説明

オートテンショナ

【課題】 ベルトが摩耗や伸びのために弛みが出た場合に、張り方向には容易に動き、弛み方向に殆ど動かないオートテンショナを提供する。
【解決手段】 ハウジング材3にアーム状の可動部材4を揺動自在に支持し、その先端部にはベルトを巻回可能なプーリを設けるとともに、前記可動部材4をハウジング材3に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材の揺動を減衰させる摩擦材と、を備える。更に、前記可動部材4にレバー材16を固定するとともに、その先端に、ハウジング材3の内周面に圧接可能なパッド材17を取り付ける。前記可動部材4に対する前記レバー材16の取付位置Bは、前記可動部材の回動中心Cと、前記パッド材17に対する前記レバー材16の取付位置Aとを結んだ中心線Pより外れてオフセットされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの張力を自動的に適度に保つオートテンショナの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のオートテンショナは、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1の構成は、スプリングの端部をブレーキシューに当接させ、ブレーキシューをアームの内周壁に圧接させて、ブレーキシューとアームの内周壁面との間で発生する摩擦力によってアームの回動に減衰力を働かせるものである。
【0003】
また、特許文献2や特許文献3に開示されているオートテンショナも、スプリングの端部をブレーキシューに当接させ、このブレーキシューをアームの内周面に圧接させて、摩擦力によってアームの回動を減衰するようになっている。なお、特許文献2や特許文献3に開示されているものは、スプリングの端部と当接するブレーキシューの当接面がブレーキシューに作用するスプリング力よりも大きい垂直力を発生させることにより、減衰効率を高めるようにしている。
【特許文献1】米国特許第4696663号公報
【特許文献2】特開平9−189347号公報
【特許文献3】特開平9−189348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3の構成は、自転車に使用されているブレーキ材のようなブレーキシューを使用し、スプリング端部からの力をブレーキシューに伝達してブレーキを掛けるものであった。更には、ブレーキシューを局部的にアームの内周壁面へ当接させていたため、スプリングの端部からブレーキシューへ垂直力を常時与えることが困難で、その方向が逸れてくるとブレーキ力が弱くなってしまい、減衰効率の低下を招いていた。また、ブレーキシューが偏摩耗し易く、減衰効率が短期間の使用で低下してしまうという点で、改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、効率良くブレーキをかけることができ、また、制動のための部材の偏摩耗を抑制して、長期間にわたって高い減衰効率を維持できるオートテンショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
◆本発明の観点によれば、以下のように構成する、オートテンショナが提供される。ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部の先端に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる摩擦材と、を備える。前記ハウジング材の内周面に圧接可能なブレーキ材を少なくとも一つ備える。前記可動部材が一側に回動するときには、前記ブレーキ材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を増大させ、前記可動部材が他側に回動するときには、前記ブレーキ材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を減少させる。
【0008】
これにより、可動部材が、ベルトが摩耗や伸びのために弛みが出た場合にベルトを張る方向には容易に動くが、ベルトを弛ませる方向には動きにくいオートテンショナを提供できる。なお、以下において、ベルトを張るように可動部材が動く方向を「張り方向」、ベルトを弛ませる方向を「弛み方向」と、それぞれ称することがある。
【0009】
◆前記のオートテンショナにおいては、以下のように構成することが好ましい。前記ブレーキ材は、可動部材に固定されたレバー材と、その先端に取り付けられるパッド材とからなる。前記可動部材に対する前記レバー材の取付位置は、前記可動部材の回動中心と、前記パッド材に対する前記レバー材の取付位置とを結んだ中心線より外れてオフセットされる。前記可動部材の回転による前記レバー材の突張り力の変化によって、前記パッド材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を変化させる。
