説明

オレフィンのオリゴマー化方法

本発明の対象は、以下: a) 以下の材料: 二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、並びにその混合酸化物、カーボンナノチューブ、の少なくとも1つから選択される担体材料; b) イオン性液体; c) ニッケルを含有する触媒活性組成物; d) アルキル化特性を有するルイス酸の群から選択される活性剤、からなる触媒系である。さらに、本発明による触媒系の不飽和炭化水素混合物のオリゴマー化における使用が対象である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の成分から合成される触媒系、およびオレフィン含有炭化水素混合物からのC3ないしC5−オレフィンのオリゴマー化方法におけるその使用に関する。
【0002】
オレフィンの低分子オリゴマー、殊にC3〜C5−オレフィンの二量体は、例えばアルデヒド、カルボン酸およびアルコールの製造のために使用される中間生成物である。直鎖ブテンからオリゴマー化によって生じるC8−オレフィンを、ヒドロホルミル化および後続の水素化によって相応するノナノールに変換でき、それはまた、主に可塑剤の製造のための使用が見出される。
【0003】
オリゴマーの製造のために、出発材料として、α位で二重結合を有する純粋なオレフィン、内部二重結合を有する純粋なオレフィン、およびそれらのオレフィンの混合物を使用できる。特に経済的なのは、α−オレフィンと、内部二重結合を有するオレフィンと、随意にパラフィンとの混合物を使用する場合のオリゴマーの製造方法である。
【0004】
オリゴマー化によって製造される生成物の使用について、多くの場合、その分岐度が基準である。分岐度についての尺度は、イソ指数(Isoindex)である。それは分子あたりの分岐数によって定義される。従って、例えば直線状のオクテン(n−オクテン)は指数0を有し、メチルペンテンは指数1を有し、且つ、ジメチルヘキセンは指数2を有する。混合物のイソ指数を計算する際、個々の化合物基の質量割合が考慮される。混合物のイソ指数が低いほど、平均して、そこに含有される化合物はより直線的である。
【0005】
オレフィン混合物のイソ指数によって、崩壊生成物の最小可能分岐度が予め設定され、従って、その応用技術特性プロファイルの決定にかかわる。
【0006】
8−オレフィン混合物のヒドロホルミル化および後続の水素化によるノナノールの製造のために、混合物の高い直線性が有利であり、なぜなら、直線状のオレフィンは分岐したオレフィンよりも速く且つ選択的に反応し、ひいては、より高い収率をもたらすからである。低いイソ指数を有するC8−オレフィン混合物の使用は、より分岐したC8−オレフィン混合物の使用の際よりも直線的なノナノール混合物をもたらす。ノナノール混合物のより低いイソ指数は、そこから製造される可塑剤の応用技術特性、特に粘度を改善する。従って、例えばノニルフタレート混合物の際、より低いイソ指数は、低い揮発性、およびその可塑剤を用いて製造された軟質PVCのより良好な低温破壊温度に関して有利であるという結果をもたらす。
【0007】
オレフィンの、殊にプロペンおよびブテンのオリゴマー化は、量産技術的には、分子触媒の均一相か、または固体触媒の不均一系でのいずれかで実施される。
【0008】
均一触媒の作用の仕方は、例えばA.ChauvelおよびG.Lefebvreによって、Petrochemical Processes、第1巻、Editions Technip、1989、183〜187ページ内に記載されている。世界的に行われている均一触媒法は、可溶性の分子ニッケル錯体を用いたオリゴマー化であり、DIMERSOL法として公知である(s.Yves Chauvin, Helene Olivier、「Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds」内、編集Boy Cornils、Wolfgang A.Herrmann、Verlag Chemie、1996、258〜268ページ)。
【0009】
均一触媒法の欠点は、該触媒が、反応生成物と未変換の出発材料とを有する反応器を離れ、そしてそこから分離されなければならないことである。これは、後処理段階を必要とし、且つ、廃棄物流を引き起こす。場合によっては生じる触媒の分解生成物を、インサイチューで活性な触媒に再生することはできず、そのことにより追加的な触媒費用が発生する。
【0010】
この欠点は、不均一触媒でのオレフィンオリゴマー化法の際には存在しない。工業的には、例えばゼオライトまたは担体上のリン酸を使用する、酸接触でのオリゴマー化が長らく知られている。この際、分岐したオリゴマーの異性体混合物が得られる。最適化された条件下でさえも、直線状のブテンのオリゴマー化の際、多く分岐したジメチルヘキセンが主生成物のままである。オレフィンのオリゴマー化の酸触媒についての例は、WO92/13818号内にある。
【0011】
オレフィンの非酸不均一触媒によるオリゴマー化のために、工業においては多くの場合、担体材料上のニッケル化合物が使用される。この技術分野の触媒は、本出願人らのOCTOLプロセスにおいて使用されるニッケル固定床触媒である(Hydrocarbon Process.、Int.Ed.1986、Vol.65、31〜33ページ)。
【0012】
この特性を有するさらなるニッケル固定床触媒は、例えばDE4339713号内、WO95/14647号内およびWO99/25668号内に記載されている。
【0013】
