説明

カチオン性ポリマーおよびアニオン性界面活性剤混合物を含むシャンプー組成物

本発明は、
(i) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5未満である第1のアニオン性界面活性剤;
(ii) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5を超える第2のアニオン性界面活性剤;
(iii) 少なくとも100,000ダルトンの分子量および少なくとも0.5meq/gのカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーを(i):(ii)の重量比、3:1から1:3で混合して含む水性シャンプー組成物を提供する。本発明によるシャンプー組成物は、伸びの減少した粘性(すなわち、より「曳糸性」でない)を示す。また、本発明の組成物は、生成物曳糸性の著しい増大なしに、著しく増大したレベルのコンディショニングの供給に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性ポリマーとアニオン性界面活性剤の混合物とを含むシャンプー組成物に関し、さらに詳しくは、アニオン性界面活性剤が分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比によって差別化されているアニオン性界面活性剤混合物を組み込み、その結果カチオン性ポリマーと組み合わせた場合に、「曳糸性」のレベルの低下が観察されるシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄界面活性剤およびコンディショニング剤の種々の組合せを含むシャンプー組成物が、知られている。これらの製品は、一般に、コンディショニング剤と組み合わせてアニオン性洗浄界面活性剤を含む。中でも、シャンプー組成物において使用されている最も一般的なコンディショニング剤は、鉱油などの油性材料、トリグリセリドおよびシリコーンポリマーなどの天然の油である。これらは、一般に分散された疎水性エマルジョン小滴としてシャンプー内に存在する。コンディショニングは、油性材料が髪に付着させられ、皮膜の形成をもたらすことによって実現される。
【0003】
しかし、多くのシャンプー組成物は、洗浄プロセスの間に、髪および皮膚に十分なレベルのコンディショニング剤の付着をもたらさない。このような付着がないと、コンディショニング剤の大部分が、洗浄プロセスの間に洗い流され、したがって、僅かしかまたは全くコンディショニング効果をもたらさない。
【0004】
コンディショニング剤の付着を改善する1つの知られた方法は、ある種のカチオン性付着ポリマーを使用するものである。これらのポリマーは、カチオン性置換基で改質された合成または天然ポリマーであってよい。
【0005】
付着助剤としてのこのようなポリマーの効力は、これらの分子量およびカチオン電荷密度に関連している。高分子量(例えば、1Mダルトン以上)および高カチオン電荷密度(例えば、1.6meq/g以上)の組合せを有するカチオン性ポリマーは、特に効果的な付着助剤である。問題は、このようなポリマーは、標準的シャンプーベースに非常に高い伸びのある粘度を発現させ、それはシャンプーが非常に「曳糸性である」となることを意味する。これは、美的に望ましくないだけでなく、瓶およびとりわけサッシェを充填するときに重大な実際的な問題を生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、この問題は、カチオン性ポリマーが、アニオン性界面活性剤が分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比によって差別化されているアニオン性界面活性剤混合物と共に配合した場合に、解決し得ることを見出した。
【0007】
本発明によるシャンプー組成物は、低下された伸びのある粘度(すなわち、より曳糸性でない)を示し、このことは、より良好な美的特性、および加工の間の、とりわけ瓶およびサッシェ充填の間の取り扱いを改善し、容易にする。
【0008】
本発明によるシャンプー組成物は、また、生成物曳糸性の著しい増加なしに、コンディショニングの著しく増加したレベルの供給に備える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(i) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5未満である第1のアニオン性界面活性剤;
(ii) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5を超える第2のアニオン性界面活性剤;
(iii) 少なくとも100,000ダルトンの分子量および少なくとも0.5meq/gのカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーを(i):(ii)の重量比、3:1から1:3で混合して含む水性シャンプー組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書では、全ての分子量は、他に指示がない限り、重量平均分子量である。
【0011】
用語「カチオン電荷密度」は、本明細書では、ポリマーが構成されているモノマー単位上の正電荷の数と、モノマー単位の分子量の比のことを言う。電荷密度にポリマー分子量を掛けると、所与のポリマー鎖上の正に荷電された部位の数がきまる。
【0012】
