説明

オレフィン重合触媒用内部供与体

1,8−ナフチルジアリーロエート、1,8−ナフチルジアリーロエートの製造方法、1,8−ナフチルジアリーロエートの使用方法、固体チタン触媒成分、固体チタン触媒成分を含有する触媒系、固体チタン触媒成分の製造方法、および重合方法を開示する。該固体チタン触媒成分は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含有する。該触媒系には、固体チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物、および有機ケイ素化合物を含有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内部電子供与体、内部電子供与体の製造方法、固体チタン触媒成分、固体チタン触媒成分を含有する触媒系、固体チタン触媒成分の製造方法、および固体チタン触媒成分を含有する触媒系を用いた、α−オレフィンの重合方法または共重合方法を説明する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、単一のオレフィンに由来するポリマー類である。ポリオレフィンの既知の製造方法は、チーグラー・ナッタ触媒の使用を伴う。これらの触媒は、遷移金属ハロゲン化物を用いてビニルモノマーを重合し、立体規則性ポリマーを生成する。
【0003】
種々のチーグラー・ナッタ重合触媒が存在する。これらの触媒は、異なる特性を有し、および/または様々な性質を有するポリオレフィンの産生をもたらす。例えば、ある触媒は、高活性を有する一方、他の触媒は、低活性を有し、同様に、ある触媒は、寿命が長い一方、他の触媒は、寿命が短い。さらに、チーグラー・ナッタ重合触媒を用いて製造されたポリオレフィンは、立体規則性、分子量分布、衝撃強度、溶解流動性、剛性、ヒートシール性(heat sealability)、イソタクティシティ(高立体規則性)等の点で異なる。
【0004】
沈殿法によって製造される有用なチーグラー・ナッタ重合触媒は、有機マグネシウム化合物出発材料を用いて製造される。有機マグネシウム化合物は、所望の球状触媒粒子の形成をもたらす。有機マグネシウム化合物出発材料を非常に低価格のハロゲン化マグネシウムと交換することにより、制御が困難であり、かつ非球形である形態か、または噴霧凝結法(MgCl2をエタノールと混合し、加熱して混合物を形成し、次いで、ノズルを介して冷却液体またはガスに噴霧するプロセス)等の高額なプロセスの使用を有する、触媒粒子をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本発明の幾つかの態様の基本的な理解を提供するために、本発明の簡単な概要を示す。本概要は、本発明の広範囲に及ぶ概説ではない。本発明の鍵となるもしくは重要な要素を確認する、または本発明の範囲を詳しく説明することを意図するものではない。むしろ、本概要の唯一の目的は、以下に示されるより詳細な説明のための前置きとして簡単な形態において、本発明の幾つかの概念を示すことである。
【0006】
1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物、ならびに該1,8−ナフチルジアリーロエートの製造方法および使用方法を本明細書に提供する。1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、オレフィン重合触媒系の固体チタン触媒成分に使用する場合、向上した触媒活性、向上した水素反応、ポリマー組成物に対する向上した制御のうちの少なくとも1つを提供する。
【0007】
また、オレフィン重合用の固体チタン触媒成分、オレフィン重合触媒系、固体チタン触媒成分の製造方法、ならびに固体チタン触媒成分の使用を伴うオレフィンの重合方法および共重合方法も本明細書に提供する。固体チタン触媒成分は、チタン化合物、マグネシウム化合物、および1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含有する。該触媒系は、固体チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物、および有機ケイ素化合物を含有することができる。該チタン触媒成分は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物と、マグネシウム化合物およびチタン化合物を接触させることによって製造することができる。
【0008】
本発明はまた、オレフィンの重合方法または共重合方法も提供する。該方法は、固体チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物、および有機ケイ素化合物を含有する触媒系と、オレフィンを接触させることを伴う。固体チタン触媒成分は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含有する。
【0009】
前述および関連目的を達成するために、本発明は、以下に十分に記載され、かつおよび特許請求の範囲において特に指摘される特徴を伴う。以下の説明および付属される図は、本発明のある例示的な態様および実施を詳細に記述する。しかしながら、これらは、本発明の原理を採用し得る種々の方法の幾つかを示したものである。本発明の他の目的、有利な点、および新規な特徴は、図面と併せて考える場合、以下の本発明の詳細な説明から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一態様に従うオレフィン重合システムの高レベルの概略図である。
【図2】本発明の一態様に従うオレフィン重合反応器の概略図である。
【図3】本発明の一態様に従うインパクトコポリマーの高レベルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、1,8−ナフチルジアリーロエート化合物、1,8−ナフチルジアリーロエート化合物の製造方法、内部電子供与体としての1,8−ナフチルジアリーロエート化合物の使用方法、オレフィン重合用の固体チタン触媒成分、オレフィン重合触媒系、固体チタン触媒成分の製造方法、ならびに固体チタン触媒成分の使用を伴うオレフィンの重合方法および共重合方法に関する。
【0012】
1,8−ナフチルジアリーロエート化合物は、エステル結合によって接続される3つのアリール基(アリールエステル結合−ナフチルエステル結合−アリール化合物等の2つのエステル結合によって接続される3つのアリール基)を有する。
【0013】
いかなる理論にも拘束されたいわけではないが、1,8−ナフチルジアリーロエート化合物は、チタン化合物とマグネシウム化合物の双方に結合することが可能な化学構造を有すると考えられ、これらの双方は、一般に、オレフィン重合触媒系の固体チタン触媒成分に存在する。1,8−ナフチルジアリーロエート化合物はまた、これらの化合物の電子供与特性のため、オレフィン重合触媒系の固体チタン触媒成分中で内部電子供与体としても作用する。
【0014】
一実施形態では、1,8−ナフチルジアリーロエート化合物は、化学式(I)によって表され、
【0015】
【化1】

【0016】
式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである。別の実施形態では、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約12個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約12個の炭素原子を有するアルキルアリールである。
【0017】
1,8−ナフチルジアリーロエート化合物の一般例には、1,8−ナフチルジ(アルキルベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(ジアルキルベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(トリアルキルベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(アリールベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(ハロベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(ジハロベンゾエート)、1,8−ナフチルジ(アルキルハロベンゾエート)等が含まれる。
【0018】
1,8−ナフチルジアリーロエート化合物の特定の例には、1,8−ナフチルジベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−エチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−プロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソプロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−t−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フェニルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−シクロヘキシルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジクロロベンゾエート、および1,8−ナフチルジ−3,5−ジ−t−ブチルベンゾエート等が含まれる。
【0019】
1,8−ナフチルジアリーロエート化合物は、7〜約18個の炭素原子を有するアリール酸ハロゲン化物と、ナフチルアルコールを反応させること等の任意の好適な手段で製造することができる。これに関連して、ナフチルアルコールの一実施形態は、化学式(II)によって表され、
【0020】
【化2】

【0021】
式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、Xは、ハロゲンである。別の実施形態では、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約12個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約12個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、Xは、F、Cl、Br、またはIである。
【0022】
本発明の一態様は、チタン化合物、マグネシウム化合物、および1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含有する固体チタン触媒成分である。1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物の使用は、得られる触媒の向上した性能特性、例えば、高/向上した触媒活性、高/向上した水素反応、および所望の/制御可能なキシレン可溶性の値を有するポリオレフィンを産生する能力、所望の制御可能なメルトフローインデックス(向上した重合制御)等に寄与する。
