説明

カラー画像形成装置

【課題】異なる径の複数種類の感光体を用いた場合でも、単純な構成で色ずれを目立ちにくくする手法を提供する。
【解決手段】色別の画像を周面上に形成するための、径の大きさの異なる複数のドラム状感光体3と、各感光体が所定の周速度で回転するように径に応じた駆動速度で各感光体を駆動する複数の駆動部45と、形成された色別の各画像に含まれる周期的なピッチ変動を補正するための速度補正信号を出力する補正信号出力部と、出力された速度補正信号で各感光体の駆動速度を補正するように駆動部を制御する駆動制御部53とを備え、前記速度補正信号が、各感光体の回転周期と同じ周期を有する信号であることを特徴とするカラー画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のドラム状感光体を有するカラー画像形成装置(いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置)が知られている。カラー画像形成装置においては、色ごとの位置ずれ(色ずれ)を目立たない程度に抑制することが重要である。色ずれが大きいと、画像の品位が劣ると評価されてしまうからである。色ずれの最も大きな要因は、各感光体の偏心に起因する出力画像の周期的な粗密である。理想的な対処方法としては、各感光体の偏心量を十分小さくすればよいが、コストや量産性との兼ね合いを考慮しなければならない。
【0003】
そこで、同じ偏心量であっても、色ずれが目立たないような工夫がなされてきた。たとえば、各感光体ドラムの周長と、転写ベルトの周長を整数比に設定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、各感光体の偏心によるピッチ変動の位相が、出力画像上で揃っていないと色ずれが顕著に現れる。この点に着目し、各感光体の偏心の位相を出力画像上で一致させ、色ずれを目立ちにくくするような工夫がされていた。この場合、各感光体の偏心の位相を検出するために、感光体の回転軸に平行な直線を回転方向に等間隔に配置したトナーパターン(トナー画像)を形成し、予定位置からのずれを検出していた。
あるいは、感光体の1回転の速度変動を打消すパルスパターンを記憶させ、これにより
ステッピングモータを駆動させて偏心によるピッチ変動を抑制するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、周期的な回転変動に関する振動成分の情報により、その変動を打ち消すように回転体の回転速度を個別に微調整するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−261499号公報
【特許文献2】特開昭63−75759号公報
【特許文献3】特開平10−78734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、カラーの画像形成装置は、イエロー、シアン、マゼンタの3原色にブラックを加えた4色のトナーを用いて画像形成を行う。タンデム方式の画像形成装置は、各色に対応した4つ感光体を有する。ただし、モノクロの画像形成をおこなう場合、ブラックの感光体のみが使用される。
このような画像形成装置において、全体に占めるモノクロ画像形成の比率が多いと、ブラックの感光体のみが早く劣化してしまう。すると、モノクロとその他(イエロー、シアン、マゼンタ)の各感光体のメインテナンス時期にアンバランスが生じてしまう。そこで、設計時にモノクロ画像形成とカラー画像形成の標準的な比率を予め想定し、想定比率に応じて感光体の寿命を設定する。
さらに、モノクロの画像形成時は、他の感光体を作動させないようにするものがある。このようにすれば、画像形成に寄与しない感光体ならびに現像剤の劣化を防止することができる。そればかりでなく、モノクロの画像形成時、感光体表面の移動速度(プロセス速度)をカラー画像形成時よりも速くしてその印刷速度を速くすることができる。
ブラックの感光体の寿命を長くしたり、プロセス速度を速くしたりする観点から、感光体の径を大きくすることが好ましい。しかし、ブラックの感光体の径だけを他の感光体の径よりも大きくすると、カラー画像形成にまつわる種々の課題が発生する。
その代表的なものは、色ずれに関するものである。ブラックの感光体の回転周期が他の感光体と異なるために、偏心の位相を揃えて色ずれを目立ちにくくする手法がとれない。一方、感光体の1回転の速度変動を打消すような補正パターンを感光体の数だけ発生させ
ると、構成が複雑になってコスト的に不利になりがちである。
【0006】
異なる径の複数種類の感光体を用いた場合でも、単純な構成で色ずれを目立ちにくくする手法が望まれている。
この発明は、前述のような事情を考慮してなされたものであって、異なる径の複数種類の感光体を用いた場合でも、単純な構成で各感光体の回転周期に対応する画像ピッチの変動を抑制し、色ずれを目立ちにくくする手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、色別の画像を周面上に形成するための、径の大きさの異なる複数のドラム状感光体と、各感光体が所定の週速度で回転するように径に応じた駆動速度で各感光体を駆動する複数の駆動部と、形成された色別の各画像に含まれる周期的なピッチ変動を補正するための速度補正信号を出力する補正信号出力部と、出力された速度補正信号で各感光体の駆動速度を補正するように駆動部を制御する駆動制御部とを備え、前記速度補正信号が、各感光体の回転周期と同じ周期を有する信号であることを特徴とするカラー画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の画像形成装置は、形成された色別の各画像に含まれる周期的なピッチ変動を補正するための速度補正信号を出力する補正信号出力部と、出力された速度補正信号で各感光体の駆動速度を補正するように駆動部を制御する駆動制御部とを備え、前記速度補正信号が、各感光体の回転周期と同じ周期を有する信号であるので、各感光体の回転周期と同じ周期のピッチ変動を補正し、ピッチ変動の抑制された画像を得ることができる。ピッチ変動は、色別の各画像にそれぞれ含まれ、色ずれとなって認知される。従って、この発明の画像形成装置によって、色ずれの少ない画像が得られる。
【0009】
ここで、画像ピッチは、画像を構成するドット(画素)の間隔をいう。この明細書では、特に、各感光体ドラムの周が移動する方向に沿う画素の間隔をいう。各画素は所定の間隔(基準ピッチ)で並ぶべきものであるが、画像形成装置上で作成される画像は、部分的に画像ピッチが異なる。即ち、周期的な変動成分(ピッチ変動成分)を含む。画像ピッチの変動は、主として、感光体ドラムあるいはその駆動ギアの偏心に起因して生じるものと考えられる。即ち、偏心によって感光体ドラムの周速度が変動し、これが画像ピッチの変動となって表れる。
前記補正信号出力部、駆動制御部、補正信号生成部の全部または一部が、例えば、マイクロコンピュータが制御プログラムを実行することによって実現されてもよい。従って、速度補正信号の実体が物理的な電気信号でなく、マイクロコンピュータの処理対象としてのデータであってもよい。
ここで、感光体として、最も一般的なブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色用のものを例に挙げたが、その種類と数とはこれに限定されるものではない。
【0010】
また、前記速度補正信号が、互いに径の等しい感光体に共通の信号であってもよい。このようにすれば、共通の速度補正信号を用いることによって、構成を単純化することができる。
【0011】
さらに、各感光体上に複数パターンからなる調整用画像を形成する調整用画像形成部と、形成された調整用画像の各パターンの位置を測定する測定部と、各パターンの測定結果からその感光体の回転周期に対応するピッチ変動成分の振幅ならびに位相を抽出する変動成分抽出部とをさらに備え、前記補正信号出力部は、抽出された振幅ならびに位相に基づいて前記速度補正信号を径の種類ごとに生成する補正信号生成部を含んでいてもよい。
【0012】
各感光体は、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と、第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなるものであってもよい。
さらに、前記カラー画像形成用感光体が、イエロー画像形成用感光体とマゼンタ画像形成用感光体とシアン画像形成用感光体とからなるものであってもよい。
ブラック画像形成用感光体の径の大きさが、カラー画像形成用感光体の径の大きさよりも大きくてもよい。
【0013】
また、前記速度補正信号は、互いに径の等しい感光体に共通の信号であり、前記補正信号生成部は、共通の速度補正信号が適用される各感光体のピッチ変動の振幅のうち最大の振幅と最小の振幅の平均を算出し、算出された振幅で速度補正信号を生成するものであってもよい。このようにすれば、複数の感光体に適用される速度補正信号について、各感光体のピッチ変動成分を抑制するのに適した振幅を決定することができる。
【0014】
さらにまた、少なくとも一部の補正信号出力部は、生成された速度補正信号を各感光体の駆動制御部へ出力しあるいは出力しないように切り替えるスイッチ部と、各感光体のピッチ変動成分の振幅の大きさに応じて前記感光体に対応するスイッチ部を切り替えるスイッチ制御部とをさらに含んでなるものであってもよい。このようにすれば、ピッチ変動性分が所定の振幅よりも小さい感光体について、速度補正信号を出力しないようにスイッチ部を切り替えることができる。従って、過補正を防ぐことができる。
【0015】
また、前記画像形成装置は、各感光体によって形成された画像を転写するための転写部材と、感光体の回転位相を調整する回転位相調整部とをさらに備え、各感光体が、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなり、各感光体が所定の間隔で転写部材に沿ってそれぞれ配置され、前記回転位相調整部は、各カラー画像形成用感光体で形成されて転写部材に転写される画像に含まれるピッチ変動成分の位相の相対的なズレ量を抽出し、抽出された位相のズレ量に基づいて各カラー画像形成用感光体の周期的な速度変動の位相が一致するようにその回転位相を調整するものであってもよい。
【0016】
このようにすれば、互いの周期的な速度変動の位相が一致した各カラー画像形成用感光体を共通の速度補正信号で補正するので、いずれの感光体に対してもその偏心を打ち消すような逆位相の速度補正信号が印加される。従って、各色のピッチ変動が効果的に抑制される。
【0017】
周期的な速度変動の位相とは、後述する基準位相を基準とした感光体の回転位相である。回転位相を調整するとは、径の大きさが等しい各感光体の相対的な回転位相を調整することをいう。
【0018】
なお、転写部材は、その表面に各感光体で形成されたトナー像が転写されるベルト状の中間転写部材であってもよいが、これに限定されない。画像が転写される用紙を担持搬送するものであってもよい。
【0019】
あるいは、各感光体によって形成された色別の画像を転写するための転写部材と、各感光体の回転位相を調整する回転位相調整部とをさらに備え、各感光体が、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなり、各感光体が所定の間隔で転写部材に沿ってそれぞれ配置され、少なくとも一部の補正信号出力部は、補正信号出力部からの速度補正信号を感光体ごとにそれぞれ遅延させる遅延部をさらに含んでなり、前記回転位相調整部は、各カラー画像形成用感光体で形成されて転写部材に転写される画像に含まれるピッチ変動成分の位相が揃うように、抽出された位相に基づいて各カラー画像形成用感光体の回転位相を調整し、前記遅延部が、前記間隔に応じて予め定められた角度に応じて、ピッチ変動成分を打ち消す位相にするよう各速度補正信号を遅延させてもよい。