「水性シャンプー組成物」とは、この主な成分として、水または水性溶液またはリオトロピック液晶相を有する組成物を意味する。適切には、組成物は、水の総量に対して50%〜98重量%、好ましくは60%〜90重量%を含む。
【0013】
第1のアニオン性界面活性剤
本発明によるシャンプー組成物は、分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5未満である第1のアニオン性界面活性剤を含む。
【0014】
適切な第1のアニオン性界面活性剤の例は、硫酸アルキルおよび硫酸アルキルエーテルおよびこれらの塩、とりわけこれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムおよびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩である。一般に、アルキル基は、8〜18個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含み、不飽和であってよい。硫酸アルキルエーテルは、1分子当たり1〜20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含むことができる。
【0015】
好ましい第1のアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ソジウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1から3である)、ラウリル硫酸アンモニウムおよびアンモニウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1から3である)である。
特に好ましい第1のアニオン性界面活性剤は、ソジウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1である)である。
任意の前述の第1のアニオン性界面活性剤の混合物も適切である。
【0016】
本発明のシャンプー組成物中の第1のアニオン性界面活性剤の総量は、一般に組成物の総重量に対して1%〜25重量%、好ましくは4〜12重量%、より好ましくは4〜8重量%の範囲である。
【0017】
第2のアニオン性界面活性剤
本発明によるシャンプー組成物は、分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5を超える第2のアニオン性界面活性剤を含む。
【0018】
適切な第2のアニオン性界面活性剤の例は、スルホスクシネートアニオン性界面活性剤である。
【0019】
好ましいスルホスクシネートアニオン性界面活性剤は、一般式:
【0020】
【化2】

[式中、Rは、10から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケニル基であり、Xは、エトキシル化の平均度合いを示す数であり、適切には0から5、好ましくは0から4、最も好ましくは2から3.5の範囲であってよく、MおよびM′は、互いに同一または異なっていることができる一価カチオンである。]
を有する。好ましいカチオンは、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、またはモノエタノールアンモニウムまたはトリエタノールアンモニウムイオンなどのアルカノールアンモニウムイオンである。
【0021】
最も好ましいスルホスクシネート界面活性剤は、C10〜C14スルホスクシネート、およびC10〜C14エトキシ(1〜5)スルホスクシネート、とりわけラウレス−3スルホスクシネートである。
【0022】
任意の前述の第2のアニオン性界面活性剤の混合物も適切である。
【0023】
本発明のシャンプー組成物中の第2のアニオン性界面活性剤の総量は、一般に組成物の総重量に対して1%〜20重量%、好ましくは4〜12重量%、より好ましくは4〜8重量%の範囲である。
【0024】
本発明の組成物中の第1のアニオン性界面活性剤と第2のアニオン性界面活性剤の重量比は、3:1〜1:3の範囲である。この比は、好ましくは2:1〜1:2、最も好ましくは約1:1の範囲である。
【0025】
カチオン性ポリマー
本発明によるシャンプー組成物は、少なくとも100,000ダルトンの分子量および少なくとも0.5meq/gのカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーを含む。
【0026】
「カチオン性ポリマー」とは、カチオン性基および/またはカチオン性基にイオン化することができる基を含むあらゆるポリマーを意味する。
【0027】
適切なカチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってよく、またはモノマーの2種以上から形成してよい。
【0028】
カチオン性ポリマーの重量平均(M)分子量は、好ましくは300,000と2Mダルトンの間、より好ましくは750,000と1.5Mダルトンの間である。
【0029】
一般に、カチオン性基は、カチオン性ポリマーの総モノマーの1部分上の置換基として存在する。したがって、ポリマーが、ホモポリマーでない場合は、非カチオン性スペーサーモノマーを含むことができる。このようなポリマーは、CTFA化粧品成分辞典、第3版(Cosmetic Ingredient Dictionary,3rd edition)に記載されている。カチオン性と非カチオン性モノマーの比は、必要とされる範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを得るために選択される。
【0030】
カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、US Pharmacopoeiaに記載されているKjeldahl法により、窒素測定のための化学試験の下に適切に求められる。好ましいカチオン性ポリマーは、シャンプー組成物の意図する用途のpHにおいて測定して、少なくとも約0.9meq/g、より好ましくは少なくとも約1.6meq/g、最も好ましくは少なくとも約1.8meq/g、しかしまた好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約5meq/g未満、最も好ましくは3meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。シャンプー組成物の意図する用途のpHは、一般に約pH3〜約pH9、好ましくは約pH4〜約pH7の範囲である。
【0031】
あらゆるアニオン性対イオンを、カチオン性ポリマーがシャンプー組成物に可溶性である限り、および対イオンがシャンプー組成物の基本的な成分と物理的および化学的に相溶性であり、さもなければ、製品特性、安定性または審美性をはなはだしく損なわない限り、カチオン性ポリマーに関連して使用することができる。このような対イオンの例には、ハライド、(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、サルフェート、メチルサルフェート、およびこれらの混合物が含まれる。
【0032】
好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の部分を形成しうるか、または主ポリマー鎖に直接結合されている側鎖置換基によって担持されうる第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を含むものから選択される。
【0033】
適切なカチオン性ポリマーは、カチオン性ポリサッカライドなどの天然由来の材料であってよい。
【0034】
本発明の組成物中で使用に適するカチオン性ポリサッカライドは、次式のモノマーを含む:
【0035】
【化3】

[式中、Aは、澱粉またはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、またはヒドロキシアルキレン基またはこれらの組合せである。R、RおよびRは、独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシアリール基を表し、それぞれの基は、約18個までの炭素原子を含む。それぞれのカチオン部分に対する炭素原子の総数(すなわち、R、RおよびR中の炭素原子の和)は、好ましくは約20以下であり、およびXは、アニオン性対イオンである。]。
【0036】
好ましいカチオン性ポリサッカライドは、当工業(CTFA)においてPolyquaternium 10と呼ばれる、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応されたヒドロキシエチルセルロースの塩などのカチオン性セルロース誘導体である。これらの材料の特定の例には、Polymer JR125、Polymer JR400およびPolymer JR30MなどのポリマーのJRシリーズにおいて、Amerchol Corporationから入手可能なポリマーが含まれる。カチオン性セルロースの他の適切なタイプには、当工業(CTFA)においてPolyquaternium 24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応されたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性第四級アンモニウム塩が含まれる。
【0037】
使用することができるカチオン性ポリサッカライドの他の好ましいクラスは、カチオン性ガーゴム誘導体、とりわけ塩化ガーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムである。これらの材料特定の例には、JAGUAR C13SおよびJAGUAR C17などのポリマーのJAGUARシリーズにおいて、Rhodiaから入手可能なポリマーが含まれる。
【0038】
適切なカチオン性ポリマーは、また、場合によって非カチオン性スペーサーモノマーと一緒に、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーから形成されるものなどの合成的に得られた材料であってよい。
【0039】
適切な非カチオン性スペーサーモノマーには、(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリドンが含まれる。このアルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC〜Cアルキル基、より好ましくはC〜Cアルキル基を有する。他の適切な水溶性ペーサーモノマーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが含まれる。
【0040】
カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有する適切なビニルモノマーには、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩、およびピリジニウム、イミダゾリウムおよび第四級化ピロリドンなどの環式カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマー、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩が含まれる。これらのモノマーのアルキル部分は、好ましくはC、CまたはCアルキルなどの低級アルキルである。
