説明

オレフィン重合体の製造方法

【目的】 分子量分布を制御して、成形性が優れる分子量分布が広いオレフィン重合体を製造する。
【解決手段】遷移金属化合物(a)および粘土を酸、無機塩または有機化合物で処理した変性粘土(b)からなる触媒の存在下、水素を共存させてエチレンを重合または共重合するにおいて、供給されるエチレン量に対する水素のモル比を、回分式重合においては1バッチの重合時間内に、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属化合物、遷移金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物からなる触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合によりポリオレフィンを製造する方法として、カミンスキーらは、メタロセンとメチルアルミノキサンを用いた触媒が、プロピレンを含むオレフィン重合体を製造する際に、高い活性を示すことを特開昭58−19309号公報等に記載している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物を用いない助触媒が検討されてきており、例えば特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報には、特殊なホウ素化合物が有効な助触媒になることが開示されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【0004】
最近、変性粘土、メタロセン化合物、有機アルミニウム化合物からなる触媒系が、例えば特開平H07−224106号公報などに開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
しかし、これらの触媒により製造されたポリマーは、分子量分布が狭く、成形性に劣るという問題があった。
【0006】
そこで、少なくとも2種以上の遷移金属化合物を用いることにより分子量分布を広げる方法が、例えば特開昭60−35008号公報、特開平3−212408号公報等に開示されている。しかし、この方法では、各錯体から得られるポリマーの分子量で、ポリマーの設計が限定されてしまい、また、共重合性や水素添加効果は錯体により異るため、ポリマーの分子量の制御が難しかった(例えば、特許文献5,6参照。)。
【0007】
また、懸濁重合や気相重合において、粒子形状のよいポリマーを得るために、微粒子状担体、2種類の遷移金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物の存在下で予備重合した固体触媒が、例えば特開平4−213305号公報等に開示されているが、これらの固体触媒ではメタロセン化合物の担持量の比で実質的に分子量分布が決まってしまい、同一の固体触媒で任意の分子量分布を持つポリマーを製造することは不可能だった(例えば、特許文献7参照。)。
【0008】
また、多段重合により分子量分布を広げるという方法が、例えば特開平3−234717号公報等に開示されているが、重合プロセスが複雑になり、製造コストが高くなるという問題があった(例えば、特許文献8参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開昭58−19309号公報
【特許文献2】特表平1−501950号公報
【特許文献3】特表平1−502036号公報
【特許文献4】特開平7−224106号公報
【特許文献5】特開昭60−35008号公報
【特許文献6】特開平3−212408号公報
【特許文献7】特開平4−213305号公報
【特許文献8】特開平3−234717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、オレフィンの重合において、その分子量分布を制御しながら、広い分子量分布のオレフィン重合体を簡便な方法で製造することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、遷移金属化合物(a)、該遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)、必要に応じて有機金属化合物(c)からなる触媒の存在下に水素を共存させてオレフィンを重合または共重合するにおいて、重合に供されるオレフィンのうちで供給する量が最も多いオレフィンの供給量に対する水素のモル比を、回分式重合においては1バッチの重合時間内に、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更することにより、複数の錯体を用いた触媒や多段重合などの方法を用いなくても、任意の分子量分布を持つオレフィン重合体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、遷移金属化合物(a)、該遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)、必要に応じて有機金属化合物(c)を接触させて得られる触媒の存在下にオレフィンを重合または共重合するにおいて、重合に供されるオレフィンと水素のモル比を重合中に少なくとも1回以上変えて、オレフィンを重合または共重合するオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】
遷移金属化合物(a)としては、下記一般式(1)もしくは(2)
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Yは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、R,Rは各々独立して下記一般式(3)、(4)、(5)または(6)
【0017】
【化3】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、R,Rは各々独立して下記一般式(7)、(8)、(9)または(10)
【0018】
【化4】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、Rは下記一般式(11)または(12)
【0019】
【化5】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)で表され、RおよびRを架橋するように作用しており、mは1〜5の整数である。]で表される周期表第4族の遷移金属化合物、または、下記一般式(13)、(14)、(15)もしくは(16)
【0020】
【化6】

[式中、Mは各々独立してチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Zは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、Lはルイス塩基であり、qは0〜3であり、JRp−1,JRp−2はヘテロ原子配位子であり、Jは配位数が3である周期表第15族の元素または配位数が2である周期表第16族の元素であり、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アルキルアリール基もしくはアルキルアリールオキシ基であり、pは元素Jの配位数であり、R10は下記一般式(17)、(18)、(19)または(20)
【0021】
【化7】

(式中、R13は各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、R12は下記一般式(21)、(22)、(23)または(24)
【0022】
【化8】

(式中、R14は各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、R11は下記一般式(25)または(26)
【0023】
【化9】

(式中、R15は各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)で表され、R12およびJRp−2を架橋するように作用しており、rは1〜5の整数である。]で表される周期表第4族の遷移金属化合物であることが好適である。
【0024】
