説明

カルボチオ酸のエステル化方法

式Iの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸のC-17ヒドロキシル基のエステル化による、式IIの化合物の製造方法は、化合物Iを、不活性溶媒中において、第三級アミンの存在下、わずかに過剰量の一般式R-COClの塩化アシル(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)で処理することを含む。好ましくは、該方法は、5℃〜−20℃の温度で、アセトンの存在下、ピリジンを使用して実施される。z。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、プロピオン酸フルチカゾンの製造における、しかし特にそれに限定されない、カルボチオ酸のエステル化方法に関し、及び、特定の中間体の使用に関する。
1つの態様において、本発明は、式Iの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸のC-17ヒドロキシル基の、改善されたエステル化方法に関し、該方法は、この中間体を、不活性溶媒中において、適切な第三級アミンの存在下、5℃〜−20℃の温度で、わずかに過剰量の一般式R-COClの塩化アシル(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)で処理して、式IIの17α-アシル誘導体を選択的に得ることを含む。
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
本発明は、先行技術において開示されている方法に記載の、2つの化学反応のうちの1つを抑制するので、先行技術において開示されている方法に比べて、より簡便であり、かつより経済効率の良いエステル化方法を提供する。本発明の方法のもう1つの特徴は、高純度の17α-エステルが得られることである。
【0004】
さらに詳細には、本発明は、式IIIの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の、改善された製造方法に関する。この化合物は、プロピオン酸フルチカゾンの合成における中間体であり、プロピオン酸フルチカゾンは、消炎ステロイド剤として使用される活性成分で、喘息及び慢性閉塞性肺疾患のような炎症性疾患の治療に有効である。
【化2】

【0005】
米国特許第4335121号、英国特許第2088877号、第2137206号、米国特許第4578221号、及び論文J. Med. Chem., 1994, 37, 3717-3729は、化合物Iの17α-プロピオニル化について記載しており、混成無水化合物IVを経由して、下に例示されている2つの化学的段階を経て、前記プロピオン酸フルチカゾン中間体IIIを得る。
【化3】

【0006】
第一段階(a)で、トリエチルアミンの存在下、溶媒としてジクロロメタンを使用し、化合物I 1モル当たり少なくとも2モルという過剰量の塩化プロピオニルを用いて、前記混成無水物IVを製造する。プロピオニル化反応の終了時に、該反応混合物を後処理(worked-up)し、淡黄色の固体を得る。第二段階(b)で、この固体をアセトン中に溶解し、ジエチルアミンで処理して、該混成無水物を化合物IIIへ変換する。アミノ分解反応が完了した時点で、該反応混合物を後処理し、化合物IIIを単離する。
【0007】
国際特許出願第03/066654号は、(a)化合物Iを、化合物I 1モル当たり少なくとも1.3モルのプロピオン酸活性化誘導体と反応させること、ならびに、ジエタノールアミン若しくはN-メチルピペラジンなどの、有機第一級又は第二級アミンを用いて、すべての式IVの化合物から硫黄結合部分を除去することによる、中間体IIIの製造を請求している。
【0008】
国際特許出願第01/62722号は、塩基の存在下で、ハロゲン化アルカノイルを用いる、ヒドロキシ酸化合物Vの17α-エステル化について開示しており、特に、(a)塩基としてトリエチルアミンを使用し、式Vのヒドロキシ酸を、化合物V 1モル当たり2.3モルの塩化プロピオニルと反応させること、ならびに、(b)(a)で得られる化合物を、ジエチルアミンとin situで反応させることによる、式VIの17α-プロピオン酸エステル化合物の製造について記載している。
【化4】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
カルボチオ酸のエステル化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
カルボチオ酸Iとその関連カルボン酸Vのどちらに関しても、前記先行技術で記載されている17α-アシル化方法のすべてが、17α−アシル化の完了を確実にするために過剰量のアシル化剤を使用し、それ故に、形成されるどの混成無水物についても、適切な第一級又は第二級アミンを用いるアミノ分解を必要とする。
今回、我々は、カルボチオ酸化合物Iの、一般式IIの化合物への変換が、以下の本明細書中に記載されている条件下で、対応する混成無水物の形成もほとんどなく、選択的に直接起こり得ることを発見した。本発明の方法に従って、不活性溶媒中において、適切な第三級アミンの存在下、わずかに過剰量の対応する塩化アシルと反応させることにより、化合物I、即ち前記中間体6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸は、一般式IIの化合物へ直接変換される。
【化5】