【0041】
上のタイプのモノマーから形成される適切なカチオン性ポリマーの例には、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩とのコポリマー(例えば、塩化塩)(この工業において、Cosmetic、Toiletry、and Fragrance Associaton、「CTFA」によりPolyquaternium−16と呼ばれる);1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(この工業において、CTFAによりPolyquaternium−11と呼ばれる);例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、アクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムとのコポリマー(この工業において、CTFAによりPolyquaternium−6およびPolyquaternium−7とそれぞれ呼ばれる)を含むカチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー;塩化ジメチルジアリルアンモニウムおよびアクリルアミドとアクリル酸とのターポリマー(この工業において、CTFAによりPolyquaternium39と呼ばれる)、および塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムおよびメチルアクリレートとアクリル酸とのターポリマー(この工業において、CTFAによりPolyquaternium47と呼ばれる)がある。
【0042】
上のタイプのモノマーから形成される好ましいカチオン性ポリマーは、カチオン性アミンまたは第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーが、次式:
【0043】
【化4】

[式中、Tは、−O−または好ましくは−C(O)−、Rは、HまたはCHおよびRは:
【0044】
【化5】

(式中、nは、1〜8、好ましくは1〜4の整数であり、R、R、およびRのそれぞれは、独立に水素または1〜4個の、好ましくは1〜2個の炭素原子を有する短鎖アルキルであり、Xは、対イオンである。R、R、およびRに結合した窒素は、プロトン化されたアミン(第一級、第二級または第三級)であってよいが、好ましくはR、R、およびRのそれぞれがアルキル基である第四級アンモニウムである)]
に合致するポリマーである。
【0045】
上のタイプのモノマーから形成される最も好ましいカチオン性ポリマーは、塩化メタクリルアミドプロピルトリモニウムおよび/または塩化アクリルアミドプロピルトリモニウムから形成されたカチオン性ポリマー、およびこれらのモノマーとアクリルアミドのコポリマーである。これら材料の特定の例には、Rhone−Poulenc製、商標Polycare 133の下に入手可能な塩化ポリメタクリルアミドプロピルトリモニウム、およびCiba Specialty Chemicals製、商標SALCARE SC60下に入手可能な塩化アクリルアミドプロピルトリモニウム/アクリルアミドコポリマーが含まれる。後者はコンディショニング剤の特に効果的な沈殿助剤である。
カチオン性ポリマーは、一般に本発明の組成物中に組成物の総重量に対して、カチオン性ポリマーの0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.08〜0.5重量%のレベルにおいて存在する。
【0046】
任意の成分
場合によって、本発明の水性シャンプー組成物は、性能および/または消費者受容性を向上するために以下に記載するさらなる成分を含むことができる。
【0047】
共界面活性剤
組成物は、美的、物理的、洗浄またはマイルドさ特性を組成物に与えるために、共界面活性剤を含むことができる。
【0048】
共界面活性剤の好ましい例は、両性界面活性剤であり、これは、組成物の総重量に対して0.5〜約15重量%、好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは1.5〜5.5重量%の範囲の量において含むことができる。
【0049】
両性界面活性剤の例には、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルテイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンフォアセテート、アルキルアンフォプロピオネート、アルキルアンフォグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルテイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートが含まれ、ここで、アルキルおよびアシル基は、8〜19個の炭素原子を有する。一般に、本発明のシャンプーにおいて使用される両性および双性イオン性界面活性剤には、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびナトリウムココアンフォアセテートが含まれる。
【0050】
特に好ましい両性界面活性剤は、コカミドプロピルベタインである。
【0051】
コンディショニング剤
