説明

カメラ映像切替装置及び顕微鏡システム

【課題】複数のカメラで取得される映像を容易に確認可能なカメラ映像切替装置を提供する。
【解決手段】複数のカメラ11〜18から任意のカメラに切り替える切替手段6a〜9aを含み、複数のカメラ11〜18を制御する少なくとも1つのカメラ制御器6〜9と、切替手段6a〜9aで選択されたカメラが撮影した映像とともに、複数のカメラ11〜18で選択されていないカメラから以前に取得した複数のカメラ11〜18で撮影されるそれぞれの映像に関する情報を表示手段23に表示させる制御装置PCと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ映像切替装置と、そのカメラ映像切替装置を用いた顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカメラで得られた映像を切り替えてモニタに表示するカメラ映像切替装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。斯かるカメラ映像切替装置において、使用者は映像の切り替えを行う際には各カメラがどのような映像を取得しているかを予め把握しておく必要がある。
【特許文献1】特開平8−275137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来のカメラ映像切替装置では、カメラの数が少ない場合には各カメラの取得する映像を推測し所望のカメラの映像に切り替えることが可能であるものの、これはカメラの数が多い場合には困難になってしまうという問題があった。
【0004】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数のカメラで取得される映像を容易に確認可能なカメラ映像切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、
複数のカメラから任意の一つのカメラに切り替える切替手段を含み、前記複数のカメラを制御する少なくとも1つのカメラ制御器と、
前記切替手段で選択されたカメラが撮影した映像とともに、前記複数のカメラで選択されていないカメラから以前に取得した前記複数のカメラで撮影されるそれぞれの映像に関する情報を表示手段に表示させる制御装置と、を有することを特徴とするカメラ映像切替装置を提供する。
【0006】
また本発明は、
複数のカメラを搭載した少なくとも1つの顕微鏡と、
前記複数のカメラから任意のカメラに切り替える切替手段を含み、前記複数のカメラを制御する少なくとも1つのカメラ制御器と、
前記複数のカメラで撮影された映像を表示する表示手段と、
前記切替手段で選択されたカメラが撮影した映像とともに、前記複数のカメラで選択されていないカメラから以前に取得した前記複数のカメラで撮影されるそれぞれの映像に関する情報を前記表示手段に表示させる制御装置と、を有することを特徴とする顕微鏡システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のカメラで取得される映像を容易に確認可能なカメラ映像切替装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムを添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムの全体図である。また図2は、本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように本実施形態の顕微鏡システム1は、4つの顕微鏡2〜5と、これに対応する4つのカメラコントロールユニット(CCU)6〜9と、パーソナルコンピュータ(PC)10とからなる。
【0009】
顕微鏡2は、2つのデジタルカメラ(以下、単に「カメラ」という。)11,12を備えた一般的な構成の顕微鏡であり、この2つのカメラ11,12によってステージ2a上の不図示の試料を異なる観察方法で同時に撮影することが可能である。
なお、その他の顕微鏡3,4,5の構成も、顕微鏡2と同様であり、顕微鏡3はカメラ13,14、顕微鏡4はカメラ15,16、顕微鏡5はカメラ17,18をそれぞれ備えている。ここで、カメラ11〜18は同一のものに限られず、画面解像度等の異なる種々のデジタルカメラを用いることが可能である。
【0010】
CCU6は、顕微鏡2に備えられた2つのカメラ11,12を制御するための制御器であって、後述する図3に示すカメラ切替部6aと不図示の画像処理部とを有している。カメラ切替部6aは、カメラ11で得られた映像データとカメラ12で得られた映像データを前記画像処理部へ切り替えて入力するために、カメラ11とCCU6との接続状態と、カメラ12とCCU6との接続状態とを切り替えるスイッチである。なお、この接続状態の切り替えは、後述する切替表示アプリケーションを実行中のPC10からの指示に基づいて行われる。また、不図示の画像処理部は各カメラ11,12で取得された映像データを処理して静止画データ又は動画データとしてPC10へ出力する回路からなり、斯かる構成のCCU6はPC10からの制御信号を各カメラ11,12へ伝達することも可能である。
