説明

オルガノポリシロキサン樹脂の製造方法およびそのオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤

【課題】高分子量であり、重量平均分子量が熱処理後であっても経時的に変化せず、ガラス転移点を保持するポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法およびシリコーン系難燃剤を提供。
【解決手段】オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上からなる成分(a)を、金属を含有する縮合触媒(b)の存在下で加水分解縮合反応または縮合反応させた後、縮合触媒の失活剤(c)を添加することを特徴とするオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法、およびそのオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理後であっても、重量平均分子量(Mw)の変化が抑制されており、所定のガラス転移点(Tg)を保持するオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法および該オルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤に関し、特には、フェニル基を含有するオルガノポリシロキサン樹脂であって、その重量平均分子量(Mw)が1,000≦Mw≦10,000の範囲を満たす値であり、そのガラス転移点(Tg)が100〜290℃の範囲を満たす値であるオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法およびそのオルガノポリシロキサン樹脂からなる熱可塑性樹脂用シリコーン系難燃剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オルガノポリシロキサン樹脂の製造方法として、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシランおよびそれらのオリゴマーの1種又は2種以上を加水分解縮合する方法が一般的に採用されている。かかる縮合反応に用いる縮合反応触媒としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒;NaOH、KOH等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド等のアミン化合物などのアルカリ性触媒が用いられる。これらの縮合触媒を用いて加水分解縮合した後、オルガノポリシロキサン樹脂を含む反応液から副生する塩酸や触媒として用いた酸、アルカリ等の不純物を除去する方法として、得られたオルガノポリシロキサン樹脂を水洗洗浄する方法、前記縮合反応触媒を中和する方法、加水分解縮合後のオルガノポリシロキサンを含む反応液をpH4〜8の緩衝液を用いて洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献4の段落0009参照)。しかしながら、これらの方法を用いたオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法は、中和工程や洗浄工程の増加を伴うものであり、その生産性を十分に向上させるものではなかった。また、前記縮合反応触媒を用いてオルガノポリシロキサン樹脂を製造する場合、比較的重合度が高い、高分子量のオルガノポリシロキサン樹脂を製造することが困難であるという問題があった。
【0003】
一方、硬化性シリコーン樹脂組成物の縮合触媒(シラノール縮合触媒)として有機スズ化合物、有機チタネート化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物および有機コバルト金属塩などの有機酸金属塩(有機酸金属キレート化合物を含む)が広く知られている(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。また、これらの縮合触媒は、前記の酸性触媒やアルカリ性触媒に比して取り扱いが容易であり、少量の添加でも速やかに反応が進行して加水分解基を有するシラン類あるいはオルガノポリシロキサンからなる硬化物あるいは硬化皮膜を形成するものである。なお、これらの縮合触媒は組成物を硬化させる目的で添加されるものであるため、一般に後処理を行なう必要はない。また、オルガノポリシロキサン樹脂の製造のための縮合触媒(シラノール縮合触媒)として有機酸金属塩を使用することも知られており、該反応溶液をリン酸2水素ナトリウムとクエン酸からなる緩衝溶液を用いてpH3〜6に調製することにより、シラノール基を安定させることが提案されている(例えば、特許文献6参照)が、緩衝工程の増加を伴うものであり、その生産性や得られたオルガノポリシロキサン樹脂の特性を十分に向上させるものではなかった。
【0004】
さらに、本発明者らはこれらの有機酸金属塩からなる縮合触媒の存在下で、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーまたは1以上のOH基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を縮合反応させることによりオルガノポリシロキサン樹脂を製造した場合、難燃剤成分として熱可塑性樹脂に配合することにより、満足できる程度の難燃性が実現できないことに気がついた。すなわち、熱可塑性樹脂の難燃性を改善するために、オルガノポリシロキサン樹脂を熱可塑性樹脂中に均一分散して配合し、加工・紡糸等により製品化する工程において、熱処理によってオルガノポリシロキサン樹脂の縮合反応が容易に進行し、その分子量が増加し、ガラス転移点(Tg)が消失するものである。このため、該オルガノポリシロキサン樹脂を配合した熱可塑性樹脂は、例えば、二軸混練機や紡糸機を用いて熱可塑性樹脂の加工を行なうと、フィルター詰まりによる濾過圧力の上昇や分散不良が発生し、生産性が低下する。さらに、該オルガノポリシロキサン樹脂を配合した熱可塑性樹脂を繊維材料に加工しようとした場合、フィルター詰まりによる濾過圧力の上昇や分散不良によって、熱可塑性樹脂からなる繊維材料の製造が困難になる。このため、該オルガノポリシロキサン樹脂を熱可塑性樹脂に大量に配合することは困難であり、該オルガノポリシロキサン樹脂の難燃性改善効果も満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開平05−98012号公報
【特許文献2】特開平08−176305号公報
【特許文献3】特開平02−133459号公報
【特許文献4】特開2003−41122号公報
【特許文献5】特開2005−200546号公報
