説明

カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する液体洗濯洗剤

組成物の約0.05重量%〜約0.4重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーであって、約0.01〜約0.20のカチオン電荷の置換度を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーと、組成物の約5重量%〜約30重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤と、組成物の約2重量%〜約15重量%の脂肪酸とを含有する、布地洗浄に有用な水性液体洗濯洗剤組成物。デリケートな布地を手洗いするためのかかる水性液体洗濯洗剤組成物の使用。デリケートな布地を機械洗いするためのかかる水性液体洗濯洗剤組成物の使用であって、該機械洗いがデリケート用の機械設定で行われる使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品(例えば、衣類、リネン、布地等)の洗濯のための液体洗濯洗剤組成物におけるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの液体洗濯洗剤が、今日の消費者に入手可能である。
【0003】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーのようなカチオン性ポリマーは、従来より洗剤組成物、特にシャンプーのようなヘア製品に含有させるために市販されている。最近になって、洗濯された繊維製品に柔軟効果を与えるが、従来の洗濯機サイクル中にあまり沈着しない他の既知の物質の付着を強化するよう、かかるカチオン性ポリマーが重質液体洗濯洗剤内で実験されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの洗剤が、従来の横軸および/または縦型(vertical access)洗濯機において、十分に土、汚れおよび異臭を除去して、繊維製品(例えば衣料品)を非常に効率的に洗浄するが、柔軟化、色彩保護、布の痛みからの保護、および上質の繊維製品(羊毛および絹など)の穏やかな処理のような、洗濯洗剤および洗浄サイクルを通して得られるさらなる布地ケア効果を消費者に提供するという持続的な要望が存在する。
【0005】
驚くべきことに、界面活性剤および脂肪酸と組み合わせたかかるカチオン性ポリマーは、選択された水性液体洗濯洗剤組成物に含有された場合、洗濯された繊維製品に布地ケア効果をもたらし得ることがいまや見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物の約0.05重量%〜約0.4重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーであって、約0.01〜約0.20のカチオン電荷の置換度を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーと、組成物の約5重量%〜約30重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤と、組成物の約2重量%〜約15重量%の脂肪酸とを含む、デリケートな布地の洗浄に有用な水性液体洗濯洗剤組成物に関する。
【0007】
本発明は、組成物の約0.15重量%〜約0.2重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーであって、約200,000〜約800,000の分子量、および約0.01〜0.20のカチオン電荷の置換度を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーと、組成物の約7重量%〜約15重量%の、アルキルエトキシレートスルフェート界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤と、組成物の約2重量%〜約10重量%の脂肪酸とを含む、デリケートな布地の洗浄に有用な水性液体洗濯洗剤組成物であって、蛍光増白剤を実質的に含まず、セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素を実質的に含まない組成物にさらに関する。
【0008】
本発明はまた、該カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーが約0.01〜約0.1のカチオン電荷の置換度を有する上記組成物に関する。
【0009】
本発明はまた、該カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーが約0.01〜0.1未満のカチオン電荷の置換度を有する上記組成物に関する。
【0010】
本発明はまた、該カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーが、約200,000〜約800,000の分子量を有する上記組成物に関する。
【0011】
本発明はまた、セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素を実質的に含まない上記組成物に関する。
【0012】
本発明はまた、蛍光増白剤を実質的に含まない上記組成物に関する。
【0013】
本発明はまた、組成物の約0.1重量%〜約0.3重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含む上記組成物に関する。
【0014】
