カップホルダ装置
【課題】各部材の引出順序等を簡易構成に規制したり容器の径許容量を拡大する。
【解決手段】 外ケース1から突出した引出位置及び格納位置に切換可能な内ケース2、内ケース2から引き出した使用位置及び収納される非使用位置に切換可能なホルダ本体3とを備え、各位置への切換操作をホルダ本体の前面側で行うカップホルダ装置である。外ケース1に設けた切欠部13aと、内ケース2に枢支されてホルダ本体3を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって内ケースと共に引出可能にする同期用当接部45及び内ケースを引出位置まで引き出したときに切欠部13aに係合する爪部44、並びにホルダ本体3を非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって爪部44の係合を解除する当接部41を有している連結部材4と、連結部材4を付勢しているばね部材46とを備えている。
【解決手段】 外ケース1から突出した引出位置及び格納位置に切換可能な内ケース2、内ケース2から引き出した使用位置及び収納される非使用位置に切換可能なホルダ本体3とを備え、各位置への切換操作をホルダ本体の前面側で行うカップホルダ装置である。外ケース1に設けた切欠部13aと、内ケース2に枢支されてホルダ本体3を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって内ケースと共に引出可能にする同期用当接部45及び内ケースを引出位置まで引き出したときに切欠部13aに係合する爪部44、並びにホルダ本体3を非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって爪部44の係合を解除する当接部41を有している連結部材4と、連結部材4を付勢しているばね部材46とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の容器類を保持するカップホルダ装置のうち、自動車のインストルメントパネルや各種コンソール等に埋設状態で装備されて、使用時に引き出すようにした引出式のカップホルダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引出式カップホルダ装置には、特許文献1や2に例示されるように、外ケースに対し内ケースを摺動可能に配置すると共に、該内ケースに対しホルダ本体を摺動切り換えるいわゆる二段引出タイプがある。このタイプは、例えば、装置全体の前後寸法を小さくしたり、装置前後寸法を抑えてホルダ本体の引出位置を内ケースの長さに応じてより前方へ設定可能にする。装置構造は、固定側の外ケースと、外ケースから前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、内ケースから前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作をホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行う。
【0003】
また、ホルダ本体は、通常、容器の周囲を拘束するホルダ穴及び容器底面を受ける載置部を有している。ホルダ穴は、想定される容器のうち、最も大きな容器外径に対応して形成され、各種の容器に兼用できるよう処理される。このため、使用時には、容器外径が小さくなるほど、ホルダ穴内でがたつき易くなる。この従来対策としては、特許文献1に例示されるように上向きに付勢されたサブホルダをホルダ穴の内側で略水平状態に付設しておき、容器がサブホルダを下向きに弾性変位しながらホルダ穴に挿入されることでホルダ穴の遊びを吸収するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−325255号公報
【特許文献2】特開2004−175168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような二段引出タイプでは、特許文献2にも記載されているように、内ケース及びホルダ本体の各位置への摺動順序を規制する手段がないと、例えば、内ケースが引出位置に達しない前に、ホルダ本体が単独で使用位置に切り換えられ、内ケースが未だ引出位置に達していないにもかかわらず、装置使用態様に切り換えられたと錯覚してホルダ本体の引き力を解放してしまう。特許文献1,2では、そのような対策として、2つのロック機構(特許文献1の場合は外ケース側に係脱する第1掛合部及び内ケース側に係脱する第2掛合部、特許文献2の場合はホルダ本体側と係脱する第1ロック部材及び外ケース側と係脱する第2ロック部材)を設けることにより内ケース及びホルダ本体の各位置への摺動順序を規定できるようにしている。しかし、以上の従来構造では、2つのロック機構を必要としているため複雑であり、部品点数が多くなるだけではなく、組立工数も増大しコストを低減し難い。
【0006】
また、上記したサブホルダは、載置部上でホルダ穴の内側に略水平か、若干下向きに傾斜した状態に設けられていて、ホルダ穴に挿入される容器底面に当たって更に下向き変位するが、最大まで下向きに変位したとしても穴内壁面に近づく程度である。このため、従来構造では、ホルダ穴に挿入可能な容器として、容器外径がホルダ穴の実寸径より一回り小さい容器までとなる。つまり、従来のサブホルダは挿入可能な容器を制約する要因となっている。また、対象容器には、例えば、下端周囲に鍔状部を有した容器、周囲部を絞って径小にした容器もあり、それらをホルダ穴に挿入した後、引き抜くときにサブホルダの先端に鍔状部や径小部が引っ掛かり易いという問題もある。
【0007】
本発明は上記した各問題を解消したものである。すなわち、第1の目的は、内ケースとホルダ本体との引出順序や押し込み順序を簡易構成により規制し、それにより二段引出構造の利点を常に維持できるようにする。第2の目的は、サブホルダ関係を工夫して保持可能な容器の径許容量を拡大したり、容器をホルダ穴から引き抜くときの操作性を良好にして、使い勝手を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の本発明は、上記した第1の目的を解消したもので、図面の例で特定すると、外ケース1と、前記外ケース1の前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケース1に収納される格納位置に摺動切換可能な内ケース2と、前記内ケース2の前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケース2に収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体3とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、前記外ケース1の前側に設けられている切欠部13aと、前記内ケース2に枢支されて、前側にそれぞれ設けられて前記内ケースの格納位置で前記ホルダ本体3を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部39aに当たって前記内ケースと共に引出可能にする同期用当接部45及び前記内ケースを引出位置までほぼ引き出したときに前記切欠部13aに係合する爪部44、並びに後側に設けられて前記ホルダ本体3を使用位置から非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部39bに当たって前記爪部44の前記切欠部に対する係合を解除可能な解除用当接部41を有している連結部材4と、前記爪部44を前記切欠部13aに係合する方向へ前記連結部材を付勢しているばね部材46とを備えていることを特徴としている。
以上の発明装置では、内ケースの格納位置で、ホルダ本体を非使用位置から引き操作すると、引出途中において、連結部材の同期用当接部に内ケースの対応部が当たってホルダ本体を内ケースと一体的に引き出し可能にし、該内ケースが引出位置にほぼ達したときに連結部材の爪部が外ケース側の切欠部に係合し、以後はホルダ本体が単独で更に引き出されて使用位置に切り換えられる。内ケースの引出位置で、ホルダ本体を使用位置から押し操作すると、途中でホルダ本体の対応部が解除用当接部に当たり連結部材を回動して前記係合を解除し、以後は内ケースをホルダ本体と一体的に格納位置まで摺動し、ホルダ本体も非使用位置に摺動されることになる。以上の構造において、前記内ケースは、前記爪部を前記切欠部に係合した状態で引出位置から格納位置方向への摺動が規制されると共に、前記外ケースに設けられたガイド溝に嵌合している突起を有し、前記突起を前記ガイド溝の前端側に当接した状態で引出位置から更に前方への摺動が規制されることが好ましい(請求項2)。
【0009】
