説明

カルシウムセンシング受容体の増強

本発明は、対象における骨化を増強することが可能な医療器具に関する。より具体的には、本発明は、放出可能なカルシウムセンシング受容体アゴニスト及び放出可能なカルシウム塩を含む器具の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によって本明細書にその全体を取り込む、2007年5月10日に出願の米国特許出願第60/917,134号の優先権の利益を享受する。
【0002】
本願は、対象における骨化を増強することが可能な医療器具に関する。より具体的には、本願は、少なくとも1種の放出可能なカルシウムセンシング受容体アゴニスト及び少なくとも1種の放出可能なカルシウム塩を含む器具の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞外Ca2+は、血液凝固、神経及び筋肉の興奮性、並びに骨形成などの多数の体内の基礎的なプロセスを調節している。そのため、細胞外Ca2+の濃度は厳密に恒常性制御の下にある。
【0004】
可溶性Ca2+の局所的な送達による骨形成が研究されている。当該研究は、後にメスのラットの大腿骨髄質管に移植される、カルシウムを添加した各種の成分をアルミナチューブで与えることを伴う。未添加のアルミナチューブとは対照的に、Ca2+添加チューブは、層板骨の組織前面の前進の態様で骨形成の増強を示すことが認められた。当該研究はPabburuwe et al.,Biomaterials,vol.25,pp.4901−4910(2004)に更に開示されている。
【0005】
単離したラット破骨細胞を使用したin vivo研究によって、破骨細胞の吸収によって環境中に放出されたCa2+によって、破骨細胞の活性がダウンレギュレートされることが示されている。したがって、骨形成の正味の増大量が観察されている。これらの研究は、Datta et al.,Biosci.Rep.,vol.9,pp.747−751(1981)及びZaidi et al.,J.Cell.Physiol.,vol.149,pp.422−427に更に開示されている。
【0006】
細胞外カルシウムレベルと、骨及び軟骨の形成を誘導する能力が既知の成長因子である骨形成タンパク質(BMP)分子、具体的には、BMP−2及びBMP−4の発現とを関連付ける根拠も存在する。当該研究は、Nakade et al.,J.Bone Mineral.Metab,vol.19,pp.13−19に更に開示されている。
【0007】
Ca2+の骨誘導特性に基づいて、骨及び軟骨の修復の分野において使用するための、広範な骨誘導性材料が開発されている。その様な材料は、例えば、リン酸カルシウム、コラーゲン/CaP複合材料、及び硫酸カルシウムを含む。
【0008】
Smith & Nephew Inc.は、前十字靭帯(ACL)再建後の骨再成長を促進する骨誘導性干渉ネジを開発した。前記ネジは、生体吸収性ポリマーと炭酸カルシウムとの混合物から成形され、PLCと称される。前記ネジは、ACL再建において移植変を固定するために使用される。その後の数ヶ月の経過に亘って、前記ネジは身体によって吸収され、前記ネジの内の炭酸カルシウムがその位置における骨形成の天然のプロセスを刺激する。この新しい骨が、執刀医によって移植片が置かれた穴を満たし、移植片の骨化を促進する。当該ネジは米国特許出願公開第2006/0120994号により完全な形で開示されている。
【0009】
7回膜貫通受容体スーパーファミリーの一種であるカルシウムセンシング受容体(CaSR)が、体内のCa2+全身レベルを検出及び調節する主要なメカニズムであると解されている。副甲状腺細胞表面上において初めに発見されたが、その発現は、骨の破骨細胞、腎臓の傍糸球及び体近位尿細管細胞、表皮のケラチノサイト、甲状腺の傍濾胞細胞、腸細胞、並びに胎盤のトロホブラストを含む広範な細胞上において認められている。当該発現は、米国特許第5858684号に更に完全な形で開示されている。全身のカルシウムにおける変動は、副甲状腺ホルモン(PTH)及び1,25(OH)2−ビタミンD3における変化を誘導することによって間接的に骨形成に影響を与えることが知られている。しかしながら、破骨細胞及び骨芽細胞上の発現は、骨細胞の機能及び骨形成に対する直接的な影響の可能性を示唆するものでもあろう。
【0010】
CaSRアゴニストは、CaSRにおける細胞外Ca2+の活性を摸倣及び強化するリガンドである。こうした低分子は、カルシウム摸倣剤とも称され、Ca2+に対するCaSR受容体の感度を増大させる。前記アゴニストは、Ca2+が存在するかしないかにかかわらず、それら自体に対する効果を有するタイプIアゴニストと、アロステリック作用によってCa2+のアフィニティーを変化させ、かつ、受容体のポリカチオン性アゴニストの作用を増強するタイプIIアゴニストとに分類されている。
【0011】