なお、その他のCCU7,8,9の構成も、CCU6と同様であって、CCU7は顕微鏡3のカメラ13,14、CCU8は顕微鏡4のカメラ15,16、CCU9は顕微鏡5のカメラ17,18の制御をそれぞれ行うものである。
【0011】
PC10は、図2に示すようにCPU20、画像処理部21、メモリ22、モニタ23、キーボード24、及び不図示のマウスを備えた一般的な構成のPCであって、各CCU6〜9及び各顕微鏡2〜5を制御することが可能である。また、PC10と各顕微鏡2〜5は、それぞれ通信ライン2b〜5bを介して接続されており通信が可能である。
【0012】
斯かる構成の下、本顕微鏡システム1では、各顕微鏡2〜5に備えられた計8台のカメラ11〜18で画像を撮影することができ、それぞれの画像をCCU6〜9を介して選択的にPC10へ入力することができる。これにより使用者は、後述するPC10の切替表示アプリケーションを用いて適宜カメラ11〜18を切り替えながら、所望のカメラで撮影された画像をモニタ23に表示させて観察することが可能となる。
【0013】
次に、実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システム1の特徴的な構成について説明する。
本顕微鏡システム1においてPC10には、カメラの切り替えと各カメラ11〜18で撮影された画像のモニタ23への表示を行うための切替表示アプリケーションがインストールされている。そして使用者がこの切替表示アプリケーションを起動することで、CPU20において以下に述べる起動ルーチンが実行され、モニタ23には使用者が選択したカメラからの映像や各カメラ11〜18から既に取得されていた映像からの静止画を表示するための図3に示すような画像表示ウィンドウ25が表示されることとなる。
なお、本実施形態の顕微鏡システム1では、上記構成のCCU6〜9と切替表示アプリケーションがインストールされたPC10とがカメラ映像切替装置を構成している。
【0014】
図3は、本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システム1においてPC10のモニタ23に表示される画像表示ウィンドウ25を示す図である。なお、この図3では、各CCU6〜9のカメラ切替部6a〜9aではそれぞれ、カメラ12,13,15,18が接続状態にあり、このうちカメラ13で撮影された動画が後述のメインウィンドウ26に表示されている様子が示されている。
【0015】
図3に示すように画像表示ウィンドウ25は、使用者が選択したカメラで撮影された映像をリアルタイムで表示するメインウィンドウ26と、各カメラ11〜18で撮影された映像からPC11への接続が解除される直前の映像を静止画でそれぞれ表示する8つの静止画ウィンドウ31〜38からなるサブウィンドウ27とで構成されている。また、サブウィンドウ27中の各静止画ウィンドウ31〜38には、各カメラ11〜18の静止画に重ねて、各カメラ11〜18と対応するCCU6〜9との接続状況を示す「Connect」又は「Not Connect」の文字、そしてメインウィンドウ26に動画を表示中のカメラについては「選択」の文字が表示される。なお、使用者は、斯かる各静止画ウィンドウ31〜38を不図示のマウスを用いて指示することで、指示した静止画ウィンドウに対応するカメラをメインウィンドウ26に動画を表示させるカメラに切り替えることが可能である。
【0016】
次に、前述の画像表示ウィンドウ25をモニタ23に表示するべくPC10で切替表示アプリケーションが起動された際にCPU20で実行される起動ルーチンについて説明する。
本起動ルーチンは、使用者がキーボード24や不図示のマウスを用いて切替表示アプリケーションの起動指示をPC10へ入力することによって開始される。
ステップS1:CPU20は、各CCU6〜9に接続されている全てのカメラを検出し、それぞれにカメラIDを付与する。なお、本実施形態では計8台のカメラ11〜18が検出され、それぞれにCAM1〜CAM8のカメラIDが付与される。
【0017】
ステップS2:CPU20は、ステップS1で検出されたカメラから任意のカメラを選択する。
ステップS3:CPU20は、ステップS2で選択したカメラを制御するCCUに対して、このカメラで静止画を取得させる旨の指示を入力する。これによりこのCCUは、カメラ切替部で当該カメラを本CCUに接続させ、このカメラで取得された映像データを不図示の画像処理部で処理し、静止画データとしてインターフェース29を介してPC10の画像処理部21へ入力する。