【0011】
前記先行技術の利点より優れた、本発明に特有の利点は、一般式IIの化合物が、対応する混成無水物のアミノ分解を行う必要もなく、化合物Iから直接得られることである。加えて、前記先行技術で記載されているアミノ分解条件下では、化合物IIIのようなカルボチオ酸誘導体の化学的安定性が制限され、それ故に、アミノ分解反応をなくすことによって単純化されている本発明の方法は、より高純度の17α-エステルを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に従って、式Iの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸のC-17ヒドロキシル基のエステル化による、式IIの化合物の製造方法が提供され、
【化6】

該方法は、化合物Iを、不活性溶媒中において、第三級アミンの存在下、わずかに過剰量の一般式R-COClの塩化アシル(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)で処理することを含む。好ましくは、該方法は5℃〜−20℃の温度で実施される。
【0013】
本発明はまた、治療上有用な医薬の製造のための、本発明の方法に従って製造される式IIの化合物の使用を提供する。
本発明は、対応する混成無水物のアミノ分解反応を行う必要もなく、一般式VIIの混成無水物
【化7】

(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)
をごく少量しか形成しない、改善されかつ単純化された、前記化合物Iの選択的17α-エステル化方法を提供する。
【0014】
該方法は、不活性溶媒中における、適切な有機第三級アミンの存在下での、化合物I、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸と、わずかに過剰量の一般式R-COClの塩化アシル(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)との反応を含み、一般式IIの化合物を産する
【化8】

(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)。
【0015】
本発明の特に好ましい実施態様は、式IIIの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の改善された製造方法を提供し、該方法は、6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸IIを、不活性溶媒中において、適切な第三級アミンの存在下、わずかに過剰量の塩化プロピオニルと反応させることを含む。
【0016】
前記式IIIの化合物は、式Aのプロピオン酸フルチカゾン(米国特許第4335121号に記載されている)のような消炎ステロイド剤の製造において、ならびに、その関連化合物である式Bの6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステル(国際特許出願第97/24365号に記載されている)の製造において有用な既知の中間体であり、プロピオン酸フルチカゾンは、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease(COPD))のような炎症性疾患の治療に極めて有効で、式Bの化合物は、有用な抗炎症活性を有し、かつ全身作用をほとんど又は全く持たない。
【0017】
【化9】

【0018】
従って、本発明はまた、プロピオン酸フルチカゾンの製造方法を提供し、該方法は、本発明の方法に従って6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸を製造することと、前記化合物をプロピオン酸フルチカゾンへ変換することを含む。
【0019】
また、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロフラン-3-イル)エステルの製造方法が提供され、該方法は、本発明の方法に従って6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸を製造することと、前記化合物を前記S-エステルへ変換することを含む。
【0020】
本発明は、式IIIの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の有利な製造方法を提供し、該方法は、不活性溶媒中において、適切な第三級アミンの存在下、5℃〜−20℃の温度で、化合物I、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸を、わずかに過剰量の塩化プロピオニルで処理することを含む。
【0021】
一般式R-COClの塩化アシルは、好ましくは、本発明の方法において、出発化合物I 1モル当たり、塩化アシル1.0〜1.2モルのモル比で、好ましくは、この範囲内の量で使用される。
本発明の17α-アシル化方法用の不活性溶媒は、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、酢酸エチル、2-ペンタノン、3-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン及び2-ブタノンを含む。アセトンは好ましい溶媒である。
選択的17α-プロピオニル化を実施するのに適切な第三級アミンは、ピリジン、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、N-メチルイミダゾール、及びN-メチルピロリジンを含む。
【0022】
本発明の17α-アシル化反応は、好ましくは、5℃〜−20℃の温度で行われる。
該特許の方法に適切であると、上で規定されている第三級アミンの使用は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムなどの無機炭酸塩などの、先行技術で既に記載されている他の塩基より優れた利点を与える。これらの塩基を使用する場合は、高レベルの混成無水化合物IVの形成、又は化合物Iの不完全な消費、又は炭酸水素ナトリウムを使用する場合に起こる高レベルの不純物の形成が回避される。
【0023】
本発明の方法の好ましい条件下では、ピリジンの存在下、化合物I 1モル当たり1.0〜1.2モルの塩化プロピオニルを用いて、17α-エステル化が完了し、そして該反応中に形成される混成無水物のレベルは、3%以下である(面積で、HPLCによる)。形成される混成無水物がこのような低レベルであるため、前記アミノ分解反応は必要とされず、化合物IIIは、プロピオニル化反応の後処理時に、高純度で単離される。
【0024】
化合物IIIが混成無水物を経由して製造される、前記先行技術で記載されている条件下では、アミノ分解反応中に、化合物IIIの部分的な分解が起こり得る。この分解は、特に長時間の反応が行われる際に問題となり、そしてそのような反応は、工業規模で想定内である。本発明で開示する条件下では、この化合物IIIのin situ分解が回避される。
【0025】
我々は、先行技術に従って、不純物(不純物G)の前駆体(G前駆体)が形成されることを発見した。
【化10】