多数の病気及び疾患を治療するために、CaSRのアゴニストを使用することが当該技術分野において知られており、例えば、国際特許出願第WO 01/83546号を参照のこと。タイプIIアゴニストが細胞外Ca2+に対するCaSRの感度を増大するという事実による、それらの使用に関連する問題のひとつが、Ca2+の十分な細胞外レベルに依存することである。例えば、8.2mg/dL(2.05mmol/L)未満の血清カルシウム又は4.4mg/mL(1.1mmol/L)未満のカルシウムイオンであると診断される低カルシウム血症の対象では、タイプIIアゴニストの使用による効力が顕著に低減され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開代2006/0120994号
【特許文献2】米国特許第5858684号
【特許文献3】国際特許出願第WO 01/83546号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Pabburuwe et al.,Viomaterials,vol.25,pp.4901−4910(2004)
【非特許文献2】Datta et al.,Biosci.Rep.,vol.9,pp.747−751(1981)
【非特許文献3】Zaidi et al.,J.Cell.Physiol.,vol.149,pp.422−427
【非特許文献4】Nakade et al.,J.Bone Mineral.Metab,vol.19,pp.13−19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願は、放出可能なカルシウム感受性受容体(CaSR)アゴニストと併せて放出可能なカルシウム塩を提供することによって、外来性Ca2+に対するCaSRの感度を増強する手段を提供する。
【0015】
本願は、放出可能なカルシウム塩と併せて放出可能なカルシウムセンシング受容体(CaSR)を提供することによって、CaSRアゴニストの効力を増強する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、放出可能なカルシウムセンシング受容体(CaSR)アゴニスト及び放出可能なカルシウム塩を含む器具が提供される。
【0017】
CaSRアゴニストの適切な例を以下に要約する。この一覧は網羅的なものではなく、アゴニスト又はカルシウム摸倣活性を有する任意の分子又は薬剤が本発明の範囲内であると解される。例えば、生理的なpHで正に荷電した任意の薬剤又は分子は、カルシウム摸倣剤である可能性がある。
【0018】
前記カルシウム摸倣剤は、天然又は合成の、分子、薬剤、又は化合物であってよい。要約したカルシウム摸倣剤の任意の構造的な変異体又は類似体も、本発明の範囲内である。カルシウム摸倣剤は、各種の無機及び有意の多価カチオンを含む。適切な二価カチオンの例は、Ca2+、Mg2+、Zn2+、及びSr2+を含む。適切な三価カチオンの例は、Gd3+である。無機及び有機の多価カチオンは、タイプIカルシウム摸倣剤の例である。
【0019】
本発明の1つの実施態様では、前記カルシウム摸倣剤が無機及び有機の多価カチオンである。
【0020】
カルシウム摸倣剤は、生理的なpHで正味の正電荷を有する共通の特性を有する、多数の構造的に多様な有機化合物も含む。
【0021】
カルシウム摸倣剤として作用する有機化合物は、例えば、ポリアミン、アミノグリコシド抗生物質、フェニルアルキルアミン、及び多数のアミノ酸を含む。
【0022】
ポリアミンは、真核細胞及び原核細胞において増殖因子である、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、及びスペルミンなどの2以上の第一級アミノ基を有する有機化合物である。構造において、ポリアミンは、規則的間隔で認められるカチオンを有する化合物を表わす。
【0023】
本発明の1つの実施態様では、前記カルシウム摸倣剤は、分枝鎖又は環式のポリアミンである。これらは、直鎖の類似体よりも高いカルシウム摸倣活性を有する可能性があることが示されている。
【0024】
カルシウム摸倣剤の他の群は、グラム陰性好気性細菌に対して特に殺菌性であるアミノグリコシド抗生物質である。アミノグリコシドは、ある種の細菌に対して効果的である抗生物質の一種であり、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、及びアプラマイシンを含む。
【0025】
本発明の1つの実施態様では、前記カルシウム摸倣剤はアミノグリコシド抗生物質である。
【0026】
カルシウム摸倣剤の更なる群は、節足動物毒に由来する正に荷電した産物の一種であるアリールアルキルポリアミンである。
【0027】
したがって、本発明の更なる他の実施態様では、前記カルシウム摸倣剤は天然又は合成のアリールアルキルポリアミンである。
【0028】
アミノ酸はタイプIIカルシウム摸倣剤であることが示されている。例えば、Ca2+の存在下において、CaSRは、ミリモル濃度の範囲においてL−アミノ酸、好ましくは芳香族及び小さな脂肪族L−アミノ酸によってアロステリックに活性化されてよい。
【0029】
