説明

カメラ

【課題】高さ寸法を短縮して携帯性を向上させた屈曲光学系を有するカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ10は、屈曲光学系30を備えている。この屈曲光学系30は、標準姿勢のカメラ本体11を被写体側から見たときに左右方向に延在するようにカメラ本体11内に配置されている。また、カメラ本体11内には、各部を制御するCPU38が実装されたメイン基板37が設けられており、このメイン基板37は、屈曲光学系30の背面側に配置されている。また、ストロボ発光部13、ストロボコンデンサ36、及びレリーズボタン15は、屈曲光学系30よりも上方に配置されており、バッテリ39、電源端子16、及びUSB端子17は、屈曲光学系30よりも下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体光の光軸を略直角に屈曲させ後、被写体像を結像させる屈曲光学系を備えているカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDイメージセンサ等の固体撮像素子を備えたデジタルカメラが普及している。また、被写体光の光軸を略直角に屈曲させる屈曲光学系を備えたデジタルカメラが知られている。このようなデジタルカメラでは、光学系の前後方向長さを縦横方向に変換することによって、カメラ本体の前後方向の厚みを薄くして携帯性を向上させることができる。
【0003】
また、標準姿勢のカメラ本体を被写体側から見た時に、前述の屈曲光学系がカメラ本体の左右方向の略全幅に渡って延在するように配置したデジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このデジタルカメラでは、カメラ本体の左右方向の幅を短縮するとともに、屈曲光学系以外の構成部品を屈曲光学系の両側に振り分けて配置することで、カメラ本体の小型化を図ることができる。
【特許文献1】特開2004−219516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のデジタルカメラでは、屈曲光学系以外の構成部品を屈曲光学系の両側に振り分けて配置するため、カメラ本体の高さ寸法を短縮することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高さ寸法を短縮して携帯性を向上させた屈曲光学系を有するカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のカメラは、被写体光の光軸を略直角に屈曲させた後に被写体像を結像する屈曲光学系を備え、この屈曲光学系が、標準姿勢のカメラ本体を被写体側から見たときに左右方向に延在するように前記カメラ本体内に配置されたカメラであり、前記屈曲光学系の背面側に、前記カメラ本体内の各部を制御する制御回路が実装されたメイン基板が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた状態で前記屈曲光学系よりも上方に、ストロボ発光部、ストロボコンデンサ、及びレリーズボタンが設けられ、前記屈曲光学系よりも下方に、外部機器と接続するための接続端子が設けられていることが好ましい。
【0008】
さらに、前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた時に、前記屈曲光学系よりも下方で略平行となるように、前記カメラ本体内の各部に電源を供給するバッテリが配置されていることが好ましい。また、前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた時に、前記カメラ本体の側面側に縦置きとなるように、前記カメラ本体内の各部に電源を供給するバッテリを配置しても良い。
【0009】
また、前記カメラ本体の背面には、画像を表示する表示手段が設けられており、前記標準姿勢の前記カメラ本体を背面側から見た時に、ユーザによって操作される複数の操作部材が、前記表示手段よりも下側で前記左右方向に一列で配置されていることが好ましい。
【0010】
さらに、前記屈曲光学系を構成するレンズを前記光軸に沿って移動させるモータが、前記メイン基板に実装されていることが好ましい。
【0011】
また、前記屈曲光学系は、前記被写体光を略直角に反射させて、前記光軸を前記左右方向に屈曲させる第1反射光学部材と、この第1反射光学部材によって屈曲された前記光軸を前記メイン基板に向けて略直角に屈曲させる第2反射光学部材とを備え、前記メイン基板には、前記被写体像を撮像する撮像手段が前記第2反射光学部材の出射面と対面する位置に実装されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカメラによれば、メイン基板が、屈曲光学系の背面側に配置されているため、屈曲光学系よりも上方または下方にメイン基板を配置する場合よりも、カメラ本体の高さ寸法を短縮することができる。このため、カメラの携帯性を向上させることができる。
【0013】
また、屈曲光学系よりも上方に、ストロボ発光部、ストロボコンデンサ、及びレリーズボタンを設け、屈曲光学系よりも下方に接続端子を設けることにより、カメラ本体に部品が効率良く配置してカメラ本体を小型することができる。
【0014】
さらに、カメラ本体の側面側にバッテリを縦置きで配置することによって、バッテリを屈曲光学系よりも下方に略平行に配置する場合よりも高さ寸法を短縮することが可能である。
【0015】
また、表示手段よりも下側に、複数の操作部材を一列に配置することによって、表示手段のサイズを大きくすることが可能である。さらに、メイン基板に撮像手段及びモータを実装することによって、メイン基板と接続するための接続部材が不要となり製造コストを低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