【0026】
本発明の方法で、二量体Gは0.3%以下のレベルで形成される。そして該二量体Gは、0.5%より高いレベルでは、再結晶によって、最終産物プロピオン酸フルチカゾンから除去することが困難である。それ故に、実施すれば有意に全収率を下げることになる、所要の純度の物質を得るための繰り返しの再結晶が、回避される。
【0027】
本発明のもう1つの実施態様は、式VIIIの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-ブチリルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸、及び式IXの6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-イソブチリルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の改善された製造方法を提供する。
【化11】

【0028】
式VIII及びIXの化合物は、対応する混成無水物のアミノ分解反応を行う必要もなく、わずかに過剰量の対応する塩化アシルとの反応によって、化合物Iから直接製造される。
本発明の好ましい態様に従って、化合物VIIIを得るための化合物Iのエステル化は、5℃〜−20℃の温度で、好ましくは5℃〜0℃の温度で、アセトン中において、ピリジンの存在下、1.0〜1.2モルの塩化ブチリルを用いて行われる。化合物IXを得るための化合物Iのエステル化は、好ましくは、5℃〜−20℃の温度で、好ましくは5℃〜0℃の温度で、アセトン中において、ピリジンの存在下、1.0〜1.2モルの塩化イソブチリルを用いて行われる。
【実施例】
【0029】
下記実施例は、本発明及び特定の好ましい実施態様を示すものであって、かつ本発明の範囲の制限的特性を受けない。
【0030】
(実施例1: 6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の製造)
アセトン(175 ml)中の化合物I(10 g, 0.024 mol)懸濁液を−20℃まで冷却し、温度を−20℃〜−15℃に保ちながら、ピリジン(30 ml)及び塩化プロピオニル(2.3 ml, 0.026 mol)で処理する。反応が完了するまで、−20℃/−15℃で該混合物を撹拌する。必要であれば、該反応を完了するために、塩化プロピオニル(0.02 ml)の第2の添加を実施することができる。水(240 ml)及び濃塩酸(30 ml)の添加によって、化合物IIIが沈殿する。該懸濁液を0℃〜5℃の温度で2時間撹拌し、濾過して、該湿潤ケーキを、中性のpHになるまで冷却水で洗浄する。該固体を、真空下、40℃以下の温度で乾燥し、該表題化合物を、白色から類白色の固体(10.04 g; 88%; 純度、HPLCによる面積%: 96.1%)として得る。
【0031】
(実施例2: 6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-イソブチリルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の製造)
塩化イソブチリル(0.28 ml, 0.0027 mol)を、5℃〜0℃の温度で、アセトン(17.5 ml)、化合物I(1 g, 0.0024 mol)及びピリジン(3 ml)の混合物にゆっくり添加し、化合物Iが消費されるまで、その温度範囲で該混合物を撹拌する。該反応の完了時、水(24 ml)及び濃塩酸(3 ml)の添加によって、表題化合物が沈殿する。該懸濁液を0℃〜5℃の温度で1〜2時間撹拌し、濾過して、該湿潤ケーキを、中性のpHになるまで冷却水で洗浄する。該湿潤固体を、真空下、40℃より低い温度で乾燥し、該表題化合物を、白色から類白色の固体(1.09 g; 93%; 純度、HPLCによる面積%: 94.8%)として得る。
【0032】
(実施例3: 6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸の製造)
アセトン(17 ml)中の化合物I(1 g, 0.0024 mol)懸濁液を−20℃〜−15℃の温度まで冷却する。温度を−20℃〜−15℃に保ちながら、該溶液に、N-メチルイミダゾール(2.9 ml)及び塩化プロピオニル(0.23 ml, 0.0026 mol)を連続的に添加する。該反応の完了時、水(24 ml)及び濃塩酸(3 ml)の添加によって、化合物IIIが沈殿する。該懸濁液を約0℃で2時間撹拌し、濾過して、該湿潤ケーキを、中性のpHになるまで冷却水で洗浄する。該湿潤固体を、真空下、40℃以下の温度で乾燥し、該表題化合物を、白色から類白色の固体(1.0 g; 88%; 純度、HPLCによる面積%: 96.8%)として得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、即ち6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸
【化1】

