説明

カチオン性活性剤の経皮送達のための組成物

本発明は、少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩の経皮送達、特にイオン泳動性経皮送達のための組成物であって、前記組成物が、前記少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、少なくとも1種のポリアミンまたは/およびポリアミン塩、水または水性溶媒混合物、ならびに任意に1種または2種以上の添加剤を含む、前記組成物に関する。本発明はさらに、経皮パッチの、またはイオン泳動性経皮パッチの構成成分としての前記組成物の使用、およびカチオン性活性剤を経皮的に、またはイオン泳動的に投与するための方法における前記組成物の使用、および活性剤含有イオン泳動性組成物のインビトロでの皮膚浸透特性を決定するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、カチオン性活性剤の経皮送達に関する。より詳細には、本発明は、カチオン性活性剤の経皮送達に、特にイオン泳動性経皮送達に適する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
非経口投与である経皮経路は、他の経路の投与にまさる多くの利点を提供する。皮膚を通して薬剤を投与するための方法およびデバイスは、医薬品の分野において十分知られている。典型的には、経皮投与を、受動的な経皮システム(例えば経皮治療システム、TTS)を用いることによって行い、それは、拡散的プロセスによって所定の速度にて皮膚を通して薬物物質を送達する。したがって、経皮薬物送達は、特定の種類の薬物物質については極めて非効率的である。特に、イオン化製剤はしばしば、治療的に有効な速度にて皮膚を通して受動的に浸透することが不可能である。
【0003】
イオン泳動のプロセスは、最初はLeDucによって1908年に、ならびに尚早期にはUS 222,276(1879)およびUS 486,902(1892)に記載された。それ以来、イオン泳動は、イオン的に帯電した治療薬物分子、例えばピロカルピン、リドカイン、デキサメタゾン、リドカインおよびフェンタニルの送達において商業的使用が見出された。
【0004】
一般的に、イオン泳動は、電流を印加することにより、外部エネルギーを提供して、おそらく皮膚の膜を通しての薬物透過性を増大させることによって、薬物イオンが皮膚を通過するのを可能にするかまたは増強させることができるという基本的原理に依存する送達方法である。正の電荷を有するイオン(例えばカチオン性活性剤)が、イオン泳動システムのアノード中またはその下に配置される場合には、これらのイオンは次に−電流を印加することにより−アノードから離れ、電界の方向に従って、隣接する皮膚領域上に配置されたカソードの方向に強制的に移動させられる。このプロセスの間、カチオン性薬物の皮膚を通しての輸送は、増強されるかまたは促進される。イオン泳動を、活性な医薬成分の種々の形態と共に、最も好ましくは電荷を担持するものと共に用いてもよく、それはしたがって電界内の障壁(例えば皮膚)を直接横断する。
【0005】
上記の拡散により制御された経皮送達とは異なるイオン泳動において、デバイスの皮膚接触面積およびデバイス内の活性成分濃度は、活性成分の皮膚フラックスのレベルに関して、より重要でない。皮膚を通しての活性成分の送達は、活性成分を皮膚中に押し込むことができる印加電流に大いに依存する。
【0006】
典型的なイオン泳動性薬物送達システムは、患者の別個の−好ましくは隣接した−皮膚領域に付着させるべきアノードおよびカソードを含む電解的電気システムを含み、各々の電極は、ワイヤーによって離れた電力供給、一般的にはマイクロプロセッサーで制御された電気機器に接続されている。そのような種類のそのようなデバイスは公表されており、それには、効率的な構造を有するシステム(例えばUS 5,685,837またはUS 6,745,071)およびより高性能のシステムが含まれ、当該システムは、基本的に専門家に知られている。リドカインおよびフェンタニルについてのイオン泳動性経皮システムは、米国市場中に導入されている。
【0007】
薬物を適用するために、液体の、またはゲル状の水性製剤が、イオン泳動デバイス中にすでに組み込まれてきた(例えばUS 5,558,633)。しかし、そのようなデバイスにおいて、薬学的活性剤のイオン泳動的送達は、例えば「バックグラウンド」電解質の存在のために損なわれ得る(例えばLuzardo-Alvarez, A., et al., Proceedings of the International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials (2000), 第27版、159〜160頁を参照)。イオン泳動デバイスの構造に関して、「バックグラウンド」対イオンを寄与させない薬学的ゲルまたは液体が欠如している。
【0008】
さらに、特定のポリマー構造の不都合な特性のために、ポリマーをイオン泳動デバイスにおいて用いることにより、しばしば薬物送達の損なわれた定常性がもたらされる。アミノ基含有メタクリレートコポリマーおよびジカルボン酸またはトリカルボン酸を含む接着剤が、US 5,993,849において皮膚または経皮治療システムについて記載されたが、そのような混合物のイオン泳動組成物中での適合性は、この従来技術文献において認識されていなかった。
【0009】
種々の医薬活性物質は、これらの薬物を経口投与した場合に発生し得る副作用−例えば腎臓または肝臓機能の障害−を示す。したがって、これらの場合において、この投与の経路が前述の副作用を発生する傾向がより低いため、非経口投与が望ましい。他方、多くの疾患または病徴の処置のために、作用の迅速な発現をもたらして、即座の治療的効果、例えば疼痛軽減を得ることは、極めて重要である。したがって、経皮治療システム(TTS)を用いることによる経皮投与は、疑いなくそのような状況にある。その理由は、これらの投与形態が、作用の遅い発現および顕著な長さの(1時間またはそれより長い)「遅延時間」をもたらす受動的拡散に依存するからである。さらに、カチオン性活性物質の場合において、受動的拡散による経皮輸送は一般的に極めて非効率的である。したがって、治療的有効量のそのような活性物質を迅速に送達することができる慣用のTTSは、実現可能ではない。
【0010】
しかし、イオン泳動は、特に、副作用、例えば皮膚刺激、紅斑、灼熱感またはさらに皮膚壊死を発生する特有の危険を有し、それは特に、電流強度が増大した場合またはイオン泳動を長期間にわたり継続した場合である。他方、電流強度を増大させることは、高用量の治療剤を投与せしめるために所望される場合がある。その理由は、イオン泳動的に輸送される薬物イオンの量が、印加電流の量および時間に正比例するからである。一般的に、電流の強度は、灼熱感または皮膚火傷を回避するために600μA/cmを超えてはならない。出力電圧は一般的に、50kΩまたはそれより高く達し得る2本の電極と中間の皮膚領域との間の抵抗に依存して、0.5〜10Vの範囲内にある。
【0011】
イオン泳動による経皮薬物輸送は、種々のパラメーター、例えば電解質の濃度、イオン強度、電極材料の種類、組成および粘度、イオン泳動の継続時間、皮膚抵抗または電極の面積規模によって影響され得る複雑なプロセスである。一般的に、これらのパラメーターのイオン泳動プロセスに対する種々の影響については、ほとんど知られていない。
【0012】
さらに、厳密な方鉛鉱の要件を満たすために、経皮イオン泳動デバイスは、所定のイオン強度を有する所定の電解質濃度を含んで、活性物質が皮膚中に所望のかつ一定の速度にて輸送されるのを確実にし、経皮投与された用量が安全かつ治療的に有効であることを確実にしなければならない。
【0013】
