説明

カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器

【課題】輝点の発生が防止され、高画質な画像を表示することができるカラーフィルターを、生産性よく製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供すること、前記カラーフィルターを提供すること、また、前記カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板を準備する基板準備工程と、前記基板上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像することにより、着色部を形成する着色部形成工程と、前記着色部形成工程で着色部が形成されるべき部位であって、所望の着色部が形成されていない欠陥部位を検出する検出工程と、前記検出工程で検出された前記欠陥部位に、インクジェット方式でインクを付与し、欠陥を補修する欠陥補修工程とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、画像表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、透過光を所定の色に着色するための着色部を備えたカラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む組成物(着色層形成用組成物)を基板上に塗布し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理(露光処理)、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような方法では、露光不良等により、着色部が形成されるべき部位に形成されないことがあった。このような場合、カラーフィルターを用いて表示される画像において、着色部により着色されていない光が直接、輝点として観察されることとなってしまい、画質に大きな悪影響を与える。また、遮光部を、着色部が形成されるべき部位に着色部が形成することにより、表示画像に輝点が現れなくする対応をとることもあるが、このような場合でも、欠陥のある画素が存在していることに変わりなく、特に、近年の表示画像の高画質化、表示領域の大型化に伴い、上記のような欠陥が表示画像全体に与える影響の程度が大きくなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−235112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、輝点の発生が防止され、高画質な画像を表示することができるカラーフィルターを、生産性よく製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供すること、前記カラーフィルターを提供すること、また、前記カラーフィルターを備えた画像表示装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像することにより、着色部を形成する着色部形成工程と、
前記着色部形成工程で着色部が形成されるべき部位であって、所望の着色部が形成されていない欠陥部位を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記欠陥部位に、インクジェット方式でインクを付与し、欠陥を補修する欠陥補修工程とを有することを特徴とする。
これにより、輝点の発生が防止され、高画質な画像を表示することができるカラーフィルターを、生産性よく製造することができるカラーフィルターの製造方法を提供することができる。
【0007】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記着色部形成工程は、異なる複数種の前記シート材を用い、貼着、塗工、現像の処理を繰り返し行うことにより、複数色の前記着色部を形成するものであることが好ましい。
これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像の色再現域を広いものとすることができる。また、複数種のシート材を用い、貼着、塗工、現像の処理を繰り返し行うことにより、複数色の着色部を形成する場合、一般に、シート材の重なり(先に形成された着色部とその後に貼着されたシート材との重なり)から、基板に対するシート材の密着性の低下により、欠陥部位を生じやすいが、本発明を適用することにより、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、複数種のシート材を用いて、複数色の着色部を形成することにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記着色部形成工程と前記欠陥補修工程との間に、遮光部を形成する遮光部形成工程をさらに有することが好ましい。
これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0008】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記遮光部形成工程は、前記着色部形成工程と前記検出工程との間に行うものであり、
前記欠陥補修工程は、前記欠陥部位に設けられた前記遮光部を除去した後に行うものであることが好ましい。
これにより、検出工程における欠陥部位の検出を容易に行うことができ、検出精度をより高いものとすることができる。
【0009】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記欠陥部位に設けられた前記遮光部の除去は、レーザー光の照射により行うことが好ましい。
これにより、所望の部位の遮光部(欠陥部位に設けられた遮光部)を選択的に確実に除去することができ、最終的に得られるカラーフィルターを用いて表示される画像の画質を特に優れたものとすることができる。
【0010】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものであることが好ましい。
【化1】

【化2】

【0011】
これにより、欠陥補修工程で用いるインクの吐出安定性、インクの保存安定性等を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的にカラーフィルターを製造することができ、結果として、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターの個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。
【0012】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものであることが好ましい。
【化3】

【化4】

【化5】

これにより、製造されるカラーフィルターの各部位での色むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0013】
本発明のカラーフィルターの製造方法では、前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものであることが好ましい。
【化6】