【0020】
このようにすれば、画像に含まれるピッチ変動成分の位相が揃うように各カラー画像形成用感光体の回転位相が調整されるので、前記感光体の偏心による色ずれが目立ちにくい。また、ピッチ変動成分を打ち消す位相に各速度補正信号が遅延されるので、各色のピッチ変動成分が効果的に抑制される。
【0021】
また、各感光体の回転位相の信号を出力する位相センサをさらに備え、少なくとも一部の補正信号出力部は、前記遅延部の遅延量を調整する遅延量調整部をさらに含んでなり、遅延量調整部は、画像形成中に位相センサからの信号と生成された速度補正信号の位相を比較し、比較結果に基づいて各感光体の回転位相に対する速度補正信号の位相の経時変化を抑制するように前記遅延量を調整するものであってもよい。このようにすれば、多数のページを含む画像形成中に各感光体の回転位相に対する速度補正信号の位相に経時変化が生じるのを抑制することができる。
【0022】
ここで、互いに径の等しい感光体に共通の速度補正信号を適用する場合であっても、予め基準として定められた感光体(基準感光体)に補正信号生成部で生成する速度補正信号の位相を合わせ、前記遅延部は、基準感光体に対する他の感光体の位相を調整するように構成すればよい。基準感光体は、感光体の配置上、最も位相が進むべきものを選択すればよい。
【0023】
さらにまた、少なくとも一部の補正信号出力部は、生成された速度補正信号の振幅を感光体ごとに調節するための振幅調整部をさらに含んでなるものであってもよい。このようにすれば、互いに径の等しい感光体に共通の速度補正信号を適用する場合でも、各感光体のピッチ変動成分の振幅に応じた振幅の速度補正信号を出力することができる。
【0024】
また、各感光体について、その回転位相の制御に用いる基準位置を検知して基準信号を出力する位相センサと、基準信号の出力に応じて調整用画像にマークを付加するマーク付加部をさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、調整用画像を印字して、目視によって速度補正信号の振幅と位相の調整を行う場合に、位相の基準としてマークを用いることができる。
【0025】
さらに、前記補正信号生成部は、最も大きな振幅が抽出された感光体を基準感光体とし、基準感光体の周期的な速度変動の位相と逆位相の速度補正信号を生成するようにしてもよい。このようにすれば、最も大きなピッチ変動成分を確実に抑制することができる。従って、色ずれを効果的に抑制することができる。
【0026】
前記回転位相調整部は、基準感光体の回転位相に、他のカラー画像形成用感光体の回転位相が揃うように各回転位相を決定してもよい。
前記間隔は、隣り合うカラー画像形成用感光体が、転写部材とそれぞれ接する位置の間隔であり、前記間隔が、カラー画像形成用感光体の周長の整数倍と異なる距離であってもよい。
前記調整用画像のパターンが、感光体の回転方向と直交してのびる複数本の直線を含み、
前記測定部が、各直線の位置の基準位置からの偏差を測定することによりピッチ変動成分の振幅ならびに位相を抽出するようにしてもよい。
【0027】
なお、感光体駆動モータには、ステッピングモータを用いることができるが、これに限定されるものではなく、たとえばサーボ制御される直流モータを用いてもよい。
また、各感光体は、ドラム形状のものであるとしているが、ベルト状の感光体にも適用可能である。この場合、ベルト状感光体を駆動する駆動ローラの偏心が画像ピッチの主な変動成分として現れる。従って、この発明を感光体の駆動ローラに適用すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。以下の説明により、この発明をよりよく理解することが可能であろう。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。
【0029】
(画像形成装置の概要)
この実施の形態では、この発明に係るカラー画像形成装置の一形態について、その機構的な構成の概要を説明する。
図2は、この発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。画像形成装置50は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシートに対して多色および単色の画像を形成するものである。そして、図示するように、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12と、用紙搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15等より構成された電子写真方式の画像形成装置である。
【0030】
なお、本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(KあるいはBK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、4d)は各色に応じてそれぞれ4個ずつ設けられている。それぞれ、符号末尾の英文字は、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応する。各色に対応した4種類の潜像が各感光体ドラム3の周面に形成される。すなわち、各色に対応した4つの画像ステーションが構成されている。
【0031】
以下、4つの画像ステーションを代表して、一つの画像ステーションについてその構成を説明する。他の画像ステーションも同様の構成を有している。したがって、符号末尾の英文字は省略する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。帯電手段としては、図2に示すような接触型のローラ型のほかに、ブラシ型の帯電器やチャージャー型の帯電器が用いられてもよい。
【0032】
露光ユニット1は、帯電した感光体の表面を選択的に露光する露光手段である。露光手段としては、図2に示すレーザスキャニングユニット(LSU)のほかに、ELやLEDなどの発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いてもよい。LSU1は、レーザ照射部およびポリゴンミラーを有する。そして、LSU1は、レーザ照射部からのレーザビームLを回転するポリゴンミラーに反射させて偏向し、感光体の表面を走査させる。レーザビームLは、原稿を読み取って生成され、あるいは外部のコンピュータで生成された画像データに応じて変調されたものである。
【0033】
画像データで変調されたレーザビームLで帯電した感光体ドラム3が走査、露光されることにより、感光体ドラム3の表面には、画像データに応じた電位の像(静電潜像)が形成される。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、それぞれK、C、M、Yのいずれかの色のトナーにより現像(顕像化)するものである。クリーナユニット4は、現像され、後述するように転写された後、感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0034】
感光体ドラム3の上方には、中間転写ベルトユニット8が配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ8−1、中間転写ベルトテンション機構8−3、中間転写ベルト従動ローラ8−2、中間転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0035】
中間転写ベルト駆動ローラ8−1、中間転写ベルトテンション機構8−3、中間転写ローラ6、中間転写ベルト従動ローラ8−2等は、中間転写ベルト7を張架し、矢印B方向に回転駆動させるものである。
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構8−3の中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には、感光体ドラム3上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアス電圧が印加される。
【0036】
中間転写ベルト7は、各色用の感光体ドラム3にそれぞれ接触するように設けられている。感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像は、中間転写ローラ6に印加された転写バイアス電圧によって、中間転写ベルト7に順次転写される。これによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)が多層状に転写される。中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムが無端状に形成されたものである。
【0037】
前述のように、中間転写ローラ6は、中間転写ベルト7の裏側に接触しており、感光体ドラム3から中間転写ベルト7へトナー像を転写させる転写手段である。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために数百ボルト程度の電圧の転写バイアス電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の電圧)が印加される。
【0038】
中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面に、導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)が被覆されたローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルトに対して略均一な電圧を印加することができる。本実施例では、転写手段として手転写ローラを使用しているが、それ以外にブラシ状の転写電極(転写ブラシ)を中間転写ベルト7の裏側に接触させて転写手段とすることもできる。
中間転写ベルト7に転写されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転に伴って、転写ローラ11eが配置された転写部11に移動する。
【0039】
中間転写ベルト7と転写ローラ11eは、所定のニップ幅を持つように圧接されている。また、転写ローラ11eには、トナー像を後述するシートに転写させるためのバイアス電圧が印加されている(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。転写ローラ11eと前記中間転写ベルト駆動ローラ8−1は、その何れか一方が硬質材料(金属等)からなり、他方が芯金の表面に軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が被覆された弾性ローラである。これによって、所定幅のニップが定常的に得られる。
【0040】
