説明

オンライン研究教育支援システム

【課題】オンライン研究教育支援システムに係り、特に、人間の構造的な思考方法と計算機を用いた知識の構造化手法の差異に注目し、それら両者に基づいた多ユーザが同時に編集可能な文書作成システムを具備した研究開発および成果などの文書をリアルタイムかつインタラクティブに作成できることを通して教育研究を支援する。
【解決手段】ユーザの入力した主題または文書に対して入力情報処理機構10を通して複数のユーザが主題または文章を修正することができることと、入力された文章または文書群の構造を文書構造加工機構12を通してインタラクティブに変更することができることと、付加情報入力部により入力することでユーザのすべての入力ならびに文章または文書群の構造の変更に対する背景や根拠を他のユーザに示すことができることと、それらの事象すべてにおいてインタラクティブにテキストベースの議論を可能にすることで、効果的に遠隔地などにおいてネットワークにより接続された端末間において協調的な研究および教育活動を効果的に支援することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン研究教育支援システムに係り、特に、人間の構造的な思考方法と計算機を用いた知識の構造化手法の差異に注目し、それら両者に基づいた多ユーザが同時に編集可能な文書作成システムを具備した研究開発および成果などの文書をリアルタイムかつインタラクティブに作成できる教育研究支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが端末間をネットワークで構成された環境において共同で研究する場合、意見を伝達および交換する際に、できるだけ他のユーザがすでに入力した入力事項に対して関連する発言を明確に表明するか、あるいはできるだけ関連性を持った文章を協調的な環境において構造的に作成することで全体としてまとまりのある文章作成し研究に関して関係するユーザ全員が理解することが望ましく、また研究の促進により教育活動にも応用できることが望ましい。
【0003】
特定の研究に関して、複数のユーザが同時並行的に研究する場合、相互の意見交換を行い、協調的に研究を完成させていくことが望ましい。
【0004】
研究者にとって、ある特定の研究テーマに関しては、それぞれに所有する知識が異なり、研究に対する意欲も異なる上に、ユーザが所有する関連する分野の知識量などを鑑みれば議論の場においての発言力および発言量は異なることが考えられること、並びに遠隔地などにおいてネットワークで接続された端末を用いて議論する場合は、議論を行った記録を文書ファイルとして保存することが考えられるが、複数ユーザからの断片的な知識を構造的な文書群および集合としてとらえることが困難であることは一般的な事実である。
【0005】
ユーザの断片的な発言内容、および過去に記録された発言内容の整理による文章の構造化や復元並びにそれに基づいた文書化による知識の共有および研究の発展は必要であるが、従来の文書作成支援およびネットワークを用いたオンライン知識共有システムでは、それらを可能にする機能を具備した機構をユーザに提供できないため十分な効果は望めない。
【0006】
協調的な文書作成において、多く用いられている手法では、それらはまず研究教育活動に特化しているものが少なく、同時にそれらは単なる文による会話記録に基づいた手法が用いられているが、人間の思考や筆記活動に基づいて考案された文書入力および記録方法並びに研究教育活動に特化した、すなわち単なる会話ではなくて協調的にある対象を完成させていくことを目的とした文書作成手法の導入が望ましい。
【0007】
ソフトウェア文書の階層構造及び関係を用いるソフトウエア文書作成システムとして特開平11−184687号があるが、単に文書内容間の連関関係を文書の章と節,節と段落,段落と段落間の関係等に階層的に易しく定義しつつ文書を作成し得る装置を備え、このような連関関係を下位階層の連関関係の変化によって上位階層で自動に関係を生成し、変更,削除時にもこれを維持し得るようにする関係管理装置を備えるだけであり、文章のパラグラフを単位として文書群の構造の変更を目的としていない上に、研究教育活動における利用で効果的なかつ協調的研究教育活動を本特開平11−184687号のごとき発明により実現することは不可能である。
【0008】
