説明

カプセル化小滴の連続インクジェット印刷

インクジェットシステムに用いるための複合小滴を生じさせる方法において、一組の流路群(5,14)のなかで第1の流体(1)を第2の流体と接触させる。これらの流体の間の境界面は、界面張力によって特徴づけられる。第1の流体は、間隔をあけた小滴(8)を第2の流体のなかで形成し、第1及び第2の流体の複合物がオリフィス(6)を通過して噴流(9)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続インクジェット印刷の分野に関し、特に、マイクロ流体装置を用いた複合小滴の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者向けプリンタ市場おける発展とともに、インクジェット印刷は、少量の液体を物体表面に画像を描くように供給するために広く応用可能な技術となってきている。ドロップ・オン・デマンド(DOD)型装置及び連続インクジェット(CIJ)型装置の両方が考えられ、製造されている。インクジェット印刷が開発されたのは主に水性システム向けであって、なかには溶剤系システムに応用されるものもあったが、一方で、その基礎となる技術は、これよりもはるかに広範囲にわたって応用されている。
【0003】
インクジェット印刷では、より高い空間解像度を求めて努力が続けられている。現行のすべてのシステム(DOD型及びCIJ型)において着色剤は一定の濃度でインクのなかに均一に分布させられるので、この解像度は、小滴のサイズによって決定される。従って、より高い解像度を達成するには、より小さな液滴を、より高い頻度(frequency)で発生させることが必要になる。よりいっそう小さな液滴を生じさせるにあたって、いくつかの技術的な制約は累進的に厳しくなる。
【0004】
第1に、小滴の慣性を保ち、その結果、飛距離(throw distance)及び配置の精度が保たれるようにするために、よりいっそう高速の小滴速度が求められる。第2に、より小さな液滴を生じさせるには、より小さなオリフィスが必要である。この場合、ノズルが、より詰まりやすくなるので、より細かな濾過を行うことが求められる。第3に、このようにノズル径がより小さいと、同じ噴射ウェーバー数を確保するには、より高い背圧が必要となる。
【0005】
毛管力を動力として薄い液体噴流をブレイクアップ(break-up:分解)させることがよく知られている。この不安定性は、小滴を形成することによって噴流の表面積を減少させる毛管力によって動力が与えられるものであり、レイリー・プラトーの不安定性として知られている(J.プラトー(J. Plateau)1873年。例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。このプロセスは、自然界では、クモの巣にできる露にみられ、この場合に、均一な薄い水分の膜が一本一本の糸につくと、最後には玉になり、ばらばらの小滴となる。日常的には、一般的な蛇口から滴がしたたるときにもみられる。近年、この不安定性がインクジェット印刷に関連して広く研究されてきている。ドロップ・オン・デマンド(DOD)印刷では、通常、糸状の液体が、液滴の放出のあとに続き、これが、その後、分裂し(disintegrate)、好ましくない衛星のようなもの(satellites)となる。連続インクジェット(CIJ)の場合、制御されたやり方で噴流から小滴を連続的に形成することが、プロセスの頑強な動作にとって重要である。噴流(ジェット)に対する不規則な摂動(perturbations)(例えば、半径、圧力、速度、表面張力等)が増大すると、噴流半径のおよそ9倍に対応する平均周波数、いわゆるレイリー周波数(Rayleigh frequency)で液滴が形成されることになるということが十分に理解されている。噴流に対して周期的に摂動を生じさせることによって、液滴の形成を、およそ0.25×レイリー周波数から1.25×レイリー周波数との間の周波数で安定させることができるということもよく知られている。およそ1.39×レイリー周波数を上回る周波数において噴流は事実上安定している。主に注目を集めてきたのは空気中の液体噴流であったが、不混和性の噴流が別の液体のなかにある場合にもまったく同じプロセスが行われ、このとき、動力となるのは界面張力である。最後のブレイクアッププロセスについては細部が若干異なるけれども、このときも、レイリー周波数が観察される。
【0006】
最近、MEMsで形成されたノズルセットによる新しい連続インクジェット装置が開発された(特許文献1参照)。この装置では、加圧されたノズルから液体インクジェットが形成される。1つ又は複数のヒータが各ノズルに対応付けられており、噴流(ジェット)に熱摂動を与える。この摂動は、レイリー・プラトーの不安定性により噴流を規則的な小滴にブレイクアップさせ始めるのに十分である。電気パルスがヒータに印加されるタイミングを変えることで、大きな液滴又は小さな液滴を形成し、その後、これらを気体クロスフローによって印刷用の液滴と非印刷用の液滴とに分けることができる。あらゆる連続インクジェットプロセスでは、非印刷用の小滴を捕捉して再循環させることを必要とする。このようなプロセスは、数々の有用な添加剤、例えば、高分子材料及びコロイド状材料、例えば、顔料を含む液体の場合に問題がある。さらに、印刷用の小滴を非印刷用の小滴から選別する必要があるため、一般に、コントーン(コンティニュアストーン:連続階調)印刷が可能ではなく、すなわち、すべての印刷用の小滴は、サイズが同一であり、着色剤濃度が同一である。コントーン印刷を可能にすることによって、高い空間解像度の必要が大幅に緩和されるが、これは、2値印刷の構成では、空間解像度を用いて色が変化しているような錯覚を生じさせるからである。