オレフィンの該非酸不均一触媒によるオリゴマー化は、最適化された条件下で、酸の不均一接触を用いるよりも高い直線性を有する生成物をみちびく。それにもかかわらず、それは、生成物の直線性が制限されている。従って、例えば、本出願人らの使用するOctolプロセスの際のイソ指数は1より大きく、且つ、約15%ないし30%の望ましくないジメチルヘキセンが生じる。均一分子触媒は、配位子の変型の可能性およびそれらの高度に定義された構造によって、最適化のための大きな潜在能力を有し、且つ、多くの場合、直線状の生成物に対する選択性がより高く、且つその際反応生成物としてのジメチルヘキセンがほとんど生じないオリゴマー化触媒をみちびく。
【0014】
均一触媒の際と同様に不均一触媒の際にも生じる欠点は、高い転化率の際、二量体の反応生成物に対する選択性が非常に低下することである。殊に転化率が高まる際、三量体、四量体、およびより高級のオリゴマーの割合が非常に増加する。これは、生成物の分離の際のコスト上昇をみちびき、且つ、収量の損失をみちびくか、または、より高級のオリゴマーが他に使用され得る場合には、大きなオリゴマー化装置の場合でのみ経済的であり、輸送および貯蔵の際の高いコストをみちびく。従って、殊により少ない出発材料流の場合、反応の際に、三量体、四量体およびより高級のオリゴマーが生じないか、または少ない質量でのみ生じる場合が有利である。
【0015】
二量体のオリゴマー化生成物に対する特に高い選択性は、多くの場合、2相反応法を使用することによって達成される。ここで触媒は極性相中にある一方、該生成物は無極性相中にあるか、または自らこれを構成する。従って、反応生成物として望ましい二量体は、触媒相中で、連続反応のために使用するには高すぎるオリゴマーが少ない質量でのみ存在する。極性触媒相としてのイオン性液体を用いた2相反応法の使用についての例は、いわゆるDIFASOL法である (Gilbert et al.、Oil & Gas Science and Technology−Rev.IFP 2007、Vol.62、745〜759ページ)。
【0016】
しかしながら、2相反応法の欠点は、触媒相中での出発材料のオレフィンの制限された濃度(殊に4つより多い炭素原子を有する出発材料の場合)、緩慢な物質交換、プロセスの反応部分と後処理部分の間での相分離の必要性、および多くの場合、大量の溶剤の必要性である。
【0017】
従って、本課題は、不均一触媒反応の利点、例えば反応混合物のさらなる処理のコストがかからないこと、および生成物の分離が簡単なことなどと、均一触媒反応の利点、例えば高い転化率およびより容易なより高い選択性をみちびく最適化性などとを組み合わせることである。
【0018】
今回、担持されたイオン液相触媒(略してSILP触媒)をC3ないしC5−オレフィンのオリゴマー化において利用できることが見出された。
【0019】
SILP触媒は、中に活性な触媒組成物が溶解されているイオン性液体で包まれている固体の担体材料からなる塊状触媒である。固体担体上へのイオン性液体の膜における分子触媒の固定化の原理は、WO2002098560号内に初めて記載された。
【0020】
本発明の対象は、
a) 以下の材料:
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム(Zirkonoxid)、並びにその混合物、カーボンナノチューブ
の少なくとも1つから選択される担体材料;
b) イオン性液体;
c) ニッケルを含有する触媒活性組成物;
d) アルキル化特性を有するルイス酸の群から選択される活性剤
からなる触媒系である。
【0021】
本発明のさらなる対象は、3〜5つの炭素原子を有するオレフィンを、本発明による触媒を使用しながらオリゴマー化するための方法である。
【0022】
殊に、本発明の対称は、1−ブテン、シス−およびトランス−2−ブテン、並びに非反応成分n−ブテンを混合することによるC8−オレフィンの混合物の製造方法である。
【0023】
本発明は従来の方法に対して以下の利点を有する:
a) 塊状触媒として、SILP触媒が、例えばJens Hagen、Industrial Catalysis: A Practical Approach、2006、2. Ed.、Wiley−VCH、12ページ内に記載される不均一触媒の典型的な利点を有する。
【0024】
b) 2相系とは対照的に、反応部分と後処理部分との間の相分離、並びに溶剤が必須ではない。
【0025】
c) 本来の触媒が分子錯体なので、該SILP触媒が、例えばJens Hagen、Industrial Catalysis: A Practical Approach、2006、2.Ed.,WileyVCH、12ページ内に記載される、均一触媒の典型的な利点を有する。
【0026】
d) 本発明による方法の特別な利点は、さらにまた、生成物の高い直線性であり、且つ殊にジメチルヘキセンの形成が少ないことである。
【0027】
e) 触媒活性成分が極性相中に存在するので、二量体の反応生成物に対する選択性が非常に高い。しかしながら該極性相は、薄い膜のみであり、従って、物質輸送は大抵、制限されないで作用する。
【0028】
以下に本発明による方法をさらに詳細に記載する。
【0029】
a) 担体材料
本発明による触媒のための担体材料として、カーボンナノチューブ、活性炭、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび二酸化ケイ素、並びにその混合酸化物が適している。担体材料は、酸性の調整のために1.5質量%までのアルカリ金属酸化物を含有できる。さらにまた、担体材料表面のヒドロキシル基は有機ケイ素残基で保護されているか、もしくは脱ヒドロキシル化されていてよい。
【0030】