本発明はまた、組成物の約0.15重量%〜約0.2重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含む上記組成物に関する。
【0015】
本発明はまた、組成物の約7重量%〜約15重量%の界面活性剤を含む上記組成物に関する。
【0016】
本発明はまた、組成物の約2.5重量%〜約7重量%の脂肪酸を含む上記組成物に関する。
【0017】
本発明はまた、不透明化剤をさらに含む上記組成物に関する。
【0018】
本発明はまた、該アニオン性界面活性剤が、アルキルエトキシレートスルフェートおよび直鎖アルキルベンゼンスルホネートから選択される上記組成物に関する。
【0019】
本発明はまた、該アニオン性界面活性剤が、約12〜約14の鎖長および約1〜約8のエトキシル化度を有するアルキルエトキシレートスルフェートから選択される上記組成物に関する。
【0020】
本発明はまた、泡抑制剤をさらに含む上記組成物に関する。
【0021】
本発明はまた、酵素を実質的に含まない上記組成物に関する。
【0022】
本発明はまた、汚れ放出ポリマー、転染阻害ポリマー、キレート剤、性能向上ポリマー、防腐剤、安定化剤、構造化剤、粘度調整剤、およびクエン酸から選択される洗濯補助成分をさらに含む上記組成物に関する。
【0023】
本発明はまた、硬化ヒマシ油から選択される約0.01〜約1%の構造化剤をさらに含む上記組成物に関する。
【0024】
本発明はさらに、デリケートな布地を手洗いするための上記組成物の使用に関する。
【0025】
本発明はさらに、デリケートな布地を機械洗いするための上記組成物の使用であって、該機械洗いがデリケート用の機械設定で行われる使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
「発明を実施するための最良の形態」で引用されるすべての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味または定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味または定義を適用するものとする。
【0027】
本明細書におけるすべての百分率、比率、および割合は、特に指示がない限り重量基準である。
【0028】
本発明は、少なくともアニオン性および非イオン性の界面活性剤を含有する界面活性剤と、脂肪酸と、約0.01〜約0.20のカチオン電荷の置換度および約200,000〜約800,000の分子量を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーとを含む水性液体洗濯洗剤組成物に関する。
【0029】
理論に制限されるものではないが、低電荷密度のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、洗濯された繊維製品に布地ケア効果と良好な洗浄との両方をもたらすことができる比較的低濃度の界面活性剤(少なくともアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤)を含有する液体洗濯洗剤製品の提供において重要であると、現在考えられている。
【0030】
本発明の組成物および方法は、洗浄を通して、衣類および布地のような繊維製品に柔軟効果とともに良好な洗浄をもたらす低コストな液体洗濯洗剤組成物の提供において有利である。更なる目的および利点は、「発明を実施するための最良の形態」を考慮すれば明らかとなる。
【0031】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマー
本発明の水性液体洗濯洗剤組成物は、組成物の約0.05重量%〜約0.4重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約0.3重量%、或いは約0.15重量%〜約0.2重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含有する。
【0032】
本明細書で有用なカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、約0.01(100ポリマー反復単位当たり1カチオン電荷)〜約0.20(10ポリマー反復単位当たり2カチオン電荷)のカチオン電荷の置換度を有する。好ましくは、本明細書で有用なカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーは、約0.01〜約0.1、より好ましくは0.1未満、一実施形態では約0.01〜0.1未満のカチオン電荷の置換度を有する。正電荷は、ポリマーの主鎖またはポリマーの側鎖上に存在することができる。
【0033】
有用なカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーとしては、疎水変性されているまたはされていない、約200,000〜約800,000の分子量を有するものが挙げられる。これらのカチオン性物質は、以下の一般構造式Iに対応する、反復置換型の無水グルコース単位を有する。
【化1】

式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立してH、CH3、C8〜C24アルキル(直鎖または分枝鎖)、
【化2】

またはこれらの混合物であり、nは約1〜約10であり、RxはH、CH3、C8〜C24アルキル(直鎖または分枝鎖)、
【化3】

またはこれらの混合物であり、Zは水溶性アニオン、好ましくは塩素イオンおよび/または臭素イオンであり、R5はH、CH3、CH2CH3、またはこれらの混合物であり、R7はCH3、CH2CH3、フェニル基、C8〜C24アルキル基(直鎖または分枝鎖)、またはこれらの混合物であり、並びに
