説明

カメラ用羽根駆動装置

【課題】複数の電磁アクチュエータの固定子をプリント配線板に取り付けた一つのブロック体としておき、予め複数の回転子を取り付けた地板に対して取り付けるようにした、低コストで組立作業のし易いカメラ用羽根駆動装置を提供すること。
【解決手段】地板1は、シャッタ羽根と絞り羽根に連結した出力ピン8c,9cを備えている回転子8,9を回転可能に取り付けている。固定子枠10,13は、ヨーク12,15の脚部12b,15bを挿入したボビン部10a,13aを間にし、二つずつの板状部10b,10c,13b,13cを有していて、固定子枠10の抜け止め部10kがヨーク15の抜け止めをし、固定子枠13の抜け止め部13gがヨーク12の抜け止めをしてフレキシブルプリント配線板16に取り付けられている。そして、このブロック体は、地板1の取付軸1C〜1Fに取り付けられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地板に対して隣接して取り付けられている複数の電磁アクチュエータが、それぞれ異なる種類の羽根を往復作動させるようにしたカメラ用羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ用の羽根駆動装置としては、レンズシャッタ装置,フォーカルプレンシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置,レンズバリア装置などが知られているが、それらのうち、レンズシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置,レンズバリア装置は、最近では、殆どのものが、1枚又は複数枚の羽根を、電磁アクチュエータによって往復作動させるようにしている。そして、その羽根の往復作動は、回転の場合が殆どであるが、中には、スライドさせるようにしたものや、複数枚のうちの1枚だけをスライドさせ、残りの羽根を回転させるようにしたものも知られている。
【0003】
また、レンズシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置の場合には、単独でユニット化せず、それらの二つ又は三つを一つのユニットとして構成することがあるが、そのようにする場合は、当然のことながら、地板に対して電磁アクチュエータを複数個取り付けることになる。そして、レンズシャッタ装置と絞り装置とを一つのユニットとして構成した場合の一例が、下記の特許文献1に、実施例5として記載されている。また、その実施例5の構成の場合には、二つの電磁アクチュエータは、被写体光路用の開口部を間にして一番離れた位置で地板に取り付けられているが、下記の特許文献2には、二つの電磁アクチュエータを相互に近接させて取り付けるようにした構成が記載されている。更に、下記の特許文献3には、電磁アクチュエータの固定子を構成しているボビンとヨークとの相互の取付け構成の一例が記載されている。
【0004】
本発明は、特許文献1に記載されている実施例5のように、固定子枠にボビン部を一体成形しているタイプの固定子を備えている複数の電磁アクチュエータを、特許文献2に記載されている構成のように、地板に対して相互に近接して取り付けるようにしたカメラ用の羽根駆動装置に関するものである。
【0005】
【特許文献1】特開2005−241866号公報
【特許文献2】特開2006−33914号公報
【特許文献3】特開2001−6578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の実施例5に記載されている二つの電磁アクチュエータを地板に取り付ける場合には、電磁アクチュエータごとに、回転子,固定子の順に取り付けてゆき、最後に、両方の固定子に対して、プリント配線板を半田で取り付ける方法がある。また、それとは別に、予め二つの固定子をプリント配線板に取り付けることによって、それらを一つのブロック体としておき、各電磁アクチュエータの回転子を地板に取り付けた後、そのブロック体を地板に対して取り付ける方法もある。そして、後者の方法を採用すると、ブロック体を地板に取り付ける際には、既に半田付け作業が済んでいるので、前者の方法のように、半田付けに際して、誤って半田を地板や羽根などに垂らしてしまうことがないという利点がある。また、装置の組立後に不具合が発見されたときに、二つの固定子とプリント配線板がブロック化されているので、電磁アクチュエータの構成部材の取外し作業や新たな組み付け作業も簡単に行えるという利点もある。
【0007】
そのため、特許文献1の実施例5に記載の構成をした複数の電磁アクチュエータを、地板に対して相互に近接させて取り付ける場合は、上記の後者の方法を採用できる構成にするのが好ましいが、そのためには、ブロック体を製作したときには、ヨークに設けられた二つの脚部の一方が、固定子枠に形成された筒状のボビン部に挿入された状態になっているようにする必要がある。しかしながら、単にそのように構成すると、ブロック体の取り扱い中に、ヨークの脚部がボビン部から抜けてしまうようになる。また、抜けてしまわないまでも、挿入位置がずれると、地板への組み付け作業が面倒になってしまうことになる。そこで、ヨークの適正な組み付け状態を維持しておけるようにするためには、特許文献3に記載されているような構成を採用することが考えられる。