請求項3の発明では、上記した第2の目的を解消したもので、図面の例で特定すると、外ケース1と、前記外ケース1の前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケース1に収納される格納位置に摺動切換可能な内ケース2と、前記内ケース2の前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケース2に収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体3とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、前記ホルダ本体3は、容器底面を受ける載置部34及び容器周囲を保持するホルダ穴(33,50)と、前記ホルダ穴を区画している内壁部分に設けられた窪み部52と、前記窪み部に回動可能に枢支され、かつ上から下向き荷重を受けるとばね部材58の付勢力に抗して下向きに回動して前記ホルダ穴の穴径を実質的に可変するサブホルダ6とを有していると共に、前記サブホルダ6が最大まで下向きに回動されたとき前記窪み部52に収容されて前記内壁部分と略面一となることを特徴としている。
以上の発明装置では、例えば、サブホルダが窪み部に収容されるため、ホルダ穴に挿入可能な容器として、最大、ホルダ穴に近似する容器外径のものまで保持可能にする。以上の構造において、前記サブホルダは、下向き荷重を受けていない状態で前記ホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜していると共に、先端側の下面に容器の引っ掛かり防ぐ誘導用のリブを突設していること(請求項4)、前記ホルダ本体は、前記載置部上に設けられて容器周囲の一部を保持可能、かつ横方向に開口している縦穴と、回動可能に枢支されかつ横拡開方向へ付勢されて前記ホルダ穴を前記縦穴と共に形成しているサイド保持板とを有し、前記サブホルダを前記サイド保持板に付設していること(請求項5)がより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明は次のような効果を有している。
・請求項1の発明は、特許文献1や2に比べて、部材数を少なくしながら、例えば、ホルダ本体を常に正規の突出状態にして使用できるようにし、それにより容器等を常に安定保持できるようにしたり使い勝手及び装置信頼性を向上できる。
・請求項2の発明では、外ケースに設けられる切欠部として、形態例のように外ケースの前縁部分を利用することができ、それにより設計自由度を拡大したり加工精度を緩和できる。
・請求項3の発明は、従来のサブホルダに比べて、ホルダ穴が同径であっても容器の径許容量を拡大でき、それによりホルダ穴を多少なりとも小さくして小型化を実現できる。
・請求項4の発明は、容器が下周囲に鍔状部を有していたり、周囲に径小部を有していても、ホルダ穴から引き抜くときに誘導用リブ及びサブホルダの上向き傾斜により引っ掛かりの虞を解消できる。また、この発明では、従来の水平又は多少下斜めに配置されるサブホルダに比べ、容器が極めて細くホルダ穴内でサブホルダ側に傾いて当たっても、サブホルダが上斜めに配置されているため不用意に倒れるというような不具合を解消できる。
・請求項5の発明は、請求項3と4の発明が形態例のようにサイド保持板を有している構成、引用文献1のようにサイド保持板を有していない構成の何れであっても適用可能な点を確認的に特定したことに意義がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の形態例について図面に基づいて説明する。図1〜図3はカップホルダ装置を異なる態様で概略構成を示している。図4〜図6及び図8は装置の構成部材を示している。図7と図9はサイド保持板とサブホルダの関係を示している。図10〜図15は装置切り換え作動を示し、図16はサブホルダの使用例を従来例との比較で模式的に示している。以下の説明では、装置構造を詳述した後、使い方又は作動に言及する。
【0012】
(装置構造)形態例のカップホルダ装置は、例えば、自動車のインストルメントパネルや各種コンソール等に設置され、主部材が固定側の外ケース1と、可動側の内ケース2と、容器保持用のホルダ本体3と、内ケース2に枢支されている連結部材4と、ホルダ本体3に枢支されているサイド保持板5と、サイド保持板5の内壁面側に枢支されているサブホルダ6とを備えている。ここで、主部材又は部材同士の関係は基本的に次のようになっている。外ケース1は被取付部側の凹所に前側開口を露出した状態に埋設される。内ケース2は、外ケース1の前開口から押し入れられる格納位置と引き出された使用位置とに摺動切り換えられる。ホルダ本体3は、容器底面を受ける載置部34及び容器周囲を保持するホルダ穴(33,50)を有して内ケース2の前開口より押し入れられる非使用位置と引き出される使用位置とに摺動切り換えられる。連結部材4は、内ケース2とホルダ本体3とを必要時に作動連結する。サイド保持板5は、ホルダ本体3を使用位置から非使用位置に切り換えるときに付勢力に抗して内側へ回動され、逆に非使用位置から使用位置に切り換えられるときに外側(横拡開方向)に付勢力により回動される。サブホルダ6は、下向き荷重を受けると付勢力に抗して下向きに回動してホルダ穴(33,50)の穴径を実質的に可変する。細部は以下の通りである。
【0013】
前記外ケース1は、図4に示されるごとく、樹脂製の枠状をなし、ケース内が上面12と、下面13と、両側面14とにより区画されると共に、上側に装着される金属製のプロテクタ10を有している。上面12には、ガイド溝12aが両側に設けられて前後方向に延びている。下面13には、切欠部13aが前側縁部分の一部を切り欠いた状態で設けられている。この切欠部13aは、下面前縁により形成されて、その一部に後述する連結部材4の爪部44(図13参照)を係脱する。爪部44が係合した状態では、内ケース2の更なる引き出しを許容するが、内ケース2を引出位置から格納位置方向への摺動を阻止する。両側面14には、下側に開口されて前後方向に延びている下ガイド溝14aと、内側にあって上下略中間で前後方向に延びているガイド溝15、及びガイド溝15より上側で前後方向に延びてガイド部材11を配置する上溝16とが設けられている。下ガイド溝14aの前端側には抜け止め用弾性突起14bが設けられている。符号17は両側面14に設けられた複数の取付孔である。プロテクタ10は、上面12を覆った状態で、ねじS1をプロテクタ側部に設けられた孔10aから取付孔17に係止することで取り付けられる。符号18a,18bは両側部14の上側で上溝16内に貫通されている係止穴である。ガイド部材11は、上溝16に挿入されると共に、背面側の係止爪11a,11bを対応する係止穴18a,18bに係入することで上溝内に装着される。
【0014】
前記内ケース2は、下面22及び両側面23を有した断面略コ形の金属プレス品であり、上側の開口が樹脂製のカバー20により閉じられる。下面22には、前側幅方向に開口された遊び窓22aと、後側に開口されている配置窓22bとが設けられている。各側面23には、後側に位置して略直角に外側に折り曲げられて前記ガイド溝14aに嵌合するストッパ23aと、上側にあって前後方向に延びてガイド部材21を配置する断面コ形の上溝24と、上溝24を形成している箇所にあって外面中間の取付穴24a及び外面角部の係止穴24bとが設けられている。ガイド部材21は、上溝24に挿入されると共に、背面側の係止爪21a,21bを対応する係止穴24b等に係入することで上溝内に装着される。カバー20は、両側の上溝24を形成している箇所に載せられる板部25と、板部25の両側に突設されてガイド部材11に摺動自在に嵌合される突起26aと、板部25の両側から下設されている取付部26bとからなり、両側面23の間を覆った状態で、ねじS2を取付部26bに設けられた孔26cから取付孔24aに係止することで取り付けられる。符号25a,25bは外ケース1の上面12との間に配置されるがたつき吸収用リブである。なお、板25の内面には、後述するサイド保持板5(の軸部56)の動きを案内するカム溝27aと、両側に設けられて前後方向に延びているガイド溝27b(図13を参照)とが設けられている。ガイド溝27bには前側にストッパ27cが設けられている。ストッパ27cは、後述するホルダ本体3が突起39をガイド溝27bに沿って前方へ摺動したとき突起39と当接し、ホルダ本体3の最前方位置つまり使用位置を規制する。
【0015】
また、配置窓22bには、図5に示されるように、両側に対向して連結部材4を枢支する支持片28aと、後縁部の立壁29とが設けられている。両支持片28aには同軸線上に軸孔が設けられている。立壁29には、係止部29aが片上側から幅方向に突設されている。連結部材4は、概略矩形状の板体40からなり、上面後側に大きく起立している係合解除用当接部41と、両側に突設されて支持片28aの軸孔に嵌合する軸42と、下面前側に突設されている爪部44と、上面前側にあって爪部44と反対側に突設されている同期用当接部45と、板体40の後側で片側に突設されて、板体40が両支持片28aに枢支された状態で下面22と係止部29aとの間に配置される回動範囲規制用の突起43と、板体40の上面側にあってコイル形のばね部材46を配置する凹所及び凹所に配置されたばね部材46を支持する軸部(何れも図示省略)とを一体に形成している。以上の連結部材4は、板体40がばね部材46を組み込んだ状態から、両側の支持片28aに軸孔及び軸42の嵌合を介して枢支される。その場合、突起43は下面22と係止部29aとの間に配置される。その後、ばね部材46は、一端側が立壁29上に係止され、他端側が付勢力を発現しながら板体40の前側に係止される。これにより、連結部材4は、軸42を支点として爪部44を下向きに押す方向へ回動付勢される。