R8およびR9はそれぞれ独立してCH3、CH2CH3、フェニル、またはこれらの混合物であり、
R4はH、
【化4】

またはこれらの混合物である[式中、Pは(式中、Z’は水溶性アニオン、好ましくは塩素イオン、臭素イオンまたはこれらの混合物であり、qは約1〜約10である)
【化5】

のようなカチオン性モノマーのラジカル重合により形成された付加重合体の反復単位である]。
【0034】
本明細書で有用な水溶性アニオンとしては、C8〜C24アルキルスルフェート、C8〜C24アルキルアルコキシスルフェート、好ましくはアルキルエトキシスルフェート、C8〜C24アルキルスルホネート、C8〜C16アルキルベンゼンスルホネート、キシレンスルホネート、トルエンスルホネート、クメンスルホネート、脂肪族アルキルカルボキシレート、塩素イオン、臭素イオン、またはこれらの混合物が挙げられるが、塩素イオンおよび/または臭素イオンが好ましい。
【0035】
カチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、ポリマー範囲の無水グルコース環上にアルキル置換を有してよい。かかるアルキル置換が存在する場合、アルキル置換は高分子物質のグルコース単位当たり約0%〜5%、より好ましくはグルコース単位当たり約0%〜2%であってよい。
【0036】
カチオン性セルロースは、周囲温度で水に添加した際に、塊、小塊、または他のアグロメレーションの形成を防ぐために、グリオキシルのようなジアルデヒドによってわずかに架橋してもよい。
【0037】
同様に、構造式Iのカチオン性ヒドロキシエチルセルロースエーテルとしては、市販されており、市販物質の従来の化学修飾により調製できる物質をさらに含むものが挙げられる。本明細書で有用な市販の構造式I型のセルロースエーテルとしては、LR400およびLK400ポリマー、好ましくはLK400ポリマーが挙げられ、これらはダウ・ケミカル社(Dow Chemical)により販売されている。
【0038】
界面活性剤
本発明の水性液体洗濯洗剤製品は、組成物の約5重量%〜約30重量%の界面活性剤を含む。一実施形態では、本発明の水性液体洗濯洗剤製品は、組成物の約5重量%〜約20重量%、或いは約7重量%〜約15重量%の界面活性剤を含む。
【0039】
本発明の洗剤製品の界面活性剤は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。本発明の洗剤製品は、双極性、両性、若しくはカチオン性などの他の界面活性剤を含んでもよく、またはアニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤と併用するこれらの種類の適合性混合物を含むことができる。
【0040】
一実施形態では、アニオン性界面活性剤は、アルキルエトキシレートスルフェートおよび直鎖アルキルベンゼンスルホネートから選択される。別の実施形態では、アニオン性界面活性剤は、約12〜約14の鎖長および約1〜約8のエトキシル化度を有するアルキルエトキシレートスルフェートから選択される。
【0041】
本明細書で有用な洗浄性界面活性剤としては、米国特許第3,664,961号(1972年5月23日発行、ノリス(Norris))、同第3,919,678号(1975年12月30日発行、ラフリン(Laughlin)ら)、同第4,222,905号(1980年9月16日発行、コックレル(Cockrell))、および同第4,239,659号(1980年12月16日発行、マーフィー(Murphy))に記載されるものが挙げられる。
【0042】
本明細書で用いるのに好適なアニオン性界面活性剤としては、分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸または硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくは、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる。)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、およびアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂またはココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるもののような高級アルコール(C〜C18炭素原子)の硫酸化によって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、およびアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、並びに、c)アルキル基が直鎖または分枝鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号および同第2,477,383号に記載の種類のものである。アルキル基中の平均炭素原子数が約11〜13個の、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(C11〜13LASと略される)もまた有用である。
【0043】
一実施形態では、本明細書で有用な非イオン性界面活性剤としては、式R(OCOH(式中、Rは、C10〜C16アルキル基またはC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である)のものが挙げられる。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドを有するC12〜C15アルコールの縮合生成物、例えば、アルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC12〜C13アルコールである。
