説明

カラーフィルターでの使用のためのジケトピロロピロール顔料組成物

本発明は、コハク酸ジエステルの1モルと、ニトリルA−CNとニトリルB−CNとの混合物の2モルとを反応させることによって得られる、次式(I)、(II)、及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物であって、平均粒度d50が10〜60nmであり、その際、粒子の5体積%未満が70nm超であることを特徴とし、
【化1】


ここで、上記ニトリル混合物中のA−CNとB−CNとは互いに99.5:0.5〜85.0:15のモル比にあり、そしてその際、A−CNが4−クロロベンゾニトリルを意味し、かつ、B−CNがニトリルである顔料組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物、その製造、並びにこの新規な生成物の顔料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機顔料の多くの用途について、非常に良好な分散性及び高い耐熱性が必要であり、例えばメタリック塗料の着色又はカラーフィルターへの使用の場合などである。
【0003】
カラーフィルターを製造するためには、コントラスト比の低下を招く粒子のばらつきを大幅に排除するため、特に微細化された顔料が使用される。
【0004】
コントラスト比(KV)を測定するには、透明な基板上の顔料着色された塗膜の透過後の光強度を測定し、その際基板は2つの偏光器の間にある。コントラスト比は、平行に置かれた偏光器の場合と垂直に置かれた偏光器の場合の光強度の比を示す。
【0005】
【数1】

【0006】
しかし市場で入手可能な市販品は、技術全要求を常に満たすわけではない。特に、この微細化された顔料の粒径、分散性、及び耐熱性を、彩度及び色相に悪影響を及ぼすことなく向上させることが求められている。
【0007】
欧州特許出願公開第0094911A号(特許文献1)からは、二種の異なるニトリルAとB、及びコハク酸ジエステルから混合合成によって製造可能なジケトピロロピロール(DPP)から成る顔料組成物が知られている。
【0008】
欧州特許出願公開第0181290A号(特許文献2)からは、二種の異なるニトリルAとB、及びコハク酸ジエステルから混合合成によって製造されるジケトピロロピロール(DPP)から成る顔料組成物が知られているが、このジケトピロロピロールはその粒径のためにカラーフィルターでの使用には適していない。
【0009】
欧州特許出願公開第0962499A号(特許文献3)からは、結晶成長抑制剤の存在下で、等モル量の様々なニトリルをコハク酸ジエステルと混合合成することが知られている。4−クロロベンゾニトリルを置換されている又は置換されていないシアノビフェニルと反応させることは記載されていない。
【0010】
国際公開第2002/085987号(特許文献4)からは、水性塗料使用のための、二種の異なるニトリルAとB、及びコハク酸ジエステルから混合合成によって製造されるジケトピロロピロールから成る顔料組成物が知られている。4−クロロベンゾニトリルを置換されている又は置換されていないシアノビフェニルと反応させることは言及されていない。
【0011】
欧州特許出願公開第1411091A号(特許文献5)には、微結晶性顔料粒子を製造するための手間のかかる2段階式の方法が記載されており、この方法は、より大きな粒子への再結晶化を効果的に阻止するため、乾式粉砕及びソルトニーディングの組合せからなる。
【0012】
米国特許第5,869,625号(特許文献6)には、自動車塗装用途の不透明なDPP顔料及び塩形成性アゾ系顔料の混合物が記載されている。
【0013】
欧州特許出願公開第1715007A号(特許文献7)には、カラーフィルターでの使用のための、C.I.ピグメントレッド242をベースとするジスアゾ縮合分散剤の使用が記載されている。
【0014】
米国特許出願公開第2006185558A号(特許文献8)は、カラーフィルターに適用するための、スルホン酸基含有のDPP−顔料、スルホン酸基を含まないDPP−顔料、及びC.I.ピグメントレッド242をベースとするジスアゾ縮合分散剤とから成る混合物の使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0094911A号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0181290A号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0962499A号
【特許文献4】国際公開第2002/085987号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1411091A号
【特許文献6】米国特許第5,869,625号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1715007A号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006185558A号
【特許文献9】欧州特許出願公開第0640603A号
【特許文献10】欧州特許第1086067B号
【特許文献11】欧州特許出願公開第1104789A号
【特許文献12】独国特許出願公開第3106906A号
【特許文献13】米国特許第5,466,807号
【特許文献14】欧州特許出願公開第0190999A号
【特許文献15】欧州特許出願公開第1362081A号
【特許文献16】欧州特許出願公開第0486531A号
【特許文献17】欧州特許出願公開第3106906A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
有機塗料系中での優れた分散性、狭い粒度分布を有する顔料結晶の微細性、粉砕中の高い耐再結晶化性、高い耐熱性を有し、さらに高い色調純度、輝度及びコントラスト値も有する、特にカラーフィルター使用のためのジケトピロロピロール顔料組成物を提供するという課題が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、所定の量比のビス(4−クロロフェニル)ジケトピロロピロール(I)、(4−クロロフェニル)−(X−ビフェニル)ジケトピロロピロール(II)、及びビス(X−ビフェニル)ジケトピロロピロール(III)の混合物、並びにその製造方法が、この課題を解決することがわかった。
【0018】
本発明は、コハク酸ジエステルの1モルと、ニトリルA−CNとニトリルB−CNとの混合物の2モルとを反応させることによって得られる、次式(I)、(II)、及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物であって、平均粒度d50が10〜60nmであり、その際、粒子の5体積%未満が70nm超であることを特徴とし、
【0019】
【化1】