【0010】
これにより、可動部材の回転方向に応じてレバー材の突張り力の強弱を変化させることにより、可動部材がベルトの張り方向に容易に動き、弛み方向に動きにくいオートテンショナを簡素な構成で提供できる。
【0011】
◆前記のオートテンショナにおいては、前記レバー材が板状の弾性体であることが好ましい。
【0012】
これにより、構成を一層簡素とできるとともに、弾性体の弾発力によってパッド材をハウジング材の内周面に確実に押し当てて圧接させることができ、可動部材が弛み方向に動こうとする際に、パッド材とハウジング材の内周面との間で制動力を確実に発生させることができる。
【0013】
◆前記のオートテンショナにおいては、前記レバー材が円弧状に形成されていることが好ましい。なお、「円弧状」とは、単純な円弧状のみならず、円弧を組み合わせたような例えばS字状や、楕円弧状を含む。
【0014】
これにより、レバー材を弾発力の観点で有利な形状とでき、可動部材が弛み方向に動こうとする際に、パッド材とハウジング材の内周面との間で強く且つ確実な制動力を発生させることができる。
【0015】
◆前記のオートテンショナにおいては、前記レバー材としての板状の弾性体が、折り重なった形状に構成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、レバー材を応力の観点で有利な形状とできる。
【0017】
◆前記のオートテンショナにおいては、前記パッド材に対する前記レバー材の取付位置が、当該パッド材の幅方向中央からオフセットされていることが好ましい。
【0018】
これにより、可動部材が回動した際にパッド材とレバー材との間でモーメントが発生しても、それを相殺することができ、パッド材の偏摩耗を防止することができる。
【0019】
◆前記のオートテンショナにおいては、以下のように構成することが好ましい。前記ブレーキ材は、可動部材の回転に従って回動するカム材と、このカム材に係合するパッド材とからなる。前記可動部材の回転方向が異なると、前記パッド部材に対する前記カム材の第1接触位置、及び、前記可動部材に対する前記カム材の第2接触位置が、異なるように構成する。更に、前記可動部材が一側に回転するときの前記第1接触位置と第2接触位置とを結んだ直線の傾きと、前記可動部材が他側に回転するときの前記第1接触位置と第2接触位置とを結んだ直線の傾きが、異なるように構成する。前記可動部材の回転による前記カム材の回動によって、前記パッド材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を変化させる。
【0020】
これにより、可動部材の回転方向に応じてカム材の突張力の向きを変え、その径方向成分の強弱を変化させることにより、可動部材がベルトの張り方向に容易に動き、弛み方向に動きにくいオートテンショナを簡素な構成で提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るオートテンショナの全体的な構成を示した軸断面図、図2は図1の2−2線断面矢視図である。
【0022】
図1に示すオートテンショナ1は、鎖線で略示するエンジンブロック2に図略のボルト等によって固着される筒状のハウジング材3と、このハウジング材3に対し揺動自在に支持されるアーム状の可動部材4と、を備えている。可動部材4のアーム部の先端には、鎖線で略示するように、プーリ5が回転自在に支持される。このプーリ5の外周面は、エンジンのクランクシャフトの回転をオルタネータに伝達するための図略のベルトに当接している。そして、上記可動部材4は後述のスプリング(コイルバネ)14によって一側に回動付勢されており、これにより前記プーリ5は、前記ベルトに適宜の張力を付与するように構成されている。
【0023】
ハウジング材3は外筒6と内筒7とを備える二重筒構造とされており、この内筒7に、前記可動部材4の基軸8が挿入されている。この結果、可動部材4は、回動中心Cまわりに回動自在(揺動自在)とされている。前記基軸8の外周面と内筒7の内周面との間には摩擦材9が設置され、可動部材4の回動に対して適宜の摩擦力を発生させるようになっている。外筒6の端部には蓋体10が設置される。
【0024】
外筒6と蓋体10とにより覆われた内部空間において、前記可動部材4の基軸8にはフランジ部11が形成される。ハウジング材3の内底面及び前記フランジ部11には、互いに対向する環状のバネ収容溝12,13が形成される。
【0025】
