説明

カップ付容器

【課題】容器に収納された液状の内容物を片手だけでカップに移し替えることが容易にでき、しかも容器外面への内容物の液だれを防止できるカップ付容器を提供する。
【解決手段】ポンプ操作或いは押圧操作により、液状の内容物を吐出可能となした吐出容器2と、吐出容器2に着脱自在に取り付けたカップ3とを有するカップ付容器1であって、カップ3の底部に上方へ突出する嵌合筒部3aを設け、吐出容器2に、カップ3を着脱自在に内嵌保持する有底な筒状のカップホルダ本体6aと、カップホルダ本体6aの底部に上方へ突出状に設けた吐出筒部6bとを有するカップホルダ6を設け、カップ3の嵌合筒部3aを吐出筒部6bに外嵌させて、カップホルダ6にカップ3を内嵌保持させた状態で、ポンプ操作或いは押圧操作により内容物を吐出筒部6bの上端開口部から吐出させて、カップ3内に内容物を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収納されている液状の内容物を移し替えるためのカップを備えたカップ付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗口液や洗眼液、うがい薬や飲み薬、柔軟剤や漂白剤等のように、計量カップに一定量を移し替えて使用する液状の内容物を収納するための容器として、容器本体と蓋とを備えた一般的な構成の容器が広く採用されている。このような一般的な構成の容器に収納した内容物を使用する際には、容器本体から蓋を外した後、一方の手で計量カップを保持するとともに、他方の手で内容物が入った容器本体を保持し、容器本体を傾けて内容物をカップに移し替えて使用することになる。また、内容物を移し替える計量カップとしては、容器本体に螺合されるキャップ(蓋)を計量カップとして利用できるように構成したものや、容器とは別個に計量カップを備えさせたりしたものが広く採用されている。
【0003】
また、シャンプーやリンス、ハンドソープなどの比較的粘性の高い液状の内容物を収納する容器として、手動ポンプを備えた容器も広く実施されている。この容器では、容器本体を台上に載置した状態で、一方の手で手動ポンプのヘッド部を上下方向に押動操作(ポンプ操作)し、他方の手でヘッド部から吐出される内容物を受け取るように構成されている。このため、この容器では、容器本体を手で持ち上げることなく、内容物を注出することができる。
【0004】
ところで、この手動ポンプを備えた容器では、上下方向に押動操作するヘッド部から内容物が吐出されるので、一方の手で手動ポンプのヘッド部を上下方向に押動操作し、他方の手でヘッド部から吐出される内容物を受け取ることは比較的容易に行えるが、他方の手にカップを保持し、これに内容物を吐出させることは、カップとヘッド部の位置関係が安定しないことから、極めて困難な作業となる。そこで、手動ポンプを備えた容器において、カップ内へ内容物を容易に吐出できるように、手動ポンプのヘッド部に着脱可能に取り付けられる固定部と、カップを着脱可能に支持するキャップ部とを有するアダプタを備えた容器も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1記載の容器では、カップをキャップ部に取り付けた状態で、手動ポンプを上下方向に押動操作することにより、他方の手でカップを保持することなく、手動ポンプのヘッド部からカップへ容易に内容物を注出することができる。そして、内容物の注出後、カップをキャップ部から取り外して内容物を使用し、また使用後にはカップをキャップ部に取り付けて容器を保管することができる。
【0005】
一方、容器本体の胴部を押圧操作して内容物を取り出し可能なスクイズ容器として、胴部を押圧操作可能な容器本体と、底部の中央に上方に突出した嵌合筒部を有する筒状のカップと、前記容器本体の上端開口部に嵌合装着した基部と、前記基部の中央に穿設させた透孔の外周縁より上方へ起立した上面開口の注出筒部と、前記注出筒部に前記カップを外嵌させた状態でカップを被覆し、容器本体に装着されるキャップ部とからなる計量具付スクイズ容器が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この計量具付スクイズ容器では、容器本体の胴部を押圧操作すると、容器本体に収納された内容物が注出筒部を通じてカップに注出される。そして、キャップ部を容器本体から取り外した後に、カップを容器本体から取り出し、当該カップに注出された内容物を使用し、また使用後にはカップを注出筒部に外嵌させ、キャップを容器本体の上端部に螺合して、容器を保管できるように構成されている。
【特許文献1】実開平6−76103号
【特許文献2】実開平3−60259号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記容器本体と蓋とを備えた一般的な構成の容器では、内容物が収納された容器本体を一方の手で保持するとともに、他方の手でカップを保持し、容器本体を傾けてカップに内容物を注ぐ必要があり、内容物が入った容器本体を片手で持ち上げなければならず、握力の弱い子供や高齢者や上肢に何らかの障害がある人にとっては、このような内容物の注出作業に不便さを感じたり困難さを感じたりする場合が少なからずあった。また、子供や高齢者や上肢に何らかの障害がある人等が容器本体を保持している手を滑らせ容器本体を横転させ、収納されている内容物をこぼしてしまうこともあった。加えて、内容物をカップに注ぐときには、カップと容器本体とをそれぞれ保持する必要性があり、怪我などで両手を同時に使えない人や上肢に何らかの障害がある人にとっては、他の人の補助や道具などを必要としなければならなかった。