ここで、上記ニトリル混合物中のA−CNとB−CNとは互いに99.5:0.5〜85.0:15のモル比にあり、そしてその際、A−CNが4−クロロベンゾニトリルを意味し、かつ、B−CNが次式(IV)のニトリル、
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、
nは、0〜4の数を表し、
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ベンジルである。)
である、上記顔料組成物に関する。
【0022】
本発明による顔料組成物の粒度分布は、ガウス分布に近似していることが好ましく、その標準偏差シグマは好ましくは30nm未満、特に好ましくは20nm未満である。一般的に、標準偏差は5nm〜30nm、好ましくは6nm〜25nm、特に7nm〜20nmである。
【0023】
標準偏差シグマ(σ)は、分散の正の平方根に相当する。分散vは、平均値からの偏差の2乗の和を、サンプル数−1で割ったものである。
【0024】
さらに本発明による顔料組成物は、d95値が70nm以下であることを特徴とする。
【0025】
本発明による顔料組成物の顔料粒子のアスペクト比は、2:1〜1:1であることが好ましい。
【0026】
さらに本発明の対象は、コハク酸ジエステルと、4−クロロベンゾニトリル及び上記の式(IV)のニトリルを、上述の量比で、有機溶剤中、強塩基の存在下で、高められた温度で顔料アルカリ塩の形成のもとで反応させて、次いで水及び/又はアルコール中で該顔料アルカリ塩を加水分解し、引き続きソルトニーディングによって微細化することによって、本発明の顔料組成物を製造する方法である。
【0027】
特に驚くべきことに、本発明の顔料組成物は、純粋なピグメントレッド254とは異なって、ソルトニーディングによる微細化の間、高温でも耐再結晶化性のままであり、つまり仕上げの際に普通ならよくある粒子成長が起こらず、したがって結晶成長抑制剤がいらない。
【0028】
有機溶剤中でのニトリルの全濃度は、合目的的に0.5〜5モル/lである。コハク酸ジエステルに対する強塩基のモル比は、合目的的に、コハク酸ジエステル1モルに対して0.1〜10モル塩基である。
【0029】
顔料アルカリ塩を形成させるための反応温度は、合目的的に60〜140℃、好ましくは80〜120℃である。
【0030】
使用されるコハク酸ジエステルには、ジアルキルエステル、ジアリールエステル、又はモノアルキルモノアリールエステルが挙げられ、その際、コハク酸ジアルキルエステル及びコハク酸ジアリールエステルは非対称であることができる。好ましくは、対称なコハク酸ジエステル、特に対称なコハク酸ジアルキルエステルが使用される。適当なコハク酸ジエステルに関する例は、欧州特許出願公開第0640603A号(特許文献9)に記載されている。
【0031】
コハク酸ジエステルとニトリルの反応は、有機溶剤中で行われる。溶剤としては、例えば1〜10個の炭素原子を有する第一、第二、又は第三アルコールが挙げられ、好ましくはtert−ブタノール及びtert−アミルアルコールである。適当な溶剤の例は、欧州特許出願公開第0640603A号(特許文献9)に記載されている。
【0032】
顔料アルカリ塩の製造は強塩基の存在下で行われる。適当な強塩基は、特にアルカリ金属自体、例えばリチウム、ナトリウム、もしくはカリウム、又はアルカリアミド、例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド、もしくはカリウムアミド、又は水素化アルカリ、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、もしくは水素化カリウム、又は、特に1〜10個の炭素原子を有する第一、第二、もしくは第三の脂肪族アルコール由来のアルカリ土類アルコラートもしくはアルカリアルコラート、例えばリチウム、ナトリウムもしくはカリウムの、メチラート、エチラート、n−プロピラート、イソプロピラート、n−ブチラート、sec−ブチラート、tert−ブチラート、2−メチル−2−ブチラート、2−メチル−2−ペンチラート、3−メチル−3−ペンチラート、3−エチル−3−ペンチラートである。上に挙げた塩基の混合物も使用することができる。
【0033】
好ましくはアルカリアルコラートであり、ここでアルカリは特にナトリウム又はカリウムを意味しており、アルコラートは第二又は第三のアルコール由来であることが好ましい。したがって、特に好ましい強塩基は、例えばナトリウム又はカリウムのイソプロピラート、sec−ブチラート、tert−ブチラート、及びtert−アミラートである。その際、アルカリアルコラートは、対応するアルコールをアルカリ金属、水素化アルカリ、又はアルカリアミドと反応させることによって、in situで製造することもできる。
【0034】
Na−又はK−アミラートの製造は、重金属及び重金属塩、例えばFe、Co、Ni、Zn、又はSnを添加することによって促進させることができる(欧州特許第1086067A号(特許文献10)に類似)。
【0035】
顔料アルカリ塩を加水分解するために、加水分解剤として水又は一種もしくは複数種のプロトン性有機溶剤を使用することができる。プロトン性溶剤としては例えば、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール又はエタノールが挙げられる。水及びアルコールを任意の組合せで使用することもできる。加水分解は、非プロトン性有機溶剤の存在下でも実施することができる。
【0036】
加水分解は、反応懸濁液への加水分解剤の添加によって直接行うか、あるいは加水分解剤への反応懸濁液の添加によって間接的に行うことができる。加水分解剤である水及びプロトン性有機溶剤は、任意の順序で、また混合物として添加される、及び/又は提供されることができる。被添加物に個々の成分を同時に添加することも可能である。加水分解中に、緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、又はトリエタノールアミン緩衝剤を使用することが有利であり得る。加水分解の際の温度は、−20℃〜200℃、好ましくは−5〜180℃、特に0〜160℃であることができ、場合によって加水分解は圧力下で行われる。その際、反応懸濁液と加水分解剤が異なる温度であってもよい。例えば、加水分解は水蒸気を使用して行うこともできる。加水分解剤の全量は、合目的的に、塩基に基づいて少なくとも化学量論量である。例えば水及び/又はプロトン性有機溶剤は、得られる顔料1部に対して0.5〜50重量部を使用することができる。
【0037】
微細化のために、有機溶剤の存在下での結晶性無機塩を用いたソルトニーディングが使用される。結晶性無機塩としては、例えば硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、又は塩化ナトリウムが挙げられ、好ましくは硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び塩化カリウムである。
【0038】
有機溶剤としては例えば、C〜Cアルキル及び1つもしくは複数のヒドロキシ基で置換されていてもよい、ケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトロ化合物、モノ−、ビス−、又はトリスヒドロキシC〜C12アルカンが挙げられる。特に好ましいのは、モノマー、オリゴマー、及びポリマーのC〜Cアルキレングリコールをベースとする、水と混合可能な高沸点有機溶剤、例えばジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル及びトリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル、及び液状のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、N−メチルピロリドン、並びにそれ以外にトリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ブチルアセテート、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、及びスルホランである。
【0039】
無機塩と顔料との重量比は、(2〜10):1、特に(3〜7):1であることが好ましい。
【0040】
有機溶剤と無機塩の重量比は、(1ml:10g)〜(2ml:7g)であることが好ましい。
【0041】
有機溶剤と、無機塩及び顔料の総和との重量比は、(1ml:2g)〜(1ml:10g)であることが好ましい。
【0042】
ニーディング中の温度は、40〜140℃、好ましくは60〜120℃でよい。ニーディング時間は、合目的的に4時間〜32時間、好ましくは8時間〜20時間である。
【0043】
ソルトニーディング後、無機塩及び有機溶剤を合目的的に、水での洗浄によって除去し、そのようにして得られた顔料組成物を慣用的な方法に従って乾燥させる。
【0044】
本発明の微細化に従って得られた材料は、懸濁液、フィルターケーク、又は乾燥材料として、場合によって、粒度を著しく増大させることなく、より均質な粒子形状を得るために、溶剤後処理に供されることができる。好ましいのは、水又は水蒸気揮発性溶剤、例えばアルコール及び芳香族溶剤、特に好ましくは分枝されている又は分枝されていないC〜Cアルコール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロトルエン、又はニトロベンゼンを、たいてい、より高い温度、例えば最高200℃で、そして場合によっては高められた圧力下で使用することである。
【0045】
本発明の対象は更に、次式(I)、(II)、及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物であって、平均粒度d50が10〜60nmであり、その際、粒子の5体積%未満が70nm超であることを特徴とし、そして、レーキ化されていないスルホ基含有のモノアゾ系着色剤の群からの分散剤を少なくとも一種含む、顔料組成物に関する。
【0046】
【化3】