【0023】
固体チタン触媒成分は、チタン化合物、マグネシウム化合物、および1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含有する高活性触媒成分である。固体チタン触媒成分の調製に使用されるチタン化合物には、例えば、式(III)で表される四価チタン化合物が含まれ、

Ti(OR)g4-g (III)

式中、各Rは独立して、炭化水素基、好ましくは、1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、0≦g≦4を表す。このチタン化合物の特定の例には、TiCl4、TiBr4、およびTiI4等の四ハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(O−n−C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、およびTi(O−i−C49)Br3等の三ハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(O−n−C492Cl2、およびTi(OC252Br2等の二ハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(O−n−C493Cl、およびTi(OC253Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン;ならびに、Ti(OCH34、Ti(OC254、およびTi(O−n−C494等のテトラアルコキシチタンが含まれる。これらのチタン化合物は、単独で、または炭化水素化合物もしくはハロゲン化炭化水素の溶液中で、使用され得る。
【0024】
固体チタン触媒成分の調製に使用されるマグネシウム化合物には、例えば、還元性を有さないマグネシウム化合物が含まれる。一実施形態では、還元性を有さないマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物を含有するハロゲンである。還元性を有さないマグネシウム化合物の特定の例には、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、およびフッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム:塩化メトキシマグネシウム、塩化エトキシマグネシウム、塩化イソプロポキシマグネシウム、塩化ブトキシマグネシウム、および塩化オクトキシマグネシウム等のハロゲン化アルコキシマグネシウム;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、および2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウムおよびジメチルフェノキシマグネシウム等のアリールオキシマグネシウム;ならびに、ラウリン酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩が含まれる。これらのマグネシウム化合物は、液体または固体の状態であり得る。
【0025】
一態様では、塩化マグネシウム、塩化アルコキシマグネシウム、および塩化アリールオキシマグネシウム等のマグネシウム化合物を含有するハロゲンは、マグネシウム化合物として採用されない。
【0026】
固体チタン触媒成分を調製する場合、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体を使用/添加する。固体チタン触媒成分は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体と、マグネシウム化合物およびチタン化合物を接触させることによって製造することができる。一実施形態では、固体チタン触媒成分は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体の存在下で、マグネシウム化合物およびチタン化合物を接触させることによって製造される。別の実施形態では、固体チタン触媒成分は、任意に、チタン化合物を用いて、および任意に、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体を用いて、マグネシウム系触媒支持体を形成することによって、ならびに、チタン化合物および1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体と、マグネシウム系触媒支持体を接触させることによって製造される。なお別の実施形態では、固体チタン触媒成分は、チタン化合物とマグネシウム系触媒支持体を接触させて、混合物を形成し、次いで、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体と該混合物を接触させることによって製造される。なおさらに別の実施形態では、固体チタン触媒成分は、チタン化合物とマグネシウム系触媒支持体を接触させて、混合物を形成し、次いで、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体と該混合物を接触させ、次いで、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体と該混合物を再度接触させることによって製造される。1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体とのこのような反復した接触は、1回、2回、3回、4回、またはそれ以上、連続して、あるいは追加の用量の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体との接触間に行われる他の作用と共に起こり得る。
【0027】
一実施形態では、固体チタン触媒化合物は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体を含むが、他の内部電子供与体を含まない。別の実施形態では、固体チタン触媒化合物は、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体に加えて、他の内部電子供与体を含む。例えば、固体チタン触媒成分を調製する場合、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体に加えて、フタル酸ジアルキル、ジアルキルコハク酸エステル、および/またはジエーテル等の他の内部電子供与体を使用/添加することができる。
【0028】
他の内部電子供与体の例には、有機酸エステル等の酸素含有電子供与体が含まれる。特定の例には、ブチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、ジエチル1,2−シクロヘキサンジカルボン酸塩、ジ−2−エチルヘキシル1,2−シクロヘキサンジカルボン酸塩、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、プロピルベンゾエート、ブチルベンゾエート、オクチルベンゾエート、シクロヘキシルベンゾエート、フェニルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソノニル、および1,3−ジエーテル化合物等のジエーテル化合物が含まれる。
【0029】
内部電子供与体は、個別に、または組み合わせて使用してよい。内部電子供与体を採用する際には、出発材料として直接使用する必要はないが、チタン触媒成分を調製する経過において、電子供与体に変換可能な化合物を出発材料として使用してもよい。
【0030】
固体チタン触媒化合物を製造する場合、エポキシ化合物を使用することができる。例えば、固体チタン触媒成分は、エポキシ化合物とマグネシウム化合物を接触させることによって調製される。エポキシ化合物には、モノマー、ダイマー、オリゴマー、およびポリマーの形態で少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物が含まれる。エポキシ化合物の例には、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物等が含まれる。脂肪族エポキシ化合物の例には、ハロゲン化脂肪族エポキシ化合物、ケト基を有する脂肪族エポキシ化合物、エーテル結合を有する脂肪族エポキシ化合物、エステル結合を有する脂肪族エポキシ化合物、第3級アミノ基を有する脂肪族エポキシ化合物、シアノ基を有する脂肪族エポキシ化合物等が含まれる。脂環式エポキシ化合物の例には、ハロゲン化脂環式エポキシ化合物、ケト基を有する脂環式エポキシ化合物、エーテル結合を有する脂環式エポキシ化合物、エステル結合を有する脂環式エポキシ化合物、第3級アミノ基を有する脂環式エポキシ化合物、シアノ基を有する脂環式エポキシ化合物等が含まれる。芳香族エポキシ化合物の例には、ハロゲン化芳香族エポキシ化合物、ケト基を有する芳香族エポキシ化合物、エーテル結合を有する芳香族エポキシ化合物、エステル結合を有する芳香族エポキシ化合物、第3級アミノ基を有する芳香族エポキシ化合物、シアノ基を有するエポキシ化合物等が含まれる。
【0031】
エポキシ化合物の特定の例には、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、1,2−エポキシ−4−フルオロブタン、1−(2,3−エポキシプロピル)−4−フルオロベンゼン、1−(3,4−エポキシブチル)−2−フルオロベンゼン、1−(2,3−エポキシプロピル)−4−クロロベンゼン、1−(3,4−エポキシブチル)−3−クロロベンゼン等が含まれる。ハロゲン化脂環式エポキシ化合物の特定の例には、4−フルオロ−1,2−シクロヘキセンオキシド、6−クロロ−2,3−エポキシビジクロ[2.2.1]ヘプタン等が含まれる。ハロゲン化芳香族エポキシ化合物の特定の例には、4−フルオロスチレンオキシド、1−(1,2−エポキシプロピル)−3−トリフルオロベンゼン等が含まれる。
【0032】
一実施形態では、固体チタン触媒成分を形成する場合、界面活性剤を使用する。界面活性剤は、固体チタン触媒成分および触媒系の多くの有益な性質に寄与することができる。界面活性剤の一般例には、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリアルキルメタクリル酸塩等が含まれる。ポリアルキルメタクリル酸塩は、少なくとも2つの異なるメタクリル酸塩モノマー、少なくとも3つの異なるメタクリル酸塩モノマー等の1つもしくは複数のメタクリル酸塩モノマーを含有し得るポリマーである。さらに、アクリル酸塩およびメタクリル酸塩ポリマーは、ポリマー界面活性剤が、少なくとも約40重量%のアクリル酸塩およびメタクリル酸塩モノマーを含有する限り、アクリル酸塩およびメタクリル酸塩ポリマー以外のモノマーを含有し得る。
【0033】
