説明

オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法

【課題】気相重合において触媒活性が高く、且つ重合活性に対する重合初期における急激な反応の起こりやすさが抑制された触媒であり、プロピレン重合体を高い立体規則性を維持しながら高い収率で得ることができるオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を提供すること。
【解決手段】マグネシウム化合物(a)、チタン化合物(b)、下記一般式(1);
(C4−k)(COOR)(COOR) (1)
(式中、Rはアルキル基等であり、Rは炭素数2〜6の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基、またはアルケニル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基であり、Rの炭素数よりも小さい。)で表される非対称フタル酸ジエステル(d)および下式;R(C4−m)(COORで表されるフタル酸ジエステル(e)を接触し反応させ、得られた反応生成物に、さらにチタン化合物(b)を接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンの気相重合において高い活性を発現するオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分が知られている。また該固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物から成るオレフィン類重合用触媒の存在下に、プロピレンを重合もしくは共重合させるオレフィン類の重合方法が数多く提案されている。例えば、特開昭57−63310号公報および特開昭57−63311号公報、特開平1−6006号公報には、マグネシウム化合物、チタン化合物およびフタル酸ジエステルをはじめとするジエステル化合物の電子供与体を含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物およびSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物との組み合わせから成る触媒を用いて、炭素数3以上のオレフィンを重合させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−63310号公報
【特許文献2】特開昭57−63311号公報
【特許文献3】特開平1−6006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のオレフィン重合触媒は、一般的に高い重合活性を示すものの、重合初期における発熱反応が激しく、時間の経過と共に重合活性が急激に低下するような、いわゆる初期活性が高い固体触媒であり、このような初期活性が高い固体触媒は、例えばプロピレンの気相重合プロセスにおいて、重合反応時の発熱により固体触媒粒子が崩壊しやすく、微粉重合体の大量発生、或いは発生した微粉重合体が溶融、凝集体を形成する等の問題により、プロセスの運転を停止せざるを得ないという問題がある。
【0005】
また、プロピレンの液化重合、いわゆるバルク重合においては高い重合活性を発現するが、プロピレンの気相重合、いわゆるガス重合においては重合活性が低下するなど、重合法によって差が生じる場合があり、改良が必要とされていた。さらに、重合活性が長時間持続しないため、多段重合によりインパクトコポリマーなどの共重合体を生産する際は、2段目以降の重合において、重合ゴム成分を少量しか含有させることができないといった問題をも有していた。そのため、近年主流となっている気相重合プロセスにおいては、上記のような問題を引き起こさない重合触媒、即ち高活性を発現すると同時に初期活性が抑制された重合触媒が求められていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、オレフィン重合初期における活性が抑制され、またオレフィン重合活性が長時間に亘って持続する、いわゆる活性持続性に優れるオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者等は、鋭意検討を行った結果、マグネシウム化合物(a)、チタン化合物(b)および電子供与性化合物を接触し、反応させる方法において、電子供与性化合物として、二つの異なるエステル残基を有する、いわゆる非対称フタル酸ジエステルと特定のフタル酸ジエステルを使用すれば、得られる固体触媒成分が、オレフィン重合初期における活性が抑制され、またオレフィン重合活性が長時間に亘って持続する、いわゆる活性持続性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、マグネシウム化合物(a)、チタン化合物(b)、必要に応じてチタン化合物(b)以外のハロゲン化合物(c)、下記一般式(1);
(C4−k)(COOR)(COOR) (1)
(式中、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは炭素数2〜6の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基、またはアルケニル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基であり、Rの炭素数よりも小さく、kは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表される非対称フタル酸ジエステル(d)および下記一般式(2);
(C4−m)(COOR(2)
(式中、Rは前記と同じで、互いに同一であり、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表されるフタル酸ジエステル(e)を接触し反応させ、得られた反応生成物に、さらにチタン化合物(b)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分および触媒を用いてオレフィン類を重合すると、オレフィン重合初期における活性が抑制され、またオレフィン重合活性が長時間に亘って持続する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(オレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法の説明)
(マグネシウム化合物(a))
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法に用いられるマグネシウム化合物(a)(以下単に「成分(a)」ということがある。)としては、マグネシウムジハライド、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、およびジアルコキシマグネシウム等が挙げられ、好ましくはアルコキシマグネシウムハライドまたはジアルコキシマグネシウムが用いられる。特に好ましくはジアルコキシマグネシウムである。
【0011】
マグネシウムジハライドとしては、一般式MgX(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)で表される化合物であり、より具体的にはフッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウムが挙げられる。好ましくは塩化マグネシウム、臭化マグネシウムおよびヨウ化マグネシウムであり、特に好ましくは塩化マグネシウムである。
【0012】