【0007】
また、上記特許文献1記載の容器では、キャップ部にカップを取り付けた状態で、片手で手動ポンプのヘッド部を上下方向に押動させることで、容器内の内容物をカップに注出できるので、両手を同時に使えない人や上肢に何らかの障害のある人でも容易に操作することができる。しかしながら、キャップ部の下側にカップが支持される関係上、キャップ部に対してカップを取り付ける際に、キャップ部におけるカップの取付部を目視できず、カップの取り付けに手間取るという問題があった。また、キャップ部に対して側方よりカップを嵌合させて、キャップ部にカップを取り付ける関係上、一方の手で容器本体を保持し、他方の手でカップを保持した状態で、カップを取り付ける必要があり、両手を同時に使えない人や上肢に何らかの障害のある人にとって、取り扱い難いものであった。更に、内容物の使用時等において、カップの外周面に内容物が付着すると、この付着した内容物が液だれし、容器本体の外面を汚したり、容器本体を載置している台に付着することがあった。加えて、カップが容器本体よりも水平方向外側に突出しているので、カップが他物に接触して脱落することがあった。
【0008】
さらに、上記特許文献2記載のスクイズ容器では、前記キャップが容器本体に螺合されているため、片手だけではキャップを容器本体から取り外すことが困難であり、両手で操作する必要性があるので、前記と同様に、両手を同時に使えない人や上肢に何らかの障害がある人にとっては操作し難いものであった。
また、注出筒部から吐出される内容物の一部が、注出筒部とそれに外嵌される嵌合筒部との隙間を通って、容器本体の外面に液だれして、容器本体を汚してしまったり、容器本体とキャップの螺合部分で固化して、キャップが取り外し難くなったりするなどの問題があった。更に、内容物が注出筒部から上方へ噴き上がらないようにするため、注出筒部から吐出される内容物をカップ内へ案内する案内通路を形成したキャップ状部材を嵌合筒部の上端部に取り付けているので、キャップ状部材内に形成した案内通路に、内容物が残留して固化することがあった。
【0009】
本発明は、係る問題に鑑み、容器に収納された液状の内容物を片手だけでカップに移し替えることが容易にでき、しかも容器外面への内容物の液だれを防止できるカップ付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカップ付容器は、ポンプ操作或いは押圧操作により、液状の内容物を吐出可能となした吐出容器と、吐出容器に着脱自在に取り付けたカップとを有するカップ付容器であって、前記カップの底部に上方へ突出する嵌合筒部を設け、前記吐出容器に、前記カップを着脱自在に内嵌保持する有底な筒状のカップホルダ本体と、前記カップホルダ本体の底部に上方へ突出状に設けた吐出筒部とを有するカップホルダを設け、前記カップの嵌合筒部を吐出筒部に外嵌させて、カップホルダにカップを内嵌保持させた状態で、ポンプ操作或いは押圧操作により内容物を吐出筒部の上端開口部から吐出させて、カップ内に内容物を供給することを特徴とするものである。
【0011】
前記カップホルダの上面開口に蓋部材を設け、カップホルダ本体の周壁上部に1対の切欠部を設けてもよい。
【0012】
前記蓋部材の下面に前記吐出筒部から上方へ吐出させた内容物をカップ内へ案内するガイド筒部を一体的に設けてもよい。
【0013】
前記カップホルダの底部上面或いはカップの底部下面に突起を設けてもよい。
【0014】
前記吐出筒部の上端部に、前記内容物の吐出方向を側方に切り替える吐出方向切替部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカップ付容器によれば、カップホルダにカップを内嵌させた状態で、ポンプ操作或いは押圧操作を行うことにより、吐出筒部からカップ内に内容物を吐出させることができる。そのため、容器本体を持ち上げることなく、片手で操作して内容物をカップ内に移し替えることが可能となり、子供や高齢者や上肢に何らかの障害がある人でも容易に操作できる。
【0016】
また、有底筒状のカップホルダ本体にカップを内嵌保持するので、カップに内容物が付着していたとしても、この付着した内容物はカップホルダ本体内に溜まり、容器外面側へ液だれすることはないので、液だれにより容器外面が汚れることを防止できる。
【0017】
また、カップホルダ本体の周壁上部に1対の切欠部を設けると、この切欠部に指を挿入してカップを摘み、カップホルダに対してカップを容易に着脱することができる。また、カップホルダの上方へカップを持ち上げて、カップホルダからカップを取り出すことができるので、側方へカップを移動させる場合と比較して、カップを取り出すときにおける、カップ内の内容物の揺れを少なくして、内容物がカップから零してしまうことを防止できる。さらに、この切欠部により、カップとカップホルダとの間に空気が入りやすくなるため、カップとカップホルダとの密着を防ぎ、よりカップを取り出しやすくすることができる。
【0018】
ここで、前記カップホルダの上面開口を開閉可能な蓋部材を備えさせると、ポンプ操作により内容物を吐出させる容器において、蓋部材を押下するだけで内容物をカップ内に吐出させることができる。また、保管時におけるカップ内への異物の侵入も蓋部材で防止できる。
【0019】