好ましくは、二酸化ケイ素および活性炭を担体材料として使用する。特に好ましくは、粒径0.05mm〜4mmおよびBET表面積250〜1000m2/g(DIN66131および66132に準拠して測定)を有する二酸化ケイ素、並びにBET表面積1000〜4000m2/gを有する活性炭を使用する。とりわけ特に好ましくは、粒径0.063mm〜0.2mmおよびBET表面積300〜800m2/gを有するシリカゲルを使用する。
【0031】
b) イオン性液体
本発明による触媒のためのイオン性液体として、アニオンが以下の群から選択される化合物が使用される: テトラフルオロホウ酸イオン([BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン([PF6-)、ジシアンアミドイオン([N(CN)2-)、ビストリフルオロメチルスルホニルアミドイオン([NTf2-)、トリシアノメチドイオン([C(CN)3-)、テトラシアノホウ酸イオン([B(CN)4-)、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン([SbF6-)、ヘキサフルオロヒ酸イオン([AsF6-)、硫酸イオン([SO42-)、トシル酸イオン([C77SO3-)、ノナフル酸イオン(nonaflat)([C49SO3-])、トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロリン酸イオン([PF3(C253-)、チオシアン酸イオン([SCN]-)、炭酸イオン([CO32-)、[R’−COO]-、[R’−SO3-、[R’PO4R’’]-または[(R’−SO2)2N]- [前記R’およびR’’は同一または同一ではなく、それぞれ直鎖または分枝鎖の1〜12個の炭素原子を含有する脂肪族または脂環式アルキル基またはC5〜C18−置換アリール基、C5〜C18−置換アリール−C1〜C6−アルキル基またはC1〜C6−アルキル−C5〜C18−置換アリール基であり、前記はハロゲン原子によって置換されていてもよい]。さらには、アニオンを、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)とルイス酸化合物、例えば一般実験式Al2n6-n (前記n=0〜6、X=Cl-またはBr-、およびR=C1〜C6−アルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル)のアルミニウム化合物またはそれらの化合物の混合物との混合によってもたらすことができ、その際、アルミニウムハロゲン化物のモル割合はハロゲン化物イオンの割合よりも高いか、または同一でなければならない。
【0032】
カチオンは以下から選択される:
・ 一般式[NR1234+の四級アンモニウムカチオン、
・ 一般式[PR1234+のホスホニウムカチオン、
・ 下記の一般式のイミダゾリウムカチオン
【化1】

[式中、
イミダゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
・ 下記の一般式のピリジニウムカチオン
【化2】

[式中、
ピリジン核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
・ 下記の一般式のピラゾリウムカチオン
【化3】

[式中、
ピラゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、および
・ 下記の一般式のトリアゾリウムカチオン
【化4】

[式中、
トリアゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
前記基R1、R2、R3は互いに独立して以下からなる群から選択される:
・ 水素
・ 直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族または脂環式の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;
・ ヘテロアリール基内に3〜8個の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つのヘテロ原子がN、OおよびSから選択される、ヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1〜C6−アルキル基であって、C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
・ アリール基内に5〜12個の炭素原子を有する、アリール基、アリールC1〜C6−アルキル基であって、随意に少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
且つ、前記基Rは、以下から選択される:
・ 直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族または脂環式の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;
・ アリール基内に4〜8個の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つのヘテロ原子がN、OおよびSから選択される、ヘテロアリール−C1〜C6−アルキル基であって、少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
・ アリール基内に5〜12個の炭素原子を有するアリールC1〜C6−アルキル基であって、随意に少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの。
【0033】