一実施形態では、非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤を使用することができる。非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤の例には、リン酸エステル、スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアリール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノール、エトキシ化アルコール、カルボン酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アルデヒド、脂肪酸ケトン、脂肪酸ニトリル、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、無水コハク酸、無水フタル酸、ロジン、テルペン、フェノール等が含まれる。実際に、いくつかの無水界面活性剤が有効である。場合によっては、無水界面活性剤の不在は、微小の触媒支持粒子の形成を生じる一方、過度の使用は、時には、針と称されるわら形状の材料を作成する。
【0034】
固体チタン触媒成分は、高活性チタン触媒成分を調製するために使用される既知の方法によって、マグネシウム化合物、チタン化合物、および内部電子供与体を接触させることによって形成することができる。
【0035】
固体チタン触媒成分の生成方法の幾つかの例を、以下に簡潔に説明する。
【0036】
(1) 任意に、内部電子供与体を有するマグネシウム系触媒支持体を、液相中で、チタン化合物と反応させる。
(2) マグネシウム系触媒支持体およびチタン化合物を、内部電子供与体の存在下で反応させ、固体チタン錯体を沈殿させる。
(3) (2)で得られた反応生成物を、チタン化合物と更に反応させる。
(4) (1)または(2)で得られた反応生成物を、内部電子供与体およびチタン化合物と更に反応させる。
(5) (1)〜(4)で得られた反応生成物を、ハロゲン、ハロゲン化合物、または芳香族炭化水素で処理する。
(6) マグネシウム系触媒支持体を、任意の内部電子供与体、チタン化合物、および/またはハロゲン含有炭化水素と反応させる。
(7) マグネシウム系触媒支持体を、液相中で、チタン化合物と接触させ、濾過し、洗浄する。反応生成物を、内部電子供与体およびチタン化合物と更に反応させ、次いで、有機媒体中の追加のチタン化合物で活性化する。
【0037】
実施例(2)、(3)、(4)、および(5)に従い、固体チタン触媒成分を製造する実施形態では、マグネシウム系溶液を、液体チタンテトラハロゲン化物等のチタン化合物と混合し、任意に補助的な沈殿剤の存在下で、固体沈殿物を形成する。その固体の沈殿の前、間、または後に、ポリカルボン酸エステルが添加され得、固体上に装填し得る。
【0038】
固体沈殿のプロセスは、3つの方法のうちの少なくとも1つによって実行することができる。一方法は、摂氏約−40℃〜摂氏約0℃の範囲の温度で、マグネシウム系溶液と液体チタンテトラハロゲン化物等のチタン化合物を混合する一方、温度は、摂氏約60℃〜摂氏約100℃のような摂氏約30℃〜摂氏約120℃の範囲までゆっくりと上昇させることを伴う。第2の方法は、低温または室温で、マグネシウム系溶液にチタン化合物を滴下し、直ちに固体を析出することを伴う。第3の方法は、マグネシウム系溶液に第1のチタン化合物を滴下し、マグネシウム支持体と第2のチタン化合物を混合することを伴う。これらの方法では、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体は、望ましくは、反応系に存在し得る。マグネシウム系溶液を得た後、あるいはマグネシウム系触媒支持体を形成した後のいずれかで、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体を添加することができる。代替として、補助的な沈殿剤を添加して、マグネシウム系触媒支持体を形成することができる。
【0039】
触媒前駆体を以下の方法で形成することができる。トルエン等の溶媒中で、マグネシウムおよびチタンの含有溶液が、摂氏−25℃から摂氏約0℃までの比較的低温で、TiCl4等のハロゲン化剤を添加した後に見出される。次いで、油相を形成し、摂氏約40℃まで安定した炭化水素相に分散することができる。得られたマグネシウム材料は、この時点で半固体になり、粒子形態が直ちに決定される。その半固体は、摂氏約40℃〜摂氏約80℃で固体に変換する。
【0040】
均一の固体粒子を容易に得るために、沈殿のプロセスをゆっくりと実行することができる。低温または室温で、チタンハロゲン化物を滴下する第2の方法が適用される場合、該プロセスが、約1時間〜約6時間の期間にわたり行われ得る。低速手段で温度を上昇させる第1の方法が適用される場合、温度上昇率は、1時間当たり摂氏約4℃〜摂氏約125℃の範囲であり得る。
【0041】
最初に、固体沈殿物を混合物から分離する。このようにして得られた固体沈殿物では、種々の錯体および副生成物を得られ得るため、場合によっては、更なる処理を必要とし得る。一実施形態では、固体沈殿物を、チタン化合物で処理し、実質的には、固体沈殿物から副生成物を除去する。
【0042】
固体沈殿物を、不活性希釈剤で洗浄し、次いで、チタン化合物、またはチタン化合物と不活性希釈剤との混合物で処理することができる。この処理で使用されるチタン化合物は、固体沈殿物を形成するために使用されるチタン化合物と同一、または異なるものであり得る。使用されるチタン化合物の量は、支持体中のマグネシウム化合物1モル当たり約1〜約20モル、例えば、約2〜約15モルである。処理温度は、摂氏約50℃〜摂氏約150℃、例えば、摂氏約60℃〜摂氏約100℃の範囲である。チタンテトラハロゲン化物と不活性希釈剤との混合物を使用して、固体沈殿物を処理する場合、処理溶液中のチタンテトラハロゲン化物の容量%は、約10%〜約100%であり、残りは、不活性希釈剤である。
【0043】
処理された固体は、不活性希釈剤で更に洗浄して、無効のチタン化合物および他の副生成物を除去することができる。本明細書に使用される不活性希釈剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、および他の炭化水素が可能である。
【0044】
チタン化合物および任意に不活性希釈剤で固体沈殿物を処理することによって、固体沈殿物中の副生成物を、固体沈殿物から除去することができる。一実施形態では、約2回以上5回以下で、固体沈殿物を、チタン化合物および任意に不活性希釈剤で処理する。
【0045】
不活性希釈剤で固体沈殿物を処理することによって、固体沈殿物中の遊離チタン化合物を固体沈殿物から除去することができる。結果として、得られる固体沈殿物は、実質的には、遊離チタン化合物を含有しない。一実施形態では、濾液が、約100ppm以下のチタンを含有するまで、固体沈殿物を、不活性希釈剤で繰り返し処理する。別の実施形態では、濾液が、約50ppm以下のチタンを含有するまで、固体沈殿物を、不活性希釈剤で繰り返し処理する。なお別の実施形態では、濾液が、約10ppm以下のチタンを含有するまで、固体沈殿物を、不活性希釈剤で繰り返し処理する。一実施形態では、約3回以上7回以下で、固体沈殿物を、不活性希釈剤で処理する。
【0046】
一実施形態では、固体触媒成分は、約0.5〜約6.0重量%のチタン、約10〜約25重量%のマグネシウム、約40〜約70重量%のハロゲン、約1〜約50重量%の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体、および任意に約0〜約15重量%の不活性希釈剤を含有する。別の実施形態では、固体触媒成分は、約2〜約20重量%の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体のうちの1つもしくは複数を含有する。なお別の実施形態では、固体触媒成分は、約5〜約15重量%の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体のうちの1つもしくは複数を含有する。
【0047】
固体チタン触媒成分を調製するのに使用される構成成分の量は、調製方法によって異なり得る。一実施形態では、固体チタン触媒成分を製造するために使用されるマグネシウム化合物1モル当たり、約0.01〜約5モルの1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体および約0.01〜約500モルのチタン化合物が使用される。別の実施形態では、固体チタン触媒成分を製造するために使用されるマグネシウム化合物1モル当たり、約0.05〜約2モルの1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体および約0.05〜約300モルのチタン化合物が使用される。
【0048】
一実施形態では、固体チタン触媒成分中のハロゲン/チタンの原子比は、約4〜約200であり、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体/チタンのモル比は、約0.01〜約10であり、マグネシウム/チタンの原子比は、約1〜約100である。別の実施形態では、固体チタン触媒成分中のハロゲン/チタンの原子比は、約5〜約100であり、1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体/チタンのモル比は、約0.2〜約6であり、マグネシウム/チタンの原子比は、約2〜約50である。
【0049】
得られる固体チタン触媒成分は、一般に、市販のハロゲン化マグネシウムよりも小さい結晶サイズのハロゲン化マグネシウムを含有し、通常、少なくとも約50m2/g、例えば、約60〜1,000m2/g、または約100〜800m2/gの特定の表面積を有する。そのため、上記の構成成分を一体化し、固体チタン触媒成分の一体構造を形成し、固体チタン触媒成分の組成物は、実質的には、例えば、ヘキサンで洗浄することによって変化しない。
【0050】
無機または有機化合物、例えば、ケイ素化合物、アルミニウム化合物等で希釈した後、固体チタン触媒成分を使用し得る。
【0051】
本発明において使用することができる、固体チタン触媒成分の調製方法は、米国特許および米国公開第4,771,023号、第4,784,983号、第4,829,038号、第4,861,847号、第4,990,479号、第5,177,043号、第5,194,531号、第5,244,989号、第5,438,110号、第5,489,634号、第5,576,259号、第5,767,215号、第5,773,537号、第5,905,050号、第6,323,152号、第6,437,061号、第6,469,112号、第6,962,889号、第7,135,531号、第7,153,803号、第7,271,119号、第2004242406号、第2004/0242407号、および第2007/0021573号に記載されており、これらは、参照することによってこの点について本明細書に組み込まれる。
【0052】