これにより、欠陥補修工程で用いるインクの吐出安定性等を優れたものとしつつ、当該インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0014】
本発明のカラーフィルターは、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、輝点の発生が防止され、高画質な画像を表示することができるカラーフィルターを提供することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
これにより、輝点の発生が防止された高画質な画像の表示を長期間にわたって安定的に行うことができる画像表示装置を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の画像表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、輝点の発生が防止された高画質な画像の表示を長期間にわたって安定的に行うことができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
【図3】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図4】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明のカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態について説明する。
《カラーフィルターの製造方法》
図1、図2は、本発明のカラーフィルターの製造方法の好適な実施形態を示す断面図、図3は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【0017】
本実施形態のカラーフィルターの製造方法は、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材12’を貼着し、その後、露光、現像することにより、複数色の着色部12を形成する着色部形成工程(1b〜1g)と、遮光部13を形成する遮光部形成工程(1h、1i)と、着色部形成工程で着色部12が形成されるべき部位であって、所望の着色部12が形成されていない欠陥部位19を検出する検出工程(1j)と、検出工程で検出された欠陥部位19に設けられた遮光部13を選択的に除去する遮光部除去工程(1k)と、検出工程で検出された欠陥部位19に、インクジェット方式でインクを付与し、欠陥を補修する欠陥補修工程(1l、1m)とを有する。このように、検出工程および欠陥補修工程を有することにより、着色部形成工程のみでは生じてしまう欠陥を修復することができ、得られるカラーフィルターを用いて表示される画像において、輝点の発生等を確実に防止することができ、高画質な画像を表示することができる。また、カラーフィルターを、生産性よく製造することができる。
【0018】
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(1a)。基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12(12A、12B、12C)、遮光部13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0019】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0020】
<着色部形成工程>
次に、基板11上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像することにより、複数色の着色部として、赤色の着色部12A、緑色の着色部12Bおよび青色の着色部12Cを形成する(1b〜1g)。
より詳しく説明すると、本工程では、赤色の着色部12A形成用のシート材12A’を貼着する処理(1b)と、シート材12A’を所定のパターンで露光し、さらに現像を行う処理(1c)と、緑色の着色部12B形成用のシート材12B’を貼着する処理(1d)と、シート材12B’を所定のパターンで露光し、さらに現像を行う処理(1e)と、青色の着色部12C形成用のシート材12C’を貼着する処理(1f)と、シート材12C’を所定のパターンで露光し、さらに現像を行う処理(1g)とを行う。
【0021】
このように、着色部形成工程において、異なる複数種のシート材12’(12A’、12B’、12C’)を用いて、複数色の着色部12(12A、12B、12C)を形成することにより、カラーフィルターを用いて表示される画像の色再現域を広いものとすることができる。また、複数種のシート材を用い、貼着、塗工、現像の処理を繰り返し行うことにより、複数色の着色部を形成する場合、一般に、シート材の重なり(先に形成された着色部とその後に貼着されたシート材との重なり)から、基板に対するシート材の密着性の低下により、欠陥部位を生じやすく、カラーフィルターを用いて表示される画像の画質の低下(輝点の発生等)等の問題を発生しやすいが、本発明を適用することにより、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、複数種のシート材を用いて、複数色の着色部を形成することにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【0022】
また、従来のフォトリソグラフィー法では液状の感光性材料を塗工して塗膜を形成して行うのに対し、本発明の着色部形成工程では、着色部(12A、12B、12C)の形成に、シート材を用いる。これにより、単一の着色部内での厚さのばらつき、各画素間での厚さのばらつきを特に小さいものとすることができる。また、全体としてのカラーフィルターの生産性を十分に高いものとすることができる。また、大型の基板にも好適に対応することができる。
本工程は、いかなる方法でシート材(12A’、12B’、12C’)を基板11に貼着してもよいが、ベースフィルム上に設けられたシート材(12A’、12B’、12C’)を基材11上に転写するのが好ましい。これにより、カラーフィルター1の生産性を特に優れたものとすることができる。
【0023】
シート材12A’は、着色剤として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであるのが好ましい。これにより、着色部12Aの発色性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(30)または下記式(31)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
また、シート材12A’は、上記のような着色剤に加え、例えば、ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185等の着色剤を含むものであってもよい。これにより、形成される着色部12Aの色調をより好適に調整することができる。中でも、ピグメントイエロー138,139,150,184,185が好ましく、ピグメントイエロー150がより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
【0027】
また、シート材12B’は、着色剤として、C.I.ピグメントグリーン36および/またはC.I.ピグメントグリーン58を含むのが好ましく、C.I.ピグメントグリーン58を含むのがより好ましい。これにより、着色部12Bの発色性を特に優れたものとすることができる。
また、シート材12B’が、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、さらに、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として含むのが好ましい。これにより、着色部12Bの発色性をさらに優れたものとすることができる。
シート材12B’が、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(32)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
【0028】
【化9】