【0016】
以上の内ケース2は、外ケース1に対し、両側のストッパ23aが弾性突起14bを乗り越えて下ガイド溝14aに嵌合するよう、又、爪部44が切欠部13aを乗り上げるよう連結部材4をばね部材46の付勢力に抗して回動しながら押し入れられる。すると、内ケース2は、外ケース1に対し突起26aとガイド部材11の嵌合などを介して前後摺動可能に組み付けられる。ストッパ23aは、内ケース2を最大まで引き出したとき、下ガイド溝14aの前端に当たって引出位置を確定し、内ケース2を最大まで押し込んだときに下ガイド溝14aの後端に当たって格納位置を確定する。
【0017】
前記ホルダ本体3は、内ケース2内に入れられる部分30と、部分30の前側に設けられた化粧板である操作部31と、部分30の前両側に設けられた縦穴33と、部分30の後側に設けられている基端部32と、基端部32に回動可能に支持されて、縦穴33に挿入される容器類の周面を縦穴33と共に拘束するサイド保持板5等を備えている。操作部31は、概略矩形状をなし、前面中央部に幅方向に長い凹状部31aが設けられ、手先を凹状部31aに入れて内上側の空間(図10を参照)に引っ掛けられるよう設計されている。縦穴33は、操作部31と基端部32との間に設けられ、載置部34上に位置しかつ横方向に開口した穴となっており、サイド保持板5の前湾曲部50と共にホルダ穴を形成する。基端部32は、上下に区画されていると共に、両側面に設けられて内ケース2のガイド部材21に嵌合する突起32aを有している。
【0018】
基端部32の下側には、図13に示されるように、前後中間部に下設された第1壁部39aと、該第1壁部39aの後面に位置して第1壁部の下端より斜め上側へ傾斜している第2壁部39bとが設けられている。第2壁部39bは後述する連結部材4の係合解除用当接部41に対し、第1壁部39aは同期用当接部45に対しそれぞれ作用する。
【0019】
基端部32の上側は、両壁及び後壁で縁取りされ、かつ、中間壁で区画されることで左右に配置空間を形成し、該配置空間が上側に装着される蓋37により閉じられる。その配置空間には、両側に突設された軸36を有し、該軸36などを利用してサイド保持板5の基端部51が回動可能に支持される。蓋37は、両側及び前中間部に設けられている取付用の穴37aと、両側の穴37aに接近して設けられているガイド溝37bと、上面に突設されて内ケース2の上面側に摺接する両側のリブ38a,38bと、両側に設けられて内ケース2のガイド溝27bと嵌合する弾性リブ39(図13を参照)とを有している。そして、蓋37は、基端部32の上側配置空間を覆った状態で、ねじS3を穴37aから端部32の上側に設けられている取付孔35aに係止することで装着される。この取付操作は、前記配置空間にサイド保持板5の基端部51を組み付けた後に行われる。
【0020】
サイド保持板5は前湾曲部50及び基端部51からなる。このうち、基端部51は、後側に設けられた上下の軸孔55と、上面に突設された軸部56と、軸部56の軸孔55から突出した部分に保持されてサイド保持板5を横拡開方向へ付勢するばね部材57などを有している。そして、基端部51は、前記配置空間に対し軸36と軸孔55との嵌合を介して所定角だけ回動可能に枢支される。ばね部材57は、軸部56を利用して保持された状態で、一端側が基端部32の上側の対応部に係止され、他端側がばね圧を発現しながら基端部51の対応部に係止されることで、サイド保持板5を横拡開方向へ回動付勢している。軸部56は、蓋37の対応するガイド溝37bを貫通し、上述した内ケースを構成している板25の内面に設けられているカム溝27と嵌合している。以上のサイド保持板5は、例えば、ホルダ本体3が内ケース2から引き出されて使用位置にある状態から、内ケース2に押し入れられる過程で軸部56が前記カム溝27の軌跡に沿って摺動されることにより、ばね部材57の付勢力に抗して内側(縮小)へ回動される。これにより、ホルダ本体3は、使用位置で横方向に広がっているサイド保持板5を付設していても、内ケース2に収納される過程でサイド保持板5を自動的に内側へ回動して非使用位置に切り換えられる。
【0021】
これに対し、前湾曲部50は、上述した縦穴33と共にホルダ穴を区画形成する。内面側にはサブホルダ6に対応した略矩形の窪み部52が設けられている。該窪み部52は、図7に示されるように、サブホルダ6を面一に収容可能な深さ及び内形状となっていて、内側面の上側に左右対向して設けられている軸孔52aと、内面の左右に突設されている縦リブ53と、両縦リブの上同士を連結している横リブ53aと、内面の上角部に貫通形成されている回動規制穴54などを有している。図6中、符号50aは前湾曲部50の外面側に設けられたコ形の凹所であり、支持穴54が該凹所の両側部分に貫通されている。そして、窪み部52には、サブホルダ6がばね部材58と共に組み付けられる。
【0022】
サブホルダ6は、図8に示されるように、前面60が前湾曲部50と略同じ曲率の曲面に形成され、背面61が縦リブ53及び横リブ53aを逃げる凹部61a、上側中間部に位置して小凹部を区画しているリブ64、先端側に突出されている複数本の誘導用リブ65を形成し、上両側が小突起62として形成され、両側面が上側に軸部63を形成している。リブ64内の小凹部には図8(b)のごとく左右に軸部が対向して設けられ、該両軸部に対しコイル形のばね部材58が支持される。各リブ65は略円弧状であり、先端側に接近して設けられている。
【0023】
以上のサブホルダ6は、リブ64内にばね部材58を支持した状態から、窪み部52に対し各小突起62を対応する回動規制穴54に差し込み、両側の軸部63を対応する軸孔52aに嵌合することにより回動可能に組み付けられる。その後、ばね部材58は、一端側がリブ64の対応部に設けられた不図示の係止穴に係止され、他端側が付勢圧を発現しながら横リブ53aに係止される。すると、サブホルダ6は、図9(a)に示されるように、ばね部材58の付勢力により軸部63を支点として上向きに回動され、下向き荷重を受けていない非使用態様で上記したホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜した状態となる。この場合、サブホルダ6は、前記した非使用態様において、上または基端側が縦リブ53の上面と窪み部52の上端面との間に位置していることと、両側の小突起62が回動規制穴54内に嵌合した状態となることで、上方向へ回動量を規制する。なお、この非使用態様において、上記したホルダ穴はサブホルダ6の存在により実質的な穴径が最小となる。
【0024】
以上のホルダ本体3は、例えば、上側の各リブ39(図13を参照)が弾性変位しながら内ケース2側の対応するガイド溝27bに嵌合されるよう、又、サイド保持板5の軸部56が上記したカム溝27aに配置されるようにして押し込まれる。すると、ホルダ本体3は、内ケース2に対し突起32aとガイド部材21の嵌合などを介して前後摺動可能に組み付けられる。
【0025】
(作動)以上の各部材は組立状態で次のような関係になっている。まず、内ケース2は、上記した突起26aとガイド部材11との嵌合、上記したガイド溝15と上溝24を形成している箇所との嵌合等を介して外ケース1に対し格納位置と前方へ引き出した引出位置との間で摺動切換可能となる。格納位置ではホルダ本体3の操作部31により又ストッパ23aにより規制され、引出位置ではストッパ23aが下ガイド溝14aの前端に当たって規制される。ホルダ本体3は、上記した突起32aとガイド部材21の嵌合などを介して内ケース2に対し非使用位置と前方へ引き出した使用位置との間で摺動切換可能となる。非使用位置では操作部31により規制され、使用位置ではリブ39がガイド溝27bのストッパ27cに当たることで規制される。サイド保持板5は、ホルダ本体3の非使用位置では縦穴33側へ回動されて内ケース2内にがたつきなく収まっており、又、ホルダ本体3が引き出される過程で縦穴33の外側へ回動して使用態様となる。
【0026】
この形態では、以上の基本作動に加えて連結部材4による作動が工夫されている。その点を図10〜図15を参照しながら説明する。
・図10はカップホルダ装置の非使用態様であり、内ケース2が格納位置、ホルダ本体3が非使用位置にある。この状態において、連結部材4は、当接部41が第2壁部39bにより後下向きに押圧され、該押圧によりばね部材46の付勢力に抗し軸部42を支点として時計回り、つまり爪部44が配置窓22bまで持ち上げられる方向へ回動されている。
・図11は図10の態様から凹状部31aに手先を入れて操作部31を引き操作した初期段階を示している。この過程では、ホルダ本体3が前方へ引かれると、まもなく第1壁部39aが後方から当接部45に当たる。以後は、ホルダ本体3と内ケース2とが第1壁部39a及び当接部45を介して連結状態となり、一体的に前方へ引き出される。