本発明の実施態様では、前記カルシウム摸倣剤は、アミノ酸又はポリアミノ酸である。ここで、ポリアミノ酸は、生理的なpHで正に荷電した2以上のアミノ酸残基を含有するポリペプチドを意味する。前記アミノ酸が芳香族アミノ酸又は脂肪族アミノ酸であることが特に有利である。芳香族アミノ酸の例は、フェニルアラニン、(Phe)、チロシン(Tyr)、及びトリプトファン(Trp)を含む。脂肪族アミノ酸の例は、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、及びイソロイシン(Ile)を含む。
【0030】
20の天然アミノ酸がすべて、L−(左旋性)型であってよい。L−型は、平面偏光を左に回転させる立体異性体である。CaSRにおけるアミノ酸のカルシウム摸倣作用は、アミノ酸がD−型よりもL−型である場合により強力であることが認められている。本発明の1つの実施態様では、前記アミノ酸はL−立体異性型である。本発明の更なる実施態様では、前記アミノ酸は、L−及びD−型の混合物として提供される。
【0031】
本発明のある実施態様では、L−アミノ酸がL−Pheであり、その器具からの放出態様によって、約0.5mMから5mMの間の治療的濃度、とりわけ、約1mMから3mMの間の治療的濃度、さらには、約1mMから2.5mMの間の治療的濃度のL−Pheが器具の付近で提供される。
【0032】
本発明の他の実施態様では、L−アミノ酸はL−Trpであり、その器具からの放出態様によって、約0.5mMから5mMの間の治療的濃度、とりわけ、約1mMから3mMの間の治療的濃度、さらには、約1mMから2.5mMの間の治療的濃度のL−Pheが器具の付近で提供される。
【0033】
本発明の実施態様では、前記器具は、2以上の異なるタイプIアゴニストを含む。例えば、前記器具は、2種以上の異なる多価のカチオン(例えば、Mg2+及びZn2+)を含んでよい。他の例では、前記器具は、多価カチオン(例えば、Mg2+)及びアミノグリコシド抗生物質(例えば、ネオマイシン)を含んでよい。
【0034】
本発明の更なる実施態様では、2種以上の異なるタイプIIアゴニスト、例えば、芳香族アミノ酸(例えば、L−Phe)及び脂肪族アミノ酸(例えば、L−Gly)を含むことが予期される。
【0035】
本発明の更に他の実施態様では、前記器具が、少なくとも1種のタイプIアゴニスト及び少なくとも1種のタイプIIアゴニストを含む。
【0036】
適切なCa2+塩は、炭酸カルシウム(CaCO)及び塩化カルシウム(CaCl)、リン酸カルシウム(CaPO)、並びに硫酸カルシウム(CaSO)を含むが、それらに限らない。
【0037】
本発明のある実施態様では、前記カルシウム塩の放出態様によって、約0.5mMから5mMの間の治療的濃度、とりわけ、約1mMから3mMの間の治療的濃度、さらには、約1mMから2.5mMの間の治療的濃度のカルシウム塩が前記器具の付近で提供される。
【0038】
本発明の有利な実施態様では、前記放出可能なL−アミノ酸はL−Pheであり、前記放出可能なカルシウム塩はCaClであって、前記器具の付近におけるL−Pheの治療的濃度は約0.5から5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間であって、前記器具の付近におけるCaClの治療的濃度は約0.5mMからら5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間である。
【0039】
本発明の特に有利な実施態様では、前記放出可能なCaSRアゴニストがL−Pheであり、約2.5mMの前記器具の付近における治療的濃度を与え、前記放出可能な塩がCaClであり、約2.5mMの前記器具の付近における治療的濃度を与える。
【0040】
本発明の更なる有利な実施態様では、前記放出可能なL−アミノ酸がL−Trpであり、前記放出可能なカルシウム塩がCaClであって、前記器具の付近におけるL−Trpの治療的濃度は約0.5mMから5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間であって、前記器具の付近におけるCaClの治療的濃度が約0.5mMから5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間である。
【0041】
本発明の特に有利な実施態様では、前記CaSRアゴニストがL−Trpであり、約2.5約2.5mMの前記器具の付近における治療的濃度を与え、前記放出可能な塩がCaClであり、約2.5mMの前記器具の付近における治療的濃度を与える。
【0042】
前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩は、持続放出、遅延放出、若しくは徐放、又はパルス放出の様式のいずれかにおいて前記器具から放出される。多数のタイプの送達系が利用可能であり、当業者に既知である。
【0043】
前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩は、前記器具から同時又は連続的な様式で放出されてよい。例えば、CaSRを「刺激」するために、カルシウム塩の放出の前にCaSRアゴニストを放出させることが有利であってよい。
【0044】
前記器具は、対象の内部に移植可能である任意の器具であることが予期され、少なくとも1種のCaSRアゴニスト及び少なくとも1種のカルシウム塩の放出が対象にとって有益なものとなるであろう。
