説明

カップリング装置

工具を、長手軸(2)を有する駆動軸(3)と結合するためのカップリング装置(1)であって、A)長手軸(2)に対して同軸に配置され、駆動軸(3)と結合された、工具(8)を取外しできるように固定可能に収容するための第1のロック手段(31)を有する第1のクランプ装置(4)と;B)同軸に配置され、クランプ装置(4)をその軸方向の長さの一部において包囲する、第1のロック手段(31)をロックまたはアンロックするための、軸方向に移動可能なジャケット(6)とを有し、その場合にC)カップリング装置(1)が付加的に、長手軸(2)に対して同軸に配置され、駆動軸(3)と結合された、工具(8)を取外しできるように固定可能に収容するための第2のロック手段(32)を有する第2のクランプ装置(5)を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の上位概念に記載のカップリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、下顎骨、三日月状または矢状の鋸刃のような、回転振動する外科用鋸刃は、その振動運動のために好ましくは駆動軸と回転的に相補形状で結合される。
【0003】
従来技術(たとえば、特許文献1を参照)からは、この種類のカップリング装置が知られており、そのカップリング装置は外科用の鋸刃を駆動装置と取外し可能に結合するためにロック手段を有している。ロック手段は、駆動軸の長手軸に対して平行に配置されたガイド手段を有しており、そのガイド手段が鋸刃の開口部内へ、鋸刃が長手軸に対して横方向かつ駆動軸の添接面に対して平行に摺動できるように、導入可能である。鋸刃がセンタリングされた場合に、同様に長手軸に対して平行に配置された2本のピンが開口部へ嵌入するので、鋸刃は回転的に相補形状で駆動軸と結合される。さらに、駆動軸には、端部固定で同軸にボルトが配置されており、そのボルトのねじヘッドはボルトを締め付けた場合に鋸刃に対して軸方向に押圧されるので、鋸刃は軸方向においても固定されている。この既知のカップリング装置の欠点は、完全に所定のタイプのクランプセグメントを有する鋸刃しか、カップリング装置に収容できないことである。
【特許文献1】米国特許明細書US5702415 MATTHAI
【発明の開示】
【0004】
ここで、本発明は、欠点を除去しようとしている。本発明の課題は、様々なクランプセグメントを有する種々の鋸刃を駆動軸と結合することを許す、カップリング装置を提供することである。
【0005】
本発明は、設定された課題を、請求項1の特徴を有するカップリング装置によって解決する。
【0006】
本発明の他の好ましい形態が、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によって得られる利点は、大体において、本発明に基づくカップリング装置によって:
−種々のクランプセグメントを有する工具を使用することができ;かつ
−種々の工具、たとえば、周面に配置された鋸歯を有するシャフトのない、平坦な鋸刃、あるいはクランプシャフトと前側にアーチ状に配置された鋸歯を有する湾曲した鋸刃を、唯一のカップリング装置内へ挿入することができる、ことにある。
【0008】
好ましい実施形態において、第1のクランプ装置は、工具のクランプ手段が長手軸に対して同軸に導入可能であるように、形成されている。それによって、クランプピンを有する、市場で一般的な外科用工具がクランプ装置内にクランプ可能である、という利点を得ることができる。
【0009】
他の実施形態においては、第2のクランプ装置は、工具が長手軸に対して横方向に導入可能であるように、形成されている。ここでも、市場で一般的なブレード状に形成された外科用工具がクランプ装置内にクランプ可能である、という利点を得ることができる。
【0010】
また他の実施形態においては、第1と第2のクランプ装置が、ジャケットの軸方向の摺動によってロック可能かつアンロック可能である。それによって、カップリング装置を簡単に構成することができる、という利点を得ることができる。好ましくはジャケットは押圧ばねによって、ロックされたクランプ装置を有する軸方向の位置に保持される。それによってクランプ装置の簡単な操作、すなわちロックまたはアンロックが達成できる。
【0011】
他の実施形態においては、第1のクランプ装置は、長手軸に対して回転的で、かつ軸方向においては相補形状の、工具との結合が形成できるように、形成されている。好ましくは第2のクランプ装置も、長手軸に対して回転的で、軸方向に相補形状の、工具との結合が達成できるように、形成されている。それによって工具を2つのクランプ装置のいずれにおいてもしっかりと固定することが保証されている。
【0012】
本発明および本発明の展開を、以下で複数の実施例の一部図式的な表示を用いてさらに詳細に説明する。
【0013】
(図面の簡単な説明)
図1は、本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、アンロックされたクランプ装置と共に示す縦断面図である。
図2は、図1に示す本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、ロックされたクランプ装置および第1のクランプ装置内にクランプされた外科用鋸刃と共に示す縦断面図である。
図3は、図1と2に示す本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、ロックされたクランプ装置および第2のクランプ装置内にクランプされた外科用鋸刃と共に示す縦断面図である。