ハロゲン化アルコキシマグネシウムとしては、一般式Mg(OR)X(式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基であり、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)で表される化合物であり、好ましくはメトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、プロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウムである。
【0013】
ジアルコキシマグネシウムとしては、一般式Mg(OR (式中、Rは炭素数1〜4の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基である。)で表される化合物であり、より具体的には、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウム、ジイソプロポキシマグネシウム、ジ−n−ブトキシマグネシウム、ジイソブトキシマグネシウム、メトキシエトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、エトキシブトキシマグネシウム等が挙げられる。好ましくはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウム、ジイソプロポキシマグネシウムであり、特に好ましくはジエトキシマグネシウムである。これらのジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲンあるいはハロゲン含有化合物の存在下、アルコールと反応させて得ることができる。
【0014】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において、成分(a)としてジアルコキシマグネシウムを用いる場合、ジアルコキシマグネシウムは顆粒状または粉末状であり、その形状は不定形あるいは球状のものが使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
【0015】
上記のごとき球状ジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものが用いられる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸径wとの比(l/w)が通常3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。このような球状ジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、特開平3−74341号公報、同8−73388号公報などに例示されている。
【0016】
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、通常1から200μm、好ましくは5から150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は通常1から100μm、好ましくは5から50μmであり、更に好ましくは10から40μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更にその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと3以下であり、好ましくは2以下である。
【0017】
(チタン化合物)
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法に用いられるチタン化合物(b)(以下、単に「成分(b)」とも言う。)は、三価または四価のチタン化合物であり、より具体的にはチタントリクロライド(三塩化チタン)、チタントリブロマイド、チタントリアイオダイド等のチタントリハライド、チタンテトラクロライド(四塩化チタン)、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド等のアルコキシチタントリハライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ(n−ブトキシ)チタンジクロライド等のジアルコキシチタンジハライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等のトリアルコキシチタンハライド、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ(n−プロポキシ)チタン、テトラ(イソプロポキシ)チタン、テトラ(n−ブトキシ)チタン、テトラ(イソブトキシ)チタン等のテトラアルコキシチタンを挙げることができる。好ましくはチタントリハライド、ジアルコキシチタンジハライドおよびチタンテトラハライドであり、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。なお、これらのチタン化合物を成分(b)として用いる際には、単独あるいは2種以上併用することができる。
【0018】
(ハロゲン化合物)
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において、必要に応じて用いられるチタン化合物(b)以外のハロゲン化合物(c)(以下、単に「成分(c)」とも言う。)としては、四価のハロゲン含有ケイ素化合物が挙げられる。より具体的には、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、n−ブトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジ−n−ブトキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリ−n−ブトキシクロロシラン等のアルコキシ基含有ハロゲン化シランが挙げられる。好ましくはシランテトラハライドであり、特に好ましくはシランテトラクロライドである。なお、成分(c)は、成分(b)がハロゲン原子を含むチタン化合物の場合、その使用を省略することができる。
【0019】
オレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において使用される前記一般式(1)で表される非対称フタル酸ジエステル(以下、単に「成分(d)」とも言う。)は、電子供与性化合物である。一般式(1)中、Rは、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、好ましくは、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である。
【0020】
また、式中のRは、炭素数2〜6の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基、またはアルケニル基であり、好ましくは、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基またはテキシル基である。
【0021】
また、式中のRは、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基、またはアルケニル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロピル基であり、且つRの炭素数はRのそれよりも小さい。また、式中のkは0、1または2となるものが好ましく、さらに好ましくはkが0または1である。
【0022】