前記一般式(1)または(2)で表される化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、メチレンビス(ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、メチレンビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、メチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、メチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロライド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロライド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)チタニウムジクロライド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス (4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ
メチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス (2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド等のジクロル体、および上記周期表第4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示することができる。
【0025】
前記一般式(13)、(14)、(15)または(16)で表される化合物としては、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルホスフィノチタニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−n−ブトキシドチタニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルホスフィノジルコニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−n−ブトキシドジルコニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルホスフィノハフニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−ジ−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル−n−ブトキシドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチル−シクロペンタジエニル−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルトリメチルシリルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルフェニルアミドチタニウムジクロライド、メチルフェニルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−メトキシフェニルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチルシクロペンタジエニル−2,5−ジ−t−ブチル−フェニルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルインデニル−t−ブチルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルフルオレニルシクロヘキシルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドチタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチル−シクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシリルトリメチルシランジイルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルフェニルアミドジルコニウムジクロライド、メチルフェニルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−メトキシフェニルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチルシクロペンタジエニル−2,5−ジ−t−ブチル−フェニルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルインデニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルフルオレニルシクロヘキシルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミドジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチル−シクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルトリメチルシリルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルフェニルアミドハフニウムジクロライド、メチルフェニルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−メトキシフェニルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル−t−ブチルシクロペンタジエニル−2,5−ジ−t−ブチル−フェニルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルインデニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロヘキシルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルフルオレニルシクロヘキシルアミドハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルテトラメチルシクロペンタジエニルシクロドデシルアミハフニウムジクロライド等のジクロル体、および上記周期表第4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示することができる。
【0026】
次に、遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)について説明する。化合物(b)は、遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物であれば特に限定はないが、粘土を酸、無機塩または有機化合物で処理した変性粘土、有機アルミニウムオキシ化合物、プロトン酸、ルイス酸、イオン化イオン性化合物、ルイス酸性化合物等を例示することができる。
【0027】
粘土を酸、無機塩または有機化合物で処理した変性粘土の調製に用いられる粘土とは、微結晶状のケイ酸塩を主成分とする微粒子である。粘土の大部分は、その構造上の特色として層状構造を成している粘土鉱物を含有しており、その層の中に種々の大きさの負電荷を有している。これらの粘土鉱物は、一般に層電荷の大きさで、パイロフィライト、カオリナイト、ディッカイトおよびタルク群(化学式あたりの負電荷がおよそ0)、スメクタイト群(負電荷が0.25〜0.6)、バーミキュライト群(負電荷が0.6〜0.9)、雲母群(およそ1)、脆雲母群(およそ2)に分類されている。ここで示した各群には、それぞれ種々の鉱物が含まれるが、例えばスメクタイトに属する粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。また、これらの粘土鉱物は天然に存在するが、人工合成により不純物の少ないものを得ることができる。本発明においては、ここに示した天然の粘土および人工合成により得られる粘土のすべてが使用可能であり、また、上記に例示がないものでも粘土の定義に属するものはすべて用いることができる。
【0028】
本発明の変性粘土(b)の調製に用いられる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の変性粘土(b)の調製に用いられる無機塩としては、周期表第2族〜第14族の原子からなる群から選ばれた原子の金属カチオンを含むフッ化物、塩化物、シュウ化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の変性粘土(b)の調製に用いられる有機化合物は、次の一般式(28)