【0029】
シート材12B’が、C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、10重量部以上80重量部以下であるのが好ましく、30重量部以上70重量部以下であるのがより好ましい。これにより、製造されるカラーフィルター1の表示画像のコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
【0030】
また、シート材12B’は、上記のような着色剤に加え、例えば、ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185等の着色剤を含むものであってもよい。これにより、形成される着色部12Bの色調をより好適に調整することができる。中でも、ピグメントイエロー138,139,150,184,185が好ましく、ピグメントイエロー150がより好ましい。これにより、上述した効果がより顕著に発揮される。
また、シート材12C’は、着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであるのが好ましい。これにより、着色部12Cの発色性を特に優れたものとすることができる。
【0031】
<遮光部形成工程>
次に、遮光部13を形成する(1h、1i)。
このように、本実施形態では、前述した着色部形成工程と後述する欠陥補修工程との間に、遮光部13を形成する遮光部形成工程を有している。これにより、カラーフィルターを用いて表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。特に、後述する欠陥補修工程よりも前に遮光部13を形成することにより、欠陥補修工程において、当該工程で用いるインク(カラーフィルター用インク)が、着色部形成工程で形成された着色部12(欠陥のない着色部12)に上面等に付着すること等を効果的に防止しつつ、各着色部12の厚さの均一性を高いものとすることができる。
また、特に、本実施形態では、前述した着色部形成工程と後述する検出工程との間に、遮光部形成工程を有している。これにより、後述する検出工程における欠陥部位19の検出を容易に行うことができ、欠陥部位19の検出精度をより高いものとすることができる。
【0032】
また、本実施形態において、遮光部形成工程は、液状の組成物を用いたフォトリソグラフィー法により行うものである。これにより、カラーフィルター1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、各色の着色部12および遮光部13の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0033】
本工程では、まず、遮光部形成用の感放射線性組成物を、基板11の着色部12が設けられた面側のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(1h)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。プリベーク処理は、例えば、加熱温度:50℃以上150℃以下、加熱時間:30秒以上600秒以下という条件で行うことができる。
【0034】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、遮光部13が形成される(1i)。PEBは、例えば、加熱温度:50℃以上150℃以下、加熱時間:30秒以上600秒以下、放射線照射強度:1mJ/cm以上500mJ/cm以下という条件で行うことができる。また、現像処理は、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等により行うことができ、現像処理時間は、例えば、10秒以上300秒以下とすることができる。また、現像処理の後、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理は、例えば、加熱温度:150℃以上280℃以下、加熱時間:3分以上120分以下という条件で行うことができる。
【0035】
前述した着色部形成工程において欠陥部位19が生じている場合、本工程においては、最終的に得られるカラーフィルター1において遮光部13が形成されるべき部位に加え、欠陥部位19にも遮光部13が形成される。
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の欠陥補修工程で用いられるインク(カラーフィルター用インク)がバンク表面の表面に乗り上げてしまうことをより効果的に防止することができ、補修により形成される着色部12の表面の平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
【0036】
<検出工程>
次に、着色部形成工程で着色部12が形成されるべきであった部位であって、所望の着色部12が形成されていない欠陥部位19の検出を行う(1j)。
本工程においては、着色部12が形成されるべき各部位の色、色濃度の検出等により、欠陥部位19の有無の検出し、欠陥部位19が存在する場合には、その欠陥部位19の位置(座標)を求める。これにより、後述する欠陥補修工程において、欠陥部位19の適切な補修を行うことができる。
【0037】
特に、本実施形態では、本工程に先立ち、遮光部形成工程を行っているため、欠陥部位19が存在する場合には、当該部位にも遮光部13が形成されている。これにより、欠陥部位19に遮光部13が形成されていない状態で検出工程を行う場合に比べて、欠陥部位19の検出を容易に行うことができ、欠陥部位19の検出精度をより高いものとすることができる。
欠陥部位19の検出は、いかなる方法で行ってもよいが、本実施形態では、CCDカメラ50を用いて行っている。これにより、欠陥部位19の検出精度をより高いものとすることができる。
【0038】
<遮光部除去工程>
次に、検出工程で検出された欠陥部位19に設けられた遮光部13を選択的に除去する(1k)。
欠陥部位19に設けられた遮光部13の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、レーザー光の照射により行うのが好ましい。これにより、所望の部位の遮光部13(欠陥部位19に設けられた遮光部13)を選択的に確実に除去することができ、最終的に得られるカラーフィルター1を用いて表示される画像の画質を特に優れたものとすることができる。
なお、検出工程で、欠陥部位19が検出されなかった場合、本工程では、遮光部13の除去を行わない。
【0039】
<欠陥補修工程>
次に、検出工程で検出された欠陥部位19(遮光部13が除去された欠陥部位19)に、インクジェット方式でカラーフィルター用インク(インク)2を付与し、欠陥を補修する(1l、1m)。なお、本工程で用いるインクについては、後に詳述するが、着色剤、当該着色剤を溶解および/または分散する液性媒体、および、樹脂材料を含む材料で構成されたものである。
なお、検出工程で、欠陥部位19が検出されなかった場合、本工程では、カラーフィルター用インク(インク)2による補修を行わなくてもよい。
【0040】
本工程では、まず、インクジェット方式により、欠陥部位19(遮光部13で囲まれたセル内)に、カラーフィルター用インク2を付与する(1l)。
カラーフィルター用インク2の吐出は、図3に示すような液滴吐出装置を用いて行う。
図3に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、着色部12および遮光部13が設けられた基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0041】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルター用インク2を付与すべき欠陥部位19を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
【0042】
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、上記検出工程で得られたデータ(カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置等を表す吐出データ)を外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0043】
上記のような液滴吐出装置100を用いて、前述した着色部形成工程で欠陥部位19に形成されるべきであった着色部12(12A、12B、12C)に対応するカラーフィルター用インク2を、欠陥部位19に付与する。上記のような装置を用いることにより、欠陥部位19に、効率よくかつ選択的にカラーフィルター用インク2を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、本工程で形成(補修)すべき着色部12の種類の数だけ有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
【0044】
次に、欠陥部位19に付与されたカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、硬化性樹脂を硬化させること(硬化処理)により、固形状の着色部12とする(1k)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
液性媒体の除去、硬化性樹脂の硬化は、通常、加熱により行う。これにより、補修により形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、補修により形成される着色部12内にカラーフィルター用インク2の液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
【0045】
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100℃以上280℃以下であるのが好ましく、110℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30分以上190分以下であることが好ましく、40分以上130分以下であることがより好ましい。
【0046】
また、本工程では、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、補修により形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を効果的に防止することができる。
【0047】
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、補修により形成される着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0048】
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3分以上50分以下であることが好ましく、5分以上40分以下であることがより好ましい。
【0049】
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120℃以上280℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25分以上150分以下であることが好ましく、30分以上100分以下であることがより好ましい。
【0050】
また、本工程においては、例えば、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、液性媒体をより効率よく除去することができたり、補修により形成される着色部12の形状を確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、補修による着色部12をより効率よく形成することができる。
【0051】
その後、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の洗浄液、薬品を用いた洗浄を行う。これにより、着色部形成工程で形成された着色部の表面に、本工程で用いたインクの固形分が付着している場合でも、当該固形分を容易かつ確実に除去することができ、得られるカラーフィルターの表示画像における悪影響の発生を確実に防止することができる。
【0052】
上述したように、本発明の製造方法は、露光、現像を用いた着色部形成工程の後に、検出工程および欠陥補修工程を有することにより、着色部形成工程のみでは生じてしまう欠陥を修復することができ、得られるカラーフィルターを用いて表示される画像において、輝点の発生等を確実に防止することができ、高画質な画像を表示することができる。また、カラーフィルターを、生産性よく製造することができる。これに対し、検出工程および欠陥補修工程を有さない方法を用いた場合には、カラーフィルターを用いて表示される画像において輝点の発生等を確実に防止することが困難となり、安定的に高画質な画像を表示することができない。また、露光、現像処理を用いずに、インクジェット方式による方法のみで着色部を形成することも考えられるが、このような方法では、本発明に比べて、カラーフィルターの生産性は著しく劣ったものとなる。
【0053】
<カラーフィルター用インクについて>
次に、欠陥補修工程で用いるインク(カラーフィルター用インク)2について、詳細に説明する。
カラーフィルター用インク2は、着色剤、当該着色剤を溶解および/または分散する機能を有する液性媒体、樹脂材料等を含むものである。
【0054】
〔着色剤〕
着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができるが、上述した着色部形成工程で用いたシート材12’中に含まれる着色剤と同種の着色剤を用いるのが好ましく、同一の組成を有する着色剤を用いるのがより好ましい。これにより、着色部形成工程において形成された着色部12と、欠陥補修工程で形成された着色部12との特性差をより小さいものとすることができ、カラーフィルター1を用いて表示される画像の画質をより優れたものとすることができる。
【0055】
カラーフィルター用インク2中における着色剤の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、所定の色濃度の着色部12を形成するのに要するカラーフィルター用インク2の量を少なくすることができ、省資源の観点から有利である。また、カラーフィルターの着色部12を形成する際における液性媒体の揮発量を抑制することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0056】
〔液性媒体〕
液性媒体(液状媒質)は、上述したような着色剤を、溶解および/または分散する機能を有するものである。すなわち、液性媒体は、溶媒および/または分散媒として機能するものである。そして、通常、液性媒体は、カラーフィルター1を製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
【0057】
液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。
【0058】
カラーフィルター用インク2中における液性媒体の含有率(液性媒体として複数種の化合物を含む場合には、これらの含有率の総和)は、50wt%以上98wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上95wt%以下であるのがより好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インク2の液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルター1の耐久性を優れたものとすることができる。
【0059】
〔樹脂材料〕
カラーフィルター用インク2は、補修により形成される着色部12の基板11に対する密着性を向上させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。
本発明では、以下に詳述するような樹脂材料を含むのが好ましい。
[重合体M]
重合体Mは、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含むものである。
【0060】
【化10】