成分(d)の具体例としては、フタル酸メチルエチル、フタル酸(エチル)n−プロピル、フタル酸エチルイソプロピル、フタル酸(エチル)n−ブチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸(エチル)n−ペンチル、フタル酸エチルイソペンチル、フタル酸エチルネオペンチル、フタル酸(エチル)n−ヘキシル等が挙げられ、特に好ましいものは、フタル酸(エチル)n−プロピル、フタル酸エチルイソプロピル、フタル酸(エチル)n−ブチル、フタル酸エチルイソブチルが挙げられる。成分(d)は、前記一般式(1)で表される非対称フタル酸ジエステルから選ばれる1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法で使用される前記一般式(2)のフタル酸ジエステル(以下、単に「成分(e)」とも言う。)は、電子供与性化合物である。
【0024】
成分(e)としては、前記一般式(2)で表されるフタル酸ジエステルから選ばれる1種又は2種以上であり、具体的にはフタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジイソペンチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジテキシル、4−メチルフタル酸ジ−n−ブチル、4−メチルフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジネオペンチル等が挙げられ、特に好ましいものは、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジネオペンチル、4−メチルフタル酸ジエチル、4−メチルフタル酸ジ−n−プロピル、4−メチルフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソペンチルおよび4−ブロモフタル酸ジネオペンチルである。
【0025】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において、下記一般式(3); R(C4−n)(COOR(3)
(式中、Rは前記と同じで、互いに同一であり、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、nは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表されるフタル酸ジエステル(以下、単に「成分(f)」とも言う。)は、必要に応じて使用される電子供与性化合物である。
【0026】
成分(f)としては、前記一般式(3)で表されるフタル酸ジエステルから選ばれる1種又は2種以上であり、具体的にはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸ジエステル、4−クロロフタル酸ジエチル、4−クロロフタル酸ジ−n−プロピル、4−クロロフタル酸ジイソプロピル、4−クロロフタル酸ジ−n−ブチル、4−クロロフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−プロピル、4−ブロモフタル酸ジイソプロピル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル等のハロゲン置換フタル酸ジエステルおよび、4−メチルフタル酸ジエチル、4−メチルフタル酸ジ−n−プロピル、4−メチルフタル酸ジイソプロピル、4−メチルフタル酸ジ−n−ブチル、4−メチルフタル酸ジイソブチル等のアルキル置換フタル酸ジエステルが好ましく、特に好ましくは、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、4−メチルフタル酸ジメチル、4−メチルフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジメチルおよび4−ブロモフタル酸ジエチルである。成分(f)は、成分(e)が決定されれば、Rの炭素数がRの炭素数よりも小さいという制限の下に、その化合物が決定される。電子供与性化合物として、成分(d)及び成分(e)のフタル酸ジエステルを使用することで、得られる固体触媒成分の活性および立体特異性が向上し、成分(d)、成分(e)及び成分(f)のフタル酸ジエステルを使用することで、得られる固体触媒成分の活性および立体特異性がより向上する。
【0027】
成分(a)〜成分(e)または成分(a)〜成分(f)の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。
接触は単に接触させて撹拌混合することや、分散あるいは懸濁させ変性処理することを言い、接触温度は、室温付近の比較的低温域であっても差し支えない。接触後に反応させ生成物を得る際の反応温度は、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体触媒成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。特にフタル酸ジエステルのエステル交換を進行させるための好適な反応条件は、100℃以上において反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
【0028】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において、電子供与性化合物として、成分(d)と成分(e)を使用する際、成分(d)の使用モルと成分(e)の使用モルの比は、2.5:7.5〜9.7:0.3、好ましくは4.5:5.5〜9.7:0.3である。また、電子供与性化合物として、成分(d)、成分(e)及び成分(f)を使用する際、成分(d)の使用モルと成分(e)および成分(f)の合計使用モルの比が2.5:7.5〜9.7:0.3、好ましくは4.5:5.5〜9.7:0.3である。すなわち、使用する電子供与性化合物中、成分(d)のモル比を0.25〜0.97、好ましくは0.45〜0.97とすることで、得られる固体触媒成分(A)において、電子供与性化合物中の成分(d)が特定のモル比となり、これを含んだ触媒を用いてオレフィン類を重合すると、オレフィン重合初期における活性が抑制され、またオレフィン重合活性が長時間に亘って持続する。
【0029】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の製造方法において、成分(a)、成分(b)及び任意成分(c)、成分(d)、成分(e)及び任意成分(f)を接触、反応させた際、成分(d)および成分(e)のエステル残基に含まれるアルコキシ基が、成分(a)または成分(b)または成分(c)に含まれるアルコキシ基と交換するエステル交換反応が生じ、成分(f)を生成する。そして、成分(A)中には、未反応の成分(d)と未反応の成分(e)と未反応または反応生成物の成分(f)の3種の内部電子供与体が混在することになる。
【0030】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の好ましい調製方法としては、例えば、ジアルコキシマグネシウムをトルエン等の20℃で液体の芳香族炭化水素溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、成分(d)の非対称フタル酸ジエステル、成分(e)のフタル酸ジエステル及び必要に応じて成分(f)のフタル酸ジエステルを添加し、次いでこの懸濁液と成分(b)の四塩化チタンを−20〜100℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは0〜30℃で接触し、該混合物を加熱昇温して100〜130℃で反応させる。