本発明による方法において、好ましくは、以下のアニオンを有するイオン性液体を使用する:
ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)とアルミニウムハロゲン化物(AlX3、前記X=Cl、Br、F、I)との混合物 (その際、アルミニウムハロゲン化物のモル割合は、ハロゲン化物イオンの割合よりも高いかまたは同じでなければならない) テトラフルオロホウ酸イオン([BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン([PF6-)、ビストリフルオロメチルスルホニルアミドイオン([NTf2-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン([SbF6-)、ヘキサフルオロヒ酸イオン([AsF6-)、トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロリン酸イオン([PF3(C253-)。
【0034】
特に好ましくは、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)とルイス酸化合物、例えば一般実験式Al2n6-n (前記n=0〜6、X=Cl-またはBr-、およびR=C1〜C6−アルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル)のアルミニウム化合物またはそれらの化合物の混合物との混合物を使用し、その際、アルミニウムハロゲン化物のモル割合はハロゲン化物イオンの割合よりも高いか、または同じでなければならない。
【0035】
とりわけ特に好ましくは、クロリドアニオンと、55%のアルミニウムトリクロリドのモル割合を有するアルミニウムトリクロリドまたはアニオン トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロリン酸イオン([PF3(C253-)(FAP)との混合物を使用する。
【0036】
本発明による方法において、好ましくは、以下のカチオンを有するイオン性液体を使用する:
【化5】

[式中、
イミダゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
特に好ましくは、C1〜C4−アルキル置換イミダゾールカチオンを使用する。
【0037】
c) 触媒活性組成物
塊状触媒のイオン性液体中で、ニッケル錯体、その前駆体、および随意に活性剤からなる触媒活性組成物が溶解されている。該触媒活性組成物は、本発明による方法においては、1つまたはそれより多くの前駆体および随意に活性剤から、プロセス条件下で発生されるか、または既に活性触媒としてプロセスに供給される。
【0038】
d) 前駆体
触媒活性ニッケル錯体のための前駆体として、イオン性液体中で溶解性の、形式酸化数0または+2を有する全てのニッケル化合物を使用できる。好ましくは、以下を使用する: NiX2(前記X=Cl、Br)、Ni(アセチルアセトナト)2、Ni(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)2、Ni(シクロオクタジエニル)2、Ni(シクロペンタジエニル)2、Ni2(η3−アリル)(μ−Cl2)、Ni(η3-アリル)(μ−Br2)、Ni2(η3−メタリル)(μ−Cl2)、Ni2(η3−メタリル)(μ−Br2)、Ni(η3−アリル)2、Ni(η3−メタリル)2、NiX2(PR1232 (前記X=Cl、Br、且つ、R1、R2、R3=C1〜C8−アルキル、C5〜C12−アリール、前記R1、R2、R3は同じでなければならないわけではない)。特に好ましくは、NiCl2(PPh32を使用する。
【0039】
追加的な前駆体として、随意に、形式酸化数+3を有するリン化合物を使用できる。好ましくは、一般式PR123 (前記R1、R2、R3はC1〜C8−アルキル、C5〜C12−置換アリール基)の化合物、一般式P(XR1)(XR2)(XR3) (前記R1、R2、R3=C1〜C8−アルキル、C5〜C12−置換アリール基、且つX=N、O)の化合物を使用する。特に好ましくは、一般式PR123 (前記R1、R2、R3=C5〜C12−置換アルキル基)の化合物を使用する。
【0040】
追加的な前駆体として、随意に、1,3−ジケトンを使用できる。好ましくは、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン、2,2,2−トリフルオロ−N−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−アセトアミド、アセチルアセトンを使用する。
【0041】
d) 活性剤
活性剤として、本発明による方法においては、アルキル化特性を有するルイス酸を使用できる。好ましくは、一般実験式Al2n6-n (前記n=1〜5、R=C1〜C6−アルキルまたはC5〜C12−置換シクロアルキル基、且つX=Cl-またはBr-)を有する化合物を使用する。とりわけ特に好ましくは、エチルアルミニウムジクロリドを使用する。
【0042】
成分の互いの比
一般に、イオン性液体の担体材料に対する実現可能な質量比は、物質の特性に依存する。イオン性液体にとって、特に重要なのは密度であり、担体材料にとっては多孔度である。特に、担体の孔径分布は、担体表面上でのイオン性液体の湿潤挙動に影響を有する。
【0043】