ところが、そのようにすると、ボビン部やヨークの形状が複雑になるし、ブロック体の製作時に、脚部の適正な挿入状態が得られずヨークを交換したいときなどには、ボビン部から脚部を抜くことができなかったり、無理して抜けたとしてもボビン部やヨークを損傷してしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の固定子が、いずれも、コイルを巻回した筒状のボビン部の両側に二つの板状部を有している固定子枠と、そのボビン部に二つのうちの一方の脚部を挿入したヨークとで構成されており、製作時には、それらの固定子をプリント配線板に取り付け予め一つのブロック体としておくとともに、出力ピンで各々の羽根を往復作動させるようにした複数の回転子を先に地板に取り付けておいてから、そのブロック体を地板に取り付けるようにしたカメラ用羽根駆動装置において、複数の固定子をブロック体として構成した段階では、固定子枠のボビン部やヨークを特殊な形状にしてなくても、ボビン部に対するヨークの脚部の挿入状態が好適に維持されるようにした、コスト的に極めて有利な構成のカメラ用羽根駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、各々が被写体光路用の開口部を有していて両者の間に少なくとも一つの羽根室を構成している地板及びカバー板と、前記羽根室内に配置されていて各々が前記地板に対して往復作動可能に取り付けられた少なくとも1枚の羽根からなっている第1羽根及び第2羽根と、永久磁石を有していて前記地板の羽根室外の面に回転可能に取り付けられており各々の出力ピンを前記第1羽根の羽根と前記第2羽根の羽根に対して個別に連結させている第1回転子及び第2回転子と、各々はコイルを巻回した筒状のボビン部の両側に二つの板状部を有しており該二つの板状部のうちの一方又は両方の一方側の面にはプリント配線板に固着される端子ピンを形成し該二つの板状部のうちの一方の他方側の面には抜け止め部を形成している第1固定子枠及び第2固定子枠と、二つの脚部の先端部を第1回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第1固定子枠の前記ボビン部に挿入しており前記二つの固定子枠が前記プリント配線板に固着された状態では該一方の脚部が第1固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを第2固定子枠の前記抜け止め部によって防止されている第1ヨークと、二つの脚部の先端部を第2回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第2固定子枠の前記ボビン部に挿入しており前記二つの固定子枠が前記プリント配線板に固着された状態では該一方の脚部が第2固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを第1固定子枠の前記抜け止め部によって防止されている第2ヨークと、を備えていて、第1固定子枠と第2固定子枠とは、第1ヨークと第2ヨークを伴い前記プリント配線板に固着された一つのブロック体として構成されてから前記地板に取り付けられているようにする。
【0010】
その場合、装置としては、前記プリント配線板がフレキシブルプリント配線板であるようにすることが好ましいが、そのようにするときには、前記二つの固定子枠は、各々、前記二つの板状部の少なくとも一方に、厚さを薄くした肉薄部を有していて、両者の該肉薄部を重合させ、その重合部の厚さが前記板状部の他の部位とほぼ同じ厚さになるようにして、前記プリント配線板に固着されているようにすると、製作時におけるブロック体の取り扱いが一層容易になる。また、前記地板と前記カバー板との間を、被写体光路用の開口部を有する中間板で仕切って二つの羽根室を構成し、各々の羽根室に前記第1羽根と前記第2羽根とを個別に配置しているようにしてもよく、さらにその場合には、前記中間板に設けられた前記開口部が、前記地板と前記カバー板に設けられている前記各開口部よりも小さくて、撮影用の露光開口を規制しているようにしてもよい。
【0011】
更に、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、前記羽根室内に配置されていて該地板に対して往復作動可能に取り付けられた少なくとも1枚の羽根からなっている第3羽根と、永久磁石を有していて前記地板の羽根室外の面に回転可能に取り付けられており出力ピンを前記第3羽根の羽根に連結させている第3回転子と、コイルを巻回した筒状のボビン部の両側に二つの板状部を有しており該二つの板状部のうちの一方又は両方の一方側の面には前記プリント配線板に固着される端子ピンを形成していて前記第1固定子枠と第2固定子枠のいずれか一方に隣接して配置されている第3固定子枠と、二つの脚部の先端部を第3回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第3固定子枠の前記ボビン部に挿入している第3ヨークと、を備えているほか、第3固定子枠に隣接している前記固定子枠は、前記二つの板状部のいずれか一方の他方側の面に第2の抜け止め部を形成しており、前記三つの固定子枠が前記プリント配線板に固着されて一つのブロック体として構成された状態では、該第2の抜け止め部が、第3ヨークの一方の脚部が第3固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを防止しているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、製作時に、複数の固定子を予めプリント配線板に取り付けて一つのブロック体としておき、複数の回転子を地板に取り付けておいてから、そのブロック体を地板に取り付けるようにしたカメラ用羽根駆動装置において、ブロック体が構成された状態においては、固定子枠のボビン部からヨークの脚部が抜けるのを、他の固定子枠に設けられた抜け止め部によって阻止するように構成したので、装置の製作時におけるブロック体の取り扱いが極めて容易になる。