【0044】
更なる好適な非イオン性界面活性剤としては、以下の式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【化6】

式中、RはC9〜17アルキルまたはアルケニルであり、Rはメチル基であり、Zは還元糖またはそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。例としては、N−メチルN−1−デオキシグリシチルココアミドおよびN−メチルN−1−デオキシグリシチルオレアミドが挙げられる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの製造方法は既知であり、米国特許第2,965,576号(ウィルソン(Wilson))および米国特許第2,703,798号(シュワルツ(Schwartz))に見出すことができ、これらの開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0045】
脂肪酸
本発明の水性液体洗剤組成物は、組成物の約2重量%〜約15重量%の脂肪酸を含有する。一実施形態では、該組成物は組成物の約2重量%〜約10重量%、或いは約2.5重量%〜約7重量%の脂肪酸を含有する。
【0046】
本明細書で使用する時、「脂肪酸」は、約8〜約24個の炭素原子、或いは約12〜約18個の炭素原子を含有するものを含む種々の脂肪酸を指す。本明細書で有用な脂肪酸としては、飽和および不飽和の両方のもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
蛍光増白剤無添加
一実施形態では、本発明の水性液体洗剤組成物は、蛍光増白剤を実質的に含まない。本明細書で使用する時、「蛍光増白剤を実質的に含まない」とは、水性液体洗剤組成物が0.0001%未満の蛍光増白剤を含有する、好ましくは検出可能な量の蛍光増白剤を含有しないことを意味する。
【0048】
セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素
一実施形態では、本発明の水性液体洗剤組成物は、セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素を実質的に含まない。本発明の水性液体洗剤組成物は、セルロース分解(cellulytic)活性を含まない酵素を含んでよい。本明細書で使用する時、「セルロース分解(cellulytic)活性を含む酵素を実質的に含まない」とは、水性液体洗剤組成物が0.001%未満のセルロース分解(cellulytic)活性を含む酵素を含有する、好ましくは検出可能な量のセルロース分解(cellulytic)活性を含む酵素を含有しないことを意味する。
【0049】
理論に制限されるものではないが、特定の酵素に存在するセルラーゼは、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマー分子を加水分解し、それによりカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーに付随する布地ケア効果を無効にすると考えられている。
【0050】
しかしながら、望ましい場合、組成物が有効量のセルラーゼ阻害剤も含有する限り、セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素を含有する本発明の水性液体洗剤組成物を配合することが可能である。
【0051】
酵素
本発明の製剤に組み込まれる場合、酵素は「洗浄に有効な量」を提供するのに十分な量で含まれる。「洗浄に有効な量」という用語は、布地のような基材に対して洗浄、染み除去、汚れ除去、漂白、脱臭、または清新感改善効果を生み出すことが可能な任意の量を指す。一実施形態では、本発明の水性液体洗剤組成物は、洗剤組成物1g当たり約5重量mg以下、より典型的には約0.01mg〜約3mgの活性酵素を含有してよい。別の言い方をすれば、本明細書の組成物は、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の市販の酵素調製物を含む。プロテアーゼ酵素は、好ましくはかかる市販の調製物中に、組成物1g当たり0.005〜0.1アンソン単位(AU)の活性を提供するのに十分な濃度で存在する。高濃縮型の洗剤製剤では、より高い活性レベルが望ましい場合がある。
【0052】
本明細書で有用な、選択されたプロテアーゼとしては、バチルス・サブチリス(B.subtilis)およびバチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)の特定の株から得られるサブチリシンが挙げられる。好ましいプロテアーゼは、バチルス株から得られ、pH8〜12の範囲にわたり最大活性を有し、デンマークのノボ・インダストリーズA/S(Novo Industries A/S)(以下、「ノボ(Novo)」)によって開発され、エスペラーゼ(ESPERASE)(登録商標)として販売されている。この酵素および類似酵素の調製については、英国特許第1,243,784号(ノボ(Novo))に記載されている。他の好適なプロテアーゼとしては、ノボ(Novo)製のアルカラーゼ(ALCALASE)(登録商標)およびサビナーゼ(SAVINASE)(登録商標)、並びにオランダのインターナショナル・バイオ−シンセティクス社(International Bio-Synthetics, Inc.)製のマキサターゼ(MAXATASE)(登録商標)が挙げられる。望ましい場合、WO9507791(プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble))に記載のような、低吸収性および高加水分解性を有するプロテアーゼを、本明細書の組成物に含んでよい。本明細書に好適な、洗剤用の別の組み換えトリプシン様プロテアーゼは、WO9425583(ノボ(Novo))に記載されている。
