説明

カルシウム複合体及びそれらで強化した食品

【課題】乳製品をベースとした製品を強化するためのカルシウム源を提供する。
【解決方法】不溶性カルシウム源とクエン酸及び乳酸の溶液との相互作用によって形成される準安定性複合体。強化量の前記準安定性複合体を含む強化食品、及び前記複合体を形成してから食品に前記複合体を添加するか、又は前記食品中において前記複合体を形成することによる強化食品の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品及び飲料、特に蛋白質を含有する食品及び飲料のカルシウムによる強化に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルクは、重要な食事性カルシウム源である。体内で最も多い無機質であるカルシウムは、骨及び歯の主要な構成要素である。この無機質はまた、いくつかの生理学的系において重要な役割を果たす。カルシウムは、子供の健康な骨及び歯の発育に重要で、適切に摂取することが不可欠である。カルシウム状態はまた、高齢者の骨粗鬆症の発症の因子である。
【0003】
体内では無機質は産生されないので、食品又はサプリメントによる体外からのカルシウム供給に全面的に依存している。人間の一生全体において、適切にカルシウムを摂取することが重要であることは認識されている。1994年に、NIH合意声明によって、各年齢群の1日の推奨カルシウム摂取許容量は1日当たり800〜1200mgから1日当たり1500mgに修正された。
【0004】
カゼインに関連したカルシウムは胃腸管での吸収を促進することが示唆されてきた。また、カルシウムの有機酸塩は無機塩よりも一般的に生物学的に利用されやすいことも発見された。クエン酸カルシウムは、生物学的利用性が高いので、強化食品において使用するためにはその他のカルシウム塩よりも有利である。一般的なカルシウムとは対照的に、クエン酸カルシウムでは、その他の無機質特に鉄の吸収を妨害する作用はほんのわずかである。また、クエン酸イオンは結石形成性カルシウム塩の結晶化の阻害剤であるので、クエン酸カルシウムによって、カルシウムの長期補給による腎臓結石及び尿路結石形成の危険性を減少させることができる。
【0005】
カルシウムのミルクへの添加は、非常に重要な問題である。第1に、溶解性の高いカルシウム源(塩化カルシウムなど)を使用すると、低温殺菌温度であっても温度処理中に、高い水準の溶解性カルシウムによって蛋白質の凝固が引き起こされる。第2に、難溶性のカルシウム源では蛋白質ミセルは不安定ではないが、迅速に沈殿するだろう。したがって、カルシウム源の溶解性は非常に狭い溶解度の範囲内に保たなければならない。また、遊離カルシウムと結合カルシウムとの比を著しく変化させないために、非常に微細な形状のコロイド状カルシウムを形成しなければならない。この場合、添加の順番がカルシウム準安定化合物形成に重大な影響を及ぼす可能性がある。考慮しなければならない他の要因は、強化したミルクのpHで、pHは温度処理中に変化するためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
凝固及び沈殿を起こさず、風味を改善し、かつ苦味又は不快臭を与えずに、ミルク、カゼイン又はホエイ含有飲料及びその他の乳製品をベースとした製品を強化するために、カルシウム源を得ることが強く望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水酸化カルシウム、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムなどのアルカリ性カルシウム源と、乳酸とクエン酸の混合物との相互作用によって形成されたカリウム含量の低い準安定カルシウム複合体を開発した。該複合体を使用して、蛋白質の凝固又は塩の沈殿を起こさずに、カリウムイオンの存在による不快臭がほとんど又は全くないことから、風味が改善された、ミルク、ミルク飲料、乳製品、栄養補給飲料及び乳児用調製乳を強化することができる。
【0008】
本発明では、アルカリ性カルシウム源と、乳酸とクエン酸の混合物との相互作用によって形成された準安定性複合体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
該アルカリ性カルシウム源は、たとえば、懸濁して使用するのに便利な水酸化カルシウム、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムであってよい。乳酸とクエン酸の混合物は、溶液、特に水溶液として使用すると便利である。
【0010】
同時係属中のUSSN08/842472号は、乳酸カルシウムとクエン酸アルカリ金属塩、好ましくはクエン酸カリウムの溶液を混合することによって形成された準安定性クエン酸カルシウム−乳酸複合体を開示している。該乳酸カルシウムクエン酸準安定性複合体は、クエン酸カルシウムよりも溶解性がかなり高いカルシウムの形態であり、カルシウムを強化した飲料での塩の沈殿が最小限に抑えられる。一方、複合体形成によって、ミルク等の飲料又はその他の乳製品をベースとした製品の熱処理中に蛋白質凝固を防ぐ遊離イオン性カルシウム含量の減少が引き起こされた。この同時係属出願で記載された好ましい複合体は、K[Ca Citr Lact]の式を有する中性の準安定性複合体で、該複合体を大量に強化に使用すると、カルシウムに対するカリウムのモル比(カルシウム1モル当たりカリウム3モル)によってカリウム含量が高くなり、苦味という不都合が生じる。
【0011】
本発明では、「Citr」は式OOC−CH−COH(COO)−CH−COOを意味し、「Lact」は式CH−CH(OH)−COOを意味する。
【0012】