感光体ドラム3の表面への接触により、シートに画像を転写する領域以外にも、中間転写ベルト7にトナーが付着する。また、転写ローラ11eによってシートへの転写が行われずに中間転写ベルト7上に残存するトナーが存在する。これらのトナーは、次工程でトナーの混色が発生する原因となり得る。このため、中間転写ベルトクリーニングユニット9が設けられており、中間転写ベルト7上のトナーが除去・回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、クリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードの端部が、中間転写ベルト7に接触してトナーを除去する。中間転写ベルトクリーニングユニット9が接触する部分において、中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ8−2で支持されている。
【0041】
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイである。給紙トレイ10は、画像形成装置50の露光ユニット1の下方に設けられている。また、本画像形成装置50の上部には、排紙トレイ15が設けられている。排紙トレイ15には、印刷済みのシートがフェイスダウンで排出されて堆積する。
【0042】
また、本画像形成装置50には、給紙トレイ10のシートを転写部11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16,レジストローラ14、転写部11、定着部12、シートを搬送する搬送ローラ25(25−1〜25−8)等が配されている。
【0043】
搬送ローラ25−1〜25−4は、シートの搬送を促進・補助するための、小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する。
【0044】
また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されてくるシートを、一旦所定位置に停止させるものである。そして、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端を同期させるタイミングでシートを転写部11へ搬送する機能を有している。
【0045】
定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32,等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器からの信号に基づき、制御基板40の制御部によって所定の定着温度となるようにその内部に配置された図示しないヒーターが制御される。ヒートローラ31は、加圧ローラ32との間を通過搬送されるシートを熱圧着する。これによって、シートに転写された多色トナー像が溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着する。
なお、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ25−5、25−6によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
【0046】
次に、シート搬送経路を詳細に説明する。本画像形成装置には予めシートを収納する給紙カセット10が配置されている。
給紙トレイ10の端部には、各々のピックアップローラ16が配置され、シートを1枚ずつ搬送路に導くようになっている。
【0047】
給紙カセット10から搬送されるシートは搬送路中の搬送ローラ25−1〜25−4によってレジストローラ14まで搬送されて停止する。レジストローラ14は、停止したシートの先端と中間転写ベルト7上のトナー像の先端を整合させるタイミングで停止したシートを転写部11へ送りだす。送り出されたシートは、転写部11で中間転写ベルト7上のトナー像が転写される。その後、シートは定着部12を通過する。このとき、シート上の未定着トナーは熱で溶融し、定着部12を通過後は、自然に冷却されてシート上に固着する。その後、シートは搬送ローラ25−5を経て排紙ローラ25−6から排紙トレイ15上に排出される。
【0048】
排紙トレイ15の下方には、制御基板40が配置されている。制御基板40は、画像形成装置50の各部の動作を制御するためのマイクロコンピュータ、マイクロコンピュータが実行する制御プログラムを格納するROM、マイクロコンピュータの処理のためのワークエリアおよび画像データの記憶領域を提供するRAMを有する。前記マイクロコンピュータは、制御プログラムを実行することによって制御部として機能する。前述した画像形成、トナー像の転写、シートの搬送や定着部の温度制御などは、制御部の機能によって実現される。
【0049】
また、制御基板40は、入力回路と出力回路を有している。入力回路には、画像形成装置50内の各部に配置されたセンサからの信号が入力され、マイクロコンピュータが入力された信号を用いて処理を行えるように構成されている。出力回路は、各部に配置された負荷を駆動するための信号を出力する回路である。
【0050】
前述のように、色ずれの最も大きな原因となるのは、感光体ドラム3と被駆動ギア47との偏心であると考えられている。色別に各感光体で形成された画像には、各感光体の偏心によるピッチ変動成分が含まれる。このピッチ変動に不一致があると、画像の色ずれとして認識される。
【0051】
図5は、感光体ドラム3と、それを駆動する感光体駆動モータ45の駆動機構を示す説明図である。図5(a)は、感光体ドラム3の回転軸に直交する方向から感光体ドラム3と感光体駆動モータ45とを見た側面図である。感光体ドラム3の一端側には、感光体ドラム3のフランジと一体に被駆動ギア47が設けられている。
【0052】
各感光体ドラム5は、それに対応する感光体駆動モータ45によって駆動される。駆動モータ45は、制御部によってその回転が制御される。感光体駆動モータ45の出力軸には駆動ギア46が嵌められている。駆動ギア46は、前述の被駆動ギア47と係合している。
【0053】
図5(a)に示すように、各感光体ドラム3に対応して、回転位相を制御するために基準信号を発生する位相センサ43が配置されている。感光体ドラム3の側には、突起部44が設けられている。位相センサ43は、感光体ドラム3が一回転して突起部44がその検知部を通過するごとに基準信号を出力する。位相センサとしては、例えば、フォトインタラプタを用いることができる。各基準信号は制御基板40の入力回路に入力される。制御部は、入力された基準信号用いて各感光体の位相を調整し、各感光体駆動モータ45の駆動を制御する。
【0054】
図5(b)は、感光体ドラム3と被駆動ギア47の偏心の様子を概念的に示す説明図である。図5(b)は、感光体ドラム3の回転軸(軸心)P1に対して被駆動ギア47の取り付けの軸心P2が偏心し、それらの軸心間に偏心P3が存在することを示している。感光体ドラム3の周面には、その回転に伴う移動速度(周速度)が速くなる領域S1と、遅くなる領域S2が存在する。即ち、駆動ギア46と被駆動ギア47とが係合する点と前記回転軸と距離が長いときは、周速度が遅くなる。逆に、駆動ギア46と被駆動ギア47とが係合する点と前記回転軸と距離が短いときは、周速度が速くなる。このように、周速度は、被駆動ギア47の偏心方向、即ち感光体ドラム3の回転位相に伴って変動する。
【0055】
図10は、この実施の形態において、感光体の偏心によって露光位置と転写位置において画像ピッチが基準ピッチに対して変動することを説明するための説明図である。
図10(a)に示すように、感光体ドラム3の略最下点において、その周面にレーザビームによる走査露光が行われ、静電潜像が形成される。形成された静電潜像はトナーで現像される。走査露光から約半周後、周面が略最上点にある転写位置に達したところで、現像されたトナー像が中間転写ベルト7に転写される。
【0056】
図10(b)に示すように、露光位置での周速度が、基準の速度よりも速い場合、露光によって形成される静電潜像のピッチは基準よりも拡がる。図10(c)のように、露光された周面が転写位置に達するとき、感光体ドラム3の回転位相は約180度進んでいるので、周速度は基準の速度よりも遅い。従って、中間転写ベルト7に転写されたトナー像は、さらに転写前のトナー像よりもそのピッチが拡がる。
【0057】
逆に、図10(d)のように、露光位置での周速度が基準の速度よりも遅いと、図10(e)のように、転写位置での周速度が速くなり、転写されたトナー像の画像ピッチは狭まる。
【0058】
図5(b)では、理解し易いように偏心量を極端に大きく示している。各感光体ドラム3の実際の偏心量は、感光体ドラム3が回動する様子を目視した程度では判らないような微小な量である。そこで、色ずれ調整用のトナーパターンを作成してそのピッチ変動成分を測定してその振幅と位相を抽出することにより、色ずれを抑制するための制御を行う。
【0059】
また、各感光体の偏心方向は、予めわかっているものではなく、調整用トナーパターンの測定によって判明する。しかし、各感光体の回転位相を制御するためには、予め突起部44を設けておく必要がある。制御部は、各位相センサ43からの基準信号と、保持された各基準位相とを用いて各感光体ドラム3の回転位相を制御する。
【0060】
(色ずれ調整の説明1−ズレ量の測定)
図3は、図2の画像形成装置から、色ずれの調整の説明に関連する部分を抜き出した説明図である。前述のように、中間転写ベルト7は、転写ベルト駆動ローラ8−1に駆動されて矢印B方向に移動する。この実施の形態では、転写ベルト駆動ローラ8−1は、その直径が31.8mmである。中間転写ベルト7の移動方向に沿って、Y感光体ドラム3d、M感光体ドラム3c、C感光体ドラム3b、K感光体ドラム3aが配置されている。Y、M、Cの各感光体ドラムは、それぞれ中間転写ベルト7に接する転写位置を有する。
【0061】
Y、M、Cの各感光体ドラムは、その直径が30mmであり、K感光体ドラム3aは、その直径が80mmである。径の相違は、感光体寿命やプロセス速度(画像形成時の感光体表面ならびに中間転写ベルト7の移動速度)などの設計条件による。色ずれが問題となるカラー画像形成時のプロセス速度は、173mm/秒である。Y感光体ドラム3dとM感光体ドラム3cの各転写位置間の距離、Y感光体ドラム3dとC感光体ドラム3bの各転写位置間の距離は、いずれも100mmである。C感光体ドラム3bとK感光体ドラム3aの各転写位置間の距離は、200mmである。
【0062】
K感光体ドラム3aの転写位置から280mm下流には、色ずれを測定するためのレジストセンサ41が配置されている。レジストセンサ41は、カラーのCCDセンサである。ただし、これに限らず、中間転写ベルト7表面からの反射光を検出する光学センサを適用することができる。中間転写ベルト7上に転写された色ずれ調整用のトナーパターンを読み取る。読み取った信号は、制御基板の入力回路に入力され、制御部によって処理される。
【0063】
(色ずれ調整の説明2−速度補正によるズレ量の抑制)
図1は、この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するためのブロック構成を示す説明図である。前記画像形成装置は、ズレ量の測定結果に基づいて各感光体の駆動速度を補正してその偏心の影響を抑制する。図1に示すように、各感光体駆動モータ45は、それぞれに対して設けられた駆動制御回路53によって制御される。各駆動制御回路53は、それぞれ感光体の径に応じた駆動速度で各感光体駆動モータ45を駆動する。さらに、各感光体の回転周期に対応する周速度の変動を抑制するために、変調信号発生回路51からの変調信号が入力されている。各駆動制御回路53は、請求項にいう駆動制御部に相当する。各変調信号発生回路51は、請求項にいう補正信号生成部に相当する。また、図1の構成では、請求項にいう補正信号出力部は、前記補正信号生成部からなる。各変調信号は、請求項にいう速度補正信号に相当する。
