説明

カメラ制御装置及びカメラシステム

【課題】ユーザーが望むマスク設定を行う領域を、簡単に設定できるようにする。
【解決手段】カメラから取得した映像をディスプレイ110に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果に表示し、ディスプレイ110に表示された映像にマスク領域を設定する。そして、判定部105は、前記設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定し、判定部105による判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告メッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ制御装置、カメラシステム、カメラ制御方法及びプログラムに関し、特に、マスク処理を行うために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラは、銀行や店舗、デパート、マンション等において、防犯を目的として設置されており、ネットワークにより遠隔地から映像を監視できるように監視カメラシステムとして導入されていることが多い。監視カメラシステムは、公共の場所や居住地域へ設置することが主用途であるため、撮影領域内に含まれる一般家庭の窓等、個人情報に関する領域が撮影されることがあり、プライバシーの侵害につながることがある。そこで、このような監視カメラにおいてプライバシーを保護するために、一般家庭の窓などを被うように、プライバシーを保護するためのマスク領域を設定する必要がある。このマスク領域の設定は、ユーザーによって撮影映像を確認しながら、保護する領域を指定することにより実現できる。
【0003】
一方、監視カメラシステムでは、防犯対策等のために、監視カメラで撮影された映像を記録媒体に記録しておき、記録された映像は、監視領域に侵入した侵入者を後に確認する必要が生じた場合等に利用される。監視カメラシステムでは、監視カメラで撮影された映像を常時録画することが一般的であるが、複数の監視カメラの映像を同時に記録するため、膨大な量の映像を蓄積する必要があり、費用や検索性の面で監視側への負担が大きい。そこで、各監視カメラから特定の領域に対して動きのあった場合にのみ通知し、通知をイベントとして映像と共に記録するような監視カメラシステムが構築されている。このとき、監視カメラは予め指定された領域内で特定の変化を検知すると、監視カメラシステムに対してイベントを通知する。ここで特定の変化の検知とは、領域内の動体を検知すること等であり、検知する対象や条件はユーザーが指定する。
【0004】
ところが、以上のような、マスク領域の設定と動体検知等の機能とを組み合わせた監視カメラシステムを利用すると、マスク領域と動体検知領域とが重なってしまう場合がある。そこで、例えば、特許文献1には、動き領域の監視対象物との三次元の相互位置関係に基づくマスク処理を行い、動きのある部分を画像処理によりマスクを外して表示する技術が開示されている。また、マスク領域の設定と動体検知等の対象領域の設定とにおいて、例えば、特許文献2には、自動で対象領域を判断してどちらかの領域として設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−124618号公報
【特許文献2】特開2008−236673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されている技術では、マスク設定された領域に対し、動体を検知したことを動的に検出しながらマスク領域を変化させることになる。したがって、マスク領域を固定の形状ではなく、流動的に変化させていく必要があり、監視カメラの実装に負荷が多くかかる。また、上述の特許文献2に記載されている技術では、対象領域に対して自動で設定を行うが、マスク領域もしくは動体検知の監視対象領域のいずれかを設定することになり、ユーザーの意に反した設定がなされてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、ユーザーが望むマスク設定を行う領域を、簡単に設定できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラ制御装置は、カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示手段と、前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定手段とを有し、前記表示手段は、前記判定手段による判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーは監視領域内において動体検知された領域に対し、マスクする領域と重複することを警告により知ることができ、カメラに対して適切にマスク領域設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る監視カメラシステムの概略構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係る監視カメラ制御装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る監視カメラの内部構成例を示すブロック図である。
【図4】監視カメラによって撮影された画像の一例を示す図である。
【図5】マスク領域を設定するための設定画面の一例を示す図である。
【図6】マスク領域を設定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】マスク領域を設定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】マスク領域が重なった場合の警告メッセージの一例を示す図である。
