説明

カラー固体撮像装置

【課題】隣接画素間で加算処理を行わない場合にはベイヤー配列と同程度の輝度及び色の解像度が得られ、隣接画素間で加算処理を行う場合にも十分に高い輝度及び色の解像度が得られるカラー固体撮像装置を提供する。
【解決手段】4行を単位配列とし、1行目は、行方向にG画素G11,G13,G15,G17とR画素R12,R14,R16,R18が交互に配列され、2行目は、G画素G22,G24,G26,G28が1行目のG画素と行方向に1画素ずれてG画素とB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27が交互に配列され、3行目は1行目と同じ配列であり、4行目は2行目を行方向に1画素ずらした配列である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリクス状に画素が配列されたカラー固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置を単板でカラー化するには、各画素上に3種類以上のカラーフィルタを形成することが一般的である。特に赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色のカラーフィルタを用いる場合には、図16に示すようなベイヤー配列が水平方向、垂直方向共に高い輝度及び色の解像度が得られ、最も一般的である。この場合、R,G,B各色成分毎にフレーム画像を得るには、抜けている画素信号を周りに隣接する同じ色画素の平均値により補間する手法が取られる。
【0003】
即ち、図17に示すように、G画素はすべての画素で補間処理が共通で、上下及び左右に隣接する4画素の平均値となる。他方、図18,19に示すように、R画素及びB画素では、上下2画素間の平均、左右2画素間の平均、対角方向4画素の平均の3種類の平均化処理となる。その後、G,R,B各フレーム画像からカラー画像信号が形成されるが、輝度信号に最も寄与するG画素が1画素置きに存在するため、高い輝度解像度が得られる。又、R,B信号は共に同じ解像度で、バランスの取れた高い色解像度が得られる。
【0004】
更に、列方向又は行方向に2つずつの同色画素を配置するカラーフィルタの配列も提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載された固体撮像装置は、入射光を光電変換する光電変換素子を有する画素を備えた増幅型固体撮像装置であり、画素には入射光の赤、緑、青の成分をそれぞれ信号に変換するR画素、G画素、B画素があり、撮像領域において、nを正の整数、mを2以上の整数とすると、第n列と第(n+2)列の画素列はG画素で構成され、第(n+1)列と第(n+3)列の画素列は、R画素とB画素とが少なくとも列方向にm個ずつ交互に配置されてなり、且つ第(n+1)列の画素列と第(n+3)列の画素列とは画素の配置が列方向にm画素分ずれており、同じ色の複数の画素からの信号が画素加算されるので、隣接画素間で加算処理を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−5318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図16に示したベイヤー配列カラーフィルタの場合、隣接画素間で加算処理を行うとフルカラー画像情報が得られないという課題が発生する。即ち、例えば上下2画素間で加算を行うと、図20に示すように、G+B=Cy、G+R=Yeの2つの色信号しか得られず、フルカラー画像情報を算出するために必要な3つの独立した色信号が得られない。
【0007】
他方、特許文献1に示すように、上下・左右方向に直交する画素配列で加算する画素を同じ色とすると、非加算時にGは2行周期、R,Bは4列周期、あるいはこれと行、列を入れ替えたものとなり、輝度及び色の解像度が大きく低下する。
【0008】
上記事情を鑑み、本発明は、隣接画素間で加算処理を行わない場合にはベイヤー配列と同程度の輝度及び色の解像度が得られ、隣接画素間で加算処理を行う場合にも十分に高い輝度及び色の解像度が得られる新規なカラーフィルタ配列を備えたカラー固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、分光特性がそれぞれ異なる第1の色画素、第2の色画素、第3の色画素のいずれかの画素をマトリクス状に2次元配列した画素アレイを備えるカラー固体撮像装置に関する。すなわち、本発明の態様に係るカラー固体撮像装置の画素アレイを構成する2次元配列は、マトリクスの列方向に連続する4行を単位配列としており、(a)単位配列の1行目は第1の色画素と第3の色画素が交互に偶数個、周期的に配列され、(b)単位配列の2行目は第1の色画素が1行目の第1の色画素と第1の方向に1画素ずれて第1の色画素と第2の色画素が交互に偶数個、周期的に配列され、(c)単位配列の3行目は1行目と同じ配列であり、(d)単位配列の4行目は2行目を第1の方向に1画素ずらした配列である。そして、本発明の態様に係るカラー固体撮像装置では、上記の、4行からなる単位配列を基本パターンとして構成される2次元配列により画素アレイが構成されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、隣接画素間で加算処理を行わない場合にはベイヤー配列と同程度の輝度及び色の解像度が得られ、隣接画素間で加算処理を行う場合にも十分に高い輝度及び色の解像度が得られる新規なカラーフィルタ配列を備えたカラー固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラー固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の主要部の概略構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子を構成する画素アレイの一部の画素配列を例示的に示す部分図である。
【図3】図2に示す画素配列の各G画素から信号を独立して読み出して緑信号を形成する方法を示す図である。
【図4】図2に示す画素配列の各R画素から信号を独立して読み出して赤信号を形成する方法を示す図である。
【図5】図2に示す画素配列の各B画素から信号を独立して読み出して青信号を形成する方法を示す図である。
【図6】図3に示す色信号形成方法での平均化係数を示す図である。
【図7】図4,5に示す色信号形成方法での平均化係数を示す図である。
【図8】図2に示す画素配列の各画素から、信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の、各加算信号の配列を示す図である。
【図9】図8に示す加算信号配列から、輝度(白)信号を形成する方法を示す図である。
【図10】図8に示す加算信号配列から、R信号を形成する方法を示す図である。
【図11】図8に示す加算信号配列から、B信号を形成する方法を示す図である。
【図12】第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイを構成するそれぞれの画素の内部構造の例を示す回路図である。
