説明

オーロラA選択的阻害作用を有する新規アミノピリジン誘導体

本発明は、式(I):
【化1】


[式中、Rは、H、−NHCOOR1a、C5−6シクロアルキル、又はフェニルであり;ここで、シクロアルキル及びフェニルは、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;R1aは、C1−3アルキルであり、これは、F及びClから選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;Rは、H、−COOH、−CHCOOH、−COOR2a、又は−CHCOOR2aであり;R2aは、C1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン原子から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;Rは、H、C1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、R11から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
10は、F、Cl、CF、又はC1−2アルキルであり;R11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、又はシアノであり;Wは:
【化2】


から選択され;W2aは、H、ハロゲン原子、シアノ、C1−2アルキル、又はC3−5シクロアルキルである]の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の分野で有用であり、さらに詳細には、オーロラA選択的阻害作用に基づいて腫瘍細胞の増殖を阻害し、抗腫瘍効果を発揮する、新規アミノピリジン誘導体、及びそれを含むオーロラA選択的阻害剤並びに抗がん剤に関する。
【背景技術】
【0002】
オーロラキナーゼは細胞分裂に関与するセリン/スレオニンキナーゼである。オーロラキナーゼには現在、A、B、Cの3種類のサブタイプが知られており、互いに、極めて高い類似性(ホモロジー)を有している。オーロラAは中心体の成熟および分配、また紡錘体の形成に関与する。一方、オーロラBは染色体の凝集、対合、紡錘体チェックポイントおよび細胞質分裂に関与していると考えられている [ネイチャー レビューズ モレキュラー セル バイオロジー(Nat. Rev. Mol. Cell Biol.)、第4号、842−854]。また、オーロラCはオーロラBと相互作用して同様に働くと考えられている [ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、Epub ahead (2004)]。これまでにオーロラAの高発現が多くの癌細胞で確認されていること、及び、正常細胞にオーロラAを高発現させるとげっ歯類の正常細胞株を形質転換することなどから、オーロラAががん遺伝子の一つとして、抗がん剤の好適なターゲットと認識されている[ザ エンボジャーナル(EMBO J.)、第17号、3052−3065ページ、(1998)]。
【0003】
また、オーロラAの高発現したがん細胞が、パクリタキセルに対する耐性があるとの報告もある[キャンサー セル(Cancer Cell)、第3巻、51−62頁、(2003)]。一方、オーロラキナーゼ阻害剤については、サブタイプ間の高い類似性や蛋白構造解析などから、サブタイプ選択的な薬剤開発が困難と考えられており、これまでZM447439などのオーロラA、オーロラBを同時に阻害する薬剤に関する報告は知られているが[ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、267−280頁、(2003);ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、281−294頁、(2003); ネイチャー メディシン(Nat. Med.)、第10号、262−267頁、(2004)]、オーロラA選択的な薬剤に関する報告は知られていない。即ち、これらの報告ではオーロラA、オーロラBを同時に阻害する薬剤を単剤で投与した場合の抗がん効果のみが開示されているに過ぎない。しかも、オーロラA及びオーロラBを同時に阻害する薬剤ではオーロラキナーゼ阻害作用がパクリタキセルの作用を減弱させている様な結果も同時に報告されている[ジャーナル オブ セルラー バイオロジー(J. Cell Biol.)、第161号、281−294頁、(2003)]。
【0004】
一方、過去にオーロラキナーゼ阻害作用を有する化合物に関する特許出願はなされている(国際公開第02/022606号パンフレット、国際公開第02/022602号パンフレット、国際公開第02/022601号パンフレット、国際公開第2006/046734号パンフレット)。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、前述に基づき優れたオーロラA選択的阻害作用及び細胞増殖阻害作用を示し、それにより他の抗がん剤と組合せることで相乗作用を達成する、新規なアミノピリジン誘導体を提供することである。
【0006】
本発明者らは、様々な新規アミノピリジン誘導体を合成してきており、以下の式(I)によって表わされる化合物が優れたオーロラA選択的阻害作用を示すことを見出した。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
は、H、−NHCOOR1a、C5−6シクロアルキル、又はフェニルであり、ここで、シクロアルキル及びフェニルは、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
1aは、C1−3アルキルであり、これは、F及びClから選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
は、H、−COOH、−CHCOOH、−COOR2a、又は−CHCOOR2aであり;
2aは、C1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン原子から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
は、H又はC1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、R11から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
10は、F、Cl、CF、又はC1−2アルキルであり;
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、又はシアノであり;
Wは:
【0010】
【化2】

