説明

オレフィン前重合を用いたプロピレンの重合方法

反応速度、温度を調節して触媒に前重合を行った後、これを用いてプロピレンを重合することによって、分子量分布度、水素反応性、立体規則性が向上されたポリプロピレンを製造することができるプロピレン重合方法を提供する。
外部電子供与体の存在下においてチーグラーナッタ系触媒をオレフィンと前重合させる段階、及び前重合されたチーグラーナッタ系触媒をプロピレンと重合させる段階とを含むプロピレンの重合方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィン前重合工程を含むプロピレンの重合方法に関するものであって、より詳しくは、オレフィン重合用のチーグラー系触媒をオレフィンで前重合し、この活性化された触媒でプロピレンの重合を行うことによって分子量分布度、水素反応性、立体規則性が向上されたポリプロピレンを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、広い分子量分布を有する重合体は産業的にパイプとフィルム、シートなどの製品を生産する技術に用いられ、狭い分子量分布を有する重合体は射出成形などに用いられる。この2つの間の差は重量平均分子量と数平均分子量の割合で示される分子量分布度と溶融流れ性指数で区別される。
【0003】
スラリーまたは気相単一反応器でチーグラー形態の触媒によって重合された重合体は通常狭い分子量分布を有するようになる。このように、分子量分布が狭い特性を有する重合体は引張強度に限界を導いて加工時に形態変形を示す。なお、溶融状態における高い機械的抵抗を要求する加工方法には適用が難しくなる。
【0004】
従って、チーグラー系触媒を用いて広い分子量分布を有する重合体を製造するための方法が研究されてきて、例えばズッチキーニ(Zucchini, U.)とセチン(G.. Cecchin)は文献(Adv. In Polymer Science 51, 101~153(1983))にチーグラーナッタ系の触媒で広い分子量分布の重合体を得るために2つ以上の反応器を使用してシリーズまたは様々な段階で重合する方法を発表した。しかし、このような方法は工程が複雑で実際製品を生産する場合、新しい問題を招来する可能性がある。ヒモント(Himont)社のヨーロッパ特許658577号では2つの反応器を使用して広い分子量分布を有する高立体規則性のポリプロピレン製造に関して報告されたことがある。
【0005】
広い分子量分布を有する重合体を製造するための触媒として、アルテモア(Altemore)らは米国特許3,899,477号でハロゲン化チタニウムとハロゲン化バナジウム、有機アルミニウム化合物を共に使用した触媒について開示した。この触媒はアルキルアルミニウムセスキエトキシドとトリアルキルアルミニウムを重合する前に触媒に処理して使用する場合に、広い分子量分布を有する重合体を生成することができる。しかし、この技術は触媒の製造過程が複雑であり、チタニウムとバナジウムのソース、単量体及び共単量体に対する反応性が 互いに異なるため重合工程の制御が難しいという短所がある。
【0006】
従って、加工時流動性をよくするために、幾つの重合反応器で互いに異なる分子量分布を有するオレフィン重合体を製造して混合する方法が普遍的に使用されてきたが、この方法は時間がたくさんかかり、製品が不均一であるという短所があった。最近、日本の三井石油化学会社から報告したところ(韓国特許公開番号1990-0014436号)によると、同一重合条件において重合したホモポリマーの溶融流れ指数(MFR)の比は31.6が超える2つ以上の特定電子供与体を使用して分子量分布が広いオレフィン重合体を製造する方法も提案された。しかし、この場合には触媒の活性が非常に低くて商業化することが非常に難く、重合体の分子量分布を調節し難く、ポリマーの溶融流れ指数(MFR)を調節する水素反応性が非常に低くて工程運営面においても制約がたくさんあった。三井社の米国特許5,652,303号でもこのような2つ以上の外部電子供与体を使用して立体規則度と分子量分布を制御することができることを報告したことがある。
【0007】
一方、3つ以上の炭素原子を含有するアルファオレフィンの重合または共重合触媒として用いられるチタニウム触媒であって、望ましくは電子供与体で処理させたマグネシウム、チタニウム及びハロゲンを最小限に含有する固体錯物チタニウム成分を使用して立体規則性が高く、水素反応性が良い重合体または共重合体を製造するための多数の先行方法が知られてきた(日本国公開特許第73-16986号、第73-16987号とドイツ連邦共和国公開特許第2,153,520号、第2,230,672号、第2,230,728号、第2,230,752号及び第2,553,104号)。
【0008】
これらの先行方法は、特定触媒構成成分の混用及び触媒形成工程を提示している。よく知られたように、このような種類の固体錯物チタニウム成分を含有する触媒の特性は触媒構成成分の混用と触媒形成工程の結合及びこれらの条件の結合の差によって大きく異なる。従って、如何なる与えられた結合条件において製造される場合に、類似した結果が得られるかどうかの如何を予想することは殆ど不可能である。時には極めて不良な性質を有する触媒が製造されることが多い。また、適切な条件下で製造された触媒も適切な外部電子供与体を使用しないと、触媒活性または重合体の立体規則性などの特性が十分でない場合が多い。
【0009】
マグネシウム、チタニウム、及びハロゲンを最小限に含有する固体錯物チタニウム成分も例外ではない。チタニウム成分と周期律表の第1族乃至第4族の金属の有機金属化合物から構成される触媒を使用して水素存在下で3つ以上の炭素原子を含有するアルファオレフィンを重合または共重合させるとき、金属アルミニウム、水素または有機アルミニウム化合物で四塩化チタニウムを還元させて得た三塩化チタニウムから構成された触媒と無定形重合体の生成を抑制させるものと知られた電子供与体を共に使用する場合には使用された供与体によってその効果は予想できないくらい変化する。このような理由は電子供与体が単に添加されるものではなく、マグネシウム、チタニウム化合物と電子的、立体的に結合して固体錯物触媒の微細構造が根本的に異なるためであると理解される。