【0047】
(式中、
nは、0〜4の数、とりわけ0〜2、特にゼロを表し;
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ベンジルである。)
【0048】
上記の式(I)、(II)、及び(III)の顔料それぞれの割合は、とりわけ99.5〜70:0.1〜30:0.1〜15%、特に98〜85:1〜15:0.1〜7.5%である。
【0049】
顔料混合物(I)、(II)、及び(III)は、例えば上述のように、個々の成分を混合することによって、又は好ましくは混合合成によって製造することができる。ジケトピロロピロール系顔料を製造するために使用する出発化合物、溶剤、反応物、及び方法条件は、冒頭で言及した従来技術から当業者に知られている。
【0050】
レーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色剤の群からの分散剤は、次式(IV)、(V)、(VI)、又は(VII)で表される化合物であることが好ましい。
【0051】
【化4】

【0052】
(式中、
R1は、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで、環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、及びSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個を含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環の残基;あるいはそれらの組合せであり;
ここで、上記の芳香族の残基及び上記の複素芳香族の残基は、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SOR5、SO−NR5R6、又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し、及びEは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又は置換されていないアンモニウムイオンを意味し;
Yは、SO又はZ−SOであり、ここでZはC〜C10アルキレン又はフェニレンを意味し;
nは、1、2もしくは3の数であり;
R2は、−OR又は−NHR(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、及びSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個の含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基;あるいはそれらの組合せであり;ここで、上記の芳香族の残基及び上記の複素芳香族の残基はそれぞれ、OH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、ハロゲン、例えばF、Cl、Br、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SOR5、SO−NR5R6、NR10、SO又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味し;RとR10は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味する。);
R3及びR4はそれぞれ、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、及びSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環の残基;あるいはそれらの組合せであり;
ここで、上記の芳香族の残基及び前記複素芳香族の残基はそれぞれ、OH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、ハロゲン、例えばF、Cl、Br、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SOR5、SO−NR5R6、NR10、SO又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味し;RとR10は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味する。)
【0053】
モノアゾ系着色剤において、残基−R1−Ynは以下の好ましい意味を有しており、その際、フェニル環又はナフチル環上の自由結合価(freie Valenz)はジアゾ基への結合を表している。
【0054】
(i) p−アミノベンゼンスルホン酸の群からは:
【0055】
【化5】

【0056】
(ii) m−アミノベンゼンスルホン酸の群からは:
【0057】
【化6】


【0058】
(iii) o−アミノベンゼンスルホン酸の群からは:
【0059】
【化7】

【0060】
−R1−Ynの群からの特に好ましい残基は、次式のものである:
【0061】
【化8】

【0062】
本発明に従って上記の式(IV)の好ましい化合物は:
第一の実施形態では、残基−R2は、OH又はO−C〜Cアルキルの意味を有する。
【0063】
代替的な一実施形態において、残基−CO−R2は、R2が、NH、又は次式で表される基のいずれかであるアミド基を意味する。
【0064】
【化9】

【0065】
(式中、カルボニル基への結合が、芳香環の遊離アミノ基N−を介して行われる。)
【0066】
−R2の群からの特に好ましい残基は:
一方がOH、並びに、次式のものである。
【0067】
【化10】

【0068】
本発明に従う上記式(VI)の好ましい化合物は、以下の残基−R3を有する化合物であり、その際、フェニル環上の自由結合価は窒素への結合を表す:
【0069】
【化11】

【0070】
−R3の群からの特に好ましい残基は、次式のものである:
【0071】
【化12】

【0072】
本発明に従う上記式(VII)の好ましい化合物は、以下の残基−R4を有する化合物であり、その際、フェニル環上の自由結合価は窒素への結合を表している:
【0073】
【化13】

【0074】
−R4の群からの特に好ましい残基は、次式のものである:
【0075】
【化14】

【0076】
とりわけ好ましいのは、次式のモノアゾ系着色剤である:
【0077】
【化15】



【0078】
レーキ化されていないスルホ基含有のモノアゾ系着色剤自体は公知の化合物であり、周知の方法に従って、ジアゾ化及びアゾカップリングによって製造することができる。
【0079】
本発明による顔料組成物は、更なる慣用の補助剤又は添加剤、例えば界面活性剤、分散剤、フィラー、標準化剤(Stellmittel)、樹脂、ワックス、消泡剤、防塵剤、エキステンダー、帯電防止剤、防腐剤、乾燥遅延剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤及び光安定剤を、好ましくは顔料組成物の全重量に基づいて0.1〜15重量%、特に0.5〜10重量%の量で含むことができる。
【0080】
好ましい分散剤は、次の式(5)又は(6)で表される顔料分散剤である。
【0081】
【化16】

【0082】
(式中、
Qは、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、アンタントロン系顔料、インダントロン系顔料、ジオキサジン系顔料、例えばトリフェンジオキサジン、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、チアジンインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピラントロン系顔料、イソビオラントロン系顔料、フラバントロン系顔料、又はアントラピリミジン系顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、1〜5の数、とりわけ1〜3の数を表し;
nは、0〜4の数、とりわけ0.1〜2の数を表し;ここでsとnの和は1〜5であり;
は、分枝されているかあるいは分枝されていない、飽和されているかあるいは飽和されていない、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素残基、又はC〜Cシクロアルキル残基、あるいは1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香脂肪族もしくは芳香族の残基(ここで、環は縮合されていてもよく、又は単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、及びSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基、あるいはそれらの組合せを意味しており;ここで、上記の炭化水素残基、上記のシクロアルキル残基、上記の芳香族残基、上記の芳香脂肪族残基、及び上記の複素環式芳香族残基は、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、COOR、CONR、NR、SO、SO−NR、SO、又はCOOの群からの1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されていてもよく、ここでRとRは、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
は、水素又はRを意味し;
、Gは、それぞれ独立して、H、又は化学元素の周期表の第1主族〜第5主族もしくは第1亜族もしくは第2亜族もしくは第4亜族〜第8亜族からの金属カチオンMp+の当量Mp+/m(ここでmは1、2もしくは3の数の1つを、そしてpは、1、2もしくは3の数を意味する。)、又は置換されたもしくは置換されていないアンモニウムイオンを表す。)
【0083】
【化17】

【0084】
(式中、
Aは、2価の残基−O−、−NR−、−NR16−SOであり、
Bは、2価の残基−NR16−SOであり、
ここで、R16は、直鎖状又は分枝状のC〜Cアルキレン鎖を示し、そしてR及びGは上述の意味を有する。)
【0085】
上記の式(5)で表される好ましい顔料分散剤において、
Qは、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、又はジケトピロロピロール系顔料の群からの有機顔料の残基を意味しており;
は、C〜Cアルキル、ベンジル、フェニルであり、これらはそれぞれOH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、COOR、CONR、NR、SO、SONR、SO、又はCOOの群からの1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、RとRは、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
は、水素を意味し、
、Gは、水素、アルカリ土類金属、アルカリ金属、又は第3主族の金属、特にLi、Na、K、Ca、Sr、Ba、Al、又はアンモニウムイオンを意味する。
【0086】
上記の式(5)の特に好ましい顔料分散剤においては、
Qは、ジケトピロロピロール系顔料、好ましくはC.I.ピグメントレッド255又は264の群からの有機顔料の残基を意味し;
は、C〜Cアルキルであり、これはNHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、COOR、NR、COOの群からの1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、RとRは、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
は、水素を意味し;
、Gは、水素、アルカリ土類金属、又はアルカリ金属、又は第3主族の金属、特にLi、Na、K、Ca、Sr、Ba、Al、又はアンモニウムイオンを意味する。
【0087】
上記の式(6)で表される好ましい顔料分散剤においては、
Aは、2価の残基−NR−を意味し、そして
Bは、上記の好ましい意味であり、
は、水素又はアルカリ金属、特にLi、Na、もしくはKを意味する。
【0088】
本発明に従う特に好ましい顔料調製物は、次の式(29)で表される塩基性顔料分散剤を含む。
【0089】
【化18】