本発明の新規乳酸−クエン酸カルシウム準安定性複合体は、アルカリ性カルシウム源、たとえば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの懸濁液と所望量のクエン酸及び乳酸水溶液とを混合することによって形成することが好ましい。これらの複合体は、従来のK[Ca Citr Lact]複合体の利点を全て備えていながら、カリウム含量を減少/排除することによって苦味をほとんど、又は全く有さない。カリウム量の少ない準安定性複合体の好ましい式は、K[Ca Citr0.67 Lact]及びK0.5[Ca Citr0.67 Lact0.5](カリウムに対するカルシウムのモル比はそれぞれ1:1及び1:0.5である)で、カリウム無しの場合は[Ca Citr0.33 Lact]及び[Ca Citr0.5 Lact0.5である。
【0013】
乳酸に対するクエン酸の重量比は、0.5:4から4:0.5であってよく、好ましくは0.75:2.5から2.5:0.75で、特に1:2から2:1である。
【0014】
アルカリ性カルシウム源に対するクエン酸及び乳酸の重量比は、1:1から10:1であってよく、好ましくは2:1から7.5:1であり、特に2.5:1から5:1である。
【0015】
カラギーナンを該複合体に存在させると有利で、ラムダ型又はイオタ型でもよいが、カッパ型カラギーナンが好ましい。強化食品に存在するカラギーナンの量は、該食品の重量に対して0.005から0.1重量%にすると十分で、0.1から0.05重量%が好ましく、0.01から0.02重量%がより好ましい。
【0016】
本発明では、アルカリ性カルシウム源と、乳酸とクエン酸の混合物との相互作用によって形成された複合体の強化量を含む強化食品がまた提供される。
【0017】
該強化食品は、たとえば、乳児用調製乳、乳製品又はダイズ蛋白質をベースにした製品、液体栄養補給製品又は菓子製品、たとえば、全蛋白質製品、加水分解ホエイ蛋白質製品ミルク、カゼイン又はホエイ含有飲料であってよい。
【0018】
強化食品に存在させる複合体の量は、該食品の重量に対して0.05から5重量%であってよく、0.1から2.5重量%が好ましく、0.2から1.3重量%がより好ましい。
【0019】
好ましくは該複合体を該食品に添加する前に、カラギーナンを該食品に添加すると有利であり得る。カラギーナンは、ラムダ型又はイオタ型であってよいが、カッパ型カラギーナンが好ましい。強化食品に存在させるカラギーナンの量は、該食品の重量に対して0.005から0.1重量%であってよく、0.1から0.05重量%が好ましく、0.01から0.02重量%がより好ましい。該カラギーナンはまた、水性溶液若しくは懸濁液の形態で、又は乾燥粉末として該食品に添加することができる。
【0020】
最初に該複合体を形成して、その後食品に添加する代わりに、該複合体の成分(アルカリ性カルシウム源と乳酸とクエン酸の混合物)を強化する食品(該成分がこの中で複合体を形成する)、たとえば、ミルク又はミルク飲料などの液体食品に、同時に又は次々に添加することができる。この実施形態では、片方又は両方の成分を固形状態で、又は溶液で、又は分散液で添加して、強化食品を形成することができる。
【0021】
本発明はさらに、乳酸とクエン酸の混合物と共にアルカリ性カルシウム源を食品に添加し、食品内で複合体を形成することを含む強化食品の調製方法を提供する。
【実施例】
【0022】
以下の実施例はさらに、本発明を例示する。
【0023】
(実施例1)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.67 Lact]のカルシウム複合体の調製方法を示す。
【0024】
クエン酸(2.10グラム)を室温で水80gに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水14.57グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸の溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。得られた溶液を水800グラムに20℃で添加して、pHを6.6から7.0に調節する。
【0025】
得られた溶液を2つの部分に分けた。1つ目の部分は室温で保存して、もう1つの部分は冷蔵条件下で保存した。両保存条件で2週間目及び4週間目に採取した試料の(沈殿又は凝固のない)安定性を検査した。該溶液の風味は、モナディックテストに適格の3人の試飲パネルが判定した。
【0026】
(実施例2)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.67 Lact]のカルシウム複合体の調製方法及びミルク強化用の該複合体の使用方法を示す。
【0027】
クエン酸(2.10グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水14.57グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸の溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。
【0028】
カッパカラギーナン0.15グラムをミルク50グラムに溶解した。該ミルクを165°Fで5分間加熱し、次に20℃まで冷却した。該カラギーナン/ミルクの混合物及び脱脂ドライミルク4.0グラムをミルク846グラムに添加した。次に、水性カルシウム複合体(100g)をミルクに添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0029】
強化ミルクを低温殺菌して、冷蔵条件下で保存した。該試料は(沈殿したり、凝固したりすることなく)3週間安定であると判定された。該製品の風味は、モナディックテストに適格の3人の試飲パネルによって判定された。
【0030】
(実施例3)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.67 Lact0.50.5−のカルシウム複合体の調製方法を示す。
【0031】