【0010】
一般的に前重合とは反応温度とモノマー濃度が低い温和な条件でオレフィンを触媒に薄くコーティングする方法であって、前重合触媒の製造に使用される固体チタニウム触媒としては通常のオレフィン重合用固体チタニウム触媒を全部使用することができ、米国特許第4,482,687号、第3,642,746号、第3,642,772号、第4,158,642号、第4,148,756号、第4,447,639号、第4,518,706号、第4,866,022号、第5,103,702号、第5,124,297号、第4,330,649号、ヨーロッパ特許第131,832号、及び日本公開特許昭63-54004号などに記載されたチーグラーナッタ触媒を使用することができる。
【0011】
一般的に前重合は下記のような効果が得られると知られている。第1の速度向上効果(Rate Enhancement Effect)は前重合によって活性種が増加して活性が増加される効果である。これは前重合段階において触媒に新しい活性部位(active site)が形成されたり、またはアルファオレフィンによって適切なリガンドが形成されて休眠部位(dormant site)が活性化されることによるものと知られている。第2は分子的効果(Molecular specification)が挙げられる。これは前重合を行う場合、触媒の非特異的部位(aspecific site)が重合初期段階で高分子によってカプセル化されて不活性化(deactivation)されるため、アイソタクチック断片(isotactic fraction)の初期反応速度が増加して立体規則性が向上される効果を言う。第3はモーフォロジーの向上が挙げられる。前重合を行うと、触媒の均一な分解によって一定な形とサイズを有する粒子が形成され、触媒の再凝集現状が防止されて触媒の均一な分解が保持される。その結果、微分(fine)が減少され見かけ密度(bulk density)が増加し粒度分布が均一になってモーフォロジーが改善されるのである。このように前重合は比較的簡単な方法でポリマーの物性を向上させることができるという長所がある。
【0012】
しかし、前重合のメカニズムに対してはまだ正確に明らかになったことがなく、今まではチーグラー形態の触媒を使用して重合体を形成する前に行う前重合条件を調節して広い分子量分布と高い水素反応性、高い立体規則性を有する重合体を商業的に生産することがかなり難しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題はオレフィン前重合を用いて広い分子量分布度を有し、水素反応性及び立体規則性が改善されたポリプロピレンを製造することのできるプロピレンの重合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記技術的課題を達成するために本発明は、外部電子供与体の存在下でチーグラーナッタ系触媒をオレフィンと前重合させる段階;及び前重合されたチーグラーナッタ系触媒をプロピレンと重合させる段階とを含むプロピレンの重合方法を提供する。
【0015】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階の反応温度は−10℃乃至50℃の範囲を有する。
【0016】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階の反応温度は0乃至40℃が望ましい。
【0017】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階の反応時間は0.1乃至10時間の範囲を有する。
【0018】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階の反応時間は0.5乃至5時間が望ましい。
【0019】
本発明の一具現例によると、前記チーグラーナッタ系触媒は周期律表の4族、5族、または6族に属する元素を含む転移金属化合物;及び周期律表の12族または13族に属する元素を含む有機金属化合物とを含む。
【0020】
本発明の一具現例によると、前記転移金属化合物に対する有機金属化合物のモル比は5乃至50が望ましい。
【0021】
本発明の一具現例によると、前記転移金属化合物としてはマグネシウム、チタニウム、ハロゲン元素及び内部電子供与体を含有する固体チタニウム触媒を使用することができる。
【0022】
本発明の一具現例によると、前記有機金属化合物としては有機アルミニウム化合物を使用することができる。
【0023】
本発明の一具現例によると、前記有機アルミニウム化合物としてはトリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウムジアルキル、二ハロゲン化アルミニウムアルキル、水素化ジアルキルアルミニウム、セスキハロゲン化アルキルアルミニウム、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0024】
本発明の一具現例によると、前記有機金属化合物はAl(C2H5)3、Al(C2H5)2H、Al(C3H7)3、Al(C3H7)2H、Al(i-C4H9)2H、Al(C8H17)3、Al(C12H25)3、Al(C2H5)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)2H、Al(i-C4H9)3、(C2H5)2AlCl、(i-C4H9)2AlCl、または(C2H5)3Al2Cl3を使用することができる。