【0045】
前記対象は、ヒト又はペット若しくは家畜などのヒトを除く動物の任意のものであってよい。
【0046】
前記器具は、薬理学的、免疫学的、又は代謝による手段によってヒトの身体における意図する主要な作用を達成しないが、その様な手段による機能に補助されてよい、単独又は組み合わせて使用される、任意の道具、装置、電気器具、材料、又は他の物として規定される医療器具であってよく、(i)疾患の診断、予防、モニタリング、治療、若しくは緩和、(ii)傷若しくは障害の診断、モニタリング、治療、緩和、若しくは補償、又は(iii)生理プロセス若しくは生体組織の調査、置換、若しくは改善の目的でヒト又は他の動物に使用するための製造業者によって意図される適当な用途に必要なソフトウェアを含む。
【0047】
医療器具の1つの例は、皮下に提供されてよく、少なくとも1種のカルシウムアゴニスト及び少なくとも1種のカルシウム塩の制御された放出によって、例えば、骨粗鬆症、骨軟化症、くる病などの代謝性骨疾患、高カルシウム血症、低カルシウム血症、及び副甲状腺機能高進症に有益な治療効果を有する。
【0048】
前記器具は外科器具又は歯科器具であってよい。そのような器具は、治療又は矯正機能を奏するように設計され、以下:(i)骨プレート、骨ネジ(圧縮ネジ、ラグネジ、及び干渉ネジ)、クギ(髄内クギ)、ピン、ホッチキス、縫合糸などの固定器具、(ii)外部固定器具、(iii)再建移植物(臀部、肘、膝、及び肩の関節の代替品を含む)の成分、(iv)接着剤及び骨セメント、(v)骨空間充填剤、並びに(vi)アンカー、スーチャーアンカー、ネジ、及びくさびなどの軟組織(すなわち、靭帯、腱、筋肉、軟骨、又は他の軟組織若しくは結合組織)の修復及びリモデリングにおいて使用される器具を含んでよいが、それらに限らない。これらの器具に限定する意図はない。
【0049】
非生体吸収性材料及び生体吸収性材料のいずれも、前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩の対象への送達に使用されてよい。生体吸収性(又は生分解性若しくは生体内分解性)材料は、生理環境に曝露されると分解を始める材料として定義され、生体によって吸収されて前進する組織(例えば、骨)によって次第に置き換わる。一般的には、生体吸収は、酵素による分解又はin vivoにおける水に対する曝露のいずれかによる、表面又は大部分の侵食によるものである。生体吸収性ポリマーマトリックスが好ましい。その様なポリマーは天然又は合成のポリマーであってよい。合成ポリマーは免疫学的に不活性であることが好ましく、すなわち、対照において免疫反応を生じさせないことが好ましい。前記ポリマーの選択の1つの基準は、一般的には数時間から一年若しくはそれ以上である放出が望まれる時間である。典型的には、数時間から3から12ヶ月の間の範囲の期間に亘る放出が最も望ましい。前記ポリマーの選択についての更なる基準は、その機械的特性であり、耐荷重性であってよい医療機器の場合に特に重要である。
【0050】
CaSRアゴニスト及びカルシウム塩は、拡散又はポリマーマトリックスの分解によって生体吸収性器具を使用して送達されてよい。前記器具の少なくとも一部を形成するために使用されてよい合成ポリマーの例は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシラキサン、ポリウレタン及びそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル及びメタクリルエステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローススルフェートナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブタメチルアクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、乳酸及びグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ吉草酸、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、並びに天然のポリマー、例えば、アルギネート及びデキストランとセルロースとを含む他のポリサッカリド、コラーゲン、それらの化学的な誘導体(化学基の置換、付加)、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者が日常的に作製する他の修飾、アルブミン、及び他の親水性タンパク質、ゼイン、及び他のプロラミン、及び疎水性タンパク質、それらのコポリマー及び混合物を含むが、それらに限らない。
【0051】
非吸収性ポリマーの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、ポリ(メチル)アクリル酸、ポリアミド、それらのコポリマー及び混合物を含む。
【0052】
