説明

オレフィン重合用触媒、およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】オレフィン重合体を高活性で製造し得るオレフィン重合用触媒、および前記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)と、周期律表第12族の元素を含む活性化用助触媒成分(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
成分(A):下記一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウム錯体を用いたオレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーグラ・ナッタ型マグネシウム担持高活性チタン触媒により大いに発展したオレフィン重合の化学において、近年、メタロセン触媒の開発がトピックスの一つである。さらに、最近ではさらなる精密な重合プロセスを構築するための触媒として、所謂ポストメタロセン系触媒の開発が注目されている。
【0003】
オレフィンの重合においては、製造コストの改善や、製造されるオレフィン重合体内に含まれる触媒成分に由来する灰分比率を減少させるという点から、オレフィン重合用触媒が高い活性を示すことが望ましい。
【0004】
特許文献1では、エタン-1,2-ジチオールから誘導されるジフェノキシチタン錯体、ジルコニム錯体またはハフニウム錯体を用いたプロピレン重合が報告されている。
【0005】
一方、trans-シクロオクタン-1,2-ジチオールから誘導されるジフェノキシチタン錯体、ジルコニウム錯体及びハフニウム錯体が報告され(非特許文献1)、さらにこれらの錯体のうち、ジルコニウム錯体を触媒とした1−ヘキセンの重合が報告されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】戸田ら、第58回錯体化学討論会、講演要旨集1Ab−07、2008年9月20日
【非特許文献2】Journal of American Chemical Society, 2009, Volume 131,13566-13567
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007/075299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の方法は、オレフィン重合体を高い活性で得るという観点で未だ満足できるものではない。
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン重合体を高活性で製造し得るオレフィン重合用触媒、および前記オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、下記成分(A)と、周期律表第12族の元素を含む活性化用助触媒成分(B)(以下、「成分(B)」と記載することがある)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒に係るものである。
成分(A):下記一般式(1−1)または一般式(1−2)で表される錯体


(式中、nは1または2であり、
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。
およびRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
または、置換シリル基を表す。
〜RおよびR〜R10は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜R10における上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基および上記ヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよび/またはRとR10はそれぞれ相互に連結して環を形成してもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。
Xは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
Xにおける上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基および上記アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。
隣接するX同士は、相互に連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。)
【0010】
また、本発明は上記重合用触媒の存在下にオレフィンを重合させるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オレフィン重合体を生産性よく製造することができる。また、本発明によれば、α−オレフィンの重合においては、立体規則性の高いα−オレフィン重合体を生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(1−1)および(1−2)で表される錯体について説明する。

【0013】
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。高分子量のポリオレフィンを製造するという観点から、ハフニウム原子が好ましい。
【0014】
nは1または2であり、好ましくは2である。
【0015】
およびRとして好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基または、
置換シリル基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
置換シリル基であり、
とRの特に好ましい形態は、RとRが同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
または置換シリル基である。
【0016】
およびR10として好ましくは、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
置換シリル基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、
とR10の特に好ましい形態は、RとR10が同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
【0017】
〜RおよびR〜Rとして好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基であり、
より好ましくは、それぞれ独立して
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基である。
、R、RおよびRとして、さらに好ましくは、水素原子である。
およびRとしてさらに好ましくは、それぞれ独立して
炭素原子数1〜20のアルキル基
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基である。
およびRとして特に好ましい形態は、RとRとが同一であって、
炭素原子数1〜20のアルキル基
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基であり、
最も好ましくは、
炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【0018】
〜R10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロ−tert−ペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基が挙げられる。
【0019】
、R、RおよびR10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルキル基として好ましくは、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、
より好ましくは、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、
さらに好ましくは、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、テキシル基などの炭素原子数4〜10の第3級アルキル基である。
最も好ましくは、tert−ペンチル基、テキシル基などの炭素原子数5〜10の第3級アルキル基である。
【0020】
〜RおよびR〜Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基として好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、ネオヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、
より好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などの炭素原子数1〜8のアルキル基であり、
さらに好ましくは、パーフルオロメチル基、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基といった炭素原子数1〜4のアルキル基である。
【0021】
〜R10における環を構成する炭素原子数が3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−フェニルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5,7−トリメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基、3,5,7−トリエチルアダマンチル基、3,5−ジイソプロピルアダマンチル基、3,5,7−トリイソプロピルアダマンチル基、3,5−ジイソブチルアダマンチル基、3,5,7−トリイソブチルアダマンチル基、3,5−ジフェニルアダマンチル基、3,5,7−トリフェニルアダマンチル基、3,5−ジ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5,7−トリ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5−ジ(3,5−キシリル)アダマンチル基、3,5,7−トリ(3,5−キシリル)アダマンチル基が挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基、3,5−ジフェニルアダマンチル基、3,5−ジ(p−トルイル)アダマンチル基、3,5−ジ(3,5−キシリル)アダマンチル基などの炭素原子数(環を構成する炭素原子以外の炭素原子も含めた数)5〜26のシクロアルキル基であり、より好ましくは、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、3,5−ジエチルアダマンチル基などの炭素原子数(環を構成する炭素原子以外の炭素原子も含めた数)6〜14のシクロアルキル基である。
【0022】
〜R10における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜6のアルケニル基であり、より好ましくはアリル基、ホモアリル基である。
【0023】
〜R10における炭素原子数2〜20の置換または無置換のアルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、1−ヘキシニル基、1−オクチニル基、フェニルエチニル基が挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のアルキニル基であり、より好ましくは3−メチル−1−ブチニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基、4−メチル−1−ペンテニル基またはフェニルエチニル基である。
【0024】
〜R10における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基が挙げられ、
好ましくはベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基であり、
より好ましくは、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基などの炭素原子数9〜20の第3級アラルキル基である。
【0025】
〜RおよびR〜R10における炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、あるいは2,5−ジブロモフェニル基が挙げられ、
好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基などの炭素原子数6〜20のフェニル基;2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基などのフッ素化フェニル基;2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などのフッ素化アルキルフェニル基であり、
より好ましくは、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジtert−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基である。
【0026】
〜R10における置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチル(フェニル)シリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基が挙げられ、
好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの炭素原子数3〜20のトリアルキルシリル基;メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの炭素原子数3〜20のヒドロカルビルシリル基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
【0027】
〜R10における炭素原子数1〜20の置換または無置換のアルコキシ基としては、例えば、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブトキシ基、パーフルオロイソブトキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロネオペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘプチルオキシ基、パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、パーフルオロ−n−デシルオキシ基、パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンタデシルオキシ基、パーフルオロ−n−エイコシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基である。
【0028】
〜R10における炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−トリフルオロメチルフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−フルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモフェノキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜14のアリールオキシ基であり、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
【0029】
〜R10における炭素原子数7〜30の置換または無置換のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基が挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基であり、より好ましくはベンジルオキシ基である。
【0030】
〜RおよびR〜R10における環を構成する炭素原子数が3〜20の置換または無置換のヘテロ環式化合物残基としては、例えば、チエニル基、フリル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基が挙げられ、好ましくはチエニル基、フリル基、1−ピロリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基、N−カルバゾリル基である。
【0031】
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよびRとR10は、それぞれ相互に連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよく、好ましくは、ベンゼン環上の2つの炭素原子を含む4〜10員環のヒドロカルビル環または複素環であり、該環は置換基を有していてもよい。
【0032】
該環として具体的には、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、ベンゼン環またはナフタレン環、フラン環、2,5−ジメチルフラン環、チオフェン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環などが挙げられ、好ましくは、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環またはナフタレン環であり、より好ましくは、RとR、RとR、RとRおよび/またはRとR10とが連結したシクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ナフタレン環である。
【0033】
Xにおける炭素原子数1〜20のアルキル基、環を構成する炭素原子数が3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、置換シリル基は、R〜RおよびR〜Rにおける前記の基と同様である。
【0034】
Xにおける置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基といった炭素原子数2〜14のヒドロカルビルアミノ基が挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
【0035】
Xにおける置換チオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基といった炭素原子数6〜12のヒドロカルビルチオラート基が挙げられ、好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
【0036】
Xにおける炭素原子数1〜20のカルボキシラート基としては、例えば、アセテート基、プロピオネート基、ブチレート基、ペンタネート基、ヘキサノエート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基が挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10ヒドロカルビルカルボキシラート基であり、より好ましくは、アセテート基、プロピオネート基、2−エチルヘキサノエート基またはトリフルオロアセテート基である。
【0037】
Xは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、または炭素原子数1〜20のヒドロカルビルアミノ基であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数2〜10のヒドロカルビルアミノ基であり、さらに好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基であり、特に好ましくは、塩素原子、メチル基、ベンジル基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基であり、最も好ましくは、塩素原子、ベンジル基である。
【0038】
〜R10およびXは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子を含む置換基を有していてもよい。
【0039】
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。
Lとしては、エーテル類、アミン類またはチオエーテル類などが挙げられ具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはピリジンが挙げられる。Lとして好ましくは、テトラヒドロフランである。
lは好ましくは1または0であり、さらに好ましくは0である。
【0040】
式(1−1)で表される錯体の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。










【0041】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
【0042】
さらには、上記それぞれの化合物におけるジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した化合物も挙げられる。
【0043】
さらには、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0044】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0045】
錯体(1−1)として好ましくは下記の化合物が挙げられる。




【0046】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基に変更した化合物も挙げられる。
【0047】
さらには、上記それぞれの化合物におけるジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した化合物も挙げられる。
【0048】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0049】
錯体(1−1)としてさらに好ましくは下記の化合物が挙げられる。




【0050】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0051】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0052】
錯体(1−1)として最も好ましくは下記の化合物が挙げられる。

【0053】
また、これらの他にも、上記化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0054】
さらには、上記それぞれの化合物におけるジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した化合物も挙げられる。
【0055】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0056】
式(1−2)で表される錯体の具体例としては下記の化合物が挙げられが、これらの化合物に限定される意図ではない。