【特許文献6】特開平09−71654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、公知の酸性触媒またはアルカリ性触媒を用いる場合に比して、容易に高分子量のオルガノポリシロキサン樹脂を製造することができ、かつ得られたオルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量が熱処理後であっても経時的に変化せず、所定のガラス転移点(Tg)を保持することができ、特に難燃剤成分として有用なオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法およびそのオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、以下のような特定のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法、および該オルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤により、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明に係るオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法は、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上からなる成分(a)を、
金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属を除く)を含有する縮合触媒(b)の存在下で加水分解縮合反応または縮合反応させた後、縮合触媒の失活剤(c)を縮合触媒中の金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属を除く)含有量1モルに対して失活剤が0.5〜10.0モルとなる量を添加することを特徴とする方法からなる。
【0008】
このオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法においては、オルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量Mwが1,000≦Mw≦10,000の範囲を満たす値に達した後、縮合触媒の失活剤(c)を添加することができる。
【0009】
上記成分(b)としては、例えば、有機酸のアルミニウム塩、錫塩、鉛塩または遷移金属塩を使用できる。
【0010】
また、上記成分(b)として、アルミニウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、コバルト、パラジウム、スズ、水銀または鉛から選ばれる1種又は2種以上の金属を含有する縮合触媒を使用できる。
【0011】
上記成分(c)としては、例えば、リン、硫黄または窒素を含有する化合物を使用できる。
【0012】
とくに、成分(b)を、有機酸アルミニウム塩、有機酸ジルコニウム塩または有機酸錫塩とし、成分(c)をリン化合物とすることができる。
【0013】
上記成分(a)としては、例えば、フェニルクロロシランとアルキルクロロシランを100/0〜1/99の比で混合したもの、フェニルアルコキシシランとアルキルアルコキシシランを100/0〜1/99の比で混合したもの、および、平均組成式(2):(C65m11m2SiXn(4-m1-m2-n)/2 〔式中、R1はフェニル基を除く置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m1,m2,nは0.3≦m1≦1.8、0≦m2≦1.5、1.0≦m1+m2<2.0、0.2≦m1/(m1+m2)≦1.0、0<n≦1.5および1.0≦m1+m2+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0014】
上記本発明に係るオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法においては、得られたオルガノポリシロキサン樹脂のガラス転移点(Tg)が100〜290℃の範囲を満たす値であることが好ましい。
【0015】
本発明は、このようなオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤についても提供する。
【0016】
このシリコーン系難燃剤は、とくに、熱可塑性樹脂用として好適なものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、公知の酸性触媒またはアルカリ性触媒を用いる場合に比して、容易に高分子量のオルガノポリシロキサン樹脂を製造することができ、かつ得られたオルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量が熱処理後であっても経時的に変化せず、所定のガラス転移点を保持することができ、特に難燃剤成分として有用なオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法を提供でき、さらに、そのオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明は、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上からなる成分(a)を、
金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属を除く)を含有する縮合触媒(b)の存在下で加水分解縮合反応または縮合反応させた後、縮合触媒の失活剤(c)を添加することを特徴とするオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法に関する。また、本発明は、該製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤に関する。以下、本発明について詳述する。
【0019】
本発明のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法において、出発原料として(a)オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を使用する。すなわち、本発明のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法においては、シランモノマーを原料にしてもよく、予め一定の分子量まで重合したOH基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン樹脂を原料として、後述する縮合触媒を用いて更に高分子量化するものであってもよい。また、必要によっては、オルガノクロロシランもしくはオルガノアルコキシシランのオリゴマーまたは予め一定の分子量まで重合したオルガノポリシロキサン樹脂に加え、出発原料としてオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシランを併用することもできる。