本発明に適切な生体接着ポリマーは、ヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギネート、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメチルアクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)を含む。
【0053】
本発明において使用するために適切な特定の生体吸収性ポリマーは、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(PDLG)(85:15)である。
【0054】
本発明の実施態様では、医療器具の表面の少なくとも一部が、前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩を含む材料で被覆又は含浸されている。例えば、前記材料が、表面層として、例えば、医療機器の表面上のコーティング又はフィルムとして提供される生体吸収性ポリマーマトリックスであることが予期される。ポリマー成分が吸収されると、前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩が放出される。例えば、臀部移植物の寛骨臼カップ成分が、移植物の表面の少なくとも一部における骨の内方成長を促進する骨誘導特性及び骨形成特性の双方を有する表面コーティングとともに提供されてよい。当該骨形成は、表面層からのカルシウム摸倣剤の放出と関連するものであってよい。例えば、表面層の少なくとも一部が、ポリマー成分が経時的に吸収されて、カルシウム摸倣剤が放出され、CaSRの感度を増大/強化するように、カルシウム摸倣剤と混合した生体吸収性ポリマー成分を含んでよい。本発明の更なる実施態様では、当該更なる成分が、一過的に放出され得る少なくとも一種のカルシウム塩を含んでもよい。
【0055】
代替的には、前記器具は、前記CaSR及びカルシウム塩を含む材料を含む。例えば、前十字靭帯(ACL)修復に使用される骨誘導性干渉ネジは、少なくとも一種のCaSRアゴニスト及び少なくとも一種のカルシウム塩と混合したポリ−DL−ラクチドグリコリド(85:15)を含む。本発明の更なる実施態様では、前記干渉ネジは、アミノ酸及びカルシウム塩と混合したDL−ラクチドグリコリド(85:15)を含み、前記アミノ酸は芳香族アミノ酸、例えば、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、及びトリプトファン(Trp)であるか又は脂肪族アミノ酸、例えば、グリシン(Gly)、アラニン、(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、及びイソロイシン(Ile)であり、前記カルシウム塩はCl又はCaCOである。本発明の更なる実施態様では、前記アミノ酸はL−立体異性型である。
【0056】
前記CaSRアゴニスト及びカルシウム塩が前記器具のポリマー成分から放出可能である本発明の実施態様では、当該ポリマー成分は、前記器具自体又は器具のコーティングの約1%未満、又は約1から5%、6から10%、11から15%、16から20%、21から25%、26から30%、31から35%、36から40%、41から50%、51から60%、61から65%、66から70%、71から75%、76から80%、81から85%、86から90%、91から95%、又は約95%(w/w)超の濃度で提供される。前記カルシウム塩は、前記器具自体又は器具のコーティングの約1%未満、又は1から5%、6から10%、11から15%、16から20%、21から25%、26から30%、31から35%、36から40%、41から50%、51から60%、61から65%、66から70%、71から75%、76から80%、81から85%、86から90%、91から95%、又は約95%(w/w)超の濃度で提供される。前記CaSRアゴニストは、前記器具自体又は器具のコーティングの約1%未満、又は1から5%、6から10%、11から15%、16から20%、21から25%、26から30%、31から35%、36から40%、41から50%、51から60%、61から65%、66から70%、71から75%、76から80%、81から85%、86から90%、91から95%、又は約95%(w/w)超の濃度で提供される。
【0057】
本発明の特定の実施態様では、前記器具は、前記器具又はコーティングの約1%から約30%(w/w)の間のポリマー成分、前記器具又はコーティングの約1%から約50%(w/w)のカルシウム塩、及び前記器具又はコーティングの約1%から約20%(w/w)のCaSRアゴニストを含む。
【0058】
本発明の更なる実施態様では、前記器具は、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(PDLG)(85:15)を含み、且つ、前記器具又はコーティングの約1%から30%(w/w)であるポリマー成分、前記器具又はコーティングの約1%から約50%(w/w)を占める炭酸カルシウム、及び前記器具又はコーティングの約1%から約20%(w/w)を占めるL−アミノ酸を含む。
【0059】
本発明の更なる態様では、対象におけるCa2+に対するCaSRの感度を増強する方法であって、少なくとも1種のCaSRアゴニスト及び少なくとも1種の放出可能なカルシウム塩を含む器具を対象に移植する工程を含む方法を提供する。