フランジ部11とハウジング材3の内底面との間には、付勢部材ないし弾性体としてのコイルバネ14が設置される。コイルバネ14のバネ線の一端はハウジング材3のバネ収容溝12に、他端は可動部材4(前記フランジ部11)のバネ収容溝13に、それぞれ固定される。このコイルバネ14は、可動部材4をハウジング材3に対して一側の方向(前述のベルトを張る方向)に回動付勢する付勢力を作用させるように構成されている。
【0026】
ハウジング材3の外筒6内部の空間であって、前記フランジ部11と蓋体10の間の位置には、3つのブレーキ材15が周方向に等間隔で設置されている(2−2断面矢視図としての図2を併せて参照)。これらブレーキ材15は、それぞれ、前記可動部材4の基軸8に固定された直線状のレバー材16と、このレバー材16の先端に取り付けられるパッド材17とからなる。レバー材16は、板バネなどの適宜の弾性体により構成されている。パッド材17は、前記外筒6の内周面に接触して圧接可能に構成されている。
【0027】
そして図2に示すように、前記可動部材4の回動中心Cと、前記パッド材17に対する前記レバー材16の取付位置Aとを結んだ仮想的な中心線Pを考えたときに、前記可動部材4に対する前記レバー材16の取付位置Bは、上記中心線Pより外れてオフセットした位置とされている。
【0028】
以上の構成の動作を説明する。図3(a)に示すように可動部材4が前記コイルバネ14の付勢力に抗して前記ベルトを弛ませる方向に回動しようとすると、レバー材16は基軸8の回転に従って外筒6に向けて押動されるので、レバー材16が突っ張る形となって、パッド材17が外筒6の内周面に強く圧接される結果、強い制動力Fを発生させる。一方、図3(b)に示すように可動部材4が前記ベルトを張る方向に回動しようとすると、レバー材16は基軸8の回転に従って外筒6から離れる方向に引っ張られて突張り力を弱めるので、パッド材17が外筒6の内周面に圧接される力は弱くなり、制動力Fも弱くなる。
【0029】
このような構成とすることにより、ベルトが摩耗や伸びのために弛みが出た場合に、張り方向には容易に動き、弛み方向に殆ど動かない理想的なオートテンショナを提供できる。
【0030】
ここで前記パッド材17の材質は、ブレーキなどで用いる乾式の摩擦材で耐摩耗性の良いものであることが好ましい。ただし、ハウジング材の内周面との圧接力が低くて良い場合は、ナイロン等の樹脂でも差し支えない。
【0031】
また、前記レバー材16の材質は様々なものを採用できるが、本実施形態のように弾性体とすることが好ましい。本実施形態のように板バネ等の弾性体をレバー材16として採用すれば、その弾発力によってパッド材17を外筒6の内周面に確実に押し当てて圧接させ、可動部材4の弛み方向への回動に抵抗する制動力を確実に発生させることができる。
【0032】
また、レバー材16とパッド材17との取付方法としては、例えばピン結合など、パッド材17に大きなモーメントが発生しにくいように取り付けることが好ましい。なお、パッド材17に円弧状やV字状の溝を形成し、その溝の内面にレバー材16の先端を接当させ、先端部と溝面とが滑ることでパッド材17がレバー材16に対して回動可能となるように構成しても良い。
【0033】
前記レバー材16の形状としては、図2のような直線状に限られず、図4の第1変形例のように単純な円弧状とすることもできるし、図5の第2変形例のように円弧と円弧を組み合わせた略S字状の曲線状とすることもできる。この場合、バネ力を効率よく発生させて、外筒6の内周面とパッド材17との間の制動力を良好に発生させることができる。
【0034】
更には、図6の第3変形例、図7の第4変形例のように、レバー材16の断面を長手方向で変化させることで応力的に有利な形状としても良い。
【0035】
基軸8(可動部材4)にレバー材16を回転不能に固定する取付方法としては、前記の図4や図5に示すように、基軸8の外周面に溝を形成してレバー材16の端部を差し込んで固定する方法が考えられる。また図8の第5変形例のように、基軸8の外周面を凹凸ある形状に構成して、その凹凸状の外周面に沿うようにレバー材16を基軸8に巻き付け、そのレバー材16の一端を外筒6側に引き出し、この先端にパッド材17を取り付ける構成としても良い。
【0036】
また、レバー材16のパッド材17への取付位置Aは、図2の例では、パッド材17の幅方向中央(円周方向中央)としている。即ち、パッド材17の一端の前記取付位置Aからの幅をL1、他端の前記取付位置Aからの幅をL2としたときに、L1=L2となっている。図4〜図8の例においても同様である。
【0037】