【図13】図12に示す画素で画素アレイを構成した場合の各画素の駆動タイミングを示すタイミング図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子(CCDイメージセンサ)を構成する画素アレイの一部の画素配列を例示的に示す部分図である。
【図15】図14に示す画素アレイの配列を用いた場合の各画素の駆動タイミングを示すタイミング図である。
【図16】従来のカラー固体撮像素子を構成する画素アレイの画素配列を示す図である。
【図17】従来の画素配列から信号を独立して読み出してG信号を形成する方法を示す図である。
【図18】従来の画素配列から信号を独立して読み出してR信号を形成する方法を示す図である。
【図19】従来の画素配列から信号を独立して読み出してB信号を形成する方法を示す図である。
【図20】従来の画素配列から、信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合に発生する課題を説明する図である。
【図21】第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子を構成する画素アレイの一部の画素配列を例示的に示す部分図である。
【図22】図21に示す画素配列の各G画素から信号を独立して読み出して緑信号を形成する方法を示す図である。
【図23】図21に示す画素配列の各R画素から信号を独立して読み出して赤信号を形成する方法を示す図である。
【図24】図21に示す画素配列の各B画素から信号を独立して読み出して青信号を形成する方法を示す図である。
【図25】図22に示す色信号形成方法での平均化係数を示す図である。
【図26】図21に示す画素配列の各画素から、信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の、各加算信号の配列を示す図である。
【図27】その他の実施形態に係るカラー固体撮像素子を構成する画素アレイの一部の画素配列を例示的に示す部分図である。
【図28】図27に示す画素配列の各画素から、信号を列方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の、各加算信号の配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、以下に示す第1〜第3の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
(第1の実施形態)
図1に示すとおり、本発明の第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)は、複数の画素が2次元に配列された画素アレイ1と、この画素アレイ1が設けられた半導体チップと同一の半導体チップ上において画素アレイ1の周辺に配列され、画素のそれぞれから信号を読み出す読み出し回路2と、この読み出し回路2によってそれぞれの画素から読み出された信号OSを処理する信号処理回路3とを備える。信号処理回路3は、画素アレイ1が設けられた半導体チップと同一の半導体チップ上に集積化されていても、他の半導体チップ上に集積化されていても構わない。画素アレイ1は、読み出し回路2により読み出し動作が行われ、それぞれの画素から読み出された信号OSは信号処理回路3へ導かれて、カラー信号処理が行われる。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列の一部を例示的に示すもので、分光特性がそれぞれ異なる第1の色画素、第2の色画素、第3の色画素のいずれかの画素をマトリクス状に2次元配列している。例えば、第1の色画素として緑(G)色の画素、第2の色画素として青(B)色の画素、第3の色画素として赤(R)色の画素の三原色の画素を割り当てることが可能である。ここで、各画素は白黒素子の上に各色のカラーフィルタが形成されていても、あるいは画素自身の分光特性が各色特性を備えていても良い。図2では、説明を簡素化するために、画素アレイ1の一部の8×8マトリクスを模式的に示し、便宜上、図示した左右方向の画素配列を行、上下方向の画素配列を列として、上下方向に8行を単位とした配列とした配列を例示的に示しているが、「行」と「列」の定義等は、これに限られるものではなく、例えば、90°回転したトポロジーでも構わない。また、後述の説明からわかるように、図2の行方向にはmを1以上の整数として2m個が循環周期的に配列され、図2の行方向には、nを1以上の整数として8n個が周期的に配列され、全体としては2m×8nのマトリクスが構成される。
【0015】
図2に示した8×8マトリクスの1行目は行方向(左右方向)にG画素(第1の色画素)G11,G13,G15,G17とR画素(第3の色画素)R12,R14,R16,R18が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図2の8×8マトリクスの2行目はG画素G22,G24,G26,G28が1行目のG画素G11,G13,G15,G17と行方向(左右方向)に1画素ずれてG画素G22,G24,G26,G28とB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図2に示した8×8マトリクスの3行目は1行目と同じ配列であり、4行目は2行目を行方向(左右方向)に1画素ずらした配列である。以上の1行目〜4行目を単位配列として、5行目〜8行目はこの単位配列を行方向(左右方向)に1画素ずらした配列とし、はみ出した最終列が1画素ずらして空白となった最前列の位置にはめ込まれるように循環周期的に配置ように形成される。
【0016】
以上のように、第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1においては、4行毎の単位配列のパターンを基本パターンとし、この基本パターンを循環周期的に1画素ずらして配列された繰り返し配列で、矩形の2m×8nのマトリクスからなる2次元配列をなしている。
【0017】
<画素信号の補間>
図3,4,5は、図2に示す画素アレイ1の一部を示す画素配列から、各画素信号を独立して読み出す場合において、フルフレームの各色信号を補間により形成する方法を示すものである。即ち、各色信号の抜けている画素位置に、周りに隣接する同じ色画素の平均値により補間する。図2又は図3,4,5において、2次元配列の行方向又は列方向のいずれかの方向を第1の方向と定義し、この第1の方向に直交する方向を第2の方向と定義することが可能であるが、図3,4,5の説明では、便宜上、図示した行方向を第1の方向と定義し、列方向を第2の方向と定義して以下の説明をする。
【0018】
即ち、具体的には図3に示すように、画素アレイ1を構成する2次元配列中のG画素(第1の色画素)G11,G13,G15,G17,G22,G24,G26,G28,…, G82,G84,G86,G88が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)及び第2の方向(列方向)の中で、隣接するG画素の平均化の処理を行うことにより、周りに隣接する同じG画素(第1の色画素)の平均値によりG画素(第1の色画素)を補間できる。