【0020】
出発原料として用いるオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシランは、下記一般式で示されるものを用いることができる。
aSiX4-a
(Rは互いに同一又は異なる置換又は非置換の一価の炭化水素基を表すものであり、aは0〜3の整数であり、Xはアルコキシ基(−OR´、R´は置換又は非置換の一価の炭化水素基)または塩素原子(−Cl)から選択される加水分解性基を表すものである。)
【0021】
Rは炭素原子数1〜10の置換または非置換の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン置換アルキル基などが好適である。特に、工業的にはメチル基とフェニル基が好ましく、得られるオルガノポリシロキサン樹脂を難燃剤に用いる場合には、Rがアリール基、特にはフェニル基であることが好ましい。
【0022】
Xがアルコキシ基である場合、Xは−OR´で表される有機基であり、R´は炭素原子数1〜10の置換または非置換の一価の炭化水素基であることが好ましく、具体的には、R´として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基が例示される。
【0023】
該オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシランの具体例として、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のアルキルクロロシラン;フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン等のフェニルクロロシラン;トリフルオロプロピルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン等のフッ化アルキルクロロシラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン;トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン等のフッ化アルキルアルコキシシランが例示される。
【0024】
本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤、特には熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として用いる場合には、該オルガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランがアリール基、特にはフェニル基を含有するものであることが特に好ましい。すなわち、オルガノクロロシランがフェニルクロロシランとアルキルクロロシランを100/0〜1/99の比で混合したものであり、オルガノアルコキシシランがフェニルアルコキシシランとアルキルアルコキシシランを100/0〜1/99の比で混合したものであることが好ましい。ここで、フェニルクロロシランとアルキルクロロシランの混合比あるいはフェニルアルコキシシランとアルキルアルコキシシランの混合比は100/0〜50/50であることが更に好ましく、100/0〜90/10であることが該オルガノポリシロキサン樹脂を配合した熱可塑性樹脂の難燃性の点から特に好ましい。
【0025】
出発原料として用いるオルガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランのオリゴマーとして、上記オルガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物を挙げることができ、重合度が2〜10程度のメチルポリシリケート、重合度が2〜10程度のエチルポリシリケート、1,2−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメトキシジシロキサン、1,2−ジメチルテトラエトキシジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラエトキシジシロキサンが例示される。本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサン樹脂を難燃剤として用いる場合には、1,2−ジフェニルテトラメトキシジシロキサンまたは1,2−ジフェニルテトラエトキシジシロキサンを出発原料とすることが好ましい。
【0026】
本発明のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法は、予め公知の酸性またはアルカリ性加水分解縮合触媒により加水分解縮合して得たOH基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン樹脂を出発原料の一部または全部に用いることにより、出発原料としたオルガノポリシロキサン樹脂よりも高分子量かつガラス転移点の高いオルガノポリシロキサン樹脂を得ることができるという利点がある。すなわち、出発原料として用いることができる平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンは、前記のオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシランまたはそれらのオリゴマー等を、公知の酸性またはアルカリ性加水分解縮合触媒により加水分解縮合して得たオルガノポリシロキサン樹脂であってもよい。公知の酸性又はアルカリ性加水分解触媒は例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド等のアミン化合物などのアルカリ性触媒を使用することができる。なお、該オルガノポリシロキサンの原料として前記のクロロシラン類を使用した場合は、副生する塩酸が触媒として作用する。なお、かかるオルガノポリシロキサンは25℃で固体であっても液状であってもよく、酸性触媒あるいは塩基性触媒を除去する目的で水またはpH4〜8の緩衝液による洗浄、中和等の処理が予めなされていてもよい。
【0027】
出発原料として用いることができる平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンにおいて、Rは互いに同一又は異なる置換又は非置換の一価の炭化水素基であり、炭素原子数1〜10の置換または非置換の一価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン置換アルキル基などが好適である。特に、工業的にはメチル基とフェニル基が好ましく、得られるオルガノポリシロキサン樹脂を難燃剤に用いる場合には、Rがアリール基、特にはフェニル基であることが好ましい。