【0053】
本発明の組成物は、既知のいかなるアミラーゼを含んでもよい。
【0054】
本明細書に用いるのに好適なリパーゼ酵素としては、英国特許第1,372,034号に開示されるように、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)ATCC19.154のような、シュードモナス(Pseudomonas)群の微生物によって産生されるものが挙げられる。また、特開昭53−20487号(1978年2月24日公開)に記載のリパーゼも参照のこと。このリパーゼは、天野製薬(Amano Pharmaceutical Co. Ltd.)(日本、名古屋)から、商品名リパーゼP「アマノ」または「アマノ−P」として入手可能である。他の好適な市販のリパーゼとしては、アマノ−CES、クロモバクター・ビスコスム(Chromobacter viscosum)由来のリパーゼ、例えば東洋醸造(日本、田方)製のクロモバクター・ビスコスム(Chromobacter viscosum)変種リポリチカム(lipolyticum)NRRLB3673、米国のUSバイオケミカル社(U.S. Biochemical Corp.)およびオランダのジオシンス社(Diosynth Co.)製のクロモバクター・ビスコスム(Chromobacter viscosum)リパーゼ、並びにシュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)由来のリパーゼが挙げられる。フミコーラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)由来の、ノボ(Novo)から市販されているリポラーゼ(LIPOLASE)(登録商標)酵素(やはり欧州特許第341,947号を参照のこと)は、本明細書に用いるのに好ましいリパーゼである。
【0055】
本発明の組成物が適合性酵素を含有する場合、組成物は、有効な酵素安定化系も含有することが好ましい。それ故、本明細書の酵素含有水性液体洗濯洗剤組成物はまた、所望により、約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.005重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.01重量%〜約6重量%の酵素安定化系を含んでもよい。この酵素安定化系は、本明細書で有用な酵素と適合性のいかなる安定化系であることもできる。かかる系は、他の配合活性物質により内在的に提供されてよく、または、例えば酵素の配合者若しくは製造者によって別個に添加されてもよい。かかる安定化系は、例えば、カルシウムイオン、ホウ酸、プロピレングリコール、短鎖カルボン酸、ボロン酸、またはこれらの混合物を含むことができ、洗剤組成物の種類および物理形態に応じて様々な安定化問題に対処するように設計される。セルロース分解(cellulytic)活性を有する酵素が本明細書の水性液体洗濯洗剤組成物に含まれる場合、酵素安定化系はまたセルラーゼ阻害剤をも含むべきである。
【0056】
ビルダー
組成物はまた、約0.1重量%〜80重量%のビルダーを含んでもよい。一実施形態では、本発明の組成物は、約1重量%〜20重量%のビルダー成分を含有する。洗剤ビルダーは、当該技術分野において周知であり、例えばリン酸塩、並びに様々な有機および無機無リンビルダーを含むことができる。
【0057】
本明細書で有用な水溶性無リン有機ビルダーとしては、様々なアルカリ金属、アンモニウム、並びに置換アンモニウムのポリアセテート、カルボキシレート、ポリカルボキシレート、およびポリヒドロキシスルホネートが挙げられる。ポリアセテートビルダーおよびポリカルボキシレートビルダーの例は、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシジコハク酸、メリト酸、ベンゼンポリカルボン酸、およびクエン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、および置換アンモニウム塩である。本明細書に用いるのに好適な他のポリカルボキシレートは、米国特許第4,144,226号(クラッチフィールド(Crutchfield)ら、1979年3月13日発行)および米国特許第4,246,495号(クラッチフィールドら、1979年3月27日発行)に記載のポリアセタールカルボキシレートである。本明細書で有用なポリカルボキシレートビルダーとしては、オキシジスクシネート、および米国特許第4,663,071号(ブッシュ(Bush)ら、1987年5月5日発行)に記載されるタータラートモノスクシネートとタータラートジスクシネートとの組み合わせを含むエーテルカルボキシレートビルダー組成物が挙げられる。
【0058】
好適な無リン無機ビルダーの例としては、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩が挙げられる。
【0059】
水性液体洗濯洗剤
本発明の水性液体洗剤組成物は、米国特許第6,274,540号および同第6,306,817号、2001年3月8日公開のWIPO公開WO01/16237、並びに2001年3月8日公開のWO01/16263に開示された方法を含む、任意の既知の方法で作製してよい。
【0060】