【0007】
ここ数年、マイクロ流体力学の分野は著しく発展してきている。インクジェット液滴発生装置は、非常に小規模の液体流路が用いられているという点でマイクロ流体装置である。これは、以下の式によって示すレイノルズ数が、十分に小さいので慣性の影響が十分に小さく、流体の流れは事実上、主に層流であるということを意味する。
【数1】

(式中、ρは液体密度(kg/m3)、Uは代表速度(m/s)、Lは代表長さ(m)、μは、液体粘度(pa・s)である。)一般的な連続インクジェットシステムでは、速度が20m/s、長さが5μmであるということが考えられ、密度が約1000kg/m3、粘度が1mPasであれば、結果として、レイノルズ数は、約100である。まっすぐなパイプのなかでは、Reが約2000を超えると乱流への遷移が起こる。
【0008】
液体の流れが層流であるマイクロ流体装置では、必然的に混合が妨げられる。実際、混合のために利用できるメカニズムは拡散流だけである。例えば、2つの流体が互いに並んで流れるように注入されるT字形合流部について考えてみる。流路が均質化されるまでに流体はどのくらい流路を流れてゆく必要があるのであろうか。簡単に概算すると、粒子又は分子が流路全体に拡散するのに要する時間は、tD〜w2/Dであり、ここで、wは、流路の幅であり、Dは、拡散定数である。この時間をかけて、材料は流路を距離Z〜U02/D移動してゆくことになるので、完全に混合するために必要な流路幅の数は、おおよそ次の通りであろう。
【数2】

【0009】
右側の無次元数は、ペクレ数(Pe)として知られており、これは、拡散に対する対流の相対的な重要度を表す。この例では、完全に混合するために必要な流路幅の数はPeに比例する。以下の表に示す拡散係数を用いて、ストークス−アインシュタインの関係式を用いて概算すると、流体とともに10μmの流路を1m/sで流れる染料分子であっても完全に混合するにはPe〜250000の流路幅を必要とするということが分かる。あるいは、その同じ染料分子が流体とともに1m/sで流れるときに、1μm拡散するのに必要となるパイプの長さはz〜25mmであろう。
【0010】
【表1】

【0011】
最近、非常に興味深いことが分かってきたマイクロ流体装置の種類としては、フローフォーカシング装置(FFD:flow focussing devices)がある(例えば、非特許文献3、特許文献2参照)。FFDでは、ある液体が中央の流路に流れこみ、もう1つの不混和性の液体が、1つまたは複数の外側の流路に流れこむ。2つの液体相は、さらに各流路の下流に位置する小さなオリフィスを流れさせられる。外側の流体によって圧力及び粘性応力がかけられることで、内側の流体が細い糸状となり、これが、さらに、オリフィスのなか又はその下流で分裂(break)する。このような装置が関心を集めるのは、形状制御方式あるいは滴下方式で動作させることによって、例えば、エマルジョン形成、薬剤カプセル化、粒子エンジニアリング等、数々の用途がある単分散小滴が形成されるからである。但し、ジェット噴射レジームにおいて、すなわち、中央の不混和性の液体がレイリーレジームにおいて毛管力によってブレイクアップする場合に、単分散液滴は形成されない。
【0012】
別の小滴形成装置では、2つの不混和性の液体をT字形合流部で合流させる(特許文献3参照)。この装置では、内側の液体の境界面に対する外側の流体の剪断によって小滴が滴下方式で作り出される。そのようにして形成される小滴のサイズは、液体と液体との境界面に作用する剪断応力と界面張力との比率によって制御される。
【0013】
これらの装置を用いて、小滴に対して様々な操作を行うことが可能である(特許文献2、4〜7参照)。一般に、小滴又は粒子を操作したり、例えば、薬剤をカプセル化したりすることを目的とする。小滴流の合体が実現され(特許文献8参照)、小滴の混合及び重合が行われ(特許文献9参照)、複数のエマルジョンが形成される(特許文献10参照)。
【0014】
特許文献11には、一緒に流れる不混和性の液体によってカプセル化小滴を発生させる方法が開示されている。この方法では、各液体が、同軸状に配列されたノズルによって供給されるが、これらのノズルをアレイ状に製造することは難しい。さらに、この方法では、強い静電界によって、同軸状に配列された液体が確実にブレイクアップされるようになっている。
【0015】
特許文献12でも、同軸のパイプや静電気を用いて小滴を分裂させている。この場合、中央のパイプは、コロイド状の粒子を供給することが可能であり、パイプが複数であれば、色レベルが得られる。電気泳動的な手段によれば、電界の配列によって粒子の流れを止めることができる。
【0016】
特許文献13には、カプセル化ドロップ・オン・デマンド印刷を可能にする同心状の圧電システムが記載されている。
【0017】
特許文献14には、電子回路を作成するために複数の単品部品(ディスクリート部品)を表面上に配置することが記載されている。
【0018】
特許文献15には、キャリアガス流を用いて気体染料を表面の方に向けて誘導することが記載されている。一緒に流れるガス流を用いることについては開示されているが、液体については開示されていない。