[C][A] (28)
で示すことができる。但し、式中[C]はカチオンであり、構成成分として少なくとも1つの炭素原子を含むカチオンである有機カチオンもしくは有機金属カチオンである。
【0031】
有機カチオンのうち、活性プロトンを含有するものとして、以下の一般式(29)で示される元素の孤立電子対にプロトンが配位してなるオニウム化合物が挙げられる。
【0032】
[R17H] (29)
[式中、Zは周期表の第15族または第16族から選ばれる元素であり、具体的には、Zが窒素であるアンモニウム化合物、リン原子であるホスホニウム化合物、酸素原子であるオキソニウム化合物またはイオウ原子であるスルホニウム化合物である。R17は同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基である。具体的な炭化水素基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル等の炭素数1〜20のアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル等の炭素数1〜20のアルケニル基;フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜20のアリール基、ベンジル、フェニルエチルなどの炭素数7〜20のアリールアルキル基が例示される。少なくとも1つのR17は炭素数1〜20の炭化水素基であり、各々のR17は互いに結合していてもよい。Zが第15族の時にはt=3であり、Zが第16族の時にはt=2である。]有機カチオンのうち、活性プロトンを含有せず、環構造を有しないものは、一般式(30)
[R18 (30)
[式中、Zは周期表の第14族から選ばれる元素であり、R18は炭素数1〜20の炭化水素基である。]で示される。Zが炭素である場合(カルボニウムカチオン)は、具体的にはエタンカチオン、トリフェニルカルベニウムカチオン等が例示される。
【0033】
また、活性プロトンを含有せず、環構造を有するカチオンとしては、ベンゼニウムカチオン、トロピリウムカチオン等の芳香族カチオンが例示される。
【0034】
有機金属カチオンとしては、具体的にはフェロセニウムカチオン等が例示される。
【0035】
一方、[A]は対アニオンであり、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲン化イオンあるいは硫酸イオン、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート等の無機アニオンが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
上記のうち、[C]が活性プロトンを有し、Zが窒素元素、[A]が塩素イオンのものに関して具体的には、メチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、プロピルアミン塩酸塩、イソプロピルアミン塩酸塩、ブチルアミン塩酸塩、ヘキシルアミン塩酸塩、デシルアミン塩酸塩、ドデシルアミ酸塩、アリルアミン塩酸塩、シクロペンチルアミン塩酸塩、シクロヘキシルアミン塩酸塩等の脂肪族第一アミンの塩酸塩;ジメチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、ジアミルアミン塩酸塩、ジデシルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩等の脂肪族第二アミンの塩酸塩;トリメチルアミン塩酸塩、トリブチルアミン塩酸塩、トリアミルアミン塩酸塩、トリアリルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルウンデシルアミン塩酸塩等の脂肪族第三アミン塩酸塩;アニリン塩酸塩、N−メチルアニリン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩、N−エチルアニリン塩酸塩、N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、N―アリルアニリン塩酸塩、o−トルイジン塩酸塩、m−トルイジン塩酸塩、p−トルイジン塩酸塩、N−メチル−o−トルイジン塩酸塩、N−メチル−p−トルイジン塩酸塩、N,N−ジメチル−o−トルイジン塩酸塩、N,N−ジメチル−m−トルイジン塩酸塩、N,N−ジメチル−p−トルイジン塩酸塩、ベンジルアミン塩酸塩、ジベンジルアミン塩酸塩、トリベンジルアミン塩酸塩、N−ベンジル−N−エチルアニリン塩酸塩、ジフェニルアミン塩酸塩、α−ナフチルアミン塩酸塩、β−ナフチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン塩酸塩、o−アニシジン塩酸塩、m−アニシジン塩酸塩、p−アニシジン塩酸塩、N,N−2,6−テトラメチルアニリン塩酸塩、N,N−3,5−テトラメチルアニリン塩酸塩、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン塩酸塩、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン塩酸塩等の芳香族アミンの塩酸塩、あるいは上記のアンモニウム化合物の[A]が塩素イオンに代わってフッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンまたは硫酸イオン等で示されるアミン化合物のフッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩または硫酸塩が例示されるが、これらに限定されるものではない。Zがリン元素、[A]が臭素イオンのものに関して、具体的にはトリフェニルホスフィンヒドロブロマイド、トリ(o−トリル)ホスフィンヒドロブロマイド、トリ(p−トリル)ホスフィンヒドロブロマイド、トリ(メシチル)ホスフィンヒドロブロマイド等のホスホニウム化合物が例示できるが、これらに限定されるものではない。Zが酸素元素、[A]が塩素イオンのものに関して、具体的にはメチルエーテルの塩酸塩、エチルエーテルの塩酸塩、フェニルエーテルの塩酸塩等のオキソニウム化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。その他に、Zがイオウ元素で表されるスルホニウム化合物が例示される。
【0037】
上記有機化合物のうち、[C]が活性プロトンを含有しないものに関して、具体例としてブロモトリフェニルメタン、クロロトリフェニルメタン、トロピリウムブロマイド等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
有機金属化合物としては、フェロセニウム硫酸塩、フェロセニウムヘキサフルオルフォスフェート、フェロセニウムテトラフェニルボレート等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
上記の粘土を有機化合物で処理し、変性粘土を調製する方法に特に制限はないが、例えば特開平7−224106号公報に記載の方法を例示することができる。
【0040】
有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンまたはアルミノキサンをさらに水で反応させたものであり、2種以上の混合物として使用してもよい。アルミノキサンのアルミニウムの置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。オリゴマー度は4〜60である。この種の化合物の製法は公知であり、例えば、結晶水を含有する塩類(硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等)の炭化水素媒体懸濁液にアルミニウム化合物を添加して反応させる方法を例示することができる。
【0041】
また、本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、環状および直鎖状の形態が考えられ、一般式(31)または(32)で示される。
【0042】
【化10】

【0043】
【化11】

[式中、tは2以上の整数であり、R19は同一でも異なっていてもよく、炭化水素基、アルキルアミノ基、メトキシ基であり、少なくとも1つのR19は炭素数1〜20の炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基等を例示することができる。]プロトン酸は、下記一般式(33)