この際、必要に応じて上記の懸濁液に四塩化チタンを接触させる前又は接触した後に、成分(c)を、−20〜130℃で接触させて固体反応生成物を得、得られた該固体反応生成物をトルエンまたはヘプタンで洗浄した後、トルエン等の20℃で液体の芳香族炭化水素溶媒の存在下、成分(b)の四塩化チタンと100〜130℃で接触反応させ、更に20℃で液体の炭化水素溶媒で洗浄しオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法、あるいはジアルコキシマグネシウム、成分(d)の非対称フタル酸ジエステル、成分(e)のフタル酸ジエステルおよび成分(f)のフタル酸ジエステルをトルエン等の20℃で液体の芳香族炭化水素溶媒またはヘプタン等の20℃で液体の脂肪族炭化水素溶媒において混合、懸濁させ、該懸濁物に、成分(b)の四塩化チタンを−20〜100℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは0〜30℃で接触し、該混合物を加熱昇温して100〜130℃で反応させる。この際、必要に応じて上記の懸濁液に四塩化チタンを接触させる前又は接触した後に、成分(c)を接触させ、固体反応生成物を得る。得られた該固体反応生成物をトルエン等の20℃で液体の芳香族炭化水素溶媒またはヘプタン等の20℃で液体の脂肪族炭化水素溶媒で洗浄した後、トルエン等の20℃で液体の芳香族炭化水素溶媒またはヘプタン等の20℃で液体の脂肪族炭化水素溶媒の存在下に成分(b)の四塩化チタンと100〜130℃で接触反応させ、更に液体の炭化水素溶媒で洗浄してオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法が挙げられる。
【0031】
各化合物の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えば成分(a)1モル当たり、成分(b)、成分(c)または成分(b)と成分(c)の合計が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、成分(d)及び成分(e)の合計あるいは成分(d)、成分(e)および成分(f)の合計が0.01〜10モル、好ましくは0.02〜1モル、より好ましくは0.02〜0.6モルである。
【0032】
成分(A)の製造方法において、上記必須の成分の他、更に、第3成分を使用してもよい。第3成分としては、アルミニウムトリクロライド、ジエトキシアルミニウムクロライド、ジイソプロポキシアルミニウムクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、イソプロポキシアルミニウムジクロライド、ブトキシアルミニウムジクロライド、トリエトキシアルミニウム等のアルミニウム化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の有機酸金属塩、常温で液状あるいは粘稠状の鎖状、部分水素化、環状あるいは変性ポリシロキサン等のポリシロキサンが挙げられる。鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが、部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10〜80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが、環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロペンタンシロキサン、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロトリシロキサンが、また、変性ポリシロキサンとしては、高級脂肪酸基置換ジメチルシロキサン、エポキシ基置換ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン基置換ジメチルシロキサンが例示される。
【0033】
また、本発明の製造方法で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分(A)には、内部電子供与体として、成分(d)、成分(e)及び成分(f)が含まれる。そして、固体触媒成分中、内部電子供与体の合計含有量、すなわち((d)+(e)+(f))に対する成分(d)の含有量が、モル比で概ね0.2〜0.8となる。これにより、該固体触媒成分(A)を含んだ触媒を用いてオレフィン類を重合すると、オレフィン重合初期における活性が抑制され、またオレフィン重合活性が長時間に亘って持続する。
【0034】
(オレフィン類重合用触媒の製造方法)
オレフィン類重合用触媒は、上記オレフィン類重合用固体触媒成分(A)と、一般式(4);RAlQ3−p (4)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の整数である。)で表される有機アルミニウム化合物(B)(以下、「成分(B)」とも言う。)および外部電子供与性化合物(C)(以下、「成分(C)」とも言う。)から形成される。
【0035】
有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0036】
外部電子供与性化合物(C)としては、前記内部電子供与性化合物と同じものが用いられるが、その中でも9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン等のエーテル類、安息香酸メチルおよび安息香酸エチルなどのエステル類または有機ケイ素化合物が好ましい。
【0037】
(オレフィン類の重合方法)
オレフィン類の重合は、前記オレフィン類重合用触媒の存在下で行う。重合に用いられるオレフィン類は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類を、1種あるいは2種以上併用することができる。好ましくは、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが用いられ、特に好ましくはエチレンおよびプロピレンである。
【0038】
オレフィン類重合用触媒を用いてプロピレンを重合する際、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合に用いられるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等が例示され、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン及び1−ブテンが好適に用いられる。
【0039】
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常成分(B)はオレフィン類重合用固体触媒成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。成分(C)は、(B)成分1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。
【0040】
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物(B)を装入し、次いで有機ケイ素化合物(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させることが望ましい。
【0041】
本発明におけるオレフィンの重合は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができ、またプロピレン等のオレフィン単量体は、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。
【0042】
本発明におけるオレフィンの重合には、炭素数2〜10の1−オレフィンの重合に用いられるような、慣用の方法を用いることができ、重合方式としては、有機溶媒の存在下、気体または液体のモノマーを供給し重合を行なうスラリー重合、液化プロピレンなど液体のモノマー存在下に重合を行なうバルク重合、気体状のモノマー存在下に重合を行う気相重合、等が挙げられ、これら方式のいずれであっても重合反応を行うことができ、特に好ましくは気相重合が用いられる。また、例えば特許2578408号公報に記載されている方法や特許第4392064号公報、特開2009−292964号公報などに記載されている連続的気相重合法、或いは特許第2766523号公報に記載されている重合法にも適用することが可能である。なお、上記の重合反応は、バッチ式、または連続的に行うことができる。更に、重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