図4に示すように、2次元配列中のR画素(第3の色画素)R12,R14,R16,R18,R32,R34,R36,R38,…,R71,R73,R75,R77が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)、第2の方向(列方向)、及び第1の方向(行方向)と第2の方向(列方向)の対角方向の中で、隣接するR画素の処理を行うことにより、周りに隣接する同じR画素(第3の色画素)の平均値によりR画素(第3の色画素)を補間できる。
【0019】
同様に、図5に示すように、2次元配列中のB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27,B42,B44,B46,B48,…B81,B83,B85,B87,が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)、第2の方向(列方向)、及び第1の方向(行方向)と第2の方向(列方向)の対角方向の中で、隣接するB画素の平均化の処理を行うことにより、周りに隣接する同じB画素(第2の色画素)の平均値によりB画素(第2の色画素)補間できる。
【0020】
ここで、各色画素が存在しない画素位置での平均化係数をG画素では図6(図6(b)の上下反転も含む)、RないしB画素では図7(図7(d)の上下反転も含む)のそれぞれ対応する組み合わせにおける値にするのが望ましい。図3〜5及び図6,7に示す処理により、輝度信号に最も寄与するG画素では、同じ行及び同じ列の隣接G画素で補間されるから、上下方向、左右方向共に高い輝度解像度が得られる。又、R,B画素では両者同様の処理となると共に、それぞれ同じ行か、同じ列、ないし対角に隣接する同じ色画素で補間されるから、バランスの取れた高い色解像度が得られる。
【0021】
<加算読み出し>
図8は、図2に示す画素配列から、各画素信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の、各加算信号配列を示すものである。なお、以下の図8〜図11の説明において、2次元配列の行方向又は列方向のいずれかの方向を第1の方向と定義し、この第1の方向に直交する方向を第2の方向と定義することが可能であるが、図8〜図11の説明では、行方向を第1の方向と定義し、列方向を第2の方向と定義して、G+B=Cy(シアン)、G+R=Ye(イエロー)、R+B=Ma(マゼンタ)、G+G=2Gと表記する。
【0022】
即ち、図8に示すように、第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子において、図2における4行単位の単位配列の1行目及び2行目から第2の方向に隣接する2画素間で加算した、第1の色画素(G画素)からの信号と第2の色画素(B画素)からの信号との和を第1の加算信号Cy11,Cy13,…,Cy38として算出し、第3の色画素(R画素)からの信号と第1の色画素(G画素)からの信号との和を第2の加算信号Ye12,Ye14,…Ye37として算出できる。又、図2における4行単位の単位配列の3行目及び4行目から第2の方向に隣接する2画素間で加算した、2個の第1の色画素(G画素)からの信号の和を第3の加算信号2G21,2G23,…2G48として算出し、第2の色画素(B画素)からの信号と第3の色画素(R画素)からの信号との和を第4の加算信号Ma22,Ma24,…,Ma47として算出することができる。図8から明らかなように、本発明の第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子では、上下2画素間で加算しても4つの独立した色信号Cy11,Ye12,2G21,Ma22;Cy13,Ye14,2G23,Ma24;…;Ye37,Cy38,Ma47,2G48を得ることが可能となる。そして、図8に示した4つの独立した色信号Cy11,Ye13,2G21,Ma22;Cy13,Ye14,2G23,Ma24;…;Ye37,Cy38,Ma47,2G48からフルカラー画像信号を得る方法を図9,10,11に示す。
【0023】
−輝度信号−
まず図9において、実線からなる楕円又は破線からなる楕円で和(加算)を表したように、輝度(白)信号Wは、第1の方向(左右方向)に隣接する2個の加算信号の平均値により得ることができる。即ち、図8に示した第1の加算信号(G+B=Cy)と第2の加算信号(G+R=Ye)を得ることができるので、 第1の加算信号Cyと、第1の方向に隣接する、第2の方向(上下方向)に隣接する2画素間で加算した第2の加算信号Yeとの和の平均値により輝度(白)信号Wを得ることができる。

W=Cy+Ye ……(1a)
【0024】
あるいは、図8に示した第3の加算信号(G+G=2G)と第4の加算信号(R+B=Ma)を得ることができるので、第3の加算信号2Gと、第1の方向に隣接する、第2の方向(上下方向)に隣接する2画素間で加算した第4の加算信号Maとの和の平均値により輝度(白)信号Wを得ることができる。

W=Ma+2G=Cy+Ye=R+2G+B ……(1b)
【0025】
式(1a)および(1b)の各加算信号は、加算しない場合の2倍の信号量であるから、それらにより得られる輝度(白)信号Wも加算しない場合の2倍であり、高い輝度S/Nを得ることができる。ここで、デジタル信号処理の場合のように、1つの加算信号を2度用いることができれば、図9の破線の楕円が示すように、輝度(白)信号Wは第1の方向(左右方向)に1画素分ずらして加算平均することが可能で、その場合には、図9の実線の楕円と破線の楕円の和として表すように、第1の方向(左右方向)に1画素単位で輝度(白)信号Wが得られ、高い横方向解像度が達成される。
【0026】
−フルカラー画像情報の算出−
次に、フルカラー画像情報を構成する第2の色信号(青色信号)及び第3の色信号(赤色信号)を得るには、以下のようにすればよい。即ち、R信号(第3の色信号)は

2R=(Ye+Ma)−Cy ……(2)

であるから、図10に示すように、式(2)に示すとおり、第2の加算信号Yeと第4の加算信号Maの和から第1の加算信号Cyを減算する演算により、第3の色信号(R信号)を得ることができる。式(2)に示す第3の色信号(R信号)は、加算しない場合の2倍の信号量2Rで得られ、高い色S/Nを得ることができる。ここで、デジタル信号処理の場合のように、1つの色信号用加算信号を2度用いることができれば、R信号は第2の方向(上下方向)に1信号用加算信号(2画素)分ずらして演算することが可能で、その場合には、破線の楕円で示したように、第2の方向(上下方向)に2画素単位で色信号が得られ、高い縦方向解像度が達成される。それを、図10の実線と破線の楕円の和として表す。
【0027】
一方、B信号(第2の色信号)は、

2B=(Cy+Ma)−Ye ……(3)

であるから、図11に示すように、式(3)に示すとおり、第1の加算信号Cyと第4の加算信号Maの和から第2の加算信号Yeを減算する演算により、第2の色信号を得ることができる。式(3)に示す第2の色信号(B信号)の強度は、加算しない場合の2倍の信号量2Bで得られ、高い色S/Nを得ることができる。ここで、デジタル信号処理の場合のように、1つの色信号用加算信号を2度用いることができれば、B信号は第2の方向(上下方向)に1色信号用加算信号(2画素)分ずらして演算することが可能で、その場合には、破線の楕円で示したように、第2の方向(上下方向)に2画素単位で色信号が得られ、高い縦方向解像度が達成される。それを、図11の実線と破線の和として表す。このようにして、図1に示した信号処理回路3は、第1の加算信号Cy、第2の加算信号Ye、第3の加算信号2G、第4の加算信号Maから、輝度信号W及び2つの色信号2Rと2Bを算出して、フルカラー画像情報とすることができる。