【0064】
また、図35は、この実施形態において、各駆動制御回路53が、一定速度の駆動信号を変調信号に基づいて変調された駆動信号を生成し、変調された駆動信号で各感光体駆動モータ45を駆動する様子を示している。各感光体駆動モータ45は、ステッピングモータである。駆動信号は、ステッピングモータの相切替えに対応する駆動パルスの波形である。
【0065】
制御部40aは、図2の制御基板40に実装されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより、機能が主として実現されるブロックである。制御部40aは、画像形成装置の各部の動作を制御する。例えば、制御部40aは、各感光体の駆動制御回路53に対し、感光体の起動、停止を指示する駆動ON/OFF制御信号を出力する。さらに、各変調信号発生回路51が出力する変調信号の位相と振幅とを制御する。制御部40aには、レジストセンサ41からの信号、各感光体の位相センサ43からの信号が入力される。制御部40aは、これらの信号から得られる情報に基づいて各感光体のピッチ変動成分や各感光体の回転位相を取得し、変調信号の位相と振幅とを制御する。
【0066】
(色ずれ調整の説明3−主変動成分の位相と振幅の取得)
図4は、この実施の形態において、色ずれ調整用のトナーパターンの一例を示す説明図である。図4(a)は、一色についてのトナーパターンと、そのパターンを用いた測定の概念を説明する説明図である。図4(b)は、トナーパターンを構成する各直線の基準位置からのズレ量を、レジストセンサ41の読み取り時刻を横軸として示したグラフである。図4(c)は、CとYの2色のパターンを示している。各色トナーパターン上で互いのピッチ変動成分の周期が等しく、それらの位相が一致していると、色ずれが目立たない。即ち、感光体の径が同じであれば、各感光体の回転位相を調整することによって色ずれを目立ちにくくできる。ただし、感光体の径が互いに異なる色は、回転位相を調整して色ずれを目立たなくする手法は適用できない。
【0067】
図4(a)で、実際に中間転写ベルト7上に作成されるのは、「調整用トナーパターン」として図示された複数本(図4(a)では17本)の平行な直線である。各直線は、中間転写ベルト7の移動方向に対して直交する方向にのびている。17本の直線の先頭から末尾までの距離は、感光体ドラム3の周長、即ち、感光体ドラム3が一周する距離に対応しているのが好ましい。
【0068】
図4(a)のパターンがレジストセンサ41の読み取りポイントを通過するとき、制御部は、各直線を読み取ったタイミングをサンプリングする。そして、サンプリングされた各直線の読み取りタイミングの基準クロックとのズレ量をそれぞれ求める。基準クロックは、図4(a)に示す基準位置に対応するクロックであり、等間隔のクロックである。(基準クロックの生成タイミングについては後述する。)前述のように、読み取り時刻を横軸に、ズレ量を縦軸とするグラフが図4(b)である。
【0069】
制御部は、各直線について求められたズレ量から、そのトナーパターンが形成された感光体ドラム3の周長に対応する周期変動の位相と振幅を求める。
図4(b)は、各直線のズレ量を縦軸にとったグラフである。図4(b)で、正の最大ズレ量がdmax+、負の最大ズレ量がdmax-である。制御部は、ズレ量の変化から、感光体ドラム3の周長に対応する周期的変動の振幅と位相をもとめる。振幅と位相の求め方の例は、次のとおりである。振幅を求めるには、まず、各ズレ量の最大値dmax+、と最小値dmax-とを求める。求められた正の最大ズレ量dmax+と負の最大ズレ量dmax-との幅がズレ量の差が、振幅値αとなる。位相は、正の最大ズレ量dmax+の位置と負の最大ズレ量dmax-の位置の中間位置を基準位相として求める。ここで、基準位相は、ズレ量が負から正に変化する間で、ゼロになる点としている。図4(b)では、テストパターンの先頭から9本目の直線が基準位相として求められている。
なお、この実施の形態において、「ズレ量」とは、トナーパターンの各直線の測定結果に対応する数値のことをいう。即ち、各ズレ量は、基準位置からのズレを示す値である。「ピッチ変動成分」とは、ズレ量の時系列的集合に対応する。各ズレ量は一つの数値にすぎないが、その時系列的集合であるピッチ変動成分は、周期的な変化を有する。従って、ピッチ変動成分は、位相と振幅を有する。
【0070】
ピッチ変動とズレ量の定量的な関係について説明する。図10に示すように、露光位置での周速度が基準の速度よりも速いと、ピッチ変動成分として図4(b)上では正の方向にズレ量が生じる。その後、周速度は基準速度に低下する。しかし、それまでに生じた正方向のズレ量については、周速度が基準速度よりさらに低くならないかぎり減少することがない。従って、周速度が基準速度まで低下したときは、依然として正のズレ量が継続している。その後、感光体速度が基準速度より低くなると、負方向のズレ量が生じる。やがて、正方向のズレ量が相殺される。
【0071】
この関係を図34の波形図に示している。感光体の周速度変動成分の位相は、露光時に画像として記録される。これがズレ量として検出されるまでには、露光位置→転写位置→レジストセンサ41までの移動時間だけの時間差がある。即ち(感光体周長の1/2+転写位置からレジストセンサまでの距離)÷プロセス速度に相当する時間である。BK感光体を例とすると(80×π/2+280)÷173=2.34(sec)となる。なお、図2に示すように、この時間差は、各感光体で異なる。上記時間差分、ピッチ変動成分のグラフを遡って移動させて周速度変動成分のグラフと重ねたのが図34である。図34の横軸は時間tである。各時刻での周速度変動成分と、それによるズレ量の変動(ピッチ変動成分)とを縦軸にとっている。
図34(a)では画像書込み開始時から感光体速度が上昇し、その後低下する場合を示している。図34(b)では画像書込み開始時から感光体速度が低下し、その後上昇する場合を示す。
【0072】
制御部は、前述した測定を各色について行うことにより、各色のトナーパターンが形成されたときの各感光体ドラム3のピッチ変動成分の振幅と位相を求める。
図36は、上記振幅値αと、その周期変動を補正するための変調信号により変調された駆動信号より駆動された場合の感光体の周速度における振幅成分と、基準速度V0との割合である速度振幅比Avとの関係を示す波形図である。図36は、図34(a)に対応している。振幅値αと振幅比Avの関係は、以下のとおりである。
周期変動を含む感光体ドラムの周速度(mm/sec)が、時間に対し、
【0073】
【数1】

で表されるとする。このとき、周速度変動の半周期について、
【0074】
【数2】

の関係が成り立つ。αを1/2とする理由を以下に示す。図10で示したように感光体の周速度変動によりレーザ書き込み時にピッチ変動が生じ、転写ベルトへの調整用トナーパターン転写時にピッチ変動がもう一度生じる。即ち実際のピッチ変動の2倍の値が振幅値αとしてレジストセンサで検出されるので、その修正を行なうためである。図37は、図36(b)の斜線で示した部分の波形と上記式との関係を模式的に示す説明図である。即ち、
【0075】
【数3】

これより、Avを求めると、
【0076】
【数4】

となる。例えば、感光体ドラムの直径Dpが30(mm)、プロセス速度V0が173(mm/sec)とすると、感光体ドラムの角速度ωは、
【0077】
【数5】

である。求まったズレ量の振幅値αが、α=2 (dot)=84(μm)とすると、
Av = 0.0014 = 0.14 (%)
となる。
【0078】
図6は、図3に対応する説明図であり、各色に対応する感光体上にそれぞれ色ずれ調整用トナーパターンを形成し、レジストセンサ41で各調整用トナーパターンのピッチを測定する様子を示す説明図である。各調整用トナーパターンは、図4に示すように17本の直線からなる。
【0079】
(色ずれ調整の説明4−感光体ドラムの回転位相の調整)
前述のように、径の等しい感光体については、偏心量の絶対値は変わらなくても、画像上で各色のピッチ変動成分の位相を揃えることによって色ずれを目立たないようにすることができる。図4(c)は、この概念を示している。Cのトナーパターン(Cパターン)とYのトナーパターン(Yパターン)とは基準位置に対するズレ量は同等である。しかし、両者の位相が揃っていると、YとCの相対的なズレ量は小さくなる。人間の目は、画素ピッチの絶対的量の変動よりも、各色間のズレに対して敏感であることが経験的に知られている。したがって、感光体ドラム3の径が同じ色については、各感光体の回転位相を調整することによって色ずれが目立ちにくくなる。
【0080】
ここで留意すべきことは、出力画像として重なりあう各色の点がそれぞれの感光体上に形成される位置は、各感光体の基準位相に対する角度が異なるということである。各感光体の露光位置→転写位置→レジストセンサまでの移動時間が異なるからである。各転写位置の間隔が感光体の周長の整数倍に等しい場合に限って、各色の基準位相に対する角度の揃った位置に各色の点が形成される。従って、調整用画像を測定して、その画像に含まれるピッチ変動成分の位相を揃えた状態では、各感光体の回転位相は必ずしも一致していない。しかし、この実施形態においては、YMC各感光体に対して共通の変調信号が用いられる。そこで、各感光体の回転位相が揃うように補正を行う。
【0081】
回転位相の調整についての説明に先立って、まず、基準回転角度について説明する。図8は、感光体ドラム3上に調整用のトナーパターンを形成しているときの様子を示す説明図である。感光体ドラム3上に静電潜像が形成されるのは、レーザビームLが感光体を走査露光する位置である。いま、図8で、その瞬間に露光されている感光体ドラム3上の位置が、その後の測定によって得られる基準位相であるとする。このとき、突起部44と位相センサ43とのなす角度を「基準回転角度」とする。感光体ドラム3の回転角度は、突起部44が位相センサ43を通過してからの角度である。基準回転角度は、その直前に位相センサ43が基準信号を出力してから、基準位相となるトナーパターンが露光されるまでの回転角度に相当する。
【0082】
図9は、図8に関連して基準回転角度と基準位相との関係を説明するための説明図である。図9で、横方向は時間の経過を表している。レーザ発光信号は、調整用トナーパターンを感光体に書き込むためのレーザビームLを出射するよう、レーザ照射部を駆動する信号である。前述の基準クロックは、各レーザ発光信号に対応して、各レーザ発光信号の発生時刻から(露光位置→転写位置→レジストセンサまでの移動時間)後に生成される。図9(a)に示すように、時刻t1で、突起部44が位相センサ43を通過して基準信号が出力される。その後、時刻t2で、基準位相となる位置が露光され、その位置に調整用トナーパターンの静電潜像が形成される。t1からt2までの時間をΔtとする。基準位相に対応する部分のパターンは、感光体ドラム3の回転と共に現像されてトナー像が形成され、その後転写位置に至る。トナー像は、転写位置で中間転写ベルト7に転写される。転写されたトナー像は、時刻t3においてレジストセンサ41に読み取られる。制御部は、前述したように読み取られたトナーパターンのズレ量から基準位相を求める。結果的に、時刻t3でレジストセンサに読み取られたパターンが基準位相に対応する位置である。Δtは以下のように求める。
Δt=(t1からt3までの時間)−(露光位置→転写位置→レジストセンサまでの移動時間)