【0019】
特許文献16には、カプセル化された粒子分散体を発生させるための様々な方法が記載されている。
【0020】
特許文献3には、生物学的な用途のためにエマルジョン小滴を作成するためのクロスフロー装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第6554410号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0172476号明細書
【特許文献3】国際公開第2002/23163号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0163385号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0234051号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0054119号明細書
【特許文献7】国際公開第2004/091763号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2007/0003442号明細書
【特許文献9】国際公開第2005/103106号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2006/096571号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第1364718号明細書
【特許文献12】特開平8−207318号公報
【特許文献13】国際公開第2006/038979号パンフレット
【特許文献14】米国特許第6713389号明細書
【特許文献15】米国特許第5113198号明細書
【特許文献16】米国特許第6377387号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】T.E.フェイバー(T. E. Faber)、“Fluid dynamics for physicists”、CUP(ケンブリッジ大学出版局)、1995年、第295頁
【非特許文献2】P.G.ド・ジャンヌ(P. G. de Gennes)、F.ブロチャード−ワイアート(F. Brochard-Wyart)、D.ケレ(D. Quere)、“Capillarity and Wetting Phenomena”、スプリンガー社(Springer)、2004年、第118頁
【非特許文献3】アンナ(Anna)ら、アプライドフィジックスレターズ(Appl Phys Lett)82,3(2003)364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上述した技術的な問題を解消する印刷プロセス用の複合小滴生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、インクジェットシステムに用いるための複合小滴を生じさせる方法であって、一組の流路群のなかで第1の流体を第2の流体と接触させ、これらの流体の間の境界面が界面張力によって特徴づけられており、前記第1の流体は、間隔をあけた小滴を前記第2の流体のなかで形成し、前記第1及び第2の流体の複合物がオリフィスを通過して噴流を形成し、前記複合噴流に摂動を生じさせてブレイクアップを開始し、前記第1の流体の前記小滴が前記第2の流体の小滴のなかにカプセル化されるようにする、方法が提供される。
【0025】
また、本発明によれば、連続インクジェットプリンタに用いるためのマイクロ流体装置であって、第1の流体を供給するための少なくとも1つの第1の流路と、第2の流体を供給するための少なくとも1つの第2の流路と、を備え、これらの流路が交差して、剪断力によって前記第1の流体の噴流が前記第2の流体のなかで生じ、その後、分裂して前記第2の流体のなかで、間隔をあけた前記第1の流体の小滴を形成し、さらに後続のノズルが複合噴流を形成することが可能となっている、マイクロ流体装置が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の方法によれば、インクを捕らえて再循環させるという複雑なプロセスが不要になる。再循環させないので本発明の方法は高速かつ大幅に簡素化されている。また、このためコストも低下する。
【0027】
マイクロ流体システムを用いて着色剤をばらばらの小滴としてオンデマンドで又は連続して液体キャリアのなかに供給することによって、これらを合わせたもの(複合物)を連続ジェット噴射することが可能であり、連続インクジェットによって実現される高速性という利点をDOD型システムの液体を扱う上での利点と兼ね備えるようにすることが可能である。さらに、この方法では、着色剤小滴のサイズあるいは密度を変えることによって外側の液滴に影響を及ぼすことなくCIJ型で連続階調印刷を行うことが可能となる。
【0028】
このようにして着色剤を集束(focussing)させることによって、印刷解像度が向上するのは、空間解像度が液体の配置ではなく着色剤の配置に依存しているからである。
【0029】
