【0050】
【表7】

【0051】
[実施例8]
セパラブルフラスコにヘキサメチルジシロキサン16部、デカメチルシクロオクタシロキサン304部、トリエトキシシラン〔HSi(OC253〕36部、下記式で示されるアルキル変性オルガノポリシロキサン440部、
〔(CH33SiO1/22〔(CH32SiO〕31〔(CH3)(C1327)SiO〕8
濃硫酸20部を添加し、攪拌しながら水8部を滴下した。これを12時間、25℃で攪拌した後、得られた反応混合物を数回水洗し、中性になったことを確認した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/24〔(CH32SiO〕71〔(CH3)(C1327)SiO〕8〔HSiO3/22
この生成物は無色透明な液状であり、動粘度は260mm2/s(25℃)であった。
上記で得られたオルガノポリシロキサン250部とトルエン100部をセパラブルフラスコに仕込み、1.0部の塩化白金酸錯体の(白金0.5%)トルエン溶液を添加した。この混合物を110℃で攪拌しながら、下記式で示される14.2部のN−アリル−4−カルボメトキシピロリドンをゆっくり滴下した。
【化22】

【0052】
110℃で5時間攪拌した後、未反応物を減圧下で溜去し、淡黄色透明の液体を得た。得られたオルガノポリシロキサンは、HSiO3/2
【化23】

に置き換ったもので、GPCの測定結果から重量平均分子量8,000であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表8に示した。
【0053】
【表8】

【0054】
[実施例9]
セパラブルフラスコにヘキサメチルジシロキサン40部、オクタメチルシクロテトラシロキサン1,480部、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン38部、トリエトキシシラン89部、濃硫酸20部を添加し、攪拌しながら水15部を滴下した。これを12時間、25℃で攪拌した後、数回水洗し、中性になったことを確認した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンを得た。
〔(CH33SiO1/29〔(CH32SiO〕200〔HSiO3/25(SiO21
この生成物は無色透明な液状であり、動粘度は540mm2/s(25℃)であった。
上記で得られたオルガノポリシロキサン400部とトルエン100部をセパラブルフラスコに仕込み、2.0部の塩化白金酸錯体の(白金0.5%)トルエン溶液を添加した。この混合物を110℃で攪拌しながら、下記式で示される26部のN−アリル−4−カルボメトキシピロリドンをゆっくり滴下した。
【化24】

【0055】
110℃で5時間攪拌した後、未反応物を減圧下で溜去し、淡黄色透明の液体を得た。GPCの測定結果から重量平均分子量1,700であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表9に示した。
【0056】
【表9】

【0057】
[実施例10]
セパラブルフラスコにトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアミン35部、オクタメチルシクロテトラシロキサン22部、下記式
【化25】

(zは整数)
で示されるメチル(アミノエチルアミノプロピル)ポリシロキサン45部、3%カリウムシリコネート0.3部を添加して、5時間、150℃で攪拌した。得られた反応混合物に3.0部のエチレンクロロヒドリンを添加し、100℃で1時間攪拌し、中和した。更に、減圧下で未反応シラン及びシロキサンを溜去し、下記平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンを得た。この生成物は淡黄色透明な液状であり、アミン当量は137g/molであった。
〔(CH33SiO1/23〔(CH32SiO〕3〔(CH3)(CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2)SiO〕3〔(CH2CH2CH2NH2)SiO3/21
上記で得られたオルガノポリシロキサン100部、イタコン酸ジメチル110部を仕込み、110℃で2時間攪拌し、エステルアダプターで理論量のメタノールを溜去した。得られたカルボメトキシピロリドン基含有オルガノポリシロキサンは、上記式において、(CH3)(CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2)SiOが
【化26】

に置き換ると共に、(CH2CH2CH2NH2)SiO3/2
【化27】

に置き換ったもので、動粘度470mm2/s(25℃)で淡黄色透明な液状であった。GPCの測定結果から重量平均分子量1,600であることを確認した。更に、得られたオルガノポリシロキサンの13C−NMRを下記表10に示した。
【0058】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が300〜200,000であり、1分子当たり少なくとも1個の下記式(1)で示される有機基を有し、(SiO2)単位及び(R1SiO3/2)単位のうちの少なくとも1個(但し、R1は、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、及び下記式(1)で示される基から選択される有機基である。)を有することを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物。
【化1】

(式中、R2は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、又はアルカリ金属であり、Aは、同一又は異なり、炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、Bは−NR3−、硫黄又は酸素原子であり、ここで、R3は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。nは0又は2であり、n1は0又は1であり、n2は0又は1であるが、nが0及びn2が1の場合はn1は1であり、nが2及びn2が1の場合はn1は0又は1であり、nが2及びn2が0の場合はn1は0である。)
【請求項2】
下記式(2)で表される請求項1記載のオルガノポリシロキサン化合物。
(R43SiO1/2a(R42SiO)b(R1SiO3/2c(SiO2d (2)
(式中、R1は上記の通りである。R4は、互いに独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、オルガノオキシ基、及び式(1)で示される基から選択される有機基であり、aは3〜50、bは0〜2,000、cは0〜30、及びdは0〜30であり、但しc+dは1以上である。)
【請求項3】
(R1SiO3/2)単位を少なくとも1個含有し、かつR1の少なくとも1個が式(1)で示される基である請求項1又は2記載のオルガノポリシロキサン化合物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン化合物の式(1)の基と下記式(3)で示されるアミン化合物とを反応させることによって得られるアミドアミン化合物。
HNR5(CH2n3NR67 (3)
(式中、R5は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、R6及びR7は、同一又は異なり、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、カルボキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基であり、あるいはR6及びR7は、各々が結合している窒素原子と一緒になってN−複素環を形成してもよい。n3は、0以上の整数である。)

【公開番号】特開2011−46844(P2011−46844A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196947(P2009−196947)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】