【0083】
前述のように、ピッチ変動成分の位相と周速度変動成分の位相には感光体回転角90゜に相当する位相差がある。従って、同期信号を作成する際は図9(b)に示すように基準信号にΔtの補正を加え、さらに感光体回転角90゜回転する時間に相当する補正時間dt(90゜)(sec)を引き算する。もしくは、感光体回転角270゜回転する時間に相当する補正時間dt(270゜)(sec)を加える(図9(b)を参照)。ここで、dt(x)は以下のように算出する。
dt(x)=R×π÷V0×x÷360(゜)
R:感光体直径
V0:感光体周速度
【0084】
以上のようにして、制御部は、測定されたトナーパターンの基準位相に基づいて、各感光体ドラムの基準回転角度を決定する。
さらに、制御部は、測定されたトナーパターンの基準位相のズレ量から、互いの基準位相が揃うように、Y,M、Cの感光体ドラムの回転位相を調整する。
【0085】
そして、原稿を読み取って生成され、あるいは外部のコンピュータで生成された画像データに基づく印字画像の画像形成時に、例えば、各感光体ドラムの基準回転角度で印字画像の先端部を露光するように露光を開始すればよい。あるいは、基準位相から所定角度だけ遅れて画像の先端部を露光するようにしてもよい。この遅れの量は、Y、M、Cともに等しい量とする。このようにすれば、形成されるY、M、Cの各画像の位相が揃うので、色ずれが目立たない。
【0086】
制御部は、各感光体ドラムの回転位相の調整を、例えば、トナーパターンの形成を終えて各感光体ドラムを停止させる際に実行する。停止時、各感光体ドラム3を停止させた状態での回転角度が所定の関係になるように、各感光体駆動モータ45の回転を制御する。即ち、YMCの同期信号が図11に示す所定の位相関係になるように、停止時の感光体の回転角度を制御する。
【0087】
図11は、この実施の形態において、画像上でピッチ変動成分の位相が揃うように各感光体の回転位相が調整された状態での周速度変動成分を示す説明図である。図11中の黒丸「●」は、記録媒体上で同一位置に転写されるべきYMC各画像の位置を示している。このとき、YMC各色の感光体ドラム3の基準位相は、互いにずれている。Y感光体ドラム3dとM感光体ドラム3cの転写位置の間の距離は、100mmである。これに対して、感光体ドラム3の周長は92.25mmである。従って、両者の間には、距離にして5.75mm、感光体回転角度にして21.96°のズレがある。M感光体ドラム3cとC感光体ドラム3bの関係も同様であり、距離にして5.75mm、感光体回転角度にして21.96°のズレがある。
【0088】
従って、調整後の状態で、Y感光体ドラム3dの回転位相に対して、M感光体ドラム3cの回転位相は21.96°だけ遅れている。同様に、M感光体ドラム3cの回転位相に対して、C感光体ドラム3bの回転位相は21.96°だけ遅れている。即ち、Y感光体ドラム3dの回転位相に対して、C感光体ドラム3bの回転位相は43.92°だけ遅れている。
各転写位置の間の距離を感光体の周長と一致させれば各感光体の回転位相を一致させられるが、そうすると各感光体の周囲におけるレイアウトスペースや画像形成装置の大きさが制約される。
そこで、Y、M,Cのうちいずれかを基準として、カラーの変調信号の位相を制御する。図11に示す態様では、Yを基準としている。この場合、Yの位相センサ43dから出力される基準信号からΔt後に出力されるY同期信号に基づき、変調信号(カラー用)の
位相を制御する。図11の場合、Y同期信号に変調信号(カラー用)の基準位相が同期するように変調信号(カラー用)の位相を制御する。即ち、Y同期信号が出力されるタイミングで0から負の方向に増大する変調信号(カラー用)が出力されるように制御する。
【0089】
図12は、この実施の形態において、各感光体の回転位相が調整された状態における、各突起部44の位置の例を示す説明図である。各突起部の方向とその感光体の偏心方向とは相関がないので、各感光体の突起部44の方向はランダムである。この図は、後述する図15との対応を示すためのものである。
【0090】
YMC各感光体ドラム3の回転位相が調整された状態で各駆動制御回路51b、51c、51dに変調信号発生回路51bからの変調信号を入力すると、周速度変動成分と変調信号の位相にズレが生じてしまう。
【0091】
例えば、C感光体ドラム3bの周速度変動成分の振幅が最も大きく、変調信号発生回路51bが、その逆位相の変調信号を発生する場合を考える。この場合、YおよびM駆動制御回路51d、51cにも変調信号発生回路51bからの変調信号が入力される。C感光体ドラム3bについては、位相の補正がされて周速度変動成分がうまく抑制されるが、YおよびM感光体ドラム3d、3cについては周速度変動成分に対して変調信号の位相がずれてしまう。
【0092】
そこで、制御部は、画像上でのピッチ変動成分の位相が一致するようにYMC各感光体ドラム3の回転位相が調整された状態から、さらに各感光体の回転位相を補正する。これによって、YMC各感光体の回転位相を調整し、共通の変調信号に対する周速度変動成分の位相を一致させる。具体的には、M感光体ドラム3cの回転位相を21.96°だけその回転方向に進ませる。また、C感光体ドラム3bの回転位相を43.92°だけその回転方向に進ませる。即ち、Yの同期信号を基準として、MとCの同期信号をYの同期信号に一致させるように、停止時の感光体の回転位相を制御する。
この調整量は、前述したように、各感光体の転写位置間の距離と周長の差から予め求められた値である。
【0093】
この回転位相の調整は、調整用トナーパターンを測定することによって求められる。換言すれば、各感光体の回転位相は前もってわからない。しかし、画像上でのピッチ変動成分の位相が一致した状態から各感光体ドラムの周期的な速度変動の位相を一致させるための調整量(所定のズレ量)は、予めわかっている。制御部は、トナーパターンの測定によって画像上でのピッチ変動成分の位相を揃えた後、さらに各感光体ドラム3の回転位相を調整する。このように、各感光体ドラム3の回転位相の調整量は2段階で導出される。
ただし、各感光体ドラムの回転位相を物理的にずらす処理は、最終的な調整量が導出された段階で一度に実行してもよい。あるいは、トナーパターンを測定して各感光体の回転位相の相対的なズレ量を抽出し、得られたズレ量を、前述の所定のズレ量に移行させるべく、各感光体の回転位相を調整してもよい。
【0094】
図13は、この実施の形態において、各感光体ドラム3の回転位相が一致した状態での周速度変動成分の様子を示す説明図である。この状態で、変調信号発生回路51bは、YMCの各感光体ドラム3d、3c、3bに対して逆位相の変調信号を発生する。YMCの各駆動制御回路53d、53c、53bは、前記変調信号で駆動速度を補正する。これによって、周速度変動成分が補正される。
図13中の黒丸「●」は、記録媒体上で同一位置に転写されるべきYMC各画像の位置を示している。黒丸「●」の位置を、印字画像の先端部とすると、図11では、YMCの印字画像の先端部の位置は同期信号と一致している。一方、図13に示すように、回転位相を調整した後の状態では、Yの印字画像の先端部の位置はY同期信号と一致しているが、Mの印字画像の先端部の位置はM同期信号に対し21.96゜、Cの印字画像の先端部の位置はC同期信号に対し43.92゜、それぞれ遅延している。制御部は、1つ手前の同期信号に対する各印字画像先端部の露光タイミングを図13に示すように制御する。
【0095】
ここで、各変調信号の振幅は調整可能である。カラー用変調信号の振幅は、各カラー感光体ドラムのピッチ変動成分の振幅を検出し、Y,M,C各感光体ドラムのピッチ変動成分から抽出された振幅のうち、最大の振幅と最小の振幅を選択する。そして、最大の振幅と最小の振幅の中間値に基づいて、変調信号(カラー用)の振幅を決定する。
図14は、この実施の形態において、各駆動制御回路53が変調信号を用いて周速度変動成分を打ち消す様子を示す説明図である。回転速度の変動量が最も大きなC色の感光体の速度変動振幅をAc、回転速度の変動量が最も小さなM色の感光体の速度変動振幅をAmとする。このとき、制御部は、AcとAmの中間値(Ac+Am)/2を変調信号の振幅とする。その理由は、次のとおりである。仮に、最大の振幅を持つ感光体ドラムのピッチ変動成分を完全に打ち消すように変調信号(カラー用)の振幅を決定すると、最小の振幅を持つ感光体ドラムに対しては、補正量があまりにも大きくなりすぎる。Y,M,C各感光体のピッチ変動成分のうち、最大の振幅と最小の振幅の平均をとれば、Y,M,C各色に対して適当な補正量が得られる。
【0096】
しかし、いずれかの色のピッチ変動成分が補正を要しない程度に微小な場合は、その色を除外して変調信号を適用してもよい。この場合、後述する図22に示すように、画像形成装置が切替部57を有し、制御部40aが、切替部57の状態を切り替えて補正対象外の駆動制御回路に変調信号が入力されないようにすればよい。例えば、Yのピッチ変動成分が、補正を要しない程度に微小な場合、切替部Y57dのスイッチをオフにする。切替部C57b、切替部M57cはオンにする。M,Cの各色に対して適用する変調信号の振幅は、変調信号を適用する各色の最大の振幅と最小の振幅の平均値、この例ではMとCのピッチ変動成分の平均の振幅にすればよい。切替部57は、請求項にいうスイッチ部に相当する。図22の構成で、請求項にいう補正信号出力部は、変調信号発生回路51と切替部57とからなる。
【0097】
図28〜図31は、ピッチ変動成分が微小なものを補正対象から除外する手法の効果を示す説明図である。図28は、補正前、即ち変調信号を適用しない場合のY,M,C各色感光体ドラムのピッチ変動成分の一例を示している。縦軸はピッチ変動成分の振幅を画素(dot)の単位で示している。なお、1画素(1dot)は42μmである。横軸は時間である。ピッチ変動性分の周期は、感光体ドラムの回転周期に対応する。図28に示す例では、Yのピッチ変動の振幅は、2画素である。また、Mの振幅は6画素、Cの振幅は4画素である。
【0098】
図29(a)は、図28のピッチ変動成分に対するYMC共通の変調信号と、全ての色に変調信号を用いて補正した後のピッチ変動成分を示している。図29(a)の適用補正量Aは、YMCのうち最小の振幅と最大の振幅の平均から算出されたものである。最小の振幅はYの2画素、最大の振幅はMの6画素である。従って、算出された平均値は、4画素である。補正量AをYMC各色に適用した結果を「補正後」の波形に示している。Yは、過補正になり、振幅は2画素である。Mの振幅は2画素になる。Cは、0画素になる。YMC間の相対的な色ずれの最大幅は、互いに逆位相のYとMの2画素である。
【0099】
図29(b)は、微小なピッチ変動成分を補正対象から除外する場合の変調信号と補正後のピッチ変動成分を示している。除外対象を決定するピッチ変動成分の閾値は、実際に出力される画像に基づいて設計者が適宜設定すればよい。この例では、前記閾値を画素ピッチに換算して2画素分としている。従って、ピッチ成分が2画素に等しいYが補正対象から除外される。適用補正量BはMとCとの平均値として算出され、その結果は5画素である。算出された変調信号をMとCとに適用し、Yには適用せずに得られる結果を「補正後」の波形として示している。Yの振幅は、補正前と同じ2画素である。Mの振幅は1画素になる。Cは過補正になり、その振幅は1画素である。YMC間の相対的な色ずれの最大幅は、互いに逆位相のYとCの1.5画素である。図29(a)と比較すると、ピッチ変動成分が0.5画素だけ少ない。微小なピッチ変動成分を補正対象から除外するほうが、好ましい結果が得られる。