前記蓋部材の下面にガイド筒部を備えさせると、蓋部材とカップホルダとの嵌合部からカップホルダの外面側へ、内容物が漏れ出すことを確実に防止できる。つまり、吐出筒部から上方へ吐出された内容物は、蓋部材の下面に当たって、カップ内に流入するが、その一部は蓋部材の下面に沿って、蓋部材とカップホルダとの嵌合部間へ移動しようとする。本発明では、蓋部材の下面に沿って外周側へ移動する内容物の流れを、ガイド筒部により下側へ切替えて、該内容物をガイド筒部の下端部からカップ内へ滴下させることで、蓋部材とカップホルダとの嵌合部間に内容物が浸入することを防止して、嵌合部からカップホルダの外面側へ内容物が漏れ出すことを確実に防止できる。
【0020】
カップホルダの底部上面に突起を設けたり、或いはカップの底面下部に突起を設けることによって、カップの底部下面とカップホルダの底部上面に隙間を設けることができ、カップとカップホルダとの密着を防止して、より一層カップを取り出しやすくすることができる。
【0021】
吐出方向切替部を吐出筒部の上端部に形成し、容器の内容物を側方に吐出させる場合には、内容物が蓋部材の下面に接触することを防止して、蓋部材の下面を伝って内容物が外部に漏れ出すことを未然に防止できる。また、内容物を側方に吐出させるので、蓋部材を開放した状態でも内容物をカップに吐出させることができる。このため、カップに対する内容物の吐出量を目視しながら、内容物を吐出させることができ、カップに対して適量の内容物を容易に吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係るカップ付容器は、液状の内容物を収納し、この内容物を吐出可能となした吐出容器と、吐出容器に着脱自在に取り付けたカップとを備えている。
吐出容器に収納される内容物は、洗口液や洗眼液、うがい薬や飲み薬、醤油やソースや液状甘味料等の調味料、ごま油やサラダ油等の食用油、柔軟剤や漂白剤、シャンプーやリンスやハンドソープ等の液体であるが、手動ポンプのポンプ操作や押圧容器の押圧操作によって吐出可能なもので有れば、上記以外の内容物を収納することもできる。
以下に説明する第1実施形態のカップ付容器は、吐出容器に収納された内容物をポンプ操作でカップに吐出するカップ付容器に関するものであり、第2実施形態のカップ付容器は、吐出容器に収納された内容物を押圧操作でカップに吐出するカップ付容器に関するものである。
【0023】
第1実施形態のカップ付容器1は、図1〜図5に示すように、カップ3と、液状の内容物をカップ3に吐出する吐出容器2とから構成されている。
吐出容器2は、液状の内容物を収納する容器本体4と、容器本体4の上端開口部に気密状に取り付けた手動ポンプ5と、手動ポンプ5の吐出管5bの上端に着脱自在に取り付けたカップホルダ6とを備え、カップホルダ6にカップ3を内嵌させた状態で、カップホルダ6を上下方向に押動させることで、内容物をカップ3内に吐出可能となしたものである。
【0024】
手動ポンプ5は、容器本体4内の内容物を上方へ吸い上げるポンプ本体5aと、ポンプ本体5aによって吸い上げた内容物を吐出する筒状の吐出管5bと、容器本体4の口部4aに螺合されて、容器本体4の口部4aを気密に封止するとともに手動ポンプ5を容器本体4に固定支持するポンプ固定部材5cと、ポンプ本体5aの下端に接続され、容器本体4の内部底面まで垂下した吸い上げパイプ5dとを備え、次のように構成されている。尚、手動ポンプ5としては、カップホルダ6を上下方向に押動させることで、内容物を吐出可能なものであれば、以下に説明する構成以外の任意の構成のものを採用することができる。
【0025】
ポンプ本体5aについて説明すると、図3、図4に示すように、容器本体4の上部内には円筒状のポンプケース5pが設けられ、ポンプケース5pの上部にはフランジ部5qが形成され、ポンプケース5pは、フランジ部5qの外周部を容器本体4の口部4aとポンプ固定部材5c間に挟持して容器本体4に気密状に固定支持されている。
【0026】
ポンプケース5pの上端部には栓部材5rが外嵌固定され、栓部材5rの中央部には吐出管5bを上下方向に移動自在に案内する案内スリーブ5sが一体的に形成されている。吐出管5bのうちの案内スリーブ5sから下側へ突出する部分の上部には鍔部5iが形成され、吐出管5bは、鍔部5iが案内スリーブ5sの下端部に当接することで、図3に示す初期位置に保持されている。
【0027】
吐出管5bの下端部にはピストン部材5gが上下方向に移動自在に外嵌され、ピストン部材5gはポンプケース5pに上下移動自在に液密状に内嵌されている。吐出管5bの下端部には、吐出管5bに内嵌される通路形成部5hと、ピストン部材5gの下面に当接する略円板状の接当片5jと、接当片5jの中央部から下方へ延びる位置決めピン5tを有するプラグ5uが設けられ、プラグ5uを吐出管5bに取り付けた状態で、接当片5jと吐出管5bの下端部間には一定の隙間が形成される。ピストン部材5gの下側におけるポンプケース5pの下部内には貯留室5nが形成され、貯留室5n内にはバネ部材5kが内装され、プラグ5uとピストン部材5gと吐出管5bとはこのバネ部材5kにより常時上方へ付勢されている。ポンプケース5pの下端部内にはポンプケース5pの下端開口5eを開閉するための開閉ボール5fが設けられ、この開閉ボール5fはバネ部材5kによりその移動が制限され、貯留室5nにおける内圧変化により開口5eを確実に開閉できるように構成されている。
【0028】
この手動ポンプ5において、図3に示す初期位置から図4に示す下降位置側へ、カップホルダ6を手で押下すると、吐出管5b及びプラグ5uはそのまま下方へ移動するが、ピストン部材5gは、図4に示すように、鍔部5iがピストン部材5gに当接するまでは、貯留室5nの内圧が高くなることから、吐出管5bに沿って相対的に上方へ移動し、これによりピストン部材5gの下端が接当片5jから離間して、吐出管5b内の通路の下端部が通路形成部5hを介して貯留室5n内に開口する。そして、ピストン部材5gが鍔部5iに当接してから、更に吐出管5bが押し下げられると、吐出管5b及びプラグ5uとともにピストン部材5gが下方へ移動し、貯留室5nの内圧が上昇して、貯留室5nの内容物が吐出管5bの内部を通って、カップホルダ6の吐出筒部6bから吐出される。