一方、図9の第6変形例に示すように、レバー材16のパッド材17への取付位置Aが、パッド材17の幅方向中央(円周方向中央)から、若干オフセットさせても良い。取付位置Aの幅方向中央からオフセットさせる方向は、レバー材16の基軸8に対する取付位置Bが前述の中心線Pからオフセットさせる方向と、反対であることが好ましい(L1<L2)。この場合、パッド材17のうち、L1側が外筒6の内周面より受ける反力が弱くなり、L2側の反力が強くなる。この反力の不均衡によって、レバー材16が図9の矢印方向に変形したときに取付位置Aの部分で発生するモーメントMを相殺することができ、パッド材17の偏摩耗を防止できる。
【0038】
図10の第7変形例においても、レバー材16のパッド材17への取付位置Aが、パッド材17の幅方向中央からオフセットされた構成となっている(L1<L2)。なお、図10の例では、レバー材16を2つに折り畳んで重ねた形状とし、応力的に有利な形状とするとともに、180°折り返すように曲げた折曲部分が小半円をなすようにして、その折曲部分をパッド材17の円弧面状の丸溝に差し込んでいる。従って、折曲部分に対しパッド材17の丸溝が滑ることで、パッド材17がレバー材16に対し回動できるようになっている。
【0039】
図11の第8変形例では、ブレーキ材15が、可動部材4に対し回動自在に設けられたカム材18と、これに係合するパッド材17とからなっている。このカム材18は、3つの頂部が何れも丸みを帯びた略三角形状をなしており、3つの頂部のうちの1つが前記基軸8の丸溝に挿入され、残りの2つの頂部がパッド材17に設けた溝に挿入されている。
【0040】
この構成において、可動部材4(基軸8)が一側に回転するときと他側に回転するときとで、カム材18が、基軸8の丸溝に挿入された頂部を略中心として相対回動して向きを若干変えるために、パッド材17に対するカム材18の接触位置(第1接触位置)、及び、基軸8に対するカム材18の接触位置(第2接触位置)が異なるようになっている。具体的には、可動部材4が図11の時計方向に回転するときは、カム材18のパッド材17に対する接触位置(第1接触位置)はA1となり、カム材18の基軸8に対する接触位置(第2接触位置)はB1となる。一方、可動部材4が図11の反時計方向に回転するときは、カム材18のパッド材17に対する接触位置(第1接触位置)はA2となり、カム材18の基軸8に対する接触位置(第2接触位置)はB2となる。
【0041】
そして、可動部材4が図11の時計方向に回転するときの第1接触位置A1と第2接触位置B1とを結んだ仮想線P1、及び、反時計方向に回転するときの第1接触位置A2と第2接触位置B2とを結んだ仮想線P2を考えた場合に、2つの仮想線P1,P2の傾き度合いは互いに異なり、不均等になっている。即ち、仮想線P1の方が仮想線P2よりも、基軸8や外筒6の径方向に近い向きとなっている。この構成は、前記カム材18の形状を、二つの第2接触位置B1,B2の二等分点Bを中心に対称な形状ではなく、非対称な略三角形状とすること、及び、前記二等分点Bとカム材18の輪郭である略三角形の重心位置Gとを結んだ線が基軸8(外筒6)の径方向に対し傾くようにカム材18の向きを設定することにより実現されている。
【0042】
この構成において、図12(a)に示すように可動部材4がベルトの弛み方向(時計方向)に回転するときは、カム材18は仮想線P1方向に突っ張り、その突張力の径方向成分がパッド材17を外筒6側へ強く押し付けるので、パッド材17と外筒6の内周面とで大きな圧接力を生じ、制動力Fは強くなる。一方、図12(b)に示すように可動部材4がベルトの張り方向(反時計方向)に回転するときは、カム材18は仮想線P2方向に突っ張り、その突張力の径方向成分は前記図12(a)の場合よりも小さくなるので、パッド材17と外筒6の内周面との圧接は弱められて、制動力Fは小さい。従って、可動部材4が弛み方向に殆ど動かない一方、ベルトが摩耗や伸びのために弛みが出た場合には、その弛みを取る方向(張り方向)に可動部材4が容易に動くオートテンショナを提供できる。
【0043】
以上に本発明の好適な実施形態とその変形例を説明したが、上記の実施形態及び変形例は更に以下のように変更して実施することができる。
【0044】
(1)ブレーキ材15の取付個数は、上記の実施形態のように3つに限定されず、例えば1つや2つであってもよいし、4つ以上であっても良い。ただし、安定したブレーキ力を発生させる観点から言えば、ブレーキ材15は複数設けることが好ましく、3つ以上設けると更に好ましい。
【0045】
(2)また、ブレーキ材15の配設位置についても、図1に示す位置、即ちフランジ部11と蓋体10との間の位置に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るオートテンショナの全体的な構成を示した軸断面図。
【図2】図1の2−2線断面矢視図。