【0028】
XはOH基または加水分解性基であり、加水分解基として塩素原子(−Cl)またはアルコキシ基(−OR´)が挙げられる。Xがアルコキシ基である場合、Xは−OR´で表される有機基であり、R´は炭素原子数1〜10の置換または非置換の一価の炭化水素基であることが好ましく、具体的には、R´として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が例示される。
【0029】
本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤、特には熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として用いる場合には、前記の平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサンは、平均組成式(2):(C65m11m2SiXn(4-m1-m2-n)/2 〔式中、R1はフェニル基を除く置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m1,m2,nは0.3≦m1≦1.8、0≦m2≦1.5、1.0≦m1+m2<2.0、0.2≦m1/(m1+m2)≦1.0、0<n≦1.5および1.0≦m1+m2+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンであることが好ましい。R1はフェニル基を除く置換または非置換の一価の炭化水素基であり、炭素原子数1〜8のアルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン置換アルキル基などが好適である。特に、工業的にはメチル基であることが好ましい。また、Xは段落0018に記載の基と同様の基が例示される。前記の平均組成式(2)で示されるオルガノポリシロキサンは、最も好適には、重量平均分子量Mwが500≦Mw≦3,000の範囲にあるフェニルポリシロキサンまたはフェニルシルセスキオキサンが挙げられる。さらに、得られるオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤として用いた場合の難燃性および製造時の加水分解性の見地から、OH基または加水分解性基を1.0〜15重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0030】
本発明に係るオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法は、出発原料である(a)前記のオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび前記の組成式(1)もしくは組成式(2)で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種類又は2種類以上を(b)縮合触媒の存在下で、加水分解縮合反応あるいは縮合反応により、目的とする重合度または重量平均分子量のオルガノポリシロキサンを合成した後、加水分解反応または縮合反応後のオルガノポリシロキサンを含む溶液に(c)縮合触媒の失活剤を添加することを特徴とするものである。
【0031】
本発明に係るオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法で使用される成分(b)は、金属塩、より好ましくは有機酸金属塩を含有する縮合触媒である。なお、本発明で使用される縮合触媒(b)からは公知のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法において塩基性触媒として使用される水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は除かれる。これらのアルカリ性触媒を用いた場合には、高分子量であり、ガラス転移点の高いオルガノポリシロキサン樹脂を容易に製造することができないためである。
【0032】
金属塩(アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を除く)、より好ましくは有機酸金属塩(アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を除く)からなる縮合触媒(b)は、従来公知の縮合触媒が好適に用いられる。すなわち、成分(b)として、有機酸のアルミニウム塩,錫塩,鉛塩または遷移金属塩を挙げることができ、有機酸と前記の金属イオンがキレート構造に代表される錯塩を形成しているものでもよい。このような成分(b)はアルミニウム,チタン,鉄,コバルト,ニッケル,亜鉛,ジルコニウム,コバルト,パラジウム,錫,水銀または鉛から選ばれる1種又は2種以上の金属を含有する縮合触媒が特に好適であって、有機酸ジルコニウム塩、有機酸錫塩、有機酸アルミニウム塩が最も好適に用いられる。
【0033】
成分(b)である縮合触媒の具体例として、ジブチルスズジアセテ−ト,ジブチルスズジオクテ−ト,ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジマレート,ジオクチルスズジラウレート,ジオクチルスズジマレート,オクチル酸スズなどの有機酸スズ塩;テトラ(i−プロピル)チタネート、テトラ(n−ブチル)チタネート、ジブトキシビス(アセチルアセトナート)チタン,イソプロピルトリイソステアロイルチタネート,イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどの有機酸チタン塩;テトラブチルジルコネート,テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム,テトライソブチルジルコネート,ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム,ナフテン酸ジルコニウム,オクチル酸ジルコニウムなどの有機酸ジルコニウム塩;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム,トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機酸アルミニウム塩;ナフテン酸亜鉛,ギ酸亜鉛,亜鉛アセチルアセトナート,鉄アセチルアセトナート,ナフテン酸コバルト,オクチル酸コバルトなどの有機酸金属塩が挙げられる。
【0034】