[HL][M20] (33)
[式中、Hはプロトンであり、Lは各々独立してルイス塩基であり、uは0<u≦2であり、Mはホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、R20は各々独立して炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。]で表される化合物である。
【0044】
ルイス酸は、下記一般式(34)
[C][M20] (34)
[式中、Cはカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンであり、Mはホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、R20は各々独立して炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。]で表される化合物である。
【0045】
イオン化イオン性化合物は、下記一般式(35)
[M][M20] (35)
[式中、Mは周期表第1族、第2族、第8族〜第12族から選ばれる金属のカチオンであり、Lはルイス塩基またはシクロペンタジエニル基であり、vは0≦v≦2であり、Mはホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、R20は各々独立して炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。]で表される化合物である。
【0046】
ルイス酸性化合物は、下記一般式(36)
[M20] (36)
[式中、Mはホウ素原子、アルミニウム原子またはガリウム原子であり、R20は各々独立して炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。]で表される化合物である。
【0047】
一般式(33)で表されるプロトン酸の具体例として、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ−n−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリ−n−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
一般式(34)で表されるルイス酸として、具体的にはトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
一般式(35)で表されるイオン化イオン性化合物として、具体的にはリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のリチウム塩、またはそのエーテル錯体、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のフェロセニウム塩、シルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シルバーテトラキス(ペンタフルオレフェニル)アルミネート等の銀塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
一般式(36)で表されるルイス酸性化合物の具体的な例として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフェニルフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
さらに、本発明において用いられる有機金属化合物(c)は、特に限定されるものではないが、下記一般式(27)
16 (27)
[式中、Mは周期表第2族、第12族または第13族から選ばれる原子であり、R16は各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アルキルアリール基もしくはアルキルアリールオキシ基であり、少なくとも1つのR16は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリールアルキル基である。sはMの価数に相当する。]で表される有機金属化合物が例示される。
【0052】
前記一般式(27)で表される化合物としては、例えばM5がアルミニウムの場合、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリアミルアルミニウム、ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムエトキサイド、ジ−n−プロピルアルミニウムエトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイド、ジ−n−ブチルアルミニウムエトキサイド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
【0053】
本発明に使用される触媒は、上述した遷移金属化合物(a)、該遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)および必要に応じて有機金属化合物(c)から構成されるが、これらの接触方法あるいは接触順序は特に限定されない。
【0054】
さらに、本発明の触媒を合成するにあたり、遷移金属化合物(a)と該遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)および有機金属化合物(c)の使用量、使用量の比も特に制限されないが、遷移金属化合物(a)が反応するのに十分な量のカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物(b)を加えることが好ましい。
【0055】
本発明の方法を用いれば、遷移金属化合物(a)は1種類でも分子量分布の広いポリマーを製造することができるが、複数の遷移金属化合物を用いることも可能である。また、上述した遷移金属化合物(a)と反応してカチオン性遷移金属化合物(b)を生成させる化合物は、1種類を単独で使用しても、複数種類を混合して使用してもよく、有機金属化合物(c)も1種類を単独で使用しても、複数種類を混合して使用してもよい。
【0056】
また、触媒調製に用いる反応溶媒としては、一般に用いられる有機溶剤として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、エーテル化合物およびハロゲン含有化合物等を使用することが可能である。この中で、特に芳香族炭化水素化合物、ハロゲン含有化合物等を用いると触媒あたりの重合活性が向上する。脂肪族炭化水素化合物として具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等を例示することができ、芳香族炭化水素化合物として具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等を例示することができ、エーテル化合物として具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を例示することができる。また、ハロゲン含有化合物としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2ージクロロエタン、クロロベンゼン等を例示することができる。
【0057】
以上により本発明に用いる触媒が得られるが、これらの触媒成分の一部もしくは全部を無機または有機の微粒子担体に担持してもよい。無機の微粒子担体としては、無機酸化物、無機ハロゲン化物等を例示することができる。具体的な無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、マグネシア等の典型元素の無機酸化物、チタニア、ジルコニア等の遷移金属元素の無機酸化物およびシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、ゼオライト、粘土、イオン交換性層状化合物等の複合酸化物を例示することができる。また、無機ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン等を例示することができる。さらに有機の担体としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはその共重合体、シリコーン樹脂またはイオン交換樹脂等を例示することができる。これらの担体に触媒成分を担持させる担持方法に特に制限はないが、化学結合で触媒成分を担体に結合させる方法、化学吸着もしくは物理吸着させる方法またはオレフィン等を予備重合させて担持させる方法等を例示することができる。