本触媒系は、固体チタン触媒成分に加えて少なくとも1つの有機アルミニウム化合物を含有し得る。分子中に少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合を有する化合物は、有機アルミニウム化合物として使用することができる。有機アルミニウム化合物の例には、以下の式(IV)の化合物が含まれる。
【0053】
mAlXp (IV)

式(IV)中では、各Rは独立して、通常、1〜約15個の炭素原子、または1〜約4個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子(m<3、0≦p<3、およびm+p=3)を表す。
【0054】
式(IV)で表される有機アルミニウム化合物の特定の例には、トリエチルアルミニウムおよびトリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;トリイソプレニルアルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシドおよびジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシドおよびブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;R2.53Al(OR40.5で表される平均組成物を有する、部分的にアルコキシル化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、およびジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハロゲン化物;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、およびエチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハロゲン化物;部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、例えば、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、およびブチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハロゲン化物;ジエチルアルミニウムヒドリドおよびジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド;他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、例えば、エチルアルミニウムジヒドリドおよびプロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド;およびエチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、およびエチルアルミニウムエトキシブロミド等の、部分的にアルコキシル化され、およびハロゲン化されたアルミニウムが含まれる。
【0055】
有機アルミニウム化合物触媒成分は、アルミニウムのチタンに対するモル比(固体触媒成分より)が、約5〜約1000の範囲の量で、本発明の触媒系内に使用される。別の実施形態では、本触媒系において、アルミニウムのチタンに対するモル比は、約10〜約700である。なお別の実施形態では、本触媒系において、アルミニウムのチタンに対するモル比は、約25〜約400である。
【0056】
本触媒系は、固体チタン触媒成分に加えて少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含有し得る。この有機ケイ素化合物は、時として、外部電子供与体と称される。有機ケイ素化合物は、少なくとも1つの炭化水素リガンド(炭化水素基)を有するケイ素を含有する。炭化水素基の一般例には、シクロアルキル基、(シクロアルキル)メチレン基、アルケン基、芳香族基等が含まれる。
【0057】
オレフィン重合用のチーグラー・ナッタ触媒系の1成分として作用する外部電子供与体として使用された場合には、有機ケイ素化合物は、制御可能な分子量分布および制御可能な結晶化度を有するが、触媒活性に関して高い性能を維持し、および立体規則性が高度なポリマーの収率を維持するポリマー(少なくとも、その一部がポリオレフィンである)を得るための機能に寄与する。
【0058】
有機ケイ素化合物は、有機アルミニウム化合物の有機ケイ素化合物に対するモル比が、約2〜約90の範囲になる量で、本触媒系内に使用される。別の実施形態では、有機アルミニウム化合物の有機ケイ素化合物に対するモル比は、約5〜約70である。なお別の実施形態では、有機アルミニウム化合物の有機ケイ素化合物に対するモル比は、約7〜約35である。
【0059】
一実施形態では、有機ケイ素化合物は、式(V)で表され、

nSi(OR′)4-n (V)

式中、各RおよびR′は独立して、炭化水素基を表し、nは、0≦n<4である。
【0060】
式(V)の有機ケイ素化合物の特定の例には、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス−o−トリルジメトキシシラン、ビス−m−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジメトキシシラン、ビス−p−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ガンマ−クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソ−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルネントリメトキシシラン、2−ノルボラントリエトキシシラン、2−ノルボルネンメチルジメトキシシラン、エチルシリケート、ブチルシリケート、トリメチルフェノキシシラン、およびメチルトリアリルオキシシランが含まれる。
【0061】
別に実施形態では、有機ケイ素化合物は、式(VI)で表され、

SiRR′m(OR′′)3-m (VI)

上述の式(VI)では、02等の0m<3であり、各Rは独立して、環状炭化水素基または置換環状炭化水素基を表す。R基の特定の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2−メチルシクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2−エチルシクロペンチル、3−プロピルシクロペンチル、3−イソプロピルシクロペンチル、3−ブチルシクロペンチル、3−ターシャリーブチルシクロペンチル、2,2−ジメチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、2,5−ジメチルシクロペンチル、2,2,5−トリメチルシクロペンチル、2,3,4,5−テトラメチルシクロペンチル、2,2,5,5−テトラメチルシクロペンチル、1−シクロペンチルプロピル、1−メチル−1−シクロペンチルエチル、シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、3−シクロペンテニル、2−メチル−1−シクロペンテニル、2−メチル−3−シクロペンテニル、3−メチル−3−シクロペンテニル、2−エチル−3−シクロペンテニル、2,2−ジメチル−3−シクロペンテニル、2,5−ジメチル−3−シクロペンテニル、2,3,4,5−テトラメチル−3−シクロペンテニル、2,2,5,5−テトラメチル−3−シクロペンテニル、1,3−シクロペンタジエニル、2,4−シクロペンタジエニル、1,4−シクロペンタジエニル、2−メチル−1,3−シクロペンタジエニル、2−メチル−2,4−シクロペンタジエニル、3−メチル−2,4−シクロペンタジエニル、2−エチル−2,4−シクロペンタジエニル、2−ジメチル−2,4−シクロペンタジエニル、2,3−ジメチル−2,4−シクロペンタジエニル、2,5−ジメチル−2,4−シクロペンタジエニル、2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、2−エチルインデニル、2−インデニル、1−メチル−2−インデニル、1,3−ジメチル−2−インデニル、インダニル、2−メチルインダニル、2−インダニル、1,3−ジメチル−2−インダニル、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−2−インデニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−メチル−2−インデニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1,3−ジメチル−2−インデニル、フルオレニル基、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシル、n−ブチルシクロヘキシル、ターシャリー−ブチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、およびトリメチルシクロヘキシルが含まれる。
【0062】
式(VI)では、R′およびR′′は、同一のものまたは異なるものであり、それぞれが、炭化水素をあらわす。R′およびR′′の例は、3個以上の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリール、およびアラルキル基である。さらに、R′およびR′′は、アルキル基等によって架橋結合されても良い。有機ケイ素化合物の一般例は、式(VI)のもので、ここで、Rがシクロペンチル基、R′がメチル基等のアルキル基またはシクロペンチ基、R′′がアルキル基、特にメチル基またはエチル基である。
【0063】