これらの縮合触媒の使用量は任意であるが、本発明の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂の固形分に対し、0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜1質量%であることが特に好ましい。前記下限未満の使用量では、高分子量のオルガノポリシロキサン樹脂を製造するための工程が長時間を要し、作業効率が低下する可能性がある。一方、該触媒の使用量が前記上限を超えると、高分子量のオルガノポリシロキサン樹脂を製造するための反応の制御が困難になり、後述する方法で触媒を失活させた場合であっても大量の金属イオンと失活剤がオルガノポリシロキサン樹脂中に残留するため、製造後のオルガノポリシロキサン樹脂の物性が経時的に変化するおそれがある。さらに、工業上、大量の縮合触媒を使用することは経済的ではない。
【0035】
加水分解縮合反応または縮合反応の温度と時間は、原料の反応性や目標性能により変化するため特定することはできないが、通常は10〜150℃の温度で1〜29時間である。本発明の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤、特には熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として使用する場合には、オルガノポリシロキサン樹脂が前記の(b)縮合触媒を用いて高分子量となるように重合されていることが好ましく、具体的にはオルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量Mwが1,000≦Mw≦10,000の範囲を満たす値に達するように温度と時間を調整することが好ましい。また、得られたオルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量Mwが4,000≦Mw≦10,000の範囲を満たす値であることが、熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として使用する上で特に好ましい。
【0036】
また、必要に応じてトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などの溶剤を使用することもできる。
【0037】
縮合触媒の失活剤(c)は、前記の縮合触媒を失活させ、オルガノポリシロキサン樹脂中に残留する該縮合触媒残渣により、製造後のオルガノポリシロキサン樹脂が経時あるいは熱処理に伴ってその重量平均分子量Mwが変化したり、そのガラス転移点(Tg)が消失することを防止する目的で添加される。かかる特性の変化は、製造後のオルガノポリシロキサン樹脂を特に熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として使用する場合に、難燃性、ドリップ抑制効果、生産安定性に悪影響を与える可能性があるためである。
【0038】
具体的には、該縮合反応促進触媒残渣が失活されていないオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤として熱可塑性樹脂に配合した場合、製造時の熱処理あるいは機械力に伴って発生する熱によってオルガノポリシロキサン樹脂の縮合反応が容易に進行し、シラノール基の減少、分子量増加、ガラス転移点(Tg)の消失が起きる。シラノール基(−OH基)の減少や分子量増加は難燃性、ドリップ抑制の効果を悪化させ、ガラス転移点(Tg)の消失は加工温度でのオルガノポリシロキサン樹脂の不溶融化を招くため、例えば、二軸混練機や紡糸機を用いた熱可塑性樹脂の加工時にフィルター詰まりによる濾過圧力の上昇や分散不良を起こし、生産性が低下するものである。
【0039】
前記の縮合触媒の失活剤(c)は前記の縮合触媒の金属イオンと配位結合を形成することにより、その触媒活性を失わせる化合物である。かかる成分(c)は、その失活効果の観点から、リン原子、硫黄原子または窒素原子を含有する化合物が好適である。特に、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等のリン化合物は前記の有機酸ジルコニウム塩、有機酸錫塩または有機酸アルミニウム塩からなる縮合触媒を失活させるために好適であり、さらに、リン化合物からなる失活剤、特にはホスフィンオキサイド類を用いて製造されたオルガノポリシロキサン樹脂は、硫黄化合物に由来する臭気や窒素化合物に由来する黄変といった外観上の問題もなく、好適に使用することができるという利点がある。
【0040】
前記の縮合触媒の失活剤(c)は、具体的には、リン酸;亜リン酸;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム等のリン酸塩類、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸アンモニウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸水素ナトリウム等の亜リン酸塩類、トリメチルホスフェート(TMPAと略記)、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(o−フェニルフェニル)ホスフェート、トリス(p−フェニルフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェニルジクレジルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、エチレングリコールジホスフェートなどのリン酸エステル類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(クロロエチル)ホスファイト等の亜リン酸エステル類、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ハロゲン置換燐酸アリールなどの含ハロゲン燐酸エステル類、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(以下、TBPOと略記することもある。)、トリ−tert−ブチルホスフィンオキサイド(以下、TTBPOと略記することもある。)、トリフェニルホスフィンオキサイド(以下、TPPOと略記することもある。)、トリベンジルホスフィンオキサイド(以下、TBZPOと略記することもある。)、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド(以下、TCHPOと略記することもある。)、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィンオキサイド(以下、TPTPOと略記することもある。)、トリ(4−tert−ブチルフェニル)ホスフィンオキサイド(以下、TTBPPOと略記することもある。)、トリクレジルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、赤燐などを挙げることが出来る。赤燐は純粋なものでも常法で安定化したものでもよい。さらに、リン化合物として下記構造式(1)〜(5)(化1〜化5)で表されるリン化合物も例示することができる。