・図12は内ケース2がホルダ本体3と共に引き出されている引出途中で、連結部材4の爪部44が外ケース側切欠部13aに係合した態様を示している。つまり、連結部材4は、内ケース2がホルダ本体3と共に引き出されて、爪部44が切欠部13aに達すると、ばね部材46の付勢力ににより軸部42を支点として逆時計回り、つまり爪部44が切欠部13aに係合する方向へ回動される。この係合時には、内ケース2はストッパ23aと下ガイド溝14aの前端との係合により更なる前方への移動が阻止される。また、当接部45は、以上のようにして連結部材4が回動されることにより下側へ変位し、第1壁部39aから離れる。つまり、ホルダ本体3と内ケース2とは非連結の状態となる。
【0027】
・図13は、ホルダ本体3が内ケース2から単独で引き出され使用位置に切り換えられた態様を示している。ホルダ本体3は、使用位置において、弾性リブ39と内ケース側ガイド溝27bのストッパ27cとの係合により更なる前方移動が阻止される。また、サイド保持板5は、図3のごとくホルダ本体3が内ケース2から引き出されるのと連動して、縦穴33内から外へ回動して拡開状態となる。そして、使用者は、対象の容器を縦穴33とサイド保持板5の対応部とで形成されるホルダ穴に挿入したり引き抜くことになる。その場合、容器保持構造としては、従来構成に比べて次のような利点を有している。
【0028】
第1に、サブホルダ6は、容器が上から挿入されて下向き荷重を受けると、軸部63を支点として容器が通過するまでばね部材58の付勢力に抗して下向きに回動され、先端が容器周囲に当接する。この構造では、図9(b)のごとくサブホルダ6が最大まで下向きに回動された場合、窪み部52に完全に収容されて前湾曲部50の内壁部分と略面一になるため、従来のサブホルダに比べて、ホルダ穴が同径であっても容器の径許容量を拡大できる。また、設計上は、ホルダ穴を多少なりとも小さくして小型化を可能にする。
第2に、対象の容器は、下周囲に鍔状部を有していたり周囲に径小部を有していることもある。この構造では、そのような場合、載置部34で受け止められた容器について、容器周囲を縦穴33とサブホルダ6の先端側で保持している状態から、容器を引き抜くときに従来のように引っ掛かることなくスムースに引く抜くことができる。これは、サブホルダ6が先端の円弧状リブ65を容器側の鍔状部や径小部に当接することで引っ掛かりを生じないようにし、しかも、サブホルダ6が水平より上向きに傾斜するまで回動されるため、前記容器側の鍔状部や径小部が仮に引っ掛かっても通り抜けてしまうからである。
第3に、サブホルダ6を水平より上向きに傾斜した状態に付設した他の効果は次のような点にある。即ち、図16(b)はサブホルダ8が従来のごとく水平又は多少下斜めに配置されるタイプである。この場合は、容器Cが極めて細くホルタ穴(33,50)内で同図のごとく傾いてサブホルダ8に当たると、該サブホルダ8が元々傾き易い水平となっているため一点鎖線のごとく容器Cの荷重により倒れる方向へ更に傾斜し容器内から液がこぼれ易くなる。これに対し、図16(a)に模式化した本発明のサブホルダ6では、同図のごとく容器Cが極めて細くホルタ穴(33,50)内で同図のごとく傾いてサブホルダ6に当たっても、水平より上向きに傾斜しているため不用意に倒れるというような不具合を解消できる。
【0029】
・図14はカップホルダ装置を必要としなくなって、図13の態様から凹状部31aに手先を入れて操作部31を押し操作した途中状態を示している。ホルダ本体3は、押されると、内ケース2に押し入れられる。その際、内ケース2は爪部44が切欠部13aと係合して動かない。そして、この構造では、ホルダ本体3が内ケース2に完全に押し入れられる少し前段階で、同図のごとく第2壁部39bが当接部41に当たることになる。
・図15は、ホルダ本体3が更に内ケース2に押し入れた状態を示している。この状態において、連結部材4は、第2壁部39bから当接部41に加わる負荷によりばね部材46の付勢力に抗し軸部42を支点として時計回り、つまり爪部44が切欠部13aから外れる方向に回動される。すると、以降は、図1に示されるように、ホルダ本体3が内ケース2に完全に入れられた非使用位置に切り換えられると共に、内ケース2が外ケース1に完全に入れられた格納位置に切り換えられる。これにより、この構造では、課題に挙げた問題を構成部材数を少なくしながら全て解消できる。
【0030】
以上の形態は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項1と2の特定要件を除いて、この形態例を基にして種々変形可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】発明形態の装置をホルダ本体の非使用位置で示す概略外観図である。
【図2】図1の装置を内ケースの引出位置で示す概略外観図である。
【図3】図1の装置をホルダ本体の使用位置で示す概略外観図である。
【図4】図1の装置を構成している外ケースを示す模式構成図である。
【図5】図1の装置を構成している内ケースを示す模式構成図である。
【図6】図1の装置を構成しているホルダ本体を示す模式構成図である。
【図7】図1の装置を構成しているサイド保持板等を示す模式構成図である。
【図8】図7のサイド保持板に付設されるサブホルダを示す構成図である。
【図9】図7のサブホルダの作動を示す模式構成図である。
【図10】図1と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図11】図10の態様から引き操作した初期段階を示す模式断面図である。
【図12】図2と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図13】図3と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図14】図13からホルダ本体を非使用位置へ押している模式断面図である。
【図15】図14から内ケースと外ケースが非連結となった模式断面図である。
【図16】本発明のサブホルダの利点を従来例との対比で示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1…外ケース(13は下面、13aは切欠部、16aは凹部)
2…内ケース
3…ホルダ本体(39aは第1壁部、39bは第2壁部)
4…連結部材(40は板体、42は軸、43は回動範囲規制用突起)
5…サイド保持板(51は基端部、52は窪み部)
6…サブホルダ(63は軸部、65は誘導用リブ)
33…縦穴(ホルダ穴)
41…係合解除用当接部
44…爪部
45…同期用当接部
46,57,58…ばね部材
50…前湾曲部(ホルダ穴)
C…容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の容器類を保持するカップホルダ装置のうち、自動車のインストルメントパネルや各種コンソール等に埋設状態で装備されて、使用時に引き出すようにした引出式のカップホルダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
引出式カップホルダ装置には、特許文献1や2に例示されるように、外ケースに対し内ケースを摺動可能に配置すると共に、該内ケースに対しホルダ本体を摺動切り換えるいわゆる二段引出タイプがある。このタイプは、例えば、装置全体の前後寸法を小さくしたり、装置前後寸法を抑えてホルダ本体の引出位置を内ケースの長さに応じてより前方へ設定可能にする。装置構造は、固定側の外ケースと、外ケースから前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、内ケースから前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作をホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行う。
【0003】
また、ホルダ本体は、通常、容器の周囲を拘束するホルダ穴及び容器底面を受ける載置部を有している。ホルダ穴は、想定される容器のうち、最も大きな容器外径に対応して形成され、各種の容器に兼用できるよう処理される。このため、使用時には、容器外径が小さくなるほど、ホルダ穴内でがたつき易くなる。この従来対策としては、特許文献1に例示されるように上向きに付勢されたサブホルダをホルダ穴の内側で略水平状態に付設しておき、容器がサブホルダを下向きに弾性変位しながらホルダ穴に挿入されることでホルダ穴の遊びを吸収するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−325255号公報