最初に、第1の実施形態であるデジタルカメラ10について説明する。図1に示すデジタルカメラ10は、カメラ本体11の前面に、対物レンズ12と、ストロボ発光部13とを備えている。また、カメラ本体11の前面には、対物レンズ12を遮蔽する遮蔽位置と露呈させる露呈位置との間で移動自在なレンズバリア14が設けられている。さらに、カメラ本体11の上面には、レリーズボタン15が設けられている。
【0017】
また、カメラ本体11の側面には、電源端子16と、USB端子17とが設けられている。電源端子16は、ACアダプタの接続端子が接続され、USB端子17は、外部周辺機器(例えば、パーソナルコンピュータ)とカメラ本体11とをUSBケーブルで接続する際に使用される。
【0018】
さらに、カメラ本体11の背面には、図2に示すように、LCD20と、操作部21とが設けられている。LCD20は、画像を表示する表示手段であり、画像の他に各種設定画面等も表示する。また、操作部21は、複数の操作部材(ボタン等)で構成されており、ユーザによって操作される。この操作部21は、標準姿勢のカメラ本体11を背面側から見た時に、LCD20よりも右側に配置されている。
【0019】
次に、カメラ本体11内の構成部品のレイアウトについて説明する。デジタルカメラ10は、図3〜図5に示すように、屈曲光学系30を備えている。この屈曲光学系30は、標準姿勢のカメラ本体11を被写体側から見た時にカメラ本体11の左右方向の略全幅に渡って延在するように配置されている。屈曲光学系30は、対物レンズ12と、プリズム31と、ズームレンズやフォーカスレンズ等で構成される複数のレンズ群(図示せず)と、ズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸方向に駆動するモータ32,33とを備えて構成されている。
【0020】
また、この屈曲光学系30の後端部には、被写体像を光電変換によって撮像する撮像手段であるCCDイメージセンサ(以下、単にCCDと称する)34が設けられている。対物レンズ12を透過した被写体光が、プリズム31によって略直角に屈曲された後、複数のレンズ群を透過して、CCD34の受光面に被写体像が結像される。
【0021】
また、屈曲光学系30よりも上方には、レリーズユニット35と、ストロボ発光部13と、ストロボコンデンサ36とが設けられている。また、屈曲光学系30の背面側には、メイン基板37が設けられている。このメイン基板37は、カメラ本体11内の各部を制御する制御回路であるCPU38が実装されている。
【0022】
また、屈曲光学系30よりも下方には、カメラ本体11内の各部に電源を供給するバッテリ39が設けられている。このバッテリ39は、屈曲光学系30と略平行となるように、左右方向に配置されている。
【0023】
前述したように、メイン基板37を屈曲光学系30の背面側に配置することによって、メイン基板37を屈曲光学系30よりも上方または下方に配置する場合と比べて、カメラ本体11の高さ方向のサイズを短縮することが可能であり、カメラ本体11の携帯性を向上させることができる。
【0024】
次に、第2の実施形態であるデジタルカメラ40について説明する。図6に示すデジタルカメラ40は、カメラ本体41の背面側の構成がデジタルカメラ10と異なり、LCD42よりも下方に操作部43が設けられている。また、この操作部43を構成する各ボタン43a〜43gは、左右方向に一列に配置されている。このため、デジタルカメラ10のように、LCD42よりも右側に操作部43を配置する場合と比べて、LCDのサイズを大型化することが可能である。なお、その他の構成は、デジタルカメラ10と同様であり、同じ部品には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0025】
次に、第3の実施形態であるデジタルカメラ50について説明する。図7に示すデジタルカメラ50は、カメラ本体51内に収納されるバッテリ39の配置位置がデジタルカメラ10と異なり、標準姿勢のカメラ本体51を被写体側から見て、左側面側に縦置きで配置されている。このため、デジタルカメラ10のように、バッテリ39を屈曲光学系30よりも下方に配置する場合と比較して、カメラ本体51の高さ寸法を小さくすることができる。なお、その他の構成は、デジタルカメラ10と同様であり、同じ部品には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0026】
次に、第4の実施形態であるデジタルカメラ60について説明する。図8及び図9に示すデジタルカメラ60は、CCD34の配置位置がデジタルカメラ10と異なり、CCDがメイン基板に実装されている。例えば、CCD34は、撮像素子パッケージに収納された状態でメイン基板37に半田付けされて実装されている。また、メイン基板37には、ズームレンズや、フォーカスレンズ等を駆動するモータ32,33も半田で直付けされている。
【0027】
このように、CCD34の配置位置が異なるため、カメラ本体61内に設けられた屈曲光学系62の構成も屈曲光学系30と異なる。つまり、屈曲光学系30が1つのプリズム31を有し、被写体光の光軸を略直角に1回屈曲させるのに対して、屈曲光学系62は、プリズム63,64の2つのプリズムを有している。
【0028】
プリズム63は、入射した被写体光の光軸をカメラ本体11の左右方向に略平行となるように、略直角に屈曲させる。その後、複数のレンズ群65〜68を透過した被写体光がプリズム64に入射する。
【0029】
プリズム64は、複数のレンズ群65〜68を透過した被写体光の光軸をカメラ本体61の背面に向けて略直角に屈曲させる。前述のCCD34は、このプリズム64の出射面と対面するように配置されており、被写体光がCCD34の受光面に入射する。なお、その他の構成は、デジタルカメラ10と同様であり、同じ部品には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0030】