【0025】
本発明の一具現例によると、前記有機金属化合物はAl(C2H5)3及びAl(i-C4H9)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C4H9)2H及びAl(C8H17)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C16H33)3の混合物;Al(C3H7)3及びAl(C18H37)2(i-C4H9)を使用することができる。
【0026】
本発明の一具現例によると、前記転移金属化合物に対する外部電子供与体のモル比は1乃至50が望ましい。
【0027】
本発明の一具現例によると、前記内部電子供与体としてはジエーテル系化合物、フタル酸系化合物またはこれらの混合物を使用することができる。
【0028】
本発明の一具現例によると、前記外部電子供与体としては置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6乃至30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数5乃至30のシクロアルキル基、及び置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルコキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の官能基を含み、少なくとも1つ以上の酸素原子を含む有機シラン化合物を使用することができる。
【0029】
本発明の一具現例によると、前記外部電子供与体としてはジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、またはフェニルメチルジメトキシシランのような芳香族有機シラン化合物;トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシランのような脂肪族有機シラン化合物;またはこれらの混合物を使用することができる。
【0030】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階においてオレフィンを0.02乃至10gオレフィン/gチーグラーナッタ系触媒/時間(hr)の速度で投入することができる。
【0031】
本発明の一具現例によると、前記前重合段階においてオレフィンを0.02乃至6gオレフィン/gチーグラーナッタ系触媒/時間(hr)の速度で投入することができる。
【0032】
本発明の一具現例によると、前記重合段階から得られた重合体の分子量分布度(Mw/Mn)は5.0±0.5の範囲を有する。
【0033】
本発明の一具現例によると、前記重合段階から得られた重合体の立体規則性は99±1%の範囲を有する。
【0034】
本発明の一具現例によると、前記重合段階から得られた重合体の溶融指数(230℃、2.16kg)は4±2g/10分の範囲を有する。
【0035】
以下では本発明をより詳細に説明する。
【0036】
本発明によるプロピレンの重合方法は、製造された重合体の分子量分布を広げ、水素反応性及び立体規則性を改善するためにチーグラーナッタ系触媒を低い温度でオレフィンと前重合させた後、これをプロピレン重合に用いられる。
【0037】
本発明で前重合工程に続かれる重合工程における“重合”というのはプロピレンのホモ重合のみを意味するのではなく、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンのようなアルファオレフィンとプロピレンとを共に共重合させて共重合体を製造する共重合工程を含むこととして理解しなければならない。
【0038】
本発明によるプロピレンの重合方法においてオレフィンの前重合工程は外部電子供与体の存在下でチーグラーナッタ系触媒をオレフィンと前重合させるところ、この際の反応温度及び反応時間は結果的に得られる重合体の立体規則性、分子量分布度、及び溶融流れ指数などに相当な影響を及ぼす主要な因子として作用する。
【0039】
このような前重合工程の反応温度としては−10℃乃至50℃の範囲を適用することができ、望ましくは0℃乃至40℃の温度で前記前重合工程を行うことができる。前記前重合工程の反応温度が−10℃未満であれば、十分な量の前重合反応が起きにくいため本発明が目的とする効果が得られなく、50℃を超える場合は超過する温度による経済的効果が微々であり、重合時の活性が低くなるという問題があって望ましくはない。
【0040】
同様に、前記前重合工程は0.1乃至10時間の反応時間の間に行うことができ、0.5乃至5時間の反応時間がより望ましい。前記前重合工程の反応時間が0.1時間未満であれば、十分な量の前重合反応が生じ難くて本発明が目的とする効果が得られなく、10時間を越える場合には超過する時間による経済的効果は微々となるという問題があって望ましくない。
【0041】
前記前重合工程で使用されるチーグラーナッタ系触媒は前重合工程において均一な粒子で分解された後、オレフィンがその表面に吸着する。このようなチーグラーナッタ系触媒としては一般的なオレフィン重合用で使用されるものであれば特に限られなく使用できるが、望ましくは周期律表の4族、5族、または6族に属する元素を含む転移金属化合物;及び周期律表の12族または13族に属する元素を含む有機金属化合物とを含む触媒を使用することができる。
【0042】
前記転移金属化合物は前記チーグラーナッタ系触媒において主触媒として使用されるところ、望ましくはマグネシウム、チタニウム、ハロゲン元素及び内部電子供与体を含有する固体チタニウム触媒を使用することが可能である。ここで、内部電子供与体は、例えばジエーテル系化合物、フタル酸系化合物またはこれらの混合物を使用することができ、具体的にはジイソブチルフタレートなどを使用することができる。