【0057】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基に変更した化合物も挙げられる。
【0058】
さらには、上記それぞれの化合物におけるRおよびRに相当する基を水素原子フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または、メチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0059】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0060】
錯体(1−2)として好ましくは下記の化合物が挙げられる。





【0061】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子、メチル基に変更した化合物も挙げられる。
【0062】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0063】
さらには、上記それぞれの化合物の硫黄原子を架橋するシクロオクタン環をシクロへプタン環で置換した化合物も挙げることができる。
【0064】
錯体(1−2)としてさらに好ましくは下記の化合物が挙げられる。




【0065】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0066】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基をメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0067】
錯体(1−2)として特に好ましくは下記の化合物が挙げられる。

【0068】
また、これらの他にも、上記化合物のチタン原子に直接結合しているベンジル基を、塩素原子に変更した化合物も挙げられる。
【0069】
さらには、上記それぞれの化合物のRおよびRに相当する基をメチル基に変更した化合物も挙げることができる。
【0070】
一般式(1)で表される錯体(以降、「一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体」を表す。」は、例えば、非特許文献2に記載の方法により合成することができ、具体的には一般式(2)で表される化合物(以降、「一般式(2−1)または(2−2)で表される化合物」を表す。)および一般式(3)で表される化合物(以降、「一般式(3−1)または(3−2)で表される化合物」を表す。)を出発原料として下記scheme1により製造することができるが、本方法に限定されるべきものではない。


Scheme1
【0071】
化合物(3−1)中のMおよびXは、一般式(1−1)におけるMおよびXと同様である。MXとしては、例えば、Zr(CHPh),ZrCl(CHPh),Zr(CHSiMe),ZrF,Zr Cl,ZrBr,ZrI,Zr(OMe),Zr(OEt),Zr(O−i−Pr),ZrCl(O−i−Pr),Zr(O−n−Bu),Zr(O−i−Bu),Zr(O−t−Bu),Zr(OPh),Zr(NMe),ZrCl(NMe),Zr(NEt),Hf(CHPh),HfCl(CHPh),Hf(CHSiMe),HfF,Hf Cl,HfBr,HfI,Hf(OMe),Hf(OEt),Hf(O−i−Pr),HfCl(O−i−Pr),Hf(O−n−Bu),Hf(O−i−Bu),Hf(O−t−Bu),Hf(OPh),Hf(NMe),HfCl(NMe),Hf(NEt)が挙げられる。好ましくは、Zr(CHPh),ZrCl(CHPh),Zr(CHSiMe),ZrCl,ZrBr,Zr(OMe),Zr(OEt),Zr(O−i−Pr),Zr(O−i−Bu),Zr(O−t−Bu),Zr(OPh),Zr(NMe),ZrCl(NMe),Zr(NEt),Hf(CHPh),HfCl(CHPh),Hf(CHSiMe),HfCl,HfBr,Hf(OMe),Hf(OEt),Hf(O−i−Pr),Hf(O−i−Bu),Hf(O−t−Bu),Hf(OPh),Hf(NMe),HfCl(NMe),Hf(NEt)である。
【0072】
化合物(3−2)中のXは、一般式(1−2)におけるXと同様である。TiXとしては、例えば、Ti(CHPh),TiCl(CHPh),Ti(CHSiMe),TiF,Ti Cl,TiBr,TiI,Ti(OMe),Ti(OEt),Ti(O−i−Pr),TiCl(O−i−Pr),Ti(O−n−Bu),Ti(O−i−Bu),Ti(O−t−Bu),Ti(OPh),Ti(NMe),TiCl(NMe),Ti(NEt)が挙げられる。好ましくは、Ti(CHPh),TiCl(CHPh),Ti(CHSiMe),TiCl,TiBr,Ti(OMe),Ti(OEt),Ti(O−i−Pr),Ti(O−i−Bu),Ti(O−t−Bu),Ti(OPh),Ti(NMe),TiCl(NMe),Ti(NEt)である。
【0073】
錯体(1)は、化合物(2)と化合物(3)とをそのまま反応させてもよく、必要に応じて化合物(2)を塩基と反応させた後に化合物(3)を反応させてもよい。用いる塩基としては、例えば有機リチウム試薬、Grignard試薬および金属水素化物が挙げられ、具体的にはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムを挙げることができ、好ましくは、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムである。
【0074】
化合物(2)と塩基を反応させて得られる化合物、化合物(1)および化合物(3)は、通常空気および湿気に対して不安定であるため、反応は脱水脱酸素下で行うことが好ましい。具体的には、乾燥窒素または乾燥アルゴン下である。
【0075】
化合物(2)の使用量は、化合物(3)に対して1モル当量以上であればよく、好ましくは、1.0〜1.5モル当量の範囲で用いればよい。また、反応の過程で化合物(2)が残存する場合は、反応の途中で化合物(3)を追加してもよい。
【0076】
化合物(2)と化合物(3)とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0077】
化合物(2)と化合物(3)との反応は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、好ましくは5分間〜48時間であり、より好ましくは10分間〜24時間である。
【0078】
化合物(2)と塩基とを反応させる温度は−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲である。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0079】
化合物(2)と塩基とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、5分間〜24時間であり、好ましくは10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間である。
【0080】
化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。ただし、この範囲に限定される意図ではない。
【0081】
化合物(2)と塩基とを反応させて生じた化合物と、化合物(3)とを反応させる時間は、生成物の収率が最も高くなる時間まで行えばよく、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0082】
用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカーボン溶媒またはエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、またはシクロヘキサンである。
【0083】
化合物(2)は、例えば、Journal of American Chemical Society, 2009, Volume 131,13566-13567に記載の方法に準じて合成することができる。具体的には下記scheme2により製造することができるが、本方法に限定されるべきものではない。以下各工程について詳しく説明する。
【0084】

scheme 2
【0085】
scheme 2における各化合物中のR〜R10およびnは、一般式(1−1)および (1−2)中のR〜R10およびnと同様である。
【0086】
X’はアニオン性脱離基を表し、例えばハロゲン原子、アセテート基、トリフルオロアセテート基、ベンゾエート基、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基などであり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基である。
【0087】
[step1]
化合物(4)に1.0〜4.0当量、好ましくは1.0〜1.5当量の化合物(5)(以降、[一般式(5−1)または(5−2)で表される化合物]を表す。)を塩基存在下で反応させ、化合物(6)(以降、[一般式(6−1)または(6−2)で表される化合物]を表す。)を合成することができる。
【0088】
塩基としては、特に限定されるべきものではないが、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸カルシウム等の無機塩基、ならびにトリエチルアミンおよびトリイソブチルアミン等のアミン塩基が挙げられ、好ましくはアミン塩基である。
【0089】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0090】
反応終了後、必要に応じて化合物(6)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去する方法が挙げられる。さらに蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作により、純度を高めることができる。
【0091】
[step2]
化合物(6)に1.0〜4.0当量、好ましくは1.0〜1.5当量の化合物(7)(以降、[一般式(7−1)または(7−2)で表される化合物]を表す。)を塩基存在下で反応させ、化合物(2)を合成することができる。
【0092】
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸カルシウム等の無機塩基、ならびにトリエチルアミンおよびトリイソブチルアミン等のアミン塩基が挙げられ、好ましくはアミン塩基である。
【0093】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0094】
反応終了後、必要に応じて化合物(2)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、反応溶液に対して塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液または塩化ナトリウム水溶液を加え、次に酢酸エチルまたはジエチルエーテルを加え、抽出操作を行い、過剰の塩基または塩を除去する方法が挙げられる。さらに蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作により、純度を高めることができる。
【0095】
[step1]の反応条件を制御することで、反応器内で生成した化合物(6)と化合物(7)とを反応させ、化合物(2)を得ることもできる。
【0096】
がR(またはRがR10)と同じであり、R2がRと同じであり、R3がR7と同じであり、かつR4がR8と同じである場合、化合物(5)と化合物(7)を合わせて、化合物(4)に対して2.0〜8.0当量、好ましくは2.0〜4.0当量を塩基存在下で反応させることで、化合物(2)を合成することもできる。
【0097】
式(2−1)で表される化合物の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。











【0098】
また、これらの他にも、上記化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物も挙げることができる。
【0099】
式(2−2)で表される化合物の具体例としては、上記化合物(2−1)の具体例に加えて、下記の化合物およびこれらの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。
【0100】



【0101】
化合物(5−1)および化合物(7−1)の具体例としては下記の化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定される意図ではない。






【0102】
また、これらの他にも、上記化合物のRまたはRに相当する基を水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基で置換した化合物も挙げることができる。
【0103】
化合物(5−2)および化合物(7−2)の具体例としては、上記化合物(5−1)および化合物(7−1)の具体例に加えて、下記の化合物およびこれらの化合物のRおよびRに相当する基を水素原子、メチル基で置換した化合物が挙げられる。
【0104】