【0041】
【化1】

【0042】
【化2】

【0043】
【化3】

【0044】
【化4】

(式中、Rは各々独立に炭素原子数12〜15のアルキル基である)
【0045】
【化5】

【0046】
これらリン原子を有する化合物は1種のみ用いても良いし、2種以上組み合わせて用いることも可能である。
【0047】
本発明の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤、特には熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として使用する場合、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)、トリ−tert−ブチルホスフィンオキサイド(TTBPO)、トリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)、トリベンジルホスフィンオキサイド(TBZPO)、トリシクロヘキシルホスフィンオキサイド(TCHPO)、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィンオキサイド(TPTPO)、トリ(4−tert−ブチルフェニル)ホスフィンオキサイド(TTBPPO)、トリクレジルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類を成分(c)として用いることが得られる熱可塑性樹脂の難燃性、ドリップ抑制効果、生産安定性等の点から特に好ましい。
【0048】
前記した失活剤を加水分解反応後または縮合反応後のオルガノポリシロキサンを含む溶液に添加する際には、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下の平均粒径に粉砕して添加することが好ましい。
【0049】
前記の成分(c)、すなわち縮合触媒の失活剤は、加水分解反応または縮合反応によりオルガノポリシロキサン樹脂が所望の重合度に達した後、該反応溶液に添加することにより、縮合触媒を失活させ、加水分解反応または縮合反応を停止させる。これにより、経時的な再平衡化反応や熱処理により、得られたオルガノポリシロキサン樹脂の分子量変化またはガラス転移点(Tg)が低下または消失することを抑制するものである。該成分(c)の添加量は縮合触媒を失活させるのに十分な量であり、縮合触媒中の金属含有量1モルに対して、失活剤が0.5〜10.0モルとなる量を添加する。縮合触媒を完全に失活させる場合、1.0〜10.0モルとなる量を添加することが好ましく、1.0〜5.0モルとなる量を添加することが特に好ましい。失活剤の量が前記下限未満では縮合触媒を完全に失活させることができない場合があり、前記上限を超えると、失活剤自体がルイス酸またはルイス塩基として作用することにより、得られたオルガノポリシロキサン樹脂の経時的な再平衡化反応等が起こり、特にオルガノポリシロキサン樹脂を難燃剤成分として使用する場合に好ましくない。
【0050】
失活剤を添加した後のオルガノポリシロキサン樹脂の反応溶液は、必要により、脱水、溶媒除去等の公知の方法で後処理を行なうことにより、所望の重量平均分子量Mwまたはガラス転移点(Tg)を有するオルガノポリシロキサン樹脂を得ることができる。
【0051】
前記の製造方法により容易に所望の重量平均分子量Mwまたはガラス転移点(Tg)を有するオルガノポリシロキサン樹脂を得ることができ、得られたオルガノポリシロキサン樹脂は成分(c)を含有することから、該オルガノポリシロキサン樹脂中に残留する縮合触媒(b)の残渣により、製造後のオルガノポリシロキサン樹脂が経時あるいは熱処理に伴ってその重量平均分子量Mwが変化したり、そのガラス転移点(Tg)が消失することが防止されるという利点を有する。かかるオルガノポリシロキサン樹脂はシリコーン系難燃剤として、特には熱可塑性樹脂用のシリコーン系難燃剤として極めて有用である。
【0052】
すなわち、本発明の製造法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂を熱可塑性樹脂に配合した場合、製造時に受ける熱処理によってオルガノポリシロキサン樹脂の縮合反応が容易に進行せず、分子量増加、ガラス転移点(Tg)の消失が防止される。このため、該オルガノポリシロキサン樹脂を配合した熱可塑性樹脂は難燃性、ドリップ抑制の効果に優れる。さらに、ガラス転移点(Tg)が高温処理下であっても維持されるため、例えば、二軸混練機や紡糸機を用いた熱可塑性樹脂の加工時であっても、フィルター詰まりによる濾過圧力の上昇や分散不良を起こすことがなく、生産性を低下させることがないという利点を有する。
【0053】
本発明のシリコーン系難燃剤を用いて、難燃化が可能な対象は、ゴム状重合体、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂等の重合体であるが、特に熱可塑性樹脂が好ましい。さらに、本発明のシリコーン系難燃剤によるドリップ抑制の効果、難燃性、樹脂組成物の物性、生産安定性などの低下が無い範囲で、他の有機ポリマーや無機化合物とのブレンド、アロイ、コンポジットなどを用いることも可能である。
【0054】
ゴム状重合体は、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレ共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレンーオクテン共重合体ゴム等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマーが例示される。
【0055】
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合した熱可塑性樹脂が例示される。本発明のシリコーン系難燃剤を用いて、最も好適に難燃化される熱可塑性樹脂はポリエステル系の熱可塑性樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの石油系ポリエステル、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸の非石油系ポリエステルが最も好ましく例示される。
【0056】
本発明のシリコーン系難燃剤の配合量は、熱可塑性樹脂等の重合体100重量部に対して、0.01〜100重量部が好ましく、更に好ましくは0. 1〜50重量部、最も好ましくは5〜30重量部である。本発明のシリコーン系難燃剤と熱可塑性樹脂等は公知の方法により添加することができる。例えば、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等の通常、熱可塑性樹脂の混合に用いる機械力を有する撹拌混合装置を用いて混合したのち、得られた混合物を、押出機、バンバリーミキサー、ロール等により溶融混練する方法を挙げることができる。なお、熱可塑性樹脂等の重合体を溶解し、次いで該シリコーン系難燃剤を添加し、押出機で溶融混練する方法、熱可塑性樹脂等の重合体に該シリコーン系難燃剤を配合したマスターバッチを製造した後、上記マスターバッチと、残りの熱可塑性樹脂等の重合体を混練する方法等も有用であり、用いる熱可塑性樹脂等の重合体と該シリコーン系難燃剤を配合したマスターバッチは重合体の種類等に応じ所望の比率で製造することができる。