式(VI)の有機ケイ素化合物の特定の例には、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3−ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,5−ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンテニルトリエトキシシラン、3−シクロペンテニルトリメトキシシラン、2,4−シクロペンタジエチルトリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、およびフルオレニルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(3−ターシャリー−ブチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,5−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、シクロプロピルシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジ(3−シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ビス(2,5−ジメチル−3−シクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ−2,4−シクロペンタジエニルジメトキシシラン、ビス(2,5−ジメチル−2,4−シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ビス(1−メチル−1−シクロペンチルエチル)ジメトキシシラン、シクロペンチルシクロペンテニルジメトキシシラン、シクロペンチルシクロペンタジエニルジメトキシシラン、ジインデニルジメトキシシラン、ビス(1,3−ジメチル−2−インデニル)ジメトキシシラン、シクロペンタジエニルインデニルジメトキシシラン、ジフルオレニルジメトキシシラン、シクロペンチルフルオレニルジメトキシシラン、およびインデニルフルオレニルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン;トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンテニルメトキシシラン、トリシクロペンタジエニルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン、ビス(2,5−ジメチルシクロペンチル)シクロペンチルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンテニルメトキシシラン、ジシクロペンチルシクロペンタジエニルメトキシシラン、およびジインデニルシクロペンチルメトキシシラン等のモノアルコキシシラン;ならびにエチレンビス−シクロペンチルジメトキシシランが含まれる。
【0064】
オレフィンの重合は、上述の触媒系の存在下で実行される。通常、オレフィンは、好適な条件下で、上述の触媒系と接触され、所望のポリマー生成物を形成する。一実施形態では、下述の予備重合が、主要な重合前に実行される。別の実施形態では、重合は、予備重合なく実行される。なお別の実施形態では、コポリマーの形成は、少なくとも2つの重合領域を使用して実行される。
【0065】
予備重合では、固体チタン触媒成分は、通常、有機アルミニウム化合物の少なくとも一部と組み合わせて採用される。これは、有機ケイ素化合物(外部電子供与体)の一部または全体の存在下で、行われ得る。予備重合において使用される本触媒系の濃度は、主要な重合の反応系のものよりもはるかに高いものであり得る。
【0066】
予備重合では、予備重合における固体チタン触媒成分の濃度は、通常、下述の不活性炭化水素媒体の1リットル当たりとして計算して、約0.01〜約200ミリモル、好ましくは、約0.05〜約100ミリモルの範囲になる。一実施形態では、予備重合は、オレフィンおよび上述の触媒系構成成分を不活性炭化水素媒体に添加し、かつ、軽度の条件下で、オレフィンと反応させることによって実行される。
【0067】
不活性炭化水素媒体の特定の例には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、およびケロシン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素;塩化エチレンおよびクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ならびにこれらの混合物が含まれる。本発明では、液体オレフィンは、部分的または全部の不活性炭化水素媒体の代わりとして使用され得る。
【0068】
予備重合に使用されたオレフィンは、主要な重合に使用されるべきオレフィンと同一、または異なるものであり得る。
【0069】
予備重合用の反応温度は、不活性炭化水素媒体中に実質的には溶解しない得られる予備ポリマーに対して十分である。一実施形態では、この温度は、摂氏約−20℃〜摂氏約100℃の範囲である。別の実施形態では、この温度は、摂氏約−10℃〜摂氏約80℃の範囲である。なお別の実施形態では、この温度は、摂氏約0℃〜摂氏約40℃の範囲である。
【0070】
任意に、水素等の分子量制御剤を、予備重合において使用してもよい。分子量制御剤は、予備重合によって得られるポリマーが、固有粘度を有するような量で使用され、かつ、摂氏135℃で、少なくとも約0.2dl/g、および好ましくは約0.5〜10dl/gのデカリン中で測定される。
【0071】
一実施形態では、予備重合は、望ましくは、本触媒系のチタン触媒成分の1グラム当たり約0.1g〜約1,000gのポリマーが形成されるように実行される。別の実施形態では、予備重合は、望ましくは、チタン触媒成分の1グラム当たり約0.3g〜約500のポリマーが形成されるように実行される。予備重合によって形成されるポリマーの量が、多すぎる場合、主要な重合においてオレフィンポリマーを産生する効率は、時として、低下し得、得られるオレフィンポリマーを、フィルムまたは別の物品に成形する場合、斑点が成形品に生じる傾向がある。予備重合は、バッチ方式または連続方式で行われ得る。
【0072】
上述のように予備重合を行った後、あるいは予備重合を全く行わなかった後、オレフィンの主要な重合は、固体チタン触媒成分、有機アルミニウム化合物、および有機ケイ素化合物(外部電子供与体)から形成された上述のオレフィン重合触媒系の存在下で実行される。
【0073】
主要な重合において使用可能なオレフィンの例は、エチレン(ポリエチレン用)、ポリピレン(ポリプロピレン用)、1−ブテン(ポリブチレン用)、4−メチル−1−ペンテン(ポリメチルペンテンまたはPMP用)、1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−エイコセン、およびビニルシクロヘキサン等の2〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンである。本発明のプロセスにおいて、これらのα−オレフィンは、単独でまたは任意に組み合わせて使用され得る。
【0074】
一実施形態では、プロピレンまたは1−ブテンは、単独重合されるか、または主成分としてプロピレンまたは1−ブテンを含有する混合オレフィンが共重合される。この混合オレフィンを使用する場合、主成分としてプロピレンまたは1−ブテンの割合は、通常、少なくとも約50モル%、好ましくは、少なくとも約70モル%である。
【0075】
予備重合を行うことによって、主要な重合における本触媒系は、活性の程度において調節され得る。この調節は、かさ密度の高い粉末状のポリマーを得る傾向がある。さらに、予備重合が実行される際、得られるポリマーの流体形状は、球形になり、スラリー重合の場合には、該スラリーが卓越した特性を得る一方、ガス相重合の場合には、ポリマー播床は、卓越した特性を得る。さらに、これらの実施形態では、少なくとも約3個の炭素原子を有するα−オレフィンを重合することによって、触媒効率が高い高立体規則性指標を有するポリマーを産生することができる。したがって、プロピレンコポリマーを産生する場合、得られるコポリマー粉末またはコポリマーは、扱いやすい。
【0076】
これらのオレフィンの単独重合または共重合では、共役ジエンまたは非共役ジエン等のポリ不飽和化合物は、コモノマーとして使用され得る。コモノマーの例には、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリルアミド、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、メタクリル酸アルキル、およびアクリル酸アルキルが含まれる。一実施形態では、これらのコモノマーには、熱可塑性モノマーおよびエラストマーモノマーが含まれる。
【0077】
オレフィンの主要な重合は、通常、ガス相または液相において実行される。一実施形態では、重合(主要な重合)は、Ti原子として計算して、チタン触媒成分を、重合領域の容量の1リットル当たり約0.001〜約0.75ミリモルの量で含有し、有機アルミニウム化合物を、チタン触媒成分中のチタン原子の1モル当たり約1〜約2,000モルの量で含有し、および有機ケイ素化合物(外部供与体)を、有機ケイ素化合物中のSi原子として計算して、有機アルミニウム化合物中の金属原子の1モル当たり約0.001〜約10モルの量で含有する、触媒系を採用する。別の実施形態では、重合は、Ti原子として計算して、チタン触媒成分を、重合領域の容量の1リットル当たり約0.005〜約0.5ミリモルの量で含有し、有機アルミニウム化合物を、チタン触媒成分中のチタン原子の1モル当たり約5〜約500モルの量で含有し、および有機アルミニウム化合物を、有機ケイ素化合物中のSi原子として計算して、有機アルミニウム化合物中の金属原子の1モル当たり約0.01〜約2モルの量で含有する、触媒系を採用する。なお別の実施形態では、重合は、有機ケイ素化合物を、有機ケイ素化合物中のSi原子として計算して、有機アルミニウム化合物中の金属原子の1モル当たり約0.05〜約1モルの量で含有する、触媒系を採用する。
【0078】
有機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物を予備重合において部分的に使用する場合、予備重合に供される触媒系は、残りの触媒系成分と共に使用される。予備重合に供される触媒系は、予備重合生成物を含有し得る。
【0079】
重合時の水素の使用は、得られるポリマーの分子量を促進し、制御するのに貢献し、得られるポリマーは、高いメルトフローレートを有し得る。この場合には、得られるポリマーの立体規則性指標および触媒系の活性は、本発明の方法に従い増大する。
【0080】
一実施形態では、重合温度は、摂氏約20℃〜摂氏約200℃の範囲である。別の実施形態では、重合温度は、摂氏約50℃〜摂氏約180℃の範囲である。一実施形態では、重合圧力は、一般的には、約大気圧〜約100kg/cm2の範囲である。別の実施形態では、重合圧力は、一般的には、約2kg/cm2〜約50kg/cm2の範囲である。主要な重合は、バッチ方式、半連続方式、または連続方式で行われ得る。その重合はまた、異なる反応条件下で、2工程以上で実行してもよい。
【0081】
このようにして得られるオレフィンポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはインパクトコポリマーであってよい。インパクトコポリマーは、ポリオレフィンホモポリマーとポリオレフィンゴムとの緊密な混合物を含有する。ポリオレフィンゴムの例には、エチレンプロピレンメチレンコポリマーゴム(EPM)およびエチレンプロピレンジエンメチレンターポリマーゴム(EPDM)等のエチレンプロピレンゴム(EPR)が含まれる。
【0082】
本触媒系を使用することによって得られるオレフィンポリマーは、微小量の非晶質ポリマー成分、ひいては、少量の炭化水素可溶成分を有する。したがって、この得られるポリマーから成形されるフィルムは、低表面粘着性を有する。
【0083】