【0029】
一方、カップホルダ6を押下していた手を離すと、吐出管5b及びプラグ5uは、図4に示す下降位置から、図3に示す初期位置へ、バネ部材5kの付勢力によりそのまま上方へ移動するが、ピストン部材5gは、図3に示すように、接当片5jがピストン部材5gの下端に当接するまでは、貯留室5nの内圧が低くなることから、吐出管5bに沿って相対的に下方へ移動し、これによりピストン部材5gの下端に接当片5jが圧接されて、吐出管5b内の通路の下端部が閉じられる。そして、接当片5jがピストン部材5gの下端に当接してから、更にバネ部材5kの付勢によりプラグ5uとともに吐出管5bが上方へ移動しようとすると、接当片5jの上面でピストン部材5gがプラグ5u及び吐出管5bとともに上方へ押し上げられて、貯留室5nの内圧が低下し、容器本体4内の内容物が吸い上げられて、貯留室5nに貯留される。
【0030】
次に、カップホルダ6について説明する。
カップホルダ6は、図1〜図4に示すように、有底筒状のカップホルダ本体6aと、カップホルダ本体6aの底面の中央から上方に向かって突出した吐出筒部6bと、カップホルダ本体6aの上端開口を閉じる蓋部材6cとを備えている。
【0031】
カップホルダ6の底面には吐出筒部6bに連通する筒状の固定部6dが下方へ突出状に形成され、カップホルダ6は、固定部6d内に手動ポンプ5の吐出管5bの上端部を嵌入させることによって、手動ポンプ5に固定支持されている。また、カップホルダ6を上下にポンプ操作すると、手動ポンプ5の吐出管5bが上下方向に移動し、容器本体4に収納されている内容物が吸い上げられ、該内容物が吐出筒部6bを通って、吐出筒部6bの上端部6jの開口からカップ3内に吐出される。
【0032】
図1〜図3に示すように、カップホルダ本体6aと蓋部材6cとは一体ヒンジ6hを介して開閉自在に連結され、合成樹脂材料を用いて射出成形などにより一体成形されている。なお、カップホルダ本体6aと蓋部材6cとを別部材で構成し、ヒンジピンなどによって開閉自在に連結することも可能である。
【0033】
蓋部材6cの内面6gには円筒状のガイド筒部6fが突出状に設けられている。このガイド筒部6fは、図3に示すように、蓋部材6cでカップホルダ本体6aの上面開口を閉じた状態において、平面視でガイド筒部6fの内側に吐出筒部6bが配置され、且つ、ガイド筒部6fの下端部6iが吐出筒部6bの上端部6jよりやや下方に位置するように設けられている。したがって、吐出筒部6bから吐出される内容物は、蓋部材6cの内面6gとガイド筒部6fとによりカップ3内へ案内されることになる。しかも、蓋部材6cの内面6gに付着して外周側へ流れる内容物は、ガイド筒部6fにおいて下側へ方向が切替えられて、ガイド筒部6fの下端部からカップ3内に滴下するので、蓋部材6cとカップホルダ本体6aとの嵌合部の隙間を通ってカップホルダ本体6aの外面側へ漏れ出すことが防止される。
【0034】
カップホルダ本体6aの周壁には、図1(a)に示すように、一体ヒンジ6hを基準にして平面視において周方向両側へ約90°振った位置に、1対の切欠部6eが対向して設けられている。切欠部6eは、カップホルダ本体6aの周壁の上端部から高さ方向の途中部までを略U字状に切り欠いて形成され、これら1対の切欠部6eに例えば親指と人差し指を挿入して、カップホルダ6に内嵌されているカップ3を指で摘んで容易に取り出すことができる。切欠部6eの大きさは、例えばカップホルダ本体6aの周方向に2cm〜3cmの幅で、上下方向に1.5cm〜2.5cm程度の深さに設定されている。さらに、図1(a)に示すように、切欠部6eは、上側へ行くにしたがって周方向に大きく開口され、カップホルダ本体6aに触れることなく、カップ3を摘めるように構成されている。なお、切欠部6eの下端は、図1ではカップホルダ本体6aの内部底面より上方に位置させたが、カップホルダ本体6aの内部底面と同じ高さ位置に配置させて、カップホルダ本体6a内の清掃性を向上させてもよい。
【0035】
図1〜図4に示すように、カップホルダ本体6aの内周面及びカップ3の外周面は、上方へ行くにしたがって直径が大きくなる上方広がりの円筒状にそれぞれ形成され、カップホルダ本体6aに対して僅かな隙間をあけてカップ3を内嵌できるように、両者は略同じ大きさの相似形に形成されている。カップ3の底部下面には、底面の中央を中心として周方向に120度の間隔をあけて3つの突起3cが形成され、これらの3つの突起3cによってカップ3の底部下面とカップホルダ本体6aの底部上面とが密着しないように構成されている。なお、突起3cはカップホルダ本体6aの底部上面に設けてもよい。また、突起3cの形状や個数は任意に設定でき、例えば細長いリブ状に形成することもできる。
【0036】
カップホルダ本体6aの吐出筒部6bの外周面及びカップ3の嵌合筒部3aの内周面は、上方に行くにしたがってその外径が小さくなる先細な円筒状にそれぞれ形成されている。嵌合筒部3aの上端部には吐出筒部6bに液密状に嵌合可能な環状のシール部3bが内側へ向けて突出状に形成され、カップ3をカップホルダ本体6aに嵌合させた状態で、吐出筒部6bの上端部6jに嵌合筒部3aのシール部3bが液密状に嵌合して、吐出筒部6bの上端開口から吐出した内容物が、吐出筒部6bと嵌合筒部3a間に浸入しないように構成されている。