【図9】監視対象物の検知領域を設定する手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る監視カメラシステムの概略構成例を示す図である。本実施形態の監視カメラシステムにおいて、監視カメラ制御装置1aは、LANやインターネットなどのネットワーク1bを介して、複数の監視カメラ1c、1d、1eと接続されている。本実施形態では、監視カメラの接続台数に依存しないため、監視カメラ制御装置1aと監視カメラ1cとの接続について説明する。
【0012】
図2は、本実施形態に係る監視カメラ制御装置1aの内部構成例を示すブロック図である。
図2において、監視カメラ制御装置1aは、図1に示したように、ネットワーク1bを介して監視カメラ1cを制御する。CPU101は、装置全体を制御するためのものであり、通信部102は、ネットワーク1bとの通信を行うためのものである。表示部103は、監視カメラから受信した映像をディスプレイ110に表示する制御を行うものである。入出力管理部104は、キーボード111やマウス112など外部の機器からの入出力を管理するものである。判定部105は、監視カメラからの映像を元に各種検知機能を判定するものであり、記録部106は、受信した映像データをハードディスクドライブ(HDD)113に記録するものである。これらの各部は内部バス107によってCPU101と接続されている。また、監視カメラ制御装置1aは、外部装置であるディスプレイ110、キーボード111、マウス112、及びHDD113と接続されている。
【0013】
ここで、監視カメラ制御装置1aの動作について説明する。ユーザーは、ディスプレイ110に表示された映像と設定画面とを見ながら、キーボード111及びマウス112を用いて制御対象となる監視カメラの各種設定を行うことができる。ここで入力装置としてキーボード111及びマウス112が接続されているが、ジョイスティックコントローラやタッチパネルを用いてもよい。CPU101は、監視カメラ1cの映像に対して、必要なユーザーインターフェース(UI)を生成し、表示部103によりディスプレイ110に表示させる。さらに、CPU101は、入出力管理部104から送られる各種外部機器の入力情報を元にUIを更新し、表示部103によりディスプレイ110に表示させる。また、CPU101は、判定部105によって判定された情報をもとに、警告を示す文字など各種メッセージをUIに表示させるようにすることもできる。
【0014】
記録部106は、HDD113に監視カメラからの映像データを記録するとともに、CPU101が制御するUIのデータや各監視カメラの制御データを記録しており、過去の監視カメラの制御情報や設定情報を読み出すことができる。CPU101は、各種データを必要に応じてUIとして、表示部103によりディスプレイ110に表示させる。
【0015】
図3、本実施形態に係る監視カメラ1cの内部構成例を示すブロック図である。
図3において、監視カメラ1cは、監視カメラ制御装置1aからネットワーク1bを経由して制御される。撮像部120は、被写体を撮像して映像データを生成する。画像解析部121は、生成された映像データの各種画像解析を行い、解析判定部122は、予め設定された条件に従い、解析結果を判定する。
【0016】
一方、画像処理部123は、撮像部120において生成された映像データに対し、監視カメラ制御装置1aによって設定された設定値に基づいて逆光補正などの画像処理を行う。また、通信部124は、監視カメラ制御装置1aから制御データを入力したり、その他の情報を外部から入力したりする。さらに、通信部124は、画像処理部123によって画像処理の行われた映像データを外部装置へ出力する。このように通信部124は、通信におけるデータの入出力を制御する。また、監視カメラ1cは、プライバシー保護のために、所定の領域をマスクするためのマスク処理部125を備え、マスク処理部125によってマスキングされた映像を画像処理部123で合成し、その映像データを外部装置に対して送ることができる。
【0017】
また、解析判定部122によって判定された結果は、記憶部126に記憶され、外部装置からの要求に対して、通信部124により記憶している結果を履歴として送ることができる。さらに、記憶部126は、マスク処理部125で設定されたマスク領域の情報も記憶しており、外部装置からの要求によって、現在設定されているマスク領域の情報を送信することができる。
【0018】
次に、監視カメラ1cの動作について説明する。前述したように、撮像部120から入力された映像データは、画像解析部121によって画像解析される。通常、監視カメラは入力された画像(フレーム)を連続して動画として出力している。画像解析においては、この入力された映像を1枚の画像として扱い、画像(フレーム)の内部を細かい処理単位のブロックで分割し、各ブロックにおいてこれまでの過去の変化履歴を元に、新しい画像において変化があったかどうかを解析する。
【0019】
次に、ブロックごとに変化した情報を解析判定部122に送り、解析判定部122では変化したブロックの数や時間、ブロックの集合状況と変化量を元に、監視カメラ制御装置1aなどから設定されている条件に合致しているか否かを判定する。そして、画像処理部123に解析結果を送り、画像処理部123は、解析結果を映像データとともに通信部124を介して、外部に同期した情報として提供している。また、解析判定部122による解析結果及び画像解析部121によってブロック単位で解析された変化情報は記憶部126に記憶される。そして、外部装置からの要求によって、記憶部126に記憶されている解析結果及び変化情報は通信部124を介して送信される。
【0020】
図4は、監視カメラ1cによって撮影された画像401の一例を示す図である。