【0060】
本発明の実施態様では、前記CaSRアゴニストはタイプIアゴニスト、例えば、無機ポリカチオン、有機ポリカチオン、アミノグリコシド抗生物質、又はアリールアルキルポリアミンである。本発明の代替的な実施態様では、前記アゴニストはタイプIIアゴニスト、例えば、Phe、Tyr、Trp、Gly、Ala、Val、Leu、又はIleから選択される芳香族又は脂肪族アミノ酸である。特に、前記アミノ酸はL−立体異性型である。
【0061】
本発明の更に他の実施態様では、前記器具が少なくとも1種のタイプIアゴニストと少なくとも1種のタイプIIアゴニストとを含むことが予期される。
【0062】
本発明の実施態様では、前記器具が2種以上の異なるタイプIアゴニストを含むことが予期される。例えば、前記器具は、2種以上の異なる多価カチオン(例えば、Mg2+及びZn2+)を含んでよい。他の例では、前記器具が多価カチオン(例えば、Mg2+)及びアミノグリコシド抗生物質(例えば、ネオマイシン)を含んでよい。
【0063】
本発明の更なる実施態様では、前記器具が、2種以上の異なるタイプIIアゴニスト、例えば、芳香族アミノ酸(例えば、L−Phe)及び脂肪族アミノ酸(例えば、L−Gly)を含むことが予期される。
【0064】
本発明の更なる他の実施態様では、前記器具が、少なくとも1種のタイプIアゴニストと少なくとも1種のタイプIIアゴニストとを含むことが予期される。
【0065】
適切なCa2+塩は、炭酸カルシウム(CaCO)、塩化カルシウム(CaCl)、リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウムを含むが、それらに限らない。
【0066】
本発明のある実施態様では、前記カルシウム塩の放出態様によって、約0.5mMから5mMの間のカルシウム塩の治療的濃度、とりわけ、約1mMから3mMの間の濃度、さらには、約1mMから2.5mMの間の濃度が前記器具の付近で提供される。
【0067】
本発明の有利な実施態様では、前記放出可能なL−アミノ酸がL−Pheであり、前記放出可能なカルシウム塩がCaClであって、前記器具の付近におけるL−Pheの治療的濃度が約0.5mMから5mMの間、とりわけ、約1mMから3mMの間、さらには、約1mMから2.5mMの間であり、前記器具の付近におけるCaClの治療的濃度が約0.5mMから5mMの間、とりわけ、約1mMから3mMの間、さらには、約1mMから2.5mMの間である。
【0068】
本発明の特に有利な実施態様では、前記放出可能なCaSRアゴニストがL−Pheであって、約2.5mMの器具の付近における治療的濃度を提供し、前記放出可能なカルシウム塩がCaClであって、約2.5mMの器具の付近における治療的濃度を提供する。
【0069】
本発明の更なる有利な実施態様では、前記放出可能なL−アミノ酸はL−Trpであり、前記放出可能なカルシウム塩がCaClであって、前記器具の付近におけるL−Trpの治療的濃度が約0.5mMから5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間であり、前記器具の付近におけるCaClの濃度が約0.5mMから5mMの間であり、とりわけ、約1mMから3mMの間であり、さらには、約1mMから2.5mMの間である。
【0070】
本発明の方法の実施態様では、前記器具が、少なくとも1種のCaSRアゴニスト及び少なくとも1種のカルシウム塩の制御された放出が治療的に有益であろう部位又はその付近に移植される。前記器具は、医療器具又は外科器具であってよい。
【0071】
前記器具は、骨プレート、骨ネジ、圧縮ネジ、ラグネジ、干渉ネジ、クギ、髄内クギ、、ピン、ホッチキス、縫合糸、外部固定器具、再建関節移植物、臀部、肘、膝、及び肩の関節の移植物の成分、接着剤、骨セメント又は骨空間充填剤、或いは軟組織固定器具、例えば、アンカー、スーチャーアンカー、ネジ、又はくさびを含む。これらの器具は、骨、腱、靭帯、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つ又はその付近に移植される。
【0072】
本発明の方法は、対象内の特定の部位又はその付近に前記器具を提供することによって、前記部位における骨化を促進又は増強するために使用されてよい。骨化は、骨様物質への軟組織の硬化又は石灰化と定義される。
【0073】
ある場合には、2以上の器具を対象に移植してよいことも予期される。2以上の器具が対象に移植される際は、前記器具は同一又は異なるものであってよい。例えば、完全な臀部置換法において、前記器具は寛骨臼カップ、大腿骨頭、及びセメントを含んでよい。
【0074】
本発明の更なる態様によれば、対象における骨化を促進するための、本発明に係る器具の使用が提供される。
【0075】
本発明の更に別の態様によれば、ポリマー材料、カルシウムセンシング受容体アゴニスト、及びカルシウム塩を含む組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】(a)2.5mM CaCl;(b)2.5mM CaCl及び2.5mM L−トリプトファン;(c)2.5mM CaCl及び2.5mM L−フェニルアラニンを含む培地において2週間に亘って培養したマウス頭蓋冠細胞のアリザリンレッド染色を示す。