ステップS4:CPU20は、画像処理部21に入力された静止画データを、該画像処理部21で縮小処理等を施させた後、メモリ22に保存するとともにこの静止画データに基づく静止画をモニタ23に表示させる。このとき、モニタ23の画面上には上述の画像表示ウィンドウ25が表示されており、本ステップS4による静止画はサブウィンドウ27において当該カメラのカメラIDに対応する静止画ウィンドウに表示されることとなる。
【0018】
ステップS5:CPU20は、ステップS4でメモリ22に保存した静止画データと、この静止画データを取得したカメラのカメラIDとを関連付けるためのルックアップテーブルをメモリ23内に作成して保存する。
なお、以上のステップS2〜ステップS5は、ステップS1において検出された全てのカメラについてそれぞれ実行される。このため、サブウィンドウ27には全てのカメラの静止画が表示されることとなる。
【0019】
ステップS6:CPU20は、任意のカメラ(本実施形態では、カメラIDがCAM1のカメラ11)を制御するCCUに対して、このカメラで映像を取得させる旨の指示を入力する。これによりこのCCUは、カメラ切替部で当該カメラを本CCUに接続させ、このカメラで得られた映像データを不図示の画像処理部で処理し、逐次取得される映像を動画データとしてインターフェース29を介してPC10の画像処理部21へ入力する。これによりCPU20は、画像処理部21に入力された動画データを該画像処理部21に所定の処理を施させた後、この動画データに基づく動画をモニタ23のメインウィンドウ26に表示させる。
【0020】
以上、本顕微鏡システム1では、切替表示アプリケーションを起動する際に、CPU20が上述の起動ルーチンを実行することで、全てのカメラ11〜18で順に取得された静止画がサブウィンドウ27に表示されることとなる。これにより使用者は、メインウィンドウ26に表示する動画を別なカメラで撮影されたものに切り替える際に、サブウィンドウ27の各静止画ウィンドウ31〜38を確認することで、各カメラ11〜18がどのような画像を取得しているかを容易に把握することが可能となる。したがって使用者は、カメラの選択が容易となりスムーズにカメラの切り替えを行うことができる。
なお、本実施形態において使用者は、PC10で切替表示アプリケーションを実行中、必要に応じて上述の起動ルーチンをCPU20に再度実行させることも可能である。これにより、各静止画ウィンドウ31〜38に表示されている静止画を最新の静止画に更新することができる。
【0021】
また、本顕微鏡システム1において、PC10で切替表示アプリケーションを実行中、使用者がメインウィンドウ26に表示させる映像を別なカメラで撮影されたものに切り替える際には、CPU20において以下に述べる切替ルーチンが実行される。
本切替ルーチンは、使用者がメインウィンドウ26に表示する動画を別なカメラで撮影されたものに切り替えるべくキーボード24や不図示のマウスを用いて所望のカメラを選択することで開始される。
ステップT1:CPU20は、本切替ルーチンが開始される直前まで映像を撮影していたカメラを制御するCCUに対して、このカメラから取得される映像から静止画を取得させる旨の指示を入力する。これによりこのCCUは、上述した起動ルーチンのステップS3と同様に、当該カメラで得られた静止画データをPC10の画像処理部21へ入力する。
【0022】
ステップT2:CPU20は、画像処理部21に入力された静止画データを、上述した起動ルーチンのステップS4と同様に、メモリ22(上述のルックアップテーブルで関連付けられたカメラIDに対応するメモリ領域)に保存して古いデータを更新するとともに、この静止画データに基づく静止画をサブウィンドウ27中のカメラIDに対応する静止画ウィンドウに表示させて最新の静止画に更新する。
ステップT3:CPU20は、本切替ルーチンの開始時に使用者が選択したカメラを制御するCCUに対して、このカメラで得られる映像から静止画を取得する旨の指示を入力する。これによりこのCCUは、ステップT1と同様に、当該カメラで得られた静止画データをPC10の画像処理部21へ入力する。
【0023】
ステップT4:CPU20は、画像処理部21に入力された静止画データを、ステップT2と同様に、メモリ22に保存して古いデータを更新するとともに、この静止画データに基づく静止画をサブウィンドウ27に表示させて最新の静止画に更新する。
ステップT5:CPU20は、本切替ルーチンの開始時に使用者が選択したカメラを制御するCCUに対して、このカメラで動画を取得させる旨の指示を入力する。これによりこのCCUは、上述した起動ルーチンのステップS6と同様に、当該カメラで得られた動画データをPC10の画像処理部21へ入力する。そしてこれによりCPU20は、画像処理部21に入力された動画データに基づく動画をモニタ23のメインウィンドウ26に表示させる。
【0024】