さらに、インク成分のうちの1つまたは複数を中央小滴のなかに配置することによって、ジェット噴射のための液体の必要条件と液滴形成のための必要条件とがインクの材料特性から切り離されている。すなわち、外側の液体をジェット噴射に最適なものにすることができる一方で、内側の液体を画像又は印刷パターンの形成に最適なものにすることができる。
【0030】
インク成分がノズルと相互に作用することで、ノズルの摩耗、液滴ブレイクアップのばらつき、インクの熱による劣化につながる。インク成分のうちの1つまたは複数をフロー内の不混和性の液滴のなかに配置することによって、ノズルと分離した状態が保たれ、従って、ノズルと相互に作用することはない。
【0031】
キャリアフローに加えられる着色剤の比率を制御できることによって、その比率をゼロまで下げることが可能である。また、このことによって、「空の」液滴も可能になるので、必要なところにのみ着色剤を使って連続的な印刷とすることが可能である。
【0032】
複数の成分を同一の小滴のなかでジェット噴射することが可能である。この方法によれば、例えば、反応性種、高粘度種等のような、扱いにくい成分をジェット噴射することが可能となる。また、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のような、扱いにくい、不浸透性、低エネルギの表面上に印刷することが可能となる。
【0033】
空気又は気体を内側の流体として供給することによって、印刷されている液体の総量を減らすことができる。このため、最終印刷物を乾燥させることが容易になる。
【0034】
本発明の方法によれば、単一の液滴のなかに複数の着色剤が入った状態とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、本発明について、添付の図面を参照して説明する。
【図1A】1つの不混和性の液体の小滴を別の液体のなかに形成するための従来の様々な装置(特許文献10に記載の装置)を示す図である。
【図1B】1つの不混和性の液体の小滴を別の液体のなかに形成するための従来の様々な装置(特許文献6に記載の装置)を示す図である。
【図1C】1つの不混和性の液体の小滴を別の液体のなかに形成するための従来の様々な装置(特許文献3に記載の装置)を示す図である。
【図2A】連続インクジェット小滴発生装置の構成をカプセル化された小滴とともに概略的に示す図である。
【図2B】連続インクジェット小滴発生装置の構成をカプセル化された小滴とともに概略的に示す図である。
【図2C】連続インクジェット小滴発生装置の構成をカプセル化された小滴とともに概略的に示す図である。
【図3A】カプセル化インクジェット小滴のための複合流体を供給する方法を概略的に示す図である。
【図3B】カプセル化インクジェット小滴のための複合流体を供給する方法を概略的に示す図である。
【図4】拡張チャンバを備えた連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図5A】第1の流体の配合を連続的に変化させる連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図5B】第1の流体の配合を連続的に変化させる連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図5C】第1の流体の配合を連続的に変化させる連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図6】内部で液滴の選別を行う連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図7】内部で小滴の発生をオンデマンドで行う連続インクジェット小滴発生装置を概略的に示す図である。
【図8】本発明の方法を実施するのに適した装置を示す図である。
【図9】本発明の方法を実施するのに適したもう1つの装置を示す図である。
【図10】噴流が小滴にブレイクアップされる様子を示す写真の写しである。
【図11】水圧に対するヘキサデカンの圧力を示すグラフである。
【図12】本発明の方法を実施するのに適したさらにもう1つの装置を示す図である。
【図13A】液体のなかに液体がある噴流がブレイクアップされる様子を示す写真である。
【図13B】装置の外部において複合噴流がブレイクアップされる様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、1つの不混和性の液体の液滴を別の液体のなかに生じさせるために利用可能な従来技術を示す図である。図1A及び図1Bは、フローフォーカシング装置の2つの変形例を示す図であり、図1Cは、剪断流Tピースを示す図である。いずれにせよ、これらの装置は、外側と内側の液体の流れが十分に低速で、内側の液体が噴流(ジェット)を形成しないフローレジームにおいて小滴を発生させるために用いられるが、これは、このような条件下で、単分散小滴が生じるからである。本発明では、我々は、自由噴流(フリージェット)、すなわち、空気中の液体噴流を形成するためにオリフィスを設ける。この目的のためには、液体速度Ujetは、
【数3】

よりも大きくなければならない。式中、σは、外側液体の表面張力(N/m)であり、Rは、噴流の半径(m)であり、ρは、複合噴流の平均密度(kg/m3)である。一般的な値の場合、この液体速度Ujetは、約4m/sであろう。なお、我々は、最終的な噴流と同程度の大きさの内側小滴を必要とするので、さらに、内部小滴を形成する内部装置がオリフィスと同程度の大きさの流路を備えることとなり、従って、この速度は、最終的な噴流の速度と同程度となり、従って、内部装置は、必然的に、ジェット噴射レジーム(jetting regime)で動作させなければならない。