のC-17ヒドロキシル基のエステル化による、式IIの化合物
【化2】

の製造方法であって、化合物Iを、不活性溶媒中において、第三級アミンの存在下、わずかに過剰量の、一般式R-COClの塩化アシル(式中、Rは-CH2CH3、-CH2CH2CH3又は-CH(CH3)2を表わす。)で処理することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記方法が5℃〜−20℃の温度で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記塩化アシルの使用量が、化合物I 1モル当たり、1.0モル〜1.2モルであることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
一般式R-COClの前記塩化アシルが塩化プロピオニルであり、Rが-CH2CH3を表わす、請求項1、2又は3記載の方法。
【請求項5】
前記第三級アミンがピリジン、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、N-メチルイミダゾール、及びN-メチルピロリジンであり、好ましくは、ピリジン、3-ピコリン、4-ピコリン、N-メチルイミダゾール、及びN-メチルピロリジンである、請求項1、2、3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記第三級アミンがピリジンである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記不活性溶媒がアセトンである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第三級アミンとしてピリジンが使用され、かつ前記不活性溶媒がアセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、酢酸エチル、2-ペンタノン、3-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン又は2-ブタノンである、好ましくは、アセトンである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記反応が−15℃〜−20℃の温度で行われる、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
一般式R-COClの前記塩化アシルが塩化ブチリルであり、Rが-CH2CH2CH3を表わす、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法であって、化合物Iが、アセトン中において、ピリジンの存在下、5℃〜−20℃の温度で、好ましくは5℃〜0℃の温度で、化合物I 1モル当たり、1.0〜1.2モルの塩化ブチリルで処理されることを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
一般式R-COClの前記塩化アシルが塩化イソブチリルであり、Rが-CH(CH3)2を表わす、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法であって、化合物Iが、アセトン中において、ピリジンの存在下、5℃〜−20℃の温度で、好ましくは5℃〜0℃の温度で、化合物I 1モル当たり、1.0〜1.2モルの塩化イソブチリルで処理されることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
プロピオン酸フルチカゾンの製造方法であって、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法に従って、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸を製造することと、前記化合物をプロピオン酸フルチカゾンへ変換することを含む、前記方法。
【請求項13】
6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロフラン-3-イル)エステルの製造方法であって、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法に従って、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸を製造することと、前記化合物を前記S-エステルへ変換することを含む、前記方法。
【請求項14】
治療上有用な医薬の製造のために、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法に従って製造される前記式IIの化合物の使用。

【公表番号】特表2008−517044(P2008−517044A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537362(P2007−537362)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005052
【国際公開番号】WO2006/043015
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(507128610)ホビオネ インテル リミテッド (7)
【Fターム(参考)】