監視カメラ1cにおいて撮影される映像は、監視目的の全景が収まるように画角が調整され、色味やフォーカスなども合わされている。しかしながら、全景が収まるように撮影すると、他人の家やビル等が撮影画像に入っていることがある。そこで、プライバシー保護を行うためのマスク領域を撮影画像内に設定する。
【0021】
図5(a)は、監視カメラ制御装置1aのディスプレイ110に表示されるマスク領域を設定するための設定画面の一例を示す図である。
図5(a)に示すように、設定画面はUI500として構成され、ユーザーが実際の撮影画像を見ながら設定できるように構成されている。撮影画像表示エリア501には、監視カメラ1cの撮影画像が表示される。
【0022】
ユーザーがマウス112などの入力機器によって、画面内のプライバシーを保護する領域を指定すると、撮影画像表示エリア501内にマスク設定領域502が表示される。このとき、ユーザーは撮影画像内の中心を示す画像中心線503を見ながら、目的の位置を設定する。画像中心線503は実際の撮影画像に対し、UI500で目安となる位置や大きさを指定できるように重畳表示されるが、表示は点線や破線等の現在位置が分かるものであれば、画面外に目盛りを振る方法を用いてもよい。また、情報バー504には、設定時の注意事項やエラーメッセージ、警告メッセージ等の各種メッセージ、現在のフレームレートや画角情報等の監視カメラステータスが表示される。
【0023】
マスク設定に関する項目としては、監視カメラ1cへ制御指示を行うためのマスク設定ボタン505、マスク削除ボタン506、マスク番号選択リスト507、及びマスク有効チェックボックス508がある。さらに、マスク色選択リスト509、マスク名を入力するためのテキストボックス510、及びマスク中心位置座標表示エリア511がある。マスク設定ボタン505及びマスク削除ボタン506は、マスク領域の番号、色、名前、位置などの設定に応じ、監視カメラ1cへ制御データを通知するためのボタンである。本実施形態のマスク領域は、色と位置、名前が番号で指定できるように構成されているが、マスクの形状や透明度、マスクサイズ等の設定を行ってもよい。
【0024】
マスク番号513は、監視カメラ1c内に同時に設定できるマスク数を表し、マスク番号選択リスト507から選択される。マスク色514は、マスク領域を覆う色を表し、マスク有効チェックボックス508が有効設定されると、指定した領域にマスクが重畳された映像データが送られてくる。マスク名515は、テキストボックス510にユーザーが分かりやすい名前として明示的に設定される。
【0025】
また、動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されると、監視カメラ内の検知結果履歴が撮影画像表示エリア501上へ重畳表示される。図5(b)は、動き検知結果履歴表示ボタン512が押下された状態の設定画面の一例を示す図である。ここで、マスクが有効になっていない状態で動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されると、動き検知結果520がブロックごとに撮影画像表示エリア501へ重畳表示される。なお、検知結果は、ブロックごとの検出頻度に応じて、形状、色、大きさの少なくとも1つを変えてもよい。本実施形態では、図5(a)に示したマスク設定領域と、図5(b)に示した動体検知結果履歴領域とが、必要以上に重複しないように設定することを目的としている。
【0026】
図6は、監視カメラ制御装置1aによるマスク領域を設定する処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示す各処理は、CPU101の制御により行われる。
まず、ステップS601において、通信部102を介して監視カメラ1cからマスク領域の情報を取得する。そして、ステップS602において、監視カメラ1cにより撮影される映像にマスク領域の情報が設定されているか否かを確認する。この確認の結果、すでにマスク領域の情報が設定されている場合は、ステップS603において、表示部103によりマスク領域の情報を設定項目に表示する。具体的には、マスク番号選択リスト507に表示されているマスク番号に対して、マスクを有効にしている場合にはマスク有効チェックボックス508をチェック状態にする。そして、選択されたマスク色をマスク色選択リスト509に表示し、マスク名が入力されている場合にはテキストボックス510にマスク名を表示し、マスク中心位置のX座標及びY座標をマスク中心位置座標表示エリア511に表示する。
【0027】
一方、ステップS602の確認の結果、マスク領域の情報が設定されていない場合は、ステップS604において、デフォルト設定の値を前述した各項目へ表示する。次に、ステップS605において、入出力管理部104はユーザーからの入力を待機する。そして、ユーザーからの入力があると、ステップS606において、マスク領域が指定されたか否かを判断する。ここでは、撮影画像表示エリア501上で矩形の領域を指定するか、マスク番号選択リスト507において任意のマスク番号を選択することによりマスク領域を指定することができる。この判断の結果、マスク領域が指定されていない場合は、ステップS605に戻る。
【0028】
一方、ステップS606の判断の結果、マスク領域を指定している場合には、ステップS607において、表示部103によりマスク領域の枠を撮影画像表示エリア501上に重畳表示する。以上のようにマスク領域が指定されると、ステップS608において、入出力管理部104はマスク設定ボタン505が選択されたか否かを判断する。この判断の結果、マスク設定ボタン505が選択された場合は、ステップS608において、通信部102により監視カメラ1cへマスク設定の情報を送信し、マスクの設定を完了する。
【0029】