【0043】
また、前記有機金属化合物は前記チーグラーナッタ系触媒において助触媒として使用されるところ、望ましくは有機アルミニウム化合物を使用することができ、その例としてはトリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウムジアルキル、二ハロゲン化アルミニウムアルキル、水素化ジアルキルアルミニウム、またはセスキハロゲン化アルキルアルミニウムが望ましい。より具体的には前記有機金属化合物はAl(C2H5)3、Al(C2H5)2H、Al(C3H7)3、Al(C3H7)2H、Al(i-C4H9)2H、Al(C8H17)3、Al(C12H25)3、Al(C2H5)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)3、(C2H5)2AlCl、(i-C4H9)2AlCl、または(C2H5)3Al2Cl3がより望ましい。
【0044】
前記有機金属化合物は有機アルミニウム化合物の混合物も使用できるところ、周期律表第1族、第2族、第13族に属する有機金属化合物、特に相異なる有機アルミニウム化合物の混合物を使用することができる。その例としてはAl(C2H5)3及びAl(i-C4H9)3の混合物; Al(C2H5)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C4H9)2H及びAl(C8H17)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C16H33)3の混合物;Al(C3H7)3及びAl(C18H37)2(i-C4H9)の混合物を使用することができる。
【0045】
特に、有機アルミニウム化合物として無−塩素(chlorine-free)化合物を使用することが特に望ましい。本目的に適した無−塩素化合物は炭素数1乃至6を有する炭化水素ラジカル、望ましくはAl(i-C4H9)3またはAl(i-C4H9)2H及び炭素数4乃至20のオレフィン、望ましくはイソプレンとアルミニウムトリアルキルまたは水素化ジアルキルアルミニウムとの反応生成物である。言える例はアルミニウムイソプレニルである。
【0046】
他に適した無−塩素アルミニウム−有機化合物は炭素数1乃至16の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたは一般式水素化ジアルキルアルミニウムであり、ここでこの例としてはAl(C2H5)3、Al(C2H5)2H、Al(C3H7)3、Al(C3H7)2H、Al(i-C4H9)3、Al(i-C4H9)2H、Al(C8H17)3、Al(C12H25)3、Al(C2H5) (C12H25)2、及びAl(i-C4H9)(C12H25)である。
【0047】
前記チーグラーナッタ系触媒において主触媒である前記転移金属化合物は助触媒である有機金属化合物と共に並行して使用するようになる。この場合、前記転移金属化合物に対する有機金属化合物のモル比は5乃至50になるものが望ましい。
【0048】
前記前重合段階で使用される外部電子供与体は、例えば置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6乃至30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数5乃至30のシクロアルキル基、及び置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルコキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の官能基を含み、少なくとも1つ以上の酸素原子を含む有機シラン化合物を使用することができる。望ましくはジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、またはフェニルメチルジメトキシシランのような芳香族有機シラン化合物;トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシランのような脂肪族有機シラン化合物;またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0049】
このような外部電子供与体の含量は転移金属化合物の含量を基準で外部電子供与体のモル比が1乃至50であるものが望ましい。
【0050】
前記前重合段階において、原料としてオレフィンが供給されるところ、このようなオレフィンはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのようなアルファオレフィンが使用できる。これらの供給量は、0.02乃至10gオレフィン/gチーグラーナッタ系触媒/時間の速度で投入することができ、望ましくは0.02乃至6gオレフィン/gチーグラーナッタ系触媒/時間の速度で投入することができる。
【0051】
前記前重合段階において使用するに適当な非極性溶媒としては、ヘキサン、ノーマルヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのようなアルカン化合物とシクロアルカン芳香族化合物などが挙げられる。この中、ヘキサンが最もよく、望ましくは触媒活性に影響を及ぼさないように使用前に精製して使用することが良い。
【0052】
このような前重合段階を介して前記チーグラーナッタ系触媒にオレフィンが結合された後、これを用いてプロピレン重合段階を行うところ、本発明の触媒存在下におけるオレフィンの重合反応は通常のチーグラー式−ナッタ系触媒を使用するオレフィンの重合法でと同一に進まれる。特に、その反応は実質的には酸素と水との不在下で行われる。オレフィンの重合方法は望ましくは約20乃至200℃、より望ましくは約50乃至180℃の温度で1乃至100気圧の圧力、望ましくは約2乃至50気圧の圧力下で行うことができる。