【0043】
オレフィンの重合方法において好適に用いられる反応器としては、例えば、攪拌機付オートクレーブ、流動槽などの反応器が挙げられ、この反応器中に粒状又は粉末状の重合体を固定相で収容し、攪拌装置あるいは流動床を用いて動きを与える。
【0044】
プロピレン重合体の分子量は、重合技術において慣用の調整剤、例えば水素を添加することにより広範囲に調整し、設定することが可能である。また、プロピレンと、その他のコモノマーとの共重合を行なう際、コモノマーの重合体鎖への組み込みは、炭素数1〜8のアルカノール、特にイソプロパノールを適宜添加することにより調整可能である。なお、重合熱を除去するために液状の易揮発性炭化水素、たとえばプロパンやブタンを供給し、重合帯域中で気化させてもよい。重合温度は、200℃以下、好ましくは100℃以下であり、特に好ましくは50〜90℃である。重合圧力は、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaであり、特に好ましくは1〜4MPaである。プロピレンと、その他のコモノマーとの共重合を行なう際、プロピレンとコモノマーの分圧が1:99〜99:1となるように調節する。好ましくはプロピレンとコモノマーの分圧が50:50〜99:1である。
【0045】
更に、本発明においてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合とも言う。)、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。
【0046】
予備重合を行うに際して、各成分及びモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いでオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。成分(C)を組み合わせて予備重合を行う場合は、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで成分(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいはその他の2種以上のオレフィン類を接触させる方法が望ましい。
【0047】
本発明の製造方法で得られた固体触媒成分(A)を必須の構成要素として含んだオレフィン類重合用触媒の存在下で、オレフィン類の重合を行った場合、従来の触媒を使用した場合に比べて初期活性が低く、活性を長時間持続させることが可能であり、また微粉や粗粉の発生割合も低い。
【0048】
実施例
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0049】
(実施例1)
〔固体触媒成分(A)の調製〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン60ml、トルエン50mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g 、トルエン70ml、フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモル(2.1ml)およびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモル(3.0ml)を用いて形成した懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、保持液温を−5℃から10℃まで20分かけて昇温し、10℃において1時間保持、更に110℃まで90分かけて昇温し、110℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン167mlで4回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン123ml、四塩化チタン20mlを添加し110℃まで昇温し、15分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に2回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン125mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.45であった。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ2.3重量%であった。また、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は3.2重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は4.2重量%、フタル酸ジエチルの含有率は2.8重量%であり、内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.32であった。なお、フタル酸ジエステルの含有量は、下記の測定方法により求めた。
【0050】
〔重合触媒の形成および気相重合〕
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム2.2mmolおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)0.083mmol、n-ヘプタンを分散させた前記固体触媒成分をチタン原子として0.0055mmol装入し、重合触媒を形成した。その後、水素ガス0.007MPa、プロピレン0.1MPaの圧力で導入し、20℃において10分間の重合を行った後、80℃まで昇温し、圧力2.8MPaに設定し1時間の気相重合反応を行った。得られた重合体について、下記方法により気相重合活性、最大プロピレン反応速度および23℃でのキシレン溶解成分量(XS、重量%)を測定した。触媒組成および重合結果を表1に示した。
【0051】
〔フタル酸ジエステル含有量〕
固体触媒成分中に含まれるフタル酸ジエステルの含有量は、ガスクロマトグラフィー(島津(株)社製、GC−14B)を用いて下記の条件にて測定することで求めた。また、各成分のモル数については、ガスクロマトグラフィーの測定結果より、予め既知濃度において測定した検量線を用いて求めた。
【0052】
(測定条件)
・カラム:パックドカラム(φ2.6×2.1m, Silicone SE-30 10%,Chromosorb WAW DMCS 80/100、ジーエルサイエンス(株)社製)
検出器:FID(Flame Ionization Detector,水素炎イオン化型検出器)
・キャリアガス:ヘリウム、流量40ml/分
・測定温度:気化室280℃、カラム225℃、検出器280℃
【0053】
〔固体触媒成分の触媒活性〕
固体触媒成分1g当たり、重合時間の1時間当たりの生成重合体量(F)gを示す触媒活性(G)は下式により算出した。
触媒活性(G)=生成重合体(F)g/固体触媒成分g/1時間
【0054】
〔プロピレン反応速度の測定〕
窒素ガスで完全に置換された内容積1.8リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム0.26mmolおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)0.024mmol、ミネラルオイルに分散させた前記固体触媒成分をチタン原子として0.0024mmol装入し、重合触媒を形成した。その後、水素ガス9mmol、プロピレン0.8MPaを導入後に80℃まで昇温し、圧力を2.8MPaに維持しつつ1時間の気相重合反応を行った。重合中のプロピレン反応速度は、マスフローメーターを用い、プロピレン吸収速度(リットル/分)を逐次測定した。プロピレン反応速度は、プロピレン吸収速度に等しいと見積もり、次式によりプロピレン反応速度を求めた。