担体材料およびイオン性液体の性質に依存して、イオン性液体を広範な質量比で担体に施与することができる。担体材料表面のヒドロキシル基が有機ケイ素基で保護されているかもしくは脱ヒドロキシル化されている二酸化ケイ素担体については、好ましく使用されるイオン性液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド/アンモニウムクロリド)の担体に対する質量比0.007〜0.674を使用できる。0.034〜0.334の質量比が好ましい。0.067〜0.169の範囲が特に好ましい。活性炭担体については、0.022〜2.171の比が好ましく使用される。0.217〜0.543の質量比が特に好ましい。特に好ましい二酸化ケイ素担体については、イオン性液体の担体材料に対する質量比0.012〜1.255が好ましく使用される。0.063〜0.628の比が特に好ましい。0.126〜0.314の比がとりわけ特に好ましい。
【0044】
ニッケルのイオン性液体に対する実現可能な質量比は、一般に、イオン性液体の性質に、および担体材料の性質に依存している。
【0045】
特に好ましい二酸化ケイ素担体について、イオン性液体の担体材料に対する特に好ましい質量比については0.126〜0.314が、ニッケルのイオン性液体に対する質量比は0.003〜0.027が使用される。0.010〜0.020の比が好ましい。0.010〜0.011の比が特に好ましい。
【0046】
触媒製造
本発明による触媒は、固体担体材料を、他の触媒成分と随意に溶剤とを含有する均一な溶液で処理することによって、もたらすことができる。
【0047】
1つの方法は、固体担体材料をかかる溶液で浸漬することである。その際、該担体材料を過剰な溶液と混ぜる。振動または攪拌によって促進され得る、担体材料と溶液との間の物質交換後、過剰な液体を機械的に塊状触媒から、例えばろ過または遠心分離によって分離する。場合により乾燥段階が続く。
【0048】
他の方法は、担体材料をかかる溶液で噴霧することである。場合により、添加された溶剤を噴霧プロセスの間または後に除去する。
【0049】
好ましくは、触媒を、担体材料を、他の触媒成分と溶剤とからなる溶液と混合し、そして該溶剤を蒸発させることによって製造する。そのための溶剤として、好ましくは、他の触媒成分と均一な溶液を形成し且つこの成分との反応がない、低沸点の物質を使用する。適した溶剤は例えば、ジクロロメタン、ヘキサンおよびトルエンである。とりわけ特に好ましい溶剤は、ジクロロメタンである。
【0050】
溶剤の分離は、圧力範囲105〜2×102Paで行われ、その際、圧力は常圧から連続的に低下される。触媒製造の間の触媒の分解を回避するために、酸素および水の除外下で製造を行う。
【0051】
本発明による担体触媒は、有利にはオリゴマー化の際にわずかな流体抵抗がもたらされる形態で製造される。典型的な形態は、タブレット、円柱、糸状押出物、または環状である。その際、該造形は、通常の場合、担体材料へのイオン性液体およびその中に溶解された触媒成分を施与する前に行われる。本発明による触媒の製造のために、粒状形態の担体を使用することもできる。その際、ふるい分けによって、望ましい粒径を有する触媒担体を分離することができる。多くの場合、成形体としての担体材料は購入できる。
【0052】
使用物質
本発明による触媒にて、3〜5個の炭素原子を有するオレフィンを、6〜10個の炭素原子を有するオレフィンにオリゴマー化することができる。原理的に、3〜5個の炭素原子を有する全てのオレフィンまたはオレフィン混合物を、二重結合の位置とは無関係に、使用することができる。出発材料は、同一、類似した(+2)、または明らかに異なっている(>2)C数のオレフィンからなることができる。
【0053】
上で挙げられたオレフィンのみではなく、飽和炭化水素との混合物も使用できることが示唆される。
【0054】
本発明による方法においては、好ましくは2−ブテンおよび1−ブテンを使用する。殊に、2−ブテン、1−ブテンおよび直鎖並びに分枝鎖のブテンからの混合物を使用でき、例えばそれはスチームクラッカーのC4留分の後処理の際、多重の不飽和の化合物およびイソブテンの分離後に生じる。この技術は、専門文献内に記載されている (K.Weissernnel、H.J.Arpe、Industrielle Organische Chemie、Wiley−VCH、第5版、1998)。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】不連続撹拌槽反応器を示す図である。
【0056】
方法の実施
実施例
以下の実施例により本発明を説明する。
【0057】
実施例1、本発明による: イオン性液体(IL) 1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド([BMIM]Cl)/アルミニウムクロリドと、触媒前駆体 NiCl2(PPh32を用いたSILP触媒の製造
全ての作業段階を、不活性ガスボックス内で、またはシュレンク技術を用いて行う。バッチ試験用の触媒装入物の製造のために、147.1mgのNiCl2(PPh32(市販)および471.6mgのトリフェニルホスフィン(市販)を100mlのシュレンクフラスコに計量導入する。20mlの乾燥ジクロロメタン(含水率<20ppm)を添加し、そして15分間、磁気攪拌機で攪拌する。引き続き、4.0gのシリカゲル(粒径0.063〜0.200mm、BET表面積315m2/g、多孔度0.996ml/g)を加え、そしてその懸濁液をさらに15分間攪拌する。その後、1.26gの[BMIM]Cl/AlCl3(モル割合 AlCl3:55%)を計量導入する。磁気攪拌機でさらに15分間後、室温で水浴中のフラスコを真空ポンプに接続し、且つ、圧力をゆっくりと105Paから2×102Paに低下させる。約45分後、ターコイズの粉末が存在する。
【0058】
オリゴマー化装置の説明