【0011】
から選択され;
2aは、H、ハロゲン原子、シアノ、C1−2アルキル、又はC3−5シクロアルキルである]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルに関する。
【0012】
また、本発明は、がん治療において同時に、別々に、又は順次に投与するための組み合わせ製剤であって、2つの別個の製剤:
(i)薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤、並びに
(ii)薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤(ここで、
抗がん性アルキル化剤は、ナイトロジェン マスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンであり、
抗がん性代謝拮抗剤は、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムであり、
抗がん性抗生物質は、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス、又はバルルビシンであり、
植物由来抗がん剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、又はビノレルビンであり、
抗がん性白金配位化合物は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、又はオキザリプラチンであり、
抗がん性カンプトテシン誘導体は、イリノテカン、トポテカン、又はカンプトテシンであり、
抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダザチニブ又はエルロチニブであり、
モノクローナル抗体は、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ又はトラスツズマブであり、
インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、又はインターフェロンγ−n1であり、
生物学的応答調節剤は、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、又はウベニメクスであり、そして、
その他抗がん剤は、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、又はゴセレリンである。):
からなる組み合わせ製剤、に関する。
【0013】
さらに、本発明は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル、並びに抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、上記と同義である。)からなる群から選択される抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含むことを特徴とする医薬組成物、に関する。
【0014】
また、本発明は、治療上有効量の上記一般式[I]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、前記と同じである。)からなる群から選択される治療上有効量の抗がん剤又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルと組み合わせて、同時に、別々に、又は順次に投与することを特徴とするがん治療方法、に関する。
【0015】
さらに、本発明は、がん治療のための医薬を製造するための、オーロラA選択的阻害剤の使用、及び、がん治療のための医薬を製造するための、抗がん剤と組み合わせた、オーロラA選択的阻害剤の使用、に関し、また、哺乳類(特にヒト)におけるがんを治療する方法であって、当該哺乳類に治療上の有効量のオーロラA選択的阻害剤を投与することを特徴とする方法、及び、哺乳類(特にヒト)におけるがんを治療する方法であって、治療上の有効量の抗がん剤と組み合わせて、当該哺乳類に治療上の有効量のオーロラA選択的阻害剤を投与することを特徴とする方法、に関する。
【0016】
また、本発明は、オーロラA選択的阻害剤を有効成分として含有する医薬組成物、及び、抗がん剤と一緒に、オーロラA選択的阻害剤を有効成分として含有する医薬組成物、に関する。
【0017】
次に、本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
【0018】
用語「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する分枝鎖及び直鎖双方の飽和脂肪族炭化水素基を包含することが意図されている。例えば、用語「C1−6アルキル」における場合、C1−6は、1、2、3、4、5、又は6個の炭素を、直鎖又は分枝鎖配列中に有する基を包含するものと定義される。例えば、「C1−6アルキル」は、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。一般に、用語「Cm−nアルキル」は、mないしn個の炭素を直鎖又は分枝鎖配列中に有する基を包含するものと定義され、ここで、m及びnは、各々独立して、1ないし6の整数であるが、nはmよりも大きい。
【0019】
用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する単環式の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、用語「C3−8シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、シクロブチル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを包含する。本発明の1つの実施態様においては、用語「シクロアルキル」は、すぐ上に記載された基を包含し、かつさらに、単環式不飽和脂肪族炭化水素基を包含する。例えば、用語「シクロアルキル」は、この実施態様において定義されるとき、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニルなどを包含する。
【0020】
上記式(I)において、用語「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。これらの中で、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。
【0021】
本明細書で用いる「オーロラA選択的阻害剤」とは、オーロラBに比べてオーロラAを選択的に阻害する化合物ないし薬剤である。「オーロラA選択的阻害剤」とは、好ましくは、オーロラBに比べてオーロラAを少なくとも10倍強く阻害する化合物ないし薬剤であり、さらに好ましくは、オーロラBに比べてオーロラAを少なくとも100倍強く阻害する化合物ないし薬剤である。
【0022】
本明細書で用いる「その薬学的に許容される塩若しくはエステル」、及び「薬学的に許容される担体又は希釈剤」の説明は後述する。
【0023】
本明細書で用いる「がん治療」という用語は、がん患者に対して、抗がん剤を投与することにより、がん細胞の増殖を阻害することを意味する。好ましくは、かかる治療は、がん増殖を後退、即ち、測定可能ながんの大きさを減縮させることができる。さらに好ましくは、かかる治療は、がんを完全に消失させる。
【0024】
本明細書で用いる「がん」という用語は、固形がん及び造血器がんである。ここで、固形がんは、例えば、脳腫瘍、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルス腫瘍、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫、軟部肉腫などである。一方、造血器がんとしては、例えば、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫などである。
【0025】
本明細書で用いる「製剤」という用語は、経口製剤及び非経口製剤を含む。経口製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などであり、一方、非経口製剤としては、例えば、溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の製剤、具体的には、注射剤、点滴剤などであり、好ましくは、静脈内注射剤又は静脈内点滴剤であり、さらに好ましくは静脈内点滴剤である。
【0026】
本明細書で用いる「組み合わせ製剤」という用語は、治療において同時に、別々に、又は順次に投与するための2個以上の製剤からなるものをいい、それらが、いわゆるキット型の製剤又は医薬組成物になっていてもよい。上述したような、がん治療において用いる2つの別個の製剤からなる組み合わせ製剤に対して、さらに1個以上の製剤を組み合わせたものも、上記「組み合わせ製剤」に含まれる。
【0027】
上述した2個の別個の製剤に対して、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及びその他抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、前記と同じである。)からなる群から選択される抗がん剤少なくとも1種以上又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む製剤1個以上を、さらに組み合わせることもできる。この場合、さらに加えられた1個以上の製剤は、上記2つの別個の製剤と、同時に、別個に、又は順次に投与されてもよい。例えば、3つの製剤からなる組み合わせ製剤としては、上記一般式(I)で表される化合物を含む製剤、5−フルオロウラシルを含む製剤、及びロイコボリンを含む製剤を包含する。
【0028】
ここで、上記の組み合わせ製剤において、2個の別個の製剤のいずれか一方又は両方が、経口製剤であってもよく、また、一方が経口製剤であり、もう一方が非経口製剤(注射剤又は点滴剤)であってもよい。
【0029】
本発明に係る「製剤」においては、通常、本発明に係る化合物の治療上の有効量を薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に含んでいてもよい。この製剤化技術は、当該技術分野の当業者にとって技術常識であると考えられ、よく知られている。好ましくは、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、当業者によく知られている多くの方法で経口製剤用、静脈内点滴用又は注射用に製剤化することができる。
【0030】
本明細書で用いる「投与」という用語は、本発明に係る組み合わせ製剤を用いる場合、非経口投与及び/又は経口投与を意味し、好ましくは、経口投与である。即ち、組み合わせ製剤を投与する場合、両方とも非経口投与でもよく、一方が非経口投与でもう一方が経口投与でもよく、また、両方とも経口投与でもよい。好ましくは、組み合わせ製剤の両方が経口投与される。ここで、「非経口投与」は、例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与などであり、好ましくは、静脈内投与である。また、3個以上の製剤が組み合わされて投与される場合でも、いずれも経口製剤であってもよい。
【0031】
なお、本発明の実施において、上記一般式(I)で示される化合物は、他の抗がん剤と同時に投与してもよい。また、上記一般式(I)で示される化合物を投与してから連続して他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与してから上記一般式(I)で示される化合物を連続して投与してもよい。さらに、上記一般式(I)で示される化合物を投与し、時間をおいて別々に他の抗がん剤を投与してもよいし、他の抗がん剤を投与し、時間を置いて別々に上記一般式(I)で示される化合物を投与してもよい。かかる投与順序及び投与間隔は、用いられる上記一般式(I)で示される化合物を含む製剤、及びそれと併用される抗がん剤を含む製剤、治療すべきがん細胞の種類、患者の状態などに応じて、当業者が適宜選択することができる。例えば、上記一般式(I)で示される化合物とパクリタキセル又はドセタキセルを投与するときは、好ましくは、まずパクリタキセル又はドセタキセルを投与してから、連続して又は時間をおいて上記一般式(I)で示される化合物を投与する。
【0032】
また、本明細書で用いる「同時に」とは、ほぼ同じ時間に治療に使用することをいい、「別々に」とは、異なった時間に別々に治療に使用することをいい、例えば、1日目に1つの薬剤、2日目にもう1つの薬剤を治療に使用するような場合をいう。「順次に」とは、順番に従って使用することをいい、例えば、最初に1つの薬剤を使用し、次いで、決められた時間後に、他の薬剤を治療に使用するような場合をいう。
【0033】
本明細書で用いる「抗がん性アルキル化剤」は、抗がん活性を有するアルキル化剤を意味し、ここで、「アルキル化剤」とは、一般に、有機化合物の水素原子をアルキル基で置換するアルキル化反応において、アルキル基を与えるものをいう。「抗がん性アルキル化剤」は、例えば、ナイトロジェン マスタード N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド又はカルムスチンなどである。
【0034】
本明細書で用いる「抗がん性代謝拮抗物質」は、抗がん活性を有する代謝拮抗物質をいい、ここで、「代謝拮抗物質」とは、広義には、生体にとって重要な代謝物(ビタミン、補酵素、アミノ酸、糖類など)と構造上又は機能上類似しているために、正常な物質代謝を行わなくさせる物質や、電子伝達系を阻害することによって高エネルギー中間体をつくれなくさせる物質を包含する。「抗がん性代謝拮抗物質」は、例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビンオクホスファート、エノシタビン、S−1、ゲムシタビン、フルダラビン又はペメトレクスド ジソディウムなどであり、好ましくは、5−フルオロウラシル、S−1、ゲムシタビンなどである。
【0035】
本明細書で用いる「抗がん性抗生物質」は、抗がん活性を有する抗生物質をいい、ここで、「抗生物質」とは、微生物によってつくられるか、又は有機合成によりつくられ、微生物その他の生物細胞の発育その他の機能を阻害する物質を包含する。「抗がん性抗生物質」は、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ネオカルチノスタチン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC、アクラルビシン、ピラルビシン、エピルビシン、ジノスタチンスチマラマー、イダルビシン、シロリムス又はバルルビシンなどである。
【0036】
本明細書で用いる「植物由来抗がん剤」は、植物を起源として見いだされた抗がん活性を有する化合物であるか、或いは、その化合物を化学修飾を加えた化合物を包含する。「植物由来抗がん剤」は、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビンなどであり、好ましくは、ドセタキセル及びパクリタキセルである。
【0037】
本明細書で用いる「抗がん性カンプトテシン誘導体」は、カンプトテシン自身を含み、構造的にカンプトテシンに関連するがん細胞増殖阻害性化合物を意味する。「抗がん性カンプトテシン誘導体」としては、特に限定されないが、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテシンなどが挙げられ、好ましくは、カンプトテシン、トポテカン、及びイリノテカンである。なお、イリノテカンは、生体内で代謝されてSN−38として抗がん作用を示す。カンプトテシン誘導体は、作用機構および活性はほぼカンプトテシンと同様と考えられる(新田 他、癌と化学療法、14,850−857(1987)など)。
【0038】
本明細書で用いる「抗がん性白金配位化合物」は、抗がん活性を有する白金配位化合物をいい、ここで、「白金配位化合物」は、イオンの形態で白金を提供する白金配位化合物を意味する。好ましい白金化合物としては、シスプラチン;シス−ジアンミンジアコ白金(II)−イオン;クロロ(ジエチレントリアミン)−白金(II)クロリド;ジクロロ(エチレンジアミン)−白金(II);ジアンミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)(カルボプラチン);スピロプラチン;イプロプラチン;ジアンミン(2−エチルマロナト)−白金(II);エチレンジアミンマロナト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)スルファト白金(II);アクア(1,2−ジアミノジシクロヘキサン)マロナト白金(II);(1,2―ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II);(4−カルボキシフタラト)(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II);(1,2−ジアミノシクロヘキサン)オキサラト白金(II);オルマプラチン;テトラプラチン;カルボプラチン;ネダプラチン及びオキザリプラチンであり、好ましくは、カルボプラチン又はオキザリプラチンである。また、本明細書で挙げた他の抗がん性白金配位化合物は、公知であり、商業的に入手可能であり、及び/又は、慣用技術によって当業者が製造することができる。
【0039】
本明細書で用いる「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」とは、抗がん活性を有するチロシンキナーゼ阻害剤をいい、ここで、「チロシンキナーゼ阻害剤」とは、ATPのγ−リン酸基をタンパク質の特定のチロシンのヒドロキシル基に転移する「チロシンキナーゼ」を阻害する化学物質をいう。「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」としては、ゲフィチニブ、イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダザチニブ、エルロチニブなどが挙げられる。
【0040】
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」は、単クローン性抗体ともいわれ、単一クローンの抗体産生細胞が産生する抗体をいい、例えば、セツキシマブ、ベバシズマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブなどが挙げられる。
【0041】
本明細書で用いる「インターフェロン」とは、抗がん活性を有するインターフェロンをいい、一般に、ウイルス感染に際して、ほとんどすべての動物細胞が生産・分泌する分子量約2万の糖タンパク質であり、ウイルス増殖抑制のみならず、細胞(特に腫瘍細胞)の増殖抑制や、ナチュラルキラー活性の増強をはじめ多様な免疫エフェクター作用があり、サイトカインの1種と位置づけられる。「インターフェロン」としては、例えば、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−n1などが挙げられる。
【0042】
本明細書で用いる「生物学的応答調節剤」とは、いわゆるバイオロジカル・レスポンス・モディファイヤー(biological response modifier; BRM)であり、一般に、生体のもつ防御機構や組織細胞の生存、増殖、または分化など生物学的反応を調節することによって、腫瘍や感染あるいはその他の疾病に対して、個体に利する方向にもっていくことを目的とする物質や薬剤の総称をいう。「生物学的応答調節剤」としては、例えば、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、ウベニメクスなどが挙げられる。
【0043】
本明細書で用いる「その他抗がん剤」とは、抗がん活性を有する上記のいずれにも属しない抗がん剤をいう。「その他抗がん剤」としては、ミトキサントロン、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン、アレファセプト、ダルベポエチン アルファ、アナストロゾール、エキセムスタン、ビカルタミド、リュープロレリン、フルタミド、フルベストラント、ペガプタニブ オクタソディウム、デニリューキン ジフティトクス、アルデスリューキン、チロトロピン アルファ、アルセニック トリオキシド、ボルテゾミブ、カペシタビン、ゴセレリン、などが挙げられる。
【0044】
上記「抗がん性アルキル化剤」、「抗がん性代謝拮抗物質」、「抗がん性抗生物質」、「植物由来抗がん剤」、「抗がん性白金配位化合物」、「抗がん性カンプトテシン誘導体」、「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」、「モノクローナル抗体」、「インターフェロン」、「生物学的応答調節剤」、及び「その他抗がん剤」は、いずれも公知であり、商業的に入手可能であり、或いは、それ自体公知の方法ないし周知・慣用的な方法によって当業者が製造することができる。また、 ゲフィチニブの製造方法は、例えば、米国特許第5,770,599号明細書に;セツキシマブの製造方法は、例えば、国際公開WO96/40210号パンフレットに; ベバシズマブの製造方法は、例えば、国際公開WO94/10202号パンフレットに; オキザリプラチンの製造方法は、例えば、米国特許第5,420,319号明細書、同第5,959,133号明細書に; ゲムシタビンの製造方法は、例えば、米国特許第5,434,254号明細書、同第5,223,608号明細書に; カンプトテシンの製造方法は、米国特許第5,162,532号明細書、同第5,247,089号明細書、同第5,191,082号明細書、同第5,200,524号明細書、同第5,243,050号明細書、同第5,321,140号明細書に; イリノテカンの製造方法は、例えば、米国特許第4,604,463号明細書に; トポテカンの製造方法は、例えば、米国特許第5,734,056号明細書に; テモゾロミドの製造方法は、例えば、日本特許公報平4−5029号明細書に; リツキシマブの製造方法は、日本公表特許公報平2−503143号明細書に、それぞれ記載されている。
【0045】
上記の抗がん性アルキル化剤については、例えば、ナイトロジェンマスタード N−オキシドは、ナイトロミン(商品名)として三菱ウェルファーマから; シクロホスファミドは、エンドキサン(商品名)として塩野義製薬から; イホスファミドは、イフォミド(商品名)として塩野義製薬から; メルファランは、アルケラン(商品名)としてグラクソスミスクラインから; ブスルファンは、マブリン(商品名)として武田薬品から; ミトブロニトールは、ミエブロール(商品名)として杏林製薬から; カルボコンは、エスキノン(商品名)として三共から; チオテパは、テスパミン(商品名)として住友製薬から; ラニムスチンは、シメリン(商品名)として三菱ウエルファーマから; 及びニムスチンは、ニダラン(商品名)として三共から; テモゾロミドは、テモダール(商品名)としてシェリングから; 及びカルムスチンは、グリアデル ウォファー(商品名)としてグリフォードから、それぞれ市販で入手することができる。
【0046】
上記の抗がん性代謝拮抗剤については、例えば、メトトレキサートは、メトトレキセート(商品名)として武田薬品から; 6−メルカプトプリンリボシドは、チオイノシ(商品名)としてアベンティスから; メルカプトプリンは、ロイケリン(商品名)として武田薬品から; 5−フルオロウラシルは、5−FU(商品名)として協和発酵から; テガフールは、フトラフール(商品名)として大鵬薬品から; ドキシフルリジンは、フルツロン(商品名)として日本ロシュから; カルモフールは、ヤマフール(商品名)として山之内製薬から; シタラビンは、シロサイド(商品名)として日本新薬から; シタラビンオクホスファートは、ストラシド(商品名)として日本化薬から; エノシタビンは、サンラビン(商品名)として旭化成から; S−1は、TS−1(商品名)として大鵬薬品から; ゲムシタビンは、ゲザール(商品名)としてリリーから; フルダラビンは、フルダラ(商品名)として日本シェーリングから; 及びペメトレクスド ジソディウムは、アリムタ(商品名)としてイーライリリーから、それぞれ市販で入手することができる。
【0047】
上記の抗がん性抗生物質としては、例えば、アクチノマイシンDは、コスメゲン(商品名)として万有製薬から; ドキソルビシンは、アドリアシン(商品名)として協和発酵から; ダウノルビシンは、ダウノマイシン(商品名)として明治製菓から; ネオカルチノスタチンは、ネオカルチノスタチン(商品名)として山之内製薬から; ブレオマイシンは、ブレオ(商品名)として日本化薬から; ペプロマイシンは、ペプロ(商品名)として日本化薬から; マイトマイシンCは、マイトマイシン(商品名)として協和発酵から; アクラルビシンは、アクラシノン(商品名)として山之内製薬から; ピラルビシンは、ピノルビン(商品名)として日本化薬から; エピルビシンは、ファルモルビシン(商品名)としてファルマシアから; ジノスタチンスチマラマーは、スマンクス(商品名)として山之内製薬から; イダルビシンは、イダマイシン(商品名)としてファルマシアから; シロリムスは、ラパムン(商品名)としてワイスから; 及びバルルビシンは、バルスター(商品名)としてアンスラ ファーマシューティカルからそれぞれ市販で入手することができる。
【0048】
上記の植物由来抗がん剤としては、例えば、ビンクリスチンは、オンコビン(商品名)として塩野義製薬から; ビンブラスチンは、ビンブラスチン(商品名)として杏林製薬から; ビンデシンは、フィルデシン(商品名)として塩野義製薬から; エトポシドは、ラステット(商品名)として日本化薬から; ソブゾキサンは、ペラゾリン(商品名)として全薬工業から; ドセタキセルは、タキソテール(商品名)としてアベンテイスから; パクリタキセルは、タキソール(商品名)としてブリストルから; 及びビノレルビンは、ナベルビン(商品名)として協和発酵から、それぞれ市販で入手することができる。
【0049】
上記の抗がん性白金配位化合物としては、例えば、シスプラチンは、ランダ(商品名)として日本化薬から; カルボプラチンはパラプラチン(商品名)としてブリストルから; ネダプラチンは、アクプラ(商品名)として塩野義製薬から;及びオキザリプラチンは、エロキサチン(商品名)としてサノフィから、それぞれ市販で入手することができる。
【0050】
上記の抗がん性カンプトテシン誘導体としては、例えば、イリノテカンは、カンプト(商品名)としてヤクルトから; トポテカンは、ハイカムチン(商品名)としてグラクソスミスクラインから; 及びカンプトテシンは、米国アルドリッチケミカルなどから、それぞれ市販で入手することができる。
【0051】
上記の抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲフィチニブは、イレッサ(商品名)としてアストラゼネカから; イマチニブは、グリベック(商品名)としてノバルティスから; ソラフェニブは、ネキサバー(商品名)としてバイエルから; スニチニブは、ステント(商品名)としてファイザーから;ダザチニブは、スプライセル(商品名)としてブリストル・マイヤーズ・スクイブから;及びエルロチニブは、タルセバ(商品名)としてオーエスアイ ファーマシューティカルから、それぞれ市販で入手することができる。
【0052】
上記のモノクローナル抗体としては、例えば、セツキシマブは、エルビタックス(商品名)としてブリストルマイヤーズスクイブから; ベバシズマブは、アバスチン(商品名)としてジェネンテックから; リツキシマブは、リツキサン(商品名)としてバイオジェンから; アレムツズマブは、カンパス(商品名)としてベルレックスから; 及びトラスツズマブは、ハーセプチン(商品名)として中外製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0053】
上記のインターフェロンとしては、例えば、インターフェロンαは、スミフェロン(商品名)として住友製薬から; インターフェロンα−2aは、カンフェロン−A(商品名)として武田薬品から; インターフェロンα−2bは、イントロンA(商品名)としてシェリングプラウから; インターフェロンβは、IFNβ(商品名)として持田製薬から; インターフェロンγ−1aは、イムノマックス−γ(商品名)として塩野義製薬から; 及びインターフェロンγ−n1は、オガンマ(商品名)として大塚製薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0054】
上記の生物学的応答調節剤としては、例えば、クレスチンは、クレスチン(商品名)として三共から; レンチナンは、レンチナン(商品名)としてアベンテイスから; シゾフィランは、ソニフィラン(商品名)として科研製薬から; ピシバニールは、ピシバニール(商品名)として中外製薬から; 及びウベニメクスは、ベスタチン(商品名)として日本化薬から、それぞれ市販で入手することができる。
【0055】
上記のその他抗がん剤としては、例えば、ミトキサントロンは、ノバントロン(商品名)として日本ワイスレダリーから; L−アスパラギナーゼは、ロイナーゼ(商品名)として協和発酵から; プロカルバジンは、ナツラン(商品名)として日本ロシュから; ダカルバジンは、ダカルバジン(商品名)として協和発酵から; ヒドロキシカルバミドは、ハイドレア(商品名)としてブリストルから; ペントスタチンは、コフォリン(商品名)として化学及び血清療法研究所から; トレチノインは、ベサノイド(商品名)として日本ロシュから; アレファセプトは、アメビブ(商品名)としてバイオジェンから; ダルベポエチン アルファは、アラネスプ(商品名)としてアムジェンから; アナストロゾールは、アリミデックス(商品名)としてアストラゼネカから; エキセメスタンは、アロマシン(商品名)としてファイザーから; ビカルタミドは、カソデックス(商品名)としてアストラゼネカから; リュープロレリンは、リュープリン(商品名)として武田薬品から; フルタミドは、ユーレキシン(商品名)としてシェリングプラウから; フルベストラントは、ファスロデックス(商品名)としてアストラゼネカから; ペガプタニブ オクタソディウムは、マクゲン(商品名)としてギリードサイエンスから; デニリューキン ジフティトクスは、オンタック(商品名)としてリガンドから; アルデスリューキンは、プロリューキン(商品名)としてキロンから; チロトロピン アルファは、チロゲン(商品名)としてゲンザイムから; アルセニック トリオキシドは、トリセノックス(商品名)としてセル セラピューティクスから; ボルテゾミブは、ベルケイド(商品名)としてミレニウムから; カペシタビンは、ゼロダ(商品名)としてロシュから; 及びゴセレリンは、ゾラデックス(商品名)としてアストラゼネカから、それぞれ市販で入手することができる。
【0056】
本明細書で用いる「抗がん剤」とは、上記「抗がん性アルキル化剤」、「抗がん性代謝拮抗物質」、「抗がん性抗生物質」、「植物由来抗がん剤」、「抗がん性白金配位化合物」、「抗がん性カンプトテシン誘導体」、「抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤」、「モノクローナル抗体」、「インターフェロン」、「生物学的応答調節剤」、及び「その他抗がん剤」から選ばれる抗がん剤をいう。
【0057】
本明細書で用いる「アミノピリジン誘導体」とは、ピリジル基又はピリジン類似基を有する任意の化合物を包含するが、これらに限定されることはなく、これらのいずれもがアミノ基で置換されている。それは、上記式(I)の化合物、及び好ましくは下記の(a)ないし(z)に列挙されるいずれか1つの化合物:
(a)メチルトランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(b)トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(c)メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(d)シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(e)メチルトランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(f)トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(g)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(h)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(i)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラート;
(j)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸;
(k)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(l)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(m)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(n)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(o)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(p)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(q)メチルシス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラート;
(r)シス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸;
(s)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(t)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(u)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(v)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(w)メチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタート;
(x)(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸;
(y)メチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタート;又は
(z){シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸、
である化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルによって例示される。
【0058】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)、「Stereochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学)」、John Wiley & Sons、New York、1994年、p.1119−1190に記載の通り)を有してもよく、かつ、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして存在してもよく、その全ての可能な異性体及び混合物は、光学異性体を含め、かかる立体異性体の全てが本発明に包含される。さらに、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、一方の互変異性体構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が、本発明の範囲によって含まれることが意図されている。
【0059】
上記式(I)によって表わされる化合物の実施態様を、さらに詳細に例示する。
【0060】
は、H、−NHCOOR1a、C5−6シクロアルキル、又はフェニルであり、ここで、シクロアルキル及びフェニルは、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。
【0061】
好ましくは、Rは、−NHCOOR1a、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここで、シクロヘキシル及びフェニルは、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。
【0062】
1aは、C1−3アルキルであり、これは、F及びClから選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。
【0063】
好ましくは、R1aは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はt−ブチルであり、これらのいずれもが、1ないし3個のフッ素原子で置換されていてもよい。
【0064】
は、H、−COOH、−CHCOOH、−COOR2a、又は−CHCOOR2aである。
【0065】
好ましくは、Rは、−COOH又は−CHCOOHである。
【0066】
2aは、C1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン原子から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい;
【0067】
好ましくは、R2aは、メチルである。
【0068】
は、H又はC1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、R11から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよい。
【0069】
好ましくは、Rは、メチルである。
【0070】
10は、F、Cl、CF、又はC1−2アルキルである。
【0071】
好ましくは、R10は、F又はClである。
【0072】
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、又はシアノである。
【0073】
好ましくは、R11は、ハロゲン原子である。
【0074】
Wは:
【0075】
【化3】