プロピレン反応速度(kg−C/g−触媒・時間)
=プロピレン吸収速度(リットル/分)×60(分/時間)/22.4(リットル/mol)×42(g/mol)/固体触媒成分(g)/1000(kg/g)
また、上記反応速度の測定において記録された最大値H(kg−C/g−触媒・時間)を、固体触媒成分の触媒活性G(kg−PP/g−触媒)で割った値(H/G比)を求め、重合初期における急激な重合反応の起こりやすさを判断する指標とした。
【0055】
〔重合体のp−キシレン可溶分(XS:重量%)〕
4.0gの重合体を200mlのp−キシレン中に装入し、トルエンの沸点下(138℃)で2時間かけて重合体を溶解した。その後23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。その溶解成分の溶媒を留去、加熱乾燥し、得られた重合体をp−キシレン可溶成分とし、生成重合体(F)に対する相対値(XS、重量%)で示した。
【実施例2】
【0056】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル12.5ミリモル(2.9ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル6.4ミリモル(1.7ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.66であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.4重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は4.4重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は2.0重量%、フタル酸ジエチルの含有率は3.2重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.45であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例3】
【0057】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル15.1ミリモル(3.5ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル0.8ミリモル(0.2ml)とした以外は、実施例1と同様に重合触媒の合成および重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.95であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.1重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は5.7重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は0.4重量%、フタル酸ジエチルの含有率は3.3重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.59であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例4】
【0058】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル5.2ミリモル(1.2ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル12.8ミリモル(3.4ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.29であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.1重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は2.4重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は5.0重量%、フタル酸ジエチルの含有率は2.0重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.26であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例5】
【0059】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル10.4ミリモル(2.4ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えてフタル酸ジ−n−ブチル10.5ミリモル(2.8ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.50であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.3重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は4.0重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は4.0重量%、フタル酸ジエチルの含有率は2.0重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.41であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例6】
【0060】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル15.6ミリモル(3.6ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル6.8ミリモル(1.8ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.70であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.1重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は6.3重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は2.6重量%、フタル酸ジエチルの含有率は1.7重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.60であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例7】
【0061】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル21.6ミリモル(5.0ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル2.3ミリモル(0.6ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチルとフタル酸ジ−n−ブチルの使用モル合計に対して0.90であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.3重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は7.8重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は1.1重量%、フタル酸ジエチルの含有率は1.5重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.74であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例8】