【0037】
図2Aには、フローフォーカシング装置を用いてインクジェットノズルよりも前に不混和性の小滴が形成される様子が示されており、この装置では、フリージェットに対して、ノズル領域においてヒータによって摂動が生じさせられている。第1の流体1は、流路又はパイプ5を通って流入し、第1の流体と混和しない第2の流体は、流路又はパイプ14を通って流入する。流量が十分に高いので第1の流体からなるジェット(噴流)7が形成される。この噴流は自然に小滴8に分裂する。これらの小滴はノズル6からの流出流によって運ばれフリージェット9を形成し、このフリージェット9が小滴10に分裂する。噴流(ジェット)9から均一な液滴が形成されるように、アクチュエータ4が設けられる。これは、ヒータであってもよく、あるいは圧電装置又は噴流に摂動を生じさせることが可能な同様の装置であればどのような装置であってもよく、また、噴流を取り囲んでもよいし部分的に取り囲んでもよいし、あるいは複数の部分(セグメント)から形成されてもよいということが分かるであろう。必要な条件としては、それが、噴流9の流れに摂動を生じさせるものであるということである。さらに、この摂動は、第1の流体からなる小滴がノズルを通過するのに対して特定の位相関係(phase relationship)となるべきである。
【0038】
また、内部噴流7に対して摂動を与えるのがよい場合もある。これについては、図2B及び図2Cに示す。図2Bに示すように、ヒータ11によって、第1の流体に対して流れ摂動が与えられる。本発明は、ヒータを用いることに限定されない。また、これは、圧電装置によって実現してもよいし、実際、流れに摂動を生じさせることが可能な同様の装置であればどのような装置によって実現してもよい。代替的に、図2Cに示すように、ヒータ11又は圧電装置等によって、第2の流体に対して流れ摂動を与えることが可能であり、第2の流体は、これが接触していることによって噴流7に摂動を生じさせることになる。噴流7に対して加えられる摂動とノズル6において加えられる摂動との間に特定の位相関係が保たれることは都合がよいであろう。
【0039】
さらに、図3に示すように、複合流体である第1の流体を流路5に供給する様々な方法がある。図3Aでは、2つの流体17及び18を合流部19において合流させて複合流体噴流12を形成する。各流路内の流れは層流であるから、2つの流体は分離しており、結果として得られる液滴は、ヤヌス状の液滴(対照的な二面を有する液滴)である。混合装置を挿入してフローフォーカシング合流部20よりも前に流体を十分に混ぜ合わせるようにしてもよい。図3Bでは、自由にジェット噴射される液滴内において液滴内液滴が形成される。これは、2つのフローフォーカシング装置21及び22を重ねることによって実現される。これら及びその他のよく知られているマイクロ流体プロセスを出口ノズルよりも前に任意に組み合わせることが可能である。流れに摂動を生じさせて複合噴流7を得る装置等の変形例については図示していない。但し、当業者にとって、図2及び図3の特徴を兼ね備えた装置に利点があるということは明らかであろう。
【0040】
また、図示されていないが、当業者にとって、各流路14が装置の軸に対してなす角度はあまり重要ではなく選択された流体に対して特定の装置を最適化すべく選択することが可能であるということも明らかであろう。さらに、図1Aの円筒形の形状、図1Bの平面の形状、又は図1CのT字の形状のいずれを用いても、あるいは液体のなかに液体が存在する噴流を生じさせる流路の形状であればどのようなその他の形状を用いても、実質的に同様の装置を作成することが可能であるということが分かるであろう。さらに、例えば、正方形、円形、半円形、長方形等、各流路に適当な断面であればどのような断面でもよいということも分かるであろう。そのような形状のいずれであっても、装置の内部表面は、第2の流体に対して親液性であって、かつ第1の流体に対して疎液性であるべきである。これは、図3Bにおいて、装置22の内部表面が装置21の内部表面とは反対の親液性を有するということを意味するということに留意されたい。
【0041】
図2及び図3において、第1の流体と第2の流体とが合流する部分とノズル6との間の流路の長さは、内側の噴流7が小滴にブレイクアップするのに十分な時間があるように十分な長さとするべきである。液体の速度は速いので、この距離は、流路の寸法に対して長くなる。このことは、本来、製造する上で最適であるとはいえないが、これによって、流路に沿って大きな圧力差も必要となる。これを回避すべく、図4には、図2の装置であって入口領域23及び拡張領域24を備え、噴流7が速度を落として小滴に分裂するようにしたものを示す。減速率は、入口領域23及び噴流形成領域24の相対的な断面積と比例することになる。ここでも、各寸法は、噴流7を小滴にブレイクアップすることが達成されるのに十分な寸法であればあまり重要ではない。
【0042】
このキャビティの流速、表面張力、及び長さは、第1の流体の噴流がキャビティ内で分裂するように互いに調整される。これには、空気中における噴流についての以下に示す一次方程式を考えるとよいであろう。
【数4】