これらの要件を満たすために、イオン泳動デバイスは通常、溶解した活性物質(薬物物質)ならびに追加の電解質(例えばNaClなどの塩、および緩衝物質)の混合物を含む電極リザーバーを備える。したがって、十分に高い電解質濃度およびイオン強度を得ることは、少なくとも原則的に可能である。しかし、それらの小さい規模および可動性のために、これらのイオン性添加物は、比較的迅速に電極区画から皮膚まで輸送される。結果として、電極区画は電解質が枯渇し、イオン強度は低下する。これは、最終的に電界が崩壊する原因となり、それにより、イオン泳動デバイスが信頼不能になり、制御するのが困難になる。患者が重篤な安全性の問題にさらされるため、これは、高い比活性または狭い治療係数を有する活性物質(即ち薬物物質)の場合において特に重要である。
【0014】
したがって、上記の観点において、本発明の1つの主要な目的は、少なくとも1種のカチオン性活性剤の経皮送達、特にイオン泳動性経皮送達に適する組成物を提供することにある。より詳細には、本発明の目的は、カチオン性活性剤の有効であり、迅速に作用発現するおよび安全な経皮イオン泳動性送達を可能にする組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、少なくとも1種のカチオン性活性剤の、経皮送達において用いるのに、特にイオン泳動性経皮送達において用いるのに適し、同時に前述の欠点、特に電解質の枯渇および電界強度の付随する低下を低減するかまたは解消する組成物を提供することにある。
【発明の概要】
【0016】
上記の目的の観点において、本発明は、少なくとも1種のカチオン性活性剤の経皮送達のための、特にイオン泳動性経皮送達のための改善された組成物を提供する。
【0017】
本発明は、ポリアミンまたはポリアミン塩を、特に水性の(液体の、またはゲル状の)皮膚に接触する組成物の形態であるイオン泳動性リザーバー組成物中に導入した結果、カチオン性の治療的に活性な剤のイオン泳動性経皮送達において、活性物質送達のいかなる顕著な変動もしくは低下をも発生せずに、または実質的な皮膚刺激を発生せずに、増強された効率がもたらされるという、驚くべき観察に、少なくとも部分的に、基づく。
【0018】
本発明の組成物をイオン泳動性パッチのアノードの薬物リザーバーとして用いることで、電流を増大させると同時に上記で討議した欠点を回避することによってイオン泳動性経皮送達の効率を改善することができる。例えば、本発明のポリアミン含有組成物は、4mA/cmまでの電流を用いることを、そのような処置を受けている対象に顕著な紅斑を発生させずに可能にする。
【0019】
1つの態様において、本発明は、少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩の経皮送達のための組成物であって、以下のもの:
・前記少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、
・少なくとも1種のポリアミンまたは/およびポリアミン塩、
・水または水性溶媒混合物;ならびに
・任意に1種または2種以上の添加剤
を含む、前記組成物に関する。
【0020】
他の態様において、前述の組成物は、ヒドロゲルである。他の態様において、前述の水性組成物またはヒドロゲルは、吸収材料に吸収される。
他の態様において、ポリアミン含有組成物はさらに、脂肪酸およびジカルボン酸を含む群から選択される少なくとも1種の酸を含む。
他の態様において、当該組成物は、皮膚接着特性を有する接着性の、好ましくは自己接着性の組成物である。
【0021】
他の態様において、当該組成物は、アルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、0.5〜10重量%の少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、0.02〜0.5重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、1.0〜5.0重量%のラウリン酸および0.05〜0.75重量%のアジピン酸を含み、前記組成物は、少なくとも80重量%の含水量を有する。
【0022】
他の態様において、当該組成物は、4〜7重量%のアルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、3〜5重量%の少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、1〜5重量%のラウリン酸、0.05〜0.75重量%のアジピン酸、0.05〜0.75重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、84〜88重量%の水を含む。
【0023】
本発明はさらに、前記組成物の、経皮パッチの構成成分としての、またはイオン泳動性経皮パッチの構成成分としての使用を包含する。
本発明はさらに、前記組成物の、カチオン性活性剤をそのような活性剤での処置を必要とする対象に経皮的に、またはイオン泳動的に投与するための方法における使用を包含する。
他の態様を、以下の「詳細な説明」に記載する。
【0024】
本発明の組成物は一般的に、カチオン性構造を有する治療的に活性な剤、特にアミノまたはイミノ基を担持する活性剤と関連して有用である。したがって、本発明は、経皮(特にイオン泳動性方法によって)投与される鎮痛薬、例えばフェンタニルもしくはモルヒネ、制吐薬、例えばグラニセトロン、または中枢神経系に対して作用する他の薬物化合物、例えばリバスチグミンもしくはガランタミンに有用である。
【0025】
活性物質の経皮送達のために用いる場合には、本発明の組成物は、マトリックスまたはリザーバーとして作用し、そこから前記少なくとも1種のカチオン性活性剤を、受動的にまたはイオン泳動によって皮膚に放出したあと、皮膚に浸透させる。
【0026】
詳細な説明
本発明は、少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩の経皮、特にイオン泳動性送達に適する組成物に関する。
【0027】
用語「カチオン性活性剤」は、一般的に正に帯電したイオン(カチオン)として存在するまたは水性媒体中で正の電荷を形成することができる活性剤に関する。例えば、多くの生物学的に活性な剤は、陽イオンに容易に変換可能であるまたは水性媒体中で正に帯電したイオンおよび対イオンに解離することができる官能基、例えば塩基性活性剤の可溶性塩を有する。
【0028】
用語「活性剤」は特に、ヒトまたは動物に投与した場合に有益な効果を有する治療的に活性な剤、薬理学的に活性な剤および他の剤を含む。一般的に、用語「活性剤」は、薬物物質または医薬活性剤を含む。用語「活性剤」はさらに、獣医学において用いるための剤を含む。
【0029】
本発明の組成物は、水または水性溶媒混合物を含む。好ましくは、水または溶媒混合物の比率は、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%、より好ましくは40重量%である。他の態様において、含水量または前記溶媒混合物の比率は、80〜99重量%の範囲内にある。
【0030】
用語「水性溶媒混合物」は、一般的に、水および一般的に極性の水混和性溶媒、例えばアルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、グリセロール)から選択される少なくとも1種の他の溶媒を含有する液体混合物を含む。
【0031】
用語「ポリアミン」は特に、少なくとも2つの正に帯電した基、好ましくは第一アミノ基、第二アミノ基および第三アミノ基を含む群から選択されるアミノ基を有するカチオン性有機化合物を含む。本発明はまた、例えばピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基を含むポリアミンを含む。
【0032】