【0061】
【化11】

【0062】
このような重合体Mを含むことにより、カラーフィルター用インク2の吐出安定性、カラーフィルター用インク2の保存安定性等を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって安定的にカラーフィルター1を製造することができ、結果として、カラーフィルター1の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルター1の個体間での特性の均一性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12は、平坦性に特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度の低下等を防止することができる。また、カラーフィルター1の耐久性を優れたものとすることができる。また、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)等を優れたものとすることができる。また、重合体Mは、後述する樹脂成分(重合体X、重合体Y)との親和性、相溶性に非常に優れているため、複数種の樹脂成分を含む場合であっても、カラーフィルター用インク1中での樹脂材料の不本意な析出を防止し、優れた吐出安定性で液滴吐出を行うことができるとともに、形成される着色部12においては、各樹脂成分の特長を十分に発揮させることができ、不本意な相分離による透明性の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インク2の長期保存性(カラーフィルター用インク2の寿命)が非常に優れたものとなり、大量生産したカラーフィルター用インク2の作り置きによる品質の低下等の問題の発生が効果的に防止され、カラーフィルター1の製造に際してカラーフィルター用インク2の交換頻度を減らすことができるため、カラーフィルター1の生産性、製造されるカラーフィルター1の信頼性を優れたものとすることができる。
なお、重合体Mは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。
【0063】
(単量体成分m1)
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1、すなわち、ブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」ともいう)を有する化合物を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(1)で表される単量体成分m1を複数種含むものであってもよい。
【0064】
このような単量体成分m1を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、重合体M中における単量体成分m1が有するブロックイソシアネート基は、硬化処理時の比較的高い温度によって脱ブロック化し、活性なイソシアネート基が生成し、前記イソシアネート基とカルボキシル基または酸無水物基が硬化に寄与して、基板との密着性、耐熱性、耐薬品性等の向上を図れる一方で、比較的低いエネルギーが与えられた場合には、上記のような脱ブロック化が進行せず、硬化反応の進行が防止、抑制される。
【0065】
式(1)で表される単量体成分m1において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1以上8以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1以上8以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられるが、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2以上4以下の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0066】
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましく、下記式(5)で表されるものがより好ましい。
【0067】
【化12】

【0068】
式(5)中のRおよびRにおける炭素数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられるが、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1以上4以下の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。RおよびRが互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5または6員)のシクロアルカン環等が挙げられる。
【0069】
式(1)で表される単量体成分m1の具体例としては、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)(下記式(6)で表されるもの)、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル(下記式(7)で表されるもの)等が挙げられる。
【0070】
【化13】

【0071】
【化14】

【0072】
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、1wt%以上99wt%以下(例えば10wt%以上95wt%以下)であるのが好ましく、20wt%以上90wt%以下であるのがより好ましく、25wt%以上88wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分m2、m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m2、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m1を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m1の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
【0073】
(単量体成分m2)
重合体Mは、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に複数種の単量体成分m2を含むものであってもよい。
このような単量体成分m2を重合体M中に単量体成分として含有することにより、基板11上へのカラーフィルター用インク2の濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板11との密着性に優れた着色部12を好適に形成することができる。また、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2の長期保存性等を特に優れたものとすることができる。
【0074】
単量体成分m2としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。単量体成分m2の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸(下記式(2)で表されるもの)が特に好ましい。
【0075】
【化15】

【0076】
重合体M中における単量体成分m2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1や後に詳述する単量体成分m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m2を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m2の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
【0077】
(単量体成分m3)
重合体Mは、上記式(3)で表される単量体成分m3((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インク2を構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(3)で表される単量体成分m3を複数種含むものであってもよい。
【0078】
このような単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の平坦性を高いものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2の吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2の保存安定性(長期保存性)等を優れたものとすることができる。
【0079】
における炭素数16以上25以下の炭化水素基としては、例えば、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル、ドコシル(ベヘニル)基等のアルキル基;10−シクロヘキシルデシル、12−シクロヘキシルドデシル、14−シクロヘキシルテトラデシル、16−シクロヘキシルヘキサデシル基等の脂環式炭化水素基とアルキル基とが結合した基;10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、14−フェニルテトラデシル、16−フェニルヘキサデシル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0080】
炭素数16以上25以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m3の具体例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0081】
上記のように、重合体Mを構成する単量体成分m3が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、16以上25以下であるが、特に、16以上22以下であるのが好ましく、16以上20以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。これに対し、Rの炭素数が前記下限値未満である場合、または、前記上限値を超える場合には、上述したような優れた効果が得られない。このように、重合体Mは、所定の炭素数を有する基(R)を備えた単量体成分(単量体成分m3)を含む点に大きな一つの特徴を有するものである。
【0082】
重合体M中における単量体成分m3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1、m2等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m2等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m3を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m3の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
【0083】
重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m2の比率(Cm1[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm2は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
また、重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m3の比率(Cm3[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm3は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
重合体Mとしては、例えば、下記式(8)で表されるものがある。
【0084】
【化16】