研究支援方法及び研究内容提案方法として特開2003−58722号があるが、研究提案者から提案されかつ研究提案者の研究の課題を含む研究提案情報を閲覧しようとする閲覧者の端末装置に表示し、閲覧者が閲覧したときに、閲覧者を特定し得る閲覧者特定情報を閲覧者の端末装置から送信し、閲覧者が研究の支援を希望する旨を示す支援希望情報と、閲覧者特定情報と、を研究提案者の端末装置に表示するにすぎず、協調的に研究の成果となる文書ないしは論文を作成するところまでには至っていない上に、複数のユーザにより入力された知識すなわち文章や主題に対する議論の場がある訳ではなく、協調的にユーザの地位などは存在しない場における協調的かつ協力的な研究活動を効果的に行うことは不可能である。
【0009】
そこで、オンライン研究教育支援システムに係り、特に、人間の構造的な思考方法と計算機を用いた知識の構造化手法の差異に注目し、それら両者に基づいた多ユーザが同時に編集可能な文書作成システムを具備した研究開発および成果などの文書をリアルタイムかつインタラクティブに作成できることを通して効果的に教育研究を実施するためのオンライン研究教育支援システムがユーザにとって望まれる。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、上記の点に鑑みなされたもので、オンライン研究教育支援システムに係り、特に、人間の構造的な思考方法と計算機を用いた知識の構造化手法の差異に注目し、それら両者に基づいた多ユーザが同時に編集可能な文書作成システムを具備した研究開発および成果などの文書をリアルタイムかつインタラクティブに作成できる教育研究支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような技術的課題は本発明によって有効に解決できるものである。本発明に係るオンライン研究教育支援システムの一例では、複数のユーザが所有する知識の集合体およびすでに表明された知識への意見の集合体を知識群としてみなした文書を格納する文書情報メモリと、ユーザが逐次文章を入力および編集しそれらの文章を文書情報メモリへの格納可能なデータ形式に変換する入力情報処理機構と、文書群の編集および構造を変更するための文書構造加工機構と、ユーザへの文書出力における適切な文書形式出力を可能にする文書形式変換機構と、ユーザの入力や操作の履歴を管理し必要とされる際にメモリから呼び出すことを可能とする文書履歴管理機構を少なくとも具備し、前記文書情報メモリから複数のユーザの入力した文書群および逐次に加工されている文書および文書群の構造をユーザの表示することにより、遠隔地などでネットワークにより接続された端末間で研究教育活動を支援することができるオンライン研究教育支援システム。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るオンライン研究教育支援システムの一実施例を示すブロック図である。まず、ユーザが入力した研究の対象またはテーマまたは目標に関して文書情報メモリ17に格納されたのち、複数のユーザが参照できるように情報表示部15を通してネットワークにより接続された端末で表示する。
【0013】
ユーザは文書情報メモリ17に格納された研究の対象またはテーマまたは目標をタイトルとしてそれにかかわる文章を入力することができ、それら入力情報は構造的にも入力されることも可能であり、入力情報および修正された情報は文書情報メモリ17に格納される。
【0013】
加筆および修正内容ならびにその時刻やそれに関わったユーザ名などの情報が文書履歴管理機構11で整理され、その整理されたデータに対応する文章がすべて文書情報メモリ17に格納される。
【0014】
ユーザが入力した文章は、まず大項目として分類およびタイトル付けされ、文書情報メモリ17に格納される。
【0015】
入力情報処理機構10を通して複数のユーザはそれに関する知識を文章としてそのタイトル付けされた文を説明する情報を入力する。
【0016】
ユーザは、入力情報処理機構10により大項目に対して入力された文書に対する説明の分類分けとして、小項目のタイトルを作成することができ、そのタイトルに対する知識を示す文章を入力することができ、その文章に対する小項目を作成できる。
【0017】
上記、説明に対する小項目に関しては、ユーザの必要に応じて複数の階層として作成可能であり、知識を説明する知識を表明することができる。
【0018】
複数のユーザは、上記の大項目や小項目を自らの知識と照らし合わせ、端末に表示されているすなわち他のユーザが入力していない知識を、その大項目および小項目が必要とすると考える場合は、加筆することができるまたは自ら大項目および小項目を作成することができる。
【0019】
ユーザは、入力情報処理機構10により既に入力されたタイトルおよび文章をすべて、加筆修正でき、その履歴はすべて文書履歴管理機構11により管理され、すべて文書情報メモリに格納される。