一般的に、本発明において用いるポリアミンは、好ましくは、水または水性溶媒に溶解した際に2つまたは3つ以上の正電荷を含むポリマーまたは巨大分子である高分子電解質を含む。それらの大きさのために組成物中に固定されるまたは低減された可動性のみを有するポリアミン化合物上に、正電荷が固定されるため、これらのイオン性添加剤の皮膚への、または組成物をイオン泳動性投与方法において用いる場合には対電極への輸送が実質的に防止される。したがって、イオン強度の低下を防止することができ、イオン泳動プロセスを長期間にわたり維持し、同時に有効な経皮吸収を維持することができる。
【0033】
本発明の1つの態様において、ポリアミン(1種または2種以上)は、好ましくはアクリレートコポリマー、メタクリレートコポリマー、アルキル化アクリレートコポリマーおよびアルキル化メタクリレートコポリマーを含む群から選択される。これらのコポリマーは、上記で定義したように2つまたは3つ以上のアミノ基を含む。
【0034】
アルキル基は、好ましくはC〜C12アルキル基(直鎖状または分枝状)、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどから選択される。アルキル化コポリマーはまた、水酸化されたアルキル基、好ましくはC〜C12ヒドロキシル化アルキル基、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルなどを含んでいてもよい。
ポリアミンに関して、好ましいアミノ基は、有機化合物内に、好ましくはポリマー有機化合物内に存在する「ジアミノエチル」部分である。
【0035】
より好ましいポリアミンは、例えばメタクリレートコポリマー、例えばブチル化または/およびメチル化メタクリレート(1種または2種以上)とジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーを含むポリマーポリアミンである。好ましいコポリマーは、Pharmacopoea Europaea (Ph. Eur.)中に記載されている「塩基性のブチル化メタクリレートコポリマー」、USP/NF中に記載されている「アミノメタクリレートコポリマー」および"Japanese Pharmaceutical Excipients"中に記載されている「アミノアルキルメタクリレートコポリマーE」を含む。そのようなコポリマーは、商標Eudragit(登録商標)(かつてのDegussaである、Evonik Industriesから)、例えばEudragit(登録商標)RL 100、Eudragit(登録商標)RL PQ、Eudragit(登録商標)RS 100、Eudragit(登録商標)RS PQ、Eudragit(登録商標)E 100の下で商業的に入手できる。Eudragit(登録商標)E 100は、本発明の組成物において用いるべきポリアミン化合物として特に好ましい。EUDRAGIT(登録商標)E 100は、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートに基づくカチオン性コポリマーである。このポリマーの平均分子量は、約150,000である。
【0036】
一般的に、上記で定義した少なくとも2つのアミノ基を含むすべてのポリアミンを、それらが毒物学的に安全であって医薬製品において用いるのに適する場合には、本発明の組成物において用いてもよい。
【0037】
本発明の組成物を製造するのに有用なポリアミンをさらに、環状および大環状ポリアミン、例えばシクレン、アジリジンモノマーをベースとするポリアミン、例えばポリエチレンイミン、ならびにポリエチレンアミン、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、ならびにポリプロピレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンおよびポリグアニジンを含む群から選択してもよい。好ましくは、本発明のポリアミン化合物は、1500またはそれ以上の分子量を有する。
【0038】
他の態様において、本発明の組成物は、上記で定義したポリアミン化合物から選択される少なくとも2種の異なるポリアミン化合物の組み合わせを含む。
好ましくは、本発明の組成物に従って用いるべきポリアミン化合物は、ポリアミン塩、特に水溶性ポリアミン塩の形態で存在する。好適な塩は、上述のポリアミンを好適な酸、好ましくは有機酸と標準的な手順によって組み合わせるかまたは反応させることによって得ることができる。
【0039】
好ましくは、前記ポリアミン(1種もしくは2種以上)またはポリアミン塩(1種もしくは2種以上)の比率は、組成物の総重量に対して1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%、特に10〜18重量%の範囲内にある。他の態様において、組成物は、3.0〜10.0重量%または4.0〜9.0重量%または5.0〜8.0重量%または5.0〜6.0重量%、または約5.86%の上記のアルキル化メタクリレートコポリマー、例えばブチル化メタクリレートコポリマー、例えばEudragit(登録商標)E 100を含んでいてもよい。
【0040】
ポリアミン含有組成物中に包含されるべきカチオン性活性剤は、好ましくは以下の群のカチオン性活性剤の1種または2種以上から選択される:
・鎮痛薬、例えばフェンタニル、スフェンタニル、モルヒネ、モルヒネ誘導体、例えばコデインまたはヘロイン、ジヒドロコデイン、ヒドロモルホン、オキシコドン、ヒドロコドン、ペチジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、メサドン、トラマドール、チリジンを含むオピオイドアゴニスト;
・オピオイドアンタゴニスト、例えばナロキソン、ナルトレキソン;
【0041】
・混合オピエートアゴニスト/アンタゴニスト、例えばブプレノルフィン、ペンタゾシン、ナルブフィン;
・5−HTレセプターアンタゴニスト、例えばグラニセトロン、レリセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、メトクロプラミド、および抗ドーパミン作用薬、例えばドンペリドン、およびH1レセプターアンタゴニスト、例えばプロメタジンまたはメクロジン、およびムスカリンアンタゴニスト、例えばスコポラミンを含む制吐剤;
【0042】
・中枢神経系に対して作用する薬物化合物、例えばリバスチグミン、ガランタミン、タクリン、ドネペジル;およびプラミペキソール、エピネフリン、ドーパミン、ロピニロール、ニコチン、フルフェナジン、クロルプロマジン、ベンゾジアゼピン、モノアミン再取り込み阻害剤、例えばアミトリプチリン、抗うつ薬、例えばミアンセリン;
【0043】
・アルカロイド、例えばエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メチセルジドまたはリスリド、ベラドンナアルカロイド;
・ペプチド、特にペプチドホルモン類または血液凝固因子;
・カチオン性活性インドール化合物、例えばN−ジメチルトリプタミンまたはサイロシン;
・局所麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカイン、アルチカイン、プロカイン;
【0044】
・胃腸疾患治療剤、例えば塩化カルニチン、メトクロプラミド;
・骨格筋弛緩薬、例えば臭化パンクロニウム;
・抗生物質、例えばテトラサイクリン類、テトラサイクリンをベースとする製剤、カナマイシン、カナマイシンをベースとする製剤、ゲンタマイシン、ゲンタマイシンをベースとする製剤、キニーネ;
【0045】
・体重減少剤、例えばフェンフルラミンまたはエフェドリン;
・抗糖尿病薬、例えばメトホルミン;
・血小板凝集の阻害剤、例えばチクロピジンまたはクロピドグレル;
・抗不整脈薬、例えばキニジンまたはリドカイン;
【0046】