【特許文献2】特開2004−175168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような二段引出タイプでは、特許文献2にも記載されているように、内ケース及びホルダ本体の各位置への摺動順序を規制する手段がないと、例えば、内ケースが引出位置に達しない前に、ホルダ本体が単独で使用位置に切り換えられ、内ケースが未だ引出位置に達していないにもかかわらず、装置使用態様に切り換えられたと錯覚してホルダ本体の引き力を解放してしまう。特許文献1,2では、そのような対策として、2つのロック機構(特許文献1の場合は外ケース側に係脱する第1掛合部及び内ケース側に係脱する第2掛合部、特許文献2の場合はホルダ本体側と係脱する第1ロック部材及び外ケース側と係脱する第2ロック部材)を設けることにより内ケース及びホルダ本体の各位置への摺動順序を規定できるようにしている。しかし、以上の従来構造では、2つのロック機構を必要としているため複雑であり、部品点数が多くなるだけではなく、組立工数も増大しコストを低減し難い。
【0006】
また、上記したサブホルダは、載置部上でホルダ穴の内側に略水平か、若干下向きに傾斜した状態に設けられていて、ホルダ穴に挿入される容器底面に当たって更に下向き変位するが、最大まで下向きに変位したとしても穴内壁面に近づく程度である。このため、従来構造では、ホルダ穴に挿入可能な容器として、容器外径がホルダ穴の実寸径より一回り小さい容器までとなる。つまり、従来のサブホルダは挿入可能な容器を制約する要因となっている。また、対象容器には、例えば、下端周囲に鍔状部を有した容器、周囲部を絞って径小にした容器もあり、それらをホルダ穴に挿入した後、引き抜くときにサブホルダの先端に鍔状部や径小部が引っ掛かり易いという問題もある。
【0007】
本発明は上記した各問題を解消したものである。すなわち、第1の目的は、内ケースとホルダ本体との引出順序や押し込み順序を簡易構成により規制し、それにより二段引出構造の利点を常に維持できるようにする。第2の目的は、サブホルダ関係を工夫して保持可能な容器の径許容量を拡大したり、容器をホルダ穴から引き抜くときの操作性を良好にして、使い勝手を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の本発明は、上記した第1の目的を解消したもので、図面の例で特定すると、外ケース1と、前記外ケース1の前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケース1に収納される格納位置に摺動切換可能な内ケース2と、前記内ケース2の前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケース2に収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体3とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、前記外ケース1の前側に設けられている切欠部13aと、前記内ケース2に枢支されて、前側にそれぞれ設けられて前記内ケースの格納位置で前記ホルダ本体3を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部39aに当たって前記内ケースと共に引出可能にする同期用当接部45及び前記内ケースを引出位置までほぼ引き出したときに前記切欠部13aに係合する爪部44、並びに後側に設けられて前記ホルダ本体3を使用位置から非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部39bに当たって前記爪部44の前記切欠部に対する係合を解除可能な解除用当接部41を有している連結部材4と、前記爪部44を前記切欠部13aに係合する方向へ前記連結部材を付勢しているばね部材46とを備えていることを特徴としている。
以上の発明装置では、内ケースの格納位置で、ホルダ本体を非使用位置から引き操作すると、引出途中において、連結部材の同期用当接部に内ケースの対応部が当たってホルダ本体を内ケースと一体的に引き出し可能にし、該内ケースが引出位置にほぼ達したときに連結部材の爪部が外ケース側の切欠部に係合し、以後はホルダ本体が単独で更に引き出されて使用位置に切り換えられる。内ケースの引出位置で、ホルダ本体を使用位置から押し操作すると、途中でホルダ本体の対応部が解除用当接部に当たり連結部材を回動して前記係合を解除し、以後は内ケースをホルダ本体と一体的に格納位置まで摺動し、ホルダ本体も非使用位置に摺動されることになる。以上の構造において、前記内ケースは、前記爪部を前記切欠部に係合した状態で引出位置から格納位置方向への摺動が規制されると共に、前記外ケースに設けられたガイド溝に嵌合している突起を有し、前記突起を前記ガイド溝の前端側に当接した状態で引出位置から更に前方への摺動が規制されることが好ましい(請求項2)。
【0009】
請求項3の発明では、上記した第2の目的を解消したもので、図面の例で特定すると、外ケース1と、前記外ケース1の前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケース1に収納される格納位置に摺動切換可能な内ケース2と、前記内ケース2の前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケース2に収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体3とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、前記ホルダ本体3は、容器底面を受ける載置部34及び容器周囲を保持するホルダ穴(33,50)と、前記ホルダ穴を区画している内壁部分に設けられた窪み部52と、前記窪み部に回動可能に枢支され、かつ上から下向き荷重を受けるとばね部材58の付勢力に抗して下向きに回動して前記ホルダ穴の穴径を実質的に可変するサブホルダ6とを有していると共に、前記サブホルダ6が最大まで下向きに回動されたとき前記窪み部52に収容されて前記内壁部分と略面一となることを特徴としている。
以上の発明装置では、例えば、サブホルダが窪み部に収容されるため、ホルダ穴に挿入可能な容器として、最大、ホルダ穴に近似する容器外径のものまで保持可能にする。以上の構造において、前記サブホルダは、下向き荷重を受けていない状態で前記ホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜していると共に、先端側の下面に容器の引っ掛かり防ぐ誘導用のリブを突設していること(請求項4)、前記ホルダ本体は、前記載置部上に設けられて容器周囲の一部を保持可能、かつ横方向に開口している縦穴と、回動可能に枢支されかつ横拡開方向へ付勢されて前記ホルダ穴を前記縦穴と共に形成しているサイド保持板とを有し、前記サブホルダを前記サイド保持板に付設していること(請求項5)がより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明は次のような効果を有している。
・請求項1の発明は、特許文献1や2に比べて、部材数を少なくしながら、例えば、ホルダ本体を常に正規の突出状態にして使用できるようにし、それにより容器等を常に安定保持できるようにしたり使い勝手及び装置信頼性を向上できる。
・請求項2の発明では、外ケースに設けられる切欠部として、形態例のように外ケースの前縁部分を利用することができ、それにより設計自由度を拡大したり加工精度を緩和できる。
・請求項3の発明は、従来のサブホルダに比べて、ホルダ穴が同径であっても容器の径許容量を拡大でき、それによりホルダ穴を多少なりとも小さくして小型化を実現できる。
・請求項4の発明は、容器が下周囲に鍔状部を有していたり、周囲に径小部を有していても、ホルダ穴から引き抜くときに誘導用リブ及びサブホルダの上向き傾斜により引っ掛かりの虞を解消できる。また、この発明では、従来の水平又は多少下斜めに配置されるサブホルダに比べ、容器が極めて細くホルダ穴内でサブホルダ側に傾いて当たっても、サブホルダが上斜めに配置されているため不用意に倒れるというような不具合を解消できる。
・請求項5の発明は、請求項3と4の発明が形態例のようにサイド保持板を有している構成、引用文献1のようにサイド保持板を有していない構成の何れであっても適用可能な点を確認的に特定したことに意義がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の形態例について図面に基づいて説明する。図1〜図3はカップホルダ装置を異なる態様で概略構成を示している。図4〜図6及び図8は装置の構成部材を示している。図7と図9はサイド保持板とサブホルダの関係を示している。図10〜図15は装置切り換え作動を示し、図16はサブホルダの使用例を従来例との比較で模式的に示している。以下の説明では、装置構造を詳述した後、使い方又は作動に言及する。
【0012】