【0028】
<画素の内部構造>
本発明の第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1を構成するそれぞれの画素の内部構造の例を図12に示す。図12は、画素アレイ1が周辺の読み出し回路2及び信号処理回路3とモノリシックに一体化するのに有利なCMOSトランジスタにより構成されたCMOSイメージセンサの例であり、pを1以上の正の整数として、(2p−1)行目の画素X(2p-1),jと、その下の2p行目の画素X2p,jを代表として例示的に示している。即ち、上下方向に隣接する画素X(2p-1),jと画素X2p,jとの間で加算する4トランジスタ型の加算増幅回路を備える画素構成の例を示しており、4トランジスタ型の加算増幅回路によって、上下の画素X(2p-1),jと画素X2p,jとの間の加算機能を実現している。
【0029】
図12において、上側の(2p−1)行目の画素X(2p-1),jの受光部がPDA、下側の2p行目の画素X2p,jがPDBである。受光部PDA及びPDBは、通常埋め込みフォトダイオードで構成される。上側の画素X(2p-1),jの受光部PDAから共通電荷検出領域FD2pjへは転送トランジスタQT(2p-1),jにより信号電荷が転送され、下側の画素X2p,jの受光部PDBから共通電荷検出領域FD2pjへ転送トランジスタQT2p,jにより信号電荷が共通電荷検出領域FD2p,jに転送される。
【0030】
図12に示すように、共通電荷検出領域FD2p,jには、2画素共通の加算増幅回路を構成する信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)QA2pjのゲート電極と、リセットトランジスタQR2p,jのソース電極が接続されている。リセットトランジスタQR2p,jのドレイン電極及び信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)QA2pjのドレイン電極は、それぞれ電源VODに接続され、信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)QA2pjのソース電極は画素選択用のスイッチングトランジスタQS2p,jのドレイン電極に接続されている。リセットトランジスタTR2pjのリセットゲート電極に対し、(2p−1)行と2p行の共通リセット信号RT(2p)をハイ(H)レベル(RT(2p)=“1”)にして、共通電荷検出領域FD2p,jに蓄積された電荷をそれぞれ吐き出し、共通電荷検出領域FD2p,jをリセットする。画素選択用のスイッチングトランジスタQS2p,jのソース電極は、j列の垂直信号線Bに接続され、ゲート電極には2p行の水平ラインの垂直選択信号SL(2p)が読み出し回路2から与えられる。
【0031】
図12に示したように、画素アレイ1のj列目の垂直信号線Bには、j列目の負荷となる定電流トランジスタQLが接続され,例えばj列目の(2p−1)行と2p行の2画素共通の加算増幅回路と,定電流トランジスタQLとによって,ソースフォロワ回路が形成され、ソースフォロワ回路の出力S(j)が読み出し回路2のj列のカラム処理回路に読み出された後、信号処理回路3へ導かれる。図示を省略しているが、他の列の垂直信号線B,B,…,Bj−1,Bj+1,…,Bにも同様に、各列の負荷となる定電流トランジスタQL,QL,…,QLj−1,QLj+1,…,QLがそれぞれ接続されてソースフォロワ回路が形成され、ソースフォロワ回路の出力S(1),S(2),…,S(j−1),S(j+1),…,S(m)が、それぞれ読み出し回路2の対応する列のカラム処理回路に読み出される。
【0032】
図12に示す垂直信号線Bの場合、2画素共通の加算増幅回路の画素選択用のスイッチングトランジスタQS2p,jのゲート電極に、読み出し回路2から(2p−1)行と2p行の共通垂直選択信号SL(2p)をハイレベル(SL(2p)=“1”)にする信号を印加してスイッチングトランジスタQS2p,jを導通させ、且つ、j列目の定電流トランジスタQLのゲート電極に、読み出し回路2のバイアス発生回路から一定電圧Vbを印加することにより、信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)QA2pjで増幅された共通電荷検出領域FD2p,jに蓄積された電荷を、j列目のソースフォロワ回路の出力S(j)として読み出し回路2に読み出す。
【0033】
<カラー固体撮像素子の動作>
以下では、上下2画素間で加算しない場合と加算する場合について、第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の動作を、図13のタイミング図により説明する。
【0034】
−上下2画素間で加算しない場合−
図13(a)のタイミング図において、図12に示した上側の(2p−1)行と下側の2p行に対し、共通に印加する駆動信号には(2p0)の表示をしている。
(イ) まず水平ラインの共通の垂直選択信号SL(2p0)により選択トランジスタQS2pjをオン状態とした後、共通リセット信号RT(2p0)によりリセットトランジスタQR2pjをオンすることにより、共通電荷検出領域FD2pjの電位をドレイン電圧VODにリセットする。
【0035】
(ロ) 次に、(2p−1)行目の電荷転送信号TXA(2p−1)により(2p−1)行の転送トランジスタQT(2p-1),jをオンして、受光部PDAからの信号電荷を共通電荷検出領域FD2p,jに転送する。
【0036】
(ハ) 共通リセット信号RT(2p0)によるリセット後、及び電荷転送信号TXA(2p−1)による信号電荷転送後の共通電荷検出領域FDの電圧は、増幅トランジスタQA2pjによって増幅され、選択トランジスタQS2pjを介して読み出し信号線Bjへ読み出され、これが図12におけるj列目の出力電圧S(j)となる。こうして1水平走査期間:1Hの間に、図1における読み出し回路2から読み出される信号OSとして、各列から得られる(2p−1)行目の信号列A(2p−1)が得られる。
【0037】
(ニ) 次の水平走査期間では、同様にして、2p行目の電荷転送信号TXB(2p)により2p行目の転送トランジスタQT2pjをオンし、受光部PDBからの信号電荷を共通電荷検出領域FD2pjに転送する。
【0038】
(ホ) 共通リセット信号RT(2p)によるリセット後、及び電荷転送信号TXB(2p)による信号電荷転送後の共通電荷検出領域FD2pjの電圧は、増幅トランジスタQA2pjによって増幅され、選択トランジスタQS2pjを介して読み出し信号線Bjへ読み出され、j列目の出力電圧S(j)となる。こうして次の水平走査期間の間に信号OSとして、各列から得られる2p行目の信号列B(2p)が得られる。
【0039】
−上下2画素間で加算する場合−
図13(b)のタイミング図に示すように、加算しない場合と比べ、(2p−1)行目の電荷転送信号TXA(2p−1)と2p行目の電荷転送信号TXB(2p)を同時にオンすることのみが異なる。即ち、