・心臓作用薬または心血管治療薬、例えばドーパミン、ノルエピネフリン、メトキサミン、エピネフリン、ベラパミル、ジルチアゼム、プロプラノロール、クロニジン、トラゾリン;
・交感神経作用薬、例えばサルブタモールまたはテルブタリン;
・抗ヒスタミン薬、例えばクレマスチン、セチリジンまたはクロルフェノキサミン。
【0047】
好ましい態様において、活性剤(1種または2種以上)は、カチオン性インドール化合物の群から、特にN−ジメチルトリプタミンおよびサイロシンを含むカチオン性インドール化合物の群から選択される;前記群はまた、前記カチオン性活性インドール化合物の薬学的に許容し得る塩を含む。
【0048】
一般的に、本発明の組成物は、カチオン性(アミン性)構造を有するすべての種類の活性剤化合物に有用である。
他の態様において、組成物は、オピオイド、他の中枢神経系(CNS)活性化合物およびカチオン性電荷を有するペプチドを含む群から選択される少なくとも1種の活性剤を含む。
【0049】
カチオン性活性剤(1種または2種以上)はまた、薬学的に許容し得る塩の形態で存在し得る。薬学的に許容し得る塩の例は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、リン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グルコン酸塩、メシレート、ラウリン酸塩、ドデシル酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ココノエート(coconoate)、ベヘネート(behinate)、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、エイコサペンタエン酸塩、エイコサヘキサエン酸塩、ドコサペンタエン酸塩、ドコサヘキサエン酸塩、エイコサノイド(eicosanid)などを含むが、それらには限定されない。
【0050】
他の態様において、アノード性リザーバー組成物は、0.1〜20重量%、または0.2〜10重量%、または2〜10重量%、または3〜5重量%、または0.1〜0.5重量%の前記カチオン性活性物質(1種もしくは2種以上)またはその塩(1種もしくは2種以上)を含む。
【0051】
本発明の組成物は、カチオン性活性剤と組み合わせて用いるのに特に適するが、これらの組成物を、同様に他のタイプの活性剤と組み合わせて用いることができる。したがって、本発明はまた、前記少なくとも1種のカチオン性活性剤を、中性の電荷を有する少なくとも1種の活性剤で、またはアニオン性活性剤で交換した組成物を包含する。さらに、本発明はまた、前記少なくとも1種のカチオン性活性剤を、中性の電荷を有する活性剤およびアニオン性活性剤を含む群から選択される少なくとも1種の他の活性剤と組み合わせて含む組成物を包含する。一般的に、本発明の組成物中に含まれるべき活性剤は、受動的拡散によって、または化学的促進剤で媒介される皮膚浸透によって、または特にイオン泳動性皮膚浸透によって皮膚に浸透することができる剤である。
【0052】
本発明の他の態様において、組成物はさらに、好ましくは脂肪酸およびジカルボン酸を含む群から選択される少なくとも1種の酸を含む。
しかし、他のタイプの有機酸、例えばヒドロキシアルカン酸から、またはトリカルボン酸から選択される酸もまた、用いてもよい。
【0053】
上記で討議したポリアミン(1種または2種以上)、例えばアミノ基含有ポリアクリレートコポリマーを好ましくは脂肪酸およびジカルボン酸の群から選択される1種または2種以上の酸と組み合わせることによって、対応するポリアミン塩が得られる。これらのポリアミン塩は一般的に水溶性であり、水に溶解することによってポリマー電解質を生成する。さらに、前記ポリアミン塩を含む本発明の組成物は、イオン泳動デバイスにおけるイオン性であり解離した活性剤のための担体またはリザーバーとして特に適することが見出された。
【0054】
さらに、驚くべきことに、ポリアミン(1種または2種以上)を1種または2種以上の前記酸と、水の存在下で混ぜ合わせることによって、イオン泳動システムにおけるリザーバー組成物として作用するのに特に有用であるヒドロゲルを容易に得ることができることが見出された。
【0055】
用語「脂肪酸」は特に、30個までのC原子を含む脂肪族末端を有する脂肪族モノカルボン酸を含み、当該酸は、直鎖状または分枝状、飽和または不飽和であり得る。好ましくは、C〜C14飽和脂肪酸を用いる。本発明において用いることができる脂肪酸は、例えばヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリル酸およびステアリン酸を含み;ラウリン酸が好ましい。
【0056】
用語「ジカルボン酸」は一般的に、2つのカルボン酸官能基で置換されている有機化合物を含み、当該化合物は、直鎖状、分枝状および環状化合物を含み、当該化合物は、飽和または不飽和であり得る。例えば、ジカルボン酸は、ジカルボン脂肪酸、特にC〜C10ジカルボン酸から選択され得る。脂肪族ジカルボン酸の例は、グルタル酸、アジピン酸およびピメリン酸を含み;アジピン酸が好ましい。
【0057】
他の態様において、組成物は、少なくとも2種の脂肪酸を含む組み合わせ、または少なくとも2種のジカルボン酸を含む組み合わせ、または少なくとも1種の脂肪酸および少なくとも1種のジカルボン酸を含む組み合わせを含んでいてもよい。
【0058】
一般的に、脂肪酸(1種もしくは2種以上)または/およびジカルボン酸(1種もしくは2種以上)の量を、ポリアミン(1種もしくは2種以上)、および/または前記組成物(1種もしくは2種以上)中に存在する他の構成成分を可溶化するのに少なくとも十分であるように調整して、所望の特性、特に半固体または固体のコンシステンシーおよび皮膚接着特性を有するヒドロゲル組成物を得る。
【0059】
好ましくは、組成物中の脂肪酸(1種もしくは2種以上)または/およびジカルボン酸(1種もしくは2種以上)の総量は、0.1〜15重量%の範囲内、特に0.5〜10重量%の範囲内にある。
他の態様において、前記脂肪酸(1種または2種以上)の濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7.0重量%である。他の態様において、前記ジカルボン酸(1種または2種以上)の濃度は、0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%である。
1つの態様において、組成物は、アジピン酸を0.1〜2.0重量%、または0.15〜0.5重量%、または0.20〜0.40重量%の濃度において含む。
【0060】
他の態様において、ラウリン酸を、前記脂肪酸として選択し、この脂肪酸は、全組成物に対して0.5重量%〜7.0重量%、もしくは0.1〜10重量%、もしくは0.2〜9.5重量%、もしくは0.3〜9.0重量%、もしくは0.4〜8.5重量%、もしくは0.5〜8.0重量%、もしくは1.0〜7.0重量%、もしくは1.5〜6.0重量%、もしくは2.0〜5.0重量%、もしくは3.0〜4.0重量%の濃度にて、または約3.40重量%の濃度にて存在する。
【0061】
好ましくは、組成物を、少なくとも1種のゲル生成ポリマー(例えば上記のポリアミン塩、および/または医薬製剤の分野において一般的に知られている他のゲル生成ポリマー)をゲル生成量の水または水性溶媒混合物と共に含むヒドロゲルとして処方する。
【0062】
好ましくは、水およびゲル生成構成成分の相対的量を、固体または半固体のコンシステンシーを有するヒドロゲルが得られるように調整する。しかし、本発明の処方物をまた、液体として処方してもよい。
他の態様において、ヒドロゲル組成物は、追加のゲル生成ポリマーを含んでいてもよく、それは、例えばポリアクリレートまたはセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択され得る。