【0076】
から選択される。
【0077】
2aは、H、ハロゲン原子、シアノ、C1−2アルキル、又はC3−5シクロアルキルである。
【0078】
好ましくは、W2aは、H、シアノ、又はシクロプロピルである。
【0079】
さらに、本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤においては、好ましくは、2つの別個の製剤のいずれか又は双方は、経口製剤である。
【0080】
本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤は、好ましくは、一方の製剤が、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、以下:
(a)メチルトランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(b)トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(c)メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(d)シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(e)メチルトランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(f)トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(g)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(h)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(i)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラート;
(j)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸;
(k)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(l)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(m)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(n)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(o)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(p)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(q)メチルシス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラート;
(r)シス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸;
(s)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(t)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(u)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(v)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(w)メチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタート;
(x)(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸;
(y)メチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタート;又は
(z){シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸、
である化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含有するものであり;
かつ、
他方の製剤は、パクリタキセル又はドセタキセル、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含有する製剤である。
【0081】
さらに、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に本発明の2つの別個の製剤を含んでなる組合せ製剤は、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、植物由来抗がん剤、抗がん性白金錯化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、及び他の抗がん剤(ここで、各抗がん剤の定義は、上記に定義されたものと同様である)からなる群より選択される抗がん剤、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含有する、少なくとも1つの製剤とさらに組合せてもよい。
【0082】
また、本発明の医薬組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、以下の:
(a)メチルトランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(b)トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(c)メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(d)シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(e)メチルトランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(f)トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(g)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(h)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(i)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラート;
(j)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸;
(k)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(l)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(m)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(n)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(o)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(p)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(q)メチルシス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラート;
(r)シス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸;
(s)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(t)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(u)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(v)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(w)メチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタート;
(x)(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸;
(y)メチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタート;又は
(z){シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸、
又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル;
及びパクリタキセル又はドセタキセル、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含有する。
【0083】
式(I)の化合物の製造プロセスの記載
工程1:アミノ化
【0084】
【化4】