不連続的な二量体化のために使用される撹拌槽反応器の流れの図を、図1に示す。ハステロイのオートクレーブは、モーター駆動の攪拌ユニット(ガス導入攪拌機、Heidolph RZR 2020 Motor)を、並びに圧力表示部(PI)および温度表示部(TI 1)を備えている。80barで開く安全弁V−5が、反応器内の高すぎる望ましくない圧力上昇を防ぐ。弁V−1、V−2およびV−3を介して、反応物並びに保護ガスを撹拌槽に導入できる。試料を、触媒試験の間に弁V−4を介して取り出すことができる。
【0059】
試験の実施の説明
不連続な二量体化試験を実施するために、以下の通りに進めた: シュレンク技術を用いて、製造されたSILP粉末を不活性ガス条件下で反応器の釜にもたらし、そしてその反応器をしめた。蓋の開口部を通じて、80mlのシクロヘキサン(含水率<20ppm)を注入した。内部のGC標準としての約1mlのn−ノナンおよび6mlのエチルアルミニウムジクロリド(ヘキサン中0.1モルの溶液、市販)を添加し、そして蓋の開口部を閉じた。
【0060】
V−3に22gの出発材料を有するステンレスシリンダーをつなぎ、そして試験開始直前に反応器に導入した。1000 1/分で攪拌機を開始して、時間計測を始めた。弁V−4を介して、試料を反応器から取り出した。試料を、ガスクロマトグラフィー分析の前に水素化した。従って、異なって分岐した生成物を互いに容易に分離できた。
【0061】
本発明による試験結果
触媒活性組成物の製造および試験の実施は、上述の手順に相応した。出発材料として、70%のn−ブタン、19%のトランス−2−ブテン、9%のシス−2−ブテン、1.7%の1−ブテンおよび0.3%のイソブタン+C5アルカンからの混合物を使用した。出発材料量は、混合物に関するものである。転化率は、含有されるブテンにのみ関する。
【0062】
表1: 本発明による触媒系での例示的な試験結果: 触媒前駆体 NiCl2(PPh32; 温度: 20℃; 活性剤: 6ml EtAlCl2溶液 (ヘキサン中0.1モル溶液)
【表1】

【0063】
[BMIM]Cl/AlCl3=1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド/アルミニウムクロリド(比 1/1.1)、[EMIM][FAP]=1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェート、シリカゲル: Merck KGaA 型番10184 (粒径0.063〜0.200mm、BET表面積315m2/g、多孔度 0.996ml/g)、A−炭: 活性炭 Fluka (粉末、BET表面積 2056m2/g、多孔度 1.723ml/g)、Si−シリカ: シリカ60 シラン処理: Merck KGaA (粒径 0.063〜0.200mm、BET表面積 430m2/g、多孔度 0.535ml/g)。
【0064】
表1からの項目1は、本発明による触媒系を用い、NiCl2(PPh32、活性剤としてのエチルアルミニウムジクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドとアンモニウムクロリドからの、1/1.1の比でのイオン性液体としての混合物、および担体材料としてのシリカゲルの使用下で、約30%の低いオレフィン含有率を有するC4−炭化水素は、望ましい二量体の反応生成物に対する94%の非常に高い選択性、同時に望ましくないジメチルヘキセンに対する低い選択性(11.6%)が達成されることを示す。そのイソ係数は1である。
【0065】
表1からの項目2は、イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェートを使用し、そのほかは同一の条件下であるものを示す。ここで、C8−オリゴマーに対するさらにより高い選択性が達成され、しかしながらその際、転化率はより低い。ジメチルヘキセンに対する選択性は、約10%で非常に低い。同時に、<1の非常に良好なイソ係数が達成される。
【0066】
表1からの項目3は、担体材料としての活性炭の使用を示す。ここで、転化率40%の際に、ジメチルヘキセンに対する特に低い選択性7%、および低いイソ係数が達成される。
【0067】
表1からの項目4は、シリル化により脱ヒドロキシル化されたシリカゲルの使用を示す。ここで、<1の非常に良好なイソ係数が同様に達成される。特にこの例の際、ごくわずかなイオン性液体しか必要とされず、その際、0.067の値を有する、はるかに低いIL/担体材料比を明確に示す。
【0068】
従来技術との比較:
古典的な均一触媒との比較:
初めに述べられた純粋な均一触媒のダイマーゾル法(s.Yves Chauvin、Helene Olivier、「Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds」内、編集Boy Cornils、Wolfgang A.Herrmann、Verlag Chemie、1996、258〜268ページ)を用いて、40%までのジメチルヘキセンが生じる。イソ係数は、典型的には1〜1.35であり、且つ、C8−オリゴマーに対する選択性はこの方法の際、<90%である。即ち、本発明による触媒系は、C8−オリゴマーに対する選択性と同様に生成物の直線性に関しても、殊に低いジメチルヘキセン選択性に関して、ダイマーゾル法を凌駕している。さらにまた、本発明による触媒系を用いた反応方法は、著しくより単純であり、なぜなら、その固定化特性に基づき、生成物から容易に分離され得るからである。
【0069】
古典的な不均一触媒との比較:
純粋な不均一触媒法の際、ジメチルヘキセンに対する選択性は、イソ係数が典型的には>1であるとき、約15%〜30%である。その二量体選択性は、<90%である (s.Albers et al.、Oligomerisation of C3−C5 on Solid State Nickel Compounds: Complex Catalysts for a versatile Reaction、DGMK−会議報告書 2004−3)。即ち、本発明による触媒系は、C8−オリゴマーに対する選択性と同様に生成物の直線性に関しても、殊に低いジメチルヘキセン選択性に関して、この方法を凌駕している。
【0070】
液体−液体の2相反応法:
NiCl2(PPh32、活性剤としてのエチルアルミニウムジクロリドおよび極性相としての1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド/アルミニウムクロリド (比1/1.1)を、液体−液体の2相反応法で用い、ジメチルヘキセンに対する20%〜30%の選択性および>1のイソ係数が観察される (s.Gilbert et al., Oil&Gas Science and Technology − Rev. IFP 2007、Vol. 62、745〜759ページ)。二量体に対する選択性は、本発明による触媒系の際と同様に高い約95%である。しかしながら、生成物の直線性およびジメチル選択性に関して、本発明による触媒系は優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 以下の材料:
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、並びにその混合物、カーボンナノチューブ
の少なくとも1つから選択される担体材料;
b) イオン性液体;
c) ニッケルを含有する触媒活性組成物;
d) アルキル化特性を有するルイス酸の群から選択される活性剤
からなる触媒系。
【請求項2】
イオン性液体として、アニオンおよびカチオンが以下のものから選択される化合物が使用され、その際、アニオンは、以下の群から選択される:
テトラフルオロホウ酸イオン([BF4-)、ヘキサフルオロリン酸イオン([PF6-)、ジシアンアミドイオン([N(CN)2-)、ビストリフルオロメチルスルホニルアミドイオン([NTf2-)、トリシアノメチドイオン([C(CN)3-)、テトラシアノホウ酸イオン([B(CN)4-)、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン([SbF6-)、ヘキサフルオロヒ酸イオン([AsF6-)、硫酸イオン([SO42-)、トシル酸イオン([C77SO3-)、ノナフル酸イオン([C49SO3-])、トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロリン酸イオン([PF3(C253-)、チオシアン酸イオン([SCN]-)、炭酸イオン([CO32-)、[R’−COO]-、[R’−SO3-、[R’PO4R’’]-または[(R’−SO2)2N]- [前記R’およびR’’は同一または同一ではなく、それぞれ直鎖または分枝鎖の、1〜12個の炭素原子を含有する脂肪族または脂環式アルキル基またはC5〜C18−置換アリール基、C5〜C18−置換アリール−C1〜C6−アルキル基またはC1〜C6−アルキル−C5〜C18−置換アリール基であり、該基はハロゲン原子によって置換されていてもよい];
カチオンは、以下から選択される:
一般式[NR1234+の第四級アンモニウムカチオン; 一般式[PR1234+のホスホニウムカチオン、または
下記の一般式のイミダゾリウムカチオン
【化1】

[式中、
イミダゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
下記の一般式のピリジニウムカチオン
【化2】

[式中、
ピリジン核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
下記の一般式のピラゾリウムカチオン
【化3】

[式中、
ピラゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、および
下記の一般式のトリアゾリウムカチオン
【化4】

[式中、
トリアゾール核は、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−置換アミノアルキル基、C5〜C12−置換アリール基またはC5〜C12−置換アリール−C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基によって置換され得る]、
前記基R1、R2、R3は互いに独立して、以下からなる群から選択される:
水素;
直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族または脂環式の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;
ヘテロアリール基内に3〜8個の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つのヘテロ原子がN、OおよびSから選択される、ヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1〜C6−アルキル基であって、C1〜C6−アルキル基から選択される少なくとも1つの基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
アリール基内に5〜12個の炭素原子を有するアリール基、アリール−C1〜C6−アルキル基であって、随意に少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