以上、本顕微鏡システム1では、PC10で切替表示アプリケーションの実行中、メインウィンドウ26に表示させる動画を撮影するカメラを切り替える際に、CPU20が上述の切替ルーチンを実行することで、少なくとも切り替える直前のカメラについて、サブウィンドウ27に表示する静止画が更新されることとなる。したがって使用者は、各カメラ11〜18がどのような画像を取得しているかを、サブウィンドウ27に表示されたより新しい静止画から容易かつ正確に把握することが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態の顕微鏡システム1では、画像表示ウィンドウ25の各静止画ウィンドウ31〜38において静止画に重ねて表示される文字情報は、各カメラ11〜18とそれに対応するCCU6〜9との接続状況を示すものに限られない。例えば、CPU20が各通信ライン2b〜5bを介して各顕微鏡2〜5から取得した顕微鏡情報(観察方法や観察倍率等)、CPU20が各CCU6〜9を介して各カメラ11〜18から取得したカメラ情報(カメラの種類や撮影設定等)、静止画の撮影日時、或いは使用者が予め入力した任意の情報等を示す文字情報を各静止画ウィンドウ31〜38に表示させる構成としてもよい。これにより使用者は、どのようなカメラと顕微鏡を用い、各カメラがどのような画像を取得しているかを、サブウィンドウ27に表示された情報から容易かつ、より詳細に把握することが可能となる。
【0026】
以上に述べた本実施形態によれば、複数のカメラで取得される映像を容易に確認可能なカメラ映像切替装置と、これを備えた顕微鏡システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムの全体図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカメラ映像切替装置を備えた顕微鏡システムにおいてPCのモニタに表示される画像表示ウィンドウを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 顕微鏡システム
2〜5 顕微鏡
6〜9 CCU
6a〜9a カメラ切替部
10 PC
11〜18 カメラ
25 画像表示ウィンドウ
26 メインウィンドウ
27 サブウィンドウ
31〜38 静止画ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラから任意のカメラに切り替える切替手段を含み、前記複数のカメラを制御する少なくとも1つのカメラ制御器と、
前記切替手段で選択されたカメラが撮影した映像とともに、前記複数のカメラで選択されていないカメラから以前に取得した前記複数のカメラで撮影されるそれぞれの映像に関する情報を表示手段に表示させる制御装置と、を有することを特徴とするカメラ映像切替装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記切替手段で選択されたカメラが撮影している映像とともに、前記情報として前記複数のカメラがそれぞれ撮影した映像から得られる静止画を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載のカメラ映像切替装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記情報として前記複数のカメラと前記カメラ制御器との接続状況、及び前記切替手段で選択されたカメラを示す文字情報を、前記表示手段にさらに表示させることを特徴とする請求項2に記載のカメラ映像切替装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記切替手段でカメラを切り替えた際に、前記切り替えにより接続が解除されるカメラで得られる切り替え直前の映像から静止画を取得して前記表示手段の表示を更新することを特徴とする請求項2に記載のカメラ映像切替装置。
【請求項5】
複数のカメラを搭載した少なくとも1つの顕微鏡と、
前記複数のカメラから任意のカメラに切り替える切替手段を含み、前記複数のカメラを制御する少なくとも1つのカメラ制御器と、
前記複数のカメラで撮影された映像を表示する表示手段と、
前記切替手段で選択されたカメラが撮影した映像とともに、前記複数のカメラで選択されていないカメラから以前に取得した前記複数のカメラで撮影されるそれぞれの映像に関する情報を前記表示手段に表示させる制御装置と、を有することを特徴とする顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−21884(P2010−21884A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181811(P2008−181811)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】