【0105】
周期律表第12族の元素を含む活性化用助触媒成分(B)としては、下記(a)および(b)を接触させて得られる活性化用助触媒成分(以下、成分(B−1)という。)を挙げることができる。
(a):下記一般式[B1]で表される化合物
[B1]
(b):下記一般式[B2]で表される化合物
t−1H [B2]
(上記一般式[B1]および[B2]において、Mは周期律表12族の原子を表し、Lは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、2つのLは互いに同じであっても、異なっていてもよく、E1は電子求引性基または電子求引性基を含有する基を表し、Tは周期律表第15族または第16族の原子を表し、tはT1の原子価を表す。)
【0106】
上記一般式[B1]において、Mは、周期律表12族の原子を表す。
は周期律表12族の原子としては、例えば、亜鉛原子、カドミウム原子、水銀原子等が挙げられる。Mとして好ましくは亜鉛原子である。
【0107】
上記一般式[B2]において、Lは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。Lのヒドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。Lのハロゲン化ヒドヒドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0108】
のヒドロカルビル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられ、アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0109】
の炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。炭素原子数1〜20のアルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
【0110】
の炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0111】
の炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、炭素原子数6〜20のアリール基として好ましくは、フェニル基である。
【0112】
の炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキル基として好ましくは、ベンジル基である。
【0113】
のハロゲン化ヒドロカルビル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられ、アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0114】
の炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロへキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基や、上記の『フルオロ』をクロロ、ブロモ、ヨードに変えたカルビル基が挙げられる。
【0115】
上記式[B1]のLとして好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基であり、特に好ましくは、エチル基である。
【0116】
上記一般式[B2]において、Tは周期律表第15族または第16族の原子を表す。Tの周期律表第15族の原子としては、例えば、窒素原子、リン原子等が、Tの周期律表第16族の原子としては酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。Tとして好ましくは窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。上記一般式[B2]において、tはTの原子価を表し、T1が第15族の原子の場合はtは3であり、T1が第16族の原子の場合はtは2である。
【0117】
上記一般式[B2]におけるE1 は、電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、E1 が複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。電子吸引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子吸引性基として挙げられる。
【0118】
電子吸引性基の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基、フェニル基等が挙げられる。電子吸引性基を含有する基としてはハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基)等が挙げられる。
【0119】
ハロゲン化アルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメ
チルエチル基、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル基、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル基等が挙げられる。
【0120】
ハロゲン化アリール基の具体例としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,6−ジヨードフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,4,6−トリヨードフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニ
ル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタヨードフェニル基等が挙げられる。
【0121】
(ハロゲン化アルキル)アリール基の具体例としては、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
【0122】
シアノ化アリール基の具体例としては、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基等が挙げられる。
【0123】
ニトロ化アリール基の具体例としては、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基等が挙げられる。
【0124】
エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ノルマルプロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0125】
1 として好ましくはハロゲン化ヒドロカルビル基であり、より好ましくはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基である。さらに好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、4−フルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3.5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基 、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、またはペンタクロロフェニル基であり、特に好ましくは、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基であり、最も好ましくは、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、またはペンタフルオロフェニル基である。
【0126】
化合物(a)を具体的に例示すると、Mが亜鉛原子の場合の具体例としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジノルマルブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジノルマルヘキシル亜鉛、ジアリル亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛等のジアルキル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等のジアリール亜鉛、塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化プロピル亜鉛、塩化ノルマルブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化ノルマルヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化プロピル亜鉛、臭化ノルマルブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化ノルマルヘキシル亜鉛、よう化メチル亜鉛、よう化エチル亜鉛、よう化プロピル亜鉛、よう化ノルマルブチル亜鉛、よう化イソブチル亜鉛、よう化ノルマルヘキシル亜鉛等のハロゲン化アルキル亜鉛、ふっ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、よう化亜鉛等が挙げられる。
【0127】
化合物(a)として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、さらに好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジノルマルブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジノルマルヘキシル亜鉛、ジアリル亜鉛またはビス(シクロペンタジエニル)亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0128】
化合物(b)を具体例に例示すると、アミン類としては、ジ(フルオロメチル)アミン、ジ(クロロメチル)アミン、ジ(ブロモメチル)アミン、ジ(ヨードメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(ジクロロメチル)アミン、ビス(ジブロモメチル)アミン、ビス(ジヨードメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(トリクロロメチル)アミン、ビス(トリブロモメチル)アミン、ビス(トリヨードメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル)アミン、ビス(2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2−クロロフェニル)アミン、ビス(3−クロロフェニル)アミン、ビス(4−クロロフェニル)アミン、ビス(2−ブロモフェニル)アミン、ビス(3−ブロモフェニル)アミン、ビス(4−ブロモフェニル)アミン、ビス(2−ヨードフェニル)アミン、ビス(3−ヨードフェニル)アミン、ビス(4−ヨードフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジクロロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジブロモフェニル)アミン、ビス(3,5−ジブロモフェニル)アミン、ビス(2,6−ジヨードフェニル)アミン、ビス(3,5−ジヨードフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリヨードフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタクロロフェニル)アミン、ビス(ペンタブロモフェニル)アミン、ビス(ペンタヨードフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン等が挙げられる。また、窒素原子がリン原子に置換されたホスフィン化合物も同様に例示することができる。それらホスフィン化合物は、上述の具体例のアミンをホスフィンに書き換えることによって表される化合物等である。
【0129】
化合物(b)の具体例としてアルコール類としては、フルオロメタノール、クロロメタノール、ブロモメタノール、ヨードメタノール、ジフルオロメタノール、ジクロロメタノール、ジブロモメタノール、ジヨードメタノール、トリフルオロメタノール、トリクロロメタノール、トリブロモメタノール、トリヨードメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,2−トリブロモエタノール、2,2,2−トリヨードエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロパノール、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエタノール、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエタノール、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエタノール、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエタノール、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエタノール等が挙げられる。また、酸素原子が硫黄原子に置換されたチオール化合物も同様に例示することができる。それらチオール化合物は、上述の具体例のメタノールをメタンチオールに、エタノールをエタンチオールに、プロパノールをプロパンチオールに書き換えることによって表される化合物等である。
【0130】
化合物(b)の具体例としてフェノール類としては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール、2−ヨードフェノール、3−ヨードフェノール、4−ヨードフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,6−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、2,6−ジヨードフェノール、3,5−ジヨードフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、2,4,6−トリヨードフェノール、ペンタフルオロフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタヨードフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール等が挙げられる。また、酸素原子が硫黄原子に置換されたチオフェノール化合物も同様に例示することができる。それらチオフェノール化合物は、上述の具体例のフェノールをチオフェノールに書き換えることによって表される化合物等である。
【0131】
化合物(b)の具体例としてカルボン酸類としては、2−フルオロ安息香酸、3−フルオロ安息香酸、4−フルオロ安息香酸、2,3−ジフルオロ安息香酸、2,4−ジフルオロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、2,6−ジフルオロ安息香酸、2,3,4−トリフルオロ安息香酸、2,3,5−トリフルオロ安息香酸、2,3,6−トリフルオロ安息香酸、2,4,5−トリフルオロ安息香酸、2,4,6−トリフルオロ安息香酸、2,3,4,5−テトラフルオロ安息香酸、2,3,4,6−テトラフルオロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロパノイック酸、ヘプタフルオロブタノイック酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノイック酸等が挙げられる。
【0132】
化合物(b)の具体例としてスルホン酸類としては、フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸等が挙げられる。
【0133】
化合物(b)として好ましくは、アミン類としては、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、またはビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、アルコール類としては、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、フェノール類としては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、カルボン酸類としては、ペンタフルオロ安息香酸、またはトリフルオロ酢酸、スルホン酸類としては、トリフルオロメタンスルホン酸である。
【0134】
化合物(b)としてより好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、さらに好ましくは、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフロエタノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、またはペンタフルオロフェノールである。
【0135】
化合物(a)および(b)の接触は、不活性気体雰囲気下で行うことが好ましい。接触させる際の温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。
【0136】
接触させる際の時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いてもよく、または溶媒を用いることなくこれらの化合物を直接接触させてもよい。
【0137】
溶媒としては、化合物(a)、(b)、およびそれらの接触物に対して不活性な溶媒が用いられる。該溶媒としては、例えば、非極性溶媒、極性溶媒が挙げられる。
【0138】
非極性溶媒としては、例えば、脂肪族ヒドロカルビル溶媒、脂環式ヒドロカルビル溶媒、芳香族ヒドロカルビル溶媒等が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、硫黄化合物等が挙げられる。
【0139】
脂肪族ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。脂環式ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。カルボニル系溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。リン酸誘導体としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が挙げられる。アミン系溶媒としては、例えば、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
【0140】
溶媒として好ましくは、上記の脂肪族ヒドロカルビル溶媒、脂環式ヒドロカルビル溶媒、芳香族ヒドロカルビル溶媒またはエーテル系溶媒である。
【0141】
接触させる際の化合物(a)および(b)の使用量は、化合物(a)1モルに対して化合物(b)を任意の比で使用できるが、好ましくは、化合物(b)で表される化合物が0モルより大きく100モル以下であり、より好ましくは、化合物(b)で表される化合物が0モルより大きく20モル以下であり、更に好ましくは、化合物(b)で表される化合物が0モルより大きく10モル以下であり、特に好ましくは、化合物(b)で表される化合物が0モルより大きく5モル以下であり、最も好ましくは、化合物(b)で表される化合物が0モルより大きく4モル以下である。
【0142】
成分(B−1)は、化合物(a)と、化合物(b)との接触の結果、原料である化合物(a)および化合物(b)の少なくとも1種が未反応物として残存していてもよい。しかし、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。洗浄処理を行う際の温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。洗浄処理を行う際の時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0143】
また、化合物(a)と、化合物(b)との接触や未反応物を除去する洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で1時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で1時間〜18時間である。
【0144】
成分(B−1)の製造方法の具体例を、化合物(a)がジエチル亜鉛であり、化合物(b)がハロゲン化アルコールである場合についてさらに詳細に以下に示す。
トルエンを溶媒とし、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、0℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して2モル〜4モル量のハロゲン化アルコールを滴下した後に、90℃〜120℃で10分間〜24時間攪拌する。減圧下、揮発性物質を留去した後に、室温で減圧下1〜20時間乾燥を行う。かくして成分(B−1)を製造することができる。
【0145】
成分(B−1)は、化合物(a)と、化合物(b)を接触させることにより、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表される化合物、化合物(8)の会合体、化合物(9)の会合体および/または、化合物(8)と、化合物(9)の会合体等が得られる。