本発明のシャンプー組成物は、湿潤および乾燥コンディショニング効果を最大にするために1個または複数のコンディショニング剤を含むことが、とりわけ好ましい。
【0052】
好ましいコンディショニング剤は、乳化シリコーンである。
【0053】
適切な乳化シリコーンには、ポリジオルガノシロキサンなどのシリコーン、特にCTFA名称ジメチコーンを有するポリジメチルシロキサン、CTFA名称ジメチコノールを有するヒドロキシ末端基を有するポリジメチルシロキサン、およびCTFA名称アモジメチコーンを有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンから形成されたものが含まれる。
【0054】
乳化シリコーン小滴は、本発明の組成物中に、一般に0.01〜20マイクロメーター、より好ましくは0.2〜10マイクロメーターの範囲にあるSauter平均小滴直径(D)を有する。
【0055】
Sauter平均小滴直径(D)を求める適切な方法は、Malvern Mastersizerなどの測定器を使用してレーザー光散乱によるものである。
【0056】
本発明の組成物中に使用する適切な乳化シリコーンは、Dow CorningおよびGE Siliconesなどのシリコーンの供給者から、予備形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。このような予備形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、加工およびシリコーン粒子サイズの制御を容易にするために好ましい。一般に、このような予備形成されたシリコーンエマルジョンは、さらに適切な乳化剤を含み、乳化重合などの化学的乳化プロセスによって、または高せん断ミキサーを使用して機械的に乳化することによって調製することができる。0.15マイクロメーター未満のSauter平均小滴直径(D)を有する予備形成されたシリコーンエマルジョンは、一般にミクロエマルジョンと名づける。
【0057】
適切な予備形成されたシリコーンエマルジョンの例には、全てDow Corningから入手可能なエマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788およびミクロエマルジョンDC2−1865とDC2−1870が含まれる。これらは、全てジメチコノールのエマルジョン/ミクロエマルジョンである。また、DC939(Dow Corning製)およびSME253(GEシリコーン製)などのアモジメチコーンエマルジョンが、適切である。
【0058】
また、高分子量を有する表面活性ブロックコポリマーのある種のタイプが、例えばWO03/094874に記載されているように、シリコーンエマルジョン小滴とブレンドされているシリコーンエマルジョンも適する。このような材料においてシリコーンエマルジョン小滴は、上に記載したものなどのポリジオルガノシロキサンから好ましくは形成される。表面活性ブロックコポリマーの1つの好ましい形態は、以下の式による:
【0059】
【化6】

[式中、Xの平均値は、4以上であり、Yの平均値は、25以上である。]。
【0060】
表面活性ブロックコポリマーの他の好ましい形態は、以下の式による:
【0061】
【化7】

[式中、aの平均値は、2以上であり、bの平均値は、6以上である。]。
【0062】
上記のシリコーンエマルジョンの任意の混合物も使用することができる。
【0063】
一般に、シリコーンは、本発明の組成物中に組成物の総重量に対してシリコーンの総重量%で0.05〜10%、好ましくは0.05〜5%、より好ましくは0.05〜2%レベルにおいて存在する。
【0064】
また、本発明による組成物は、分散された、非揮発性水不溶性非シリコーン油性コンディショニング剤を含むことができる。
【0065】
油性コンディショニング剤は、油性または脂肪質の材料、およびこれらの混合物から適切に選択することができる。
【0066】
適切な油性または脂肪質の材料は、炭化水素油、脂肪質エステルおよびこれらの混合物から選択される。
【0067】
油性または脂肪質の材料は、シャンプーまたはコンディショナー組成物において組成物の0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは約0.5〜3重量%のレベルにおいて適切に存在する。
【0068】
任意の上記コンディショニング剤の混合物もまた使用することができる。
【0069】
懸濁剤
好ましくは本発明の水性シャンプー組成物は、とりわけシャンプーが乳化シリコーンなどの上に記載したコンディショニング剤を組み込んでいる場合には、シャンプーの物理的安定性を最適化するために懸濁剤を含む。
【0070】
適切な懸濁剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、疎水性モノマーとアクリル酸のコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルの架橋コポリマー、ヘテロポリサッカライドガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、望ましくはエチレングリコールステアレート、16〜22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびこれらの混合物から選択される。エチレングリコールステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは、組成物に真珠箔様光沢を与えるので好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488、またはCarbopol 493として商業的に入手可能である。