【0037】
また、カップ3をカップホルダ本体6aに嵌合させて、吐出筒部6bの上端部に嵌合筒部3aのシール部3bを嵌合させた状態で、吐出筒部6bと嵌合筒部3aの上端部以外に僅かな隙間が形成され、またカップ3の外周面とカップホルダ本体6aの内周面間にも僅かな隙間が形成されるように、カップ3とカップホルダ本体6aの各部の寸法が設定されている。そして、このようにカップ3とカップホルダ本体6aの各部の寸法が設定されるとともに、前述のように、カップ3の底部下面とカップホルダ本体6aの底部上面間には突起3cにより隙間が形成されるので、吐出筒部6bと嵌合筒部3aの上端部以外において、カップホルダ本体6aとカップ3の嵌合面間には外気導入可能な隙間が形成されることになり、カップ3がカップホルダ本体6に密着して取り出しにくくなることを防止することができる。万一カップ3とカップホルダ本体6a間に内容物等の液体が浸入した場合でも、カップ3がカップホルダ本体6aに密着することを防止して、カップホルダ本体6aからカップ3を容易に抜き取ることができるように構成されている。
【0038】
また、カップ付容器1では、吐出筒部6bの上端部6jが、カップホルダ本体6aの上面開口より一段低い位置に設けられるとともに、吐出筒部6b及び嵌合筒部3aがカップホルダ本体6a及びカップ3の中央部に形成され、しかもカップ3の底面の外径はカップホルダ本体6aの上端開口部の内径よりもかなり小さい直径に設定されている。また、カップ3の下端外周面をカップホルダ本体6aの上端開口部に内接させた状態で、平面視において吐出筒部6bの上端部6jが嵌合筒部3aの下端開口の内側に配置されるように、カップ3の底面の外径と、カップホルダ本体6aの上端開口部の内径と、吐出筒部6bの上端部の外径と、嵌合筒部3aの下端開口の内径がそれぞれ設定され、カップ3をカップホルダ本体6aに容易に嵌合できるように構成されている。即ち、カップ3をカップホルダ本体6aに嵌合させるときには、先ずカップ3の下端部をカップホルダ本体6aの上端開口に位置合わせして挿入することになるが、カップホルダ本体6aの開口を容易に目視でき、しかもカップ3の底面の外径がカップホルダ本体6aの内径よりもかなり小さいことから、カップ3の下端部をカップホルダ本体6aの上端開口に容易に位置合わせして挿入することが可能となる。しかも、カップ3の下端外周面をカップホルダ本体6aの上端開口部に内接させた状態で、平面視において吐出筒部6bの上端部が嵌合筒部3aの下端開口の内側に配置されるので、カップ3の下端部をカップホルダ本体6aの上端開口に挿入させた状態から、カップホルダ本体6a内にカップ3を落とし込むことで、カップ3がカップホルダ本体6aに嵌合するとともに、嵌合筒部3aが吐出筒部6bに嵌合し、カップ3をカップホルダ本体6aに対して容易に嵌合保持させることができる。尚、吐出筒部6bに対する嵌合筒部3aの嵌合操作が一層円滑になされるように、嵌合筒部3aの下端部を下方広がりのラッパ状に形成して、カップ3の底面中央部に下側広がりの案内面を形成することもできる。
【0039】
カップ3は、不透明な素材で構成してもよいが、透明又は半透明な素材で構成すれば、図1に示すように、蓋部材6cを閉じ状態でも、カップホルダ6に設けた切欠部6eを通してカップ3への内容物の吐出量を視認できるので、内容物を吐出させ過ぎてカップ3から溢れ出すことを防止できるとともに、内容物の定量吐出が可能となるので好ましい。なお、定量吐出させる場合には、カップ3の外周面に内容量を示す目盛りを形成することもできる。
【0040】
また、図2に示すように、嵌合筒部3aのシール部3bと、カップホルダ6の吐出筒部6bの上端部6jとは、液密状に嵌合され、吐出筒部6bから吐出させた内容物が、嵌合筒部3aと吐出筒部6b間に浸入しないように構成されている。但し、例え嵌合筒部3aと吐出筒部6b間に内容物が浸入した場合でも、カップホルダ6が有底円筒状に形成されているので、この浸入した内容物はカップホルダ6内に溜まり、外部に漏れることはないので、内容物で容器本体4が汚れることを防止できる。
【0041】
次に、カップ付容器1の使用方法について説明すると、先ず、図5(a)に示すように、カップ3をカップホルダ6に内嵌し、蓋部材6cでカップホルダ本体6aの上端開口を閉じた状態で、図5(b)に示すように、蓋部材6cの上面を片手でポンプ操作をする。このポンプ操作により、容器本体4に収納されていた液状の内容物が手動ポンプ5によって吸い上げられ、カップホルダ6を下側へ押し操作する毎に、カップホルダ6の吐出筒部6bからカップ3内に吐出される。内容物をカップ3に吐出した後には、図5(c)に示すように、蓋部材6cを開け、1対の切欠部6eに指を挿入してカップ3を指で摘み、図5(d)に示すようにカップ3を上方へ移動させて、カップホルダ6からカップ3を抜き取って、内容物を使用することになる。
【0042】
一方、カップ3内の内容物を使用した後には、図5(a)に示すように、当該カップ3をカップホルダ6に内嵌させ、蓋部材6cを閉じる。カップ3をカップホルダ6に内嵌させるときには、カップホルダ本体6aの上端開口を目視しながら、カップ3の下端部をカップホルダ本体6aの上端部内に挿入し、この状態でカップ3を落とし込むことで、カップ3がカップホルダ本体6aに内嵌されるとともに、嵌合筒部3aが吐出筒部6bに外嵌され、カップホルダ6内にカップ3が収納保持されることになる。
【0043】