前述したように、CCD34、及びモータ32,33をメイン基板37に実装することによって、メイン基板37とこれらを接続するための接続部材、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)等が不要となり、接続部材を削減することによってコストダウンすることが可能である。
【0031】
上記説明において、CCD34及びモータ32,33の両方をメイン基板37に実装する場合を例に説明を行ったが、どちらか一方のみをメイン基板37に実装しても良い。モータ32,33のみをメイン基板37に実装する場合、デジタルカメラ10と同様の屈曲光学系30を用いれば良い。
【0032】
なお、上記実施形態において、反射光学部材としてプリズムを用いる場合を例に説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリズムの代わりに反射ミラーを用いても良い。
【0033】
また、上記実施形態において、撮像手段としてCCDイメージセンサを用いる場合を例に説明を行ったが、これに限るものではなく、例えば、CMOSイメージセンサを用いても良い。
【0034】
さらに、上記実施形態において、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明を行ったが、これに限るものではなく、例えば、本発明を銀塩カメラに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態であるデジタルカメラの前面側の構成を示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面側の構成を示す背面図である。
【図3】デジタルカメラの内部構成を示す平面概略図である。
【図4】デジタルカメラの内部構成を示す正面概略図である。
【図5】デジタルカメラの内部構成を示す側面概略図である。
【図6】第2の実施形態であるデジタルカメラの背面側の構成を示す背面図である。
【図7】第3の実施形態であるデジタルカメラの内部構成を示す正面概略図である。
【図8】第4の実施形態であるデジタルカメラの内部構成を示す平面概略図である。
【図9】第4の実施形態であるデジタルカメラの内部構成を示す側面概略図である。
【符号の説明】
【0036】
10,40,50,60 デジタルカメラ
11,41,51,61 カメラ本体
13 ストロボ発光部
16 電源端子
17 USB端子
20,42 LCD
21,43 操作部
30,62 屈曲光学系
31,63,64 プリズム
32,33 モータ
34 CCD
35 レリーズユニット
36 ストロボコンデンサ
37 メイン基板
38 CPU
39 バッテリ
43a〜43g 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光の光軸を略直角に屈曲させた後に被写体像を結像する屈曲光学系を備え、この屈曲光学系が、標準姿勢のカメラ本体を被写体側から見たときに左右方向に延在するように前記カメラ本体内に配置されたカメラにおいて、
前記屈曲光学系の背面側に、前記カメラ本体内の各部を制御する制御回路が実装されたメイン基板が設けられていることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた状態で前記屈曲光学系よりも上方に、ストロボ発光部、ストロボコンデンサ、及びレリーズボタンが設けられ、前記屈曲光学系よりも下方に、外部機器と接続するための接続端子が設けられていることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた時に、前記屈曲光学系よりも下方で略平行となるように、前記カメラ本体内の各部に電源を供給するバッテリが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ。
【請求項4】
前記カメラ本体が前記標準姿勢にされた時に、前記カメラ本体の側面側に縦置きとなるように、前記カメラ本体内の各部に電源を供給するバッテリが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ。
【請求項5】
前記カメラ本体の背面には、画像を表示する表示手段が設けられており、前記標準姿勢の前記カメラ本体を背面側から見た時に、ユーザによって操作される複数の操作部材が、前記表示手段よりも下側で前記左右方向に一列で配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載のカメラ。
【請求項6】
前記屈曲光学系を構成するレンズを前記光軸に沿って移動させるモータが、前記メイン基板に実装されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載のカメラ。
【請求項7】
前記屈曲光学系は、前記被写体光を略直角に反射させて、前記光軸を前記左右方向に屈曲させる第1反射光学部材と、この第1反射光学部材によって屈曲された前記光軸を前記メイン基板に向けて略直角に屈曲させる第2反射光学部材とを備え、前記メイン基板には、前記被写体像を撮像する撮像手段が前記第2反射光学部材の出射面と対面する位置に実装されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−316528(P2007−316528A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148376(P2006−148376)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】