【0063】
この場合において、イオン強度を、ヒドロゲル内の水の比率を変化させることによって調節することができるため、ヒドロゲル処方物をイオン泳動において用いることは、特に有利である。したがって、イオン強度を容易に調整して、各々の特定の場合においてイオン泳動プロセスの効率を最適化することができる。
【0064】
したがって、本発明の他の態様において、組成物は、前記カチオン性活性剤(1種もしくは2種以上)またはその塩(1種もしくは2種以上)、前記ポリアミン(1種もしくは2種以上)またはポリアミン塩(1種もしくは2種以上)、水、および任意に前記1種または2種以上の添加剤を含むヒドロゲルである。好ましくは、前記ヒドロゲルはさらに、上記で記載したように脂肪酸およびジカルボン酸から選択される1種または2種以上の添加剤を含む。
【0065】
他の態様において、組成物は、ヒドロゲルまたは液体の水性組成物であり、それは、アルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、0.5〜10重量%の少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、0.02〜0.5重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、1.0〜5.0重量%のラウリン酸および0.05〜0.75重量%のアジピン酸を含み、前記ヒドロゲル組成物は、少なくとも80重量%の含水量を有する。
【0066】
他の態様において、組成物は、ヒドロゲルまたは液体の水性組成物であり、それは、4〜7重量%のアルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、3〜5重量%の少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、1〜5重量%のラウリン酸、0.05〜0.75重量%のアジピン酸、0.05〜0.75重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、84〜88重量%の水を含む。
【0067】
他の態様において、組成物は、4.00重量%のカチオン性活性剤(1種または2種以上)、86.37重量%の水、5.86重量%のアルキル化メタクリレートコポリマー(=ポリアミン)、3.40重量%のラウリン酸、0.27重量%のアジピン酸および0.10重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチルを含み、ここで各々の特定した値は、示した平均値に対して±10%で変化し得る。
【0068】
上記のように、本発明の組成物を、水性組成物として、特にヒドロゲル組成物として処方する。他の態様において、前記水性組成物は、3〜8、好ましくは5.5〜7、または最も好ましくは約6のpHを有する。
【0069】
一般的に、前記水含有組成物におけるpHを、組成物を皮膚に適用した場合に(例えば経皮またはイオン泳動的投与の間)、それらが皮膚のpHに実質的に影響しないように調整および維持するのが好ましい。他の態様において、皮膚のpHは、約±4.0もしくはそれ以下、約±3.5もしくはそれ以下、約±3.0もしくはそれ以下、約±2.5もしくはそれ以下、約±2.0もしくはそれ以下、約±1.5もしくはそれ以下、約±1.0もしくはそれ以下または約±0.5もしくはそれ以下で変化する。pH調整に適する物質および緩衝液は、当業者に知られている。
【0070】
本発明の組成物は、任意に1種または2種以上のさらなる添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤は、溶解度エンハンサー、皮膚浸透エンハンサー、防腐剤および抗菌剤を含む群から選択される添加剤を含むが、それらには限定されない。
【0071】
この関連において、用語「溶解度エンハンサー」は、一般的に組成物内のカチオン性活性剤の可溶性を増大させることができる化合物に関する。これを、組成物中に存在する前記カチオン性活性剤と他の構成成分との間の可能な相互作用を調節することによって、さらに好適な賦形剤を包含させることによって、達成することができる。
【0072】
あるいはまた、活性剤の可溶性を、その結晶変態を変化させることによって達成することができる。溶解度エンハンサーの例は、水;ジオール、例えばプロピレングリコールおよびグリセロール;モノアルコール、例えばエタノール、プロパノールおよび高級アルコール;ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N置換アルキル−アザシクロアルキル−2−オンを含むが、これには限定されない。上記ですでに記載したように、脂肪酸およびジカルボン酸の群から選択される化合物は、ポリアミン(1種または2種以上)の可溶性を増強するために特に有効である。
【0073】
さらに、用語「皮膚浸透エンハンサー」は、組成物中に含まれる活性剤についての、特にカチオン性活性剤についての皮膚の浸透性を増大させることができる化合物を特に含む。皮膚浸透性のこの増大により、活性剤(1種または2種以上)が皮膚に浸透し、血液循環に進入する速度もまた、増大する。前記皮膚浸透性エンハンサーを用いることによってもたらされる増強された浸透性を、動物のまたはヒトの皮膚を通しての活性剤拡散の速度を、当該分野において一般的に知られている拡散セル装置を用いて測定することによってアッセイし、確認することができる。
【0074】
浸透エンハンサーの例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、デシルメチルスルホキシド(C10 MSO)、ポリエチレングリコールモノラウレート(PEGML)、プロピレングリコール(PG)、プロピレングリコールモノラウレート(PGML)、グリセロールモノラウレート(GML)、レシチン、1置換アルキル−アザシクロアルキル−2−オン、特に1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アルコールなどを含むが、それらには限定されない。浸透性エンハンサーをまた、植物油、例えばサフラワー油、綿実油またはコーンオイルから選択してもよい。2種または3種以上の異なる浸透エンハンサーを含む組み合わせもまた、用いてもよい。
【0075】
さらに、用語「抗菌剤」は、一般的に、医薬製剤において、特に本発明の組成物において微生物の成長を防止することができる剤を含む。好適な抗菌剤の例は、クロルヘキシジンの塩、例えばヨードプロピニルブチルカルバメート、ジアゾリジニル尿素、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンアセテート、クロルヘキシジンイセチオネート、クロルヘキシジン塩酸塩を含むが、それらには限定されない。他のカチオン性抗菌剤、例えばベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、トリクロカーボン(triclocarbon)、ポリヘキサメチレンビグアナイド、セチルピリジニウム塩化物、メチルベンゼトニウム塩化物もまた、用いてもよい。
【0076】
他の抗菌剤は、ハロゲン化フェノール化合物、例えば2,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、パラクロロメタキシレノール(PCMX);パラヒドロキシ安息香酸メチル;および短鎖アルコール、例えばエタノール、プロパノールなどを含むが、それらには限定されない。
好ましくは、前記抗菌剤(1種または2種以上)の合計濃度は、それが含まれる組成物の総重量に対して0.01〜2重量%の範囲内にある。
【0077】