アクリル酸の架橋ポリマーは、Carbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941、およびCarbopol 980として商業的に入手可能である。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルの適切なコポリマーの例は、Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Goodrichから入手可能である。アクリル酸とアクリレートエステルの適切な架橋ポリマーは、Pemulen TR1またはPemulen TR2である。適切なヘテロポリサッカライドガムは、例えばKelzan muとして入手可能なキサンタンガムである。
【0071】
任意の上の懸濁剤の混合物を使用することができる。
【0072】
アクリル酸の架橋ポリマーが、好ましい。
【0073】
懸濁剤は、一般に本発明のシャンプー組成物中に、組成物の総重量に対して懸濁剤の総重量%で、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは約0.9〜4重量%のレベルにおいて存在する。
【0074】
他の任意の成分
本発明の水性シャンプー組成物は、性能および/または消費者の受容性を向上するために他の成分を含むことができる。このような成分には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤、真珠箔様光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、防腐剤、および植物性薬品、果物抽出物、糖誘導体およびアミノ酸などの天然の髪の栄養素が含まれる。
【0075】
使用方法
本発明の組成物は、滑らかさ、柔軟性、扱い易さ、表皮保全および光沢などの髪の線維表面特性を改善しながら洗浄を施すために、主に人体の髪および/または頭皮への、リンスオフ組成物の局所的使用を意図するものである。本発明によって提供される組成物は、水性組成物であって、これを髪の中へマッサージしてから髪を乾燥する前にきれいな水でリンスすることによって使用される。場合によって、リンス後および乾燥前に、別のコンディショニング配合を使用することができるが、これは、本発明の組成物は髪に対して洗浄およびコンディショニングの両方を提供することを意図しているので、必要でない場合がある。
【0076】
本発明を、さらに、以下の限定はしない実施例を参照して例示する。ここで、他に指示がない限り、全ての百分率は、総重量に対する重量による。
【0077】
(実施例)
(実施例1および実施例2、および比較例AおよびB)
12人の独立した観察者の一団を採用し、「曳糸性」に対して一連の4種のシャンプーの評価を、各個人に依頼した。実施例1および実施例2として示したシャンプーは、各々本発明によるシャンプーであり、比較例AおよびBとして示したシャンプーは、各々本発明によるシャンプーではない。
【0078】
パネリストに、シャンプーを格付けするように依頼した(最高ランク=最も高い「曳糸性」、最低ランク=最も低い「曳糸性」)。それぞれの生成物に対する平均ランクを計算し、これらの平均値を、このデータに一次変換を施すことによって「相対曳糸性」評点に変換した。この変換は、0と1の間の目盛上にデータを描き、ここで、0の評点は、最低の想定される評点(すなわち、全てのパネリストが、この生成物を最も少ない「曳糸性」であると採点した)および1の評点は、最高の想定される評点(すなわち、全てのパネリストが、その生成物を最も高い「曳糸性」であると採点した)を示す。
【0079】
表1は、4種のシャンプーに対する相対曳糸性評点を含む。
【0080】
【表1】

【0081】
比較例A対実施例1、および比較例B対実施例2の相対曳糸性評点を比較することによって、本発明によるシャンプーは、同一のカチオン性ポリマーを含む、本発明によらない対応するシャンプーよりも、著しく「曳糸性」が少ないことが明らかである。
【0082】
(実施例3〜5)
本発明による一連の3種のシャンプーを、コンディショニング剤として乳化シリコーン、および種々の電荷密度および分子量を有する異なるカチオン性ポリマーを組み込んで調製した。それぞれのシャンプーからの髪の上へのシリコーンの析出を評価した。結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
表2は、SALCARE SC60などの高分子量、高電荷密度カチオン性ポリマーの使用が、シリコーンの析出に対して、したがって、コンディショニング効果の供給に対して非常に有利であることを示す。
【0085】
しかし、表1に示すように、SALCARE SC60を含む本発明によらない(比較例B)シャンプーは、著しく「曳糸性」である。本発明(実施例2)によるSALCARE SC60を含むシャンプーは、比較例Bなどのシャンプーよりもはるかに曳糸性がない。
【0086】
さらに、実施例2(SALCARE SC60を含む本発明による)と比較例A(JAGUAR C13Sを含む本発明によらない)の間の曳糸性の差は、著しくない。
【0087】
本発明は、生成物曳糸性の著しい増大なしに、著しく増大したレベルのコンディショニングの供給を可能にすることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5未満である第1のアニオン性界面活性剤;