また、ボビン部やヨークを特殊な形状にする必要が全くないので、コスト的にも極めて有利である。更に、ブロック体を製作した後に、不具合があって解体する場合があっても、ボビン部やヨークを破損することが全くないので、それらの部品の再活用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を、図示した実施例によって説明する。本発明は、レンズシャッタ装置,絞り装置,フィルタ装置のうちの二つ又は三つを一つのユニットに構成した羽根駆動装置として実施することが可能であるが、下記の実施例は、3枚の羽根を有するシャッタ装置と1枚の羽根を有する絞り装置とをユニット化した羽根駆動装置である。そして、この実施例は、特に携帯用の情報端末機器などに内蔵されるカメラ用羽根駆動装置として小型化,薄型化を意図して構成したものであるが、単体のデジタルカメラやフィルムカメラに採用することも可能なものである。
【0014】
尚、図1は、被写体側から見た平面図であり、図2は、構成部材の重なり関係を理解し易くするようにして示した断面図である。また、図3〜図5は、二つの電磁アクチュエータの構成を示したものであって、図3(a)は、図1から二つの電磁アクチュエータの固定子ブロックを取り外した平面図であり、図3(b)は、取り外した固定子ブロックを裏返して示した平面図であり、図4は、図3(b)に示されている固定子ブロックの分解斜視図であり、図5は、図1からフレキシブルプリント配線板だけを取り除いて示した平面図である。更に、図6〜図9は各羽根室内の構成を示したものであり、それらのうち、図6及び図7は、図1の背面側から、カバー板を取り外して、絞り羽根の羽根室を見て示した平面図であって、図6は、絞り羽根が初期位置にある状態を示したものであり、図7は、絞り羽根が絞り制御位置にある状態を示したものである。また、図8及び図9は、図6から絞り羽根を取り外し、シャッタ羽根の羽根室を透視して示した平面図であって、図8は、シャッタ羽根が全開位置にある状態を示したものであり、図9は、シャッタ羽根が閉鎖位置にある状態を示したものである。
【実施例】
【0015】
先ず、本実施例の構成を説明する。地板1は、合成樹脂製であって、図2から分かるように、比較的厚くて複雑な形状をしており、図1における下方位置には、光軸を中心にして円形をした被写体光路用の開口部1aを形成している。この地板1には、図6から分かるように、図1の背面側に六つの取付軸1b,1c,1d,1e,1f,1gが立設されている。それらのうち、取付軸1b,1cには中間板2が取り付けられ、地板1との間に第1の羽根室を構成し、取付軸1d,1e,1f,1gにはカバー板3が取り付けられ、中間板2との間に第2の羽根室を構成している。そして、第1の羽根室には、図8に示されているように、3枚のシャッタ羽根4,5,6が配置され、第2の羽根室には、図6に示されているように、1枚の絞り羽根7が配置されている。
【0016】
ここで、地板1に対する中間板2とカバー板3の具体的な取り付け方を説明するが、上記の各取付軸に対する取り付け方は全て同じである。そのため、それらを代表して、取付軸1bに対する中間板2の取り付け方だけを説明する。取付軸1bは、図2に二点鎖線で示したように、最初は円柱形をしている。このような形状の取付軸1bを、中間板2に形成された円形の孔に挿入した後、貫通した先端部を熱溶解させ、フランジ状に変形させることによって中間板2を地板1に取り付けている。この取り付け方は、一般に熱カシメといわれているので、以下の説明においても熱カシメということにする。このような取り付け方をしていることから、図6においては、カバー板3の四つの取付軸1d,1e,1f,1gのうち、取付軸1eだけは、中間板2の取付軸1b,1cと同様にして示されているが、他の取付軸1d,1f,1gは、それらによる取付け箇所にカバー板3が図示されていないので、断面で示されており、熱カシメによってフランジ状に形成された部位は、二点鎖線で示されている。
【0017】
中間板2とカバー板3には、光軸を中心にして円形をした被写体光路用の開口部2a,3aが形成されているが、開口部3aについては、図2の断面図にだけ示してある。本実施例は、撮影レンズが地板1の被写体側に配置されることを想定している。そして、カメラの薄型化を図るために、撮影レンズを、シャッタ羽根4,5,6の作動面に出来るだけ近ずけて配置することを可能にしたいため、地板1の開口部1aを大きくしてある。そのため、三つの開口部1a,2a,3aのうち、中間板2の開口部2aが一番小さくて、露光開口を規制するようにしている。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されず、開口部1aや開口部3aを一番小さくして、露光開口を規制するようにしてもよい。また、本実施例の場合には、上記のように、中間板2を設けて、地板1とカバー板3の間に二つの羽根室を構成しているが、中間板2を設けずに、地板1とカバー板3の間に一つの羽根室を構成し、そこにシャッタ羽根と絞り羽根の両方を配置するようにすることも知られている。そのため、本発明は、中間板2を備えることが必須ではない。そして、中間板2を備えない場合は、上記のように、開口部1aと開口部3aのうちの少なくとも一方が露光開口を規制することになる。