【0085】
また、重合体Mは、上述した単量体成分m1、m2およびm3以外の成分を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。このような成分としては、例えば、以下に述べるような単量体成分m4、単量体成分m5、単量体成分m6、単量体成分m7等が挙げられる。
【0086】
(単量体成分m4)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m4((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0087】
【化17】

【0088】
重合体Mが単量体成分m4を含むことにより、カラーフィルター用インク2を構成する液性媒体が親水性の高い場合であっても、カラーフィルター用インク2中における樹脂材料の溶解性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の透明性を優れたものとすることができる。
単量体成分m4において、Rは、炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1以上15以下の炭化水素基を示すが、当該炭化水素基の炭素数は、1以上12以下であるのが好ましい。Rで示される炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
【0089】
炭素数1以上15以下の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1以上10以下のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1以上15以下(好ましくは、炭素数1以上12以下)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
【0090】
単量体成分m4の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0091】
上記のように、単量体成分m4が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、1以上15以下であるが、特に、1以上8以下であるのが好ましく、1以上4以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。
上記のような単量体成分m4を含む重合体Mとしては、例えば、下記式(9)で表されるものがある。
【0092】
【化18】

【0093】
(単量体成分m5)
重合体Mは、芳香族ビニル化合物である単量体成分m5を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m5を含むことにより、カラーフィルター用インク2の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12は、透明性に特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板11に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が特に生じにくいものとなる。
単量体成分m5の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル等が挙げられる。
【0094】
(単量体成分m6)
重合体Mは、ヒドロキシル基含有化合物である単量体成分m6を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m6を含むことにより、カラーフィルター用インク2の保存安定性等を特に優れたものとすることができる。また、欠陥補修工程における着色部12の形成時における樹脂材料の硬化反応をより好適に進行させることができる。
【0095】
単量体成分m6の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド、もしくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物等が挙げられる。
【0096】
(単量体成分m7)
重合体Mは、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物である単量体成分m7を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m7(3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物)には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
重合体Mが単量体成分m7を含むことにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の硬度や、基板11に対する密着性等の更なる向上を図ることができる。
【0097】
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等)等が挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物、エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物等を用いることもできる。エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物としては、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルオキシラン、4−ビニルフェネチルオキシラン等のスチレン誘導体が挙げられる。
【0098】
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
【0099】
カラーフィルター用インク2を構成する重合体Mが、上述したような単量体成分m7を含むものである場合、3〜5員の環状エーテル基(オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基))は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
【0100】
重合体Mが、単量体成分m1、m2、m3に加え、さらに、単量体成分m4、m5、m6およびm7よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含むものである場合、重合体M中における単量体成分m4、m5、m6およびm7の含有率の総和は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した単量体成分m1、m2、m3を含むことによる効果を十分に発揮させつつ、単量体成分m4、m5、m6、m7を含むことによる効果が発揮される。
【0101】
重合体Mの重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上40000以下であるのがより好ましく、2000以上30000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2を用いて製造されるカラーフィルター1についてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク2の保存安定性(長期安定性)、吐出安定性、形成される着色部12の硬度等を優れたものとすることができる。
【0102】
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
また、カラーフィルター用インク2中における重合体Mの含有率Cは、0.5wt%以上12wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上9.0wt%以下であるのがより好ましい。
カラーフィルター用インク2中における重合体Mの含有率は、0.6wt%以上13.0wt%以下であるのが好ましく、0.9wt%以上9.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、他の成分の機能を十分に発揮させつつ、重合体Mを含むことによる効果をより効果的に発揮させることができる。
【0103】
[重合体X]
重合体Xは、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
【0104】
【化19】

【0105】
【化20】

【0106】
【化21】

【0107】
【化22】

【0108】
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性等を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部12の表面の平坦性を特に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター1の各部位での色むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Xを含むことにより、カラーフィルター用インク2中における各重合体成分の親和性、相溶性(特に、重合体Xの、重合体Mや重合体Yとの親和性、相溶性)を十分に優れたものとすることができるため、重合体Xの特長を十分に発揮させつつ、カラーフィルター用インク2の吐出安定性を優れたものとし、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の透明性を高いとすることができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
【0109】
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク2の長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の硬度等を優れたものとすることができる。
【0110】
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルター1を製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
【0111】
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0112】
【化23】

【0113】
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での硬化処理において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
【0114】
【化24】

【0115】
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インク2の保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
【0116】
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
重合体Xが単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、硬化処理の後に、薬品塗布や洗浄等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
【0117】
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、硬化処理で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク2の長期保存性、吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
【0118】
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板11等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
【0119】
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、基板11上に付与されたカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インク2のチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部12の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
【0120】
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、硬化処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク2の長期保存性、吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
【0121】
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
【0122】
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
【0123】
重合体Xの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インク2の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター1の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0124】
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
【0125】
【化25】

【0126】
【化26】

【0127】
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インク2の吐出安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
【0128】
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0129】
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、基板11上に付与されたカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インク2の粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部12の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
【0130】
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0131】
【化27】

【0132】
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インク2の保存時や液滴吐出時等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う硬化処理においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での硬化処理において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の硬度等を優れたものとすることができる。
【0133】
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、前述した樹脂成分(重合体M、重合体X)との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インク2が重合体Y以外の樹脂成分を含む場合であっても、カラーフィルター用インク12の吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板11に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しないと、他の樹脂成分(重合体M、重合体X)を含む場合に、当該他の樹脂成分との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることが困難となり、カラーフィルター用インク2は、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルター1は、色むら等が発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる可能性がある。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
【0134】
【化28】