【0053】
本発明による重合工程を経て得られた重合体は分子量分布度(Mw/Mn)が5.0±0.5の範囲を有するため広い分子量分布が得られ、その立体規則性は99±1%の範囲を有して高立体規則性を有する重合体が得られる。なお、前記重合段階から得られた重合体の溶融指数(230℃、2.16kg)は4±2g/10分の範囲を有するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、実施例と比較例を通して本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限られるものではない。
【0055】
下記実施例から合成された重合体の特性は下の実験方法を通して測定した。
【0056】
(1)活性
【0057】
触媒の重合活性(kg PP/g触媒)は使用した触媒量(g触媒)当たり生成された重合体の重量(kg)比で計算した。
【0058】
(2)溶融流れ指数
【0059】
溶融流れ指数はASTM D1238によって230℃の温度で2.16kgの錘を用いて測定し、10分間溶融されて求められた重合体の重量(g)で示す(g/10分)。
【0060】
(3)立体規則性
【0061】
重合体の立体規則性(%)は1時間沸騰するο―キシレンに抽出されない重合体の重量比で計算した。詳しく記述すると、 ο―キシレンのみの空テスト(Blank Test)とο-キシレンに溶解された重合体の重量比にて求める。先ず、フラスコに200ml ο―キシレンを用意した後、200mm No.4抽出紙でフィルターリングする。アルミニウムパンを30分、150℃オーブンで乾燥した後、デシケーター(Desiccator)で冷却させる。以後、質量を測定する。ピペットで100mlフィルターリングした ο―キシレンを採取の後、アルミニウムパンに移す。採取した ο―キシレンが入れられているアルミニウムパンを145乃至150℃で加熱させて ο―キシレンを全部蒸発させる。蒸発が終わったアルミニウムパンを100±5℃、1hr、13.3kPより低く真空乾燥させる。以後、アルミニウムパンをデシケーターで冷却した後、2回繰り返し、誤差0.0002g以内に重量を測定して ο―キシレンのみの空測定を終える。 ο―キシレンに溶解された重合体の重量は生成された重合体を乾燥(70℃、13.3kPa、20分、Vacuum oven)した後、デシケーターで冷却させる。重合体サンプルの2g±0.1gを500mlのフラスコに入れて、ここに ο―キシレン200mlを投入する。このフラスコには窒素と冷却水を連結して1時間加熱しながら ο―キシレンを続いて還流させる。以後、100℃以下で12乃至14分間空気中で冷却させた後、フラスコを振った後、恒温槽(25±0.5℃)に入れて沈殿させる。沈殿物は200mm No.4抽出紙できれいになるまで繰り返してフィルター処理する。アルミニウムパンを30分、150℃で乾燥した後、デシケーターで冷却した後、予め重量を測定しておく。ピペットで100mlフィルターされた ο―キシレンを採取した後にアルミニウムパンに移す。145乃至150℃でアルミニウムパンを加熱して ο―キシレンを蒸発させる。蒸発が終わったアルミニウムパンは、100±5℃、1hr、13.3kPで真空乾燥させる。以後、デシケーターで冷却した後、2回繰り返して誤差0.0002g以内に重量を測定する。
【0062】
【数1】

【0063】
Xs=重合体のうち ο―キシレンに溶解された部分、重量%
【0064】
Vbο=初期 ο―キシレンの体積、mL(=200ml)
【0065】
Vb1= ο―キシレンに溶解された重合体のうち採取した体積、mL(=100ml)
【0066】
Vb2=空テスト時に使用した採取した ο―キシレンの体積、mL(=100ml)
【0067】
W2=アルミニウムパンと ο―キシレンを蒸発させた後、アルミニウムパンに残った重合体の重量の合、g
【0068】
W1=アルミニウムパンの重量、g
【0069】
Wο=初期重合体の重量、g(=2g)
【0070】
B=空テスト時にアルミニウムパンに残った残分の平均値、g
【0071】
XI=100−Xs( ο―キシレンに抽出されない重合体の重量比)
【0072】
(4)分子量
【0073】
分子量はゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を用いて測定し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
【0074】
(5)重合結果
【0075】
重合結果は重合体の見かけ密度(g/ml)、溶融指数(g/10分)、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)、立体規則性度( ο―キシレンに抽出されない重合体の重量比(重量%))と共に下記表1に整理した。
【0076】
前重合用触媒の製造
【0077】
前重合に使用される触媒は次の3段階過程を通して製造された。
【0078】
1段階:マグネシウム化合物の製造
【0079】
マグネシウム化合物86.8gとジイソブチルフタレート36gを70℃で60時間粉砕した。
【0080】
2段階:固体チタニウム触媒の製造
【0081】
1段階から得られたマグネシウム−電子供与体錯化合物25gに、TiCl4を210ml加えた後、80℃で2時間撹拌した後、上澄液を分離した。ここに、TiCl4を210ml加えて80℃で2時間撹拌した後、上澄液を分離して固体チタニウム触媒を製造した。
【0082】
3段階:固体チタニウム触媒の表面処理
【0083】
前記から製造された固体チタニウム触媒を精製されたヘキサン200mlで5回洗滌し、真空乾燥して保管した。表面処理された個体チタニウム触媒にはチタニウム原子が2.0重量%含有されていた。