【0146】
周期律表第12族の元素を含む活性化用助触媒成分(B)としては、下記(a)〜(c)を接触させて得られる活性化用助触媒成分(以下、成分(B−2)という。)も挙げることができる。
(a):下記一般式[B1]で表される化合物
[B1]
(b):下記一般式[B2]で表される化合物
t−1H [B2]
(c):下記一般式[B3]で表される化合物
t−1 [B3]
(上記一般式[B1]〜[B3]においてそれぞれ、Mは周期律表12族の原子を表し、Lは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、2つのLは互いに同じであっても、異なっていてもよく、Eは電子求引性基または電子求引性基を含有する基を表し、Eはヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、Eが複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。2つのTはそれぞれ独立に周期律表第15族または第16族の原子を表し、tはTの原子価を表す)
【0147】
上記一般式[B3]において、E2 はヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、E2 が複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。E2 におけるヒドロカルビル基としては、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基が好ましく、一般式[B1]におけるLとして説明したと同様のヒドロカルビル基が用いられる。E2 におけるハロゲン化ヒドロカルビル基としては、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基等が挙げられ、上記一般式[B2]のE1 における電子吸引性基の具体例として挙げたものと同様のハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基が用いられる。
【0148】
上記一般式[B3]におけるE2 として好ましくはハロゲン化ヒドロカルビル基であり、さらに好ましくはフッ化ヒドロカルビル基である。
【0149】
化合物(c)として好ましくは、水、硫化水素、アルキルアミン、アリールアミン、アラルキルアミン、ハロゲン化アルキルアミン、ハロゲン化アリールアミン、(ハロゲン化アルキル)アリールアミンであり、さらに好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−エイコシルアミン、アリルアミン、シクロペンタジエニルアミン、アニリン、2−トリルアミン、3−トリルアミン、4−トリルアミン、2,3−キシリルアミン、2,4−キシリルアミン、2,5−キシリルアミン、2,6−キシリルアミン、3,4−キシリルアミン、3,5−キシリルアミン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、エチルアニリン、n−プロピルアニリン、イソプロピルアニリン、n−ブチルアニリン、sec−ブチルアニリン、tert−ブチルアニリン、n−ペンチルアニリン、ネオペンチルアニリン、n−ヘキシルアニリン、n−オクチルアニリン、n−デシルアニリン、n−ドデシルアニリン、n−テトラデシルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、
【0150】
ベンジルアミン、(2−メチルフェニル)メチルアミン、(3−メチルフェニル)メチルアミン、(4−メチルフェニル)メチルアミン、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(ペンタメチルフェニル)メチルアミン、(エチルフェニル)メチルアミン、(n−プロピルフェニル)メチルアミン、(イソプロピルフェニル)メチルアミン、(n−ブチルフェニル)メチルアミン、(sec−ブチルフェニル)メチルアミン、(tert−ブチルフェニル)メチルアミン、(n−ペンチルフェニル)メチルアミン、(ネオペンチルフェニル)メチルアミン、(n−ヘキシルフェニル)メチルアミン、(n−オクチルフェニル)メチルアミン、(n−デシルフェニル)メチルアミン、(n−テトラデシルフェニル)メチルアミン、ナフチルメチルアミン、アントラセニルメチルアミン、フルオロメチルアミン、クロロメチルアミン、ブロモメチルアミン、ヨードメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、ジクロロメチルアミン、ジブロモメチルアミン、ジヨードメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、トリクロロメチルアミン、トリブロモメチルアミン、トリヨードメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,2−トリクロロエチルアミン、2,2,2−トリブロモエチルアミン、2,2,2−トリヨードエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピルアミン、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチルアミン、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチルアミン、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン 、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチルアミン、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチルアミン、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチルアミン、
【0151】
2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン、2,6−ジヨードアニリン、3,5−ジヨードアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、2,4,6−トリヨードアニリン、ペンタフルオロアニリン、ペンタクロロアニリン、ペンタブロモアニリン、ペンタヨードアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリンである。
【0152】
より好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−キシリルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、もっとも好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0153】
成分(B−2)は、上記のような化合物(a)、(b)および(c)を接触させて得られる成分である。(a)、(b)および(c)を接触させる順序としては特に限定されることはないが、例えば以下に挙げる順序を採用することが出来る。
(1)(a)と(b)を接触させた後に(c)を接触させる方法。
(2)(a)と(c)を接触させた後に(b)を接触させる方法。
(3)(b)と(c)を接触させた後に(a)を接触させる方法。
接触順序として好ましくは(1)または(2)であり、より好ましくは(1)であり、即ち成分(B−2)として好ましくは、(a)と(b)とを接触させて得られた接触物と(c)とを接触させて得られる成分、または(a)と(c)とを接触させて得られた接触物と(b)とを接触させて得られる化合物であり、より好ましくは(a)と(b)とを接触させて得られた接触物と(c)とを接触させて得られる成分である。
【0154】
(a)、(b)および(c)で表される化合物の接触は、不活性気体雰囲気下で行うことが好ましい。接触させる際の温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。
【0155】
接触させる際の時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いてもよく、または溶媒を用いることなくこれらの化合物を直接接触させてもよい。
【0156】
溶媒としては、化合物(a)、(b)、(c)、およびそれらを接触させて得られる成分に対して不活性な溶媒が用いられる。該溶媒としては、例えば、非極性溶媒、極性溶媒が挙げられる。
【0157】
非極性溶媒としては、例えば、脂肪族ヒドロカルビル溶媒、脂環式ヒドロカルビル溶媒、芳香族ヒドロカルビル溶媒等が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、硫黄化合物等が挙げられる。
【0158】
脂肪族ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。脂環式ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族ヒドロカルビル溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ハロゲン化物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。カルボニル系溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。リン酸誘導体としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が挙げられる。アミン系溶媒としては、例えば、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
【0159】
溶媒として好ましくは、上記の脂肪族ヒドロカルビル溶媒、脂環式ヒドロカルビル溶媒、芳香族ヒドロカルビル溶媒またはエーテル系溶媒である。
【0160】
各化合物の使用量は特に制限はないが、各化合物の使用量のモル比率を、(a):(b):(c)=1:y:zのモル比率とすると、yおよびzが下記式(9)〜(11)を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1 (9)
0<y<2 (10)
0<z (11)
上記式(9)および(10)におけるyとしてより好ましくは0.20〜1.80の数であり、特に好ましくは0.25〜1.50の数であり、最も好ましくは0.50〜1.00の数である。上記式(9)におけるzは、y、上記式(9)および(11)によって決定される数であり、下記式(12)を満足することがより好ましい。
0<z<1 (12)
【0161】
成分(B−2)は、このような接触処理の結果、原料である(a)、(b)および(c)が未反応物として残存してもよい。また、このような接触処理の後、生成物から溶媒を留去し、25℃以上の温度で減圧下1時間以上乾燥を行うことが好ましい。さらに好ましくは60〜200℃の温度で1〜24時間、最も好ましくは80〜160℃の温度で4〜18時間乾燥を行うことが好ましい。
【0162】
成分(B−2)は、このような接触処理の結果、原料である(a)、(b)および(c)が未反応物として残存してもよい。しかし、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。洗浄処理を行う際の温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。洗浄処理を行う際の時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0163】
また、原料である(a)、(b)および(c)との接触や未反応物を除去する洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で1時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で1時間〜18時間である。
【0164】
成分(B−2)の製造方法の具体例を、化合物(a)がジエチル亜鉛であり、化合物(b)がペンタフルオロフェノールであり、化合物(c)が水である場合についてさらに詳細に以下に示す。テトラヒドロフランを溶媒とし、そこへジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、0℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して等モル量のペンタフルオロフェノールを滴下し室温にて10分〜24時間攪拌を行った後、さらにジエチル亜鉛に対して0.5倍モル量の水を滴下し室温にて10分〜24時間撹袢する。その後、溶媒を留去し、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。かくして成分(B−2)を製造することができる。
【0165】
また、本発明の重合用触媒は担体を含んでもよく、担体への担持方法は任意の方法を用いてよいが、成分(B)を担体に担時させる方法が好ましい。より好ましくは成分(B−2)を、担体に担持させる方法である。(以下、担体に担持した成分(B−2)を成分(B−3)という)。担体としては、粒径の整った、多孔性の物質が好ましく、無機物質または有機ポリマーが好適に使用される。
【0166】
担体に用いられ得る無機物質の例としては、無機酸化物やマグネシウム化合物等が挙げられ、粘土や粘土鉱物等も支障無ければ使用可能である。これらは混合して用いてもかまわない。
無機酸化物の具体例としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等、およびこれらの混合物、例えば、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを例示することができる。これらの無機酸化物の中では、SiO2および/またはAl23が好ましい。なお、上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもかまわない。
【0167】
マグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することができる。
これらの中で好ましくは、ハロゲン化マグネシウムまたはアルコキシマグネシウムであり、さらに好ましくは塩化マグネシウムまたはブトキシマグネシウムである。
【0168】
粘土または粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられる。
これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイト、ヘクトライトである。
【0169】
これらの無機物質は使用にあたって水分を除去する必要はないが、好ましくは加熱処理により乾燥させたものが用いられる。加熱処理は通常、温度100〜1,500℃で、好ましくは100〜1,000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。加熱した上で、例えば、乾燥された不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で数時間以上流通させる方法、あるいは、数時間減圧する方法等が挙げられるが、その方法は限定されることはない。
【0170】
無機物質の平均粒子径として好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは10〜100μmである。細孔容量として好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積として好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0171】
担体に用いられ得る有機ポリマーとしては、どの有機ポリマーを用いても良く、また複数種の有機ポリマーを混合物として用いても構わない。有機ポリマーとしては、非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体が好ましい。
【0172】
非プロトン供与性のルイス塩基性官能基としては、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基であれば特に制限はなく、具体例としてはピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換スルホン酸基等が挙げられる。好ましくは、複素環基であり、さらに好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基である。特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0173】
かかる非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の量は特に限定されないが、好ましくは、重合体の単位グラム当りの官能基のモル量として0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0174】
かかる官能基を有する重合体は、例えば、非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合することにより、またはこれと他の1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合することにより得ることができる。このときさらに2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーをもいっしょに共重合することが好ましい。
【0175】
かかる非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、上記の活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。かかる重合性不飽和基の例としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、エチン基等のアルキニル基等が挙げられる。
【0176】
活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーの具体例としては、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、ビニル(N−置換)インダゾールを挙げることができる。
【0177】
他の1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、エチレン、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物等が例示され、具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、スチレンなどが挙げられる。好ましくはエチレンまたはスチレンである。これらのモノマーは2種以上を用いても良い。
また、2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0178】
有機ポリマーの平均粒子径として好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。細孔容量として好ましくは、0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積として好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは50〜500m2/gである。
【0179】
各触媒成分を前記ヒドロカルビル溶媒を用いて供給する場合、成分(B)に含まれる亜鉛原子の濃度は、通常、0.001〜100モル/リットルであり、好ましくは、0.01〜10モル/リットルである。成分(B)の濃度は、通常0.00001〜1モル/リットルであり、好ましくは、0.0001〜0.1モル/リットルである。
【0180】
本発明のオレフィン重合用触媒には、公知の有機アルミニウム化合物(以下、「成分(C)」と記載するときがある)を使用してもよい。好ましくは、下記一般式(13)で表される有機アルミニウム化合物である。
(R11Al(Y3−d (13)
(式中、R11は、炭素原子数1〜24のヒドロカルビル基を表し、Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜24のヒドロカルビルオキシ基を表し、dは、1〜3の整数を表す。dが2または3の場合、複数のR11は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、dが1の場合、2つのYは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【0181】
上記一般式(13)におけるR11の炭素原子数1〜24のヒドロカルビル基として、好ましくは、炭素原子数1〜24のアルキル基である。炭素原子数1〜24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられ、好ましくは、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基またはn−オクチル基である。
【0182】
上記一般式(13)におけるYのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、塩素原子である。
における炭素原子数1〜24のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、炭素原子数1〜24のアルコキシ基、炭素原子数6〜24のアリールオキシ基、炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基等が挙げられる。
【0183】
の炭素原子数1〜24のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−イコソキシ基等が挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基またはtert−ブトキシ基である。
【0184】
の炭素原子数6〜24のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基等が挙げられる。
【0185】
の炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基等が挙げられ、好ましくは、ベンジルオキシ基である。
【0186】
上記一般式(13)で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキル(ジアルコキシ)アルミニウム、ジアルキル(アルコキシ)アルミニウム、アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム、ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0187】
トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0188】
ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
【0189】
アルキルアルミニウムジクロライドとしては、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、n−ヘキシルアルミニウムジクロライド等が挙げられる。
【0190】
ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。
【0191】
アルキル(ジアルコキシ)アルミニウムとしては、メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、メチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0192】
ジアルキル(アルコキシ)アルミニウムとしては、ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、メチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0193】
アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウムとしては、メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0194】
ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウムとしては、ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、少なくとも二種類を併用してもよい。
【0195】
有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0196】
本発明のオレフィン重合用触媒において、成分(B)に含まれる周期律表第12族の原子の使用量は、成分(A)1molに対して、通常、1〜1,000,000molであり、好ましくは、10〜500,000molであり、より好ましくは、100〜100,000である。
また、有機アルミニウム化合物を使用する場合は、成分(C)の使用量は、成分(A)の遷移金属原子に対する成分(C)のアルミニウム原子のモル比(C)/(B)として、好ましくは、0.01〜10,000,000であり、より好ましくは、0.1〜1,000,000であり、更に好ましくは、1〜100,000であり、特に好ましくは、10〜10,000である。
【0197】
成分(A)と、成分(B)とを接触させて形成される本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法は、本発明のオレフィン重合用触媒を、
(I)重合反応器に供給する前に、触媒製造用反応器で製造する方法、
(II)重合反応器で製造する方法、または
(III)任意の2つの成分を予め、触媒製造用反応器で接触させた後、その接触物を重合反応器へ供給して、さらに他の成分を重合反応器へ供給して製造する方法、が挙げられる。
【0198】
上記のいずれの方法においても成分(A)は単離したものを用いてもよく、また、化合物(2)と化合物(3)を接触させたものをそのまま用いてもよい。
【0199】
成分(A)と、成分(B)と、成分(C)とを接触させて形成される本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法は、
(I)本発明のオレフィン重合用触媒を、重合反応器に供給する前に、触媒製造用反応器で製造する場合、例えば、
(1)成分(A)と成分(B)と成分(C)とを同時に触媒製造用反応器に供給して、接触させて製造する方法、
(2)成分(A)と成分(B)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(B)との接触物に成分(C)を接触させて製造する方法、
(3)成分(A)と成分(C)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(C)との接触物に成分(B)を接触させて製造する方法、
(4)成分(B)と成分(C)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(B)と成分(C)との接触物に成分(A)を接触させて製造する方法、等が挙げられる。
上記(I)の中で好ましくは(4)である。
【0200】
(II)本発明のオレフィン重合用触媒を、重合反応器で製造する場合、例えば、
(1)成分(A)と成分(B)と成分(C)とを、モノマーの存在下、同時に重合反応器に供給して、接触させて製造する方法、
(2)成分(A)と成分(B)とを、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(B)との接触物に、モノマーの存在下、成分(C)を接触させて製造する方法、
(3)成分(A)と成分(C)とを、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(C)との接触物に成分(B)を、モノマーの存在下、接触させて製造する方法、
(4)成分(B)と成分(C)とを、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、接触させた後、成分(B)と成分(C)との接触物に成分(A)を、モノマーの存在下、接触させて製造する方法、等が挙げられる。
上記(II)の中で好ましくは(4)である。
【0201】
(III)本発明のオレフィン重合用触媒を、任意の2つの成分を予め、触媒製造用反応器で接触させた後、その接触物を重合反応器へ供給して、さらに他の成分を重合反応器へ供給して製造する場合、例えば、
(1)成分(A)と成分(B)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(B)との接触物を、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、さらに成分(C)を、モノマーの存在下、重合反応器へ供給して、接触させて製造する方法、
(2)成分(A)と成分(C)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(A)と成分(C)との接触物を、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、さらに成分(B)を、モノマーの存在下、重合反応器へ供給して、接触させて製造する方法、
(3)成分(B)と成分(C)とを触媒製造用反応器に供給して、接触させた後、成分(B)と成分(C)との接触物を、モノマーの存在下、重合反応器に供給して、さらに成分(A)を、モノマーの存在下、重合反応器へ供給して、接触させて製造する方法、等が挙げられる。
上記(III)の中で好ましくは、(3)である。
【0202】
上記のいずれの方法においても成分(A)は単離したものを用いてもよく、また、化合物(2)と化合物(3)を接触させたものをそのまま用いてもよい。
【0203】
各触媒成分を触媒製造用反応器または重合反応器に供給する方法としては、各成分を固体状態で供給する方法、水分や酸素等の触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いたヒドロカルビル溶媒を用いて供給する方法等が挙げられる。
【0204】
水分や酸素等の触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いたヒドロカルビル溶媒を用いて供給する場合、例えば、
(1)前記ヒドロカルビル溶媒に各触媒成分を溶解させた溶液として供給する方法、
(2)前記ヒドロカルビル溶媒に各触媒成分を懸濁させた懸濁液として供給する方法、
(3)前記ヒドロカルビル溶媒に各触媒成分をスラリー化させたスラリーとして供給する方法、等が挙げられる。
【0205】
各触媒成分を前記ヒドロカルビル溶媒を用いて供給する場合、成分(B)に含まれる周期律表第12族の原子の濃度は、通常、0.001〜100モル/リットルであり、好ましくは、0.01〜10モル/リットルである。成分(B)の濃度は、通常0.00001〜1モル/リットルであり、好ましくは、0.0001〜0.1モル/リットルである。成分(C)の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常、0.0001〜100モル/リットルであり、好ましくは、0.01〜10モル/リットルである。
【0206】
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記本発明のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合する、オレフィン重合体の製造方法である。
重合方法としては、例えば、ガス状のモノマー中での気相重合方法、溶媒を使用する溶液重合方法、溶媒を使用するスラリー重合方法等が挙げられる。溶液重合方法、またはスラリー重合方法に用いる溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ヒドロカルビル溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族ヒドロカルビル溶媒、またはメチレンクロライド等のハロゲン化ヒドロカルビル溶媒が挙げられ、あるいはオレフィン自身を溶媒に用いる(バルク重合)ことも可能である。また、重合は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、さらに重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。重合時間は、一般に、目的とするオレフィン共重合体またはα−オレフィン単独重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。
【0207】
スラリー重合方法は、公知のスラリー重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定される事はない。スラリー重合方法における好ましい重合方法として、モノマー(およびコモノマー)、供給物、稀釈剤などを必要に応じて連続的に添加し、かつ、ポリマー生成物を連続的または少なくとも周期的に取出す連続式反応器を用いる重合方法である。反応器としては、ループ反応器、反応器が異なったり、反応条件が異なったりする複数の攪拌反応器を直列または並列に組み合わせた反応器等が挙げられる。
【0208】
稀釈剤としては、例えばパラフィン、シクロパラフィンまたは芳香族ヒドロカルビル溶媒等の不活性稀釈剤(媒質)を用いることができる。重合反応器または反応帯域の温度は、通常約0℃〜約150℃、好ましくは30℃〜100℃の範囲をとることができる。圧力は通常約0.1MPa〜約10MPaに変化させることができ、好ましくは0.5MPa〜5MPaである。触媒を懸濁状態に保持し、媒質および少なくとも一部のモノマーおよびコモノマーを液相に維持し、モノマーおよびコモノマーを接触させることができる圧力をとることができる。従って、媒質、温度、および圧力は、オレフィン重合体が固体粒子として生成され、その形態で回収されるように選択すればよい。
【0209】
この際に製造されるオレフィン共重合体またはα−オレフィン単独重合体の分子量は反応帯域の温度の調節、水素の導入等、公知の各種の手段によって制御することができる。
各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)は、公知の任意の方法によって、任意の順序で反応器、または反応帯域に添加できる。例えば、各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)を反応帯域に同時に添加する方法、逐次に添加する方法等を用いることができる。所望ならば、各触媒成分はモノマー(およびコモノマー)と接触させる前に、不活性雰囲気中において予備接触させることができる。