(装置構造)形態例のカップホルダ装置は、例えば、自動車のインストルメントパネルや各種コンソール等に設置され、主部材が固定側の外ケース1と、可動側の内ケース2と、容器保持用のホルダ本体3と、内ケース2に枢支されている連結部材4と、ホルダ本体3に枢支されているサイド保持板5と、サイド保持板5の内壁面側に枢支されているサブホルダ6とを備えている。ここで、主部材又は部材同士の関係は基本的に次のようになっている。外ケース1は被取付部側の凹所に前側開口を露出した状態に埋設される。内ケース2は、外ケース1の前開口から押し入れられる格納位置と引き出された使用位置とに摺動切り換えられる。ホルダ本体3は、容器底面を受ける載置部34及び容器周囲を保持するホルダ穴(33,50)を有して内ケース2の前開口より押し入れられる非使用位置と引き出される使用位置とに摺動切り換えられる。連結部材4は、内ケース2とホルダ本体3とを必要時に作動連結する。サイド保持板5は、ホルダ本体3を使用位置から非使用位置に切り換えるときに付勢力に抗して内側へ回動され、逆に非使用位置から使用位置に切り換えられるときに外側(横拡開方向)に付勢力により回動される。サブホルダ6は、下向き荷重を受けると付勢力に抗して下向きに回動してホルダ穴(33,50)の穴径を実質的に可変する。細部は以下の通りである。
【0013】
前記外ケース1は、図4に示されるごとく、樹脂製の枠状をなし、ケース内が上面12と、下面13と、両側面14とにより区画されると共に、上側に装着される金属製のプロテクタ10を有している。上面12には、ガイド溝12aが両側に設けられて前後方向に延びている。下面13には、切欠部13aが前側縁部分の一部を切り欠いた状態で設けられている。この切欠部13aは、下面前縁により形成されて、その一部に後述する連結部材4の爪部44(図13参照)を係脱する。爪部44が係合した状態では、内ケース2の更なる引き出しを許容するが、内ケース2を引出位置から格納位置方向への摺動を阻止する。両側面14には、下側に開口されて前後方向に延びている下ガイド溝14aと、内側にあって上下略中間で前後方向に延びているガイド溝15、及びガイド溝15より上側で前後方向に延びてガイド部材11を配置する上溝16とが設けられている。下ガイド溝14aの前端側には抜け止め用弾性突起14bが設けられている。符号17は両側面14に設けられた複数の取付孔である。プロテクタ10は、上面12を覆った状態で、ねじS1をプロテクタ側部に設けられた孔10aから取付孔17に係止することで取り付けられる。符号18a,18bは両側部14の上側で上溝16内に貫通されている係止穴である。ガイド部材11は、上溝16に挿入されると共に、背面側の係止爪11a,11bを対応する係止穴18a,18bに係入することで上溝内に装着される。
【0014】
前記内ケース2は、下面22及び両側面23を有した断面略コ形の金属プレス品であり、上側の開口が樹脂製のカバー20により閉じられる。下面22には、前側幅方向に開口された遊び窓22aと、後側に開口されている配置窓22bとが設けられている。各側面23には、後側に位置して略直角に外側に折り曲げられて前記ガイド溝14aに嵌合するストッパ23aと、上側にあって前後方向に延びてガイド部材21を配置する断面コ形の上溝24と、上溝24を形成している箇所にあって外面中間の取付穴24a及び外面角部の係止穴24bとが設けられている。ガイド部材21は、上溝24に挿入されると共に、背面側の係止爪21a,21bを対応する係止穴24b等に係入することで上溝内に装着される。カバー20は、両側の上溝24を形成している箇所に載せられる板部25と、板部25の両側に突設されてガイド部材11に摺動自在に嵌合される突起26aと、板部25の両側から下設されている取付部26bとからなり、両側面23の間を覆った状態で、ねじS2を取付部26bに設けられた孔26cから取付孔24aに係止することで取り付けられる。符号25a,25bは外ケース1の上面12との間に配置されるがたつき吸収用リブである。なお、板25の内面には、後述するサイド保持板5(の軸部56)の動きを案内するカム溝27aと、両側に設けられて前後方向に延びているガイド溝27b(図13を参照)とが設けられている。ガイド溝27bには前側にストッパ27cが設けられている。ストッパ27cは、後述するホルダ本体3が突起39をガイド溝27bに沿って前方へ摺動したとき突起39と当接し、ホルダ本体3の最前方位置つまり使用位置を規制する。
【0015】
また、配置窓22bには、図5に示されるように、両側に対向して連結部材4を枢支する支持片28aと、後縁部の立壁29とが設けられている。両支持片28aには同軸線上に軸孔が設けられている。立壁29には、係止部29aが片上側から幅方向に突設されている。連結部材4は、概略矩形状の板体40からなり、上面後側に大きく起立している係合解除用当接部41と、両側に突設されて支持片28aの軸孔に嵌合する軸42と、下面前側に突設されている爪部44と、上面前側にあって爪部44と反対側に突設されている同期用当接部45と、板体40の後側で片側に突設されて、板体40が両支持片28aに枢支された状態で下面22と係止部29aとの間に配置される回動範囲規制用の突起43と、板体40の上面側にあってコイル形のばね部材46を配置する凹所及び凹所に配置されたばね部材46を支持する軸部(何れも図示省略)とを一体に形成している。以上の連結部材4は、板体40がばね部材46を組み込んだ状態から、両側の支持片28aに軸孔及び軸42の嵌合を介して枢支される。その場合、突起43は下面22と係止部29aとの間に配置される。その後、ばね部材46は、一端側が立壁29上に係止され、他端側が付勢力を発現しながら板体40の前側に係止される。これにより、連結部材4は、軸42を支点として爪部44を下向きに押す方向へ回動付勢される。
【0016】
以上の内ケース2は、外ケース1に対し、両側のストッパ23aが弾性突起14bを乗り越えて下ガイド溝14aに嵌合するよう、又、爪部44が切欠部13aを乗り上げるよう連結部材4をばね部材46の付勢力に抗して回動しながら押し入れられる。すると、内ケース2は、外ケース1に対し突起26aとガイド部材11の嵌合などを介して前後摺動可能に組み付けられる。ストッパ23aは、内ケース2を最大まで引き出したとき、下ガイド溝14aの前端に当たって引出位置を確定し、内ケース2を最大まで押し込んだときに下ガイド溝14aの後端に当たって格納位置を確定する。
【0017】
前記ホルダ本体3は、内ケース2内に入れられる部分30と、部分30の前側に設けられた化粧板である操作部31と、部分30の前両側に設けられた縦穴33と、部分30の後側に設けられている基端部32と、基端部32に回動可能に支持されて、縦穴33に挿入される容器類の周面を縦穴33と共に拘束するサイド保持板5等を備えている。操作部31は、概略矩形状をなし、前面中央部に幅方向に長い凹状部31aが設けられ、手先を凹状部31aに入れて内上側の空間(図10を参照)に引っ掛けられるよう設計されている。縦穴33は、操作部31と基端部32との間に設けられ、載置部34上に位置しかつ横方向に開口した穴となっており、サイド保持板5の前湾曲部50と共にホルダ穴を形成する。基端部32は、上下に区画されていると共に、両側面に設けられて内ケース2のガイド部材21に嵌合する突起32aを有している。
【0018】
基端部32の下側には、図13に示されるように、前後中間部に下設された第1壁部39aと、該第1壁部39aの後面に位置して第1壁部の下端より斜め上側へ傾斜している第2壁部39bとが設けられている。第2壁部39bは後述する連結部材4の係合解除用当接部41に対し、第1壁部39aは同期用当接部45に対しそれぞれ作用する。
【0019】
基端部32の上側は、両壁及び後壁で縁取りされ、かつ、中間壁で区画されることで左右に配置空間を形成し、該配置空間が上側に装着される蓋37により閉じられる。その配置空間には、両側に突設された軸36を有し、該軸36などを利用してサイド保持板5の基端部51が回動可能に支持される。蓋37は、両側及び前中間部に設けられている取付用の穴37aと、両側の穴37aに接近して設けられているガイド溝37bと、上面に突設されて内ケース2の上面側に摺接する両側のリブ38a,38bと、両側に設けられて内ケース2のガイド溝27bと嵌合する弾性リブ39(図13を参照)とを有している。そして、蓋37は、基端部32の上側配置空間を覆った状態で、ねじS3を穴37aから端部32の上側に設けられている取付孔35aに係止することで装着される。この取付操作は、前記配置空間にサイド保持板5の基端部51を組み付けた後に行われる。
【0020】
サイド保持板5は前湾曲部50及び基端部51からなる。このうち、基端部51は、後側に設けられた上下の軸孔55と、上面に突設された軸部56と、軸部56の軸孔55から突出した部分に保持されてサイド保持板5を横拡開方向へ付勢するばね部材57などを有している。そして、基端部51は、前記配置空間に対し軸36と軸孔55との嵌合を介して所定角だけ回動可能に枢支される。ばね部材57は、軸部56を利用して保持された状態で、一端側が基端部32の上側の対応部に係止され、他端側がばね圧を発現しながら基端部51の対応部に係止されることで、サイド保持板5を横拡開方向へ回動付勢している。軸部56は、蓋37の対応するガイド溝37bを貫通し、上述した内ケースを構成している板25の内面に設けられているカム溝27と嵌合している。以上のサイド保持板5は、例えば、ホルダ本体3が内ケース2から引き出されて使用位置にある状態から、内ケース2に押し入れられる過程で軸部56が前記カム溝27の軌跡に沿って摺動されることにより、ばね部材57の付勢力に抗して内側(縮小)へ回動される。これにより、ホルダ本体3は、使用位置で横方向に広がっているサイド保持板5を付設していても、内ケース2に収納される過程でサイド保持板5を自動的に内側へ回動して非使用位置に切り換えられる。