【0084】
実施例1
【0085】
1段階:前重合
【0086】
容量0.5リットルの高圧反応器を高温においてアルゴンでパージした後、前記から得られた触媒1.2g、ヘキサン200ml、トリエチルアルミニウム5mmol、シクロヘキシルジメトキシシラン1mmolを入れて、プロピレンを50cc/minで合わせた後、25℃で1時間前重合を施した。前重合が終わったらヘキサンで3回洗滌した後、常温で真空乾燥を2時間行った。このようにして得られた前重合触媒において、触媒の周りに重合された高分子量単量体の量は触媒1g当たり3乃至4gになるようにした。
【0087】
2段階:重合
【0088】
容量2リットルのオートクレーブ反応器を1時間真空乾燥させた後、窒素で十分パージし、室温でトリエチルアルミニウム4.3mmol、シクロヘキシルジメトキシシラン0.83mmol、前記収得した触媒成分の中、チタンが8.3ppm含量になるように重量を計った後、これを精製したヘキサン100mlでスラリー状態に作ってから反応器に注入した。再び、水素870ppmを投入し、次いで液状プロピレン1.2リットルを投入した後、反応器を撹拌しながら温度を70℃に上昇させて1時間重合反応を施した。重合反応が完了された後、未反応ガスを排出し、温度を常温に冷却した後、反応を終結した。生成された重合体は分離収集して70℃の真空オーブンで1時間以上乾燥して白色の重合体を得た。重合結果は下記表1に示した。
【0089】
実施例2
【0090】
実施例1からの前重合条件を使用し、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。重合時、外部電子供与体としては実施例1と同じくシクロヘキシルメチルジメトキシシランを0.83mmolを注入し、その他には実施例1と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。重合実験の結果は下記表1に示した。
【0091】
実施例3
【0092】
実施例2からの前重合触媒を重合に使用し、重合時、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用し、重合方法は実施例1と同一に行った。重合実験の結果は下記表1に示した。
【0093】
実施例4
【0094】
前重合時において反応温度を温和にした時の影響を調べるために、反応温度を15℃にし、実施例3と同一に前重合した。これを用いて実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。重合実験の結果は下記表1に示した。
【0095】
実施例5
【0096】
前重合時において反応温度と重合速度を温和にした時の効果を調べるために、プロピレンを20cc/minに合わせた後、3時間反応させた。その他には実施例4と同一に前重合し、これを用いて実施例4と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。重合実験の結果は下記表1に示した。
【0097】
実施例6
【0098】
前重合時において外部電子供与体の量による影響を調べるために、ジシクロペンチルジメトキシシラン15mmolを注入した。その他には実施例5と同一に前重合し、これを用いて実施例5と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0099】
実施例7
【0100】
前記実施例1からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0101】
実施例8
【0102】
前記実施例5からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0103】
実施例9
【0104】
前記実施例6からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0105】
実施例10
【0106】
前記実施例2からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0107】
実施例11
【0108】
前記実施例5からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0109】
実施例12
【0110】
前記実施例6からの前重合条件を使用し、モノマーはプロピレンの代わりに4-メチル-1-ペンテンを3.9gを加えて前重合し、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した。重合方法は実施例3と同一な方法で重合して白色の重合体を得た。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0111】
比較例1
【0112】
重合時に前重合をしない触媒20mgを用いて、重合時に外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用して実施例3の重合方法で重合した。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0113】
比較例2
【0114】
重合時に前重合をしない触媒20mgを用いて、重合時に外部電子供与体としてシクロヘキシルジメトキシシランを使用して実施例1の重合方法で重合した。 重合実験の結果は下記表1に示した。
【0115】
<表1>
【0116】
【表1】

【0117】
重合条件:水素注入量(水素/プロピレン:870mol ppm)、反応時間(1hr)、反応温度(70℃)
【0118】
DCPMDS:ジシクロペンチルジメトキシシラン、CHDMS:シクロヘキシルジメトキシシラン
【0119】