【0058】
本発明の重合反応に用られるオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン等の共役および非共役ジエン、スチレン、シクロブテン等の環状オレフィンであり、これらの成分のうち、2種以上の混合成分を重合することもできる。
【0059】
また、本発明のオレフィン重合は液相でも気相でも行うことができる。このうち重合を液相で行う場合の溶媒としては、一般に用いられる有機溶剤であればいずれでもよく、具体的にはプロパン、ペンタン、ヘキサン、イソブタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン等、またはオレフィンそれ自身を溶媒として用いることもできる。さらに、重合温度は特に制限はないが、−100〜300℃の範囲で行うことが好ましい。
【0060】
本発明のオレフィン重合において水素を供給する方法は、予めオレフィンと混合して混合ガスとして重合器に供給してもよく、また、オレフィンとは別のラインから単独で供給してもよい。この時、重合器に供給するオレフィンのうち、供給する量が最も多いオレフィンの供給量に対する水素のモル比(以下、水素/オレフィン比と略する)を、回分式重合においては1バッチの重合中、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更することにより、分子量分布の広いポリマーを製造することができる。重合器へ供給する水素/オレフィン比に特に制限はないが、各々の段階でのオレフィンに対する水素のモル比を0〜10mol/mol、より好ましくは0〜0.1mol/molの範囲で選択すると、適度な分子量のポリマーが高い重合活性で製造でき、好ましい。
【0061】
重合器へ供給する水素/オレフィン比を、回分式重合においては1バッチの重合時間内に、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更するとは、例えば次のような操作である。
【0062】
(イ)重合器へ供給する水素/オレフィン比を、回分式では重合時間内(τ)に、連続式では平均滞留時間内(τ)に1回変更するとは、最初に高い水素濃度比で水素とオレフィンを供給し、ある時間(t)が経過した後、低い水素濃度比で水素とオレフィンをt時間供給することである。ここで、τ=t+tであり、t,tは等しくても異なってもよい。
【0063】
(ロ)重合器へ供給する水素/オレフィン比を、回分式では重合時間内(τ)に、連続式では平均滞留時間内(τ)に2回変更するとは、例えば最初に高い水素濃度比で水素とオレフィンを供給し、ある時間(t)が経過した後、低い水素濃度比で水素とオレフィンを供給し 、ある時間(t)が経過した後に元の高い水素濃度比に戻すような操作を意味する。ここで、t,tは等しくても異なってもよい。
【0064】
(ハ)さらに、このような操作を繰り返すことにより、3回以上変更を行ったり、また、別の濃度に変更したりすることもできる。
【0065】
水素/オレフィン比の変更は、規則的な操作、不規則操作、連続的な操作でもよい。
【0066】
このように、平均重合時間内に水素/オレフィン比を変えることにより、分子量分布を任意に調節することが可能となる。また、各水素濃度での重合時間(t)は特に制限もなく、所望の分子量分布の重合体を製造するために自由に選択できるが、重合器内の水素濃度が定常状態での水素濃度にほぼ等しくなる時間以上の時間であることが望ましい。tが定常状態にほぼ等しくなる時間以下であると、生成する重合体の分子量分布を十分に広くする点で本発明の効果を十分に発揮できない。この定常状態での水素濃度にほぼ等しくなる時間は、触媒、重合プロセス、選択された水素濃度および重合条件等に依存する。水素/オレフィン比を変える操作の回数は、特に制限はない。
【0067】
また、連続重合プロセス等で、複数の導入口からモノマーや水素を導入できる場合、その導入口ごとに供給する水素/モノマー比を変えることにより、重合時間内に供給する水素とモノマーの比を変えることも可能である。また、2つ以上の重合器を連結させた多段重合法と組み合わせることにより、組成分布の制御も含めた、さらに多種多様なオレフィン重合体の製造が可能になる。
【発明の効果】
【0068】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、複数の錯体を用いたり、多段重合などの方法を用いなくても、成形性に優れる分子量分布の広いオレフィン重合体を製造することができる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0070】
なお、重合操作、反応および溶媒精製は、すべて不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応に用いた溶媒等は、すべて予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。さらに、反応に用いた化合物は、公知の方法により合成、同定したものを用いた。
【0071】
また、溶融指数(MI)は、ASTM D1238条件Eに準ずる方法にて測定を行った。
【0072】
実施例1
[触媒の調製]
100mlのガラス製容器に、200℃で焼成したシリカ(商品名CARiACT Q−30、富士シリシア化学社製)2g、トルエン30mlを加え、その後トリイソブチルアルミニウム10mmolのトルエン溶液12mlを加え、室温で3時間攪拌した。この上澄み液を除去した後、トルエンで洗浄した。
【0073】
上記のスラリーに、メチルアルミノオキサン(商品名PMAO−S、東ソーアクゾ社製)をアルミニウム換算で10mmol加え、70℃で3時間攪拌した。この上澄み液を除去した後、トルエンで洗浄した。このスラリーに、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド170μmol、[PhNMeH][B(C] 200μmol、トルエン70mlを加え、室温で2時間攪拌した。この触媒をヘキサンで洗浄した後、ヘキサンで希釈し80mlのスラリーとした。
【0074】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー2ml(触媒50mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これにエチレン分圧を6kgf/cmに保つように導入し、80℃の温度で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で3600ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレンとエチレン/水素混合ガスで切り替えながら90分重合した。重合を開始してから45分後(エチレンガスに切り替えてから15分経過後)の水素濃度は220ppm、60分後(水素/エチレン混合ガスに切り替えてから15分経過後)の水素濃度は454ppm、90分後(水素/エチレン混合ガスに切り替えてから15分経過後)の水素濃度は494ppmだった。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、27gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.3g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.2×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は3.9だった。
【0075】
比較例1
[重合]
実施例1において、エチレンガスをその分圧を6kgf/cmに保つように導入し、導入ガスの切替をしなかったこと以外は、実施例1と同様に90分重合した。この結果、87gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは0.054g/10分、重量平均分子量(Mw)は2.1×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.2だった。
【0076】
実施例2
[触媒の調製]
実施例1において、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドの代わりにエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いたこと以外は実施例1と同様に触媒を調製した。