【0135】
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上60wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インク2の保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
【0136】
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
【0137】
重合体Yの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インク2の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター1の生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルター1を用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0138】
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク2中における樹脂材料の含有率は、0.7wt%以上18wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上15wt%以下であるのがより好ましく、3.0wt%以上12wt%以下であるのがさらに好ましい。
【0139】
また、カラーフィルター用インク2が着色剤として顔料を含むものである場合、カラーフィルター用インク2中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における顔料の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルター1のコントラスト等をより優れたものとすることができる。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体を含むものであってもよい。
【0140】
〔その他の成分〕
また、カラーフィルター用インク2は、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、各種架橋剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、各種重合開始剤、酸架橋剤、界面活性剤、増感剤、光安定剤、各種分散剤、発光材料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、各種重合促進剤、各種光安定化剤、ガラス、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等のセラミックス、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を用いることができる。
【0141】
レベリング剤は、カラーフィルター用インク2の表面張力を低下させることにより、欠陥部位19に付与されたカラーフィルター用インク2の表面を平滑化し、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12を平坦化させるものである。このため、カラーフィルター用インク2がレベリング剤を有することにより、上述したような樹脂材料の効果と相乗的に作用し、欠陥部位19のカラーフィルター用インク2の表面をより平坦なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インク2を用いて形成される形成される着色部12はより平坦なものとなる。
【0142】
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。特に、サーフィノールDF−58、LHP−95、LHP−90、LF1970から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2を用いて形成される着色部12の表面がより平坦化され、カラーフィルター1を用いた表示画像におけるコントラスト等の低下をより確実に防止することができる。
【0143】
酸化防止剤は、カラーフィルター用インク2の酸化等による変質を防止するとともに、カラーフィルター用インク2によって形成された着色部12内において着色剤や樹脂材料等の熱や光等による劣化を防止することができる。
酸化防止剤としては、各種リン系酸化防止剤、各種イオウ系酸化防止剤、各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤、各種ヒンダーアミン系酸化防止剤等の各種酸化防止剤等が挙げられる。この中でも、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一種を用いることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることがより好ましく、TINUVIN152を用いることがさらに好ましい。このような酸化防止剤は、好適にカラーフィルター用インク2、着色部12の変質を効果的に防止するとともに、形成される着色部12において、色、明度、コントラスト比等の光学特性に影響しにくいものである。
【0144】
カラーフィルター用インク2の25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。カラーフィルター用インク2の粘度が前記範囲内の値であると、インクジェット方式による液滴吐出において、吐出されるカラーフィルター用インク2の液適量のばらつきを特に小さいものとしつつ、液滴吐出ヘッドにおける目詰まりの発生等をより確実に防止することができる。なお、カラーフィルター用インク2の粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
【0145】
《カラーフィルター》
次に、本発明のカラーフィルターについて説明する。
本発明のカラーフィルターは、上述したような方法を用いて製造されたものである。
特に、本実施形態のカラーフィルター1は、基板11の一方の面側に、3色の着色部12(12A、12B、12C)と、遮光部13が設けられた構成を有するものである。
【0146】
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効画素領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
このようなカラーフィルター1は、輝点の発生が防止され、高画質な画像を表示することができるものである。
【0147】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図4は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および遮光部13が設けられた面(着色部12および遮光部13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0148】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
【0149】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図4中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図4中下側)から出射する。
液晶表示装置60は、上述したようなカラーフィルター1を備えるものであるため、輝点の発生が防止された高画質な画像の表示を長期間にわたって安定的に行うことができる。
【0150】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
【0151】
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0152】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
【0153】
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
【0154】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0155】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
【0156】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、着色部形成工程において、赤色の着色部、緑色の着色部、青色の着色部を、この順序で形成する場合について代表的に説明したが、これらの着色部の形成順序は、これに限定されるものではない。また、着色部形成工程で形成される着色部の色は、前述したようなものに限定されない。
また、前述した実施形態では、カラーフィルターは、3種(3色)の着色部を有するものとして説明したが、2色以下の着色部を有するものであっても、4種以上の着色部を有するものであってもよい。
【0157】
また、本発明の製造方法において、各工程の順序は、上述したようなものに限定されない。例えば、前述した実施形態では、遮光部形成工程を、着色部形成工程と検出工程との間に行い、欠陥補修工程を、欠陥部位に設けられた遮光部を除去した後に行う場合について説明したが、遮光部形成工程は、検出工程と欠陥補修工程との間に行うものであってもよい。このような場合、例えば、検出工程において検出された欠陥部位にマスク材を配した状態で、遮光部形成工程を行い、マスク材を除去した後に、欠陥補修工程を行ってもよい。言い換えると、本発明の製造方法は、基板上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像することにより、複数色の着色部を形成する着色部形成工程と、着色部形成工程で着色部が形成されるべき部位であって、所望の着色部が形成されていない欠陥部位を検出する検出工程と、欠陥部位に選択的にマスク材を配するマスク形成工程と、遮光部を形成する遮光部形成工程と、マスク材を除去するマスク除去工程と、検出工程で検出された欠陥部位に、インクジェット方式でインクを付与し、欠陥を補修する欠陥補修工程とを有するものであってもよい。このようなマスク材を用いる製造方法においては、マスク材の除去は、いかなる方法を用いて行ってもよいが、例えば、マスク材の溶解性が、着色部および遮光部の溶解性よりも高い所定の溶剤と接触させることにより行うことができる。
また、本発明において、遮光部形成工程は、省略してもよい。
【0158】
また、前述した実施形態では、検出工程は、1回のみ行うものとして説明したが、2回以上行うものであってもよい。例えば、前述した実施形態では、検出工程を、遮光部形成工程と遮光部除去工程との間にのみおいて行うものとして説明したが、このような検出工程(第1の検出工程)に加えて、さらに、遮光部除去工程の後に検出工程(第2の検出工程)を行ってもよい。これにより、欠陥部位(着色部を形成すべき領域)に遮光部の構成材料が残存していないことを確認することができ、欠陥補修工程において、好適な着色部を確実に形成することができる。なお、第2の検出工程において、欠陥部位に遮光部の構成材料が残存していることが確認された場合には、上述したような遮光部除去工程で述べたような処理を再び行うことができる。
【0159】
同様に、上記のようにマスク材を用いる場合には、マスク材を除去した後に、検出工程を行ってもよい。これにより、マスク材が確実に除去されていることを確認することができるとともに、着色部形成工程において、欠陥部位に着色部形成用の材料が一部のみ存在していた場合であって、マスク材を除去した後おいても、当該着色部形成用の材料が欠陥部位に存在していた場合に、当該着色部形成用の材料を、カラーフィルターの製造に有効に利用することができる。
【0160】
また、本発明では、欠陥補修工程において、欠陥部位に付与するカラーフィルター用インクの量は適宜調整してもよい。より具体的には、検出工程において複数の欠陥部位が検出された場合において、各欠陥部位に付与するカラーフィルター用インクの量を異なるものとしてもよい。これにより、例えば、着色部形成用の材料が存在量が、互いに異なる複数の欠陥部位が生じた場合であっても、色むらの発生等が防止された高品質のカラーフィルターを得ることができる。
【0161】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明のカラーフィルターにおいては、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
【実施例】
【0162】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、単量体成分m1としてのメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):60重量部、単量体成分m2としてのメタクリル酸:20重量部、単量体成分m3としてのステアリルメタクリレート:20重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(8)で表される重合体Mとしての重合体M1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)および単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体M(重合体M2〜M8)が得られた。
【0163】
(合成例9)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例10〜16)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
【0164】
(合成例17)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(溶剤)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例18、19)
重合体の合成に用いる溶媒(溶剤)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
【0165】
表1には、合成例1〜19で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を「m1a」で示し、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1b」で示し、アクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1c」で示し、メタクリル酸を「m2a」で示し、アクリル酸を「m2b」で示し、ステアリルメタクリレートを「m3a」で示し、ベヘニルメタクリレートを「m3b」で示し、パルミチルアクリレートを「m3c」で示し、リグノセリルメタクリレートを「m3d」で示し、メタクリル酸メチルを「m4a」で示し、アクリル酸エチルを「m4b」で示し、アクリル酸ペンチルを「m4c」で示し、スチレンを「m5」で示し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「m6」で示し、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物を「m7」で示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上3以下の範囲内であった。
【0166】
【表1】