【0210】
気相重合方法は、公知の気相重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定されることはない。気相重合方法に用いる気相重合反応装置としては、例えば、流動層型反応器を有する気相重合反応装置等が挙げられ、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応器を有する気相重合反応装置である。また、反応器内に攪拌翼が設置されていてもよい。
各成分を重合器に供給する方法としては通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する、あるいは溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する等の方法を用いることができる。各触媒成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0211】
重合条件として、重合温度は好ましくは0℃〜300℃、更にこのましくは10℃〜200℃、特に好ましくは30℃〜100℃の範囲である。さらに最終製品の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加しても構わない。また、重合に際して、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0212】
本発明においては、このような重合(本重合)の実施前に予備重合を行ってもよい。
【0213】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で使用するオレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素原子数3〜20のα−オレフィン等が挙げられ、同時に2種以上のオレフィンを用いることもできる。
【0214】
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の炭素原子数3〜8のα−オレフィンであり、より好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等の炭素原子数3〜5のα−オレフィンである。
【0215】
本発明のオレフィン重合体の製造方法で製造されるオレフィン重合体として、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、およびエチレン−ビニルシクロヘキサン共重合体のようなエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体;プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体およびプロピレン−ビニルシクロヘキサン共重合体のようなプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体;エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体およびエチレン−プロピレン−ビニルシクロヘキサン共重合体のようなエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体;ならびにエチレンの単独重合体や、プロピレン重合体、ブテン重合体、ヘキセン重合体およびビニルシクロへキサン重合体のような炭素原子数3〜20のα−オレフィンの単独重合体を例示することができる。
【0216】
エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体として、好ましくは、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等のエチレンと炭素原子数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体等のエチレンと炭素原子数3〜5のα−オレフィンとの共重合体である。
【0217】
プロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体として、好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体およびプロピレン−ビニルシクロヘキサン共重合体のようなプロピレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合体等のプロピレンと炭素原子数4〜5のα−オレフィンとの共重合体である。
【0218】
エチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの共重合体として好ましくは、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体およびエチレン−プロピレン−ビニルシクロヘキサン共重合体のようなエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくは、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体である。
【0219】
オレフィンの単独重合体として好ましくはエチレンの単独重合体や炭素原子数3〜8のα−オレフィンの単独重合体であり、より好ましくは、エチレンの単独重合体や炭素原子数3〜5のα−オレフィンの単独重合体である。
【実施例】
【0220】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0221】
分析条件
(1)融点
熱分析装置 示差走査熱量計(Diamond DSC Perkin Elmer社製)を用いて下記の方法で測定した。
<ポリエチレン測定条件>
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、150℃ 5分間保持
2)冷却 150℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜150℃(5℃/分)
<ポリプロピレン測定条件>
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、220℃ 5分間保持
2)冷却 220℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜220℃(5℃/分)
【0222】
(2)分子量および分子量分布
各重合体のポリスチレン換算重量平均分子鎖長(Aw)およびポリスチレン換算数平均分子鎖長(An)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で算出した。検量線は、標準ポリスチレンを用いて作成した。ポリスチレンのQファクターとして41.3を用いた。
<測定条件1>
装置:TSK HLC−8121GPC/HT (東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR‐H(20) 2本
測定温度:152℃
溶媒:ο-ジクロロベンゼン(0.05% BHT添加)
溶媒流量:1ml/min
試料濃度:0.05%
カラム・装置校正用試料:TSK標準ポリスチレンF−2000〜A−1000(東ソー製)
<測定条件2>
装置:ウォーターズ 150C (ウォーターズ製)
溶媒:ο-ジクロロベンゼン(0.05%BHT添加)
カラム:TSKgel GMH6-HT 3本 (東ソー製)
測定温度:140℃
溶媒流量:1ml/min
試料濃度:0.1%
カラム・装置校正用試料:TSK標準ポリスチレン F-700〜A-500(東ソー製)
【0223】
各重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算重量平均分子鎖長(Aw) 、ポリスチレン換算数平均分子鎖長(An)をもとに、ポリエチレンおよびポリプロピレンのQファクターをそれぞれ17.7および26.4として下式より算出した。
分子量(Mw, Mn)=分子鎖長(Aw, An)×Qファクター
【0224】
ポリプロピレンのアイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm](%))
ポリプロピレンの[mmmm]分率は、下記条件で測定した13C−NMRスペクトルにおける、19.4〜22.2ppmのメチル炭素に帰属されるピーク面積に対する21.64〜22.02ppmのmmmmペンタッドのメチル炭素に帰属されるピーク面積の割合として求めた。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600 10mmクライオプローブ
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
化学シフト値基準:テトラメチルシラン
【0225】
ポリプロピレン2,1−挿入率、1,3−挿入率(%)
上記条件により測定した13C NMRスペクトルおいて、以下のように定義する範囲のピーク面積からし、2,1−挿入率、1,3−挿入率(%)を求めた。
<算出方法>
ピーク面積の定義
I(CH):19.4〜22.2ppmのピーク面積の合計
I(2,1):16.4〜18.8ppmと14.5〜15.8ppmのピーク面積の合計
I(1,3):27.6〜27.8ppmのピーク面積
2,1%算出式
2,1% = 0.5×I(2,1)/(I(CH)+I(2,1)+I(1,3))×100
1,3%算出式
1,3% =I(1,3)/(I(CH)+I(2,1)+I(1,3))×100
【0226】
(参考例1)
trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロヘキサンの合成
アルゴン雰囲気下、trans-シクロヘキサン-1,2-ジチオール1.08g(7.3mmol)と臭化3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシベンジル4.58g(15.3mmol)をテトラヒドロフラン90mLに溶か
し0℃に冷却した。そこに、トリエチルアミン2.13mL(15.3mmol)を加え、0℃で15時間撹拌した。生成した沈殿物を濾過で除き、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣にエーテルと希塩酸を加え、エーテル層を水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン-ジクロロメタン 1:1)で精製し無色結晶として表題化合物3.86g(収率90%)を得た。
融点:104-106℃ 分解(エタノールより再結晶)
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.19-1.43 (m, 44 H), 2.09-2.15 (m, 2 H), 2.58-2.61 (m, 2 H), 3.79 (s, 4 H), 6.75 (s, 2 H), 6.93 (d, J = 2 Hz, 2 H), 7.25 (d, J = 2 Hz, 2 H).
13C-NMR (100.7 MHz,δ, CDCl3)
24.7, 29.7, 31.6, 32.6, 33.9, 34.2, 35.0, 48.1, 121.6, 123.7, 125.2, 137.3, 142.2, 152.0.
元素分析:計算値(C36H56O2S2)C, 73.92%; H, 9.34%.
実測値: C, 74.17%; H, 9.31%.
【0227】
(参考例2)
[シクロヘキサンジイル-trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム
以下の実験はアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。50 mLのシュレンク管中、trans-1,2-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)シクロヘキサン 300 mg(0.513 mmol)をトルエン5 mLに溶かし、この溶液に室温でテトラベンジルジルコニウム234 mg(0.513 mmol)のトルエン溶液5 mLを滴下し、さらに2時間撹拌した。トルエンを減圧下留去し、残渣をペンタン2 mLで洗浄後乾燥し、無色結晶として表題化合物176 mg(収率40%)を得た。
1H-NMR (500 MHz,δ, ppm, C6D6)
0.42-1.08 (m, 8 H, major, minor), 1.22 (s, 18 H, major), 1.24 (s, 18 H, minor), 1.57-1.61 (m, 2 H, major), 1.77 (s, 18 H, major), 1.80 (s, 18 H, minor), 1.84 (d, J = 9 Hz, 2 H, major), 1.96-2.02 (m, 2 H, minor), 2.16 (d, J = 10 Hz, 2 H, minor), 2.64 (d, J = 9 Hz, 2 H, major), 2.79 (d, J = 10 Hz, 2 H, minor), 2.94 (d, J = 12 Hz, 2 H, major), 3.22 (d, J = 15 Hz, 2 H, major), 3.23 (d, J = 15 Hz, 2 H, minor), 3.52 (d, J = 15 Hz, 2 H, minor), 6.57 (d, J = 2 Hz, 2 H, major), 6.63 (d, J = 2 Hz, 2 H, minor), 6.90-7.27 (m, 10 H, major, minor), 7.42 (d, J = 2 Hz, 2 H, major), 7.52 (d, J = 2 Hz, 2 H, minor).
【0228】
(参考例3)
trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
(1)4-tert-ブチル-2-クミルフェノールの合成
窒素置換した200 mL二口フラスコに4-tert-ブチルフェノール12.7 g(84.6 mmol)、 α-メチルスチレン 5.5 mL(42 mmol)およびシクロヘキサン100 mLを加え、50 ℃まで昇温した。ここに、p-トルエンスルホン酸 73 mg(0.42 mmol)を加え、4時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水とジクロロメタンを加えた。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下揮発成分を留去した。得られた無色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロロメタン:ヘプタン=1:3)で精製することで4-tert-ブチル-2-クミルフェノール 8.06 g(収率 71%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.35 (s, 9H), 1.69 (s, 6H), 4.17(s, 1H), 6.68 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 2 Hz, 8 Hz, 1H), 7.2〜7.3 (5H), 7.48 (d, J = 2 Hz, 1H).
13C{1H}-NMR (100.4 MHz,δ, ppm, CDCl3)
29.6, 31.6, 34.3, 41.8, 117.1, 123.1, 124.7, 126.0, 126.9, 129.1, 134.5, 143.1, 148.5, 151.4
(2)4-tert-ブチル-6-クミル-2-ヒドロキシメチルフェノールの合成
窒素置換した200mL二口フラスコに4-tert-ブチル-2-クミルフェノール7.25 g(23.3 mmol,純度86.3%)、 塩化マグネシウム4.44 g(46.6 mmol)、パラホルムアルデヒド3.50 g(117 mmol)およびテトラヒドロフラン145 mLを加えた。ここにトリエチルアミン6.5 mL(47 mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応溶液を室温まで放冷した後、不溶物を濾過した。濾液から減圧下揮発成分を留去した後、残渣に酢酸エチルと水を加えた。有機層を1 M HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。減圧下溶媒を留去することで、5-tert-ブチル-3-クミルサリチルアルデヒド(純度79.9%, 収率93%)を含む混合物8.05 gを得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.42 (s, 9H), 1.74(s, 6H), 7.1〜7.4(5H), 7.39 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 2 Hz, 1H), 9.81 (s, 1H), 11.2 (s, 1H)
窒素置換した100 mLフラスコに上記混合物 8.05 gとテトラヒドロフラン40 mLおよびメタノール40 mLを加え、氷冷した。ここに水素化ホウ素ナトリウム 340 mg(8.97 mmol)をゆっくり加え、室温まで昇温後、7時間撹拌した。反応溶液から減圧下揮発成分を留去した後、水と酢酸エチルを加えた。有機層を1 M HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。得られた無色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:へキサン=1:15〜1:5)で精製することで4-tert-ブチル-6-クミル-2-ヒドロキシメチルフェノール4.88 g(収率 75%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.34 (s, 9H), 1.70 (s, 6H), 2.16 (t, J = 6 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 6 Hz, 2H), 5.56 (s,1H),7.09 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.2〜7.4(5H), 7.45 (d, J = 2 Hz, 1H).
(3)臭化 5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルの合成
窒素置換した50 mLシュレンクに4-tert-ブチル-6-クミル-2-ヒドロキシメチルフェノール4.88 g(16.4 mmol)とジクロロメタン24 mLを加えた。ここに、三臭化リン8.2 mL(1.0 M ジクロロメタン溶液, 8.2 mmol)を加え室温で、1.5時間撹拌した。反応溶液に水を加え、有機層をさらに水で2回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下揮発成分を留去することで、臭化 5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジル5.76 g(収率 98%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.35 (s, 9H), 1.69 (s, 6H), 4.47 (s, 2H), 7.24 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.2〜7.4(5H), 7.48 (d, J = 2 Hz, 1H).
(4)trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタンの合成
窒素置換した100 mL二口フラスコに臭化 5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジル2.85 g(7.89 mmol)とtrans-シクロオクタン-1,2-ジチオール 7.6 mL(0.5 M テトラヒドロフラン溶液, 3.8 mmol)とテトラヒドロフラン 21 mLを加え、氷冷した。ここに、トリエチルアミン 1.1 mL(7.9 mmol)を加え、0℃で1時間、室温で2時間撹拌した。反応溶液から減圧下揮発成分を留去した後、酢酸エチルと塩化アンモニウム水溶液を加えた。有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロロメタン:へキサン=1:1)で精製することで、trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタンとtrans-1-(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)-2-スルファニルシクロオクタンの2:1混合物2.26 gを得た。この混合物をテトラヒドロフラン4 mLに溶解し、臭化5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジル0.42 g(1.2 mmol)およびトリエチルアミン0.2 mL(1.4 mmol)を室温で加えた。2時間撹拌後、減圧下揮発成分を留去した。得られた反応混合物に酢酸エチルと塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層をさらに水、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ジクロロメタン:へキサン=1:1)で精製することで、trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタン2.30 g(収率 89%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, CDCl3)
1.35 (s, 18H), 1.68(s, 6H), 1.69 (s, 6H), 1.13〜1.79 (m, 12H), 2.55 (m, 2H), 3.64 (d, J = 14 Hz, 2H), 3.68 (d, J = 14 Hz, 2H), 5.77 (s, 2H), 7.03 (d, J = 2 Hz, 2H), 7.13〜7.26 (10H), 7.39 (d, J = 2 Hz, 2H).
13C{1H}-NMR (100.4 MHz,δ, ppm, CDCl3)
25.8, 25.9, 29.4, 30.0, 31.0, 31.6, 34.0, 34.3, 42.1, 49.9, 123.1, 123.4, 125.67, 125.74, 126.0, 128.2, 136.1, 142.1, 150.2, 150.8.
【0229】
(参考例4)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム
窒素雰囲気下のグローブボックス中、50 mLシュレンク管でtrans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタン 200 mg(0.27 mmol)のトルエン(5 mL)溶液に、テトラベンジルジルコニウム124 mg(0.27 mmol)のトルエン(5 mL)溶液を室温で滴下した。1時間後、反応溶液を濾過し、濾液から減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム 121 mg (収率 44%)を黄色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, トルエン-d8)
0.79〜1.8 (m, 12H), 1.23 (s, 18H), 1.84 (s, 6H), 1.99 (s, 6H), 2.03 (d, J = 10 HZ), 2.29 (m, 2H), 3.11 (d, J = 14 Hz, 2H), 3.41 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.49 (d, J = 8 Hz, 4H), 6.63 (d, J = 2 Hz, 2H), 6.85 (t, J = 8 Hz, 2H), 7.0-7.1 (4H), 7.16 (t, J = 8 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 8 Hz, 4H), 7.34 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.44 (d, J = 2 Hz, 2H).
【0230】
(参考例5)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウムの合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中、50 mLシュレンク管でtrans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-ヒドロキシベンジルスルファニル)シクロオクタン 200 mg(0.27 mmol)のトルエン(5 mL)溶液に、テトラベンジルハフニウム147 mg(0.27 mmol)のトルエン(5 mL)溶液を室温で滴下した。1時間後、反応溶液を濾過し、濾液から減圧下揮発成分を留去した。得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧下乾燥することで、[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム 215 mg (収率 72%)を白色粉末として得た。
1H-NMR (400 MHz,δ, ppm, トルエン-d8)
0.86〜1.4 (m, 12H), 1.20 (s, 18H), 1.44 (d, J = 12 Hz, 2H), 1.85 (d, J = 12 Hz, 2H),
1.92 (s, 6H), 1.94 (s, 6H), 2.21 (m, 2H), 3.04 (d, J = 14 Hz, 2H), 3.13 (d, J = 14 Hz, 2H), 6.62 (d, J = 8 Hz, 2H), 6.74 (t, J = 8 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.05-7.16 (4H), 7.25 (t, J = 8 Hz, 4H), 7.40 (d, J = 8 Hz, 4H), 7.52 (d, J = 2 Hz, 2H).
【0231】
(参考例6)
(1)活性化用助触媒成分(成分(B−2))の調整
アルゴン置換した200ml四つ口フラスコにZnEt2 (2.0M ヘキサン溶液)25ml(50mmol)、トルエン70mlを入れ氷浴で0〜5℃に冷却した。これにペンタフルオロフェノール(2.8M ヘキサン溶液)8.6ml(24mmol)を滴下した。滴下終了後、0〜5℃で30分間攪拌を行った。その後、40℃で1時間攪拌を行い、室温まで冷却した後にH2 O 0.68mL(38mmol)をマイクロシリンジで1時間かけて滴下した。内容物は黄色スラリー状となった。滴下終了後、室温で1.5時間攪拌し、40℃で2時間攪拌を行った。その後、80℃で2時間攪拌し、上澄みを除いた。更に、トルエン70mLを加え、95℃で洗浄し、上澄みを除いた。これを2回繰り返した後、ヘキサン70mLを加え、上澄みを除いた。固体を室温で減圧下乾燥を行うことにより、黄色粉末(以下、「成分(B−2)」と記載することがある)7.47gを得た。
【0232】
(参考例7)
(1)シリカの処理
窒素置換した撹拌機を備えた50リットルの反応器に、溶媒としてトルエン24.3リットル、粒子(d)として窒素流通下で300℃にて加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=58μm;細孔容量=1.60ml/g;比表面積=316m/g)2.55kgを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン823gとトルエン1290gの混合溶液を反応器の温度を5℃±3℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌した。その後、得られた固体生成物を95℃にて、トルエン30リットルで5回洗浄を行った。次いで、5.4リットルのトルエンを投入しスラリーとした。
【0233】
(2)担体に担持した活性化用助触媒成分(成分(B−3))の調製
上記参考例7(1)で得られたトルエンスラリーへ、化合物(a)として32.1wt%のジエチル亜鉛のヘキサン溶液2.5kgを投入し、攪拌した。その後、5℃に冷却した後、化合物(b)として濃度を35.4wt%に調製した3,4,5−トリフルオロフェノールのトルエン溶液2.00kgを、反応器内容物の温度を5℃±3℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、化合物(c)として水0.10リットルを反応器内容物の温度を22℃±3℃に保ちながら90分で滴下した。滴下終了後、22℃±3℃で1.5時間、40℃で2時間、80℃で2時間攪拌した。その後、静置し、固体成分を沈降させた上層部分を取り除いた。次いで、トルエン13リットルを加えた。その後、95℃に昇温し、4時間攪拌した。その後、95℃でトルエン30リットルにて4回、室温でヘキサン30リットルにて9回、静置し、固体成分を沈降させ、上層部分を取り除いた。固体成分を減圧下、45℃で6時間乾燥を行うことにより担体を含む活性化用助触媒成分(以下、「成分(B−3)」と記載することがある)3.12kgを得た。元素分析の結果、亜鉛原子=1.6mmol/g、フッ素原子=3.8mmol/gであった。
【0234】
(参考例8)
ビス(1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)亜鉛(成分(B−1))の合成
窒素置換した300 mLフラスコにトルエン50mL、ジエチル亜鉛 (2.06mmol/mL、トルエン溶液)20mL(41.2mmol)を入れ、1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール16.7mL(120mmol)を氷浴下で滴下した後、5時間還流攪拌を行った。室温まで放冷した後、揮発成分を減圧溜去することにより、白色固体としてビス(1,1−ジ(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)亜鉛(以下、「成分(B−1)」と記載することがある)20.7g(収率95%)を得た。
13C NMR(THF-d8):δ122.2(q,JC-F =292Hz),81.1(q,JC-F =28.9Hz)
19F NMR(THF-d8):δ−73.2(s)
【0235】
(実施例1)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン200mLを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を0.6MPaに調整しながらフィードし、トリイソブチルアルミニウム(1mmol/mL、トルエン溶液)0.50mL(0.50mmol)を投入し、続いて[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を投入した後、成分(B−2)6.7mg(39.7μmol)を投入して重合を開始した。温度を40℃に保ちながら、60分間重合を行った。
重合の結果8.5gのエチレン単独重合体が得られた。重合活性1.0×10 g/mol、融点=111.7℃、M=4600、M=1300、M/M=3.5であった。表1に結果を示す。
【0236】
(比較例1)1
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を[シクロヘキサンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)としたこと、成分(B−2)6.7mg(39.7μmol)を成分(B−2)35.1mg(207.8μmol)としたこと以外は実施例1と同様に行った。
重合の結果2.8gのエチレン単独重合体が得られた。重合活性5.6×10 g/mol、融点=124.6℃、M=5600、M=2100、M/M=2.7であった。表1に結果を示す。
【0237】
(実施例2)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてヘキセン200mLを仕込み、反応器を70℃まで昇温した。昇温後、エチレン圧を0.6MPaに調整しながらフィードし、トリイソブチルアルミニウム(1mmol/mL、ヘキサン溶液)0.50mL(0.50mmol)を投入し、続いて[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)1.0mL(1.0μmol)を投入した後、成分(B−3)11.0mg(17.6μmol)を投入して重合を開始した。温度を70℃に保ちながら、60分間重合を行った。
重合の結果1.0gのエチレン単独重合体が得られた。重合活性1.0×10 g/mol、融点=107.5, 119.1, 121.5℃、M=5400、M=1600、M/M=3.5であった。表1に結果を示す。
【0238】
(比較例2)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)1.0mL(1.0μmol)を[シクロヘキサンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)1.0mL(1.0μmol)としたこと、成分(B−3)11.0mg(17.6μmol)を成分(B−3)31.9mg(51.0μmol)としたこと以外は実施例2と同様に行った。
重合の結果0.62gのエチレン単独重合体が得られた。重合活性6.2×10 g/mol、融点=125.2℃、M=4300、M=1800、M/M=2.4であった。表1に結果を示す。
【0239】
(実施例3)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1.0μmol/mL、トルエン溶液)0.2mL(0.2μmol)としたこと、成分(B−2)6.7mg(39.7μmol)を成分(B−1)52.0mg(97.1μmol)としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
重合の結果5.5gのエチレン単独重合体が得られた。重合活性2.8×10 g/mol、融点=126.6℃、M=43200、M=11000、M/M=3.9であった。表1に結果を示す。
【0240】
実施例1〜3および比較例1,2で得られた重合結果を表1に示す。
【0241】
【表1】