【0062】
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル5.6ミリモル(1.3ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル10.9ミリモル(2.9ml)とし、更にフタル酸ジエチル2.0ミリモル(0.4ml)を新たに使用した以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチル、フタル酸ジ−n−ブチル及びフタル酸ジエチル使用モル合計に対して0.30であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.3重量%、フタル酸エチルn-ブチルの含有率は2.1重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は4.8重量%、フタル酸ジエチルの含有率は2.3重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.24であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例9】
【0063】
フタル酸エチルn−ブチル5.6ミリモル(1.3ml)に代えて、フタル酸エチルn−ブチル19.0ミリモル(4.4ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル10.9ミリモル(2.9ml)に代えて、フタル酸ジ−n−ブチル2.3ミリモル(0.6ml)とし、フタル酸ジエチル2.0ミリモル(0.4ml)に代えてフタル酸ジエチル2.5ミリモル(0.5ml)とした以外は、実施例8と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチル、フタル酸ジ−n−ブチル及びフタル酸ジエチル使用モル合計に対して0.80であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.4重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は6.2重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は0.8重量%、フタル酸ジエチルの含有率は3.5重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は、0.57であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【実施例10】
【0064】
フタル酸エチルn−ブチル5.6ミリモル(1.3ml)に代えて、フタル酸エチルn−ブチル6.9ミリモル(1.6ml)とし、フタル酸ジ−n−ブチル10.9ミリモル(2.9ml)に代えて、フタル酸ジ−n−ブチル1.9ミリモル(0.5ml)とし、フタル酸ジエチル2.0ミリモル(0.4ml)に代えてフタル酸ジエチル8.6ミリモル(1.7ml)とした以外は、実施例8と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。上記製造方法において、フタル酸エチルn−ブチルの使用モル比は、フタル酸エチルn−ブチル、フタル酸ジ−n−ブチル及びフタル酸ジエチル使用モル合計に対して0.40であった。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.1重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は2.8重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は0.9重量%、フタル酸ジエチルの含有率は5.6重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.28であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0065】
比較例1
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルおよびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ジ−n−ブチル18.0ミリモル(4.8ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.3重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は1.8重量%、フタル酸ジ−n−ブチルの含有率は8.8重量%、フタル酸ジエチルの含有率は0.6重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.17であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0066】
比較例2
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルおよびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸エチルn−ブチル19.0ミリモル(4.4ml)とした以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.0重量%、フタル酸エチルn−ブチルの含有率は7.6重量%、フタル酸ジエチルの含有率は1.6重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.81であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0067】
比較例3
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルおよびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ビス2−エチルヘキシル17.7ミリモル(7.0ml)およびフタル酸ジエチル10.1ミリモル(2.0ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.5重量%、フタル酸エチル2−エチルヘキシルの含有率は3.0重量%、フタル酸ジ2−エチルヘキシルの含有率は2.6重量%、フタル酸ジエチルの含有率は6.3重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.22であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0068】
比較例4
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルおよびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸ビス2−エチルヘキシル22.7ミリモル(9.0ml)およびフタル酸ジエチル5.0ミリモル(1.0ml)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.6重量%、フタル酸エチル2−エチルヘキシルの含有率は4.7重量%、フタル酸ジ2−エチルヘキシルの含有率は2.4重量%、フタル酸ジエチルの含有率は4.9重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.35であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0069】