この重合プロセスによって得られるポリオレフィンは、粒子サイズ分布、粒子径、およびかさ密度において優れており、得られるコポリオレフィンは、成分分布が狭い。インパクトコポリマーでは、優れた流動性、低い温度抵抗性、および硬さと弾性の所望のバランスを得ることができる。
【0084】
一実施形態では、プロピレンおよび2個または約4〜約20個の炭素原子を有するα−オレフィンは、上述の触媒系の存在下で、共重合される。本触媒系は、上述の予備重合に供されるものであり得る。別の実施形態では、プロピレンおよびエチレンゴムは、直列に連結される2つの反応器中で形成され、インパクトコポリマーを形成する。
【0085】
2個の炭素原子を有するα−オレフィンは、エチレンであり、約4〜約20個の炭素原子を有するα−オレフィンの例は、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、ビニルシクロヘキサン、1−テトラデセン等である。
【0086】
主要な重合では、プロピレンは、2つ以上のこのようなα−オレフィンで共重合され得る。例えば、エチレンおよび1−ブテンとプロピレンを共重合することが可能である。
【0087】
一実施形態では、プロピレンは、エチレン、1−ブテン、またはエチレンおよび1−ブテンと共重合される。
【0088】
プロピレンおよび別のα−オレフィンのブロック共重合は、2工程で行われ得る。第1の工程における重合は、プロピレンの単独重合または他のα−オレフィンとプロピレンの共重合であり得る。一実施形態では、第1の工程において、重合されるモノマーの量は、約50〜約95重量%である。別の実施形態では、第1の工程において、重合されるモノマーの量は、約60〜約90重量%である。本発明では、必要とされる場合、同一のまたは異なる重合条件下で、2工程以上において、この第1の工程の重合が実行され得る。
【0089】
一実施形態では、望ましくは、他のα−オレフィン(単数または複数)に対するプロピレンのモル比が約10/90〜約90/10になるように、第2の工程における重合が実行される。
【0090】
別の実施形態では、望ましくは、他のα−オレフィン(単数または複数)に対するプロピレンのモル比が約20/80〜約80/20になるように、第2の工程における重合が実行される。なお別の実施形態では、望ましくは、他のα−オレフィン(単数または複数)に対するプロピレンのモル比が約30/70〜約70/30になるように、第2の工程における重合が実行される。別のα−オレフィンの結晶性ポリマーまたはコポリマーを、第2の重合工程において提供し得る。
【0091】
このようにして得られるプロピレンコポリマーは、ランダムコポリマーまたは上述のブロックコポリマーであり得る。このプロピレンコポリマーは、一般的には、2個または約4〜約20個の炭素原子を有するα−オレフィンに由来する約7〜約50モル%のユニットを含有する。一実施形態では、プロピレンランダムコポリマーは、2個または約4〜約20個の炭素原子を有するα−オレフィンに由来する約7〜約20モル%のユニットを含有する。別の実施形態では、プロピレンブロックコポリマーは、2個または4〜20個の炭素原子を有するα−オレフィンに由来する約10〜約50モル%のユニットを含有する。
【0092】
別の一実施形態では、本触媒系を用いて製造されたコポリマーは、約50重量%〜約99重量%のポリ−α−オレフィンおよび約1重量%〜約50重量%のコモノマー(熱可塑性モノマーおよびエラストマーモノマー等)を含有する。別の実施形態では、本触媒系を用いて製造されたコポリマーは、約75重量%〜約98重量%のポリ−α−オレフィンおよび約2重量%〜約25重量%のコモノマーを含有する。
【0093】
使用することができるポリ不飽和化合物、重合の方法、触媒系の量および重合条件への言及がない場合、上述の実施形態と同一の説明が適用されると理解されたい。
【0094】
本発明の触媒/方法は、場合によっては、キシレン可溶性(XS)が約0.5%〜約10%であるポリ−α−オレフィンの生成をもたらすことができる。別の実施形態では、キシレン可溶性(XS)が約1.5%〜約6%であるポリ−α−オレフィンを、本発明に従い生成する。XSとは、キシレンに溶解する固体ポリマーの百分率を指す。低XS%値は、概して、高アイソタクチックポリマー(即ち、高い結晶性)に対応し、高XS%値は、概して、低アイソタクチックポリマーに対応する。
【0095】
一実施形態では、本発明の触媒系の触媒効率(触媒1グラム当たり生成されるポリマーのキログラム数として測定される)は、少なくとも約30である。別の実施形態では、本発明の触媒系の触媒効率は、少なくとも約60である。
【0096】
本発明の触媒/方法は、場合によっては、約0.1〜約100のメルトフローインデックス(MFI)を有するポリ−α−オレフィンの生成をもたらすことができる。MFIは、ASTM標準D1238に従って測定される。別の実施形態では、約5〜約30のMFIを有するポリ−α−オレフィンを、本発明に従って生成する。一実施形態では、インパクトポリプロピレンエチレンプロピレンゴム製品は、約4〜約10のMFIを有する。別の実施形態では、インパクトポリプロピレンエチレンプロピレンゴム製品は、約5〜約9のMFIを有する。場合によっては、比較的高いMFIは、比較的高い触媒効率が得られることを示す。
【0097】
本発明の触媒/方法は、場合によっては、少なくとも約0.3cc/gのかさ密度(BD)を有するポリ−α−オレフィンの生成をもたらすことができる。別の実施形態では、少なくとも約0.4cc/gのBDを有するポリ−α−オレフィンは、本発明に従って生成される。
【0098】
一実施形態では、少なくとも約0.3cc/gのBDを有するインパクトポリプロピレン−エチレンプロピレンゴム製品は、本発明に従って生成される。別の実施形態では、少なくとも約0.4cc/gのBDを有するインパクトポリプロピレン−エチレンプロピレンゴム製品は、本発明に従って生成される。
【0099】
本発明の触媒/方法は、比較的狭い分子量分布を有するポリ−α−オレフィンの生成をもたらす。一実施形態では、本触媒系を用いて製造されるポリプロピレンポリマーのMw/Mnは、約2〜約6である。別の実施形態では、本触媒系を用いて製造されるポリプロピレンポリマーのMw/Mnは、約3〜約5である。
【0100】
本発明は、プロピレンブロックコポリマーの生成をもたらすことができ、ならびに卓越した溶解−流動性、成形性、剛性と弾性の所望のバランス、ポリマー粒子のサイズ、形状、サイズ分布および分子量分布、良好な立体特異性の制御、高い触媒効率を伴う衝撃強度にわたる良好な制御、および/または良好な操作性のうちの1つもしくは複数を有する、ポリプロピレン系のインパクトコポリマーを含むインパクトコポリマーの生成をもたらすことができる。本発明に従う固体チタン触媒成分を含有する触媒系の採用により、高い触媒効率を有すると共に、卓越した溶解流動性、押出性、成形性、剛性−弾性、および衝撃強度のうちの1つもしくは複数を有する触媒が得られる。
【0101】
これから、重合オレフィン用の系の例を説明する。図1を参照して、重合オレフィン用の系10の高レベルの概略図を示す。入口12を使用して、反応器14に、触媒系成分、オレフィン、任意のコモノマー、水素ガス、流体媒体、pH調節剤、界面活性剤、および任意の他の添加剤を導入する。1個の入口のみが示されているが、多数の入口が採用されることもある。反応器14は、オレフィンを重合することができる任意の好適なビヒクルである。反応器14の例には、単一反応器、2台以上の一連の反応器、スラリー反応器、固定床反応器、ガス相反応器、流動床ガス反応器、ループ反応器、複数領域循環反応器等が含まれる。重合が完了するか、またはポリオレフィンが生成されると、コレクター18に導かれる、出口16を介して、反応器14からポリマー生成物が除去される。コレクター18は、加熱、押出、成形等の下流プロセスを含んでも良い。
【0102】
図2を参照して、ポリオレフィンを製造するための図1の反応器14、および図3の反応器44として採用することができる複数領域循環反応器20の概略図である。複数領域循環反応器20は、液体バリアを使用することにより、2方側で異なるガス相重合条件を許容する、単一の反応器ループで一連の別個の反応器を代用するものである。複数領域循環反応器20において、第1の領域でオレフィンモノマー、および任意に1種もしくは複数種のコモノマーの豊富化が開始される。第2の領域は、水素ガスが豊富であり、かつ、高速ガス流が、成長する樹脂粒子をばらばらに分割する。これらの2つの領域は、異なる分子量および/またはモノマー組成物の樹脂を生成する。ポリマー顆粒は、これらが該ループを循環するに従い成長し、各ポリマー部分の交互する層をタマネギ状に形成する。各ポリマー粒子は、双方のポリマー部分の密接な結合を構成する。
【0103】
操作において、ポリマー粒子は、該ループの上昇側24中の流動ガスを通過し、降下側26の液体モノマーを通って降下する。同一または異なるモノマー(および任意に1種もしくは複数種のコモノマー)を、2台の反応器の脚部に加えることができる。反応器は、上述の触媒系を使用する。
【0104】
液体/気体分離領域30では、水素ガスが除去されて冷却および再循環される。次いで、ポリマー粒子は、降下側26の頂部に詰め込まれ、これらが降下する。このセクションに、モノマーが液体として導入される。降下側26の頂部の条件は、連続する通路におけるモノマーの異なる組み合わせおよび/または割合によって変化可能である。
【0105】
図3を参照して、重合オレフィン用の別の系40の高レベルの概略図を示す。この系は、インパクトコポリマーを製造するのに最適である。単一反応器、一連の反応器、または複数領域循環反応器等の反応器44は、上述の触媒系を含有する、下流のガス相または流動床反応器48と組み合わされており、従来の触媒系を使用して製造されたインパクトコポリマーよりも、所望の衝撃/剛性バランスのある、またはより柔らかい、インパクトコポリマーを製造するものである。入口42を使用して、反応器44に、触媒系成分、オレフィン、任意のコモノマー、水素ガス、流体媒体、pH調節剤、界面活性剤、および任意の他の添加剤を導入する。1個の入口のみが示されているが、多数の入口が採用されることもある。輸送手段46を通って、第1の反応器44で製造されたポリオレフィンは、第2の反応器48に送られる。触媒系成分、オレフィン、任意のコモノマー、流動媒体、および他の添加剤を導入するために、供給手段50が使用される。第2の反応器48は、触媒系成分を含有し得るか、または含有し得ない。また、1個の入口のみが示されているが、多数の入口が採用されることもある。第2の重合が完了するか、またはインパクトコポリマーが生成されると、出口52は、コレクター54に導かれる、出口52を介して、第2の反応器48からポリマー生成物が除去される。コレクター54は、加熱、押出、成形等の下流プロセスを含んでも良い。第1の反応器44および第2の反応器48の少なくとも1台は、本発明に従う触媒系を含有する。
【0106】