図4は、ピン形状のクランプセグメントを有する下顎骨鋸刃を示す側面図である。
図5は、ピン形状のクランプセグメントを有する三日月状の鋸刃を示す側面図である。
図6は、平坦なU字状のクランプセグメントを有する矢状の鋸刃を示す上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から3には、実施形態が示されており、その実施形態は、図4と5に示す工具8のための第1のクランプ装置4と、図6に示す工具8のための第2のクランプ装置5を有する、長手軸2に対して同軸のカップリング装置1を有している。2つのクランプ装置4;5は、異なるように形成されている。第1のクランプ装置4は、工具8のピン形状のクランプセグメント19(図4と5)のための、第1の同軸の収容部33を有し、第2のクランプ装置5は、平坦なU字状のクランプセグメント22(図6)のための、クランプ装置1の周面に配置された第2の収容部34を有している。
【0015】
工具8(図4から6)として、ここでは鋸刃の種々の実施形態が示されており、その場合に図4には下顎骨鋸刃が示され、図5には三日月形鋸場が、そして図6には矢状の鋸刃が示されている。これらは、それぞれクランプセグメント19;22の形態に応じて、付属のクランプ装置4;5の第1または第2の収容部33;34内へ導入されて、第1ないし第2のロック手段31;32によってカップリング装置1内に固定される。クランプされた工具8が、カップリング装置1によって駆動軸3と結合される。ここに図示された実施形態において、駆動軸3は、軸方向において駆動モータ9とカップリング装置1の間に配置された伝導機構10によって長手軸2を中心に回転振動するように駆動される。
【0016】
2つのクランプ装置4;5は、そのジャケット6の軸方向の摺動によって同時にロックされ、またはアンロックされる。図1においては、2つのクランプ装置4;5の操作に用いられるジャケット6が、その後方の位置で示されている。ジャケット6のこの後方の位置において、2つのクランプ装置4;5はアンロックされているので、ピン状のクランプセグメント19を有する工具8が第1のクランプ装置4内へ導入可能であり、あるいは平坦なU字状のクランプセグメント22を有する工具8が第2のクランプ装置5内へ導入可能である。
【0017】
第1のクランプ装置4は、カップリング装置1の自由端部11において、工具8のピン形状のクランプセグメント19を収容するための、カップリング装置1の自由端部11において開放した、同軸の中空室13を備えた第1の回転連動子14を有している。中空室13は、カップリング装置1の自由端部11において、長手軸2に対して直交する丸くない横断面を有する中空室セグメント38と、軸方向に隣接する円形円筒状の中央孔16を有している。外側に位置する中空室セグメント38は、2つの平行な側面17と長手軸2に対して同心のアーチ形状の2つの側面18とを有する楕円形の開口部からなるので、第1の回転連動子14と相補的に形成された工具8のピン状のクランプセグメント19(図4と5)との間に、長手軸2を中心とする回転に関して相補形状の結合が形成可能である。第1のクランプ装置4の第1のロック手段31は、球21を有しており、その球が、長手軸2に対して直交する孔軸24を有する孔23内に長手軸2に対して横方向に摺動可能に軸承されている。球21は、ジャケット6の孔7内の、長手軸2に対して平行なガイド溝28の内側端部27に設けられた斜めカット26によって移動可能であって、それぞれジャケット6の軸方向の位置に応じて工具8(図4と5)のピン状のクランプセグメント19に設けられた環状の溝30内へ係止可能であり、あるいは係止解除可能である。ジャケット6は、ジャケット6の孔7内に同軸に配置された、駆動軸3に軸方向に支持される押圧ばね15によって、クランプ装置1の自由端部11に対して圧接されて、その前方の位置に保持される。この前方の位置において、2つのクランプ装置4;5はロックされており、すなわち第1のクランプ装置4において球21が工具8のピン状のクランプセグメント19に設けられた環状の溝30内へ圧入され、それによって工具8が軸方向に相補形状で固定される。工具8のピン状の結合セグメント19が挿入されていない場合に、球21が孔23から抜け落ちることができないようにするために、孔23は中央孔16への入口で狭くなっている。
【0018】
第2のクランプ装置5は、カップリング装置1の自由端部11から軸方向に引っ込んで配置された、第2のロック手段32を備えた、第2の回転連動子20を有している。この第2のロック手段32は、大体においてピン29からなり、そのピンの軸線は長手軸2に対して同軸の円形円筒面上に配置されている。ピン29は、その固定の端部35が、ジャケット6の前方の端部37に設けられた孔25内へ圧入されており、ピン29の自由端部36は第2のロック手段32がロックされている場合に、第1の回転連動子14に設けられた整合する孔38内へ嵌入する。ピン29は、クランプ装置5がロックされる場合に、工具8(図6)の平坦なU字状のクランプセグメント22内の相補的な孔39に挿通されるので、この工具が駆動軸3と回転的に相補形状で結合される。軸方向においては、工具8の平坦なU字状のクランプセグメント22は、第1の回転連動子14とジャケット6の前方の端部37との間に固定される。
【0019】