比較例5
フタル酸エチルn−ブチル9.1ミリモルおよびフタル酸ジ−n−ブチル11.3ミリモルに代えて、フタル酸エチル2−エチルヘキシル18.0ミリモル(5.2ml)を使用した以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合触媒の形成および気相重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有率は2.2重量%、フタル酸エチル2−エチルヘキシルの含有率は7.3重量%、フタル酸ジエチルの含有率は2.8重量%であった。内部電子供与体の合計含有量に対する、非対称フタル酸ジエステルの合計含有量のモル比は0.65であった。触媒組成、および重合結果を表1に示した。
【0070】
実施例13
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMSi)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0071】
実施例14
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン(IPIBDMSi)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0072】
実施例15
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMSi)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0073】
実施例16
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、t−ブチルメチルジメトキシシラン(tBMDMSi)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0074】
実施例17
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、ジエチルアミノトリメトキシシラン(DEATESi)を使用した以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0075】
実施例18
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン(BPIQ)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0076】
実施例19
気相重合反応、およびプロピレン反応速度の測定において、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMSi)に代えて、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシラン(BEADCSi)とした以外は、実施例1と同様にして重合触媒の形成および気相重合を行った。重合結果を表1に示した。
【0077】
【表1】

【0078】
表2の結果から、本発明の製造方法で得られた固体触媒成分は、プロピレンの気相重合において活性を長時間持続させることが可能であり、且つ重合活性に対する重合初期の反応(H/G)が抑制された触媒であり、立体特異性も優れていることが判る。また微粉、粗粉の発生割合も低かった。
【0079】
本発明の製造方法で得られた固体触媒成分を含むオレフィン類重合用触媒は、プロピレンの気相重合において触媒活性が高く、且つ重合活性に対する重合初期の反応(H/G比)が抑制された触媒であり、立体規則性がポリプロピレンを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム化合物(a)、チタン化合物(b)、必要に応じてチタン化合物(b)以外のハロゲン化合物(c)、下記一般式(1);
(C4−k)(COOR)(COOR) (1)
(式中、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、Rは炭素数2〜6の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基、またはアルケニル基であり、Rは炭素数1〜5の直鎖状アルキル基または分岐鎖状アルキル基であり、Rの炭素数よりも小さく、kは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表される非対称フタル酸ジエステル(d)および下記一般式(2);
(C4−m)(COOR(2)
(式中、Rは前記と同じで、互いに同一であり、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、mは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表されるフタル酸ジエステル(e)を接触し反応させ、得られた反応生成物に、さらにチタン化合物(b)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
【請求項2】
該成分(a)〜成分(e)を接触させる際、更に下記一般式(3);
(C4−n)(COOR(3)
(式中、Rは前記と同じで、互いに同一であり、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、nは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表されるフタル酸ジエステル(f)を接触させることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
【請求項3】
該成分(d)の使用モルと、該成分(e)の使用モルの比が2.5:7.5〜9.7:0.3であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
【請求項4】
該成分(d)の使用モルと、該成分(e)および該成分(f)の合計使用モルの比が2.5:7.5〜9.7:0.3であることを特徴とする請求項2記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
【請求項5】
得られるオレフィン類重合用固体触媒成分は、前記成分(d)、前記成分(e)および下記一般式(3); R(C4−n)(COOR(3)
(式中、Rは前記と同じで、互いに同一であり、Rはハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、nは置換基Rの数で、0または1〜4の整数である。)で表されるフタル酸ジエステル(f)を含有することを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
【請求項6】
得られるオレフィン類重合用固体触媒成分は、前記成分(d)、前記成分(e)および成分(f)を含有することを特徴とする請求項2記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。

【公開番号】特開2013−14685(P2013−14685A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148268(P2011−148268)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(390007227)東邦チタニウム株式会社 (191)
【Fターム(参考)】