インパクトコポリマーを製造する場合、第1の反応器でポリプロピレンを形成することができ、この一方で、第2の反応器でエチレンプロピレンゴムを形成することができる。この重合において、第2の反応器内のエチレンプロピレンゴムは、第1の反応器内で形成されたポリプロピレンのマトリックス(および特に孔内で)と共に形成される。それ故に、インパクトコポリマーの緊密な混合物が形成され、ここで、このポリマー生成物は、単一ポリマー生成物として発生する。このような密接した混合物は、ポリプロピレン生成物をエチレンプロピレンゴム生成物と単に混合しただけでは製造することができない。
【0107】
いかなる図面にも示されていないが、任意にメモリとコントローラーが装備されたプロセッサを使用した、連続的または間欠的テストに基づいたフィードバックを任意に使用して、該システムと反応器を制御することができる。例えば、プロセッサは、反応に関して事前にセットされたデータに基づいて、および/または反応中、発生したテスト/測定データに基づいて、重合プロセスをモニターおよび/または制御するために、1台もしくは複数台の反応器、入口、出口、反応器と連結したテスト/測定システム等と接続され得る。該プロセッサによって指示されるように、コントローラーは、バルブ、流動速度、システムに入る材料の量、反応の条件(温度、反応時間、pH等)等を制御することができる。このプロセッサは、重合プロセスの種々の態様に関するデータを含むメモリおよび/または重合プロセスに伴うシステムを含有し得るか、またはこれらと連結され得る。
【0108】
所与の特性に対する任意の数字または数値域について、1つの範囲からの数字またはパラメータは、数値域を生成するために同一の特性に対して異なる範囲からの別の数字またはパラメータと混合され得る。
【0109】
操作する例において、またはそうでなければ示されるもの以外、本明細書および特許請求の範囲に使用される、構成成分の量、反応条件等を指す、全ての数字、値、および/または表現は、「約」という用語によって全ての例において修正されるものとして理解されるべきである。
【0110】
以下の例は、本発明を例示する。以下の実施例、および明細書および請求項について、別途示されない限り、全ての部分および百分率は、質量によるものであり、温度は、全て摂氏であり、圧力は、大気圧または大気圧付近である。
【0111】
実施例1
250mlのバッチ反応器に、N2下で、3.3g MgCl2、0.8g 無水フタル酸、50.92g トルエン、6.41g エピクロルヒドリン、および6.70g トリブチルリン酸塩の混合物を添加する。60℃で、400rpmにて撹拌しながら、混合物を2時間加熱した。次いで、反応混合物を−30℃まで冷却し、−26℃以下に反応器の温度を維持しながら、37.75mlのTiCl4をゆっくりと添加した。添加した後、撹拌速度を200rpmまで減速し、温度を、−26℃から0℃に1時間昇温し、次いで、0℃から85℃に1時間昇温した。
【0112】
混合物を85℃で30分間保持し、次いで、1.42gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加した(母液添加)。混合物を85℃で1時間かき混ぜ、次いで、濾過した。固体を38mlのトルエン中に再懸濁し、0.53gの1,8−ナフチルジルベンゾエートを反応器に添加した(トルエン添加)。混合物を85℃で200rpmにて1時間撹拌した。濾過し、65mlのトルエンで2回洗浄した後、混合物を、N2下で、トルエン中に一晩中放置した。
【0113】
トルエンを濾過して除いた後、66.25mlの10容量% トルエン中のTiCl4を添加し、次いで、95℃まで加熱し、400rpmにて1時間撹拌しながら、95℃で保持する(第1の活性化添加)。固体を濾過し、次いで、66.25mlの10容量% トルエン中のTiCl4に再懸濁した。混合物を110℃で30分間保持し、その後、固体を再度濾過した。このステップを2回以上繰り返した。最終触媒を、65mlのヘキサンで4回洗浄し、次いで、ヘキサン中で反応器から取り出した。
【0114】
3.4リットルの反応器中でプロピレン重合を行った。窒素下で、反応器を100℃で1時間浄化した。室温で、1.5mlの25重量% ヘプタン中のTEAlを反応器に添加した。次いで、1.0mlの0.0768M シクロヘキシルメチルジメトキシシラン溶液、1mlの1重量% 触媒スラリーの順次で、反応器に添加した。反応器を、H2で3.5psigまで加圧し、次いで、1500mlのプロピレンで充填した。反応器を70℃まで加熱し、次いで、70℃で1時間保持した。保持終了時、反応器を空にし、ポリマーを回収した。
【0115】
収量:512gのポリプロピレン 触媒活性:51.2kg/g キシレン可溶性:1.82% MFR:1.7dg/分
【0116】
実施例2
母液添加工程において、0.65gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、トルエン添加工程において、0.24gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0117】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:626gのポリプロピレン 触媒活性:62.6kg/g キシレン可溶性:2.00% MFR:0.6dg/分
【0118】
実施例3
母液添加工程において、0.40gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、トルエン添加工程において、0.15gの1,8−ナフチルジルベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0119】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:650gのポリプロピレン 触媒活性:65kg/g キシレン可溶性:4.28% MFR:1.6dg/分
【0120】
実施例4
トルエン添加工程において、0.40gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、第1の活性化工程において、0.15gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0121】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:475gのポリプロピレン 触媒活性:47.5kg/g キシレン可溶性:2.86% MFR:0.8dg/分
【0122】
実施例5
トルエン添加工程において、0.30 gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、第1の活性化工程において、0.25gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0123】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:505gのポリプロピレン 触媒活性:50.5kg/g キシレン可溶性:3.26% MFR:0.9dg/分
【0124】
実施例6
母液添加工程において、1.4gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、トルエン添加工程において、0.53gの1,8−ナフチルジベンゾエートを添加し、第1の活性化工程において、0.3gの1,8−ナフチルジルベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0125】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:454gのポリプロピレン 触媒活性:45.4kg/g キシレン可溶性:1.97% MFR:0.07dg/分
【0126】
実施例7
母液添加工程において、0.70gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加し、トルエン添加工程において、0.26gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0127】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:595gのポリプロピレン 触媒活性:59.5kg/g キシレン可溶性:2.65% MFR:2.2dg/分
【0128】
実施例8
トルエン添加工程において、0.43gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加し、第1の活性化工程において、0.16gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0129】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:476gのポリプロピレン 触媒活性:47.6kg/g キシレン可溶性:2.69% MFR:0.8dg/分
【0130】
実施例9
トルエン添加工程において、0.323gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加し、第1の活性化工程において、0.27gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0131】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:494gのポリプロピレン 触媒活性:49.4kg/g キシレン可溶性:2.74% MFR:1.1dg/分
【0132】
実施例10
母液添加工程においてのみ、0.59gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加し、初めの3つのTiCl4活性化のみ実行することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0133】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:618gのポリプロピレン 触媒活性:61.8kg/g キシレン可溶性:3.88% MFR:0.9dg/分
【0134】
実施例11
母液添加工程においてのみ、0.59gの1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエートを添加し、初めの3つのTiCl4活性化のみ実行することを除いては、実施例1と同一の条件下で、触媒を合成した。
【0135】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:545gのポリプロピレン 触媒活性:54.5kg/g キシレン可溶性:3.38% MFR:1.3dg/分
【0136】
実施例12
母液添加工程およびトルエン添加工程において、それぞれ、0.44gおよび0.16gの1,8−ナフチルジ−4−フルオロベンゾエートを添加した。また、初めの2つのTiCl4活性化のみ実行した。
【0137】