【0057】
さらに、本発明のシリコーン系難燃剤を配合した熱可塑性樹脂等の重合体は、射出成形法、押出成形法(フィルム、シート、繊維などに成形する方法)、中空成形法、真空成形法、圧空成形法、発泡成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等の各種成形法により目的とする各種用途の成形体の製造に供することができる。
【0058】
本発明のシリコーン系難燃剤を配合した熱可塑性樹脂等の重合体は、その難燃性が向上し、ドリップが抑制されているため、各種の分野の成形体の製造に好適に用いることができ、繊維製品、OA機器、電気・電子機器、機械部品、自動車部品用に好適に用いることができる。特に、本発明のシリコーン系難燃剤は、熱可塑性樹脂からなる繊維製品の製造に有用であって、繊維製品として特にドリップ抑制の効果や難燃性が必要な繊維製品、例えばカーシートやカーマットなどの車両内装材、カーテン、カーペット、椅子張り地などのインテリア素材、衣料素材などでドリップが抑制され、且つ難燃性を発現する繊維製品として好適に用いることができる。最も好適には、ポリエステル系の熱可塑性樹脂からなる各種繊維製品用のシリコーン系難燃剤として配合することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、「部」または「%」とあるのはそれぞれ「重量部」または「質量%」である。
【0060】
オルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量、ガラス転移点は以下に示す方法によりそれぞれ測定した。オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は29Si−NMRを用いて同定した。また、得られたオルガノポリシロキサン樹脂は以下の方法で熱処理を行い、処理後の重量平均分子量およびガラス転移点を評価した。さらに、参考例として、得られたオルガノポリシロキサン樹脂をシリコーン系難燃剤として使用した場合のドリップ回数および紡糸時の濾圧上昇を併せて表1に示した。
【0061】
〔重量平均分子量〕
下記分析装置により平均分子量ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより求めた標準ポリスチレン換算重量平均分子量で評価した。
装置:HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgelG1000HHR(東ソー株式会社製)
測定温度:40℃(カラムオーブン温度)
流速:1cc/分
クロロホルム試料:オルガノポリシロキサン樹脂を1%クロロホルム溶液として使用
【0062】
[ガラス転移点]
装置:セイコーインスツルメンツ社製TG−DTA
測定温度範囲:40〜300℃
昇温速度:10℃/min
測定雰囲気:N2
【0063】
29Si−NMR]
JNM−EX400(日本電子株式会社製)を使用して、29Si−核磁気共鳴スペクトル分析を行い、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式を同定した。
【0064】
[熱処理試験]
オルガノポリシロキサン樹脂をオーブン中で窒素雰囲気下で、290℃−15分間の熱処理を行なった後、重量平均分子量Mwとガラス転移点(Tg)を測定した。
【0065】
[熱可塑性樹脂への配合した場合の紡糸・難燃性試験]
オルガノポリシロキサン樹脂10重量%とIV(固有粘度):0.65のポリエチレンテレフタレート90重量%をL/D:32.5、混練温度280℃、スクリュー回転数200rpmの条件で二軸押し出し機を用いて混練し、樹脂組成物を得た後、3mm角のチップにカッティングした。得られたチップを真空乾燥機で150℃、12時間、2Torrで乾燥した後、紡糸温度290℃、紡糸速度1500m/min、口金口径0.23mm−24H(ホール)、吐出量40g/minの条件で紡糸を行い、未延伸糸を得た。また、この紡糸中の濾過圧力を測定し、紡糸3時間後の濾加圧力P1から紡糸開始時の濾過圧力P0を引いたΔPを算出し(ΔP=P1−P0)、濾圧上昇を評価した。
【0066】
次いで延伸機を用いて加工速度400m/min、延伸温度90℃、セット温度130℃の条件で延伸糸の繊度が85dtex−24フィラメントになるような延伸倍率で延伸を行い、延伸糸を得た。その後、得られた延伸糸を筒編み機で編物の繊維構造物を作製し、炭酸ナトリウム0.2g/L、界面活性剤0.2g/L(グランアップUS20、三洋化成工業株式会社製)、処理温度/時間60℃/30分で精練し、JIS−L1091−D法(1992)に準じて接炎回数とドリップ回数を評価した。なお、ドリップ回数とは燃焼評価中に試料から滴下物が滴下した回数である。
【0067】
[実施例1]
撹拌機付きフラスコに(a)フェニルシルセスキオキサン(分子量:2000、シラノール基含有量:6.0重量%)1000g及びトルエン700gを投入して、完全に溶解させた。次いでこれに、(b)12%オクチル酸ジルコニウム(大日本インキ化学工業株式会社)10gを加え、トルエンリフラックス温度(110℃)まで加熱した。系内から出てくる水分を抜きながら、7時間縮合反応を継続した。その後、反応溶液の一部を取り出し、重量平均分子量が6,000に達したことを確認後、反応溶液を冷却し、(c)トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)をオクチル酸ジルコニウム中のジルコニウム(Zr)金属イオン1molに対して5mol加え、1時間攪拌した。その後、反応溶液をスプレードライヤーで乾燥させることにより、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0068】
[実施例2]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C65SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0069】
[実施例3]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリベンジルホスフィンオキサイド(TBZPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0070】