【0085】
本プロセスは、化合物(II)(式中、LG及びLGは、ハロゲン原子又はメタンスルホニルオキシなどの脱離基を意味し、Rは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)及び化合物(III)(式中、Wは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)をアミノ化反応に付して、化合物(IV)(式中、LGは、上記記載の通りであり、W及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を得る方法である。
【0086】
このプロセスで使用するアミノ化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用するアミノ化反応では、例えば、合成は、上記記載の化合物(II)及び化合物(III)を、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、又はトルエンなどの溶媒中で、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0)又は酢酸パラジウムなどのパラジウム触媒、2,2’−ビスジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチル又は4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンなどのリガンド、及び炭酸セシウム又はナトリウムt−ブトキシドなどの塩基を用いて反応させることにより実施してよく、化合物(IV)を得る。別法として、化合物(IV)は、化合物(II)及び化合物(III)を、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、又はジメチルスルホキシドなどの溶媒中で、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの塩基及びヨウ化ナトリウムなどの添加剤の存在下で反応させることによって得てもよい。
【0087】
工程2;さらなるアミノ化
【0088】
【化5】

【0089】
本プロセスは、上記記載のアミノ化工程1によって得られた化合物(IV)(式中、LGは、ハロゲン原子又はメタンスルフォニルオキシなどの脱離基を意味し、W及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)及び化合物(V)(式中、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)を、さらなるアミノ化反応に付して、化合物(I)を得る方法である。
【0090】
このプロセスで使用するアミノ化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで用いるアミノ化反応では、例えば、合成は、上記記載の化合物(IV)及び化合物(V)を、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、又はジメチルスルホキシドなどの溶媒中で、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で反応させることにより実施してもよい。
【0091】
工程3:還元
【0092】
【化6】

【0093】
工程3は、式(V)によって表わされるピペリジン誘導体(「化合物(V)」)を、適切な置換基R及びRを3−及び5−位置に有する式(VI)によって表わされるピリジン誘導体(「化合物(VI)」)の、触媒的水素化反応により調製する方法を指す(ここで、R及びRは、上記式(I)の記号と同じ意味を有する)。
【0094】
このプロセスで使用する触媒的水素化反応は、当業者に周知の方法を用いる。このプロセスで使用する触媒的水素化では、例えば、合成は、上記記載の化合物(VI)を、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、又は酢酸などの溶媒中で、パラジウム(0)ブラック、木炭上のパラジウム(0)、アルミナ上のパラジウム(0)などのパラジウム触媒、木炭上のロジウム(0)、又はアルミナ上のロジウム(0)を用いて、常圧又は過給圧下で反応させることにより実施してもよく、化合物(V)を得る。
【0095】
化合物(VI)は、当業者に周知の方法を用いて、市販の化合物から調製し得る。
【0096】
工程2の前又は後に、R又はRのさらなる修飾を、当業者に周知の方法によって実施してもよい。
【0097】
次に、本発明の式(I)の化合物のオーロラA及びオーロラB阻害作用を、以下に説明する。
【0098】
オーロラA阻害作用
(1)オーロラAタンパク質の精製
アミノ末端にヒスチジンタグを融合したヒトオーロラAのcDNAを発現ベクターに組み込み大腸菌BL21−CodonPlus(DE3)−RIL細胞で高発現させた。大腸菌を回収して可溶化した後、ヒスチジンタグ付加ヒトオーロラAタンパク質をニッケルキレートカラムに吸着させ、イミダゾールでカラムから溶出し、活性画分を脱塩カラムで脱塩し精製酵素とした。
(2)オーロラAの活性測定
オーロラAの活性測定において、基質はフルオレセインでラベルした合成ペプチド(5−FAM−(5−カルボキシフルオレセイン)−γ−aminobutyric acid−Ala−Leu−Arg−Arg−Ala−Ser−Leu−Gly−NH)(SEQ.ID.NO.:1)を(株)東レリサーチセンターより購入して用いた。
リン酸化反応はアップステート社(upstate)の方法[KinaseProfilerTM Assay Protocols]を参考にして行い、IMAP(登録商標)テクノロジー(モレキュラー・デバイス社(Molecular Devices))を用いて基質のリン酸化を検出した(Gaudet EA. et al, J. Biomol. Screen,8,164−175,(2003))。具体的には、リン酸化反応とその検出は下記のとおり行った。
リン酸化反応は384ウエルプレートを用いて行い、1ウエルあたりの反応液量は10μLとした。反応バッファーの組成は50mM Tris−塩酸バッファー(pH7.4)/15mM 酢酸マグネシウム/0.2mM エチレンジアミン−N、N,N’,N’−四酢酸(EDTA)で、そこに精製したオーロラAタンパク質と100nMのペプチド基質と20μMのアデノシン三リン酸(ATP)を添加して、30℃で120分間反応させた。
その後、反応停止と検出のために、1x IMAP(登録商標)結合バッファーA(IMAP Progressive Binding Buffer A,5x stock,R7282)で400倍希釈したIMAP 結合試薬(Progressive Binding Reagent,R7284)を1ウエルあたり30μL添加した。遮光して室温で60分間静置した後、ハイエンドマイクロプレートリーダーを用いて、励起波長485nm測定波長520nmで蛍光偏光を測定した。
被検化合物の反応系への添加にあたっては、まず被検化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)希釈系列を調製し、それを0.5μLずつウエルに添加して試験を行った。対照となるウエルには被検化合物のDMSO溶液の代わりにDMSOを0.5μLずつ加えた。
【0099】
オーロラB阻害作用
(1)オーロラBの活性測定(方法A)
カルナバイオサイエンス社より購入したIMAP(登録商標)用アッセイ開発キット(オーロラB)を用いてリン酸化反応を行い、IMAPテクノロジーを用いて基質のリン酸化を検出した。用いたアッセイ開発キットは、アッセイバッファー、GSTタグ付加ヒトオーロラB(AurB)/ヒスチジンタグ付加ヒトインセンプ(INCENP)(アミノ酸配列803−918、AAU04398.1)複合体タンパク質、ATP/基質溶液から成る。これを用いて、キット付属のプロトコールを一部改変してリン酸化反応を行い、IMAPテクノロジーを用いて基質のリン酸化を検出した。具体的には、リン酸化反応とその検出は下記のとおり行った。
リン酸化反応は384ウエルプレートを用いて行い、1ウエルあたりの反応液量は10μLとした。反応バッファー(アッセイバッファー)の組成は20mM HEPESバッファー(pH7.4)/0.01%Tween−20/2mM ジチオスレイトール(DTT)で、そこにAurB/INCENP複合体タンパク質と100nMのペプチド基質と40μMのATPと1mMのマグネシウム塩を添加して、25℃で45分間反応させた。その後、反応停止と検出のために、1x IMAP(登録商標)結合バッファーA(IMAP Progressive Binding Buffer A,5x stock,R7282)で400倍希釈したIMAP 結合試薬(Progressive Binding Reagent,R7284)を1ウエルあたり30μL添加した。遮光して室温で60分間静置した後、ハイエンドマイクロプレートリーダーを用いて励起波長485nm測定波長520nmで蛍光偏光を測定した。
被検化合物の反応系への添加にあたっては、まず被検化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)希釈系列を調製し、それを0.5μLずつウエルに添加して試験を行った。対照となるウエルには被検化合物のDMSO溶液の代わりにDMSOを0.5μLずつ加えた。
(2)オーロラBの活性測定(方法B)
(a) オーロラBの精製
アミノ末端にヒスチジンタグを融合したヒトオーロラBのcDNAを発現ベクターに組み込み大腸菌BL21−CodonPlus(DE3)−RIL細胞で高発現させた。大腸菌を回収して可溶化した後、ヒスチジンタグ付加オーロラBタンパク質をニッケルキレートカラムに吸着させ、イミダゾールでカラムから溶出し、活性画分を脱塩カラムで脱塩し精製酵素とした。
(b)オーロラBの活性測定
オーロラBの活性測定において、基質は合成ペプチドであるケンプチド(Kemptide; Leu−Arg−Arg−Ala−Ser−Leu−Gly)(SEQ.ID.NO.:2)をシグマ社より購入して用いた[Certificate of analysis(upstate)]。
反応はオーロラAの活性測定方法を一部改変して行った。反応液量は21.1μLで、反応バッファー(R2バッファー)の組成は50mMトリス−塩酸バッファー(pH7.4)/15mM酢酸マグネシウム/0.2mMエチレンジアミン−N、N,N’,N’−四酢酸(EDTA)で、そこに精製したオーロラBと100μMの基質ペプチドと100μMの非標識アデノシン三リン酸(ATP)および1μCiの[γ−33P]標識ATP(2500Ci/mmole以上)を添加して、30℃で20分間反応させた。その後、10μLの350mMリン酸バッファーを反応系に添加して反応を停止させた。基質ペプチドをP81ペーパーフィルタ−96ウエルプレートに吸着させた後、130mMリン酸バッファーで数回洗浄し、その放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。[γ−33P]標識ATPはアマシャムバイオサイエンス社から購入した。
被検化合物の反応系への添加は、まず化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)希釈系列を調製し、それを1.1μL加えることで行った。反応系へDMSOを1.1μL加えたものを対照とした。
【0100】
上記の方法(オーロラB活性測定では方法Aを使用)でオーロラA阻害活性、オーロラB阻害活性を測定した結果を表1に示す。本発明に係る化合物は、優れたオーロラA選択的阻害活性作用を示した。なお、オーロラB活性測定で方法Bを使用しても同様の結果が得られる。
【0101】
【表1】