(ii) 分子の極性(親水性)部分と非極性(疎水性)部分との間の分子量の比が、1.5を超える第2のアニオン性界面活性剤;
(iii) 少なくとも100,000ダルトンの分子量および少なくとも0.5meq/gのカチオン電荷密度を有するカチオン性ポリマーを(i):(ii)の重量比、3:1から1:3で混合して含む水性シャンプー組成物。
【請求項2】
第1のアニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ソジウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1から3である)、ラウリル硫酸アンモニウムおよびアンモニウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1から3である)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第1のアニオン性界面活性剤が、ソジウム・ラウリル・エーテル・サルフェート・(n)EO(ここで、nは、1である)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第2のアニオン性界面活性剤が、一般式:
【化1】

[式中、Rは、10から22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケニル基であり、Xは、エトキシル化の平均度合いを示す数であり、適切には0から5、好ましくは0から4、最も好ましくは2から3.5の範囲であってよく、MおよびM′は、互いに同一または異なっていることができる一価カチオンである。]
を有するスルホスクシネートアニオン性界面活性剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
第2のアニオン性界面活性剤が、C10〜C14スルホスクシネートまたはC10〜C14エトキシ(1〜5)スルホスクシネート、好ましくはラウレス−3スルホスクシネートである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
第1のアニオン性界面活性剤と第2のアニオン性界面活性剤の重量比が、2:1から1:2の範囲であり、好ましくは約1:1である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
カチオン性ポリマーの重量平均(M)分子量が、300,000と2Mダルトンの間、より好ましくは750,000と1.5Mダルトンの間にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
カチオン性ポリマーが、少なくとも約0.9meq/g、より好ましくは少なくとも約1.6meq/g、最も好ましくは少なくとも約1.8meq/gのカチオン電荷密度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
カチオン性ポリマーが、約7meq/g未満、より好ましくは約5meq/g未満、最も好ましくは約3.0meq/g未満のカチオン電荷密度を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
カチオン性ポリマーが、塩化メタクリルアミドプロピルトリモニウムおよび/または塩化アクリルアミドプロピルトリモニウムから形成されるカチオン性ポリマーである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
カチオン性ポリマーが、塩化メタクリルアミドプロピルトリモニウムおよび/または塩化アクリルアミドプロピルトリモニウムとアクリルアミドとのコポリマーである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総重量に対して、0.5から約15重量%、好ましくは1から10重量%、最も好ましくは1.5から5.5重量%の範囲の量において両性界面活性剤を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
両性界面活性剤が、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ナトリウムココアンフォアセテート、および好ましくはコカミドプロピルベタインから選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
乳化シリコーン、分散された、非揮発性、水不溶性非シリコーン油性コンディショニング剤、およびこれらの混合物から選択されたコンディショニング剤を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物の総重量に対して、シリコーンの総重量が0.05から10%、好ましくは0.05から5%、より好ましくは0.5から2%のレベルにおいて乳化シリコーンを含む、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−521860(P2008−521860A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543782(P2007−543782)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012862
【国際公開番号】WO2006/058755
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】