クエン酸(2.10グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液1.11グラムを撹拌しながら添加した。水15.68グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸の溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。得られた溶液を水800グラムに20℃で添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0032】
得られた溶液を2つの部分に分けた。1つ目の部分は室温で保存して、もう1つの部分は冷蔵条件下で保存した。両保存条件で2週間後及び4週間後に採取した試料の(沈殿又は凝固のない)安定性を検査した。該溶液の風味は、モナディックテストに適格の3人の試飲パネルによって判定された。
【0033】
(実施例4)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.67 Lact0.50.5−のカルシウム複合体の調製方法及びミルクを強化するための該複合体の使用方法を示す。
【0034】
クエン酸(2.10グラム)を室温で水80gに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液1.11グラムを撹拌しながら添加した。水14.57グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸の溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。
【0035】
ミルク50グラムに、カッパカラギーナン0.15グラムを溶解した。該ミルクを165°Fで5分間加熱し、次に20℃まで冷却した。該カラギーナン/ミルクの混合物及び脱脂ドライミルク4.0グラムをミルク846グラムに添加した。次に、水性カルシウム複合体をミルクに添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0036】
強化ミルクを低温殺菌して、冷蔵条件下で保存した。該試料が(沈殿したり、凝固したりすることなく)3週間安定であることを判定した。該製品の風味は、モナディックテストに適格の3人の試飲パネルによって判定された。
【0037】
(実施例5)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.33 Lact]のカルシウム複合体の調製方法を示す。
【0038】
クエン酸(1.05グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水15.62グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。得られた溶液を水800グラムに室温で添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0039】
得られた溶液を2つの部分に分けた。1つ目の部分は室温で保存して、もう1つの部分は冷蔵条件下で保存した。両保存条件で2週間後及び4週間後に採取した試料の(沈殿又は凝固のない)安定性を検査した。該溶液の風味は、モナディックテストに適格の3人の試飲パネルが判定した。
【0040】
(実施例6)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.33 Lact]のカルシウム複合体の調製方法及びミルクを強化するための該複合体の使用方法を示す。
【0041】
クエン酸(1.05グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水15.62グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。
【0042】
ミルク50グラムに、カッパカラギーナン0.15グラムを溶解した。該ミルクを165°Fで5分間加熱し、次に20℃まで冷却した。該カラギーナン/ミルクの混合物及び脱脂ドライミルク4.0グラムをミルク868グラムに添加した。次に、水性カルシウム複合体をミルクに添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0043】
強化ミルクを低温殺菌して、冷蔵条件下で保存した。該試料は(沈殿したり、凝固したりすることなく)3週間安定であると判定された。該製品の風味は、モナディックテストに適格の6人の試飲パネルによって判定された。
【0044】
(実施例7)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.5 Lact0.5のカルシウム複合体の調製方法を示す。
【0045】
クエン酸(1.58グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水16.2グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。得られた溶液を水800グラムに室温で添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0046】
得られた溶液を2つの部分に分けた。1つ目の部分は室温で保存して、もう1つの部分は冷蔵条件下で保存した。両保存条件で2週間目及び4週間目に採取した試料の(沈殿又は凝固のない)安定性を検査した。該製品の風味は、モナディックテストに適格の6人の試飲パネルによって判定された。
【0047】
(実施例8)
以下の実施例は、式[Ca Citr0.5 Lact0.5のカルシウム複合体の調製方法及びミルクを強化するための該複合体の使用方法を示す。
【0048】
クエン酸(1.58グラム)を室温で水80グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液2.22グラムを撹拌しながら添加した。水16.2グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合した。
【0049】