なお、図6に示すように、カップホルダ本体6aに、その外周壁から下方へ延出した筒状のスカート部6kを備えさせ、このスカート部6kで手動ポンプ5のポンプ固定部材5cを覆って、吐出管5bやポンプ固定部材5cが外部に露出することを避け、カップホルダ本体6aとポンプ固定部材5cとが略同じ外径のスカート部6kで連続的に連なるように構成することで、カップ付容器1の美感を向上させてもよい。
【0044】
このように、手動ポンプ5の吐出管5bの上端部にカップホルダ6を取り付けることによって、既存のポンプ式容器のヘッド部を吐出管から取り外し、同位置にカップホルダ6を置き換えるだけで、カップ付容器1を構成することができる。このため、カップホルダ6を製作するための設備は新設する必要はあるが、手動ポンプ5や容器本体4を製作するための設備は、そのまま既存設備を利用できるので、設備経済的な負担を少なくできる。また、この手動ポンプ5を備えたカップ付容器1では、手動ポンプ5の設計を調節することで、1回のポンプ操作により必要な分量の内容をカップ3内に定量吐出させることができる。
【0045】
次に、押圧操作により内容物を吐出可能な吐出容器8を用いた第2実施形態のカップ付容器7について説明する。
このカップ付容器7は、図7、図8に示すように、押圧操作により内容物を吐出可能な吐出容器8と、吐出容器8に着脱自在に取り付けたカップ9とを備え、吐出容器8は、容器本体11と、容器本体11の上端開口部に気密状に取り付けられるとともにカップ9を保持するカップホルダ10とを備えている。
【0046】
容器本体11は、第1実施形態で示した容器本体4と同様に液状の内容物を収納するが、第2実施形態における容器本体11は、横断面が偏平な楕円形或いは小判型に形成され、容器本体11の対向する側面(例えば、前面と後面)を押圧して容器本体11の内圧を高め、吐出管10eを通して、内容物をカップ9に吐出できるように構成されている。
【0047】
カップホルダ10は、図7〜図9に示すように、有底筒状のカップホルダ本体10aと、カップホルダ本体10aの底面中央から上方に向かって突出した吐出筒部10bと、カップホルダ本体10aの上面開口を開閉可能な蓋部材10cと、容器本体11の上端部の口部に着脱可能に螺合されて、カップホルダ10を容器本体11に固定する取付部10dと、上端部が吐出筒部10bに接続され、下端部が容器本体11の内部下端に配置された吐出管10eを備えている。
【0048】
カップホルダ本体10aの周壁には前記第1実施形態の切欠部6eと同様の構成の1対の切欠部10fが対向して設けられ、この切欠部10fに指を挿入して、カップ9を摘んで、カップホルダ本体10aからカップ9を容易に取り出せるように構成されている。
【0049】
カップ9の底部の中央部には上方に突出する嵌合筒部9aが設けられ、カップホルダ本体10aの底面中央には上方に突出する吐出筒部10bが設けられ、カップ9をカップホルダ10に内嵌保持させた状態で、この嵌合筒部9aがカップホルダ10の吐出筒部10bに外嵌されるように構成されている。
【0050】
なお、カップ9を構成する素材として透明又は半透明な素材を用いると、カップ9内への内容物の吐出量を側方からも確認できるので望ましい。ただし、このカップ付容器7においては、後述するように、蓋部材10cを取り外した状態で容器本体11を押圧操作して、内容物をカップ9内へと吐出でき、カップ9の上方からも吐出量を確認できるので、不透明な合成樹脂材料を用いて構成することも可能である。
【0051】
吐出筒部10bの上端には、吐出筒部10bから吐出される内容物を側方に切り替える吐出方向切替部10gが設けられている。この吐出方向切替部10gは、カップ9をカップホルダ本体10aに収納した状態において、カップ9の嵌合筒部9aの上端よりも上側に配置されている。また、吐出方向切替部10gの上端は、内容物が上方に吐出するのを阻止する吐出阻止片10nが設けられると共に、吐出方向切替部10gの側面には、3つの吐出口10hが設けられている。更に、吐出方向切替部10gは、カップ9をカップホルダ本体10aに収納した状態において、カップ9の上面より下方に設けられている。このため、容器本体11の押圧操作をすると、容器本体11内の内容物は、吐出筒部10b内を通って吐出方向切替部10gまで上方へ移動し、吐出阻止片10nに当たって側方へ方向が切り替えられて、吐出口10hからカップ9内に吐出されることになる。
【0052】
次に、カップ9とカップホルダ本体10aとの嵌合部分の構成について説明するが、この嵌合部分の構成は、基本的には、前記第1実施形態におけるカップ3とカップホルダ本体6aとの嵌合部分と同様に構成されているので簡単に説明する。
カップ9の嵌合筒部9aの上端内周面には環状のシール部9cが突出形成され、カップ9をカップホルダ10に内嵌保持させた状態で、このシール部9cがカップホルダ10の吐出筒部10bの上端近傍部10iに液密状に嵌合するように構成され、吐出口10hから吐出した内容物が、嵌合筒部9aと吐出筒部10b間へ浸入することが防止されている。また、嵌合筒部9aの上端のシール部9cと吐出筒部10bの上端近傍部10iとの嵌合面以外において、吐出筒部10bと嵌合筒部9a間と、カップ9の外周面とカップホルダ本体10aの内周面間には、外気導入が可能な隙間が形成され、内容物がカップホルダ本体10aとカップ9との間に入ったとしても、カップホルダ本体10a内に溜まり、容器本体11の外面を汚すことがないように構成されている。
【0053】
