説明

カンデサルタンシレキセチルを含む医薬組成物

有効成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルを含んでなり、曲線下面積として測定された1.5を超える相対生物学的利用能を示す医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカンデサルタンシレキセチルを含む医薬組成物、該組成物の製造方法、治療に使用される医薬品の製造における該組成物の使用方法、およびこのような組成物の投与による患者の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンデサルタンシレキセチルはカンデサルタンのプロドラッグ、すなわちアンジオテンシンIIのAT受容体への結合を抑止する化合物である。カンデサルタンシレキセチルは水に難溶である(溶解度0.05μg/ml未満)。
【0003】
【化1】

【0004】
医薬品有効成分の生物学的利用能はいくつかの因子によるが、一つの大きな因子は有効成分の水中溶解度である。固形で投与される水難溶性の医薬品有効成分(1gの水を溶解するのに5000gを超える水が必要なもの)の吸収に対する律速段階は有効成分の水への溶解である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は有効成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルを含んでなり、濃度曲線下面積(AUC)として測定された1.5を超える相対生物学的利用能を示す医薬組成物を提供する。
【0006】
本発明の一態様によれば、該活性成分は実質的に非晶質の形態である。
本発明の一態様によれば、該組成物はさらに可溶化剤を含む。
本発明の一態様によれば、該組成物の相対生物学的利用能は2を超える。
【0007】
本発明の医薬組成物は25℃で固体である。非晶質状態のカンデサルタンシレキセチルは、一種以上の可溶化剤または一種以上の水溶性ポリマーを含んでなるマトリクス中の薬剤の分散によって、または所望の状態で純薬剤(pure drug)の沈降のために特別に設計された工程によって得ることができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、該医薬組成物は有効成分と可溶化剤を含む。
本発明の一態様によれば、該組成物は有効成分、可溶化剤、崩壊剤、結合剤、および滑沢剤を含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、該組成物はカンデサルタンシレキセチル、プロピレンオキシド、デンプン、微晶質セルロースおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可溶化剤は別の化合物の水溶性を高める化合物である。好適な可溶化剤には界面活性剤が含まれる。界面活性剤は非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、あるいは両イオン性の界面活性剤でよい。好適な非イオン性界面活性剤にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはショ糖エステルが含まれる。好適な陰イオン性界面活性剤にはドデシル硫酸ナトリウム、1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、または脂肪酸の塩が含まれる。好適な陽イオン性界面活性剤にはアルキルトリメチルアンモニウム塩またはジアルキルジメチルアンモニウム塩が含まれる。好適な両イオン性界面活性剤には3((3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ)−1−プロパン硫酸塩またはドデシル−N−ベタインが含まれる。
【0011】
親水親油バランスが12を超え、親水性が支配的である好適な非イオン性界面活性剤には、ソルビタンまたは脂肪酸のポリオキシエチレンエステル(TWEEN20から80まで等)、脂肪アルコールのポリオキシエチレンエーテル(BRIJ56、58、78、96、98、99またはCremophor等)、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体[例えばPLURONIC F68またはF87のようなポロキサマー(POLOXAMER)等]が含まれる。
【0012】
水溶性ポリマーも、非晶質状態のカンデサルタンシレキセチルを得るために使用できる。