(イ) まず水平ラインの共通の垂直選択信号SL(2p0)により選択トランジスタQS2pjをオン状態とした後、共通リセット信号RT(2p0)によりリセットトランジスタQR2pjをオンすることにより、共通電荷検出領域FD2pjの電位をドレイン電圧VODにリセットする。
【0040】
(ロ)次に、(2p−1)行目の電荷転送信号TXA(2p−1)及び2p行目の電荷転送信号TXB(2p)により、(2p−1)行目の転送トランジスタQT(2p-1),j及び2p行目の転送トランジスタQT2pjを同時にオンして、受光部PDA及びPDBからの信号電荷を加算して共通電荷検出領域FD2pjに転送する。
【0041】
(ハ)共通リセット信号RT(2p0)によるリセット後、及び電荷転送信号TXA(2p−1)及び電荷転送信号TXB(2p)信号による同時電荷転送後の共通電荷検出領域FDの電圧は、増幅トランジスタQA2pjによって増幅され、選択トランジスタQS2pjを介して読み出し信号線Bjへ読み出され、これが図12におけるj列目の出力電圧S(j)となる。こうして1水平走査期間:1Hの間に、図1の読み出し回路2から読み出される信号OSとして、各列から得られる(2p−1)行目の画素X(2p-1),jからの信号と2p行目の画素X2p,jからの信号とが加算された信号列A(2pー1)+B(2p)が得られる。
【0042】
なお、ここでは上下方向に加算する場合を示したが、左右方向にすることも、図12に例示的に示したPDA,PDBの配置を上下の並びから左右の並びに変更するだけで可能である。
【0043】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列の一部を例示的に示すもので、受光部PDをそれぞれ構成する赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の画素から構成されるインターライン転送型CCDイメージセンサである。インターライン転送型CCDイメージセンサを構成する各画素は、白黒素子の上に各色のカラーフィルタが形成されていても、あるいは画素自身の分光特性が各色特性を備えていても良い。図14に示すインターライン転送型CCDイメージセンサでは、説明を簡素化するために、画素アレイ1の一部となる8×8マトリクスの部分を模式的に示し、左右方向の画素配列を行、上下方向の画素配列を列として、上下方向に8行を単位とした配列とした受光部PDの配列を例示的に示しているが、「行」と「列」の定義等は、これに限られるものではなく、例えば、90°回転したトポロジーでも構わない。
【0044】
図14に示した8×8マトリクスの下から1行目は、左右方向に受光部PDをそれぞれ構成するG画素G11,G13,G15,G17と受光部PDをそれぞれ構成するR画素R12,R14,R16,R18が1画素置きに交互に配列されている。G画素G11,G13,G15,G17は、それぞれ転送ゲートTG11,TG13,TG15,TG17を介して、垂直転送路VCCD1,VCCD3,VCCD5,VCCD7とに接続されている。同様に、R画素R12,R14,R16,R18は、それぞれTG12,TG14,TG16,TG18を介して垂直転送路VCCD2,VCCD4,VCCD6,VCCD8に接続されている。
【0045】
図14の8×8マトリクスの下から2行目は受光部PDをそれぞれ構成するG画素G22,G24,G26,G28が、下から1行目のG画素G11,G13,G15,G17と左右方向に1画素ずれて受光部PDをそれぞれ構成するG画素G22,G24,G26,G28と受光部PDをそれぞれ構成するB画素B21,B23,B25,B27が1画素置きに交互に配列されている。下から2行目の受光部PDをそれぞれ構成するG画素G22,G24,G26,G28とは、それぞれ対応する転送ゲートTGを介して垂直転送路VCCD2,VCCD4,VCCD6,VCCD8に接続され、受光部PDをそれぞれ構成するB画素B21,B23,B25,B27は、それぞれ対応する転送ゲートTGを介して垂直転送路VCCD1,VCCD3,VCCD5,VCCD7に接続されている。
【0046】
図14に示した8×8マトリクスの下から3行目は、下から1行目と同じ配列であり、下から4行目は、下から2行目を左右方向に1画素ずらした配列であり、下から5行目は、下から1行目を左右方向に1画素ずらした配列であり、下から6行目は、下から4行目と同じ配列であり、下から7行目は、下から5行目と同じ配列であり、下から8行目は下から2行目と同じ配列であり、それぞれ対応する転送ゲートTGjを介して垂直転送路VCCDjに接続されている。
【0047】
そして、第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子の垂直転送路VCCD1,VCCD2,VCCD3,……,VCCD8は、更に水平転送路HCCDに接続されている。水平転送路HCCDには更に、電荷検出増幅部AMPが接続されている。電荷検出増幅部AMPから出力OSが画素信号として得られる。なお、各画素を独立して読み出すことが可能なように、1つの受光部PDに対して1ビット分の垂直転送路VCCDjが形成される。受光部PDからの信号は転送ゲートTGを介して全画素同時に垂直転送路VCCDjに転送された後、順次読み出し動作が行われる。
【0048】
<カラー固体撮像素子の動作>
以下では、上下2画素間で加算しない場合と加算する場合についての第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子の動作を、図15に示したタイミング図により説明する。ここで、第1の実施形態に係るCMOSイメージセンサの場合と同様、上下2画素を1単位として下から(2p−1)行目をA、下から2p行目をBにより表示する。
【0049】
−上下2画素間で加算しない場合−
(イ) 図15(a)のタイミング図に示すように、第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子の上下2画素間で加算しない場合は、1水平走査期間:1Hの最初に、垂直転送信号ΦVを駆動して、垂直転送路VCCDjから水平転送路HCCDへ1行単位で電荷が転送される。ここでΦVは、例えば4相駆動の場合にはΦV1、ΦV2、ΦV3、ΦV4の組を表す。
【0050】
(ロ)次に、水平駆動信号ΦHを駆動して、水平転送路HCCDから電荷検出増幅部AMPへ各列からの信号電荷が高速で転送される。ここで、ΦHは、例えば2相駆動の場合にはΦH1、ΦH2の組を表す。こうして、出力OSには下から(2p−1)行目の信号A(2p−1)が得られる。
【0051】
(ハ)次の水平走査期間では、同様にして、垂直転送信号ΦVを駆動して、垂直転送路VCCDから水平転送路HCCDへ1行単位で電荷が転送される。
【0052】
(ニ)次に、水平駆動信号ΦHを駆動して、水平転送路HCCDから電荷検出増幅部AMPへ各列からの信号電荷が高速で転送され、出力OSには下から2p行目の信号B(2p)が得られる。
【0053】
−上下2画素間で加算する場合−