【0018】
地板1の羽根室側の面には、上記の六つの取付軸1b,1c,1d,1e,1f,1gのほか、四つの羽根取付軸1h,1i,1j,1kと、七つのストッパ軸1m,1n,1p,1q,1r,1s,1tと、位置決めピン1uとが立設されている。そして、図8及び図9から分かるように、羽根取付軸1hは、3枚のシャッタ羽根4,5,6のうち、一番地板1側に配置されているシャッタ羽根4を回転可能に取り付けており、その先端を、中間板2の孔2bに挿入しているが、絞り羽根7を配置している第2の羽根室内までは突き出ていない。そして、この羽根取付軸1hは、シャッタ羽根4,6と干渉しないようにするために、シャッタ羽根4,6に形成された円弧状の逃げ孔4a,6aにも挿入されている。また、羽根取付軸1iは、上記のシャッタ羽根4に隣接しているシャッタ羽根5を回転可能に取り付けており、その先端は、中間板2の孔2cを貫通し、カバー板3の図示していない孔に挿入されている。
【0019】
また、羽根取付軸1jは、一番中間板2側に配置されているシャッタ羽根6を回転可能に取り付けており、その先端は、中間板2の孔2dを貫通し、カバー板3の孔3b(図2参照)に挿入されている。そして、この羽根取付軸1jは、第2の羽根室内で絞り羽根7と干渉しないようにするために、絞り羽根7に形成された大きな逃げ孔7aにも挿入されている。更に、羽根取付軸1kは、中間板2の孔2eを貫通し、第2の羽根室内で絞り羽根7を回転可能に取り付けており、その先端を、カバー板3の孔3c(図2参照)に挿入している。そして、この羽根取付軸1kは、中間板2の孔2fに挿入されている位置決めピン1uと共に、中間板2を地板1に取り付けるときの位置決めピンの役目もしている。
【0020】
また、上記の七つのストッパ軸1m,1n,1p,1q,1r,1s,1tのうち、ストッパ軸1m,1n,1p,1q,1rは、その先端が第2の羽根室まで伸びているだけであるが、ストッパ軸1s,1tは、その先端をカバー板3に設けられた図示していない孔に挿入している。また、ストッパ軸1pは、その先端を中間板2の孔2gに挿入しているだけであるが、ストッパ軸1rは、中間板2の孔2hに挿入されているほか、シャッタ羽根4と干渉しないようにするために、図8及び図9から分かるように、シャッタ羽根4に形成された逃げ孔4bにも挿入されている。そして、絞り羽根7には、露光開口を規制している開口部2aよりも小さな絞り用の開口部7bが形成されている。
【0021】
次に、地板1の羽根室外の面に取り付けられている二つの電磁アクチュエータの構成を説明する。図3は、二つの電磁アクチュエータの固定子だけをフレキシブルプリント配線板に取り付けたブロック体を、未だ地板1に取り付けていない状態で示したものである。そして、図3(a)は、地板1側に形成されているアクチュエータ室の内部が見えるようにして示したものであり、図3(b)は、ブロック体を裏返し、アクチュエータ室側となる面の構成が分かるようにして示したものである。図3(a)に示されているように、地板1には、二つの回転子取付軸1A,1Bと、四つの取付軸1C,1D,1E,1Fと、一つの位置決めピン1Gとが立設されている。そして、この図3(a)は、図3(b)に示したブロック体を地板1に取り付ける直前の状態を示したものであるから、回転子取付軸1A,1Bには、既に回転子8,9が回転可能に取り付けられている。
【0022】
本実施例の回転子8,9は、全く同じ構成であって、特許文献2に記載されている回転子と実質的に同じ構成をしている。即ち、本実施例の回転子8,9は、径方向に2極に着磁された円筒状の永久磁石8a,9aと、その永久磁石に一体化された合成樹脂製の腕部8b,9bと、その腕部8b,9bの先端に形成された出力ピン8c,9cからなっていている。そして、回転子8の出力ピン8cは、地板1に形成された円弧状の長孔1vから羽根室側に挿入されていて、第1の羽根室内でシャッタ羽根4,5,6の長孔(図8及び図9に図示されているが図面が見にくくなるので符号は付けていない)に嵌合しており、先端は、長孔1vと同じ形状をした中間板2の長孔2i(図8,図9参照)と、絞り羽根7の上記した逃げ孔7a(図8,図9参照)と、長孔1vと同じ形状をしたカバー板3の長孔3d(図2参照)とに、順に挿入されている。また、回転子9の出力ピン9cは、地板1に形成された円弧状の長孔1wから羽根室側に挿入されていて、長孔1wと同じ形状をした中間板2の長孔2j(図8,図9参照)を貫通し、第2の羽根室内で絞り羽根7の長孔7c(図6,図7参照)に嵌合しており、先端は、長孔1wと同じ形状をしたカバー板3の長孔3e(図2参照)に挿入されている。尚、本実施例の回転子8,9はこのような構成をしているが、特許文献1の実施例5に記載されている構成にしても差し支えない。
【0023】