一方、ステップS608の判断の結果、マスク設定ボタン505が選択されていない場合は、指定されたマスク領域に対してマスク削除ボタン506が選択されたか否かを判断する。この判断の結果、マスク削除ボタン506が選択された場合は、ステップS611において、通信部102により監視カメラ1cへ指定されたマスク領域のマスクを削除する旨の情報を送信し、マスク設定を完了する。一方、ステップS610の判断の結果、マスク削除ボタン506が選択されていない場合は、ステップS605に戻る。
【0030】
図7は、動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されている状態でマスク領域を設定する場合の動作手順の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す各処理は、CPU101の制御により行われる。
まず、ステップS701において、通信部102を介して監視カメラ1cによる動き検知結果の情報を取得する。次に、ステップS702において、入出力管理部104は、動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されているかどうかを確認する。この確認の結果、動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されている場合は、ステップS703において、表示部103により動き検知結果を撮影画像表示エリア501へ重畳表示する。
【0031】
一方、ステップS702の確認の結果、動き検知結果履歴表示ボタン512が選択されていない場合は、ステップS704において、表示部103により情報バー504へ検知結果表示を促すメッセージを表示する。次に、ステップS705において、図6のステップS606と同様にマスク領域が指定されているか否かを判断する。この判断の結果、マスク領域が指定されていない場合は、そのまま処理を終了する。
【0032】
一方、ステップS705の判断の結果、マスク領域が指定されている場合は、ステップS706において、表示部103によりマスク領域の枠を撮影画像表示エリア501上に重畳表示する。次に、ステップS707において、判定部105により枠に囲まれたマスク領域と、ブロックごとに示される動き検知結果とが重なっているかどうかを判定する。この判定の結果、マスク領域に対して、動き検知結果の少なくとも1つのブロックが重なっている場合は、ステップS708において、表示部103により情報バー504にマスク領域と動き検知結果領域とが重なっている旨の警告メッセージを表示する。一方、ステップS707の判定の結果、重なっていない場合は、メッセージの表示は行わず動作を終了する。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、警告メッセージを監視カメラ制御装置1aのUI500上に表示する。これにより、ユーザーは動き検知が行われたことのあるエリアに対してマスクをかけていることが画面を見ながら確認できるため、適切にマスク領域を設定することが可能となる。
【0034】
図8(a)は、動き検知結果の履歴表示においてマスク領域が重なった場合の警告メッセージの一例を示す図である。
図8(a)に示すように、情報バー504にマスク領域が重なったことを通知して、ユーザーに再設定を促すことができる。また、動き検知結果の履歴表示領域とマスク領域とが重なったことを検出した場合に、マスク設定を有効または無効にする選択をユーザーに対して促すこともできる。
【0035】
なお、本実施形態においては、警告メッセージの表し方として、情報バー504にメッセージを表示させる方法について説明した。一方、情報バー504以外に、マスク領域の枠に対して重なっていることがわかるように、重なっていない場合から枠や動き検知結果の明滅間隔や色を変更したりして他の情報表示と組み合わせて警告を行ってもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態における監視カメラシステムについて説明する。本実施形態では、マスク領域を参照しながら動き検知領域を設定する例について説明する。なお、本実施形態の監視カメラシステムにおける監視カメラ制御装置の内部構成については図2と同様であり、監視カメラの内部構成も図3と同様である。
【0037】
監視対象物に対して、動き検知設定を行う場合について、図9を参照しながら説明する。図9は、監視対象物の検知領域を設定する処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す各処理は、CPU101の制御により行われる。
まず、ステップS901において、通信部102によりネットワーク1bを介して監視カメラ1cと通信を行う。そして、監視カメラ1cに設定されているマスク領域の情報及び動き検知領域情報を取得する。
【0038】
監視カメラ1cでは、通信部124はこれらの情報の要求を受信し、記憶部126に記憶された、現在設定されているマスク領域の情報及び動き検知領域情報を読み出す。このとき、画像解析部121及び解析判定部122によって検出された過去のブロックごとの検知結果も合わせて記憶部126から読み出し、通信部124により監視カメラ制御装置1aへ送信される。次に、ステップS902において、取得した情報を元に表示部103により監視カメラ1cに対する動き検知設定を行うためのUIをディスプレイ110に表示する。
【0039】
図8(b)は、マスク領域を設定した後に動き検知設定を行うためのUIの一例を示す図である。UI800は動き検知設定を行うためのUIであり、監視カメラ1cからの映像を表示する撮影画像表示エリア801には、動き検知設定領域802と、画像中心線803とが重畳されて表示される。また、マスク領域は既に設定されており、撮影画像に重畳されている。情報バー804には各種設定におけるメッセージが表示される。
【0040】