図2には、カップリング装置1が、クランプされた工具8と共に、ロックされた状態で示されており、その場合に工具8は、ピン形状のクランプセグメント19を有しており、それが第1のクランプ装置4内に固定されている。駆動軸3から工具8への、長手軸2を中心とするトルクの伝達は、回転連動子14によって引き受けられる。回転する連動子14の中空室セグメント38内に配置されている、2つの平行な側面17によって、回転連動子14と工具8の第1のクランプセグメント19との間に回転的に相補形状の結合が形成される。第1のクランプ装置4の内部の第1のクランプセグメント19の軸方向の固定は、ピン形状のクランプセグメント19の周面に形成された溝30内へ嵌入する球21によって軸方向に相補形状で行われる。
【0020】
図3には、カップリング装置1がクランプされた工具8と共に、同様にロックされた状態で示されており、その場合に工具8は平坦なU字状のクランプセグメント22を有しており、それが第2のクランプ装置5内に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、アンロックされたクランプ装置と共に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、ロックされたクランプ装置および第1のクランプ装置内にクランプされた外科用鋸刃と共に示す縦断面図である。
【図3】図1と2に示す本発明に基づくカップリング装置の実施形態を、ロックされたクランプ装置および第2のクランプ装置内にクランプされた外科用鋸刃と共に示す縦断面図である。
【図4】ピン形状のクランプセグメントを有する下顎骨鋸刃を示す側面図である。
【図5】ピン形状のクランプセグメントを有する三日月状の鋸刃を示す側面図である。
【図6】平坦なU字状のクランプセグメントを有する矢状の鋸刃を示す上面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 カップリング装置、2 長手軸、3 駆動軸、4 第1のクランプ装置、5 第2のクランプ装置、6 ジャケット、 8 工具、19 クランプセグメント、22 クランプセグメント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)長手軸(2)に対して同軸に配置され、駆動軸(3)と結合された、工具(8)を取外しできるように固定可能に収容するための第1のロック手段(31)を有する第1のクランプ装置(4)と;
B)同軸に配置され、クランプ装置(4)をその軸方向の長さの一部において包囲する、第1のロック手段(31)をロックまたはアンロックするための、軸方向に移動可能なジャケット(6)と、
を有する、工具を長手軸(2)を有する駆動軸(3)と結合するためのカップリング装置(1)において、
C)カップリング装置(1)がさらに、長手軸(2)に対して同軸に配置され、駆動軸(3)と結合された、工具(8)を取外しできるように固定可能に収容するための、第2のロック手段(32)を備えた第2のクランプ装置(5)を有していることを特徴とするカップリング装置。
【請求項2】
第1のクランプ装置(4)が、工具(8)を長手軸(2)に対して同軸に導入することを許すことを特徴とする請求項1に記載のカップリング装置(1)。
【請求項3】
第2のクランプ装置(5)が、工具(8)を長手軸(2)に対して横方向に導入することを許すことを特徴とする請求項1または2に記載のカップリング装置(1)。
【請求項4】
第1のクランプ装置(4)と第2のクランプ装置(5)が、ジャケット(6)の軸方向の摺動によってロック可能かつアンロック可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカップリング装置(1)。
【請求項5】
ジャケット(6)が、押圧ばね(15)によって、ロックされたクランプ装置(4、5)を有する軸方向の位置に保持されることを特徴とする請求項4に記載のカップリング装置(1)。
【請求項6】
第1のクランプ装置(4)が、工具(8)との、長手軸(2)に関して回転的で、軸方向には相補形状の結合を許すことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカップリング装置(1)。
【請求項7】
第2のクランプ装置(5)が、工具(8)との、少なくとも長手軸(2)に関して回転的な相補形状の結合を許すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のカップリング装置(1)。
【請求項8】
カップリング装置が、付加的に工具(8)、特に鋸工具を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のカップリング装置(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−523753(P2007−523753A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511628(P2005−511628)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000816
【国際公開番号】WO2005/056256
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(500156069)ジンテーズ ゲゼルシャフト ミト ベシュレンクテル ハフツング (34)
【住所又は居所原語表記】Eimattstrasse 3, CH−4436 Oberdorf, Swizerland
【Fターム(参考)】