[実施例4]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリシクロへキシルホスフィンオキサイド(TCHPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0071】
[実施例5]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリ-tert-ブチルホスフィンオキサイド(TTBPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0072】
[実施例6]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリ(4−メチルフェニル)ホスフィンオキサイド(TPTPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0073】
[実施例7]
成分(c)をトリ−n−ブチルホスフィンオキサイド(TBPO)からトリ(4−tert−ブチルフェニル)ホスフィンオキサイド(TTBPPO)に変更した以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0074】
[比較例1]
成分(c)を添加しない以外は実施例1と同様にして、オルガノポリシロキサン樹脂の白色粉体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は6,000であり、ガラス転移点は120℃であった。29Si−NMRで測定を行ったところ、オルガノポリシロキサン樹脂の平均構造式は、
(C65(OH)SiO2/234(C6H5SiO3/266
であり、その平均組成式は、
(C65)Si(OH)0.341.33
であった。
得られたオルガノポリシロキサン樹脂を上記の方法で評価した結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1に示す通り、成分(c)を添加した実施例1〜実施例7により得られたオルガノポリシロキサン樹脂では、熱処理後であっても分子量の増加が抑制されており、ガラス転移点が観測されるという結果が得られた。さらに、紡糸時の濾圧上昇ΔPも0kg/cm2であって、生産効率に優れ、得られた繊維状構造物の難燃性、ドリップ抑制効果も優れる結果が得られた。一方、成分(c)を添加しなかった比較例1により得られたオルガノポリシロキサン樹脂では、熱処理後に急激な分子量の増加が確認され、ガラス転移点が消失するという結果が得られた。さらに、紡糸時の濾圧上昇ΔPも55kg/cm2であって、生産安定性が悪く、紡糸することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、それらのオリゴマーおよび平均組成式(1):RmSiXn(4-m-n)/2 〔式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m,nは1.0≦m<2.0、0<n≦1.5および1.0≦m+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるオルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上からなる成分(a)を、
金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属を除く)を含有する縮合触媒(b)の存在下で加水分解縮合反応または縮合反応させた後、縮合触媒の失活剤(c)を縮合触媒中の金属(アルカリ金属およびアルカリ土類金属を除く)含有量1モルに対して失活剤が0.5〜10.0モルとなる量を添加することを特徴とするオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項2】
オルガノポリシロキサン樹脂の重量平均分子量Mwが1,000≦Mw≦10,000の範囲を満たす値に達した後、縮合触媒の失活剤(c)を添加することを特徴とする、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項3】
成分(b)が有機酸のアルミニウム塩、錫塩、鉛塩または遷移金属塩である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項4】
成分(b)が、アルミニウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、コバルト、パラジウム、スズ、水銀または鉛から選ばれる1種又は2種以上の金属を含有する縮合触媒である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項5】
成分(c)が、リン、硫黄または窒素を含有する化合物である、請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項6】
成分(b)が、有機酸アルミニウム塩、有機酸ジルコニウム塩または有機酸錫塩であり、成分(c)がリン化合物である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記成分(a)がフェニルクロロシランとアルキルクロロシランを100/0〜1/99の比で混合したもの、フェニルアルコキシシランとアルキルアルコキシシランを100/0〜1/99の比で混合したもの、および、平均組成式(2):(C65m11m2SiXn(4-m1-m2-n)/2 〔式中、R1はフェニル基を除く置換または非置換の一価の炭化水素基であり、XはOH基または加水分解性基であり、m1,m2,nは0.3≦m1≦1.8、0≦m2≦1.5、1.0≦m1+m2<2.0、0.2≦m1/(m1+m2)≦1.0、0<n≦1.5および1.0≦m1+m2+n≦3.0を満たす数であり、分子中に必ず1以上のOH基または加水分解性基を有する〕で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項8】
得られたオルガノポリシロキサン樹脂のガラス転移点(Tg)が100〜290℃の範囲を満たす値である、請求項1〜7のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン樹脂の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン樹脂からなるシリコーン系難燃剤。
【請求項10】
熱可塑性樹脂用である、請求項9に記載のシリコーン系難燃剤。

【公開番号】特開2008−208162(P2008−208162A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43793(P2007−43793)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】