【0100】
図30は、Y,M,C各色感光体ドラムのピッチ変動成分の図28と異なる例を示している。図30に示す例では、Yの振幅は0画素(0.5画素未満)、Mの振幅は6画素、Cの振幅は4画素である。図31(a)は、図30のピッチ変動成分に対するYMC共通の変調信号と、全ての色に変調信号を用いて補正した後のピッチ変動成分を示している。図31(a)の適用補正量Cは、YMCのうち最小の振幅と最大の振幅の平均から算出されたものである。最小の振幅はYの0画素、最大の振幅はMの6画素である。従って、算出された平均値は、3画素である。補正量AをYMC各色に適用した結果を「補正後」の波形に示している。Yは、過補正になり、振幅は3画素である。Mの振幅は3画素になる。Cの振幅は1画素になる。YMC間の相対的な色ずれの最大幅は、互いに逆位相のYとMの2画素である。
【0101】
図31(b)は、ピッチ変動成分が2画素以下の色を補正対象から除外する場合の変調信号と補正後のピッチ変動成分を示している。この例では、Yが補正対象から除外される。適用補正量DはMとCとの平均値として算出され、その結果は5画素である。算出された変調信号をMとCとに適用し、Yには適用せずに得られる結果を「補正後」の波形として示している。Yの振幅は、補正前と同じ0画素である。Mの振幅は1画素になる。Cは過補正になり、その振幅は1画素である。YMC間の相対的な色ずれの最大幅は、互いに逆位相のMとCの1画素である。図29(a)と比較すると、ピッチ変動成分が2画素少ない。微小なピッチ変動成分を補正対象から除外するほうが、好ましい結果が得られる。
【0102】
図15は、図12に対応するものであり、各感光体の回転位相を一致させた状態での、各突起部44の位置の例を示す説明図である。
図26、図27は、制御部40aが各色の感光体ドラムのピッチ変動成分を測定し、測定結果に基づいて変調信号の振幅と位相を設定する処理の手順を示すフローチャートである。フローチャートに沿って処理の手順を説明する。
【0103】
まず、制御部40aは、図26に示すように、Y感光体3dのピッチ変動成分の位相と振幅とを測定する(ステップS11)。測定の詳細な手順は、図27のフローチャートに示している。ここでは、図26の説明を続ける。次に、制御部40aは、M感光体3cのピッチ変動成分の位相と振幅を測定する(ステップS13)。さらにC感光体3bについてピッチ変動成分の位相と振幅を測定する(ステップS15)。
その後、制御部40aは、YMC各色のピッチ変動成分のうち、振幅が最大のものと最小のものを求める(ステップS17)。この処理は、図14に対応している。即ち、制御部40aは、最大の速度変動振幅Acと最小の速度変動振幅Amと中間値(Ac+Am)/2を変調信号の振幅とする。そして、その平均値をカラー信号用変調信号の振幅として設定する。また、予め定められた基準色Yの周期的な速度変動の位相と逆の位相をカラー信号用変調信号の位相として設定する(ステップS19)。
【0104】
また、制御部40aは、Kのピッチ変動成分の位相と振幅を求める(ステップS21)。そして、求めたKのピッチ変動成分を打ち消すようにK用変調信号の位相と振幅を設定する(ステップS21)。ここで、ステップS19,S21に示すKの処理は、ステップS11〜S19に示すYMC各色の処理後である必要はない。Kについての処理をYMC各色についての処理の前に行ってもよい。
【0105】
図27は、指定された色のピッチ変動成分の位相と振幅とを求める処理手順を示すフローチャートである。このルーチンは、前記ステップS11、S13、S15およびS39で参照される。図27に示すように、制御部40aは、図4に示す17本のラインパターンが指定された色の感光体ドラム上に形成されるように、画像形成装置の各部の動作を制御する(ステップS51)。そして、形成された調整用パターンの位置をレジストセンサ41で順次検出する(ステップS53)。さらに、制御部40aは、検出した各パターンの位置を基準位置と比較してズレ量を算出する(ステップS55)。全てのラインパターンについてズレ量の算出を行う(ステップS57)。その後、制御部40aは、算出されたズレ量の位相と振幅を算出する(ステップS59)。
【0106】
図32は、図26と異なる処理の手順を示すフローチャートである。図26では、基準色が予めYに定められていたが、図32のフローチャートでは、ピッチ変動成分の測定結果に応じてY,M,Cいずれかの色を基準色として選択する。図32で、図26に対応する処理には、同じ符号を付している。即ち、ステップS11〜S17、S21、S23の処理は、図26の同符号の処理に対応する。図26と異なるのは、ステップS31とS33である。図26と異なる処理の各ステップについて説明する。ステップS31で、制御部40aは、ピッチ変動成分の振幅が最大の色を基準色として決定する。そして、決定された基準色の周期的な速度変動の位相と逆の位相をカラー信号用変調信号の位相として設定する(ステップS33)。
【0107】
図33は、図26とさらに異なる処理の手順を示すフローチャートである。図33のフローチャートでは、ピッチ変動成分が所定の振幅以下の色は、補正の対象から除外するように処理する。図33で、図26に対応する処理には、同じ符号を付している。図26と異なるのは、ステップS41〜S57である。図26と異なる処理の各ステップについて説明する。
【0108】
ステップS制御部40aは、Yのピッチ変動成分の測定結果の振幅が閾値以下か否かを判定する(ステップS41)。判定の結果、振幅が閾値を超えている場合はY切替部をオンし(ステップS43)、閾値以下の場合はY切替部をオフする(ステップS45)。続いて、制御部40aは、Mのピッチ変動成分の振幅が閾値以下か否かを判定する(ステップS47)。振幅が閾値を超えている場合はM切替部をオンし(ステップS49)、閾値以下の場合はM切替部をオフする(ステップS51)。さらに、制御部40aは、Cのピッチ変動成分の振幅が閾値以下か否かを判定する(ステップS53)。振幅が閾値を超えている場合はC切替部をオンし(ステップS55)、閾値以下の場合はC切替部をオフする(ステップS57)。
なお、以上の手順において、YMCの処理順序はフローチャートのとおりである必要はなく、入れ替わってもよい。また、各色について、位相と振幅を測定した直後に閾値判定を行ってもよい。
【0109】
(感光体ドラムの回転位相調整)
各感光体ドラムの回転位相を調整する手法について、詳細に説明する。
前述のように、回転位相の調整は、制御部40aが感光体ドラム3を停止させる際、停止後の各感光体ドラム3の偏心方向が所定方向になるように制御することによって実現される。制御部40aは、調整用トナーパターンの測定によって各感光体ドラム3の偏心に起因するピッチ変動成分を求め、求めたピッチ変動成分の基準位相の位置がレーザビームLにより露光されるタイミングで同期信号を出力する。図13に示すように、YMCの各感光体の回転位相が調整された状態では、YMCの各同期信号の出力タイミングが一致する。以下、この状態を、感光体ドラムの回転位相が整列した状態という。
【0110】
図25は、制御部40aが、Y感光体ドラム3dに対して、M感光体ドラム3cおよびC感光体ドラム3bの回転位相を揃えて停止させるようにそれらの停止位置を調整する様子を示す説明図である。図25では、基準とするY同期信号に対し、M同期信号の出力が早く、C同期信号の出力が遅れている。制御部40aは、停止前にY同期信号に対するMおよびC同期信号の遅れ進みをモニタする。即ち、M同期信号の進み量MΔdrと、C同期信号の遅れ量CΔdrを得る。
【0111】
その後、基準となるY感光体ドラム3dを所定位置で停止させる。図25では、Y同期信号をトリガにY感光体ドラム3dを停止させている。停止の基準となったY同期信号より進んでいるM感光体ドラム3cは、その後に出力されるであろうM同期信号よりもMΔdrだけ早く停止させる。即ち同期信号を検出してから感光体1回転に要する時間(感光体周長÷周速度)後に次の同期信号が出力されるので、同期信号を検出してから{(感光体1回転に要する時間)−MΔdr}後に感光体を停止させればよい。これによって、Y感光体ドラム3dに対する位相の進みを補正する。一方、C感光体ドラム3bは、停止の基準となったY同期信号よりCΔdrだけ遅れて出力されるC同期信号から、さらにCΔdrだけ遅らせて停止させる。これによって、Y感光体ドラム3dに対する位相の遅れを補正する。
【0112】
Y同期信号に対してM同期信号の出力が遅れている場合は、停止の基準となるY同期信号より遅れて出力されるM同期信号から、さらに遅れ量MΔdrだけ遅らせて停止させればよい。図24は、M同期信号が、基準となる信号tref(図25のY同期信号に対応する)に対して進んでいる場合と、遅れている場合とで、制御部40aが回転位相を調整する様子を示す説明図である。C同期信号についても、図24のM同期信号と同様の調整をすればよい。
【0113】
回転位相の調整は、各感光体ドラム3を停止させる度に実行することが好ましい。多数ページを連続印字する過程で、各感光体の回転位相が意図せずして少しずつずれていくことがある。これは、感光体ドラムのわずかな径の誤差や、駆動制御系の外乱要因に起因するものと考えられる。感光体ドラム3を停止させるときに回転位相を調整することにより、色ずれの抑制効果を維持することができる。
【0114】
(色ずれ調整の異なる補正手法)
図16は、この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するための異なるブロック構成を示す説明図である。図16に示す画像形成装置は、変調信号発生回路51bからの変調信号が、M駆動制御回路53cに入力されるまでの間にM遅延回路55cが設けられている。また、変調信号発生回路51bからの変調信号が、C駆動制御回路53bに入力されるまでの間にC遅延回路55bが設けられている。遅延回路55は、請求項にいう遅延量調整部に相当する。各遅延回路は、例えば、FIFOメモリ素子を用いて実現できる。図16の構成で、請求項にいう補正信号出力部は、変調信号発生回路51と遅延回路55とからなる。
【0115】
各遅延回路55は、変調信号を所定の時間だけ遅延させる。これによって、YMC各駆動制御回路53d、53c、53bには、それぞれ位相の異なる変調信号が入力される。
図17は、図13に対応し、図16の態様における各感光体ドラム3の周速度変動成分の様子を示す説明図である。
【0116】
図16の画像形成装置において、制御部は、各画像に含まれるピッチ変動成分の位相が揃うようにYMC各感光体3の回転位相を調整する。しかし、図1の画像形成装置と異なり、各感光体の回転位相を整列させるための更なる回転位相調整は行わない。その代わりに、各遅延回路55が各感光体ドラム3の周速度変動成分に対して逆位相の変調信号を出力する。まず、変調信号発生回路51bは、基準となるY感光体ドラム3dの周速度変動成分に対して逆位相の変調信号を発生する。発生した変調信号は、Y駆動制御回路53dに直接入力されると共に、M遅延回路55cとC遅延回路55bに入力される。
【0117】
M遅延回路55cは、入力された変調信号を、M感光体ドラム3cの回転角度21.96°に相当する時間だけ遅延させてM駆動制御回路53cに入力する。これによって、M駆動制御回路53cには、M感光体ドラム3cの周速度変動成分に対して逆位相の変調信号が入力される。
【0118】