他の態様において、組成物は、0.01〜1.0重量%、または0.05〜0.5重量%、または0.07〜0.4重量%、または0.08〜0.3重量%、または0.09〜0.2重量%、または約0.10重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチルを含む。
【0078】
本発明はまた、前記組成物がさらに、一般的に液体水性組成物またはヒドロゲル組成物である前記組成物を浸したかまたは含浸させた吸着剤を含む態様を含む。前記水またはヒドロゲル組成物(1種もしくは2種以上)を浸したかまたは含浸させた吸着性材料は、前記組成物を所定位置に保持し、同時に低粘度構造を維持する役割を果たす。好適な吸着性材料を、繊維状パッド、布地、スポンジ、薄い織物、不織材料または織った材料、フェルトまたはフェルト様材料などから選択してもよい。
【0079】
他の態様において、本発明の組成物は、接着特性を有して、組成物が経皮薬剤投与の全期間の間、適用の部位における皮膚との直接的であり完全な接触に維持されるのが確実になる。接着性を、1種または2種以上の接着性ポリマーを前記組成物中に包含させることによって得ることができる。この目的のために適する接着性ポリマーは、一般的に当業者に知られている。好ましくは、接着特性を有するポリアミンまたはポリアミン塩を、前記接着性ポリマー(1種または2種以上)として用いる。
【0080】
好ましくは、組成物は自己接着性である。組成物を自己接着性とするために、それらはさらに、粘着付与剤の群から選択される1種または2種以上の添加剤をさらに含んでいてもよく、当該群は、炭化水素樹脂、ロジン誘導体、グリコール(例えばグリセロール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)およびコハク酸の群を含むが、これには限定されない。
【0081】
本発明はさらに、上記の態様の2つもしくは3つ以上を組み合わせることから、または上記の説明を通じて述べた1つもしくは2つ以上の個々の特徴を本発明の上記の態様のいずれか1つと組み合わせることから得られ得る、本発明のすべての態様に関する。
【0082】
当業者は、常習的な実験のみを用いて、本明細書中に記載した特定の手順と等価なものを多数認識するかまたは確認することができる。そのような等価なものは、本発明の範囲内にあり、以下の特許請求の範囲によって包含されると考慮される。本出願を通じて引用したすべての参考文献、特許および特許出願の内容を、参照によって本明細書中に包含する。当該特許、出願および他の文献の適切な構成要素、プロセスおよび方法は、本発明およびその態様のために選択され得る。
【0083】
一般的に、本発明の組成物を、慣用の方法によって製造することができる。概して、本発明の組成物は、種々の成分(すなわち、カチオン性活性物質、ポリアミン、添加剤)を水または水性溶媒混合物に溶解するかまたは分散させることによって得られる。次に、得られた混合物を、平坦な表面上に塗布し、または型中に注入するかもしくは押し出し、次に凝固させて、所望の形状を有するヒドロゲル組成物を得てもよい。これらのプロセス段階の間、または凝固の後、組成物を、所要に応じて追加の構成成分と混ぜ合わせて、最終製品、一般的に薬学的投与形態を製造してもよい。
【0084】
しかし、本発明の組成物を製造するための種々の代替法を用いてもよく、それは当業者によって容易に実現される。
本発明はさらに、上記の組成物(1種または2種以上)の、経皮パッチまたはTTSの不可欠の構成要素としての使用を包含する。好ましくは、そのような組成物を、製造の際に前記パッチまたはTTS中に組み込ませて、パッチまたはTTSの活性物質リザーバーを形成する。
【0085】
さらに、本発明は、上記の組成物(1種または2種以上)の、イオン泳動性パッチの不可欠の構成要素として、好ましくはパッチのアノード性リザーバーとしての使用を包含する。好ましくは、そのような組成物を、製造の際に前記イオン泳動性パッチ中に組み込んで、パッチのアノード性リザーバーを形成する。上述の投与形態は、一般的に当該分野において知られている製造方法によって得ることができる。
【0086】
本発明はさらに、治療的有効量の少なくとも1種のカチオン性活性剤を対象、特に治療的処置を必要としている患者に経皮投与する方法における、上記の組成物(1種または2種以上)の使用に関する。前記方法はさらに、経皮投与のためのイオン泳動的方法を含む。一般的に、上述の方法は、本発明の組成物を前記対象の皮膚に適用し、組成物中に含まれる活性剤(1種または2種以上)がそこから放出され、皮膚を通して浸透し、前記対象の血液循環に進入するのを可能にする段階を含む。このプロセスを、イオン泳動によって増強することができる。
【0087】
本発明はさらに、活性剤含有イオン泳動性組成物のインビトロでの皮膚浸透特性(特に皮膚浸透性の有効性)を決定する方法であって、以下のこと:
・第1のFRANZ拡散セルを提供すること;
・第2のFRANZ拡散セルを提供すること;
・前記第1および第2のセルをサーモスタット制御環境中に、好ましくは32℃にて配置すること;
・各々のセルを液体アクセプター媒体で満たすこと;
・第1のセル中に含まれる液体アクセプター媒体を第2のセル中に含まれるアクセプター媒体と、各々のセルの内部中に挿入された導電性ワイヤー(例えば銀ワイヤー)によって電気的に接続すること;
【0088】
・前記活性剤組成物を、第1のFRANZ拡散セル中のヒトまたは動物膜、好ましくは皮膚(例えばウシ乳房皮膚)の最上部上に配置し、前記組成物を導電性電極材料(例えば金属箔または金属で被覆した箔)で覆うこと;
・前記組成物中に含まれる活性剤がカチオン性活性剤である場合には、前記電極材料を直流電力供給のアノードに接続するか、または、前記組成物中に含まれる活性剤がアニオン性活性剤である場合には、前記電極材料を前記電力供給のカソードに接続すること;
【0089】
・電解質含有組成物を、第2のFRANZ拡散セル中のヒトまたは動物膜、好ましくは皮膚の最上部上に配置し、前記組成物を導電性電極材料で覆うこと;
・前記電極材料を前記電力供給に接続して、回路を閉じること;
・前記電力供給から前記電極に電流を印加すること;
・定まった時間間隔にて、液体試料を前記第1のFRANZ拡散セルのアクセプター媒体から取り出し、前記試料中の前記活性剤の濃度を決定すること
を含む、前記方法に関する。
【0090】
この方法において用いるFRANZ拡散セルは、一般的に当該分野において知られており、例えば経皮治療システムの皮膚浸透速度を決定するために慣用的に用いられている;これらのセルを、特定の環境による所要に応じて修正してもよい。アクセプター媒体として、生理学的緩衝液または等張性緩衝液を、好ましくは用いる。
【0091】
一般的に、前記活性剤含有組成物(試験試料)の、および対電極(電解質含有組成物)の組成物の面積規模は、同一でなければならない。実験の間、電力供給のアンペア数を、前記面積規模の1平方センチメートルあたり約0.1〜1.5mAに調整しなければならない。
【0092】
前記活性剤の前記試料中の濃度を決定することにより、前記組成物から放出された浸透した活性剤の累積量に相当する得られた値を、好適な参照試料と比較することができる。
本発明はさらに、上記に本質的に記載したように2つのFRANZセルを含む実験的組立に関する。
【0093】

以下において、本発明およびその有効性を、添付した図面と共に例によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明に従ってカチオン性活性物質含有組成物を用いて得ることができるインビトロでの皮膚浸透性を決定するための、実験的なイオン泳動性組立の略図を示す。
【0095】
図1に示す実験的な組立は、第1のチャンバ(1)および第2のチャンバ(1’)を含むイオン泳動2チャンバセルを含む。両方のチャンバは、経皮治療システム(TTS)のインビトロでの浸透率を決定するために慣用的に用いる修正されたFRANZ拡散セルである。図2に示すように、FRANZセルは、本発明においてイオン泳動デバイスにおいて用いることを意図する組成物の皮膚浸透性プロフィールを決定するのに適するように修正され、手配された。