【0021】
これに対し、前湾曲部50は、上述した縦穴33と共にホルダ穴を区画形成する。内面側にはサブホルダ6に対応した略矩形の窪み部52が設けられている。該窪み部52は、図7に示されるように、サブホルダ6を面一に収容可能な深さ及び内形状となっていて、内側面の上側に左右対向して設けられている軸孔52aと、内面の左右に突設されている縦リブ53と、両縦リブの上同士を連結している横リブ53aと、内面の上角部に貫通形成されている回動規制穴54などを有している。図6中、符号50aは前湾曲部50の外面側に設けられたコ形の凹所であり、支持穴54が該凹所の両側部分に貫通されている。そして、窪み部52には、サブホルダ6がばね部材58と共に組み付けられる。
【0022】
サブホルダ6は、図8に示されるように、前面60が前湾曲部50と略同じ曲率の曲面に形成され、背面61が縦リブ53及び横リブ53aを逃げる凹部61a、上側中間部に位置して小凹部を区画しているリブ64、先端側に突出されている複数本の誘導用リブ65を形成し、上両側が小突起62として形成され、両側面が上側に軸部63を形成している。リブ64内の小凹部には図8(b)のごとく左右に軸部が対向して設けられ、該両軸部に対しコイル形のばね部材58が支持される。各リブ65は略円弧状であり、先端側に接近して設けられている。
【0023】
以上のサブホルダ6は、リブ64内にばね部材58を支持した状態から、窪み部52に対し各小突起62を対応する回動規制穴54に差し込み、両側の軸部63を対応する軸孔52aに嵌合することにより回動可能に組み付けられる。その後、ばね部材58は、一端側がリブ64の対応部に設けられた不図示の係止穴に係止され、他端側が付勢圧を発現しながら横リブ53aに係止される。すると、サブホルダ6は、図9(a)に示されるように、ばね部材58の付勢力により軸部63を支点として上向きに回動され、下向き荷重を受けていない非使用態様で上記したホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜した状態となる。この場合、サブホルダ6は、前記した非使用態様において、上または基端側が縦リブ53の上面と窪み部52の上端面との間に位置していることと、両側の小突起62が回動規制穴54内に嵌合した状態となることで、上方向へ回動量を規制する。なお、この非使用態様において、上記したホルダ穴はサブホルダ6の存在により実質的な穴径が最小となる。
【0024】
以上のホルダ本体3は、例えば、上側の各リブ39(図13を参照)が弾性変位しながら内ケース2側の対応するガイド溝27bに嵌合されるよう、又、サイド保持板5の軸部56が上記したカム溝27aに配置されるようにして押し込まれる。すると、ホルダ本体3は、内ケース2に対し突起32aとガイド部材21の嵌合などを介して前後摺動可能に組み付けられる。
【0025】
(作動)以上の各部材は組立状態で次のような関係になっている。まず、内ケース2は、上記した突起26aとガイド部材11との嵌合、上記したガイド溝15と上溝24を形成している箇所との嵌合等を介して外ケース1に対し格納位置と前方へ引き出した引出位置との間で摺動切換可能となる。格納位置ではホルダ本体3の操作部31により又ストッパ23aにより規制され、引出位置ではストッパ23aが下ガイド溝14aの前端に当たって規制される。ホルダ本体3は、上記した突起32aとガイド部材21の嵌合などを介して内ケース2に対し非使用位置と前方へ引き出した使用位置との間で摺動切換可能となる。非使用位置では操作部31により規制され、使用位置ではリブ39がガイド溝27bのストッパ27cに当たることで規制される。サイド保持板5は、ホルダ本体3の非使用位置では縦穴33側へ回動されて内ケース2内にがたつきなく収まっており、又、ホルダ本体3が引き出される過程で縦穴33の外側へ回動して使用態様となる。
【0026】
この形態では、以上の基本作動に加えて連結部材4による作動が工夫されている。その点を図10〜図15を参照しながら説明する。
・図10はカップホルダ装置の非使用態様であり、内ケース2が格納位置、ホルダ本体3が非使用位置にある。この状態において、連結部材4は、当接部41が第2壁部39bにより後下向きに押圧され、該押圧によりばね部材46の付勢力に抗し軸部42を支点として時計回り、つまり爪部44が配置窓22bまで持ち上げられる方向へ回動されている。
・図11は図10の態様から凹状部31aに手先を入れて操作部31を引き操作した初期段階を示している。この過程では、ホルダ本体3が前方へ引かれると、まもなく第1壁部39aが後方から当接部45に当たる。以後は、ホルダ本体3と内ケース2とが第1壁部39a及び当接部45を介して連結状態となり、一体的に前方へ引き出される。
・図12は内ケース2がホルダ本体3と共に引き出されている引出途中で、連結部材4の爪部44が外ケース側切欠部13aに係合した態様を示している。つまり、連結部材4は、内ケース2がホルダ本体3と共に引き出されて、爪部44が切欠部13aに達すると、ばね部材46の付勢力ににより軸部42を支点として逆時計回り、つまり爪部44が切欠部13aに係合する方向へ回動される。この係合時には、内ケース2はストッパ23aと下ガイド溝14aの前端との係合により更なる前方への移動が阻止される。また、当接部45は、以上のようにして連結部材4が回動されることにより下側へ変位し、第1壁部39aから離れる。つまり、ホルダ本体3と内ケース2とは非連結の状態となる。
【0027】
・図13は、ホルダ本体3が内ケース2から単独で引き出され使用位置に切り換えられた態様を示している。ホルダ本体3は、使用位置において、弾性リブ39と内ケース側ガイド溝27bのストッパ27cとの係合により更なる前方移動が阻止される。また、サイド保持板5は、図3のごとくホルダ本体3が内ケース2から引き出されるのと連動して、縦穴33内から外へ回動して拡開状態となる。そして、使用者は、対象の容器を縦穴33とサイド保持板5の対応部とで形成されるホルダ穴に挿入したり引き抜くことになる。その場合、容器保持構造としては、従来構成に比べて次のような利点を有している。
【0028】
第1に、サブホルダ6は、容器が上から挿入されて下向き荷重を受けると、軸部63を支点として容器が通過するまでばね部材58の付勢力に抗して下向きに回動され、先端が容器周囲に当接する。この構造では、図9(b)のごとくサブホルダ6が最大まで下向きに回動された場合、窪み部52に完全に収容されて前湾曲部50の内壁部分と略面一になるため、従来のサブホルダに比べて、ホルダ穴が同径であっても容器の径許容量を拡大できる。また、設計上は、ホルダ穴を多少なりとも小さくして小型化を可能にする。
第2に、対象の容器は、下周囲に鍔状部を有していたり周囲に径小部を有していることもある。この構造では、そのような場合、載置部34で受け止められた容器について、容器周囲を縦穴33とサブホルダ6の先端側で保持している状態から、容器を引き抜くときに従来のように引っ掛かることなくスムースに引く抜くことができる。これは、サブホルダ6が先端の円弧状リブ65を容器側の鍔状部や径小部に当接することで引っ掛かりを生じないようにし、しかも、サブホルダ6が水平より上向きに傾斜するまで回動されるため、前記容器側の鍔状部や径小部が仮に引っ掛かっても通り抜けてしまうからである。
第3に、サブホルダ6を水平より上向きに傾斜した状態に付設した他の効果は次のような点にある。即ち、図16(b)はサブホルダ8が従来のごとく水平又は多少下斜めに配置されるタイプである。この場合は、容器Cが極めて細くホルタ穴(33,50)内で同図のごとく傾いてサブホルダ8に当たると、該サブホルダ8が元々傾き易い水平となっているため一点鎖線のごとく容器Cの荷重により倒れる方向へ更に傾斜し容器内から液がこぼれ易くなる。これに対し、図16(a)に模式化した本発明のサブホルダ6では、同図のごとく容器Cが極めて細くホルタ穴(33,50)内で同図のごとく傾いてサブホルダ6に当たっても、水平より上向きに傾斜しているため不用意に倒れるというような不具合を解消できる。
【0029】
・図14はカップホルダ装置を必要としなくなって、図13の態様から凹状部31aに手先を入れて操作部31を押し操作した途中状態を示している。ホルダ本体3は、押されると、内ケース2に押し入れられる。その際、内ケース2は爪部44が切欠部13aと係合して動かない。そして、この構造では、ホルダ本体3が内ケース2に完全に押し入れられる少し前段階で、同図のごとく第2壁部39bが当接部41に当たることになる。
・図15は、ホルダ本体3が更に内ケース2に押し入れた状態を示している。この状態において、連結部材4は、第2壁部39bから当接部41に加わる負荷によりばね部材46の付勢力に抗し軸部42を支点として時計回り、つまり爪部44が切欠部13aから外れる方向に回動される。すると、以降は、図1に示されるように、ホルダ本体3が内ケース2に完全に入れられた非使用位置に切り換えられると共に、内ケース2が外ケース1に完全に入れられた格納位置に切り換えられる。これにより、この構造では、課題に挙げた問題を構成部材数を少なくしながら全て解消できる。