C遅延回路55bは、入力された変調信号を、C感光体ドラム3bの回転角度43.92°に相当する時間だけ遅延させてC駆動制御回路53bに入力する。これによって、C駆動制御回路53bには、C感光体ドラム3bの周速度変動成分に対して逆位相の変調信号が入力される。
【0119】
また、図22は、ピッチ変動成分を補正するためのさらに異なるブロック構成を示す説明図である。図22に示す画像形成装置は、カラー用の変調信号発生回路51bから出力された変調信号が駆動制御回路53b、53c、53dに入力される各経路中に、切替部57b、57c、57bがそれぞれ配置されてなる。切替部57b、57c、57bは、変調信号発生回路51bで発生した変調信号を各駆動制御回路53b、53c、53dへ入力しあるいは入力しないように切り替えるスイッチとして機能する。
【0120】
制御部40aは、各スイッチのオンおよびオフを切り替える。切替部57b、57c、57bは、請求項にいうスイッチ部であり、制御部40aは、請求項にいうスイッチ制御部としての機能を含んでいる。制御部40は、Y,M、C各感光体のピッチ変動成分が、予め定められた振幅よりも小さい場合、スイッチをオフにする。このようにすれば、ピッチ変動成分が十分小さいにもかかわらず、変調信号発生回路51bからの変調信号でドラムの駆動が過補正されるといった事態を回避することができる。
【0121】
図23は、ピッチ変動成分を補正するためのさらに異なるブロック構成を示す説明図である。図23の画像形成装置は、図16の構成に、前述の切替部57を適用し、さらに、各遅延回路55から出力された変調信号の振幅を調整する振幅調整回路59を加えた画像形成装置である。
【0122】
図23の振幅調整回路59bおよび59cは、制御部40aからの指示によって変調信号の振幅を調整する。振幅調整回路59は、例えば、乗算器を用いて実現できる。制御部40aは、変調信号発生回路51bで生成する変調信号をYのピッチ変動を抑制するように設定し、Mについては振幅調整回路59c、Cについては振幅調整回路59bで各色のピッチ変動を抑制するようにそれぞれ変調信号の振幅を調整する。これによって、各色のピッチ変動成分に応じた振幅と位相が各駆動制御回路53に入力される。振幅調整回路59は、請求項にいう振幅調整部に相当する。図23の構成で、請求項にいう補正信号出力部は、変調信号発生回路51、振幅調整回路59、遅延回路55および切替部57からなる。
【0123】
同様の機能は、Y,M、Cそれぞれに独立した変調信号発生回路を持つようにしても実現できる。しかし、図23におけるM,Cの遅延回路55、振幅調整回路59は、Y用に設定された変調信号の位相と振幅とを微調整するだけでよい。いずれの構成を採用するかは、設計者が回路に要するコスト等を考慮して選択すればよい。
【0124】
(手動による色ずれ調整手法)
この発明に係る画像形成装置は、調整用のトナーパターンを印字して、画像ピッチの変動成分を目視によって調整できる機能を有していてもよい。手動調整は、例えば、レジストセンサ41が故障したり、レジストセンサ41で調整用トナーパターンを読み取って行った調整結果が不調であったりしたときのために有効である。そのような場合、例えば、サービスエンジニアが目視で感光体の回転位相を調整できるようにするための自己診断プログラムを有している。前記自己診断プログラムは、画像形成装置50の図示しない操作部を用いて調整値を入力し、各感光体の回転位相を調整する機能を提供する。
【0125】
図18は、この実施の形態において、目視による調整のために提供される調整用トナーパターンの印字例を示す説明図である。図18で、基準位置としてのパターンは、Kの感光体ドラム3aで形成された等ピッチのパターンである。ここで、K感光体ドラム3aは、適当な変調信号によって駆動速度が補正され、画像ピッチの変動成分が抑制されているものとする。従って、基準位置として使用できる程度に画像ピッチの変動が抑制されたものである。基準パターンは、YMC各色のいずれかのパターンである。基準パターンの下方には、基準パターンの色に対応する位相センサ43の基準信号に対応してその色のLSU1のレーザビームを発光させて得た基準マークがある。基準マークの印字は、例えば、前記基準信号に応じてLSU1を発光させる専用のハードウェアを設けて実現してもよい。あるいは、制御部のマイクロコンピュータが、割り込み処理を行うことによって前述の機能を実現してもよい。
【0126】
サービスエンジニアは、印字された調整用トナーパターンから、基準位置に対するYMC各色のピッチ変動成分の振幅を得る。また、前記基準マークに対するピッチ変動成分の位相を得る。自己診断プログラムは、目視によって得られた前記振幅と位相を画像形成装置50の図示しない操作部を用いて入力する機能を提供する。さらに、入力されたYMC各色についての振幅と位相から、出力すべき各変調信号の振幅と位相を決定する機能を提供する。
【0127】
(色ずれ調整のさらに異なる補正手法)
前述の調整方法は、YMC各色の感光体ドラムの回転位相を整列させるように各感光体の回転位相を調整する。ここで、例えば、Y感光体ドラム3dを常に位相の基準とし、他のMおよびC感光体ドラム3c、3bをY感光体ドラム3dの回転位相に合わせてもよい。
【0128】
しかし、この実施の形態では、異なる手法を示す。異なる手法とは、ピッチ変動成分の振幅が最も大きな色に対応する感光体ドラム3を基準とし、それに他の感光体ドラムの回転位相を整列させるようにする。変調信号は、最も大きなピッチ変動成分の感光体ドラムの位相に合わせて出力する。共通の変調信号が、YMCの各駆動制御回路53に入力されるのであるが、このようにすれば、変調信号は、最も大きなピッチ変動成分の色に対して完全に逆位相となる。他の色については、回転位相の補正に伴ってピッチ変動成分と変調信号の位相にズレがあるが、変調信号は、最も大きなピッチ変動成分が効果的に抑制されるので、全体として良好な補正結果が得られる。
【0129】
図19は、この実施の形態において、回転位相が調整された各感光体に共通の変調信号を印加する場合に、周速度変動成分が抑制される効果を示す説明図である。図19の縦軸は、各色感光体の周速度変動成分を示している。横軸は時間である。Cの変動成分が最も大きい。YMC各色の周速度変動成分の位相は、互いにずれている。これは、各感光体がその回転位相が揃った状態(図15の状態)にある場合を示している。即ち、周速度変動成分の振幅が最大であるCの同期信号を基準として、YとMの同期信号がCの同期信号に一致するように、停止時の感光体の回転角度が制御された状態である。変調信号は、Cの周速度変動成分を打ち消すような位相と振幅で出力される。点線は、変調信号による補正の結果得られる、各色の周速度変動成分を示す。Cがなお若干の変動を含んでいるのは、測定誤差などに起因するものである。しかし、他のY,Mの変動成分に比べてその周速度変動成分は最も小さくなっている。このように、変調信号の位相を決定することにより、効果的に周速度変動成分を抑制することができる。
【0130】
図20は、図11に対応する図であり、画像上でピッチ変動成分の位相が揃うように各感光体の回転位相が調整された状態での各カラー感光体ドラムの周速度変動成分を示す説明図である。図11は、Y感光体ドラム3dを基準に変調信号が出力されている。これに対して、図20では、周速度変動成分の最も大きなC感光体ドラム3bを基準に変調信号が出力されている。
図20中の黒丸「●」は、記録媒体上で同一位置に転写されるべきYMC各画像の位置を示している。黒丸「●」の位置を、印字画像の先端部とすると、図11では、YMCの印字画像の先端部の位置は同期信号と一致している。一方、図20に示すように、回転位相を調整した後の状態では、Cの印字画像の先端部の位置はC同期信号と一致しているが、Yの印字画像の先端部の位置はY同期信号に対し21.96゜、Cの印字画像の先端部の位置はC同期信号に対し43.92゜、それぞれ進んだ位置にある。制御部は、回転位相の調整後、1つ手前の同期信号に対する各印字画像先端部の露光タイミングを図20に示すように制御する。
続いて、ブラック(K)の変調信号の位相を制御する方法について説明する。
図21は、K感光体の周速度変動成分を抑制するための変調信号の様子を示す説明図である。変調信号発生回路51aは、Kの位相センサ43aから出力される基準信号にΔtの補正を加え、さらに感光体回転角90゜回転する時間に相当する補正時間dt(90゜)(sec)を引き算する、もしくは、感光体回転角270゜回転する時間に相当する補正時間dt(270゜)(sec)を加えて求めたK同期信号に基づき、変調信号(K用)の位相を制御する。図21の場合、K同期信号に変調信号(K用)の基準位相が同期するように変調信号(K用)の位相を制御する。即ち、K同期信号が出力されるタイミングで0から負の方向に増大する変調信号(K用)が出力されるように制御する。
【0131】
最後に、前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得ることは明らかである。そのような変形例は、この発明の特徴及び範囲に属さないと解釈されるべきものではない。本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更とが含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するためのブロック構成示す説明図である。
【図2】この発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図3】図2の画像形成装置から、色ずれの調整の説明に関連する部分を抜き出した説明図である。
【図4】この実施の形態において、色ずれ調整用のトナーパターンの一例を示す説明図である。
【図5】図3の画像形成装置の感光体ドラム3と、それを駆動する感光体駆動モータ45の駆動機構を示す説明図である。
【図6】この実施の形態において、色ずれ調整用トナーパターンを形成し、レジストセンサ41で測定する様子を示す説明図である。
【図7】図3の各感光体ドラム3に対応して突起部44と、位相センサ43とが設けられた様子を示す説明図である。
【図8】図3の感光体ドラム3上に調整用のトナーパターンを形成しているときの様子を示す説明図である。
【図9】図8に関連して基準回転角度と基準位相との関係を説明するための説明図である。
【図10】この実施の形態において、感光体の偏心によって露光位置と転写位置において画像ピッチが基準ピッチに対して変動することを説明するための説明図である。
【図11】この実施の形態において、感光体の回転位相が調整された状態での周速度変動成分を示す説明図である。
【図12】この実施の形態において、各感光体の回転位相が調整された状態における、各突起部44の位置の例を示す説明図である。
【図13】この実施の形態において、各感光体ドラムの回転位相が一致した状態での周速度変動成分の様子を示す説明図である。
【図14】この実施の形態において、各駆動制御回路53が変調信号を用いて周速度変動成分を打ち消す様子を示す説明図である。
【図15】この実施の形態において、各感光体の回転位相を一致させた状態での、各突起部の位置の例を示す説明図である。
【図16】この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するための異なるブロック構成を示す説明図である。
【図17】図16の態様における各感光体ドラム3の周速度変動成分の様子を示す説明図である。
【図18】この実施の形態において、目視による調整のために提供される調整用トナーパターンの例を示す説明図である。
【図19】この実施の形態において、回転位相が調整された各感光体に共通の変調信号を印加する場合に、周速度変動成分が抑制される効果を示す説明図である。