本明細書の洗濯洗剤組成物は、水性液体洗濯洗剤として処方される。それ故、本明細書の洗剤組成物は、液体洗剤組成物の約3重量%〜約98重量%、或いは約15重量%〜約95重量%の水性液体担体、好ましくは水を含む。好ましくは、本発明による液体洗濯組成物は、本発明による水性液体洗剤による好ましい洗浄および布地ケア性能を維持するために、約6〜約10、より好ましくは約7〜約9の洗浄溶液pHを提供すべきである。必要に応じて、洗浄組成物は、アルカリ化剤、pH調整剤および/または緩衝剤を含有してよい。
【0061】
洗濯補助成分
本明細書の洗濯洗剤は、洗濯補助成分をさらに含んでよい。好適な洗濯補助剤は当該技術分野において既知であり、汚れ放出ポリマー、転染阻害ポリマー、キレート剤、性能向上ポリマー、防腐剤、安定化剤、構造化剤、粘度調整剤、クエン酸、および送達粒子を含有する有益剤が挙げられる。
【0062】
本明細書で有用な送達粒子を含有する有益剤は、コア物質と該コア物質を少なくとも部分的に取り囲む壁物質を含む。本明細書で使用する時、「送達粒子を含有する有益剤」という語句は、(コア物質が香料を含む)香料マイクロカプセルを含む、マイクロカプセルを包含する。本明細書で使用する時、「粒子」、「送達粒子を含有する有益剤」、「カプセル」および「マイクロカプセル」という用語は同義である。
【0063】
(実施例1〜4)
以下の実施例の水性液体洗剤製剤は、当業者に既知の従来よりの方法および手段により作製することができる。
【表1】

【0064】
本発明の特定の実施形態を説明および記述してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々なその他の変更および修正を行えることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地洗浄に有用な水性液体洗濯洗剤組成物であって、
a)前記組成物の0.05重量%〜0.4重量%、好ましくは0.1重量%〜0.3重量%、より好ましくは0.15重量%〜0.2重量%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーであって、0.01〜0.20、好ましくは0.01〜0.1、より好ましくは0.01〜0.1未満のカチオン電荷の置換度を有するカチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーと、
b)前記組成物の5重量%〜30重量%、好ましくは7重量%〜15重量%の、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤と、
c)前記組成物の2重量%〜15重量%、好ましくは2.5重量%〜7重量%の脂肪酸と
を含む、水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン性ヒドロキシエチルセルロースポリマーが200,000〜800,000の分子量を有する、請求項1に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、セルロース分解活性を有する酵素を実質的に含まず、好ましくは蛍光増白剤を実質的に含まない、請求項1または2に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記組成物が不透明化剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルエトキシレートスルフェートおよび直鎖アルキルベンゼンスルホネートから選択され、好ましくは12〜14の鎖長および1〜8のエトキシル化度を有するアルキルエトキシレートスルフェートから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記組成物が、泡抑制剤をさらに含み、かつ酵素を実質的に含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記組成物が、汚れ放出ポリマー、転染阻害ポリマー、キレート剤、性能向上ポリマー、防腐剤、安定化剤、構造化剤、粘度調整剤、送達粒子を含有する有益剤およびクエン酸から選択される洗濯補助成分をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記組成物が、硬化ヒマシ油から選択される0.01〜1%の構造化剤をさらに含む、請求項1に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記組成物が、送達粒子を含有する有益剤をさらに含み、前記送達粒子を含有する有益剤が好ましくは香料マイクロカプセルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
デリケートな布地を手洗いするための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物の使用。
【請求項11】
デリケートな布地を機械洗いするための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性液体洗濯洗剤組成物の使用であって、前記機械洗いがデリケート用の機械設定で行われる、使用。

【公表番号】特表2009−532566(P2009−532566A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504274(P2009−504274)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/008376
【国際公開番号】WO2007/120547
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】