次に、本実施例のブロック体の構成と地板1への取り付け方を、図1〜図5を用いて説明する。尚、図4は、アクチュエータ室側から見上げるようにして示した分解斜視図である。また、図5は、実際には、このようにして目視することのできない図面であるが、フレキシブルプリント配線板16側の各固定子の形状を理解し易くするために、図1からフレキシブルプリント配線板16だけを取り除いた状態にして示した平面図である。本実施例の場合、上記の回転子8によってシャッタ羽根4,5,6を駆動する方の電磁アクチュエータは、固定子枠10と、コイル11と、ヨーク12とで固定子を構成しており、上記の回転子9によって絞り羽根7を駆動する方の電磁アクチュエータは、固定子枠13と、コイル14と、ヨーク15とで固定子を構成している。そして、それらの固定子は、フレキシブルプリント配線板16に取り付けられことによって一つのブロック体に構成されている。しかしながら、本発明のブロック体は、それらの固定子を、硬質のプリント配線板に取り付けて構成されているようにしても差し支えない。以下、本実施例のブロック体の構成を具体的に説明するが、固定子枠10,13の説明に際しては、フレキシブルプリント配線板16側を上側といい、その反対側を下側ということにする。
【0024】
図4に示されているように、一方の固定子枠10は、コイル11を巻回した筒状のボビン部10aと、その両側に形成された板状部10b,10cとを有しており、板状部10b,10cには、各々、孔10d,10eが形成されている。そして、板状部10bには、下側の面の一部を削ぎ落とした形状の肉薄部10fが形成されており、上側の面には、端子ピン10g(図5参照)が立設されている。また、板状部10cには、下側の面の一部を削ぎ落とした形状をした二つの肉薄部10h,10iが形成されており、下側の面には、上記の回転子8の永久磁石8aの一部と地板1の回転子取付軸1Aの先端とを受け入れる凹部10jが形成され、且つ抜け止め部10kが設けられており、上側の面には、端子ピン10m(図5参照)が立設されている。そして、上記のコイル11の両端は、端子ピン10g,10mに巻き付けられている。また、ヨーク12は、孔12aを有しており、二つの脚部12b,12cの先端部を回転子8の永久磁石8aの周面に対向させる磁極部としていて、一方の脚部12bを上記のボビン部10aに挿入している。
【0025】
他方の固定子枠13は、コイル14を巻回した筒状のボビン部13aと、その両側に形成された板状部13b,13cとを有しており、板状部13b,13cには、各々、孔13d,13eが形成されている。そして、板状部13bには、上側の面の一部を削ぎ落とした形状の肉薄部13f(図5参照)が形成されており、下側の面には、抜け止め部13gが設けられ、上側の面には、二つの端子ピン13h,13i(図5参照)が立設されている。また、板状部13cには、上側の面の一部を削ぎ落とした形状の肉薄部13j(図5参照)が形成されており、下側の面には、上記の回転子9の永久磁石9aの一部と地板1の回転子取付軸1Bの先端とを受け入れる凹部13kが形成されている。そして、上記のコイル14の両端は、端子ピン13h,13iに巻き付けられている。また、ヨーク15は、孔15aを有しており、二つの脚部15b,15cの先端部を回転子9の永久磁石9aの周面に対向させる磁極部としていて、一方の脚部15bを上記のボビン部13aに挿入している。
【0026】
尚、固定子枠13の場合は、板状部13bの上側の面に二つの端子ピン13h,13iを立設しているが、それらの一方を板状部13cに立設しても構わないし、両方を板状部13cに立設しても構わない。同様にして、上記の固定子枠10の場合にも、二つの端子ピン10g,10mの両方を、板状部10b,10cのいずれか一方に立設するようにしても構わない。また、固定子枠13の肉薄部13f,13jは、二つの固定子枠10,13がブロック体として構成されたときには、固定子枠10の肉薄部10f,10iに重合されるようになっており、それらの重合部の厚さが、板状部10b,10c,13b,13cの基準の厚さと略同じになるようになっている。
【0027】
そして、ブロック体を構成している最後の部材であるフレキシブルプリント配線板16には、八つの孔16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16hが形成されている。これらのうち、四つの孔16e,16f,16g,16hは、回路パターンのランドに形成された孔である。
【0028】
次に、ブロック体の組み立て方を説明する。ブロック体を製作するに際しては、予め、図3(a)に示されているような、地板1に形成されたアクチュエータ室と同じ形状の治具を用意しておく。そして先ず、ヨーク15の脚部15bを固定子枠13のボビン部13aに挿入した状態にしておいて、位置決めピン1Gに相当する治具の位置決めピンに、ヨーク15の孔15aを嵌合させ、取付軸1Cに相当する治具の軸に、固定子枠13の孔13eを嵌合させ、取付軸1Dに相当する治具の軸に、固定子枠13の孔13dを嵌合させる。次に、ヨーク12の脚部12bを固定子枠10のボビン部10aに挿入した状態にしておいて、取付軸1Fに相当する治具の位置決めピンに、ヨーク12の孔12aと固定子枠10の孔10dとを嵌合させ、取付軸1Eに相当する治具の軸に、固定子枠10の孔10eを嵌合させる。
【0029】
その結果、治具上では、二つの固定子は、あたかも、図5に示されているような状態に配置されたことになる。即ち、このとき、固定子枠10の肉薄部10fと固定子枠13の肉薄部13fは重合されており、固定子枠10の肉薄部10iと固定子枠13の肉薄部13jも重合されている。また、固定子枠10の肉薄部10hは、ヨーク15の脚部15cに接触している。更に、図3に示されている状態と同様に、固定子枠10の抜け止め部10kはヨーク15の脚部15cに対して略接触状態になっており、固定子枠13の抜け止め部13gはヨーク12に対して略接触状態になっている。そして次に、フレキシブルプリント配線板16の四つの孔16a,16b,16c,16dを、取付軸1C,1D,1F,1Eに相当する治具の軸に嵌合させ、残りの四つの孔16e,16f,16g,16hを、端子ピン13h,13i,10g,10mに嵌合させる。そして、各端子ピン13h,13i,10g,10mに巻き付けられているコイル14,11の各両端と、プリント配線板16の四つのランドとを半田で接合すると、二つの固定子とプリント配線板16とが一つのブロック体に構成されたことになる。