【図20】この実施の形態において、画像上でピッチ変動成分の位相が揃うように各感光体の回転位相が調整された状態での周速度変動成分を示す説明図である。
【図21】この実施の形態において、K感光体の周速度変動成分を抑制するための変調信号の様子を示す説明図である。
【図22】この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するためのさらに異なるブロック構成を示す説明図である。
【図23】この実施の形態において、ピッチ変動成分を補正するためのさらに異なるブロック構成を示す説明図である。
【図24】この実施の形態において、制御部40aが回転位相を調整する様子を示す説明図である。
【図25】この実施の形態において、制御部40aが、Y感光体ドラムに対して、MおよびC感光体ドラムの回転位相を揃えて停止させるように停止位置を調整する様子を示す説明図である。
【図26】この実施の形態において、制御部40aが各色の感光体ドラムのピッチ変動成分を測定し、測定結果に基づいて変調信号の振幅と位相を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】この実施の形態において、制御部40aが各色の感光体ドラムのピッチ変動成分を測定する処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
【図28】この実施の形態において、ピッチ変動成分が微小なものを補正対象から除外する手法の効果を示す第1の説明図である。
【図29】この実施の形態において、ピッチ変動成分が微小なものを補正対象から除外する手法の効果を示す第2の説明図である。
【図30】この実施の形態において、ピッチ変動成分が微小なものを補正対象から除外する手法の効果を示す第3の説明図である。
【図31】この実施の形態において、ピッチ変動成分が微小なものを補正対象から除外する手法の効果を示す第4の説明図である。
【図32】この実施の形態において、制御部40aが各色の感光体ドラムのピッチ変動成分を測定し、測定結果に基づいて変調信号の振幅と位相を設定する処理の図26と異なる手順を示すフローチャートである。
【図33】この実施の形態において、制御部40aが各色の感光体ドラムのピッチ変動成分を測定し、測定結果に基づいて変調信号の振幅と位相を設定する処理の図26とさらに異なる手順を示すフローチャートである。
【図34】この実施の形態において、感光体の周速度変動成分とピッチ変動成分とを示す波形図である。
【図35】この実施形態において、各駆動制御回路53が各感光体駆動モータ45を駆動する信号の波形を示す波形図である。
【図36】この実施形態において、ピッチ変動成分の振幅値αと、その周期変動を補正するための速度補正信号の振幅比Avとの関係を示す波形図である。
【図37】この実施形態において、ピッチ変動成分の振幅値αと振幅比Avとの関係式と図36(b)の波形との関係を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0133】
1 露光ユニット、LSU
2a、2b、2c、2d 現像器
3a、3b、3c、3d 感光体ドラム
4a、4b、4c、4d クリーナユニット
5a、5b、5c、5d 帯電器
6a、6b、6c、6d 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 中間転写ベルトユニット
8−1 転写ベルト駆動ローラ
8−2 中間転写ベルト従動ローラ
8−3 中間転写ベルトテンション機構
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙トレイ
11 転写部、
11e 転写ローラ
12 定着部
14 レジストローラ
15 排紙トレイ
16 ピックアップローラ
25 搬送ローラ
31 ヒートローラ
32 加圧ローラ
40 制御基板
40a 制御部
41 レジストセンサ
43a、43b、43c、43d 位相センサ
44a、44b、44c、44d 突起部
45 感光体駆動モータ
46 駆動ギア
47 被駆動ギア
50 画像形成装置
51a、51b 変調信号発生回路、補正信号生成部
53a、53b、53c、53d 駆動制御回路、駆動制御部
55b、55c 遅延回路
57b、57c、57d 切替部
59b、59c 振幅調整回路
S 給紙搬送路
L(La,Lb、Lc、Ld) レーザビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色別の画像を周面上に形成するための、径の大きさの異なる複数のドラム状感光体と、
各感光体が所定の周速度で回転するように径に応じた駆動速度で各感光体を駆動する複数の駆動部と、
形成された色別の各画像に含まれる周期的なピッチ変動を補正するための速度補正信号を出力する補正信号出力部と、
出力された速度補正信号で各感光体の駆動速度を補正するように駆動部を制御する駆動制御部とを備え、
前記速度補正信号が、各感光体の回転周期と同じ周期を有する信号であることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記速度補正信号が、互いに径の等しい感光体に共通の信号である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
各感光体上に複数パターンからなる調整用画像を形成する調整用画像形成部と、
形成された調整用画像の各パターンの位置を測定する測定部と、
各パターンの測定結果からその感光体の回転周期に対応するピッチ変動成分の振幅ならびに位相を抽出する変動成分抽出部とをさらに備え、
前記補正信号出力部は、抽出された振幅ならびに位相に基づいて前記速度補正信号を径の種類ごとに生成する補正信号生成部を含む請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
各感光体は、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と、第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カラー画像形成用感光体が、イエロー画像形成用感光体とマゼンタ画像形成用感光体とシアン画像形成用感光体とからなる請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
ブラック画像形成用感光体の径の大きさが、カラー画像形成用感光体の径の大きさよりも大きい請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記速度補正信号は、互いに径の等しい感光体に共通の信号であり、
前記補正信号生成部は、共通の速度補正信号が適用される各感光体のピッチ変動の振幅のうち最大の振幅と最小の振幅の平均を算出し、算出された振幅で速度補正信号を生成する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも一部の補正信号出力部は、生成された速度補正信号を各感光体の駆動制御部へ出力しあるいは出力しないように切り替えるスイッチ部と、
各感光体のピッチ変動成分の振幅の大きさに応じて前記感光体に対応するスイッチ部を切り替えるスイッチ制御部とをさらに含んでなる請求項3記載の画像形成装置。
【請求項9】
各感光体によって形成された画像を転写するための転写部材と、
感光体の回転位相を調整する回転位相調整部とをさらに備え、
各感光体が、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなり、各感光体が所定の間隔で転写部材に沿ってそれぞれ配置され、
前記回転位相調整部は、各カラー画像形成用感光体で形成されて転写部材に転写される画像に含まれるピッチ変動成分の位相の相対的なズレ量を抽出し、抽出された位相のズレ量に基づいて各カラー画像形成用感光体の周期的な速度変動の位相が一致するようにその回転位相を調整する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項10】
各感光体によって形成された色別の画像を転写するための転写部材と、
各感光体の回転位相を調整する回転位相調整部とをさらに備え、
各感光体が、第1の大きさの径を有するブラック画像形成用感光体と第2の大きさの径を有する複数のカラー画像形成用感光体からなり、各感光体が所定の間隔で転写部材に沿ってそれぞれ配置され、
少なくとも一部の補正信号出力部は、補正信号出力部からの速度補正信号を感光体ごとにそれぞれ遅延させる遅延部をさらに含んでなり、
前記回転位相調整部は、各カラー画像形成用感光体で形成されて転写部材に転写される画像に含まれるピッチ変動成分の位相が揃うように、抽出された位相に基づいて各カラー画像形成用感光体の回転位相を調整し、
前記遅延部が、前記間隔に応じて予め定められた角度に応じて、ピッチ変動成分を打ち消す位相にするよう各速度補正信号を遅延させる請求項3記載の画像形成装置。
【請求項11】
各感光体の回転位相の信号を出力する位相センサをさらに備え、
少なくとも一部の補正信号出力部は、前記遅延部の遅延量を調整する遅延量調整部をさらに含んでなり、
遅延量調整部は、画像形成中に位相センサからの信号と生成された速度補正信号の位相を比較し、比較結果に基づいて各感光体の回転位相に対する速度補正信号の位相の経時変化を抑制するように前記遅延量を調整する請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
少なくとも一部の補正信号出力部は、生成された速度補正信号の振幅を感光体ごとに調節するための振幅調整部をさらに含んでなる請求項10記載の画像形成装置。
【請求項13】
各感光体について、その回転位相の制御に用いる基準位置を検知して基準信号を出力する位相センサと、
基準信号の出力に応じて調整用画像にマークを付加するマーク付加部をさらに備える請求項3記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記補正信号生成部は、最も大きな振幅が抽出された感光体を基準感光体とし、基準感光体の周期的な速度変動の位相と逆位相の速度補正信号を生成する請求項9記載のカラー画像形成装置。
【請求項15】
前記回転位相調整部は、基準感光体の回転位相に、他のカラー画像形成用感光体の回転位相が揃うように各回転位相を決定する請求項14記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記間隔は、隣り合うカラー画像形成用感光体が、転写部材とそれぞれ接する位置の間隔であり、前記間隔が、カラー画像形成用感光体の周長の整数倍と異なる距離である請求項14記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記調整用画像のパターンが、感光体の回転方向と直交してのびる複数本の直線を含み、
前記測定部が、各直線の位置の基準位置からの偏差を測定することによりピッチ変動成分の振幅ならびに位相を抽出する請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−304558(P2007−304558A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349824(P2006−349824)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】