【0077】
[重合]
実施例1において、上記で合成した触媒のスラリー2ml(触媒50mgに相当する)を用いた以外は実施例1と同様に重合した。この結果、31gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは1.9g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.3×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は3.7だった。
【0078】
比較例2
[重合]
実施例2において、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、導入ガスの切り替えをしなかったこと以外は実施例2と同様に90分重合した。この結果、51gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは1.1g/10分、重量平均分子量(Mw)は1.0×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.3だった。
【0079】
実施例3
[触媒の調製]
100mlのガラス製容器に、200℃で焼成したシリカ(商品名CARiACT Q−30、富士シリシア化学社製)2g、トルエン30mlを加え、その後、トリイソブチルアルミニウム10mmolのトルエン溶液12mlを加え、室温で3時間攪拌した。この上澄み液を除去した後、トルエンで洗浄した。
【0080】
上記のスラリーに、メチルアルミノオキサン(商品名PMAO−S、東ソーアクゾ社製)をアルミニウム換算で10mmol加え、70℃で3時間攪拌した。この上澄み液を除去した後、トルエンで洗浄した。このスラリーに、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド170μmol、トルエン70mlを加え、室温で2時間攪拌した。この触媒をヘキサンで洗浄した後、ヘキサンで希釈し80mlのスラリーとした。
【0081】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー4ml(触媒100mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これにエチレン分圧を6kgf/cm2に保つように導入し、80℃の温度で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で3600ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレンとエチレン/水素混合ガスで切り替えながら90分重合した。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、21gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは1.8g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.4×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は3.8だった。
【0082】
比較例3
[重合]
実施例3において、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、導入ガスの切り替えをしなかったこと以外は実施例3と同様に90分重合した。この結果、54gの粒子状ポリマーを得た。得られたポリマーのMIは0.052g/10分、重量平均分子量(Mw)は2.2×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.1だった。
【0083】
実施例4
[変性粘土の調製]
ジメチルアニリニウム塩酸塩(Me2PhNHCl)69gを300mlの水に加え、これをヘクトライト(商品名ラポナイトRD、日本シリカ工業株式会社より購入)300gが入った水3lに加えた。この上澄液を除去した後、水、エタノール(商品名エキネンF−3、日本化成品株式会社製)で洗浄した。その後減圧乾燥し、変性粘土を得た。
【0084】
[触媒の調製]
300mlのガラス製容器に、上記で合成した変性粘土5g、トルエン45mlを加え、その後トリイソブチルアルミニウム20mmol、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド200μmolのトルエン溶液10mlを加え、18時間撹拌した。上澄液を除去した後、ヘキサンを加え、500mlのスラリーとした。得られた触媒の一部を採取し、減圧乾燥し、触媒中のZrを分析したところ0.26wt%だった。
【0085】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3ml(触媒30mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これに、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、80℃の温度で35分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で1300ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、35分重合した。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、61gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは1.3g/10分、重量平均分子量(Mw)は10.8×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は4.9だった。
【0086】
比較例4
[重合]
実施例4において、エチレンに対するモル比で750ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、導入ガスの切り替えをしなかったこと以外は実施例4と同様に50分重合した。この結果、65gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは5.4g/10分、重量平均分子量(Mw)は7.7×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.8だった。
【0087】
比較例5
[重合]
実施例4において、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、導入ガスの切り替えをしなかったこと以外は実施例4と同様に50分重合した。この結果、75gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは0.28g/10分、重量平均分子量(Mw)は16×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.3だった。
【0088】
実施例5
[重合]
実施例4において、エチレンに対するモル比で2500ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、30分重合した後、導入ガスをエチレンガスに切り替え、30分重合したこと以外は実施例4と同様に重合した。エチレン/水素混合ガスで30分重合した時点でのオートクレーブのガス側の水素濃度は354ppmだった。これに対し、その後、エチレン単独ガスを導入し、30分重合した後の水素濃度は64ppmに減少していた。この結果、50gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.8g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.9×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は5.1だった。
【0089】
実施例6
[重合]