図15(b)のタイミング図に示す第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子の上下2画素間で加算する場合は、図15(a)に示した加算しない場合のタイミング図と比べ、1水平走査期間の最初に、垂直転送信号ΦVを2回動作させることのみ異なる。これにより、垂直転送路VCCDjから水平転送路HCCDへ上下2画素分の電荷が加算して転送される。
【0054】
次に、水平駆動信号ΦHを駆動して、水平転送路HCCDから電荷検出増幅部AMPへ各列からの加算された信号電荷が高速で転送される。こうして、出力OSには下から(2p−1)行目の信号A(2p−1)及び下から2p行目の信号B(2p)の加算された信号A(2p)+B(2p)が得られる。
【0055】
受光部PDからの信号は、それぞれの転送ゲートTGを介して全画素同時に垂直転送路VCCDjに転送され、垂直転送路VCCDjから水平転送路HCCDへは1行単位で順次転送され、1行期間の間に水平転送路HCCDから電荷検出増幅部へ電荷が転送され、そこで1画素単位で検出・増幅されて1行分の画像信号が出力され、以下これらの動作が1行周期で繰り返されて、すべての画素エリアの信号が読み出される。
【0056】
第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子において、上下2画素間で加算する場合には、水平転送路HCCD内で2行分の電荷を受けてから出力すれば良い。以上は上下方向の加算の場合を示したが、第2の実施形態に係るカラー固体撮像素子において、左右方向に加算する場合には、1行単位で読み出し、共通電荷検出領域で水平方向2画素分の電荷を受けてから検出・増幅すれば容易に実現される。
【0057】
(第3の実施形態)
図示を省略しているが、本発明の第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)は、図1に示したのと同様に、複数の画素が2次元に配列された画素アレイ1と、この画素アレイ1が設けられた半導体チップと同一の半導体チップ上において画素アレイ1の周辺に配列され、画素のそれぞれから信号を読み出す読み出し回路2と、この読み出し回路2によってそれぞれの画素から読み出された信号OSを処理する信号処理回路3とを備える。
【0058】
図21は、本発明の第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列の一部を例示的に示すもので、分光特性がそれぞれ異なる第1の色画素、第2の色画素、第3の色画素のいずれかの画素をマトリクス状に2次元配列している点で、第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子と基本的に同様である。例えば、第1の色画素として緑(G)色の画素、第2の色画素として青(B)色の画素、第3の色画素として赤(R)色の画素の三原色の画素を割り当てることが可能である。各画素は白黒素子の上に各色のカラーフィルタが形成されていても、あるいは画素自身の分光特性が各色特性を備えていても良い。但し、画素アレイ1の画素配列に関し、4行単位の単位配列の内、上側4行は同じであり、下側4行が第1の方向(左右方向)に1画素ずれており、上側4行と下側4行とが同じ配列になっていることのみ、図2に示した第1の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列とは、異なる。
【0059】
即ち、図21に示した8×8マトリクスの1行目は行方向(左右方向)にG画素(第1の色画素)G11,G13,G15,G17とR画素(第3の色画素)R12,R14,R16,R18が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図21の8×8マトリクスの2行目はG画素G22,G24,G26,G28が1行目のG画素G11,G13,G15,G17と行方向に1画素ずれてG画素G22,G24,G26,G28とB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図21に示した8×8マトリクスの3行目は1行目と同じ配列であり、4行目は2行目を行方向に1画素ずらした配列である。
【0060】
そして、図21に示した8×8マトリクスの5行目は1行目と同様に、G画素G51,G53,G55,G57とR画素R52,R54,R56,R58が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列している。6行目は2行目と同様に、G画素G62,G64,G66,G68が1行目のG画素G55,G53,G55,G57に対し行方向に1画素ずれ、G画素G66,G64,G66,G68とB画素B61,B63,B65,B67が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。7行目は1行目、5行目と同じ配列であり、8行目は2行目及び6行目を行方向に1画素ずらした配列である。
図21に示した第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列において、それぞれの画素から各画素信号を独立して読み出す場合の補間方法を図22,23,24に、各画素信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の読み出し方法を図26に示す。
【0061】
<画素信号の補間>
即ち、具体的には図22に示すように、画素アレイ1を構成する2次元配列中のG画素(第1の色画素)G11,G13,G15,G17,G22,G24,G26,G28,…, G81,G83,G85,G87が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)及び第2の方向(列方向)の中で、隣接するG画素の平均化の処理を行うことにより、周りに隣接する同じG画素(第1の色画素)の平均値によりG画素(第1の色画素)を補間できる。
【0062】
図23に示すように、2次元配列中のR画素(第3の色画素)R12,R14,R16,R18,R32,R34,R36,R38,…,R72,R74,R76,R78が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)、第2の方向(列方向)、及び第1の方向(行方向)と第2の方向(列方向)の対角方向の中で、隣接するR画素の処理を行うことにより、周りに隣接する同じR画素(第3の色画素)の平均値によりR画素(第3の色画素)を補間できる。
【0063】
同様に、図24に示すように、2次元配列中のB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27,B42,B44,B46,B48,…B82,B84,B86,B88が存在しない画素位置では、第1の方向(行方向)、第2の方向(列方向)、及び第1の方向(行方向)と第2の方向(列方向)の対角方向の中で、隣接するB画素の平均化の処理を行うことにより、周りに隣接する同じB画素(第2の色画素)の平均値によりB画素(第2の色画素)補間できる。
【0064】