【0090】
(式中、
Qは、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、アンタントロン系顔料、インダントロン系顔料、ジオキサジン系顔料、例えば、トリフェンジオキサジン、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、チアジンインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピラントロン系顔料、イソビオラントロン系顔料、フラバントロン系顔料、又はアントラピリミジン系顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、1〜5の数、とりわけ1〜3の数を表し;
nは、0〜4の数、とりわけ0.1〜2の数を表し;ここでsとnの和は1〜5であり、そしてsはnより大きく;
30は、1〜20個の炭素原子を有する分枝されたあるいは分枝されていない、飽和されたあるいは飽和されていない脂肪族炭化水素残基、又はC〜Cシクロアルキル残基、又は1個、2個、もしくは3個の芳香環を有する芳香脂肪族もしくは芳香族の残基(環は縮合されていてもよく、又は単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、及びSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基、あるいはそれらの組合せを意味しており;上記の炭化水素残基、上記のシクロアルキル残基、上記の芳香族残基、上記の芳香脂肪族残基、及び上記の複素環式芳香族残基が、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、CONR、NRの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでRとRは、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
40は、水素又はR30を意味し;
は、H、アルカリ金属、又は置換されたあるいは置換されていないアンモニウムイオンを表す。)
【0091】
上記の式(29)の好ましい顔料分散剤においては、
Qは、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、又はジケトピロロピロール系顔料の群からの有機顔料の残基を意味し;
30は、C〜Cアルキル、ベンジル、フェニルであり、いずれもOH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、CONR、NRの群からの1個、2個、3個、又は4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、RとRは、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
40は、水素を意味し;
は、水素、Li、Na、K、又はアンモニウムイオンを意味する。
【0092】
上記の式(29)で表される特に好ましい顔料分散剤においては、
Qが、ジケトピロロピロール系顔料、好ましくはC.I.ピグメントレッド255もしくは264、又はキナクリドン系顔料、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19又はピグメントレッド122の群からの有機顔料の残基を意味し;
30が、NRで置換されているC〜Cアルキルであり、ここでRとRは同一か又は異なって、そして水素又はC〜Cアルキルを意味し;
40が、水素を意味し;
が、水素、Li、Na、K、又はアンモニウムイオンを意味する。
【0093】
上記の式(29)で表される顔料分散剤の割合は、使用される上記の式(I)〜(III)の顔料の混合物に基づいて、とりわけ0〜30重量%、特に好ましくは1〜25重量%である。
【0094】
レーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色剤の割合は、使用された式(I)〜(III)の顔料の混合物に基づいて、とりわけ1〜30重量%、特に好ましくは2〜25重量%である。
【0095】
特に好ましい顔料調製物は、使用された式(I)〜(III)で表される前記顔料の混合物に基づいて、上記のレーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色料1〜25重量%、特に5〜15重量%、及び上記の式(29)で表される顔料分散剤1〜25重量%、特に5〜15重量%を含む。
【0096】
上記の式(29)で表される顔料分散剤、及びモノアゾ系着色剤それぞれの重量比は、とりわけ約1:1、つまり1:0.8〜1.2である。
【0097】
上記の式(5)及び式(29)の顔料分散剤自体は公知の化合物であり、周知の方法に従って、例えば欧州特許出願公開第1104789A号(特許文献11)又は独国特許出願公開第3106906A号(特許文献12)に従って製造することができる。
【0098】
上記の式(6)の顔料分散剤自体は公知の化合物であり、周知の方法に従って、例えば米国特許第5,466,807号(特許文献13)に従って製造することができる。
【0099】
界面活性剤としては、慣用的なアニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の物質、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0100】
本発明の対象は、上述の好ましい顔料調製物の製造方法であって、例えば混練(ニーディング)、湿式粉砕、乾式粉砕のような微細化の前、その最中、及び/又は後、あるいは仕上げ処理の最中及び/又は後に、上記の式(I)、(II)、及び(III)の化合物の混合物を上記のレーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色剤、及び場合によっては上記の式(29)の顔料分散剤と混合することを特徴とする、上記方法でもある。好ましくは、微細化の最中における添加である。
【0101】
その際、それぞれの成分は、例えば顆粒形態もしくは粉末形態のような乾燥形態で、又は例えばプレスケークのような湿潤形態で使用することができる。
【0102】
微細化の好ましい一形態は、上述のような有機溶剤の存在下での結晶性無機塩によるソルトニーディングである。
【0103】
本発明による顔料組成物は、原則的に天然もしくは合成由来全ての高分子量有機材料、例えば、プラスチック、樹脂、塗料、特にメタリック塗料、ペイント、電子写真用トナーと現像剤、エレクトレット材料、カラーフィルター並びにインキ、印刷インキの顔料着色に使用することができる。
【0104】
特に、本発明による顔料組成物を用いて、カラーフィルターでの使用の際に求められるような赤色の範囲内の色相を達成することができる。この場合、本発明による顔料組成物は、高いコントラストをもたらし、カラーフィルターで使用する場合のその他の要件、例えば高い耐温度性又は急勾配で狭い吸収帯域も十分満たしている。
【0105】
特に、本発明による顔料組成物は、水系や非水系のインクジェットインキ、並びにホットメルト法に従って作用するようなインキの着色剤としても適している。
【0106】
従って、本発明の対象は、本発明による顔料組成物を着色有効量で含有する高分子有機材料でもある。
【0107】
顔料着色する高分子量有機材料に基づいて、本発明による顔料調製物は、多くの場合に0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%の量で使用される。カラーフィルターでの使用のためには、後に言及するようにより多量で使用することもできる。
【0108】
特に、本発明による顔料組成物は、カラーフィルター用の加法発色および減法発色のための着色剤として、例えば、電子光学システム、例えばテレビ画像スクリーン、LCD(液晶ディスプレイ)、電荷結合素子、プラズマディスプレイまたはエレクトロルミネッセンスディスプレイ(これらは、アクティブ(ねじれネマチック)またはパッシブ(超ねじれネマチック)であることができる)の強誘電性ディスプレイや発光ダイオードであることができるもの、における着色剤として、並びに電子インキ(“electronic inks”または“eインキ”)や電子ペーパー(“eペーパー”)の着色剤としても適している。
【0109】