式中、LBは、入口からキャビティまでを測定した第1の流体の噴流の分裂長さ(m)であり、Uは、流体速度(m/s)であり、Rは、噴流半径(m)であり、αは、関心対象となっている周波数(frequency)(例えば、レイリー周波数fR〜U/(9.02R))の増加率(1/s)であり、ξiは、初期摂動の大きさ(m)である。増加率は、以下の式から求めることができる。
【数5】

式中、ηは、第1の流体の粘度(Pa.s)であり、σは、界面張力(N/m)であり、kは、波数ベクトル(k=2πf/U)(1/m)である。このように、分裂長さLBが推定され、キャビティの長さLと比較することができる。
【0043】
連続インクジェット印刷の場合、小滴の流れが発生させられると、通常、支持体に到達して印刷されることになる液滴と、そうでない液滴とに分けられる。支持体に到達しない液滴は、インク供給部に再循環させられる。これは煩雑な工程であり、ここに詳述する発明のなかでこれを大幅に軽減することが可能である。図5A、図5B、図5C、図6、及び図7には、液滴選別の必要が軽減される具体例を示す。図5には、コントーン(連続階調)印刷を示す。図6には、内部の液滴選別プロセスを示す。図5では、変形可能な部材25が設けられており、上方の位置に変形されると、液体13が制限され、下方の位置に変形されると、液体15が制限されるようになっている。上方の位置と下方の位置との間の比率に応じた位置では、連続的に変化させることができる比率の液体13及び液体15が得られる。液体13及び液体15は、例えば、着色剤を含む液体13及び着色剤を含まないことを除けば液体13と同一の液体15であろう。そのような液体の組み合わせであればどのようなものであってもよい。
【0044】
図6では、小滴を選別する追加の構成を示す。この場合、流路26及び流路27が噴流形成領域のなかに設けられ、各電極が、外側の流体に結合し電気浸透による流れを生じさせることを可能にする。そのようなシステムは、導電性の外側の第2の流体にのみ適用可能である。クロスフローが発生させられると、第1の流体の小滴の方向を変えて内部流路28に向かわせることになるが、例えば、これを取り込んで流体を再循環させるようにしてもよい。第1の流体の小滴のうち方向が変えられていないものや上向きに方向が変えられたものは、そのまま進み、上述のように噴流小滴を形成する。このように、第2の流体の空の小滴29及び充填された小滴30が作成されるが、これを用いて、従来の連続インクジェットシステムのように捕捉し再循環させるという必要がなく印刷を行うことができる。様々なメカニズムにより、小滴の方向を変えたり出入りを制御することが可能であるということは言うまでもない。第2の流体が導電性である場合に関して電気浸透による方法について述べたが、第2の流体が非導電性であれば誘電泳動による方法が適切であろう。
【0045】
図7には、従来のサーマルバブルジェットプロセスによって第1の流体の小滴が形成される様子を示す。ヒータ31によって気泡が発生させられ、圧力摂動が生じ、これによって、メニスカス32が小滴状の液体を分裂させることになる。結果として得られるのは、図6の装置の場合と同様に、第2の流体の小滴であって第1の流体を含むものと含まないものであり、このため、捕捉して再循環させるという工程が軽減される。また、圧電装置を用いて第1の流体の小滴を生じさせるようにしてもよいであろう。
【0046】
以下に、本発明を実施した図示の装置の2つの実施の形態について図8及び図9を参照して説明する。
【0047】
図8には、本発明の方法を実施するのに適したマイクロ流体装置の第1の実施の形態を示す。
【0048】
この装置は、第1のアーム33及び第2のアーム34を備える。2つのアームはそれぞれ、パイプ35及びパイプ36に供給する。パイプ35及びパイプ36はT字形合流部37で合流する。ノズル38が合流部37のすぐ下流に配置されている。ノズル38よりも断面積が大きいキャビティ39が、ノズル38の下流に図示されている。但し、このキャビティは本発明の必須の特徴ではない。
【0049】
例えば、脱イオン水のような流体をアーム33からパイプ35を通して供給する。例えば、染料を含む油(デカン)のような流体をアーム34からパイプ36に供給する。
【0050】
ある範囲の相対圧力にわたって、油は、上述したように水の流れのなかに小滴を形成した。この複合流が、噴流を形成し、これが、小滴に分裂した。
【0051】
図9には、本発明の方法を実施するのに適したもう一つの装置を示す。
【0052】
図9に示した装置は、中央アーム50と、上方及び下方の各アーム54とを備える。上方及び下方の各アーム54は、合流部56で中央アーム50に合流する。ノズル58が合流部56の下流に設けられている。
【0053】
第1の流体、例えば、ヘキサデカンが、中央アーム50に供給される。第2の流体、例えば、脱イオン水が、上方及び下方の各アーム54から同一圧力で供給された。交差合流部56において、水のなかの油の液滴からなる複合流が形成された。図10には、水相のなかで油が小滴にブレイクアップされる様子を示す。
【0054】