ここで、各色画素が存在しない画素位置での平均化係数をG画素では図25(図25(c)の上下反転も含む)、RないしB画素では図7(図7(d)の上下反転も含む)のそれぞれ対応する組み合わせにおける値にするのが望ましい。図22〜25に示す処理により、輝度信号に最も寄与するG画素では、同じ行及び同じ列の隣接G画素で補間されるから、上下方向、左右方向共に高い輝度解像度が得られる。又、R,B画素では両者同様の処理となると共に、それぞれ同じ行か、同じ列、ないし対角に隣接する同じ色画素で補間されるから、バランスの取れた高い色解像度が得られる。
【0065】
<加算読み出し>
図26は、図21に示す画素配列から、各画素信号を上下方向に隣接する2画素間で加算して読み出す場合の、各加算信号配列を示すものである。即ち、図26に示すように、図21における4行単位の単位配列の1行目及び2行目から第2の方向に隣接する2画素間で加算した、第1の色画素(G画素)からの信号と第2の色画素(B画素)からの信号との和を第1の加算信号Cy11,Cy13,…,Cy37として算出し、第3の色画素(R画素)からの信号と第1の色画素(G画素)からの信号との和を第2の加算信号Ye12,Ye14,…Ye38として算出できる。又、図2における4行単位の単位配列の3行目及び4行目から第2の方向に隣接する2画素間で加算した、2個の第1の色画素(G画素)からの信号の和を第3の加算信号2G21,2G23,…2G47として算出し、第2の色画素(B画素)からの信号と第3の色画素(R画素)からの信号との和を第4の加算信号Ma22,Ma24,…,Ma48として算出することができる。
【0066】
図26から明らかなように、本発明の第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子では、上下2画素間で加算しても4つの独立した色信号Cy11,Ye12,2G21,Ma22;Cy13,Ye14,2G23,Ma24;…;Ye37,Cy38,Ma47,2G48を得ることが可能となる。そして、図26に示した4つの独立した色信号Cy11,Ye13,2G21,Ma22;Cy13,Ye14,2G23,Ma24;…;Cy37,Ye38,2G47,Ma48からフルカラー画像信号を得る方法は、図9,10,11に示したのと原理的に同様であり、図8に示した4つの独立した色信号の場合の説明から容易に理解可能であるので、説明を省略する。
【0067】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0068】
例えば、図14に示したインターライン転送型CCDイメージセンサでは4行単位の単位配列の内、上側4行が下側4行に対し第1の方向(左右方向)に1画素ずれた配置となっているが、図21に示した第3の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列と同様に、上側4行と下側4行とが同じ配列になっていても構わない。
【0069】
又、図2〜図5、図14、図16〜図19,或いは図20〜図24等では、カラー固体撮像素子の画素アレイ1の画素配列が矩形の場合について例示的に説明したが、画素アレイ1の画素配列は必ずしも図示されたような矩形のトポロジーでなくて良い。例えば、行方向と列方向が90度で交わらず菱形になったような画素アレイ1の画素配列でも良い。具体例として、第1の実施の形態に係るカラー固体撮像素子の説明において例示した図2の配列において、列方向が左下45度方向となるX−Yマトリクスの場合を図27に例示する。図27に示したその他の実施の形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイの画素配列では、図2の配列に比し、行方向ピッチに比べ列方向ピッチを短くしており、それぞれの画素サイズが縦横1:2の横長の場合である点が、図2に例示した第1の実施の形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイの画素とは異なる。
【0070】
図27に示した8×8マトリクスの1行目は、図2と同様に、行方向(左右方向)にG画素(第1の色画素)G11,G13,G15,G17とR画素(第3の色画素)R12,R14,R16,R18が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図27の45度座標系の8×8マトリクスの2行目の第1列は図2に例示した直交座標系に比し、斜線で示したように左下45度方向に移動しているが、G画素G22,G24,G26,G28が1行目のG画素G11,G13,G15,G17と行方向に1画素ずれてG画素G22,G24,G26,G28とB画素(第2の色画素)B21,B23,B25,B27が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。
【0071】
図27に示した45度座標系の8×8マトリクスの3行目の第1列の括弧書きで示した位置のG画素G31は図2に例示した直交座標系に比し、斜線で示したように左下45度方向に移動しているので、図27に示した8×8マトリクスの配列の範囲外の位置となっている。よって、図27に示した8×8マトリクスの3行目の先頭にはR画素(第3の色画素)R32が位置して、図2に例示した直交座標系の第2列に対応している。即ち、図27に示した45度座標系の3行目は、行方向にG画素(第1の色画素)G33,G35,G37,…とR画素(第3の色画素)R32,R34,R36,R38が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。又、図2に例示した直交座標系に比し、斜線で示したように左下45度方向に移動した配列となっている関係で、8×8マトリクスの範囲内では、見かけ上、45度座標系の8×8マトリクスの1行目を行方向に1画素ずらした配列と同じ配列になっているが、直交座標系から45度座標系への写像として投影しているので、直交座標系から見れば、図27の3行目は斜線で示したとおり、1行目と同じ配列である。
【0072】
図27に示した45度座標系の8×8マトリクスの4行目の先頭にはB画素B42が位置して、図2に例示した直交座標系の第2列に対応している。即ち、図27に示した45度座標系の4行目は、G画素G43,G45,G47,がB画素B42,B44,B46,B48が1画素置きに交互に偶数個、周期的に配列されている。図2に例示した直交座標系に比し、斜線で示したように左下45度方向に移動した配列となっている関係で、8×8マトリクスの範囲内では、見かけ上、45度座標系の8×8マトリクスの2行目と同じ配列になっているが、直交座標系から45度座標系への写像として投影しているので、直交座標系から見れば、図27の斜線で示したとおり、4行目は2行目を行方向に1画素ずらした配列である。
【0073】
同様に図27の斜線で示したように、5行目は1行目を行方向に1画素ずらした配列であり、6行目は4行目と同じ配列であり、7行目は5行目と同じ配列であり、8行目は2行目と同じ配列である。図27に例示したとおり、本発明のその他の実施形態に係るカラー固体撮像素子の画素アレイにおいては、4行毎の単位配列を基本パターンとして、循環周期的に1画素ずらして繰り返す、45度座標系における2m×8nのマトリクスからなる2次元配列が形成可能であることが分かる。又、図27に例示したとおり、本発明のカラー固体撮像素子の画素アレイの画素配列は最外周に位置する画素の先頭位置が揃っていない凹凸のある形状でも構わないことが理解できる。