また、図9に示すように、蓋部材10cの下面中央には、筒状の封止栓10jが下方へ突出状に形成されている。この封止栓10jの下端部の内周面にはテーパ面10kが形成されており、図9(a)に示すように、蓋部材10cでカップホルダ本体10aの上端開口を閉じたときに、嵌合筒部9aの上端部がテーパ面10kで案内されて、嵌合筒部9aの上端部が封止栓10jの下端部内に気密状に嵌合し、吐出筒部10bの吐出口10hが封止されて、輸送時等の振動で容器本体11に力が加わった場合でも、容器本体11の内容物が吐出口10hから漏れ出さないように構成されている。尚、蓋部材10cは、カップホルダ本体10aとは別部材で構成することもできるが、第1実施形態と同様に、一体ヒンジを介して開閉自在に連結してなる一体成形品で構成することも可能である。
【0054】
カップ付容器7の使用方法について説明すると、先ず、図8(a),図9(a)に示しているように、蓋部材10cを開け、容器本体11を片手で前後に押圧操作する。この押圧操作により、容器本体11の内圧が高くなり、容器本体11に収納された内容物は、吐出管10e及び吐出筒部10bを通り、吐出方向切替部10gに到達する。吐出方向切替部10gに到達した内容物は、吐出阻止片10nによって側方に吐出方向が切り替えられ、吐出口10hからカップ9内に吐出される。そして、適量の内容物をカップ9に吐出させた後、1対の切欠部10fを通してカップ9を指で摘み、カップホルダ本体10aからその上方へカップ9を抜き取って、内容物を使用することになる。
【0055】
一方、カップ9内の内容物を使用した後には、当該カップ9をカップホルダ10に内嵌させ、蓋部材10cを閉じる。カップ9をカップホルダ10に内嵌させるときには、カップホルダ本体10aの上端開口を目視しながら、カップ9の下端部をカップホルダ本体10aの上端開口部内に挿入し、この状態でカップ9を落とし込むことで、カップ9がカップホルダ本体10aに内嵌されるとともに、嵌合筒部9aが吐出筒部10bに外嵌され、カップホルダ10内にカップ9が収納保持されることになる。
【0056】
このように、押圧操作により内容物を吐出可能な容器にカップ付容器7を適用することによって、容器本体11を片手又は両手で押圧することで、内容物を容易にカップ9に吐出でき、しかも押圧操作量を加減することで、内容物の吐出量を調整できるので、定量取り出し可能な容器を実現できる。
【0057】
次に、カップ及びカップホルダの各部の寸法の好適な範囲について説明する。尚、以下の説明では、カップ付容器1におけるカップ3及びカップホルダ6の各部の寸法の好適な範囲について説明するが、カップ付容器7におけるカップ9及びカップホルダ10の各部の寸法の好適な範囲についても、カップ付容器1と同様に取り扱うことができる。
【0058】
図10に示すように、カップ3の上端開口の外径Aは、20mm未満だと、持ちにくく、カップ3内の液剤を口の中に注ぎにくくなり、70mmより大きいと、片手で持つことが難しくなるので、20mm以上70mm以下に設定することが好ましく、より好ましくは25mm以上60mm以下、特に好ましくは30mm以上45mm以下に設定することになる。
【0059】
カップホルダ6の吐出筒部6bの上端部6jの内径Bは、1mm未満だと液剤がでにくくなって、詰まる恐れがあるので、1mm以上に設定することが好ましく、より好ましくは3mm以上に設定することになる。
【0060】
カップ3の高さCは、15mm未満だと、持ちにくく、カップ3内の液剤を口の中に注ぎにくくなり、65mmより大きいと、片手で持つことが難しく、加えてポンプ式の場合には、ポンプ本体の吐出管の太さとの関係によってポンプ操作がし難くなる恐れがあるので、15mm以上65mm以下に設定することが好ましく、より好ましくは25mm以上45mm以下、特に好ましくは30mm以上40mm以下に設定することになる。
【0061】
ガイド筒部6fの高さDは、3mm未満だと、液剤の飛散を効果的に防ぐことができず、15mmより大きいと、下端部がカップ3内の液剤表面に接する恐れや、蓋が閉まりにくくなる恐れがあるので、3mm以上15mm以下に設定することが好ましく、より好ましくは5mm以上10mm以下に設定することになる。
【0062】
カップ3の周壁の上端部の傾きEは、30度よりも大きいと片手で持ちにくく、口の中にも注ぎ難いので、0度以上30度以下に設定することが好ましく、より好ましくは1度以上15度以下、特に好ましくは3度以上10度以下に設定することになる。
【0063】
次に、カップホルダに対するカップの入れやすさを検証するために行なった試験について説明する。尚、以下の説明では、カップ付容器1におけるカップ3とカップホルダ6の入れやすさを検証するために行なった試験について説明するが、カップ付容器7におけるカップ9とカップホルダ10の入れやすさについても、カップ付容器1と同様に取り扱うことができる。
【0064】
図10に示すように、カップ3として、高さCを20mm、嵌合筒部3aの下端部の内径Fを11mmに設定し、カップ3の底面の外径Gを表1に示すように6つの大きさに変更した6種類のカップを作製した。
また、カップホルダ6として、高さHを20mm、吐出筒部6bの上端部の外径Iを10mm、上端開口部の内径Jを40mmに設定したカップホルダを作製した。
【0065】
そして、前記カップ3を片手で保持し、カップホルダ4の周壁上部にカップ3側面を沿わせ、その後、保持している手を離して、カップ3の嵌合筒部3aがカップホルダ6の吐出筒部6bに嵌合して、カップ3がカップホルダ6に問題なく収納されるか否かの試験を、6種類のカップについてそれぞれ20回行った。その結果を表1に示す。
【0066】
評価基準は下記の通りに設定した。
○:20回の試験のうち全て問題なく嵌合してカップホルダに収納された。