各液体を動かすのに用いられる圧力に応じて、換言すれば、液体の流量に応じて、次のいずれかであった。すなわち、油の噴流が、キャビティを完全に通り抜けノズルから出て、同時に押し出された噴流を形成するか、油の噴流が、完全に止まってメニスカスが平衡状態(poised)となるか、あるいは後方に動くか、水圧及び油圧が適切な範囲内であれば、7m/sよりも速い速度で移動しながらキャビティのなかで小滴を形成し、続いて、液滴内に液滴を形成するか、のいずれかであった。図11のグラフに、これらの実験がまとめられている。各圧力は、液体供給部において測定されたので、フィルタ、配管等の違いのために多少異なるかもしれないが、これは、当業者であればわかるであろう。複合流がノズルあるいはオリフィス58を通り抜けると、油の小滴が形成噴流のブレイクアップを開始し、これにより、1つの油の液滴が各々の水の液滴のなかにカプセル化された。図9の装置は、脱イオン水+ドデシル硫酸ナトリウム/デカン+スーダンレッド、脱イオン水/ヘキサデカン、及び脱イオン水/1−オクタノールに対して機能するように図示されている。
【0055】
図12には、本発明の方法を実施するのに適したマイクロ流体装置のさらにもう一つの実施の形態を示す。この装置は、図9に示した装置についてすでに述べたものと同一の必須の特徴を備える。この装置は、中央アーム50と上方及び下方の各アーム54とを備える。上方及び下方の各アーム54は、合流部56において中央アーム50に合流する。合流部56の下流にノズル58が設けられている。ノズル58の下流にキャビティがある。さらに、この実施の形態は、各アーム50,54及びノズル58に隣接して配置された加熱素子11を備える。さらに、加熱素子4がキャビティの出口に配置されている。加熱素子は、ガラス流路の片側にジグザグ状に蒸着された10nmのチタンの上に蒸着された20nmの白金で構成されることができる。この装置において、各ヒータ11によって、噴流7のブレイクアップを位相固定(phase lock)することができるということが確認された。
【0056】
図13Aには、最大幅が100μm、長さが500μmの、この流路において、60kHzで上述のように小滴が形成される様子の画像を示す。油相である噴流7は、デカンで、外側の相は、脱イオン水であった。図13Bには、装置外部において複合液滴が形成される様子を示す。さらに、ヒータ4によって、水の噴流に摂動を生じさせ、その噴流のブレイクアップを開始させることができるということが確認された。
【0057】
以上、油/溶媒液体が、水性キャリアフローのなかでカプセル化されているものについて説明してきた。本発明は、水性の小滴が、油性キャリアフローのなかで形成されているものについても同様に適用することができる。2つの必須の条件としては、2つの液体が形成する境界面がこれに対応付けられた界面張力(associated interfacial tension)を有するということと、流路壁が第2の流体に対して親液性であるということである。これは、2つの不混和性の液体であればどのような液体であってもよいということを意味する。但し、液体のなかに液体がある噴流(liquid in liquid jet)のブレイクアップは、界面張力が高いほど容易になる。このように、2つの不混和性の溶媒でもよいであろうし、ポリマーのモノマー前駆体及び不混和性の溶媒でもよいであろうし、溶媒ではない液体又は液体組成物である材料、例えば、紫外線(UV)硬化インクでもよいであろう。さらに、いずれか一方の流体と相溶性(compatible)の添加剤であればどのようなものであっても許容できる。例えば、グラフィックス印刷用の顔料としての粒子状物質、又は導電性のトラックを印刷するためのコロイド状金属粒子、又はインクジェットプロセスに適したコロイド状セラミック粒子又はポリマーが許容される。本発明は、そのような流体及び粒子状物質に限定されない。本発明は、着色剤、染料、モノマー、界面活性剤、分散剤、無機粒子状物質、有機粒子状物質、又は半導体ポリマー又は半導体粒子状物質、又は導電性ポリマー、又は導電性粒子状物質、架橋部分を含む分子、又は化学的反応性種も含む。その他のものも当業者であれば想到される。
【0058】
本発明について、その好適な各実施の形態を参照して詳細に説明してきた。本発明の範囲内において様々な変形例及び改良例を実施することができるということは、当業者にとって言うまでもないことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットシステムに用いるための複合小滴を生じさせる方法であって、一組の流路群のなかで第1の流体を第2の流体と接触させ、これらの流体の間の境界面が界面張力によって特徴づけられており、前記第1の流体は、間隔をあけた小滴を前記第2の流体のなかで形成し、前記第1及び第2の流体の複合物がオリフィスを通過して噴流を形成し、前記複合噴流に摂動を生じさせてブレイクアップを開始し、前記第1の流体の前記小滴が前記第2の流体の小滴のなかにカプセル化されるようにする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記オリフィスにおける前記複合噴流の速度が、少なくともUjetであり、ここで、Ujetは、以下の式によって規定され、
【数1】