【0074】
図27に例示した45度座標系の配列は、あくまで色配列についての技術的思想を示すための例示であり、画素信号読み出しの順番は必ずしも列方向に規定されるものではない。図27で列方向に隣接する2画素間で加算した場合を図28に示す。加算後のピッチは縦横方向に等しくなり、輝度および色の解像度を縦横方向にバランス良く高くできる。図27、28の45度座標系の配列の場合、画素信号読み出しの順番は図27の一点鎖線で示したとおり、列方向では1画素毎に半画素ずらして水平・垂直方向に読み出す構成が容易であり現実的である。加算後は図28の破線で示すように完全に直交座標系の場合と同じになる。
【0075】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…画素アレイ
2…読み出し回路
3…信号処理回路
AMP…電荷検出増幅部
ij…R画素
ij…G画素
ij…B画素
FD2pj…共通電荷検出領域
HCCD…水平転送路
VCCDj…垂直転送路
PDA,PDB…受光部
QL…定電流トランジスタ
QA2pj…信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)
QR2pj…リセットトランジスタ
QS2pj…スイッチングトランジスタ
QT(2p-1),j,QT2p,j…転送トランジスタ
TGj…転送ゲート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光特性がそれぞれ異なる第1の色画素、第2の色画素、第3の色画素のいずれかの画素をマトリクス状に2次元配列した画素アレイを備えるカラー固体撮像装置であって、
前記2次元配列は、マトリクスの列方向に連続する4行を単位配列とし、
前記単位配列の1行目は前記第1の色画素と前記第3の色画素が交互に偶数個、周期的に配列され、
前記単位配列の2行目は前記第1の色画素が1行目の前記第1の色画素と第1の方向に1画素ずれて、前記第1の色画素と前記第2の色画素が交互に偶数個、周期的に配列され、
前記単位配列の3行目は1行目と同じ配列であり、
前記単位配列の4行目は2行目を第1の方向に1画素ずらした配列であり、
前記単位配列を基本パターンとして繰り返した2次元配列により前記画素アレイが構成されることを特徴とするカラー固体撮像装置。
【請求項2】
前記単位配列の4行に続く5行目〜8行目をなす次の単位配列は、前記1行目〜4行目の配列を、行方向に1画素ずらした4行の配列とし、はみ出した最終列が1画素ずらして空白となった最前列の位置にはめ込まれるように循環周期的に配置され、
順に8行毎に前記単位配列が循環周期的に配列された繰り返し配列で、前記2次元配列をなして前記画素アレイが構成されることを特徴とする請求項1に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項3】
前記単位配列の4行に続く5行目〜8行目をなす次の単位配列は、前記1行目〜4行目の配列と同じ4行の配列とし、
順に8行毎に前記単位配列が循環周期的に配列された繰り返し配列で、前記2次元配列をなして前記画素アレイが構成されることを特徴とする請求項1に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項4】
前記2次元配列された各画素からの信号を独立して読み出すように駆動する、読み出し回路を、前記画素アレイの周辺に更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項5】
前記2次元配列の行方向又は列方向のいずれかの方向を第1の方向と定義し、該第1の方向と交わる方向を第2の方向と定義し、
前記2次元配列中の前記第1の色画素が存在しない画素位置では、前記第1の方向及び前記第2の方向の中で、隣接する前記第1の色画素の処理を行い、
前記2次元配列中の前記第2の色画素が存在しない画素位置では、前記第1の方向、前記第2の方向、及び前記第1の方向と前記第2の方向の対角方向の中で、隣接する前記第2の色画素の平均化の処理を行い、
前記2次元配列中の前記第3の色画素が存在しない画素位置では、前記第1の方向、前記第2の方向、及び前記第1の方向と前記第2の方向の対角方向の中で、隣接する前記第3の色画素の平均化の処理を行うことにより、
フルカラー画像情報を算出する、信号処理回路を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項6】
前記2次元配列の行方向又は列方向のいずれかの方向を第1の方向と定義し、該第1の方向と交わる方向を第2の方向と定義し、
前記2次元配列された各画素からの信号を、前記第2の方向に隣接する2画素間で加算して読み出すように駆動する、読み出し回路を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項7】
前記単位配列の1行目及び2行目から前記第2の方向に隣接する2画素間で加算した、前記第2の色信号を含む第1の加算信号と前記第3の色信号を含む第2の加算信号を得、前記単位配列の3行目及び4行目から前記第2の方向に隣接する2画素間で加算した、前記第1の色信号を含む第3の加算信号と前記第2及び第3の色信号を含む第4の加算信号を得、前期第1の方向に隣接する前記第1の加算信号と第2の加算信号の間、及び前記第1の方向に隣接する前記第3の加算信号と第4の加算信号の間で、和の平均値により輝度信号を得る、信号処理回路を更に備えることを特徴とする請求項6に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1の加算信号と第4の加算信号の和から前記第2の加算信号を減算することにより第2の色信号を得、前記第2の加算信号と第4の加算信号の和から前記第1の加算信号を減算することにより第3の色信号を得る、信号処理回路を更に備えることを特徴とする請求項6に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素アレイを構成する画素中の互いに連接する2画素のそれぞれが、共通の加算増幅回路を備え、前記第2の方向に隣接する2画素間で、前記画素アレイの内部において加算され、前記画素アレイの外部に出力されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のカラー固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1の色画素は緑色画素、前記第2の色画素は青色画素、前記第3の色画素は赤色画素に割り当てられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のカラー固体撮像装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−106280(P2013−106280A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250230(P2011−250230)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(508261493)株式会社ブルックマンテクノロジ (8)
【Fターム(参考)】