動き検知の設定情報は、動き検知設定ボタン805、動き検知削除ボタン806、または動き検知更新ボタン807が選択されることにより監視カメラ1cへ通知される。動き検知の領域番号808は、リストボックスで選択可能であり、各領域番号について、領域名809の設定や、感度810、検知対象の領域内での比率を表す大きさ811が設定可能である。また、過去の動き検知結果履歴は、ボタン812が選択されることにより撮影画像表示エリア801へ重畳表示される。動き検知結果は、図5(b)と同様にブロックごとに撮影画像表示エリア801へ重畳表示される。なお、検知結果は、ブロックごとの検出頻度に応じて、形状、色、大きさの少なくとも1つを変えてもよい。
【0041】
図9の説明に戻り、次に、ステップS903において、判定部105は、取得した動き検知領域情報とマスク領域の情報とを元に、2つの領域が重なっているか否かを判定する。この判定の結果、動き検知領域とマスク領域とが重なっている場合は、ステップS904において、表示部103により情報バー804に重なっていることを通知する警告メッセージを表示する。一方、ステップS903の判定の結果、領域が重なっていない場合は、何も表示せずにステップS905へ進む。そして、ステップS905において、入出力管理部104はユーザーにより設定を変更する指示を受けたか否かを確認する。この確認の結果、設定を変更する指示を受けた場合は、ステップS902へ戻り、新たな設定情報を表示し、マスク領域との重なりを再度チェックすることになる。
【0042】
一方、ステップS905の確認の結果、設定を変更する指示がない場合は、ステップS906において、入出力管理部104は動き検知設定ボタン805が選択されたか否かを確認する。この確認の結果、動き検知設定ボタン805が選択された場合は、ステップS907において、既に警告表示を行っていたか否かを確認する。この確認の結果、警告表示が行われていた場合は、マスク領域との重なりを容認すると判断し、ステップS908において、イベント通知の設定情報としてマスク領域の情報が追加されるように設定を更新する。
【0043】
動き検知領域内で動きが検出された場合のイベントによる通知では、通常、イベントが発生したことと、どこの動き検知領域で発生したかとの情報が送信される。そのため、マスク領域が重なっている場合には、イベント発生時に、撮影画像がマスクによって一部隠されていることも通知するように設定情報を更新する。一方、ステップS907の確認の結果、警告表示がない場合は、ステップS909において、現在の設定情報を監視カメラ1cに送信し、処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS906の確認の結果、動き検知設定ボタン805が選択されていない場合は、ステップS910において、動き検知削除ボタン806が選択されたか否かを確認する。この確認の結果、動き検知削除ボタン806が選択された場合は、ステップS911において、選択されている動き検知設定情報を削除し、ステップS909に進む。一方、ステップS910の確認の結果、動き検知削除ボタン806が選択されていない場合は、ステップS912において、動き検知更新ボタン807が選択されたか否かを確認する。この確認の結果、動き検知更新ボタン807が選択された場合は、ステップS901へ戻り、新たに監視カメラ1cの設定情報を取得する。一方、ステップS912の確認の結果、動き検知更新ボタン807が選択されなかった場合は、終了とみなし、ステップS913において、終了処理を行い、UI画面の表示を終了する。
【0045】
ここで、ステップS908においてイベント通知としてのマスク領域の情報を付加する設定が行われると、監視カメラ1cでは、通信部124から記憶部126へイベント通知設定情報が記憶される。解析判定部122において解析結果として検知されると、重なったマスク番号の情報を検知情報のイベントとして画像処理部123へ通知する。そして、画像処理部123では、イベント情報を映像データと共に通信部124を介して監視カメラ制御装置1aへ送る。なお、イベント通知のマスク領域の情報はマスク番号だけではなく、マスクの情報を示す値であればどのような値でもよく、少なくともマスク番号やマスク名、マスク座標等のマスクを判別できるものが含まれていればよい。ここで、監視カメラ制御装置1aにおいて、監視カメラ1cからのイベント通知内にマスク領域の情報がある場合に、設定変更を促すためにユーザーへ通知してもよい。
【0046】
また、警告メッセージの表し方として、情報バー804にメッセージを表示させる方法について説明した。一方、情報バー804以外に、マスク領域の枠に対して重なっていることがわかるように枠もしくは動き検知結果の明滅間隔や色を重なっていない場合から変更したりして他の情報表示と組み合わせて警告を行ってもよい。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、マスク領域の設定を優先させたい場合に、動き検知の領域を変更することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0049】
101 CPU、102 通信部、103 表示部、105 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示手段と、
前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定手段とを有し、
前記表示手段は、前記判定手段による判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とするカメラ制御装置。
【請求項2】
前記検知結果の領域は、前記対象物が動体検知された領域であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ制御装置。
【請求項3】
前記検知結果は、前記対象物の位置及び変化量の情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ制御装置。