【図3】(a)は可動部材がベルト弛み方向に回動する場合の動作を、(b)はベルト張り方向に回動する場合の動作を、それぞれ説明する図。
【図4】ブレーキ材の第1変形例を示す図。
【図5】第2変形例を示す図。
【図6】第3変形例を示す図。
【図7】第4変形例を示す図。
【図8】第5変形例を示す図。
【図9】第6変形例を示す図。
【図10】第7変形例を示す図。
【図11】第8変形例を示す図。
【図12】(a)は第8変形例において可動部材がベルト弛み方向に回動する場合の動作を、(b)はベルト張り方向に回動する場合の動作を、それぞれ説明する図。
【符号の説明】
【0047】
1 オートテンショナ
3 ハウジング材
4 可動部材
5 プーリ
9 摩擦材
14 コイルバネ
15 ブレーキ材
16 レバー材
17 パッド材
18 カム材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング材と、このハウジング材に回動自在に支持されるアーム状の可動部材と、この可動部材のアーム部の先端に設けられるとともにベルトに接触可能なプーリと、前記可動部材をハウジング材に対し所定方向に付勢するコイルバネと、前記可動部材と前記ハウジング材との間に介装され、前記可動部材の揺動を減衰させる摩擦材と、を備えたオートテンショナにおいて、
前記ハウジング材の内周面に圧接可能なブレーキ材を少なくとも一つ備えるとともに、
前記可動部材が一側に回動するときには、前記ブレーキ材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を増大させ、前記可動部材が他側に回動するときには、前記ブレーキ材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を減少させることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項2】
請求項1に記載のオートテンショナであって、
前記ブレーキ材は、可動部材に固定されたレバー材と、その先端に取り付けられるパッド材とからなり、
前記可動部材に対する前記レバー材の取付位置は、前記可動部材の回動中心と、前記パッド材に対する前記レバー材の取付位置とを結んだ中心線より外れてオフセットされ、
前記可動部材の回転による前記レバー材の突張り力の変化によって、前記パッド材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を変化させることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項3】
請求項2に記載のオートテンショナであって、前記レバー材が板状の弾性体であることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項4】
請求項2に記載のオートテンショナであって、前記レバー材が円弧状に形成されていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項5】
請求項3に記載のオートテンショナであって、前記レバー材としての板状の弾性体が、折り重なった形状に構成されていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項6】
請求項2から請求項5までの何れか一項に記載のオートテンショナであって、
前記パッド材に対する前記レバー材の取付位置が、当該パッド材の幅方向中央からオフセットされていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項7】
請求項1に記載のオートテンショナであって、
前記ブレーキ材は、可動部材の回転に従って回動するカム材と、このカム材に係合するパッド材とからなり、
前記可動部材の回転方向が異なると、前記パッド部材に対する前記カム材の第1接触位置、及び、前記可動部材に対する前記カム材の第2接触位置が、異なるように構成し、
更に、前記可動部材が一側に回転するときの前記第1接触位置と第2接触位置とを結んだ直線の傾きと、前記可動部材が他側に回転するときの前記第1接触位置と第2接触位置とを結んだ直線の傾きが、異なるように構成して、
前記可動部材の回転による前記カム材の回動によって、前記パッド材と前記ハウジング材の内周面との圧接力を変化させることを特徴とするオートテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−125439(P2006−125439A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311202(P2004−311202)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】