実施例4において、エチレンに対するモル比で3600ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、30分重合した後、導入ガスをエチレンガスに切り替え、60分重合したこと以外は実施例4と同様に重合した。エチレン/水素混合ガスで30分重合した時点でのオートクレーブのガス側の水素濃度は550ppmだった。これに対し、その後、エチレン単独ガスを導入し、30分重合した後の水素濃度は55ppmに減少していた。この結果、67gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.3g/10分、重量平均分子量(Mw)は8.7×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は6.2だった。得られたポリマーのGPCによる分子量分布を図1に示す。
【0090】
実施例7
[重合]
実施例6において、導入ガスをエチレンガスに切り替えた後の重合時間を30分とした以外は実施例6と同様に重合した。この結果、44gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは6.6g/10分、重量平均分子量(Mw)は6.9×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は6.7だった。得られたポリマーのGPCによる分子量分布を図2に示す。図1に比べて、高分子量成分の割合が低くなっている。
【0091】
実施例8
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、実施例4の[触媒の調製]で合成した触媒のスラリー3ml(触媒30mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これに、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、80℃の温度で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で3400ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレンとエチレン/水素混合ガスで切り替えながら90分重合した。重合を開始してから45分後(エチレンガスに切り替えてから15分経過後)の水素濃度は220ppm、90分後(水素/エチレン混合ガスに切り替えてから15分経過後)の水素濃度は318ppmだった。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、66gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは4.3g/10分、重量平均分子量(Mw)は7.8×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は5.4だった。
【0092】
実施例9
[触媒の調製]
実施例4において、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドの代わりにエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドを用いた以外は実施例4と同様に触媒を調製した。
【0093】
[重合]2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3ml(触媒30mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これに、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、80℃の温度で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で2700ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレンとエチレン/水素混合ガスで切り替えながら90分重合した。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、113gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.9g/10分、重量平均分子量(Mw)は8.1×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は3.8だった。
【0094】
実施例10
[触媒の調製]
実施例4において、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドの代わりにジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを用いた以外は実施例4と同様に触媒を調製した。
【0095】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3ml(触媒30mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム2mmolを加えた。これに、エチレンの分圧を6kgf/cmに保つように導入し、80℃の温度で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに対するモル比で3800ppmに相当する水素を含むエチレン/水素混合ガスに切り替え、その分圧を6kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレンとエチレン/水素混合ガスで切り替えながら90分重合した。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、62gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは0.07g/10分、重量平均分子量(Mw)は20.8×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は7.7だった。
【0096】
比較例6
[触媒の調製]
攪拌装置を備えた1.6lのオートクレーブに、n−ブタノール 70g(0.94モル)を入れ、これにヨウ素0.55g、金属マグネシウム粉末11g(0.45モル)およびチタンテトラブトキシド61g(0.18モル)を加え、さらにヘキサン450mlを加えた後80℃まで昇温し、発生する水素ガスを除去しながら窒素シール下で1時間攪拌した。引き続き120℃まで昇温して1時間反応を行い、Mg−Ti溶液を得た。
【0097】
内容積500mlのフラスコに、Mg−Ti溶液のMg換算0.048モルを加え、45℃に昇温してジエチルアルミニウムクロライド(0.048モル)のヘキサン溶液を1時間かけて加えた。すべてを加えた後、60℃で1時間攪拌した。次に、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度約30センチストークス)2.8ml(ケイ素0.12グラム原子)を加え、環流下に1時間反応させた。45℃に冷却後、イソブチルアルミニウムジクロライドの50%ヘキサン溶液54mlを2時間かけて加えた。すべてを加えた後、70℃で1時間攪拌を行った。生成物にヘキサンを加え、傾斜法で15回洗浄を行った。かくして、へキサンに懸濁した固体触媒成分のスラリー(触媒成分9.5gを含む)を得た。その一部を採取し、上澄液を除去して窒素雰囲気下で乾燥し、元素分析したところTiは9.0重量%であった。
【0098】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3.6ml(触媒10mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを加えた。これに水素、エチレンを全圧が10kgf/cmになるように導入した(オートクレーブのガス相の水素濃度は21vol%となった)。その後、水素濃度が1%のエチレン/水素混合ガスを全圧が10kgf/cmに保たれるように導入し、80℃で15分重合した。その後、導入ガスをエチレンに切り替え、その全圧を10kgf/cmに保つように導入し、15分重合した。その後、同様に、15分ごとに導入ガスをエチレン/水素混合ガスとエチレンで切り替えながら90分重合した。重合開始後30分の水素濃度が21vol%、45分の水素濃度が22vol%、60分の水素濃度が21vol%、重合終了時の水素濃度は21vol%とほとんど変化しなかった。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、105gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.4g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.3×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は5.0だった。