【0167】
[2]カラーフィルターの製造
(実施例1)
以下のようにして、7680×4320個の画素が配置されたカラーフィルターを製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した(図1の(1a)参照)。
【0168】
次に、基板の一方の面に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像する処理を繰り返し行うことにより、赤色の着色部、緑色の着色部および青色の着色部をこの順で形成した(着色部形成工程。図1の(1b)〜(1g)参照。)。
本工程は、ベースフィルム上に設けられたシート材を基板上に転写することにより行った。
【0169】
また、赤色の着色部形成用のシート材としては、着色剤として、C.I.ピグメントレッド177と上記式(30)で表される顔料誘導体との混合物からなる粉末と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(31)で表される顔料誘導体との混合物からなる粉末と、下記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末と、C.I.ピグメントイエロー150の粉末とを含むものを用いた。
【0170】
【化29】

【0171】
また、緑色の着色部形成用のシート材としては、着色剤として、C.I.ピグメントグリーン58の粉末と、上記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末と、C.I.ピグメントイエロー150の粉末とを含むものを用いた。
また、青色の着色部形成用のシート材としては、着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:6の粉末と、C.I.ピグメントバイオレット23の粉末とを含むものを用いた。
本工程で形成された赤色の着色部の厚さ、緑色の着色部の厚さ、青色の着色部の厚さは、いずれも、2.0μmであった。
【0172】
次に、カーボンブラックを含む液状の遮光部形成用の感放射線性組成物を、基板の赤色の着色部、緑色の着色部、青色の着色部が形成された面側全体に付与し、塗膜を形成した(図2の(1h)参照)。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
【0173】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力800W、プラズマ発生装置からテーブルまでの距離:0.5mm、処理テーブル速度:10m/sという条件で、プリベーク処理、ポストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、遮光部を形成した(図2の(1i)参照)。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:140℃、加熱時間:10分という条件で行った。形成された遮光部の厚さは、2.0μmであった。
【0174】
次に、上記のようにして着色部および遮光部が形成された基板について、CCDカメラを用いて、着色部が形成されるべき各部位の色、色濃度の測定を行い、その結果から、着色部が形成されるべきであった部位であって、所望の着色部が形成されていない欠陥部位(遮光部が形成されている部位)の位置(座標)を求めた(検出工程(第1の検出工程)。図2の(1j)参照。)。
【0175】
次に、上記工程で検出された欠陥部位に設けられた遮光部を、レーザー光の照射により、選択的に除去した(遮光部除去工程。図2の(1k)参照。)。レーザー光の照射は、エキシマレーザよりKrFの248nmのレーザ光を、パルス幅:12ns、照射回数:20回、照射量:0.12J/cmで照射するという条件で行った。
その後、CCDカメラを用いて、各欠陥部位の色、色濃度の測定を行い、各欠陥部位から遮光部が確実に除去されていることを確認した(第2の検出工程)。
【0176】
次に、図3に示すような液滴吐出装置を用いて、検出工程で検出された欠陥部位(遮光部が除去された欠陥部位)に、着色部形成工程で形成されるべきであった着色部に対応する色のカラーフィルター用インクをインクジェット方式で付与した(図2の(1l)参照)。
その後、カラーフィルター用インクが付与された基板を、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに240℃のオーブン内で50分加熱処理を施し(第2の加熱処理)、その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行うことにより、カラーフィルターが得られた(図2の(1m)参照)。同様の方法を用いて、合計10枚のカラーフィルターを得た。
【0177】
(実施例2〜10)
シート材中に含まれる着色剤の種類、カラーフィルター用インクの組成を表2、表3に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして10枚のカラーフィルターを製造した。
(比較例1)
遮光部を形成し、それより後の工程を省略した以外は、前記実施例4と同様にして10枚のカラーフィルターを製造した。
(比較例2)
シート材を用いた着色部の形成(着色部形成工程)と、
遮光部の形成(遮光部形成工程)の順中を入れ替えた以外は、前記比較例1と同様にして10枚のカラーフィルターを製造した。
【0178】
前記各実施例および各比較例について、カラーフィルターの製造に用いたシート材の組成、および、カラーフィルター用インクの組成を表2、表3にまとめて示した。なお、表中、光硬化性樹脂としての樹脂(商品名:YL6810、ジャパンエポキシレジン社製)を「PCR」、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、上記式(34)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、下記式(35)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が2個)で構成された粉末を「SPD2」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111を「DA1」、ディスパービック2095を「DA2」、ディスパービックP104を「DA3」、ディスパービック166を「DA4」、ディスパービック9075を「DA5」、ディスパービック2001を「DA6」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ビス(2−ブトキシエチル)エーテルを「S4」、オクタン酸エチルを「S5」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」で示した。また、表中、赤色の着色部形成用のシート材を「Rシート」、緑色の着色部形成用のシート材を「Gシート」、青色の着色部形成用のシート材を「Bシート」、赤色の着色部形成用のインク(カラーフィルター用インク)を「Rインク」、緑色の着色部形成用のインク(カラーフィルター用インク)を「Gインク」、青色の着色部形成用のインク(カラーフィルター用インク)を「Bインク」と示した。また、表中、含有量の「部」は、重量部のことを示す。なお、各実施例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物中における式(30)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物中における式(31)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下の範囲内の値であった。
【0179】
【化30】