【0102】
以上より、本発明に係る化合物は、優れたオーロラA選択的阻害活性を示し、他の抗がん剤との併用により相乗作用をもたらすので、抗がん剤として有用であると考えられる。即ち、本発明に係る新規アミノピリジン誘導体又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む医薬組成物及びオーロラA選択的阻害剤、或いは、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはエステルを含む抗がん剤は、がん患者の治療において有効と考えられる。
【0103】
また、該医薬組成物及び該阻害剤並びに該抗がん剤は、薬学的に許容される担体又は希釈剤を含んでいてもよい。ここで、「薬学的に許容される担体又は希釈剤」は、賦形剤〔例えば、脂肪、蜜蝋、半固体及び液体のポリオール、天然若しくは硬化オイルなど〕; 水(例えば、蒸留水、特に、注射用蒸留水など)、生理学的食塩水、アルコール(例えば、エタノール)、グリセロール、ポリオール、ブドウ糖水溶液、マンニトール、植物オイルなど; 添加剤〔例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、調味料若しくは芳香剤、濃化剤、希釈剤、緩衝物質、溶媒若しくは可溶化剤、貯蔵効果を達成するための薬剤、浸透圧を変えるための塩、コーティング剤、又は抗酸化剤〕などを意味する。
【0104】
また、本発明に係る化合物の治療効果が期待される好適な腫瘍としては、例えばヒトの固形がん等が挙げられる。ヒトの固形がんとしては、例えば、脳がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、小細胞がん、非小細胞がん、乳がん、胃がん、胆のう・胆管がん、肝がん、膵がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、絨毛上皮がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、睾丸がん、胎児性がん、ウイルムスがん、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユ−イング腫、軟部肉腫などが挙げられる。
【0105】
次に、上述した「その薬学的に許容される塩もしくはエステル」について説明する。
【0106】
本発明に係る化合物は、抗がん剤などとして使用される場合には、その薬学的に許容しうる塩としても使用することができる。薬学的に許容しうる塩の典型例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸塩等を挙げることができる。前記式(I)の化合物の塩は、好ましくは、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩であり、さらに好ましくは、塩酸塩である。
【0107】
本発明に係る化合物の薬学的に許容しうる塩の製造法は、有機合成化学分野で通常用いられる方法を適宜組み合わせて行うことができる。具体的には、本発明に係る化合物の遊離型の溶液をアルカリ溶液あるいは酸性溶液で中和滴定すること等が挙げられる。
【0108】
本発明に係る化合物のエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステルなどを挙げることができる。これらのエステルは遊離カルボキシ基を常法に従ってエステル化して製造することができる。
【0109】
本発明に係る組み合わせ製剤中の各製剤は、各種の形態を選択することができ、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤若しくは液剤等の経口製剤、或いは、例えば溶液若しくは懸濁液等の殺菌した液状の非経口製剤、坐剤、軟膏剤等が挙げられる。
【0110】
固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできるが、適当な担体(添加物)を使用して製造することもできる。そのような担体(添加物)としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖等の糖類; 例えばトウモロコシ、小麦若しくは米等の澱粉類; 例えばステアリン酸等の脂肪酸; 例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウム等の無機塩; 例えばポリビニルピロリドン若しくはポリアルキレングリコール等の合成高分子; 例えばステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩; 例えばステアリルアルコール若しくはベンジルアルコール等のアルコール類; 例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の合成セルロース誘導体; その他、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴム等通常用いられる添加物が挙げられる。
【0111】
これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉末等の固形製剤は一般的には、製剤全体の重量を基準として、例えば、上記式(I)で示される化合物0.1〜100重量%、好ましくは5〜98重量%の有効成分を含んでいてもよい。
【0112】
液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピーナツ油、ゴマ油等の植物由来の油等の液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用し、懸濁液、シロップ剤、注射剤、点滴剤(静脈内輸液)等の形態として製造される。
【0113】
特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射又は皮下注射の形で投与する場合の適当な溶剤又は希釈剤としては、例えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、静脈内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム等の水溶液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈内注射用)等、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0114】
これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末のまま或いは適当な担体(添加物)を加えたものを用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
【0115】
また、経口投与用の懸濁剤、シロップ剤等の液剤は、製剤全体の重量を基準として、例えば、0.1〜10重量%の有効成分を含むことができる。
【0116】
本発明に係る組み合わせ製剤中のそれぞれの製剤はまた、常法或いは慣用技術に従っても、当業者が容易に製造することができる。例えば、上記式(I)で示される化合物と併用される他の抗がん剤を含む製剤は、それが経口製剤の場合、例えば、該抗がん剤適量と、乳糖適量を混合し、経口投与に適した硬ゼラチンカプセルに詰めることにより製造することができる。一方、該抗がん剤を含む製剤が注射剤の場合は、例えば、該抗がん剤適量を0.9%生理食塩水適量と混合し、この混合物を注射用バイアルに詰めることにより製造することができる。
【0117】
また、本発明に係る上記式(I)で示される化合物と他の抗がん剤を含む合剤の場合にも、常法或いは慣用技術に従って、当業者が容易に製造することができる。
【0118】
本発明に係る方法において、好ましい治療単位は、上記式(I)で示される化合物の投与形態、使用される上記式(I)で示される化合物の種類、使用される上記式(I)で示される化合物の剤型; 併用される他の抗がん剤の種類、投与形態、剤型など;及び治療されるがん細胞、患者の状態などによって変化してもよい。所定の条件において最適な治療は、慣用の治療決定単位を基にして、及び/又は、本明細書を考慮して、当業者が決定することができる。
【0119】
本発明に係る方法において、上記式(I)で示される化合物の治療単位は、具体的に言うと、使用される化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及び治療すべき特定部位、病気の軽重、患者の年令、医師の診断、がんの種類等によって変えることができるが、一応の目安として、例えば、1日当たりの成人1人当りの投与量は、経口投与の場合、例えば、1ないし1000mgの範囲内とすることができる。また非経口投与、好ましくは静脈内投与、さらに好ましくは点滴静注の場合、例えば、1日当たり1ないし100mg/m(体表面積)の範囲内とすることができる。ここで、点滴静注の場合、例えば、1〜48時間連続して投与してもよい。なお、投与回数は、投与方法及び症状により異なるが、例えば、1日1回ないし5回である。また、隔日投与、隔々日投与などの間けつ投与等の投与方法でも用いることができる。非経口投与の場合の治療の休薬期間は、例えば、1〜6週間である。
【0120】
また、上記式(I)で示される化合物と併用される他の抗がん剤の治療単位は、特に限定されないが、公知文献などにより当業者が必要に応じて決定することができる。例えば、以下に示す通りである。
【0121】
5−フルオロウラシル(5−FU)の治療単位は、経口投与の場合、例えば、1日200〜300mgを1〜3回に連日投与し、注射剤の場合は、例えば、1日5〜15mg/kgを最初の5日間連日1日1回静注又は点滴静注し、以後、5〜7.5mg/kg を隔日に1日1回静注又は点滴静注する(投与量は、適宜増減してもよい)。
【0122】
S−1(テガフール・ギメスタット・オスタットカリウム)の治療単位は、例えば、初回投与量(1回量)を体表面積に合わせて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。体表面積当たりの初回基準量(テガフール相当量)は、1.25m未満:40mg/回、1.25m2以上〜1.5m2未満:50mg/回、1.5m以上:60mg/回であり、患者の状態により適宜増減する。
【0123】
ゲムシタビンの治療単位は、例えば、ゲムシタビンとして1回1g/mを30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。年齢、症状又は副作用の発現に応じて適宜減量する。
【0124】
ドキソルビシン(例えば、塩酸ドキソルビシン)の治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回10mg(0.2mg/kg)(力価)で4〜6日間連日静脈内ワンショット投与後、7〜10日間休薬し、これを1コースとし、2〜3コース繰り返す。ここで、総投与量は、500mg(力価)/m(体表面積)以下が好ましく、その範囲内で適宜増減してもよい。
【0125】
エトポシドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日60〜100mg/m(体表面積)で5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。一方、経口投与の場合は、例えば、1日175〜200mgを5日間連続投与し、3週間休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0126】
ドセタキセル(ドセタキセル水和物)の治療単位は、例えば、1日1回、ドセタキセルとして60mg/m(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する(投与量は、適宜増減することができる)。
【0127】
パクリタキセルの治療単位は、例えば、1日1回210mg/m(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1コースとして、繰り返す。投与量は適宜増減することができる。
【0128】
シスプラチンの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回50〜70mg/m(体表面積)で投与し、3週間以上休薬する(投与量は、適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0129】
カルボプラチンの治療単位は、例えば、1日1回300〜400mg/mを30分以上かけて点滴静注し、少なくとも4週間休薬する(投与量は適宜増減してもよい)。これを1コースとして繰り返す。
【0130】
オキザリプラチンの治療単位は、1日1回85mg/mを静注し、2週間休薬し、これを1コースとして繰り返す。
【0131】
イリノテカン(例えば、塩酸イリノテカン)の治療単位は、例えば、1日1回100mg/m、1週間間隔で3〜4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。
【0132】
トポテカンの治療単位は、例えば、1日1回1.5mg/mを5日間点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。
【0133】
シクロホスファミドの治療単位は、静脈内注射の場合、例えば、1日1回100mg連日静注し、患者が耐えられる場合は1日200mgに増量してもよく、総量で3000〜8000mg投与するが、適宜増減してもよい。また必要に応じて筋肉内、胸腔内、又は腫瘍内に注射又は注入してもよい。一方、経口投与の場合は、例えば、1日100〜200mgで投与する。
【0134】
ゲフィチニブの治療単位は、例えば、1日1回250mgを経口投与する。
【0135】
セツキシマブの治療単位は、例えば、第1日目に400mg/mを点滴静注し、その後250mg/mを毎週点滴静注する。
【0136】
ベバシズマブの治療単位は、例えば、3mg/kgを毎週点滴静注する。
【0137】
トラスツズマブの治療単位は、例えば、通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブとして初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
【0138】
エキセメスタンの治療単位は、例えば、通常、成人には1日1回25mgを食後に経口投与する。
【0139】
リュープロレリン(例えば、酢酸リュープロレリン)の治療単位は、例えば、通常、成人には12週に1回として11.25mgを皮下に投与する。
【0140】
イマチニブの治療単位は、例えば、通常、慢性骨髄性白血病の慢性期の成人には1日1回400mgを食後に経口投与する。
【0141】
5−FUとロイコボリンを組み合わせた場合の治療単位は、例えば、第1日目から第5日目に5−FU 425mg/m、ロイコボリン 200mg/mを点滴静注し、これを4週間間隔で繰り返す。
【0142】
ソラフェニブの治療単位は、例えば、食前少なくとも1時間前、或いは、食後少なくとも2時間後で、1日2回各200mg(1日あたり400mg)を経口投与する。
【0143】
スニチニブの治療単位は、例えば、1日1回50mgを4週間経口投与をし、2週間休薬する。
【実施例】
【0144】
実施例及び参考例の薄層クロマトグラフィーでは、シリカゲル60 F254(メルク(Merck))及びクロマトレックス(Chromatolex)NH(富士シリシアケミカル(Fuji Silysia Chemical))をプレートとして使用し、検出法についてはUV検出器を用いた。クロマトグラフィー用の充填済みシリカゲルカラムとしては、バイオタージ(Biotage)KP−Silフラッシュカートリッジ(FLASH Cartridge)(バイオータージ)又はPurif−Pack Si(モリテックス(Moritex))を使用した。また、KP−NHフラッシュカートリッジ(バイオタージ)又はPurif−Pack NH(モリテックス)を、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーに使用した。逆相分取用高速液体クロマトグラフィーでは、XBridge Prep C18(30x50mm)(ウォーターズ(Waters))をカラムとして使用し、0.1% トリフルオロ酢酸水溶液及び、アセトニトリル中の0.1% トリフルオロ酢酸溶液を、移動相において使用した。ESI−MSスペクトルは、ミクロマスZQ(ミクロマス(Micromass))を用いて測定した。NMRスペクトルは、AL 400(400MHz;JEOL)及びイノバ(Inova)600(600MHz;バリアン(Varian))型のスペクトロメ−タ−を用いて測定した。マイクロ波反応には、イニシエーター(Initiator)(バイオタージ)を使用した。
【0145】
NMR測定において用いた略語の意味は、以下の通りである。
【0146】
【化7】

【0147】
実験のセクションにおいて用いた略語の意味は、以下の通りである。
【0148】
【化8】

【0149】
実施例1
tert−ブチル{(3R)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}カルバマートの調製
【0150】
【化9】

【0151】
DMSO(5ml)中の、参考例1で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(25.5mg)及び(R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン(50.9mg)の混合物に、DIEA(210.0μL)を添加した。そして混合物を、攪拌下で110℃に一晩加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、食塩水に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=99/1〜0/100)で精製して、tert−ブチル{(3R)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}カルバマート(26.0mg)を、淡黄色の固体として得た。
ESI−MS m/z374.5[M+H]
【0152】
実施例2
tert−ブチル{(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}カルバマートの調製
【0153】
【化10】

【0154】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりにエチル(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンを使用して調製した:
ESI−MS m/z374.5[M+H]
【0155】
実施例3
(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0156】
【化11】