且つ、前記基Rは、以下から選択される:
直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族または脂環式の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;
アルキル基内に4〜8個の炭素原子を有し且つ少なくとも1つのヘテロ原子がN、OおよびSから選択されるヘテロアリール−C1〜C6−アルキル基であって、少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
アリール基内に5〜12個の炭素原子を有するアリール−C1〜C6−アルキル基であって、随意に少なくとも1つのC1〜C6−アルキル基および/またはハロゲン原子で置換されていることがあるもの;
ことを特徴とする、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
触媒活性組成物が、ニッケルを、使用されるイオン性液体中に溶解性の形態で、酸化数0〜+2で含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の触媒系。
【請求項4】
NiCl2(P[C653)を使用することを特徴とする、請求項3に記載の触媒系。
【請求項5】
アルキル化特性を有するルイス酸として、一般実験式Al2n6-n (前記n=0〜6、X=Cl-またはBr-、およびR=C1〜C6−アルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル)の有機アルミニウム化合物またはそれらの化合物の混合物を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の触媒系。
【請求項6】
アルキル化特性を有するルイス酸としてエチルアルミニウムジクロリドを使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の触媒系。
【請求項7】
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドおよびアルミニウムクロリドを含有する組成物を使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項8】
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−トリス−(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェートを使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項9】
担体材料として、粒径0.063〜0.2mm、DIN66131および66132に準拠して測定されるBET表面積250〜1000m2/gを有する二酸化ケイ素を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項10】
二酸化ケイ素を含有する担体材料の、請求項2に記載のイオン性液体に対する質量比が、0.012〜1.255の範囲内であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項11】
自体公知の方法で前もって脱ヒドロキシル化された二酸化ケイ素を含有する担体材料の、請求項2に記載のイオン性液体に対する質量比が、0.007〜0.674の範囲内であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項12】
DIN66131および66132に準拠して測定されるBET表面積1000m2/g〜4000m2/gを有する活性炭を含有する担体材料の、請求項2に記載のイオン性液体に対する質量比が、0.022〜2.171の範囲内であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の触媒系を使用して不飽和炭化水素混合物をオリゴマー化するための方法。
【請求項14】
不飽和炭化水素混合物として、3ないし5個の炭素原子を有するオレフィンを含有する流れを使用することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
不飽和炭化水素混合物として、直鎖のC4−オレフィンと飽和炭化水素とを含有する流れを使用することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
不飽和炭化水素混合物として、50%〜80%の質量割合を有する飽和炭化水素と直鎖のC4−オレフィンとを含有する流れを使用することを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−503746(P2013−503746A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528296(P2012−528296)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061770
【国際公開番号】WO2011/029691
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(398054432)エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oxeno GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】