【0030】
このようにして製作された後、ブロック体は治具から外されることになるが、その外された状態が、図3(b)に示されている。このとき、ヨーク12,15は、それらの二股部が固定子枠10,13のボビン部10a,13aの入口に接触しているので、図3(b)において、右方向へ移動することができないし、左方向への移動は、抜け止め部13g,10kによって阻止されている。そのため、ブロック体をどのように取り扱っても、ヨーク12,15の脚部12b,15bは、ボビン部10a,13aから抜けることがなく、取り扱い易い状態になっている。しかも、本実施例は、固定子枠10,13の一部に肉薄部10f,10h,10i,13f,13jを形成し、相手の肉薄部と重合させたり、肉薄部10hをヨーク15の脚部15cに重合させたりしているので、各固定子部材を、比較的腰の弱いフレキシブルプリント配線板16に取り付けても、それらの相互の配置構成が崩れてしまうことがない。尚、本実施例の固定子枠10,13は、各々の二つの板状部の両方に肉薄部を形成しているが、設計次第では、各々の一方の板状部にだけ形成すればよい場合もある。
【0031】
次に、地板1に対するブロック体の取り付け方を説明する。その場合には、図3(b)に示されているブロック体を、左右方向へ裏返した状態に向きを変え、図3(a)に示されているように、既に回転子8,9を取り付け終わっている地板1に対して取り付けることになる。そして、その場合には、取付軸1Cに対しては、固定子枠13の孔13eとフレキシブルプリント配線板16の孔16aとを重ねた状態で嵌合させ、取付軸1Dに対しては、固定子枠13の孔13dとフレキシブルプリント配線板16の孔16bとを重ねた状態で嵌合させ、取付軸1Eに対しては、固定子枠10の孔10eとフレキシブルプリント配線板16の孔16cとを重ねた状態で嵌合させ、取付軸1Fに対しては、ヨーク12の孔12a,固定子枠10の孔10d,フレキシブルプリント配線板16の孔16dの三者を重ねた状態で嵌合させる。そして、この段階では、取付軸1C,1D,1E,1Fの先端が、フレキシブルプリント配線板16から突き出た状態になっているので、それらの先端を熱カシメすることによって、ブロック体が地板1に取り付けられたことになる。図1は、その取付状態を被写体側から見た図である。
【0032】
尚、本実施例では、地板1を被写体側に向ける場合で説明したが、カバー板3を被写体側に向けて配置してもよいことは言うまでもない。また、本実施例は、中間板2と、カバー板3と、ブロック体とを、いずれも熱カシメによって地板1に取り付けているが、本発明は、このような取り付け方に限定されず、ビスなどの他の固定手段で取り付けるようにしても構わない。いずれにしても、本実施例は、二つの固定子をフレキシブルプリント配線板と共に一つのブロック体として構成しているので、羽根駆動装置として組み立てた後に、羽根室側の部材などに不具合が生じて、ブロック体を地板1から外すようなことがあっても、ブロック体を無傷で外せるし、そのまま、他の地板に組み付けることが可能であり、再活用がし易くなっている。
【0033】
次に、主に図6〜図9を用いて本実施例の作動を説明する。上記したように、本実施例は、特に携帯用の情報端末機器などに内蔵されるカメラ用羽根駆動装置として、シャッタ装置と絞り装置とをユニット化したものであるから、基本的には、デジタルスチルカメラ用の羽根駆動装置である。そして、図6及び図8に示した状態は、撮影待機状態であり、このとき、絞り羽根7は開口部2aから退避した初期位置にあり、シャッタ羽根4,5,6は、開口部2aの全開位置にある。そのため、図示していない固体撮像素子には被写体光が当たっており、撮影者は、モニターによって被写体像を観察することが可能になっている。
【0034】
また、このとき、各電磁アクチュエータのコイル11,14には通電されていない。ところが、周知のように、このとき、図6及び図8に明示されていない各回転子8,9は、その永久磁石8a,9aの磁極と各ヨーク12,15の二つの磁極部との対向配置関係によって反時計方向へ回転するように付勢されている。そのため、回転子8の出力ピン8cによって、シャッタ羽根4,5には反時計方向へ回転する力が加わり、シャッタ羽根6には時計方向へ回転する力が加わっている。しかしながら、シャッタ羽根4,5はストッパ軸1mに接触し、シャッタ羽根6はストッパ軸1qに接触しているので、その回転が阻止され、図8に示された状態が安定して得られている。また、回転子9の出力ピン9cによって、絞り羽根7には時計方向へ回転する力が加わっているが、絞り羽根7はストッパ軸1sに接触しているので、その回転が阻止され、図6に示された状態が安定して得られている。
【0035】