【0096】
チャンバ(1,1’)は、サーモスタット制御の水浴(図示せず;T=32℃)中に浸漬されている。チャンバ(1、1’)の各々は、アクセプター媒体として作用する等張性リン酸緩衝液で満たされている。この緩衝液は、pH5.5に調整されており、防腐剤として作用する0.1%NaNを含む。実験の間、リン酸緩衝液の温度を、32℃にて本質的に一定に維持する。各々のチャンバ(1、1’)の底部にて、磁気撹拌子(2、2’)を、アクセプター媒体を連続的に混合するために提供する。
【0097】
本発明のインビトロ浸透性研究において、ウシ乳房皮膚を用いて(1200μmの層の厚さに皮膚採取した(dermatomized))、「インビトロ皮膚モデル」として供した。
前記皮膚採取したウシ乳房皮膚(5、5’)の同一の試料を、各々のチャンバ(1、1’)の最上部上に配置した。チャンバ(1)を、電力供給のアノードに接続し、チャンバ(1’)をこの電力供給のカソードに接続した。両方のチャンバを、銀ワイヤー(6)(「塩橋」として作用する)によって電気的に接続して、閉じた電気回路(7)を得た。
【0098】
アノードのチャンバ(1)において、薬物リザーバー(3)を、ウシ乳房皮膚(5)の最上部上に配置し、次に金属製支持層(4)で被覆した。このシステムにおいて、薬物リザーバー(3)は、本発明の組成物であり、それは、例えばイオン泳動デバイスのアノードリザーバーとして作用し得、ここで金属製支持層(4)は、前記デバイスのアノードを表す。支持層として、いかなる金属製支持層を用いてもよい(例えば、経皮治療システムにおいて用いるように)か、または慣用のAg/AgClで被覆したポリマー箔を用いてもよい。金属的支持層を、電力供給のアノードにワイヤーによって接続する。薬物リザーバーまたは組成物(3)中に、カチオン性活性剤の塩を、そこから放出されるべき活性成分として包含させた。
【0099】
アノードリザーバー(3)を、前記カチオン性活性剤(4重量%)をポリアミン(アクリルコポリマー;Eudragit(登録商標)E 100)に溶解した溶液を不織ビスコース材料上に適用する(単位面積あたりの塗布重量:0.1g/cm)ことによって調製した。
アノードリザーバーの面積規模は、各々の場合において4cmであった。
【0100】
同様に、緩衝液リザーバー(3’)を、チャンバ(1’)のウシ乳房皮膚(5’)の最上部上に配置し、緩衝液リザーバーを、上記のように金属製支持層(4’)で被覆した。この場合において、支持層(4’)は、電力供給のカソードに接続されている。したがって、支持層(4’)と接触している緩衝液リザーバー(3’)は、実験的なイオン泳動デバイスのカソードリザーバーとして作用し、支持層(4’)は、このイオン泳動デバイスのカソードとして作用する。カソードリザーバーの面積規模は、各々の場合において4cmであった。
【0101】
対電極(カソード)のリザーバー(3’)は、0.9%(重量あたり)の生理食塩水に溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロースの2%(重量あたり)溶液から構成されていた。この溶液を、不織ビスコース材料上に適用した(単位面積あたりの塗布重量:0.1g/cm)。
各々の支持支持層(4、4’)の最上部上に、カバーまたはふた(8、8’)を配置し、固定して、チャンバまたはセル(1、1’)が浸透実験の間に基本的に気密密閉されるようにする。
【0102】
図1に示す組立において用いる電力供給は、一定の電流源として作動し、それを、浸透した皮膚の面積1平方センチメートルあたり約0.5〜0.6mAの一定のアンペア数に調整した。実験において用いる電力供給は、直流発電機(HAMEG HM 7042-5、HAMEG Instruments GmbH, Mainhausen, Germanyから)であった。すべての実験において、イオン泳動を、3時間の全期間にわたり継続した。
【0103】
電流を印加すると、図1において矢印(D)によって示すように、薬物カチオンは、ウシ乳房皮膚を貫通してアクセプター媒体中に浸透した。これを、試料をアクセプター媒体から一定の時間間隔にて取り出し、個々の試料中の活性剤含量を分析することによって決定することができる。
【0104】
同様に、対イオン(例えばNa、Cl)が、図1において矢印(A)および(C)によって示すようにアクセプター媒体から対応する電極リザーバー中に移動する。
イオン泳動プロセスの間に、図1において矢印(A’)によって示すように、緩衝液リザーバー(3’)からカソードチャンバ(1’)のアクセプター媒体中へのアニオンの輸送もまたあった。
【0105】
【表1】

*Eudragit(登録商標)E 100
**ラウリン酸(3重量%)+アジピン酸(0.5重量%)。
【0106】
すべての処方物は、0.1%Nipagine(パラヒドロキシ安息香酸エステル)を防腐剤として含む。
処方物3および3’は、本発明の組成物である。処方物1、1’および2、2’は、参照組成物である。参照例(1’、2’、3’)の場合において、実験を、同一の対応する方鉛鉱調製物(1、2、3)を用いて、しかし電流を印加せずに行った。本発明のポリアミン含有処方物(3)を用いて得られる浸透性結果は、ゼラチンまたはHPMCをベースとするそれぞれの参照処方物(1、2)を用いて得られる結果よりも顕著に優れていることが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩の経皮送達、特にイオン泳動性経皮送達のための組成物であって、以下のもの:
・前記少なくとも1種のカチオン性活性剤またはその塩、
・少なくとも1種のポリアミンまたは/およびポリアミン塩、
・水または水性溶媒混合物;ならびに
・任意に1種または2種以上の添加剤
を含む、前記組成物。
【請求項2】
水または水性溶媒混合物の比率が、組成物の総重量に対して少なくとも15重量%、または好ましくは少なくとも40重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水または水性溶媒混合物の比率が、80〜99重量%の範囲内にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリアミンまたはポリアミン塩が、ポリマーポリアミンおよび大環状ポリアミン、ならびにそれらの塩を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリアミンまたはポリアミン塩が、アクリレートコポリマーおよびメタクリレートコポリマー、ならびにそれらの塩を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
メタクリレートコポリマーが、アルキル化メタクリレートコポリマーを含む、請求項5に記載の組成物デバイス。
【請求項7】
ポリアミンまたはポリアミン塩が、接着特性を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリアミン(1種もしくは2種以上)またはポリアミン塩(1種もしくは2種以上)の比率が、組成物の総重量に対して1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは10〜18重量%の範囲内にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、脂肪酸およびジカルボン酸を含む群から選択される少なくとも1種の酸を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