前記実施例5の結果からわかるように、ジシクロペンチルジメトキシシランで前重合時に反応温度を15℃に低くして、反応時間を3時間にして温和な条件で前重合を行うと、前重合を施さない比較例の場合及び温度が高い実施例3、反応時間が短い実施例4、前重合時または重合時にシクロヘキシルジメトキシシランを使用した実施例1、実施例2の場合より立体規則性度が98.9%で最も高く現われた。また、4-メチル-1-ペンテンでシクロヘキシルジメトキシシランを加えて温和な条件で前重合した実施例8もまた前重合を行わない比較例及び温度が高くて反応時間が短い実施例7より立体規則性が98.7%で高く現れ、活性と水素反応性及び見かけ密度も向上された。立体規則性は重合されたポリプロピレンの結晶化度を高める。高い結晶化度は樹脂の堅固性を与え、最終製品の強度を向上させる。このような高い立体規則性はポリプロピレンの脆弱点の衝撃強度を補強するためにエチレンと共重合時にポリプロピレンに要求される最も大きな物性である。相まって、分子量分布度もその他の実施例より広げられて加工時にまたは機械的物性側面においてさらに優秀な結果が得られる。このように、温和な条件で前重合すれば触媒塊の速くて激烈な分解が防止されて触媒が調節された粒子(Uniform size)で分解される。従って、触媒の再凝集現状を防止することができて活性及び立体規則度が増加するようになり、均一な触媒粒子によって重合されたポリマーのモーフォロジーが均一になれる。なお、ポリマー粒子の形成時に気孔の増加によって構造的な変化が可能になる。
【0120】
前記実施例3は前重合時に反応温度を25℃に高めて前重合時間を1時間に短くして前重合度を速くしたときの場合である。本重合時、水素反応性がその他の実施例及び比較例より著しく増加する現状がわかる。また、4-メチル-1-ペンテンをモノマーとして用いて同一条件で前重合した場合、実施例5及び6と実施例11及び12からみて、プロピレンで前重合した場合より水素反応性が著しく増加することがわかった。これは商業生産時に水素反応性の限界で高流動性の製品が作られないという短所を解決してくれる。特に、バルクスラリー重合時、反応器の許容圧力限界及び水素の溶解度限界によって催されるポンプの空洞化現状を防止して、少ない水素投入量でも高流動性の重合体が得られるようになる。相まって、実施例3では前重合を行わない比較例及び前重合または重合時にシクロヘキシルジメトキシシランを使用した実施例1及び実施例2の場合より広い分子量分布を見せることが確認できた。
【0121】
前記実施例4は前重合度を実施例3と実施例5との中間領域帯に調節し、重合結果もその中間程度の結果を得た。
【0122】
前記実施例6は前重合時に注入した外部電子供与体の量を増加させる場合、即ちトリエチルアルミニウムとジシクロペンチルジメトキシシランとの割合が0.3になる時の実施例であり、実施例5と比べると本重合時に水素反応性が低くなり、立体規則性度及び分子量分布の向上は現れていない。4-メチル-1-ペンテンをモノマーとして用いて前重合した場合、これと異なる様態を現わした。シクロヘキシルジメトキシシランで前重合した実施例8と9を比べると、外部電子供与体が増加するほど活性と水素反応性が高くなり、立体規則性は低くなることがわかった。また、ジシクロペンチルジメトキシシランで前重合した実施例11と12を比べると、外部電子供与体が増加するほど活性は増加したが、立体規則性と分子量分布度は低くなった。
【0123】
前記実施例1及び実施例2は前重合時または本重合時に外部電子供与体の効果を期待したし、シクロヘキシルジメトキシシランを使用した場合、ジシクロペンチルジメトキシシランを使用した場合より活性、水素反応性、立体規則性の全てが減少した。比較例1と2を比べると、前重合を行った触媒を本重合に用いる場合には本重合反応器で触媒の移送過程中、触媒活性点の小幅減少で活性は小幅で減少したが、ジシクロペンチルジメトキシシランで温度が高く、反応時間を短くして前重合を行った場合、水素反応性を増加させることができ、温和な条件で前重合すれば活性を保持しながらも立体規則性を向上させることができた。この2つの場合全部前重合を行わない比較例の場合より水素反応性、立体規則度、分子量分布、見かけ密度を考慮すればさらに優れる結果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明から提供する前重合方法によると、プロピレン重合時に分子量分布が広くて水素反応性が高い重合体を得ることができるという長所がある。また、本発明から重合したポリプロピレンは低いキシレン抽出物を示し、立体規則性が高くて大きな見かけ密度を有するため、重合工程の生産性を高めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電子供与体の存在下でチーグラーナッタ(Ziegler-Natta)系触媒をオレフィンと前重合させる段階;及び前重合されたチーグラーナッタ系触媒をプロピレンと重合させる段階を含むプロピレンの重合方法。
【請求項2】
前記前重合段階の反応温度は−10℃乃至50℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項3】
前記前重合段階の反応温度は0℃乃至40℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項4】
前記前重合段階の反応時間は0.1乃至10時間であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項5】
前記前重合段階の反応時間は0.5乃至5時間であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項6】
前記チーグラーナッタ系触媒は周期律表の4族、5族、または6族に属する元素を含む転移金属化合物;及び周期律表の12族または13族に属する元素を含む有機金属化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項7】