プロピレン重合は、実施例1と同一であった。収量:573gのポリプロピレン 触媒活性:57.3kg/g キシレン可溶性:2.99% MFR:0.9dg/分
【0138】
上述しているものには、開示情報の実施例が含まれる。勿論、開示情報を説明する目的で全ての考えられる成分または方法を説明することは不可能であるが、当業者であれば、開示情報の多くの更なる組み合わせおよび置換が可能であると認識されよう。したがって、開示情報は、添付した請求項の精神および範囲内に含まれる全てのこのような変更、修正、および変形を包含することを意図する。さらに、「含む」、「有する」、「伴う」という用語、またはこれらの変形が、詳細な説明、あるいは請求項のいずれかで使用される範囲内において、かかる用語は、請求項内において移行語として用いる際に、「を備える(comprising)」が解釈されるのと同様の手段において、「を備える(comprising)」という用語を含むことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)で表される化合物であって、
【化1】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである、化合物。
【請求項2】
各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約12個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約12個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Rは独立して、水素、ハロゲン、または1〜約6個の炭素原子を有するアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1,8−ナフチルジベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−エチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−プロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソプロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−t−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フェニルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−シクロヘキシルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジクロロベンゾエート、および1,8−ナフチルジ−3,5−ジ−t−ブチルベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1,8−ナフチルジアリーロエート化合物の製造方法であって、
7〜約18個の炭素原子を有するアリール酸ハロゲン化物を、化学式(II)で表されるナフチルアルコールと反応させることであって、
【化2】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、Xは、ハロゲンである、方法。
【請求項6】
各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約12個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約12個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
オレフィン重合用の固体チタン触媒成分であって、
チタン化合物、
マグネシウム化合物、および
1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含む、固体チタン触媒成分。
【請求項8】
前記1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、化学式(I)で表され、
【化3】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項7に記載の固体チタン触媒成分。
【請求項9】
約1〜約50重量%の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物を含む、請求項7に記載の固体チタン触媒成分。
【請求項10】
前記1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、1,8−ナフチルジベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−メチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−エチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−プロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソプロピルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−n−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−イソブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−t−ブチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フェニルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−フルオロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−クロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2−ブロモベンゾエート、1,8−ナフチルジ−4−シクロヘキシルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジメチルベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,3−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,5−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−2,6−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,4−ジクロロベンゾエート、1,8−ナフチルジ−3,5−ジクロロベンゾエート、および1,8−ナフチルジ−3,5−ジ−t−ブチルベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項7に記載の触媒系。
【請求項11】
オレフィン重合用の触媒系であって、
1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物、
有機アルミニウム化合物、および
有機ケイ素化合物を含む、固体チタン触媒成分を含む、触媒系。
【請求項12】
前記1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、化学式(I)で表され、
【化4】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアラキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項11に記載の触媒系。
【請求項13】
各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約12個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約12個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項12に記載の触媒系。
【請求項14】
触媒系用の固体チタン触媒成分の製造方法であって、
1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物と、マグネシウム化合物およびチタン化合物を接触させて、前記固体チタン触媒成分を形成することを含む、方法。
【請求項15】
前記1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、化学式(I)で表され、
【化5】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2の1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物と、前記マグネシウム化合物および前記チタン化合物を接触させて、固体チタン触媒成分を形成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
各Rは独立して、水素、ハロゲン、または1〜約6個の炭素原子を有するアルキル、またはフェニルである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
オレフィンの重合、または共重合方法であって、
1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物、少なくとも1つのアルミニウム炭素結合を有する有機アルミニウム化合物、および有機ケイ素化合物を含む、固体チタン触媒成分を含む、触媒系と、オレフィンを接触させることを含む、方法。
【請求項19】
前記1,8−ナフチルジアリーロエート内部電子供与体化合物は、化学式(I)で表され、
【化6】

式中、各Rは独立して、水素、ハロゲン、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、7〜約18個の炭素原子を有するアリールアルキル、または7〜約18個の炭素原子を有するアルキルアリールである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記オレフィンは、プロピレンである、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−529888(P2011−529888A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521147(P2011−521147)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/048579
【国際公開番号】WO2010/014320
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】