撮影に際してレリーズボタンが押されると、測光装置による測定結果によって、被写体光を減光して撮影するか、減光しないでそのまま撮影するかが判断される。そして、減光して撮影すると判断された場合には、最初に、コイル14に対して、順方向の電流が供給される。それによって、図6には明示されていない回転子9が時計方向へ回転させられ、出力ピン9cによって、絞り羽根7を反時計方向へ回転させる。そのため、絞り羽根7は開口部2a内に進入してゆき、絞り用の開口部7bの中心が、開口部2aの中心位置までくると、絞り羽根7がストッパ軸1tに当接して停止する。その状態が、図7に示されている。
【0036】
この状態になると、直ちに、固体撮像素子に蓄積されていた電荷が放出されて、撮影が開始され、新たな電荷が固体撮像素子に蓄積されていく。そして、所定の時間が経過すると、露光時間制御回路からの信号により、コイル11に対して順方向の電流が供給される。それによって、図8には明示されていない回転子8が時計方向へ回転させられ、出力ピン8cによって、シャッタ羽根4,5を時計方向へ回転させ、シャッタ羽根6を反時計方向へ回転させていくが、シャッタ羽根4は、シャッタ羽根5よりも早く回転されられる。そして、開口部2aが完全に閉鎖されると、シャッタ羽根4がストッパ軸1pに当接し、また、周知のように、その直後には、シャッタ羽根5,6もストッパ軸1n,1rに当接するが、最終的には、シャッタ羽根4だけがストッパ軸1pに接触した状態になって、シャッタ羽根4,5,6の回転が停止させられる。その状態が、図9に示されている。
【0037】
このようにして、図7及び図9に示された状態になると、固体撮像素子に蓄積された電荷が、撮像情報として記憶装置に転送される。そして、その転送が終わると、コイル11,14に対して逆方向の電流が供給され、図7及び図9には明示されていない回転子8,9が反時計方向へ回転させられる。そこで先ず、回転子8が反時計方向へ回転させられると、その出力ピン8cによって、シャッタ羽根4,5を反時計方向へ回転させ、シャッタ羽根6を時計方向へ回転させていくが、このときにも、シャッタ羽根4は、シャッタ羽根5よりも早く回転されられる。そして、開口部2aを全開にすると、シャッタ羽根4,5はストッパ軸1mに当接して停止し、シャッタ羽根6はストッパ軸1qに当接して停止する。
【0038】
他方、回転子9が反時計方向へ回転させられると、その出力ピン9cによって、絞り羽根7を時計方向へ回転させる。そのため、絞り羽根7は、開口部2aから退いてゆき、完全に退いた直後に、ストッパ軸1sに当接して停止させられる。その後、両方の電磁アクチュエータのコイル11,14に対する通電を断つと、図6及び図8の撮影待機状態に復帰したことになる。尚、測光装置による測定結果によって、減光しないで撮影すると判断された場合には、上記の作動説明において、コイル14には通電せず、コイル11に対して通電するだけであるため、その場合における作動説明を省略する。また、本実施例の羽根駆動装置をフィルムカメラに採用した場合は、周知のように、絞り羽根7が図6の状態にあって、シャッタ羽根4,5,6が図9に示された状態にあるときが撮影待機状態であって、撮影時においては、シャッタ羽根4,5,6は、開き作動を行ってから閉じ作動を行うことになる。
【0039】
上記した実施例は、シャッタ装置と絞り装置とをユニット化した羽根駆動装置である。しかしながら、本発明のカメラ用羽根駆動装置は、そのようなものに限定されない。周知のように、実施例の絞り羽根7に対し、その開口部7bを覆うようにしてNDフィルターシートを取り付ければ、同じ光量制御羽根の一つであるフィルタ羽根になる。そのため、二つの電磁アクチュエータの構成が同じである限り、シャッタ装置とフィルタ装置とをユニット化した羽根駆動装置も本発明の羽根駆動装置である。また、同様な観点から、本発明は、絞り装置とフィルタ装置とをユニット化した羽根駆動装置として構成することも可能である。更に、本発明は、実施例におけるシャッタ装置と絞り装置のほか、フィルタ装置をも含めてユニット化した羽根駆動装置とすることも可能である。その場合には、実施例における二つの固定子枠10,13のいずれか一方にもう一つの抜け止め部を設けるようにし、その抜け止め部によって、フィルタ装置用の電磁アクチュエータのヨークの抜け止めを行わせるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】被写体側から見た実施例の平面図である。
【図2】実施例の構成部材の重なり関係を理解し易く示した断面図である。
【図3】図3(a)は図1から二つの電磁アクチュエータの固定子ブロックを取り外した平面図であり、図3(b)は取り外した固定子ブロックを裏返して示した平面図である。
【図4】図3(b)に示されている固定子ブロックの分解斜視図である。
【図5】図1からフレキシブルプリント配線板だけを取り除いて示した平面図である。
【図6】図1の背面側から、カバー板を取り外して、絞り羽根の羽根室を見て示した平面図であって、絞り羽根が初期位置にある状態を示したものである。
【図7】図6と同様にして見た平面図であって、絞り羽根が絞り制御位置にある状態を示したものである。
【図8】図6から絞り羽根を取り外し、シャッタ羽根の羽根室を透視して示した平面図であって、シャッタ羽根が全開位置にある状態を示したものである。
【図9】図8と同様にして見た平面図であって、シャッタ羽根が閉鎖位置にある状態を示したものである。
【符号の説明】
【0041】
1 地板
1a,2a,3a,7b 開口部
1b〜1g,1C〜1F 取付軸
1h〜1k 羽根取付軸
1m,1n,1p〜1t ストッパ軸
1u,1G 位置決めピン
1v,1w,2i,2j,3d,3e,7c 長孔