前記転移金属化合物に対する有機金属化合物のモル比は5乃至50であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項8】
前記転移金属化合物はマグネシウム、チタニウム、ハロゲン元素及び内部電子供与体を含有する固体チタニウム触媒であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項9】
前記有機金属化合物は有機アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項10】
前記有機金属化合物はトリアルキルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウムジアルキル、二ハロゲン化アルミニウムアルキル、水素化ジアルキルアルミニウム、セスキハロゲン化アルキルアルミニウム、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項11】
前記有機金属化合物はAl(C2H5)3、Al(C2H5)2H、Al(C3H7)3、Al(C3H7)2H、Al(i-C4H9)2H、Al(C8H17)3、Al(C12H25)3、Al(C2H5)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)(C12H25)2、Al(i-C4H9)3、(C2H5)2AlCl、(i-C4H9)2AlCl、または(C2H5)3Al2Cl3であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項12】
前記有機金属化合物はAl(C2H5)3及びAl(i-C4H9)3の混合物;Al(C2H17)3、Al(C2H5)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C4H9)2H及びAl(C8H17)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C8H17)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(i-C4H9)3及びAl(C12H25)3の混合物;Al(C2H5)3及びAl(C16H33)3の混合物;Al(C3H7)3及びAl(C18H37)2(i-C4H9)の混合物からなる群から選ばれたことを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項13】
前記転移金属化合物に対する外部電子供与体のモル比は1乃至50であることを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項14】
前記外部電子供与体は置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6乃至30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数5乃至30のシクロアルキル基、及び置換または非置換の炭素原子数1乃至20のアルコキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の官能基を含み、少なくとも1つ以上の酸素原子を含む有機シラン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項15】
前記外部電子供与体はジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、またはフェニルメチルジメトキシシランのような芳香族有機シラン化合物;トリメチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシランのような脂肪族有機シラン化合物;またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項16】
前記前重合段階においてオレフィンを0.02乃至10gオレフィン/g チーグラーナッタ系触媒/時間の速度で投入することを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項17】
前記前重合段階においてオレフィンを0.02乃至6gオレフィン/gチーグラーナッタ系触媒/時間の速度で投入することを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項18】
前記重合段階から得られた重合体の分子量分布度(Mw/Mn)は5.0±0.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項19】
前記重合段階から得られた重合体の立体規則性は99±1%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。
【請求項20】
前記重合段階から得られた重合体の溶融指数(230℃、2.16kg)は4±2g/10分の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの重合方法。

【公表番号】特表2009−529087(P2009−529087A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558174(P2008−558174)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005760
【国際公開番号】WO2007/102652
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】