【0157】
DMSO(3ml)中の、参考例1で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(38.6mg)及び(S)−ニペコチン酸エチル(140.0μL)の混合物に、DIEA(250.0μL)を添加した。混合物を、攪拌下で100℃に一晩加熱し、次に室温に冷却した。
【0158】
得られた混合物に、1M NaOH水溶液(2mL)を添加した。混合物を室温で1時間攪拌した。1M HCl水溶液(2mL)を、得られた混合物に中和のため添加した。そして混合物を濃縮して溶媒を減らした。残渣を、分取用RP−HPLCで精製して、(3S)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタート(41.9mg)を、淡黄色の固体として得た:
ESI−MS m/z303.4[M+H]
【0159】
実施例4
(3R)−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0160】
【化12】

【0161】
標題化合物は、実施例3に記載したものと同様の方法により、(S)−ニペコチン酸メチルの代わりに(R)−ニペコチン酸エチルを用いて調製した:
ESI−MS m/z303.4[M+H]
【0162】
実施例5
6−メチル−2−(3−フェニルピペリジン−1−イル)−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミントリフルオロアセタートの調製
【0163】
【化13】

【0164】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに3−フェニルピペリジンを用いて調製した。粗生成物の精製は、分取用RP−HPLCで実施した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.74(1H,tt)、1.80−2.00(2H,m)、2.00−2.12(1H,m)、2.34(3H,s)、2.77−2.89(1H,m)、3.07−3.28(2H,m)、4.56(2H,brs)、6.13(1H,s)、6.50−6.95(1H,m)、7.18−7.38(5H,m)、7.46−7.71(1H,m)
ESI−MS m/z335.2[M+H]
【0165】
実施例6
トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸の調製
【0166】
【化14】

【0167】
工程1:1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−ヒドロキシピペリジン−1,3−ジカルボキシラートの調製
【0168】
【化15】

【0169】
MeOH(30ml)中のメチル5−ヒドロキシニコチナート(1.50g)の溶液を、パール(Parr)社の低圧水素化器内で、Al上の5wt.%Rh触媒(300mg)を用いて、70℃で3日間水素化した(約4気圧)。Al上のRh触媒を濾去し、濾液を真空中で濃縮して、粗メチルシス−5−ヒドロキシピペリジン−3−カルボキシラートを、淡黄色の油として得た。
【0170】
粗3,5−シス−配位ピペリジンを、ジオキサン(30ml)中に溶解した。この溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(3ml)及びTEA(3ml)を室温で添加した。室温で2時間攪拌した後、混合物を真空中で濃縮した。そして残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=100/0〜90/10)で精製して、1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−ヒドロキシピペリジン−1,3−ジカルボキシラートを、淡黄色の油として得た。
【0171】
工程2:1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−アジドピペリジン−1,3−ジカルボキシラートの調製
【0172】
【化16】

【0173】
CHCl(2ml)中の1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−ヒドロキシピペリジン−1,3−ジカルボキシラートの溶液に、DIEA(2ml)及びMsCl(500μl)を室温で添加した。そして混合物を室温で1時間攪拌した。その後に、混合物を飽和NaHCO水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮して、粗1−tert−ブチル3−メチルシス−5−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1,3−ジカルボキシラートを、淡褐色の油として得た。
【0174】
粗メシラートを、DMF(20ml)中に溶解した。この溶液に、NaN(953.5mg)を添加し、混合物を攪拌下で80℃に一晩加熱した。混合物を飽和NaHCO水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物をNaSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=93/7〜50/50)で精製して、1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−アジドピペリジン−1,3−ジカルボキシラート(343.0mg)を、淡黄色の油として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.47(9H,s)、1.86−2.22(2H,m)、2.80(1H,m)、2.93−3.53(2H,m)、3.69(3H,s)、3.80−4.08(1H,m)、3.85(1H,s)、4.08−4.35(1H,m)
ESI−MS m/z285.1[M+H]
【0175】
工程3:メチルトランス−5−アジド−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0176】
【化17】

【0177】
MeOH(1ml)中の1−tert−ブチル3−メチルトランス−5−アジドピペリジン−1,3−ジカルボキシラート(343.0mg)の溶液に、MeOH(15ml)中の10% HCl溶液を添加した。室温で30分間攪拌した後、混合物を濃縮して、粗メチルシス−5−アジドピペリジン−3−カルボキシラート塩酸塩(120.3mg)を、淡褐色の固体として得た。
【0178】
粗ピペリジン塩酸塩をDMSO(7ml)中に溶解した。この溶液に、参考例1で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(96.0mg)及びDIEA(0.50ml)を添加した。そして混合物を110℃で12時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液に注入し、CHClで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=98/2〜85/15)で精製して、メチルトランス−5−アジド−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート(13.5mg)を、淡黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.99−2.14(2H,m)、2.25(3H,s)、2.90(1H,m)、3.56−3.75(2H,m)、3.69(3H,s)、3.93(1H,m)、4.29(1H,dd)、4.42−4.53(2H,m)、6.09(1H,s)、6.31(1H,s)、7.20(1H,brs)、7.49(1H,d)
ESI−MS m/z358.1[M+H]
【0179】
工程4:メチルシス−5−アミノ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0180】
【化18】

【0181】
THF(4ml)及び水(2ml)の混合溶媒中のメチルトランス−5−アジド−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート(13.5mg)の溶液に、PPh(22.5mg)を室温で添加した。そして混合物を6時間還流した。反応混合物を真空中で濃縮して、粗メチルシス−5−アミノ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートを、淡黄色のアモルファス形態として得た。
【0182】
工程5:トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸の調製
【0183】
【化19】

【0184】
CHCl(6ml)中の粗メチルシス−5−アミノ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートの溶液に、ジ−tert−ブチルジカルバマート(20μl)及びDIEA(100μl)を室温で添加した。1時間の攪拌後、混合物を真空中で濃縮して、粗メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートを、淡黄色の固体として得た。
【0185】
粗カルバマートを、MeOH(4ml)中に溶解した。2M NaOH水溶液を、室温で添加した。そして混合物を室温で4時間攪拌した。NHClを中和のために添加した後、得られた反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を、CHCl/MeOHの混合溶媒中に懸濁した。不溶性物質を濾去し、濾液を再度濃縮した。残渣を、シリカゲルPTLC(溶出液:CHCl/MeOH=6/1)で精製して、トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸(10.9mg)を無色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.22−1.50(1H,m)、1.39(9H,s)、1.86−2.03(1H,m)、2.03−2.20(1H,m)、2.26(3H,s)、2.65−2.86(1H,m)、3.60−3.88(2H,m)、3.88−4.07(1H,m)、4.07−4.22(1H,m)、6.17(1H,s)、6.51(1H,s)、7.53(1H,s)
ESI−MS m/z418.4[M+H]
【0186】
実施例7
トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0187】
【化20】

【0188】
実施例6の工程4で調製されたメチルシス−5−アミノ−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートを、CHCl(6ml)中に溶解した。この溶液に、CHCl及びDIEA(125.0μl)中の4−ニトロフェニル(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカルボナート(203.3mg)の溶液を添加した。室温で2時間攪拌後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をEtOAc中に溶解し、1M NaOH水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、粗メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボキシラートを、淡橙色のアモルファス形態として得た。
【0189】
THF(1ml)及びMeOH(6ml)の混合溶媒中の粗カルバマートの溶液に、1M NaOH水溶液(1ml)を添加した。混合物を室温で4時間攪拌した。過剰量のNHClの添加後、混合物を濃縮した。残渣を、分取用RP−HPLCで精製して、トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタート(48.0mg)を、淡橙色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.29及び1.37(3H,d)、1.93−2.07(1H,m)、2.19−2.34(1H,m)、2.36及び2.37(3H,s)、2.93−3.05(1H,m)、3.60−4.22(5H,m)、5.16−5.32(1H,m)、6.00−6.95(2H,br)、7.57及び7.61(1H,s)
ESI−MS m/z458.3[M+H]
【0190】
実施例8
シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸の調製
【0191】
【化21】

【0192】
工程1:メチル5−アミノピリジン−3−カルボキシラートの調製
【0193】
【化22】

【0194】
3−アミノニコチン酸(691.1mg)を、トルエン(20ml)及びMeOH(10ml)の混合溶媒中に懸濁した。この懸濁液に、ヘキサン(12ml)中の0.6M トリメチルシリルジアゾメタン溶液を、室温で添加した。2時間攪拌した後、混合物を真空中で濃縮した。残渣をヘキサン中に懸濁し、沈殿を濾過により収集した。収集された固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=99/1=88/12)により精製して、メチル5−アミノピリジン−3−カルボキシラート(700.0mg)を、淡橙色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ3.93(3H,s)、7.56(1H,dd)、8.24(1H,dd)、8.62(1H,dd)
ESI−MS m/z153.2[M+H]
【0195】
工程2:メチルシス−5−アミノピペリジン−3−カルボキシラートジヒドロクロリドの調製
【0196】
【化23】

【0197】
MeOH(20ml)中のメチル5−アミノピリジン−3−カルボキシラート(700.0mg)の溶液に、2M HCl水溶液(7mL)を添加した。そして混合物を、パール社の低圧水素化器内で、Al上の5wt.%Rh触媒(451.9mg)を用いて、80℃で1日水素化した(約4気圧)。Al上のRh触媒を濾去し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、CHCl及びMeOHの混合溶媒から固化して、メチルシス−5−アミノピペリジン−3−カルボキシラートジヒドロクロリドを、クリーム色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ2.49−2.60(1H,m)、2.90−3.75(7H,m)、3.75(3H,s)。
【0198】
工程3:メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0199】
【化24】

【0200】
DMSO(10ml)中のメチルシス−5−アミノピペリジン−3−カルボキシラートジヒドロクロリド(140.0mg)の溶液に、参考例1で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(69.7mg)及びDIEA(0.57ml)を添加した。そして混合物を130℃で一晩加熱し、室温に冷却した。
【0201】
得られた混合物に、ジ−tert−ブチルジカルバマート(165.0μl)を室温で添加した。2時間攪拌した後、混合物を飽和NaHCO水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣を、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=100/0〜93/7)で精製して、メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート(12.6mg)を、淡黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.46(9H,s)、1.63(1H,q)、2.23(3H,s)、2.26−2.40(1H,m)、2.60−2.70(1H,m)、2.81(1H,t)、3.12(1H,t)、3.58−3.77(1H,m)、3.72(3H,s)、4.68−4.85(3H,m)、6.07(1H,s)、6.33(1H,s)、7.45(1H,d)、7.48(1H,s)
ESI−MS m/z432.5[M+H]
【0202】
工程4:シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸の調製
【0203】
【化25】

【0204】
MeOH(5ml)中のメチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート(11.0mg)の溶液に、5M NaOH水溶液(468.0μl)を室温で添加した。4時間攪拌した後、NHClを中和のために添加し、混合物を濃縮した。残渣を、CHCl及びMeOHの混合溶媒中に懸濁した。不溶性物質を濾過により除去した。濾液を濃縮し、残渣を分取用RP−HPLCで精製した。所望の分画を、NH水溶液の添加により中和し、濃縮した。そして残渣を、分取用RP−HPLC(移動相:HO及びアセトニトリル、TFAなし)により再度精製して、シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸(1.82mg)を、無色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ1.45(9H,s)、1.67(1H,q)、2.27−2.38(1H,m)、2.35(3H,s)、2.62−2.73(1H,m)、2.87(1H,dd)、3.11(1H,dd)、3.52−3.64(1H,m)、4.56−4.64(1H,m)、4.64−4.76(1H,m)、6.25−6.46(1H,br)、6.46−6.64(1H,br)、7.56(1H,d)
ESI−MS m/z418.5[M+H]
【0205】
実施例9
メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの調製
【0206】
【化26】