反射型カラーフィルターと透過型カラーフィルターの両方のカラーフィルターを製造する際、顔料を適当なバインダー(アクリレート、アクリルエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシド、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン)中のペーストの形態で、または顔料着色されたフォトレジストとして、個々のLCD構成部品(例えば、TFT−LCD=薄膜トランジスタ液晶ディスプレイや、例えば、((S)TN−LCD)=(超)ねじれネマチックLCD)上に塗布する。
【0110】
高い熱安定性以外に、安定なペーストまたは着色されたフォトレジストのためには、高い顔料純度も前提条件である。
【0111】
更には、顔料着色されたカラーフィルターは、インクジェット印刷法またはその他の適当な印刷法によっても設けることができる。
【0112】
本発明による顔料組成物の赤い色相は、カラーフィルターのカラーセットである赤−緑−青(R,G,B)に非常に好ましく適している。これら3つのカラーは、相並んで個別のカラー画素として存在し、そして背面からの光透過によりフルカラー画像を生じさせる。
【0113】
青のカラー画素の典型的な着色剤は、フタロシアニン着色剤又はベンズイミダゾロンジオキサジン顔料、例えばC.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントブルー80である。緑のカラー画素については、典型的にはフタロシアニン系着色剤が使用され、例えば、C.I.ピグメントグリーン36およびC.I.ピグメントグリーン7である。
【0114】
赤い色相は、好ましくはピグメントレッド254及びピグメントレッド177から、又はピグメントレッド254及びピグメントレッド242から混合される。
【0115】
必要な場合には、調色(Nuancieren、色調、色合い)のために、個々のカラー画素を更に別の着色剤と混ぜることもできる。赤い色相と緑の色相については、好ましくは、黄色と、例えばC.I.ピグメントイエロー138、139、150、151、180及び213と混合される。青い色相に関しては、好ましくは紫、例えばC.I.ピグメントバイオレット19又は23と混合する。
【0116】
塗布されたカラーフィルターフィルムにおける本発明による顔料組成物の使用濃度は、カラーフィルターフィルムの全重量に基づいて、5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%であることができる。
【0117】
本発明の対象は、本発明による顔料組成物を着色有効量で含むカラーフィルターでもある。
【実施例】
【0118】
以下の例において、別途明示しない限り、百分率表示は重量%を意味し、そして部は重量部を意味する。モルパーセントは全ニトリル部分に対するものである。
【0119】
比較例1(欧州特許出願公開第0181290A号(特許文献2)、例11に相当)
欧州特許出願公開第0181290A号(特許文献2)の例11に従って、4−シアノビフェニル1.1g(3モル%)及び4−クロロベンゾニトリル26.7g(97モル%)の混合物から成る顔料混合物を製造する。
【0120】
得られた赤色顔料は、平均粒度d50=85nm、及び31nmの標準偏差シグマ(σ)の150nmのd95値を特徴とする。
【0121】
アスペクト比は3.3:1である。
【0122】
比較例2(欧州特許出願公開第0181290A号(特許文献2)、例12に相当)
欧州特許出願公開第0181290A号(特許文献2)の例12に従って、4−シアノビフェニル1.8g(5モル%)及び4−クロロベンゾニトリル26.1g(95モル%)の混合物から成る顔料混合物を製造する。
【0123】
得られた赤色顔料は、平均粒度d50=88nm、及び31nmの標準偏差σの157nmのd95値を特徴とする。
【0124】
アスペクト比は3.3:1である。
【0125】
比較例3(欧州特許出願公開第0094911A号(特許文献1)、例15に相当)
欧州特許出願公開第0094911A号(特許文献1)の例15に従って、4−シアノビフェニル21.5g(50モル%)及び4−クロロベンゾニトリル16.5g(50モル%)の混合物から成る顔料混合物を製造する。
【0126】
引き続き、得られた赤色顔料をソルトニーディングに供する。このために、乾燥した顔料15gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、続いて顔料を濾別する。
【0127】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共にさらに1時間撹拌しながら処理する。濾過後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、真空中で乾燥させる。
【0128】
得られた顔料混合物は、平均粒度d50=52nm、及び22nmの標準偏差の101nmのd95値を有する。
【0129】
比較例4
欧州特許出願公開第0190999A号(特許文献14)の例1に従って製造した平均粒度200nm超の純粋なピグメントレッド254を用いてソルトニーディングを行う。このために、乾燥した顔料15gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、続いて顔料を濾別する。
【0130】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共にさらに1時間撹拌しながら処理する。濾過した後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、真空中で乾燥させる。
【0131】
得られた顔料は、平均粒度d50=70nm、及び22nmの標準偏差σの114nmのd95値を有する。
【0132】
アスペクト比は1.5:1である。
【0133】
例1
フラスコ内で、4−シアノビフェニル1.6g(4モル%)及び4−クロロベンゾニトリル29.7g(96モル%)を、tert−アミルアルコール中のナトリウムアミラート溶液(ナトリウム9.3g及びtert−アミルアルコール177mlから製造する)中へ入れ、100℃に加熱する。
【0134】
コハク酸ジイソプロピルエステル30gを2時間以内に加える。100℃で更に4時間経過した後、顔料アルカリ塩懸濁液を80℃に冷却し、そして60℃まで温水を加える。続いてこの顔料懸濁液をコンディショニングのため5時間、95℃に加熱し、濾別し、メタノール及び水で洗浄し、そして乾燥棚内で75℃で乾燥させる。赤い顔料が得られる。
【0135】
引き続いて、得られた赤色顔料をソルトニーディングに供する。このために、乾燥した顔料15gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、そして引き続き顔料を濾別する。
【0136】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共に再び1時間撹拌しながら処理する。濾過した後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、そして真空中で乾燥させる。
【0137】
得られた顔料組成物は、平均粒度d50=28nm、及び7nmの標準偏差σの41nmのd95値を特徴とする。
【0138】
アスペクト比は1.4:1である。
【0139】
例2
例1と同様に、4−シアノビフェニル0.8g(2モル%)及び4−クロロベンゾニトリル30.3g(98モル%)を合成に投入し、そして例1で述べたようにソルトニーディングに供し、そして単離する。
【0140】
得られた顔料組成物は、平均粒度d50=30nm、及び8nmの標準偏差σの45nmのd95値を有する。
【0141】
アスペクト比は1.3:1である。
【0142】
例3
例1と同様に、4−シアノビフェニル4.0g(10モル%)及び4−クロロベンゾニトリル27.9g(90モル%)を合成に投入し、そして例1で述べたようにソルトニーディングに供し、そして単離する。
【0143】
得られた顔料組成物は、平均粒度d50=28nm、及び8nmの標準偏差σの42nmのd95値を有する。
【0144】
アスペクト比は1.3:1である。
【0145】
例4
顔料組成物が、例1と同様に4−シアノビフェニル1.6g(4モル%)及び4−クロロベンゾニトリル29.7g(96モル%)の使用のもとで製造される。
【0146】
この赤色顔料は引き続きソルトニーディングに供される。このために、乾燥した顔料15g及び欧州特許出願公開第1104789A号(特許文献11)、例10aに従って製造した顔料分散剤(8)1.5gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、続いて顔料を濾別する。
【0147】
【化19】