【図2】図1に示すアリザリンレッド染色の分光光度定量を示す。
【図3】(a)2.5mM CaCl並びに(b)2.5mM CaCl及び2.5mM L−フェニルアラニンを含む培地において4週間に亘って培養したマウス頭蓋冠細胞のVon Kossa染色を示す。
【図4】(a)2.5mM CaCl並びに(b)2.5mM CaCl及び2.5mM L−フェニルアラニンとともに2週間に亘って培養したマウス頭蓋冠細胞のVon Kossa染色の画像解析を用いた定量を示す。
【図5】本発明のスーチャーアンカーを使用した腱−骨修復強度を示す。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
骨芽細胞は、連続的な酵素消化を使用して、2から3日齢の新たに屠殺したマウスの頭からマウス頭蓋冠組織を切除して単離した。実験に使用する前に細胞を増大させるために、細胞を37℃/5% COにおいてDMEM+10%ウシ胎仔血清(FBS)に維持した。ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を追加のネガティブコントロールとして実験において使用した。
【0078】
細胞はαMEM+10%FBSにおいて5×10細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレートに播種した(n=6)。L−アミノ酸(2.5mMにおけるL−フェニルアラニン及びL−トリプトファン)あり又はなしで、塩化カルシウムの2種の異なる濃度(1.8mM及び2.5mM)における骨化量を試験するように実験を設定した。1週間に3回培地を交換して、細胞を37℃/5% COにおいて培養した。2週間及び3週間後に、単層を染色して、アリザリンレッド(カルシウム沈着)を使用して骨化の程度を示し、4週間後にVon Kossa(骨化マトリックス)を使用した。アリザリンレッドで染色された単層を脱染して、染料を分光光学的に定量し、Von Kossa染色を画像解析を使用して定量した。
【0079】
HDF細胞のアリザリンレッド染色は、これらの細胞はマトリックスを骨化する能力を有さず、且つ、染色がカルシウム沈着について陽性であるとは示さないことから予想されるように、これらの培地において骨化が生じないことを示した。(画像示さず)
【0080】
図1及び図2に示すように、2.5mMの濃度におけるL−Trp又はL−Pheの存在は、2.5mM CaCl単独と比較した際に、2週間の期間に亘ってマウス頭蓋冠細胞においてカルシウム沈着を有意に増大させる。
【0081】
図3及び図4に示すように、2.5mMの濃度におけるL−Pheの存在は、2.5mM CaCl単独と比較した際に、2又は4週間の期間に亘ってマウス頭蓋冠細胞においてカルシウム沈着を有意に増大させる。
【0082】
図2及び4に関しては、平均値は+/−標準偏差であり、統計はturkeys pair comparisonを用いたone way ANOVAである。
【0083】
(実施例2)
メスの交雑種ヒツジを使用して、脛骨粗面に対して膝蓋腱を再接着させるための各種の異なる材料を含むスーチャーアンカーを評価した。3から4cmの皮膚横切開を、脛骨粗面に対する膝蓋腱の挿入部位に作製した。次いで、腱を骨から注意深く剥いだ。標準的な型を使用して、2つの3.0mmの穴を内側方向及び横方向に準備した骨層に開けて、スーチャーアンカーを各穴に挿入し、腱に対して垂直に通した。
【0084】
群1:ポリLラクチド(PLLA)スーチャーアンカー。不活性生体吸収性アンカー
群2:ポリDLラクチド−コ−グリコリド及び炭酸カルシウム(35%w/w)(PLC)。
群3:ポリDLラクチド−コ−グリコリド及び炭酸カルシウム(34%w/w)並びにフェニルアラニン(1%w/w)(PLC+低用量L−Phe)。
群4:ポリDLラクチド−コ−グリコリド及び炭酸カルシウム並びに高用量のフェニルアラニン(3.5%w/w)(PLC+高用量L−Phe)
【0085】
12週目において、大腿骨を切除し、膝蓋腱から他の組織を取り除くことによって、損傷のない脛骨に腱によって結合した膝蓋骨を単離した。脛骨と腱との間の面を損傷するまで機械的に試験した。損傷のない脛骨をジグボールで締めて、2つの6.0mmの穴を骨に開けた。次いで、骨とジグとを通過する2つのピンとともに試験ジグに骨を置いた。膝蓋骨を輪型に置いて、PMMAセメントで満たした。セメントが硬化したら、輪型を取り外した。
【0086】
ジグをインストロン装置のクロスヘッドに取り付け、膝蓋骨を引張荷重セルに取り付けた。50mm/分でクロスヘッドを移動させて引張を与え、損傷時点の強度を記録した。
【0087】