【0207】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりにメチルシス−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラート(その合成法は、「Bioorg.Med.Chem」、2008年、第16巻、p.3816−3824に記載)を用いて調製した。粗生成物の精製は、分取用RP−HPLCで実施した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.91−2.10(1H,m)、2.30−2.43(1H,m)、2.37(3H,s)、2.80−2.99(2H,m)、3.10−3.35(2H,m)、3.74(3H,s)、4.42−4.73(1H,br)、4.73−5.20(1H,br)、6.02−6.30(1H,br)、6.50−7.02(1H,m)、7.21−7.77(7H,m)
ESI−MS m/z379.2[M+H]
【0208】
実施例10
シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0209】
【化27】

【0210】
MeOH(3ml)中のメチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタート(34.9mg)の溶液に、2M NaOH水溶液(1mL)を添加した。そして混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を濃縮し、続いてTFAを中和のために添加した。残渣を分取用RP−HPLCで精製して、シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタート(34.9mg)を、無色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.90−2.10(1H,m)、2.28−2.48(1H,m)、2.37(3H,s)、2.73−2.88(1H,m)、2.88−3.00(1H,m)、3.10−3.37(2H,m)、4.44−4.75(1H,br)、6.05−6.31(1H,br)、6.50−7.02(1H,m)、7.22−7.43(5H,m)、7.47−7.73(1H,m)
ESI−MS m/z379.2[M+H]
【0211】
実施例11
シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0212】
【化28】

【0213】
工程1:メチル5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチナートの調製
【0214】
【化29】

【0215】
メチル5−ブロモニコチナート(168.2mg)、3−トリフルオロメチルベンゼンボロン酸(165.6mg)、KPO(378.5mg)、及びPd(PPh(92.2mg)を、ジオキサン(5ml)中に混合した。この懸濁液に、水(0.25ml)を添加した。そして混合物を、攪拌下で100℃に加熱した。6時間後、混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。不溶性物質を濾去し、EtOAcで洗浄した。濾液を飽和NaHCO水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=94/6〜50/50)で精製して、メチル−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチナート(190.1mg)を、淡黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ4.01(3H,s)、7.65(1H,t)、7.71(1H,d)、7.81(1H,d)、7.87(1H,s)、8.51(1H,t)、9.02(1H,d)、9.25(1H,d)
ESI−MS m/z282.1[M+H]
【0216】
工程2:メチルシス−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0217】
【化30】

【0218】
MeOH(30ml)中のメチル−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチナート(190.1mg)の溶液を、パール社の低圧水素化器内で、Al上の5wt.%Rh触媒(121.6mg)を用いて、90℃で2日間水素化した(約4気圧)。Al上のRh触媒を濾去し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=98/2〜90/10)で精製して、メチルシス−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラート(71.2mg)を、淡褐色の油として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.82(1H,q)、1.88(1H,s)、2.27−2.33(1H,m)、2.60−2.83(4H,m)、3.15−3.22(1H,m)、3.37−3.43(1H,m)、3.69(3H,s)、7.38−7.51(4H,m)
ESI−MS m/z288.2[M+H]
【0219】
工程3:
シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0220】
【化31】

【0221】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、実施例11の工程2で調製されたメチルシス−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラートを用い、続いて実施例10に類似した方法により加水分解して調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.92−2.14(1H,m)、2.29−2.55(1H,m)、2.37(3H,s)、2.76−2.92(1H,m)、2.98−3.15(1H,m)、3.15−3.38(2H,m)、4.38−5.25(2H,m)、6.04−6.33(1H,m)、6.50−7.05(1H,m)、7.44−7.74(5H,m)
ESI−MS m/z447.4[M+H]
【0222】
実施例12
メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの調製
【0223】
【化32】

【0224】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりにメチルシス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラート(その合成法は、「Bioorg.Med.Chem」、2008年、第16巻、p.3816−3824に記載)を用いて調製した。粗生成物の精製は、分取用RP−HPLCで実施した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.95−1.36(7H,m)、1.36−1.54(2H,m)、1.55−1.87(5H,m)、2.18−2.32(1H,m)、2.37(3H,s)、2.57−2.72(1H,m)、2.72−2.86(1H,m)、2.99−3.20(1H,m)、3.73(3H,s)、4.40−4.90(2H,br)、6.14(1H,s)、6.58−6.98(1H,m)、7.63(1H,s)
ESI−MS m/z399.2[M+H]
【0225】
実施例13
シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0226】
【化33】

【0227】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、実施例12で調製されたメチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートを用いて調製した。粗生成物の精製は、分取用RP−HPLCで実施した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.96−1.37(6H,m)、1.37−1.54(2H,m)、1.58−1.90(6H,m)、2.18−2.34(1H,m)、2.36(3H,s)、2.51−2.69(1H,m)、2.70−2.90(1H,m)、2.99−3.20(1H,m)、4.35−4.90(2H,m)、6.14(1H,s)、6.57−6.99(1H,m)、7.61(1H,s)
ESI−MS m/z385.2[M+H]
【0228】
実施例14
シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0229】
【化34】

【0230】
標題化合物は、実施例1及び実施例10に記載のものと同様の方法により調製した。(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、メチルシス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラートを使用し、かつ実施例1の2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例3で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1,3−チアゾール−2−イル)ピリミジン−4−アミンを使用した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.00−1.39(6H,m)、1.39−1.60(2H,m)、1.60−1.90(5H,m)、2.22−2.35(1H,m)、2.41(3H,s)、2.63(1H,tt)、2.82−2.97(1H,m)、3.04−3.23(1H,m)、4.00−5.70(2H,br)、6.27(1H,s)、7.23(1H,d)、7.52(1H,d)
ESI−MS m/z402.4[M+H]
【0231】
実施例15
シス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0232】
【化35】

【0233】
標題化合物は、実施例1及び実施例10に記載のものと同様の方法により調製した。(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、メチルシス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラートを使用し、かつ実施例1の2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例5で調製された2−[(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)アミノ]−1,3−チアゾール−5−カルボニトリルを使用した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ1.04−1.42(6H,m)、1.42−1.64(2H,m)、1.64−1.74(1H,m)、1.74−2.03(4H,m)、2.25−2.41(1H,m)、2.47(3H,s)、2.69(1H,tt)、2.83−3.06(1H,m)、3.13−3.28(1H,m)、4.15−5.30(2H,br)、6.35(1H,s)、8.16(1H,s)
ESI−MS m/z427.4[M+H]
【0234】
実施例16
シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0235】
【化36】

【0236】
標題化合物は、実施例1及び実施例10に記載のものと同様の方法により調製した。(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、メチルシス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラートを使用し、かつ実施例1の2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例4で調製された2−クロロ−N−(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミンを使用した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.63−0.79(2H,m)、0.93−1.07(2H,m)、1.07−1.41(6H,m)、1.41−1.61(2H,m)、1.61−1.94(5H,m)、1.94−2.06(1H,m)、2.20−2.37(1H,m)、2.40(3H,s)、2.57−2.71(1H,m)、2.78−3.02(1H,m)、3.02−3.23(1H,m)、3.80−5.60(2H,br)、6.23(1H,s)、7.14−7.23(1H,m)
ESI−MS m/z442.5[M+H]
【0237】
実施例17
シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸の調製
【0238】
【化37】

【0239】
工程1:メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0240】
【化38】

【0241】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、メチルシス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラートを、また2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例2で調製された2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミンを用いて調製した。
ESI−MS m/z439.4[M+H]
【0242】
工程2:シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0243】
【化39】

【0244】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、工程1で調製されたメチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートを用いて調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.70−0.78(2H,m)、0.96−1.03(2H,m)、1.03−1.38(7H,m)、1.38−1.54(2H,m)、1.63−1.73(1H,m)、1.73−1.86(4H,m)、1.86−1.94(1H,m)、2.22−2.32(1H,m)、2.35(3H,s)、2.53−2.66(1H,m)、2.71−2.89(1H,m)、3.00−3.18(1H,m)、4.32−4.90(2H,br)、6.11(1H,brs)、6.30(1H,brs)
ESI−MS m/z425.5[M+H]
【0245】
実施例18
メチル(3S,5S)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
実施例19
メチル(3R,5R)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートの調製
【0246】
【化40】

【0247】
実施例17の工程1で調製されたメチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート(46.4mg)を、HPLC(移動相;ヘキサン/イソ−プロパノール/ジエチルアミン=50/10/0.06、流速;23mL/分)上で、キラルセル(CHIRALCEL)(登録商標)OD−H(φ2cmx25cm、DAICEL)を用いて分離及び精製した。(3S,5S)−異性体(21.8mg、光学純度:>99%d.e.)及び(3R,5R)−異性体(20.6mg、光学純度:94.7%d.e.)を、それぞれ極性の低い分画から、及び極性のある分画から得た。
ここで、記号S及びRは、それらの立体構造が特定されていないため、暫定的に割り当てるものであり、d.e.は、ジアステレオマー過剰の略語である。
【0248】
実施例20
(3S,5S)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0249】
【化41】

【0250】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、実施例18で調製されたメチル(3S,5S)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートを用いて調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ0.69−0.78(2H,m)、0.95−1.04(2H,m)、1.04−1.38(7H,m)、1.38−1.54(2H,m)、1.64−1.73(1H,m)、1.73−1.86(4H,m)、1.86−1.94(1H,m)、2.22−2.33(1H,m)、2.37(3H,s)、2.53−2.67(1H,m)、2.73−2.90(1H,m)、3.02−3.18(1H,m)、4.40−4.85(2H,br)、6.11(1H,brs)、6.30(1H,brs)
ESI−MS m/z425.4[M+H]
【0251】
実施例21
(3R,5R)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸トリフルオロアセタートの調製
【0252】
【化42】

【0253】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、実施例19で調製されたメチル(3R,5R)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラートを用いて調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ0.69−0.78(2H,m)、0.95−1.04(2H,m)、1.04−1.38(7H,m)、1.38−1.54(2H,m)、1.64−1.73(1H,m)、1.73−1.86(4H,m)、1.86−1.94(1H,m)、2.22−2.33(1H,m)、2.37(3H,s)、2.53−2.67(1H,m)、2.73−2.90(1H,m)、3.02−3.18(1H,m)、4.40−4.85(2H,br)、6.11(1H,brs)、6.30(1H,brs)
ESI−MS m/z425.4[M+H]
ここで、記号S及びRは、それらの立体構造が特定されていないため、暫定的に割り当てられている。
【0254】
実施例22
(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸トリフルオロアセタートの調製
【0255】
【化43】

【0256】
工程1:tert−ブチルシス−3−シクロヘキシル−5−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシラートの調製
【0257】
【化44】