1A,1B 回転子取付軸
2 中間板
2b〜2h,3b,3c,10d,10e,13d,13e,15a,16a〜16h 孔
3 カバー板
4,5,6 シャッタ羽根
4a,4b,6a,7a 逃げ孔
7 絞り羽根
8,9 回転子
8a,9a 永久磁石
8b,9b 腕部
8c,9c 出力ピン
10,13 固定子枠
10a,13a ボビン部
10f,10h,10i,13f,13j 肉薄部
10g,10m,13h,13i 端子ピン
10j,13k 凹部
10k,13g 抜け止め部
10b,10c,13b,13c 板状部
11,14 コイル
12,15 ヨーク
12b,12c,15b,15c 脚部
16 プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が被写体光路用の開口部を有していて両者の間に少なくとも一つの羽根室を構成している地板及びカバー板と、前記羽根室内に配置されていて各々が前記地板に対して往復作動可能に取り付けられた少なくとも1枚の羽根からなっている第1羽根及び第2羽根と、永久磁石を有していて前記地板の羽根室外の面に回転可能に取り付けられており各々の出力ピンを前記第1羽根の羽根と前記第2羽根の羽根に対して個別に連結させている第1回転子及び第2回転子と、各々はコイルを巻回した筒状のボビン部の両側に二つの板状部を有しており該二つの板状部のうちの一方又は両方の一方側の面にはプリント配線板に固着される端子ピンを形成し該二つの板状部のうちの一方の他方側の面には抜け止め部を形成している第1固定子枠及び第2固定子枠と、二つの脚部の先端部を第1回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第1固定子枠の前記ボビン部に挿入しており前記二つの固定子枠が前記プリント配線板に固着された状態では該一方の脚部が第1固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを第2固定子枠の前記抜け止め部によって防止されている第1ヨークと、二つの脚部の先端部を第2回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第2固定子枠の前記ボビン部に挿入しており前記二つの固定子枠が前記プリント配線板に固着された状態では該一方の脚部が第2固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを第1固定子枠の前記抜け止め部によって防止されている第2ヨークと、を備えていて、第1固定子枠と第2固定子枠とは、第1ヨークと第2ヨークを伴い前記プリント配線板に固着された一つのブロック体として構成されてから前記地板に取り付けられていることを特徴とするカメラ用羽根駆動装置。
【請求項2】
前記プリント配線板が、フレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項3】
前記二つの固定子枠は、各々、前記二つの板状部の少なくとも一方に、厚さを薄くした肉薄部を有していて、両者の該肉薄部を重合させ、その重合部の厚さが前記板状部の他の部位とほぼ同じ厚さになるようにして、前記プリント配線板に固着されていることを特徴とする請求項2に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項4】
前記地板と前記カバー板との間を、被写体光路用の開口部を有する中間板で仕切って二つの羽根室を構成し、各々の羽根室に前記第1羽根と前記第2羽根とを個別に配置していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項5】
前記中間板に設けられている前記開口部が、前記地板と前記カバー板に設けられた前記各開口部よりも小さくて、撮影用の露光開口を規制していることを特徴とする請求項4に記載のカメラ用羽根駆動装置。
【請求項6】
前記羽根室内に配置されていて該地板に対して往復作動可能に取り付けられた少なくとも1枚の羽根からなっている第3羽根と、永久磁石を有していて前記地板の羽根室外の面に回転可能に取り付けられており出力ピンを前記第3羽根の羽根に連結させている第3回転子と、コイルを巻回した筒状のボビン部の両側に二つの板状部を有しており該二つの板状部のうちの一方又は両方の一方側の面には前記プリント配線板に固着される端子ピンを形成していて前記第1固定子枠と第2固定子枠のいずれか一方に隣接して配置されている第3固定子枠と、二つの脚部の先端部を第3回転子の周面に対向させる磁極部としていて一方の脚部を第3固定子枠の前記ボビン部に挿入している第3ヨークと、を備えているほか、第3固定子枠に隣接している前記固定子枠は、前記二つの板状部のいずれか一方の他方側の面に第2の抜け止め部を形成しており、前記三つの固定子枠が前記プリント配線板に固着されて一つのブロック体として構成された状態では、該第2の抜け止め部が、第3ヨークの一方の脚部が第3固定子枠の前記ボビン部から抜けるのを防止しているようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−53433(P2009−53433A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220057(P2007−220057)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】