【0242】
(実施例4)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mL、プロピレン80gを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。昇温後、トリイソブチルアルミニウム(1mmol/mL、トルエン溶液)0.50mL(0.50mmol)を投入し、続いて[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を投入した後、成分(B−2)12.8mg(75.8μmol)を投入して重合を開始した。温度を40℃に保ちながら、60分間重合を行った。
重合の結果14.7gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性2.9×10 g/mol、融点=142.0℃、M=8300、M=3800、M/M=2.2、[mmmm]=89.0であった。表2に結果を示す。
【0243】
(比較例3)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を[シクロヘキサンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)1.0mL(1.0μmol)としたこと、成分(B−2)12.8mg(75.8μmol)を成分(B−2)28.9mg(171.0μmol)としたこと以外は実施例4と同様に行った。
重合の結果2.1gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性4.2×10 g/mol、融点=140.8℃、M=4100、M=1500、M/M=1.8、[mmmm]=47.3であった。表2に結果を示す。
【0244】
(実施例5)
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてヘキサン40mL、プロピレン80gを仕込み、反応器を70℃まで昇温した。昇温後、トリイソブチルアルミニウム(1mmol/mL、ヘキサン溶液)0.50mL(0.50mmol)を投入し、続いて[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)2.0mL(2.0μmol)を投入した後、成分(B−3)13.0mg(20.8μmol)を投入して重合を開始した。温度を70℃に保ちながら、60分間重合を行った。
重合の結果0.9gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性4.5×10 g/mol、融点=135.6、142.0℃、M=8900、M=4200、M/M=2.1、[mmmm]=86.5であった。表2に結果を示す。
【0245】
(比較例4)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)2.0mL(2.0μmol)を[シクロヘキサンジイル−trans-1,2-ビス(2-オキソイル-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)2.0mL(2.0μmol)としたこと、成分(B−3)13.0mg(20.8μmol)を成分(B−3)25.5mg(40.8μmol)としたこと以外は実施例5と同様に行った。
重合の結果0.2gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性1.0×10 g/mol、融点=134.5℃、M=5800、M=3000、M/M=1.9、[mmmm]=41.5であった。表2に結果を示す。
【0246】
(実施例6)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)の投入量0.5mL(0.5μmol)を2.0mL(2.0μmol)にしたこと、成分(B−2)12.8mg(75.8μmol)を成分(B−1)63.1mg(117.8μmol)にしたこと、重合時間60分を10分にしたこと以外は実施例4と同様に実施した。
重合の結果13.9gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性4.2×10 g/mol、融点=140.5℃、M=8100、M=3800、M/M=2.2、[mmmm]=89.0であった。表2に結果を示す。
【0247】
(実施例7)
[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルジルコニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)0.5mL(0.5μmol)を[シクロオクタンジイル−trans-1,2-ビス(5-tert-ブチル-3-クミル-2-オキソイルベンジルスルファニル)]ジベンジルハフニウム(1μmol/mL、トルエン溶液)1.0(1.0μmol)にしたこと、成分(B−2)12.8mg(75.8μmol)を成分(B−1)78.2mg(146.0μmol)にしたこと以外は実施例4と同様に実施した。
重合の結果20.4gのプロピレン単独重合体が得られた。重合活性2.0×10 g/mol、融点=154.7℃、M=43600、M=19300、M/M=2.3、[mmmm]=96.2であった。表2に結果を示す。
【0248】
実施例4〜7および比較例3、4で得られた重合結果を表2に示す。
【0249】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0250】
本発明は、ポリオレフィンの製造に関する分野に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)と、周期律表第12族の元素を含む活性化用助触媒成分(B)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
成分(A):下記一般式(1−1)または(1−2)で表される錯体