【0099】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3.6ml(触媒10mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを加えた。これに水素、エチレンを全圧が10kgf/cmになるように導入した(オートクレーブのガス相の水素濃度は23vol%となった)。その後、エチレンガスを全圧が10kgf/cmに保たれるように導入し、80℃で90分重合した。重合開始後25分の水素濃度が21vol%、60分の水素濃度が18vol%、重合終了時の水素濃度は18vol%だった。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、110gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは2.0g/10分、重量平均分子量(Mw)は9.3×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は5.7だった。
【0100】
[重合]
2lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、ヘキサン1.1lを加え、次に、上記で合成した触媒のスラリー3.6ml(触媒10mgに相当する)、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを加えた。これに水素、エチレンを全圧が10kgf/cmになるように導入した(オートクレーブのガス相の水素濃度は25vol%となった)。その後、水素濃度が0.6vol%のエチレン/水素混合ガスを全圧が10kgf/cmに保たれるように導入し、80℃で90分重合した。重合開始後30分の水素濃度が25vol%、60分の水素濃度が24vol%、重合終了時の水素濃度は24vol%だった。エタノールを投入し、重合を停止させた後、未反応のエチレンを除去し、64gの粒子状のポリマーを得た。得られたポリマーのMIは6.2g/10分、重量平均分子量(Mw)は7.0×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は5.4だった。
【0101】
本比較例において、重合時の水素濃度に変更を加えたが、どの条件においても重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)に大きな違いが観られず、分子量の調整を行うことがほとんどできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施例6で得られたポリマーのGPCによる分子量分布である。
【図2】実施例7で得られたポリマーのGPCによる分子量分布である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属化合物(a)および粘土を酸、無機塩または有機化合物で処理した変性粘土(b)からなる触媒の存在下、水素を共存させてエチレンを重合または共重合するにおいて、遷移金属化合物(a)が、下記一般式(1)
【化1】

または下記一般式(2)
【化2】

[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Yは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、R,Rは各々独立して下記一般式(3)、(4)、(5)または(6)
【化3】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、R,Rは各々独立して下記一般式(7)、(8)、(9)または(10)
【化4】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、Rは下記一般式(11)または(12)
【化5】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)で表され、RおよびRを架橋するように作用しており、mは1〜5の整数である。]
で表される周期表第4族の遷移金属化合物であり、
重合に供されるエチレン量に対する水素のモル比を、回分式重合においては1バッチの重合時間内に、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更することを特徴とするエチレン重合体の製造方法。
【請求項2】
遷移金属化合物(a)、粘土を酸、無機塩または有機化合物で処理した変性粘土(b)および有機金属化合物(c)からなる触媒の存在下、水素を共存させてエチレンを重合または共重合するにおいて、遷移金属化合物(a)が、下記一般式(1)
【化6】

または下記一般式(2)
【化7】

[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Yは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、R,Rは各々独立して下記一般式(3)、(4)、(5)または(6)
【化8】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、R,Rは各々独立して下記一般式(7)、(8)、(9)または(10)
【化9】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基である。)で表される配位子であり、該配位子はMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、Rは下記一般式(11)または(12)
【化10】

(式中、Rは各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールアルキル基もしくはアルキルアリール基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
で表され、RおよびRを架橋するように作用しており、mは1〜5の整数である。]
で表される周期表第4族の遷移金属化合物であり、
重合に供されるエチレン量に対する水素のモル比を、回分式重合においては1バッチの重合時間内に、連続式重合においては平均滞留時間内に、少なくとも1回以上変更することを特徴とするエチレン重合体の製造方法。
【請求項3】
有機金属化合物(c)が、下記一般式(27)
16 (27)
[式中、Mは周期表第2族、第12族または第13族から選ばれる原子であり、R16は各々独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基、または炭素数6〜20のアリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アルキルアリール基もしくはアルキルアリールオキシ基であり、sは元素Mの価数に相当する。]で表される有機金属化合物であることを特徴とする請求項2に記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項4】
重合器内の水素濃度が、最も低いときの濃度が最も高いときの濃度の18%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン重合体の製造方法。
【請求項5】
直鎖状、分岐状および/または環状のオレフィンを溶液状態、懸濁状態または気相状態で、−60〜280℃の温度、0.5〜2000kgf/cmの圧力下で、重合または共重合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン重合体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−121027(P2008−121027A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30942(P2008−30942)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【分割の表示】特願平10−165388の分割
【原出願日】平成10年6月12日(1998.6.12)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】