【0030】
以上の形態は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項1と2の特定要件を除いて、この形態例を基にして種々変形可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】発明形態の装置をホルダ本体の非使用位置で示す概略外観図である。
【図2】図1の装置を内ケースの引出位置で示す概略外観図である。
【図3】図1の装置をホルダ本体の使用位置で示す概略外観図である。
【図4】図1の装置を構成している外ケースを示す模式構成図である。
【図5】図1の装置を構成している内ケースを示す模式構成図である。
【図6】図1の装置を構成しているホルダ本体を示す模式構成図である。
【図7】図1の装置を構成しているサイド保持板等を示す模式構成図である。
【図8】図7のサイド保持板に付設されるサブホルダを示す構成図である。
【図9】図7のサブホルダの作動を示す模式構成図である。
【図10】図1と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図11】図10の態様から引き操作した初期段階を示す模式断面図である。
【図12】図2と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図13】図3と同じ態様で装置を前後方向に縦断面した模式断面図である。
【図14】図13からホルダ本体を非使用位置へ押している模式断面図である。
【図15】図14から内ケースと外ケースが非連結となった模式断面図である。
【図16】本発明のサブホルダの利点を従来例との対比で示す模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1…外ケース(13は下面、13aは切欠部、16aは凹部)
2…内ケース
3…ホルダ本体(39aは第1壁部、39bは第2壁部)
4…連結部材(40は板体、42は軸、43は回動範囲規制用突起)
5…サイド保持板(51は基端部、52は窪み部)
6…サブホルダ(63は軸部、65は誘導用リブ)
33…縦穴(ホルダ穴)
41…係合解除用当接部
44…爪部
45…同期用当接部
46,57,58…ばね部材
50…前湾曲部(ホルダ穴)
C…容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ケースと、前記外ケースの前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、前記内ケースの前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、
前記外ケースの前側に設けられている切欠部と、
前記内ケースに枢支されて、前側にそれぞれ設けられて前記内ケースの格納位置で前記ホルダ本体を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって前記内ケースと共に引出可能にする同期用当接部及び前記内ケースを引出位置までほぼ引き出したときに前記切欠部に係合する爪部、並びに後側に設けられて前記ホルダ本体を使用位置から非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって前記爪部の前記切欠部に対する係合を解除可能な解除用当接部を有している連結部材と、
前記爪部を前記切欠部に係合する方向へ前記連結部材を付勢しているばね部材とを備えていることを特徴とするカップホルダ装置。
【請求項2】
前記内ケースは、前記爪部を前記切欠部に係合した状態で引出位置から格納位置方向への摺動が規制されると共に、前記外ケースに設けられたガイド溝に嵌合している突起を有し、前記突起を前記ガイド溝の前端側に当接した状態で引出位置から更に前方への摺動が規制されることを特徴とする請求項1に記載のカップホルダ装置。
【請求項3】
外ケースと、前記外ケースの前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、前記内ケースの前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、
前記ホルダ本体は、容器底面を受ける載置部及び容器周囲を保持するホルダ穴と、前記ホルダ穴を区画している内壁部分に設けられた窪み部と、前記窪み部に回動可能に枢支され、かつ上から下向き荷重を受けるとばね部材の付勢力に抗して下向きに回動して前記ホルダ穴の穴径を実質的に可変するサブホルダとを有していると共に、前記サブホルダが最大まで下向きに回動されたとき前記窪み部に収容されて前記内壁部分と略面一となることを特徴とするカップホルダ装置。
【請求項4】
前記サブホルダは、下向き荷重を受けていない状態で前記ホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜していると共に、先端側の下面に容器の引っ掛かり防ぐ誘導用のリブを突設していることを特徴とする請求項3に記載のカップホルダ装置。
【請求項5】
前記ホルダ本体は、前記載置部上に設けられて容器周囲の一部を保持可能、かつ横方向に開口している縦穴と、回動可能に枢支されかつ横拡開方向へ付勢されて前記ホルダ穴を前記縦穴と共に形成しているサイド保持板とを有し、前記サブホルダを前記サイド保持板に付設している請求項3又は4に記載のカップホルダ装置。
【請求項1】
外ケースと、前記外ケースの前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、前記内ケースの前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、
前記外ケースの前側に設けられている切欠部と、
前記内ケースに枢支されて、前側にそれぞれ設けられて前記内ケースの格納位置で前記ホルダ本体を非使用位置から引き出している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって前記内ケースと共に引出可能にする同期用当接部及び前記内ケースを引出位置までほぼ引き出したときに前記切欠部に係合する爪部、並びに後側に設けられて前記ホルダ本体を使用位置から非使用位置方向へ押している途中で該ホルダ本体の対応部に当たって前記爪部の前記切欠部に対する係合を解除可能な解除用当接部を有している連結部材と、
前記爪部を前記切欠部に係合する方向へ前記連結部材を付勢しているばね部材とを備えていることを特徴とするカップホルダ装置。
【請求項2】
前記内ケースは、前記爪部を前記切欠部に係合した状態で引出位置から格納位置方向への摺動が規制されると共に、前記外ケースに設けられたガイド溝に嵌合している突起を有し、前記突起を前記ガイド溝の前端側に当接した状態で引出位置から更に前方への摺動が規制されることを特徴とする請求項1に記載のカップホルダ装置。
【請求項3】
外ケースと、前記外ケースの前開口から前方へ突出した引出位置及び外ケースに収納される格納位置に摺動切換可能な内ケースと、前記内ケースの前開口から前方へ引き出した使用位置及び内ケースに収納される非使用位置に摺動切換可能なホルダ本体とを備え、前記各位置への切換操作を前記ホルダ本体の前面側を引いたり押すことで行うカップホルダ装置において、
前記ホルダ本体は、容器底面を受ける載置部及び容器周囲を保持するホルダ穴と、前記ホルダ穴を区画している内壁部分に設けられた窪み部と、前記窪み部に回動可能に枢支され、かつ上から下向き荷重を受けるとばね部材の付勢力に抗して下向きに回動して前記ホルダ穴の穴径を実質的に可変するサブホルダとを有していると共に、前記サブホルダが最大まで下向きに回動されたとき前記窪み部に収容されて前記内壁部分と略面一となることを特徴とするカップホルダ装置。
【請求項4】
前記サブホルダは、下向き荷重を受けていない状態で前記ホルダ穴内にあって水平より少し上向きに傾斜していると共に、先端側の下面に容器の引っ掛かり防ぐ誘導用のリブを突設していることを特徴とする請求項3に記載のカップホルダ装置。
【請求項5】
前記ホルダ本体は、前記載置部上に設けられて容器周囲の一部を保持可能、かつ横方向に開口している縦穴と、回動可能に枢支されかつ横拡開方向へ付勢されて前記ホルダ穴を前記縦穴と共に形成しているサイド保持板とを有し、前記サブホルダを前記サイド保持板に付設している請求項3又は4に記載のカップホルダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−82769(P2006−82769A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271773(P2004−271773)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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