ミルク50グラムに、カッパカラギーナン0.15グラムを溶解した。該ミルクを165°Fで5分間加熱し、次に20℃まで冷却した。該カラギーナン/ミルクの混合物及び脱脂ドライミルク4.0グラムをミルク868グラムに添加した。次に、水性カルシウム複合体をミルクに添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0050】
強化ミルクを低温殺菌して、冷蔵条件下で保存した。該試料が(沈殿したり、凝固したりすることなく)4週間安定であることを判定した。該製品の風味は、モナディックテストに適格の6人の試飲パネルによって判定された。
【0051】
(実施例9)
以下の実施例は、式K0.5[Ca Citr0.5 Lact0.5のカルシウム複合体の調製方法を示す。
【0052】
クエン酸1水和物(2.10グラム)を室温で水60グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液1.11グラムを撹拌しながら添加した。水15.7グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合し、次に水10グラムに水酸化カリウム0.42グラムを溶かした溶液を撹拌しながら添加した。得られた溶液を水900グラムに室温で添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0053】
得られた溶液を2つの部分に分けた。1つ目の部分は室温で保存して、もう1つの部分は冷蔵条件下で保存した。両保存条件で2週間後及び4週間後に採取した試料の(沈殿又は凝固のない)安定性を検査した。該溶液の風味は、モナディックテストに適格の6人の試飲パネルによって判定された。
【0054】
(実施例10)
以下の実施例は、式K0.5[Ca Citr0.5 Lact0.5のカルシウム複合体の調製方法及びミルクを強化するための該複合体の使用方法を示す。
【0055】
クエン酸1水和物(2.10グラム)を室温で水60グラムに溶解した。該溶液に50%乳酸溶液1.11グラムを撹拌しながら添加した。水15.7グラムに溶かした水酸化カルシウム1.11グラムの分散液を20℃で調製した。該水酸化カルシウム懸濁液及び2種類の酸溶液を一緒にして、透明な溶液が形成されるまで10分間混合し、次に、水10グラムに水酸化カリウム0.42グラムを溶かした溶液を撹拌しながら添加した。
【0056】
ミルク50グラムに、カッパカラギーナン0.15グラムを溶解した。該ミルクを165°Fで5分間加熱し、次に20℃まで冷却した。該カラギーナン/ミルクの混合物及び脱脂ドライミルク4.0グラムをミルク846グラムに添加した。次に、水性カルシウム複合体をミルクに添加して、pHを6.6から7.0に調節した。
【0057】
強化ミルクを低温殺菌して、冷蔵条件下で保存した。該試料が(沈殿したり、凝固したりすることなく)4週間安定であることを判定した。該製品の風味は、モナディックテストに適格の6人の試飲パネルによって判定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性カルシウム源と、乳酸とクエン酸の混合物との相互作用によって形成された準安定性複合体。
【請求項2】
前記アルカリ性カルシウム源が、水酸化カルシウム、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムである、請求項1に記載の準安定性複合体。
【請求項3】
式K[Ca Citr0.67 Lact]を有する複合体。
【請求項4】
式K0.5[Ca Citr0.67 Lact0.5]を有する複合体。
【請求項5】
式[Ca Citr0.33 Lact]を有する複合体。
【請求項6】
式[Ca Citr0.5 Lact0.5を有する複合体。
【請求項7】
アルカリ性カルシウム源の懸濁液と、所望量のクエン酸と乳酸の溶液とを混合することを含む、請求項1に記載の準安定性複合体の調製方法。
【請求項8】
カラギーナンが存在していてもよい請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カラギーナンがカッパカラギーナンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ性カルシウム源と、乳酸とクエン酸の混合物との相互作用によって形成された複合体の強化量を含む強化食品。
【請求項11】
前記食品が乳児用調製乳、乳製品若しくはダイズ蛋白質をベースとした製品、液体栄養補給製品又は菓子製品である、請求項10に記載の強化食品。
【請求項12】
前記強化食品に存在する前記複合体の量は、前記食品の重量に対して0.05から5重量%までである、請求項10に記載の強化食品。
【請求項13】
アルカリ性カルシウム源と、クエン酸と乳酸の混合物との相互作用によって複合体を形成し、前記複合体を前記食品に添加することを含む、請求項10に記載の強化食品の調製方法。
【請求項14】
前記強化食品に存在するカラギーナンの量は、前記食品の重量に対して0.005から0.1重量%までである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
アルカリ性カルシウム源を乳酸とクエン酸の混合物と共に前記食品に添加し、前記食品内で前記複合体を形成することを含む、請求項12に記載の方法。

【公開番号】特開2006−166927(P2006−166927A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64345(P2006−64345)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【分割の表示】特願2000−541894(P2000−541894)の分割
【原出願日】平成11年3月23日(1999.3.23)
【出願人】(500166699)ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】