微視的に調べて、スーチャーアンカーのいずれのタイプに対しても悪性の作用は認められなかった。周囲の骨吸収及び骨嚢胞並びに進行性の炎症組織も存在しなかった。機械的試験の結果を図1に示す。これらの結果は、スーチャーアンカーに対するカルシウム放出成分の添加が、軟組織の骨への修復を刺激することを示す(PLC vs PLLA)。カルシウムセンシング受容体アゴニストの添加は、修復強度を更に増強し、アゴニストの用量増大に伴って修復強度を増大させた。高用量のフェニルアラニン及び炭酸カルシウムを備えたアンカーは、腱の骨に対する強度を、不活性アンカー(PLLA)より56%改善した。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出可能なカルシウムセンシング受容体(CaSR)アゴニスト及び放出可能なカルシウム塩を含む、器具。
【請求項2】
前記アゴニストがタイプIアゴニストである、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記タイプIアゴニストが、無機ポリカチオン、有機ポリカチオン、アミノグリコシド抗生物質、又はアリールアルキルポリアミンである、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記アゴニストがタイプIIアゴニストである、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記タイプIIアゴニストが、Phe、Tyr、Trp、Gly、Ala、Val、Leu、及びIleからなる群から選択される芳香族又は脂肪族アミノ酸である、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記アミノ酸がL−立体異性型である、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記カルシウム塩が、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記器具が、骨プレート、骨ネジ、圧縮ネジ、ラグネジ、干渉ネジ、クギ、髄内クギ、ピン、ホッチキス、縫合糸、外部固定器具、再建関節移植物、臀部、肘、膝、又は肩の移植物の成分、接着剤、骨セメント、骨空間充填剤、及び軟組織固定器具からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
前記軟組織固定器具がスーチャーアンカーである、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記器具が少なくとも部分的に生体吸収性であり、前記CaSRアゴニスト及び前記カルシウム塩が、それ自体が吸収される医療器具から放出される、請求項1から9のいずれか一項に記載の器具。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の医療器具を提供する工程を含む、対象におけるCa2+に対するCaSRの感度を増強させる方法。
【請求項12】
前記医療器具が、骨、腱、靭帯、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つ又はその付近に移植される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記医療器具が、骨プレート、骨ネジ、圧縮ネジ、ラグネジ、干渉ネジ、クギ、髄内クギ、ピン、ホッチキス、縫合糸、外部固定器具、再建関節移植物、臀部、肘、膝、又は肩の移植物の成分、接着剤、骨セメント又は骨空間充填剤、及び軟組織固定器具から本質的になる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記軟組織固定器具がスーチャーアンカーである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
Ca2+に対するCaSRの感度の増強が骨化を促進する、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
対象における骨化を促進する、請求項1から10のいずれか一項に記載の器具の使用。
【請求項17】
添付の明細書及び図面に実質的に開示されている、器具、方法、又は使用。
【請求項18】
ポリマー材料、カルシウムセンシングアゴニスト、及びカルシウム塩を含む組成物。

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−527252(P2010−527252A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507721(P2010−507721)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/063389
【国際公開番号】WO2008/141268
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504048135)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (42)
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW,INC.
【住所又は居所原語表記】150 Minuteman Road,Andover,MA 01810,United States of America
【Fターム(参考)】