△:20回の試験のうち1回以上10回未満がカップホルダに収納されなかった。
×:20回の試験のうち10回以上がカップホルダに収納されなかった。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示した通り、カップ底面外径が38mm以上であれば全て問題なくカップがカップホルダに収納されて、入れやすさとしては最も良いことがわかった。また、カップ底面外径が32mm以上であっても、カップホルダに収納される回数は半分以上であり、入れやすさとしては良いことがわかった。
【0069】
これに対して、カップ底面外径が30mm以下の場合には、半分以上の回数でカップがカップホルダに収容されないことがわかり、入れやすさとしては悪いことがわかった。
上記内容を言い換えれば、カップ底面外径Gがカップホルダ開口部内径Jの95%以上であれば、入れやすさは最も良く、80%以上であれば入れやすさは良いことがわかった。しかし、75%以下の場合は、入れやすさは悪くなることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)は手動ポンプを備えたカップ付容器の側面図であり、(b)はその断面図である。
【図2】(a)は蓋部材を開けた状態でのカップ付容器の断面図であり、(b)はカップを取り出した状態の断面図である。
【図3】カップホルダが初期位置に配置されている状態でのカップ付容器の手動ポンプ付近の拡大断面図である。
【図4】カップホルダを下降位置に操作した状態でのカップ付容器の手動ポンプ付近の拡大断面図である。
【図5】カップ付容器の使用方法の説明図である。
【図6】カップホルダにスカート部を備えさせた他の実施の形態のカップ付容器の断面図である。
【図7】(a)は押圧操作可能な容器本体を備えたカップ付容器の斜視図であり、(b)は押圧操作可能な容器を備えたカップ付容器の断面図である。
【図8】(a)は蓋部材を開けた状態でのカップ付容器の断面図であり、(b)は蓋部材とカップを取り出した状態でのカップ付容器の断面図である。
【図9】(a)は蓋部材を閉じた状態でのカップホルダの拡大断面図であり、(b)は蓋部材を開けた状態でのカップホルダの拡大断面図である。
【図10】手動ポンプを備えたカップ付容器の各部の寸法を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 カップ付容器
2 吐出容器
3 カップ 3a 嵌合筒部
3b シール部 3c 突起
4 容器本体 4a 口部
5 手動ポンプ 5a ポンプ本体
5b 吐出管 5c ポンプ固定部材
5d 吸い上げパイプ 5e 下端開口
5f 開閉ボール 5g ピストン部材
5h 通路形成部 5i 鍔部
5j 接当片 5k バネ部材
5n 貯留室 5p ポンプケース
5q フランジ部 5r 栓部材
5s 案内スリーブ 5t 位置決めピン
5u プラグ
6 カップホルダ 6a カップホルダ本体
6b 吐出筒部 6c 蓋部材
6d 固定部 6e 切欠部
6f ガイド筒部 6g 内面
6h 一体ヒンジ 6i ガイド筒部の下端部
6j 吐出筒部の上端部 6k スカート部
7 カップ付容器
8 吐出容器
9 カップ 9a 嵌合筒部
9c シール部
10 カップホルダ 10a カップホルダ本体
10b 吐出筒部 10c 蓋部材
10d 取付部 10e 吐出管
10f 切欠部 10g 吐出方向切替部
10h 吐出口 10i 吐出筒部の上端近傍部
10j 封止栓 10k テーパ面
10n 吐出阻止片
11 容器本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ操作或いは押圧操作により、液状の内容物を吐出可能となした吐出容器と、吐出容器に着脱自在に取り付けたカップとを有するカップ付容器であって、
前記カップの底部に上方へ突出する嵌合筒部を設け、
前記吐出容器に、前記カップを着脱自在に内嵌保持する有底な筒状のカップホルダ本体と、カップホルダ本体の底部に上方へ突出状に設けた吐出筒部とを有するカップホルダを設け、
前記カップの嵌合筒部を吐出筒部に外嵌させて、カップホルダにカップを内嵌保持させた状態で、ポンプ操作或いは押圧操作により内容物を吐出筒部の上端開口部から吐出させて、カップ内に内容物を供給することを特徴とするカップ付容器。
【請求項2】
前記カップホルダの上面開口部に蓋部材を設け、カップホルダ本体の周壁上部に1対の切欠部を設けていることを特徴とする請求項1記載のカップ付容器。
【請求項3】
前記蓋部材の下面に前記吐出筒部から上方へ吐出させた内容物をカップ内へ案内するガイド筒部を一体的に設けていることを特徴とする請求項2記載のカップ付容器。
【請求項4】
前記カップホルダの底部上面或いはカップの底部下面に突起を設けていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカップ付容器。
【請求項5】
前記吐出筒部の上端部に、前記内容物の吐出方向を側方に切り替える吐出方向切替部を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のカップ付容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−227307(P2009−227307A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75432(P2008−75432)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】