【0020】
ユーザが過去の文章を参照したいときは、履歴管理機能より過去に削除および修正されて履歴として現在用いられていない文章を参照でき、必要によっては現在の文章と交換ないしは統合することができる。
【0021】
ユーザはタイトルまたは文章に対して、チャットシステムと呼ばれるオンライン対話システムを用いて議論することができる。
【0022】
ユーザは、文書構造加工機構12により、文書および文書群をひとまとまりにした集合を異なる順序に交換でき、これによってよりユーザの目的を達成するために、全体の文章をまたは文書ならびに文書群を再構成することが可能である。
【0023】
大項目および小項目ならびにそれらを説明する文章および文書群そのものに対してメモとして、付加情報入力部20からそれらを入力したユーザが必要な情報を付加させておくことができ、そのことで他のユーザは、どういう背景でその大項目および小項目のタイトルならびにそれらを説明する文章および文書群が記入されたのかを知ることができる。
【0024】
ユーザが閲覧できる情報のみを、適当なフォーマットに文書形式変換機構13により、特定のコマンドタグを付加した形式に文書整形および変換できるとともに、出力ファイル形式もそこで変換することが可能である。
【0025】
図2はユーザが入力するおよび文章または文書ならびに文書群の構造を変更する際に用いるため入力部を示すもので、上記研究の対象またはテーマまたは目標をタイトルと見なし、それは研究課題入力部21により入力する。
【0026】
ユーザは、上記大項目として格納された文章をネットワークにより接続された端末から、参照でき、その文章を必要に応じて、図2に示す文書入力部23により、対象とする大項目および小項目をタイトルとする説明として文章を入力する。
【0027】
ユーザは、上記大項目として格納された文章を必要に応じて、図2に示す文書修正部24により修正することが可能である。
【0028】
上記入力されたタイトルおよび文章ならびに修正された文章は、文書構成処理部22により関連づけおよび整理ならびに整形された文書に変換される。
【0029】
上記文書構成処理部22により関連づけおよび整理ならびに整形された文書は、データ格納処理部25を通して、データベースとして用いられている文書情報メモリ14に送信され、文書情報メモリ14において格納される。
【発明の効果】
【0030】
以上述べたように本発明に係るオンライン研究教育支援に関して、特に、人間の構造的な思考方法と計算機を用いた知識の構造化手法の差異に注目し、それら両者に基づいた多ユーザが同時に編集可能な文書作成システムを具備した研究開発および成果などの文書をリアルタイムかつインタラクティブに作成できる教育研究支援システムを提供することを可能とする。
【0031】
本システムは、ユーザが大項目や小項目をタイトルとし、それらの説明を入力することで、全体としてまとまった文書群または文書を協調的に作成することを可能にすると同時に、それらの大項目および小項目ならびに文章および文書群を入れ替えることで、ユーザが目的または目標とする研究課題を説明または解決するための文書として完成させることが可能である。
【0032】
さらに、上記大項目および小項目は、ユーザの必要に応じて複雑な組み合わせとして構成することが可能であり、それらの集合を一つのメタ的な大項目を説明またはそれが研究課題の場合はそれを説明または解決するための文書として完成させることが可能である。
【0033】
ユーザが入力した文章にはそれぞれにそれを説明するメモが付加されることができ、どのような背景でユーザがその文章を入力したか他のユーザは理解可能であり、その理解に基づき新たにその文章に対するコメントや説明を入力することが可能となり、そのことで協調的な文書作成がより効果的に可能となる。
【0034】
以上より、本システムを用いることでオンライン上で効果的な研究教育活動が可能になり、ユーザは本システムが提供する文書形式変換の機能を利用することで、即論文の形式の文書ファイルを入手でき、研究論文として利用することが可能となる上に、本システムは総じて遠隔地などをネットワークとして結ばれた端末間において協調的に研究を発展ないしは完成させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るオンライン研究教育支援システムを示す回路ブロック図。
【図2】本発明に係るオンライン研究教育支援システムの入力情報処理機構10の詳細を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
【0036】