(式中、nは1または2であり、
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を表す。
およびRは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
または、置換シリル基を表す。
〜RおよびR〜R10は、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
〜R10における上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基、上記アリールオキシ基および上記ヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい。
上記R〜R10の定義に関わらず、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRおよびRとR10はそれぞれ相互に連結して環を形成してもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。
Xは、それぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
置換シリル基、
置換アミノ基、
置換チオラート基、または
炭素原子数1〜20のカルボキシラート基を表す。
Xにおける上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アルケニル基、上記アラルキル基、上記アリール基、上記アルコキシ基、上記アラルキルオキシ基および上記アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。
隣接するX同士は、相互に連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。lは、0、1、または2である。)
【請求項2】
担体をさらに含む請求項1に記載の重合用触媒。
【請求項3】
活性化用助触媒成分(B)が、下記(a)および(b)を接触させて得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の重合用触媒。
(a):下記一般式[B1]で表される化合物
[B1]
(b):下記一般式[B2]で表される化合物
t−1H [B2]
(上記一般式[B1]および[B2]において、Mは周期律表12族の原子を表し、Lは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、2つのLは互いに同じであっても、異なっていてもよく、Eは電子求引性基または電子求引性基を含有する基を表し、Tは周期律表第15族または第16族の原子を表し、tはT1の原子価を表す)
【請求項4】
活性化用助触媒成分(B)が、下記(a)〜(c)を接触させて得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の重合用触媒。
(a):下記一般式[B1]で表される化合物
[B1]
(b):下記一般式[A2]で表される化合物
t−1H [B2]
(c):下記一般式[B3]で表される化合物
t−1[B3]