式中、σが、前記第1の流体の表面張力(N/m)であり、Rが、前記噴流の半径(m)であり、ρが、前記複合噴流の平均密度(kg/m3)である、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記流体のうちの1つが水性組成物である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記流体のうちの1つが前記水性組成物と不混和性の流体組成物である、方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、前記第1の流体、前記第2の流体、又はその両方が、着色剤、染料、顔料、ポリマー、モノマー、界面活性剤、分散剤、無機粒子状物質、有機粒子状物質、又は半導体ポリマー又は半導体粒子状物質、又は導電性ポリマー、又は導電性粒子状物質、架橋部分を含む分子、化学的反応性種のうちの1つ又は複数を含む、あるいはこれらのうちの1つ又は複数で構成されている、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の流体と前記第2の流体とがT字形合流部において接触させられる、方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の流体と前記第2の流体とがクロスフロー合流部において接触させられる、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1及び第2の流体の複合物が、前記第1及び第2の流路よりも広い流路を流れてからノズルを通過する、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の流体の前記小滴が、前記複合噴流のレイリー周波数の0.2倍から前記複合噴流のレイリー周波数の2倍の間の割合で形成される、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の流体が、2種類以上の液体からなる層流混合物で構成されている、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記第1の流体のうちの各比率を変化させることが可能である、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の流体が、小滴を含む複合流体で構成されている、方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法であって、前記第2の流体のなかの前記第1の流体の各々の小滴の経路に対して個別に摂動を生じさせる、方法。
【請求項14】
連続インクジェットプリンタに用いるためのマイクロ流体装置であって、第1の流体を供給するための少なくとも1つの第1の流路と、第2の流体を供給するための少なくとも1つの第2の流路と、を備え、これらの流路が交差して、剪断力によって前記第1の流体の噴流が前記第2の流体のなかで生じ、その後、分裂して前記第2の流体のなかで、間隔をあけた前記第1の流体の小滴を形成し、さらに後続のノズルが複合噴流を形成することが可能となっている、マイクロ流体装置。
【請求項15】
請求項14に記載のマイクロ流体装置であって、前記第1の流体を供給する流路には、前記第1の流体の流れに摂動を生じさせる手段が設けられている、マイクロ流体装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載のマイクロ流体装置であって、前記第2の流体を供給する流路には、前記第2の流体の流れに摂動を生じさせる手段が設けられている、マイクロ流体装置。
【請求項17】
請求項14または15または16に記載のマイクロ流体装置であって、前記複合噴流の流れに摂動を生じさせるための手段を含む、マイクロ流体装置。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置であって、前記第2の流体のなかの前記第1の流体の各々の小滴の経路に対して個別に摂動を生じさせる手段を含む、マイクロ流体装置。
【請求項19】
請求項18に記載のマイクロ流体装置であって、前記第1の流体の一部の小滴がノズルを通過して複合噴流を形成するように誘導され、前記第1の流体の一部の小滴が代替出口流路を通過するように誘導される、マイクロ流体装置。
【請求項20】
請求項14から19のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置であって、前記複合噴流の流れの下流に、前記第1又は第2の流路よりも断面積が広くノズルに向かって縮小する流路を含む、マイクロ流体装置。
【請求項21】
連続インクジェットプリンタに用いるためのマイクロ流体装置であって、第1の流体を供給するための少なくとも1つの第1の流路と、第2の流体を供給するための少なくとも1つの第2の流路と、を備え、前記第1の流体を供給する流路には、前記第2の流体のなかにおける前記第1の流体の小滴の形成を開始する手段が設けられ、前記第1及び第2の流体の複合物がオリフィスを通過して噴流を形成し、前記複合噴流に摂動を生じさせてブレイクアップを開始し、前記第1の流体の前記小滴が前記第2の流体の小滴のなかにカプセル化されるようにする、マイクロ流体装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2010−535644(P2010−535644A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514113(P2010−514113)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002231
【国際公開番号】WO2009/004318
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】