10・・・入力情報処理機構
11・・・文書履歴管理機構
12・・・文書構造加工機構
13・・・文書形式変換機構
14・・・文書情報メモリ
15・・・情報表示部
16・・・端末
20・・・付加情報入力部
21・・・研究課題入力部
22・・・文書構成処理部
23・・・文書入力部
24・・・文書修正部
25・・・データ格納処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが所有する知識や思考を表明し、主として構造的に文章および文書群を入力するための研究課題入力部と文書入力部およびそれらの説明を示すために付加情報を入力することができる付加情報入力部からなる入力情報処理機構と、
そこで入力された情報に関して適当な文章を修正するための入力情報処理機構に属する上方修正部と、
前記入力情報に基づき複数のユーザが自らの意見および知識を文章入力することで表明したりすでに入力されている情報を修正した際に、過去の情報を参照するために用いられる文書履歴管理機構と、
ユーザが入力した文書および文書群の構造を文書または文書群を交換することで変化させることを目的とした文書構造加工機構とを少なくとも具備し、
前記入力情報処理機構から文書情報メモリに格納された文書情報を参照することにより複数のユーザが文章および文書に対して加筆または修正したり、文書群の構造を変化させることでユーザが決めた目的の達成を支援するためのオンライン研究教育支援システム。
【請求項2】
前記ユーザの入力に基づいた文書群を複数のユーザが参照でき、それらに対して説明を与えるために下位層のデータを生成し、そこで入力されたデータまたは文書データに不備がある際に、
他のユーザが自らの判断により特定の文章を各論的に編集したり、文書群を総論的に入れ替えることで文書の完成度または研究のテーマの説明を効果的にすることを可能にすることを特徴とする請求項1記載のオンライン研究教育支援システム。
【請求項3】
前記ユーザが予め入力した文書において、それぞれの文章にはユーザが目的とする文書としてではなく対象の文章を入力した経緯や目的を記録でき、
又はそれらの経緯や目的を必要に応じて変更可能であり、
他のユーザがそれらを閲覧した際に、他のユーザの所有するまたは表出された知識つまり入力内容の根拠を理解するまたは認知することができる請求項2記載のオンライン研究教育支援システム。
【請求項4】
前記ユーザが入力したデータそれぞれに対して、その文章に対して異議をもつユーザが存在する際に、本システムを利用するすべてのユーザが参加できるテキストベースの議論システムを持っており、
又それは文書群としても持っておりユーザは文書全体から見て部分集合にあたる文書または文章に関する議論が可能となる請求項1記載のオンライン研究教育支援システム。
【請求項5】
前記ユーザが入力したすべての文章および文書群ならびに前記テキストベースの議論システムで行われた議論すべてに関して文書履歴管理機構により管理されており、
それらに関するデータ自体は文書情報メモリに格納されておりユーザは必要に応じて部分的な文章または文書群を文書履歴管理機構を通して呼び出すことが可能であり、
過去に修正されてユーザが見ることができなくなった情報も文書情報管理機構により呼び出し可能である機能を具備し、またそれを特徴とする請求項1記載のオンライン研究教育支援システム。
【請求項6】
少なくともユーザが総論的に文章または文書群の順序を変更した場合の履歴を前記文書履歴管理機構により参照することができ、
又その順序の変更に関する理由や根拠を前記付加情報入力部により入力することができ、その変更に関しての異議などに関してテキストベースの議論を可能とすることができる機能を少なくとも具備した請求項1記載のオンライン研究教育支援システム。
【請求項7】
前記文書情報メモリに格納された文書群をすべてまたは一部またはユーザが直接閲覧可能な文書のみを特定の書式形式または文書形式に変換でき、
それらに関して特定の形式の電子データとしての出力を可能とする文書形式変換機構を具備した請求項1記載のオンライン研究教育支援システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−309678(P2006−309678A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156333(P2005−156333)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(504384343)
【出願人】(504384192)
【Fターム(参考)】