(上記一般式[B1]〜[B3]においてそれぞれ、Mは周期律表12族の原子を表し、Lは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、2つのLは互いに同じであっても、異なっていてもよく、Eは電子求引性基または電子求引性基を含有する基を表し、Eはヒドロカルビル基またはハロゲン化ヒドロカルビル基を表し、Eが複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。2つのTはそれぞれ独立に周期律表第15族または第16族の原子を表し、tはTの原子価を表す)
【請求項5】
およびRが、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
または置換シリル基
であり、該アルキル基、該シクロアルキル基および該アラルキル基は置換基を有していてもよい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項6】
およびR10が、それぞれ独立して、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
置換シリル基
または環を構成する炭素原子数が3〜20のヘテロ環式化合物残基
であり、該アルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基、該アリール基および該ヘテロ環式化合物残基は置換基を有していてもよい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
、R、RおよびR10のアルキル基が、炭素原子数5〜10のアルキル基であり、該アルキル基は置換基を有していてもよい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
〜RおよびR〜Rがそれぞれ独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基
であり、該アルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基および該アリール基は置換基を有していてもよい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項9】
およびRがそれぞれ独立して、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
環を構成する炭素原子数が3〜10のシクロアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数6〜30のアリール基、
または置換シリル基
であり、該アルキル基、該シクロアルキル基、該アラルキル基および該アリール基は置換基を有していてもよい、請求項1〜8のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項10】
2、R4、R6およびR8が水素原子である請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項11】
Xが、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数7〜30のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜30のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜30のアリールオキシ基、
または置換アミノ基
であり、該アルキル基、該アラルキル基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基および該アリールオキシ基は置換基を有していてもよい、請求項1〜10のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項12】
nが2である請求項1〜11のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の触媒の存在下にオレフィンを重合させる、オレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2013−53309(P2013−53309A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174713(P2012−174713)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】