【0148】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共に再度1時間撹拌しながら処理する。濾過した後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、そして真空中で乾燥させる。
【0149】
得られた赤い顔料組成物は、平均粒度d50=29nm、及び10nmの標準偏差σの45nmのd95値を有する。
【0150】
アスペクト比は1.5:1である。
【0151】
例5
欧州特許出願公開第1362081A号(特許文献15)の例1aを手本にして合成した、相乗剤(Synergist)(9)1.5gを、例4と同様に混練に投入する。平均粒度d50=32nm、及び11nmの標準偏差σの47nmのd95値を有する赤い顔料組成物が得られる。
【0152】
アスペクト比は1.3:1である。
【0153】
【化20】

【0154】
例6
欧州特許出願公開第1362081A号(特許文献15)の例1aを手本にして合成した相乗剤(10)1.5gを、例4と同様に混練に投入する。平均粒度d50=28nm、及び9nmの標準偏差σの42nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0155】
アスペクト比は1.5:1である。
【0156】
【化21】

【0157】
例7
欧州特許出願公開第1362081A号(特許文献15)の例1aを手本にして合成した相乗剤(11)1.5gを、例4と同様に混練に投入する。平均粒度d50=32nm、及び10nmの標準偏差σの47nmのd95値を有する赤い顔料組成物が得られる。
【0158】
アスペクト比は1.3:1である。
【0159】
【化22】

【0160】
例8
例4と同様に、相乗剤(12)1.5gを混練に投入する。平均粒度d50=27nm、及び8nmの標準偏差σの42nmのd95値を有する赤い顔料組成物が得られる。
【0161】
アスペクト比は1.4:1である。
【0162】
【化23】

【0163】
例9
例4と同様に、相乗剤(13)1.5gを混練に投入する。平均粒度d50=29nm、及び8nmの標準偏差σの41nmのd95値を有する赤い顔料組成物が得られる。
【0164】
アスペクト比は1.3:1である。
【0165】
【化24】

【0166】
例10
例4と同様に、欧州特許出願公開第0486531号(特許文献16)の例3を手本にして製造した、次式の相乗剤(14)1.5gを混練に投入する。平均粒度d50=33nm、及び14nmの標準偏差σの50nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0167】
【化25】

【0168】
アスペクト比は1.5:1である。
【0169】
【表1】

【0170】
カラーフィルターへの使用
Joncryl(登録商標)611(スチレンアクリレート樹脂、Johnson Polymers)7.2gを、PGMEA13.4g中で1時間撹拌し、そして撹拌しながらさらなるPGMEA42g、顔料又は顔料組成物7.2g、Solsperse(登録商標)24000、1.8g、及びSolsperse22000(Avecia)0.36gを混合する。酸化ジルコニウムのビード(0.5〜0.7mm)122gを添加した後、ペイントシェーカー(Patin Shaker)内で2時間分散させる。この顔料分散物をスピンコーター(POLOS Wafer Spinner)を用いてガラスプレート(SCHOTT、レーザ切断、10×10cm)上に塗布し、そしてコントラスト値(ゴニオメータDMS803、スペクトログラフCCD−SPECT2)を測定する。
【0171】
【表2】

【0172】
例1〜例10からの顔料組成物は、その高いコントラスト値の故にカラーフィルターでの使用に適している。
【0173】
プレートを230℃に加熱した場合、顔料は再結晶化の傾向を示さず、コントラスト値はおおよそせいぜい10%だけ低下する。
【0174】
塗料への使用
塗料への使用における顔料の色特性を調査するために、得られた顔料を透明なアルキドメラミン焼付塗料系中に完全に分散させた。
【0175】
色強度(Farbstaerke)を測定するために、フルトーンのアルキドメラミン塗料6.0gを30%濃度の白色塗料20.0gと混合して増白塗料(Aufhellungslack)を製造した。
【0176】
得られた増白塗料を、比較する試料と一緒に並べて白いボール紙上に付着させ、そして30分の空気乾燥後に140℃で30分間焼き付けた。色強度及びその測定は、DIN EN ISO787−26に従って定義される。
【0177】
上記の例において製造した顔料の色強度、彩度(色純度)、及び透過率を次表に示す。色強度(100%)、彩度ΔC(純度)、及び色相ΔHの基準として、比較例4からの顔料を援用した。
【0178】
【表3】

【0179】
両方のニトリルを等モルで混合する場合(比較例3)、純粋なピグメントレッド254(比較例4)に比べて色相は大きく異なっており、かつ純度はかなり低い。
【0180】
例A:分散剤(VIII)
a)ジアゾ(混合物1)
2−アミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸89.6部を、水400部及び苛性ソーダ溶液41部(w=33%)中に溶解させる。これを、塩酸162部(w=31%)及び亜硝酸ナトリウム溶液73部(w=40%)で10℃でジアゾ化する。引き続いて酢酸ナトリウム50部を添加することによりpHを3〜4に調整する。
【0181】
b)カプラー(混合物2)
水1600部及び33%濃度の苛性ソーダ溶液98部中に、BONS(3−ヒドロキシナフタリン−2−カルボン酸)79部を溶解させる。氷を添加することでこれを10℃に冷却する。
【0182】
c)カップリング
混合物1を90分以内に15℃で混合物2に加える。まず30℃で1時間撹拌し、次いで60℃で1時間撹拌する。生じる深紅の懸濁液を濾過し、洗浄し、そして空気再循環式乾燥棚(Umlufttrockenschrank)内で80℃で乾燥させる。分散剤(VIII)160部が得られる。
【0183】
例B〜U
例Aと同様に、分散剤(IX)〜(XXVIII)を製造する。
【0184】
例V:ベース顔料(ビス(4−クロロフェニル)ジケトピロロピロール(I)、(4−クロロフェニル)−(X−ビフェニル)ジケトピロロピロール(II)、及びビス(X−ビフェニル)ジケトピロロピロール(III)から成る混合物)の製造
フラスコ内で、4−シアノビフェニル1.6g(4モル%)及び4−クロロベンゾニトリル29.7g(96モル%)を、tert−アミルアルコール中のナトリウムアミラート溶液(ナトリウム9.3g及びtert−アミルアルコール177mlから製造する)中に入れ、100℃に加熱する。
【0185】
コハク酸ジイソプロピルエステル30gを2時間以内に添加する。100℃でさらに4時間経過した後、顔料アルカリ塩懸濁液を80℃に冷却し、60℃まで温水を加える。続いてこの顔料懸濁液をコンディショニングのため5時間、95℃に加熱し、濾別し、メタノール及び水で洗浄し、乾燥チャンバ内で75℃で乾燥させる。赤い顔料が得られる。
【0186】
得られた赤色顔料をソルトニーディングに供する。このために、乾燥した顔料15gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、続いて顔料を濾別する。
【0187】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共に再度1時間撹拌しながら処理する。濾過した後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、真空中で乾燥させる。
【0188】
得られた顔料組成物は、平均粒度d50=28nm、及び7nmの標準偏差σの41nmのd95値を特徴とする。
【0189】
アスペクト比は1.4:1である。
【0190】
例A1:
顔料組成物は、例Vと同様に、4−シアノビフェニル1.6g(4モル%)及び4−クロロベンゾニトリル29.7g(96モル%)の使用のもとで製造される。
【0191】
次いで、この赤色顔料をソルトニーディングに供する。このために、乾燥した顔料14g、欧州特許出願公開第1104789A号(特許文献11)の例10aを手本として製造した顔料分散剤(31)1.4g、及び分散剤(VIII)1.4gを、塩化ナトリウム90g及びジエチレングリコール22mlと共に80℃の温度で24時間混練する。この混練ペーストを5%濃度の塩酸0.9l中で2時間撹拌し、続いて顔料を濾別する。
【0192】
【化26】