【0258】
THF(10ml)中のシス−1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸(400.9mg)の溶液に、THF(4.0ml)中の2M ボランジメチルスルフィド錯体溶液を、攪拌下、−15℃で添加した。4時間の攪拌後、混合物をMeOHの添加によりクエンチした。得られた混合物を室温にさせ、濃縮した。残渣に飽和NHCl水溶液を添加し、EtOAcで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=99/1〜90/10)で精製して、tert−ブチルシス−3−シクロヘキシル−5−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシラート(505.1mg)を、無色の油として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.82(1H,q)、0.90−1.33(7H,m)、1.45(9H,s)、1.59−1.87(6H,m)、1.84−1.92(1H,m)、1.98(1H,s)、2.30(1H,td)、3.43−3.55(2H,m)、1.17(1H,tt)
ESI−MS m/z198.6[M+H]
【0259】
工程2:tert−ブチルシス−3−(シアノメチル)−5−シクロヘキシルピペリジン−1−カルボキシラートの調製
【0260】
【化45】

【0261】
THF(10ml)中のtert−ブチルシス−3−シクロヘキシル−5−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボキシラート(431.1mg)の溶液に、TEA(405.0ml)及びMsCl(135.2ml)を0℃で添加した。0℃で1時間攪拌した後、セライトを通して不溶性物質を濾去し、THFで洗浄した。濾液を濃縮して、粗tert−ブチルシス−3−シクロヘキシル−5−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシラートを、淡褐色の油として得た。
【0262】
DMF(6ml)中の、粗メシラート及びKCN(0.258g)の混合物を、攪拌下で80℃に加熱した。4時間後、混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/EtOAc=92/8〜40/60)で精製して、tert−ブチルシス−3−シアノメチル−5−シクロヘキシルピペリジン−1−カルボキシラート(328.2mg)を、無色の油として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.90−1.07(3H,m)、1.10−1.37(5H,m)、1.46(9H,s)、1.62−1.88(6H,m)、1.97−2.05(1H,m)、2.21−2.42(4H,m)、4.06−4.26(2H,m)
【0263】
工程3:メチル(シス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−イル)アセタート塩酸塩の調製
【0264】
【化46】

【0265】
MeOH(6ml)中のtert−ブチルシス−3−シアノメチル−5−シクロヘキシルピペリジン−1−カルボキシラート(116.7mg)の溶液に、濃HCl(6ml)を添加した。混合物を、攪拌下で還流温度に10時間加熱した。得られた混合物を室温に冷却し、濃縮した。残渣を、MeOH(6ml)中の10% HCl溶液中に溶解し、溶液を室温で3時間攪拌し、濃縮して、粗メチル(シス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−イル)アセタート塩酸塩を、無色の固体として得た。
ESI−MS m/z240.6[M+H]
【0266】
工程4:メチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタートの調製
【0267】
【化47】

【0268】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりにメチル(シス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−イル)アセタート塩酸塩を、また2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例2で調製された2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミンを用いて調製した。
ESI−MS m/z430.4[M+H]
【0269】
工程5:(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸トリフルオロアセタートの調製
【0270】
【化48】

【0271】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、工程4で調製されたメチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタートを用いて調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.71−0.77(2H,m)、1.01(2H,dq)、1.02−1.35(7H,m)、1.39−1.52(1H,m)、1.63−1.72(1H,m)、1.72−1.85(4H,m)、1.88−2.08(3H,m)、2.24−2.42(2H,m)、2.35(3H,s)、2.62−2.86(2H,m)、4.15−5.20(2H,br)、5.67−6.88(2H,m)
ESI−MS m/z439.3[M+H]
【0272】
実施例23
[(3S,5R)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル]酢酸の調製
実施例24
[(3R,5S)−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル]酢酸の調製
【0273】
【化49】

【0274】
実施例22の工程5で調製された(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸トリフルオロアセタート(16.5mg)を、HPLC(移動相;ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン=70/30/0.1、流速;25ml/分)上で、キラルパック(CHIRALPAK)(登録商標)IC(φ2cmx25cm、DAICEL)を用いて分離及び精製した。(3S,5R)−異性体(4.5mg)及び(3R,5S)−異性体(5.5mg)を、それぞれ極性の低い分画から、及び極性のある分画から得た。
ここで、記号S及びRは、それらの立体構造が特定されていないため、暫定的に割り当てられている。
【0275】
実施例25
{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸の調製
【0276】
【化50】

【0277】
工程1:メチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタートの調製
【0278】
【化51】

【0279】
標題化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法により、(S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンの代わりに、実施例22の工程3で調製されたメチル(シス−5−シクロヘキシルピペリジン−3−イル)アセタート塩酸塩を、また
2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの代わりに、参考例3で調製された2−クロロ−6−メチル−N−(1,3−チアゾール−2−イル)ピリミジン−4−アミンを使用して調製した。
ESI−MS m/z430.4[M+H]
【0280】
工程2:{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸の調製
【0281】
【化52】

【0282】
標題化合物は、実施例10に記載したものと同様の方法により、メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラートトリフルオロアセタートの代わりに、工程1で調製されたメチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタートを用いて調製した。
H NMR(400MHz,CDOD)δ0.98−1.40(7H,m)、1.46−1.61(1H,m)、1.61−1.91(5H,m)、1.95−2.15(2H,m)、2.25−2.45(2H,m)、2.41(3H,s)、2.68−2.97(2H,m)、3.70−5.70(2H,br)、6.26(1H,s)、7.25(1H,d)、7.51(1H,d)
ESI−MS m/z416.5[M+H]
【0283】
[参考例]
参考例1
2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミンの調製
【0284】
【化53】

【0285】
NMP(30ml)中の、2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン(3.00g)及び1H−ピラゾール−5−アミン(1.31g)の溶液に、NaI(2.36g)及びDIEA(6.33ml)を添加した。そして混合物を攪拌下で80℃に加熱した。1日後、混合物を室温に冷却した。混合物をEtOAcで希釈した。沈殿を濾過により収集し、ヘキサン及びEtOAcの混合溶媒で洗浄し、真空中で乾燥させて、2−クロロ−6−メチル−N−(1H−ピラゾール−5−イル)ピリミジン−4−アミン(2.60g)を、淡桃色の固体として得た。
【0286】
参考例2
2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミンの調製
【0287】
【化54】

【0288】
DMF(20ml)中の、2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン(1.63g)及び3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−アミン(1.24g)の溶液に、NaI(1.49g)及びDIEA(1.72ml)を添加した。そして混合物を80℃で一晩攪拌した。混合物を濃縮して、DMFを除去した。残渣をEtOAc中に懸濁した。不溶性物質を濾去し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=98/2〜90/10)で精製して、2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミン(1054mg)を、淡桃色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.70−0.76(2H,m)、0.96−1.03(2H,m)、1.83−1.91(1H,m)、2.36(3H,s)、5.84(1H,brs)、6.94(1H,brs)、8.05(1H,brs)
ESI−MS m/z250.1[M+H]
【0289】
参考例3
2−クロロ−6−メチル−N−(1,3−チアゾール−2−イル)ピリミジン−4−アミンの調製
【0290】
【化55】

【0291】
ジオキサン(20ml)中の、2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン(507.7mg)、1,3−チアゾール−2−アミン(345.0mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(289.1mg)、及びKPO(936.3mg)の混合物に、Pd(dba)・CHCl(255.9mg)を添加した。そして懸濁液を85℃で一晩攪拌した。混合物を室温に冷却した。不溶性物質を濾去し、EtOAcで洗浄した。濾液を飽和NaHCO水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。抽出物を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:CHCl/MeOH=98/2〜90/10)で精製して、2−クロロ−6−メチル−N−(1,3−チアゾール−2−イル)ピリミジン−4−アミンを、橙色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ2.48(3H,s)、6.69(1H,s)、7.07(1H,d)、7.52(1H,d)
ESI−MS m/z227.1[M+H]
【0292】
参考例4
2−クロロ−N−(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)−6−メチルピリミジン−4−アミンの調製
【0293】
【化56】

【0294】
標題化合物は、参考例3に記載したものと同様の方法により、1,3−チアゾール−2−アミンの代わりに、5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−アミンを用いて調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ0.66(2H,m)、0.94(2H,m)、2.02(1H,m)、2.33(3H,s)、6.81(1H,s)、7.15(1H,s)、11.84(1H,s)
ESI−MS m/z267.4[M+H]
【0295】
参考例5
2−[(2−クロロ−6−メチルピリミジン−4−イル)アミノ]−1,3−チアゾール−5−カルボニトリルの調製
【0296】
【化57】

【0297】
標題化合物は、参考例3に記載したものと同様の方法により、1,3−チアゾール−2−アミンの代わりに2−アミノ−1,3−チアゾール−5−カルボニトリルを用いて調製した。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ2.41(3H,s)、6.91(1H,s)、8.38(1H,s)、12.89(1H,s)
ESI−MS m/z252.4[M+H]
【産業上の利用可能性】
【0298】
本発明の化合物は、優れたオーロラA選択的阻害作用を示し、それ故、医薬の分野における有用な抗がん剤として期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、H、−NHCOOR1a、C5−6シクロアルキル、又はフェニルであり、ここで、シクロアルキル及びフェニルは、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
1aは、C1−3アルキルであり、これは、F及びClから選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
は、H、−COOH、−CHCOOH、−COOR2a、又は−CHCOOR2aであり;
2aは、C1−2アルキルであり、ここで、アルキルは、ハロゲン原子から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
は、H、C1−6アルキルであり、ここで、アルキルは、R11から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
10は、F、Cl、CF、又はC1−2アルキルであり;
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、又はシアノであり;
Wは:
【化2】

から選択され;
2aは、H、ハロゲン原子、シアノ、C1−2アルキル、又はC3−5シクロアルキルである]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項2】
が、−COOH又は−CHCOOHである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項3】
が、−NHCOOR1a、シクロヘキシル、又はフェニルであり、ここで、シクロヘキシル及びフェニルが、各々独立して、R10から選択される1ないし3個の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;
1aが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はt−ブチルであり、これらのいずれもが、1ないし3個のフッ素原子で置換されていてもよく;かつ
10が、F又はClである、
請求項2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項4】
2aが、H、シアノ、又はシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項5】
(a)メチルトランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(b)トランス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(c)メチルシス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(d)シス−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(e)メチルトランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(f)トランス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(g)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(h)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[({[(2S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル]オキシ}カルボニル)アミノ]ピペリジン−3−カルボン酸;
(i)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボキシラート;
(j)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−フェニルピペリジン−3−カルボン酸;
(k)メチルシス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(l)シス−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]−5−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(m)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(n)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1H−ピラゾール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(o)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボキシラート;
(p)シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸;
(q)メチルシス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボキシラート;
(r)シス−1−{4−[(5−シアノ−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}−5−シクロヘキシルピペリジン−3−カルボン酸;
(s)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(t)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(5−シクロプロピル−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(u)メチルシス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボキシラート;
(v)シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−カルボン酸;
(w)メチル(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アセタート;
(x)(シス−5−シクロヘキシル−1−{4−[(3−シクロプロピル−1H−ピラゾール−5−イル)アミノ]−6−メチルピリミジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)酢酸;
(y)メチル{シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アセタート;又は
(z){シス−5−シクロヘキシル−1−[4−メチル−6−(1,3−チアゾール−2−イルアミノ)ピリミジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}酢酸、
である化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはエステル。
【請求項6】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、オーロラA選択的阻害剤。
【請求項8】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を活性成分として、薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含んでなる、抗がん剤。

【公表番号】特表2012−521426(P2012−521426A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502095(P2012−502095)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/027279
【国際公開番号】WO2010/111056
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(595152759)MSD株式会社 (22)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】