脂肪酸(1種または2種以上)の濃度が、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7.0重量%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
0.5重量%〜7.0重量%のラウリン酸を含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
ジカルボン酸(1種または2種以上)の濃度が、0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
0.1重量%〜2.0重量%のアジピン酸を含むことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が液体組成物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が、固体または半固体組成物、好ましくはヒドロゲル組成物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、接着性組成物、好ましくは自己接着性組成物である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、カチオン性活性剤(1種もしくは2種以上)またはそれらの塩(1種もしくは2種以上)、ポリアミン(1種もしくは2種以上)またはポリアミン塩(1種もしくは2種以上)、水、および任意に1種または2種以上の添加剤を含むヒドロゲルである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
カチオン性活性剤が、カチオン性インドール化合物およびそれらの塩から選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
インドール化合物が、N−ジメチルトリプタミンおよびサイロシン、ならびに前記インドール化合物の薬学的に許容し得る塩を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
カチオン性活性剤が、オピオイド、他の中枢神経系(CNS)活性化合物およびカチオン電荷を有するペプチドを含む群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
カチオン性活性剤(1種もしくは2種以上)またはそれらの塩(1種もしくは2種以上)の合計含有量が、組成物の総重量に対して0.1〜20重量%の量である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
水性組成物が、3〜8の範囲内のpHを有する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
水性組成物が、5.5〜7の範囲内、好ましくは6〜6.5の範囲内のpHを有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
添加剤(1種または2種以上)が、溶解度エンハンサー、皮膚浸透エンハンサーおよび抗菌剤を含む群から選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
さらに、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1種のゲル生成セルロース誘導体を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
以下のもの:
・アルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、
・0.5〜10重量%のカチオン性活性剤またはそれらの薬学的に許容し得る塩、
・0.02〜0.5重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、
・1.0〜5.0重量%のラウリン酸、および
・0.05〜0.75重量%のアジピン酸
を含み、
ここで前記組成物が、少なくとも80重量%の含水量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
以下のもの:
・4〜7重量%のアルキル化メタクリレートポリアミンコポリマー、
・3〜5重量%のカチオン性活性剤、
・1〜5重量%のラウリン酸、
・0.05〜0.75重量%のアジピン酸、
・0.05〜0.75重量%のパラヒドロキシ安息香酸メチル、
・84〜88重量%の水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
カチオン性活性剤が、インドール化合物を含む群から選択される、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、液体水性組成物またはヒドロゲルであり、吸収材料に吸収される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物の、経皮パッチの構成成分としての、好ましくは経皮パッチの活性物質リザーバーとしての使用。
【請求項31】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物の、イオン泳動性経皮パッチの構成成分としての、好ましくはイオン泳動性経皮パッチのアノードリザーバーとしての使用。
【請求項32】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物の、少なくとも1種のカチオン性活性剤を対象に経皮投与する方法における使用。
【請求項33】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物の、少なくとも1種のカチオン性活性剤を対象に経皮投与するためのイオン泳動的方法における使用。
【請求項34】
活性剤含有イオン泳動性組成物のインビトロでの皮膚浸透特性を決定する方法であって、以下のこと:
・第1のFRANZ拡散セルを提供すること;
・第2のFRANZ拡散セルを提供すること;
・前記第1および第2のセルをサーモスタット制御環境中に、好ましくは32℃にて配置すること;
・各々のセルを液体アクセプター媒体で満たすこと;
・第1のセル中に含まれる液体アクセプター媒体を第2のセル中に含まれるアクセプター媒体と、各々のセルの内部中に挿入された導電性ワイヤーによって電気的に接続すること;
・前記活性剤組成物を、第1のFRANZ拡散セル中のヒトまたは動物膜、好ましくは皮膚の最上部上に配置し、前記組成物を導電性電極材料で覆うこと;
・前記組成物中に含まれる活性剤がカチオン性活性剤である場合には、前記電極材料を直流電力供給のアノードに接続するか、または、前記組成物中に含まれる活性剤がアニオン性活性剤である場合には、前記電極材料を前記電力供給のカソードに接続すること;
・電解質含有組成物を、第2のFRANZ拡散セル中のヒトまたは動物膜、好ましくは皮膚の最上部上に配置し、前記組成物を導電性電極材料で覆うこと;
・前記電極材料を前記電力供給に接続して、回路を閉じること;
・前記電力供給から前記電極に電流を印加すること;
・定まった時間間隔にて、液体試料を前記第1のFRANZ拡散セルのアクセプター媒体から取り出し、前記試料中の前記活性剤の濃度を決定すること
を含む、前記方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−524389(P2011−524389A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513942(P2011−513942)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004316
【国際公開番号】WO2009/153019
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】