【0193】
このフィルターケークを、脱塩水0.9lと共に再度1時間撹拌しながら処理する。濾過した後、顔料を水で洗浄して塩及び酸を除去し、真空中で乾燥させる。
【0194】
得られた赤い顔料組成物は、平均粒度d50=29nm、及び10nmの標準偏差σの45nmのd95値を有する。
【0195】
アスペクト比は1.5:1である。
【0196】
例A2:
例A1と同様に、顔料分散剤(31)1.4g及び分散剤(IX)1.4gを混練に投入する。平均粒度d50=31nm、及び10nmの標準偏差σの49nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0197】
アスペクト比は1.4:1である。
【0198】
【化27】

【0199】
例A3:
例A1と同様に、顔料分散剤(31)1.4g及び分散剤(XIV)1.4gが混練に投入される。平均粒度d50=33nm、及び10nmの標準偏差σの53nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0200】
アスペクト比は1.5:1である。
【0201】
【化28】

【0202】
例A4:
例A1と同様に、欧州特許出願公開第3106906A号(特許文献17)の例1を手本にして製造した顔料分散剤(32)1.4g及び分散剤(IX)1.9gが混練に投入される。平均粒度d50=34nm、及び10nmの標準偏差σの50nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0203】
アスペクト比は1.4:1である。
【0204】
【化29】

【0205】
例A5:
例A1と同様に、顔料分散剤(32)0.7g及び分散剤(VIII)0.42gが混練される。平均粒度d50=27nm、及び10nmの標準偏差σの42nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0206】
アスペクト比は1.5:1である。
【0207】
例A6:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(IX)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=35nm、及び12nmの標準偏差σの50nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0208】
アスペクト比は1.5:1である。
【0209】
例A7:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(VIII)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=40nm、及び12nmの標準偏差σの63nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0210】
アスペクト比は1.5:1である。
【0211】
例A8:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(IX)2.1gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=38nm、及び11nmの標準偏差σの58nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0212】
アスペクト比は1.5:1である。
【0213】
例A9:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(XVI)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=45nm及び13nmの標準偏差σの63nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0214】
アスペクト比は1.5:1である。
【0215】
【化30】

【0216】
例A10:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(XXIV)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=32nm、及び10nmの標準偏差σの56nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0217】
アスペクト比は1.5:1である。
【0218】
【化31】

【0219】
例A11:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(XXII)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=36nm、及び10nmの標準偏差σの63nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0220】
アスペクト比は1.5:1である。
【0221】
【化32】

【0222】
例A12:
例A1と同様の方法をとるが、混練には分散剤(XXVII)1.4gが唯一の分散剤として投入される。平均粒度d50=31nm、及び13nmの標準偏差σの52nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0223】
アスペクト比は1.5:1である。
【0224】
【化33】

【0225】
例A13:混練後の後処理
例Vと同様に赤色顔料を製造し、その際、混練ケークを5%濃度の塩酸と共に撹拌した後、再度脱塩水0.9lと共に混練し、そして顔料分散剤(31)1.4g及び分散剤(IX)1.4gと共に水性懸濁液中で50℃で1時間撹拌する。冷却後に濾過し、脱塩水約2lで後洗浄する。真空中で乾燥させ、引き続き粉末へと粉砕する。平均粒度d50=35nm、及び10nmの標準偏差σの53nmのd95値を特徴とする赤い顔料組成物が得られる。
【0226】
アスペクト比は1.4:1である。
【0227】
カラーフィルターにおける使用
顔料又は顔料組成物7.6gを、Solsperse24000(Avecia)1.8g及びPGMEA42gと混合する。酸化ジルコニウムのビード(0.5〜0.7mm)122gを添加した後、ペイントシェーカー内で2時間分散させる。こうして得られたミルベースを、円錐・平板型ビスコメータHaake RS75により20℃で測定する(DIN53019、粘度及びチキソトロピーの測定)。得られたミルベースに、PGMEA13.4g中のJoncryl(登録商標)611(スチレンアクリレート樹脂、Johnson Polymers)7.2gから成る混合物を加え、ペイントシェーカー内で再度10分間分散させる。この顔料分散液をスピンコーター(POLOS Wafer Spinner)でガラスプレート(SCHOTT、レーザ切断、10×10cm)上に塗布し、コントラスト値(ゴニオメータDMS803、スペクトログラフCCD−SPECT2)を測定する。
【0228】
耐熱性を測定するため、引き続きガラスプレートを250℃で1時間加熱する。コントラスト値を新たに測定し、温度処理されていないガラスプレートと比べた損失をパーセントで示す。
【0229】
【表4】

【0230】
例A1〜例A13からの顔料組成物は、その高いコントラスト値及びミルベースの低い粘度及びチキソトロピーの故にカラーフィルターでの使用に非常によく適している。
【0231】
さらに、これらの顔料組成物の一部は、非常に高い耐熱性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コハク酸ジエステルの1モルと、ニトリルA−CNとニトリルB−CNとの混合物の2モルとを反応させることによって得られる、次式(I)、(II)、及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物であって、平均粒度d50が10〜60nmであり、その際、粒子の5体積%未満が70nm超であることを特徴とし、
【化1】

ここで、上記ニトリル混合物中のA−CNとB−CNとは互いに99.5:0.5〜85.0:15のモル比にあり、そしてその際、A−CNが4−クロロベンゾニトリルを意味し、かつ、B−CNが次式(IV)のニトリルである、上記顔料組成物。
【化2】

(式中、
nは、0〜4の数を表し、
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ベンジルである。)
【請求項2】
次式(I)、(II)、及び(III)で表される化合物から成る顔料組成物であって、平均粒度d50が10〜60nmであり、その際、粒子の5体積%未満が70nm超であることを特徴とし、そして、レーキ化されていないスルホ基含有のモノアゾ系着色剤の群からの分散剤を少なくとも一種含む、顔料組成物。
【化3】

(式中、
nは、0〜4の数を表し、
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、フェニル、ベンジルである。)
【請求項3】
nが0であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の顔料組成物。
【請求項4】
前記顔料粒子のアスペクト比が2:1〜1:1であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項又はより多くに記載の顔料組成物。
【請求項5】
界面活性剤、分散剤、充填剤、沈殿防止剤、樹脂、ワックス、消泡剤、防塵剤、エキステンダー、静電防止剤、保存料、乾燥抑制剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、及び光安定剤の群からの一種又は多くの助剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項又はより多くに記載の顔料組成物。
【請求項6】
前記レーキ化されていないスルホ基含有のモノアゾ系着色料が、次式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)で表される化合物であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項又はより多くに記載の顔料組成物。
【化4】