【請求項4】
前記表示手段は、文字により警告表示を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカメラ制御装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記設定手段によって設定されたマスク領域を示す枠又は前記対象物の検知結果に対して色または明滅間隔を変更して警告表示を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカメラ制御装置。
【請求項6】
映像を撮影するカメラと、前記カメラからネットワークを介して前記映像を取得して表示するカメラ制御装置とを有するカメラシステムであって、
前記カメラは、
撮像手段と、
前記撮像手段によって撮影された映像に対し、所定の対象物を検知する検知手段と、
前記カメラ制御装置により設定されたマスク領域をマスキングするマスク手段と、
前記検知手段による検知結果を記憶する記憶手段とを有し、
前記カメラ制御装置は、
前記カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示手段と、
前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定手段とを有し、
前記表示手段は、前記判定手段による判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とするカメラシステム。
【請求項7】
前記検知結果の領域は、前記検知手段により前記対象物が動体検知された領域であることを特徴とする請求項6に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記検知結果は、前記対象物の位置及び変化量の情報を含むことを特徴とする請求項6または7に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記表示手段は、文字により警告表示を行うことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載のカメラシステム。
【請求項10】
前記表示手段は、前記設定手段によって設定されたマスク領域を示す枠又は前記対象物の検知結果に対して、色または明滅間隔を変更して警告表示を行うことを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載のカメラシステム。
【請求項11】
前記判定手段による判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に、前記表示手段は、前記マスク領域の情報を表示することを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載のカメラシステム。
【請求項12】
前記表示手段は、前記マスク領域の情報として、番号、色、座標、マスク名、及びマスクサイズのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のカメラシステム。
【請求項13】
カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示工程と、
前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定工程と、
前記設定工程において設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定工程とを有し、
前記表示工程においては、前記判定工程における判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とするカメラ制御方法。
【請求項14】
映像を撮影するカメラと、前記カメラからネットワークを介して前記映像を取得して表示するカメラ制御装置とにより実行されるカメラ制御方法であって、
前記カメラによって撮影された映像に対し、所定の対象物を検知する検知工程と、
前記カメラ制御装置により設定されたマスク領域をマスキングするマスク工程と、
前記検知工程における検知結果を記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示工程と、
前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定工程と、
前記設定工程において設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定工程とを有し、
前記表示工程においては、前記判定工程における判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とするカメラ制御方法。
【請求項15】
カメラから取得した映像を表示装置に表示するとともに、前記映像における対象物の検知結果を前記表示装置に表示する表示工程と、
前記表示装置に表示された映像にマスク領域を設定する設定工程と、
前記設定工程において設定されたマスク領域と前記検知結果の領域とが重なるか否かを判定する判定工程とをコンピュータに実行させ、
前記表示工程においては、前記判定工程における判定の結果、前記マスク領域と前記検知結果の領域とが重なる場合に警告表示を行うことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−234237(P2011−234237A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104270(P2010−104270)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】