【0180】
【表2】

【0181】
【表3】

【0182】
[3]カラーフィルターの評価
[3.1]色むらの発生状況
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
前記各実施例および各比較例で製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。なお、光源としては、11000Kの色温度である冷陰極管を使用した。
これらの液晶表示装置について、暗室で、所定のテストパターンの表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら(輝点を含む)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0183】
A:色むらが全く認められない。
B:色むらがほとんど認められない。
C:色むらがわずかに認められる。
D:色むらがはっきりと認められる。
E:色むらが顕著に認められる。
【0184】
[3.2]コントラスト比の評価
[3.1]で製造した前記各実施例および各比較例の液晶表示装置を用いて、全色表示(画素有効領域全体での画像表示)を行い、光度計(PHOTO RESEARCH社製、PR−800)を用いて、色表示を行っていない場合と比較してのコントラスト比(CR)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0185】
A:CRが18000以上。
B:CRが16000以上18000未満。
C:CRが13000以上16000未満。
D:CRが10000以上13000未満。
E:CRが10000未満。
【0186】
[3.3]明度の評価
[3.2]の評価で用いた前記各実施例および各比較例の液晶表示装置について、下記に示すような評価を行った。液晶表示装置について、各色の単色表示を行い、色度計(ミノルタ社製、CM−3700d、光源としてC光源使用)を用いて、xyY表色法による三刺激値を求め、下記のようにして評価を行った。
すなわち、赤色の単色表示については、x=0.651の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0187】
A:明度Yが21.1以上。
B:明度Yが20.6以上21.1未満。
C:明度Yが20.0以上20.6未満。
D:明度Yが18.1以上20.0未満。
E:明度Yが18.1未満。
【0188】
また、緑色の単色表示については、y=0.600の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが57.1以上。
B:明度Yが55.4以上57.1未満。
C:明度Yが53.4以上55.4未満。
D:明度Yが51.1以上53.4未満。
E:明度Yが51.1未満。
【0189】
また、青色の単色表示については、y=0.141の時のY値を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:明度Yが11.9以上。
B:明度Yが11.6以上11.9未満。
C:明度Yが10.9以上11.6未満。
D:明度Yが10.1以上10.9未満。
E:明度Yが10.1未満。
【0190】
[3.4]着色部の密着性評価
[3.3]の評価で用いた前記各実施例および各比較例の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、75℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計10回繰り返した(合計80時間)。
【0191】
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図4に示すような液晶表示装置を組み立てた。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
【0192】
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
これらの結果を表4に示す。
【0193】
【表4】

【0194】
表4から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。特に、比較例2では、表示画像での輝点の存在が目立っており、表示画像の画質が著しく劣っていた。
また、本発明の中でも、実施例1〜4および実施例10で用いたインク(中でも、実施例1〜4で用いたインク)は、液滴の吐出安定性、長期保存安定性が特に優れており、長期間にわたってより安定的なカラーフィルターの製造を行うことができた。
【符号の説明】
【0195】
1…カラーフィルター 11…基板 12、12A、12B、12C…着色部 12’、12A’、12B’、12C’…シート材 13…遮光部 19…欠陥部位 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 50…CCDカメラ 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上に、着色剤と感光性樹脂とを含む材料で構成されたシート材を貼着し、その後、露光、現像することにより、着色部を形成する着色部形成工程と、
前記着色部形成工程で着色部が形成されるべき部位であって、所望の着色部が形成されていない欠陥部位を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記欠陥部位に、インクジェット方式でインクを付与し、欠陥を補修する欠陥補修工程とを有することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項2】
前記着色部形成工程は、異なる複数種の前記シート材を用い、貼着、塗工、現像の処理を繰り返し行うことにより、複数色の前記着色部を形成するものである請求項1に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項3】
前記着色部形成工程と前記欠陥補修工程との間に、遮光部を形成する遮光部形成工程をさらに有する請求項1または2に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項4】
前記遮光部形成工程は、前記着色部形成工程と前記検出工程との間に行うものであり、
前記欠陥補修工程は、前記欠陥部位に設けられた前記遮光部を除去した後に行うものである請求項3に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項5】
前記欠陥部位に設けられた前記遮光部の除去は、レーザー光の照射により行う請求項4に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項6】
前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
【化1】

【化2】

【請求項7】
前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
【化3】

【化4】

【化5】

【請求項8】
前記欠陥補修工程で用いる前記インクは、樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含むものである請求項1ないし7のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
【化6】

【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−191362(P2011−191362A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55448(P2010−55448)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】