(式中、
R1は、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで、環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、およびSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個を含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環の残基、あるいはそれらの組合せであり、
ここで、上記の芳香族の残基及び上記の複素芳香族の残基は、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SOR5、SO−NR5R6、又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し、及びEは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又は置換されていないアンモニウムイオンを意味し;
Yは、SO又はZ−SOであり、ここでZはC〜C10アルキレン又はフェニレンを意味し;
nは、1、2もしくは3の数であり;
R2は、−OR又は−NHR(式中、Rは、H、C〜Cアルキル、ベンジル、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、およびSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個の含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基;あるいはそれらの組合せであり;ここで、上記の芳香族の残基及び上記の複素芳香族の残基はそれぞれ、OH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、ハロゲン、例えばF、Cl、Br、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SOR5、SO−NR5R6、NR10、SO又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味し;RとR10は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味する。);
R3及びR4はそれぞれ、1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香族の残基(ここで環は縮合されていてもよく、あるいは単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、およびSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環の残基;あるいはそれらの組合せであり;
ここで、上記の芳香族の残基及び前記複素芳香族の残基はそれぞれ、OH、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、ハロゲン、例えばF、Cl、Br、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SOR5、SO−NR5R6、NR10、SO又はCOOの群からの1個、2個、3個もしくは4個の置換基で置換されていてもよく、ここでR5とR6は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味し;RとR10は、同一か又は異なって、水素、フェニル又はC〜Cアルキルを意味する。)
【請求項7】
前記残基R2が、OH又はO−C〜Cアルキルを意味することを特徴とする、請求項6に記載の顔料組成物。
【請求項8】
前記残基−CO−R2が、R2がNH、又は次式で表される基のいずれかであるアミド基を意味することを特徴とする、請求項6に記載の顔料組成物。
【化5】

(式中、カルボニル基への結合が、芳香環の遊離アミノ基N−を介して行われる。)
【請求項9】
前記分散剤が、次式(5)又は(6)で表される顔料分散剤であることを特徴とする、請求項5に記載の顔料組成物。
【化6】

(式中、
Qは、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、アンタントロン系顔料、インダントロン系顔料、ジオキサジン系顔料、例えばトリフェンジオキサジン、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、チアジンインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピラントロン系顔料、イソビオラントロン系顔料、フラバントロン系顔料、又はアントラピリミジン系顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、1〜5の数を表し;
nは、0〜4の数を表し;ここでsおよびnの和は1〜5であり;
は、分枝されているかあるいは分枝されていない、飽和されているかあるいは飽和されていない、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基、又はC〜Cシクロアルキル残基、又は1個、2個もしくは3個の芳香環を有する芳香脂肪族もしくは芳香族の残基(ここで、環は縮合されていてもよく、または単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、およびSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基、あるいはそれらの組合せを意味しており;前記炭化水素残基、前記シクロアルキル残基、前記芳香族残基、前記芳香脂肪族残基、及び前記複素環式芳香族残基が、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、COOR、CONR、NR、SO、SO−NR、SO、又はCOOの群からの1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されていてもよく、ここでRとRは同一かまたは異なっており、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
は、水素又はRを意味し;
、Gは、それぞれ独立して、H、又は化学元素の周期表の第1主族〜第5主族もしくは第1亜族もしくは第2亜族もしくは第4亜族〜第8亜族からの金属カチオンMp+の当量Mp+/m(ここでmは1、2もしくは3の数の1つを、そしてpは、1、2もしくは3の数を意味する。)、又は置換されたもしくは置換されていないアンモニウムイオンを表す。)
【化7】

(式中、
Aは、2価の残基−O−、−NR−、−NR16−SOであり、
Bは、2価の残基−NR16−SOであり、
ここでR16は、直鎖状又は分枝状のC〜Cアルキレン鎖を表し、そしてR及びGは、上述の意味を有する。)
【請求項10】
次の式(29)で表される塩基性顔料分散剤を含む、請求項2〜8のいずれか一項に記載の顔料組成物。
【化8】

(式中、
Qは、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、アンタントロン系顔料、インダントロン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、チアジンインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピラントロン系顔料、イソビオラントロン系顔料、フラバントロン系顔料、又はアントラピリミジン系顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、1〜5の数を表し;
nは、0〜4の数を表し;ここでsおよびnの和は1〜5であり、そしてsはnより大きく;
30は、1〜20個の炭素原子を有する分枝されたあるいは分枝されていない、飽和されたあるいは飽和されていない脂肪族炭化水素残基、又はC〜Cシクロアルキル残基、又は1個、2個、もしくは3個の芳香環を有する芳香脂肪族もしくは芳香族の残基(環は縮合されていてもよく、または単結合によって結合されていてもよい)、又はO、N、およびSの群からのヘテロ原子を1個、2個、3個もしくは4個含む、1個、2個もしくは3個の環を有する複素環残基、あるいはそれらの組合せを意味しており;前記炭化水素残基、前記シクロアルキル残基、前記芳香族残基、前記芳香脂肪族残基、及び前記複素環式芳香族残基が、OH、CN、F、Cl、Br、NO、CF、C〜Cアルコキシ、S−C〜Cアルキル、NHCONH、NHC(NH)NH、NHCO−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、CONR、NRの群からの1個、2個、3個、または4個の置換基で置換されていてもよく、ここでRとRは同一かまたは異なっており、そして水素、フェニル、又はC〜Cアルキルを意味し;
40は、水素又はR30を意味し;
は、H、アルカリ金属、又は置換されたあるいは置換されていないアンモニウムイオンを表す。)
【請求項11】
Qが、ジケトピロロピロール系顔料、好ましくはC.I.ピグメントレッド255もしくは264、又はキナクリドン系顔料、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19又はピグメントレッド122の群からの有機顔料の残基を意味し;
30が、NRで置換されているC〜Cアルキルであり、ここでRとRは同一か又は異なって、そして水素又はC〜Cアルキルを意味し;
40が、水素を意味し;
が、水素、Li、Na、K、又はアンモニウムイオンを意味することを特徴とする、請求項10に記載の顔料組成物。
【請求項12】
使用された式(I)〜(III)で表される前記顔料の混合物に基づいて、前記レーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色料の1〜25重量%、特に5〜15重量%、及び前記式(29)で表される顔料分散剤の1〜25重量%、特に5〜15重量%含む、請求項10又は11に記載の顔料組成物。
【請求項13】
前記式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の混合物に、微細化の前、最中、及び/又は後、あるいは仕上げ処理の最中及び/又は後に、前記レーキ化されていないスルホ基含有モノアゾ系着色剤、及び場合によっては前記顔料分散剤が添加されることを特徴とする請求項2〜12のいずれか一つに記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項14】
プラスチック、樹脂、塗料、ペイント、電子写真トナー及び現像剤、カラーフィルター並びにインキ、特にインクジェット用インキ、及び印刷インキを顔料着色するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の顔料組成物の使用。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の顔料組成物の顔料着色有効量を含むカラーフィルター。

【公表番号】特表2011−504519(P2011−504519A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529252(P2010−529252)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007700
【国際公開番号】WO2009/049736
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】