水溶性ポリマーにはアルキルセルロース(メチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシブチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(ヒドロキシエチルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩(カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、カルボキシアルキルアルキルセルロース(カルボキシメチルエチルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロースエステル、デンプン、ペクチン(ナトリウムカルボキシメチルアミロペクチン等)、キチン誘導体(キトサン等)、ポリサッカリド(アルギン酸またはアルギン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、カラギナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアゴム、グアーガム、キサンタンゴムまたはゼラチン等)、ポリアクリル酸またはその塩(ポリメタクリル酸またはその塩、またはメタクリル酸共重合体等)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体や架橋ポリビニルピロリドン等)またはポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体等)が含まれる。本発明の一態様においては、水溶性ポリマーはポリビニルピロリドンまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体(ポロキサマー)である。
【0013】
カンデサルタンシレキセチルの該水溶性ポリマーに対する割合は1:9から約9:1でよく、例えば1:9から3:1である。本発明の組成物では、2種以上の水溶性ポリマーの混合物を使用してもよい。
【0014】
固形剤型には錠剤(例えば即放性錠剤、徐放性錠剤、被覆錠剤、ゲル被覆錠剤、腸溶性錠剤が含まれる)、カプセル(軟質ゼラチンカプセルおよび硬質ゼラチンカプセル等)、ペレットまたは粒子が含まれる。公知の賦形剤(増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤(glidant)、界面活性剤等)は上述のシステムと混合して所望の剤型に供することができる。
【0015】
薬剤と担体材料の固体分散体は溶媒を用いる方法で調製することができ、この場合薬剤は事前に溶解して担体材料および他の賦形剤と混合される。または、担体物質を事前に薬剤溶液に溶解して他の賦形剤と混合してもよい。
【0016】
あるいは、固体分散体はカンデサルタンシレキセチルを水溶性担体材料と共に粉砕することにより調製できる。
固体分散体は溶解・蒸発による方法、溶融・固化による方法、あるいはこれらの方法を組み合わせて調製してもよい。
【0017】
溶融方法ではカンデサルタンシレキセチルと水溶性担体が溶融状態で混ざり合うことが必要である。溶媒を用いる方法では、カンデサルタンシレキセチルおよび水溶性担体の両方が共通の溶媒に溶解され、その溶媒は[例えば、減圧蒸発、噴霧乾燥、凍結乾燥、超臨界結晶化、または他の同様な技法により]除去される。溶媒を用いる方法で調製された固体分散体は場合により共沈物(co-precipitates)または共濃縮物(co-evaporate)と呼ばれる。溶融・溶媒による方法では、溶解したカンデサルタンシレキセチルは溶融担体に添加される。
【0018】
溶媒を用いる方法は、カンデサルタンシレキセチルを少なくとも一種の親水性ポリマー担体を含有する揮発性有機溶媒中に溶解すること、及び溶媒を蒸発乾固させてカンデサルタンシレキセチルと親水性ポリマー担体の共濃縮物を形成することを含む。得られた共濃縮物の溶解速度は、蒸発の前または後に界面活性剤を有機溶媒に添加することでさらに大きくすることができる。崩壊剤のような他の添加物を加えてもよい。
【0019】
好適な溶媒には含酸素溶媒(エタノール、i−プロパノール、テトラヒドロフラン、i−プロピルエーテル、テトラヒドロピラン、アセトンまたはメチルエチルケトンのようなアルコール、エーテルまたはケトン等)または塩素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルムまたはこれらの溶媒の種々の割合の混合物等)が含まれる。
【0020】
溶融方法は、a)成分のうちの少なくとも一つを溶融しこの溶融物に他のものを分散させること、またはb)すべての成分を溶融することを含む。少なくとも一つの成分は親水性ポリマーでよい。界面活性剤または崩壊剤のような他の添加物を加えてもよい。
【0021】
カンデサルタンシレキセチルの小さい非晶質粒子は、カンデサルタンシレキセチルを一種の水混和性有機溶媒または複数種の水混和性有機溶媒の混合物(メタノール、エタノール、i−プロパノール、アセトニトリル、アセトンまたはジメチルスルホキシド等)中に溶解した後、水相と有機溶媒を混合することによってカンデサルタンシレキセチルを沈降させる、自然乳化溶媒拡散法(spontaneous emulsion solvent diffusion method)によって調製することができる。凝集を避けるため、水相は親水性ポリマーを含むことが好ましい。
【0022】
水相および/または有機溶媒中に添加物が存在すると沈降速度に影響を与える可能性があり、薬剤粒子サイズや形態の差異を生じることがある。好適な添加剤にはポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースまたはヒドロキシメチルセルロース)、塩(塩化ナトリウム、塩化カルシウムまたは塩化アルミニウム等)、増粘剤(ゼラチン、アカシア等)、または共溶媒(グリセロールまたはプロピレングリコール等)がある。
【0023】
小粒子は種々の方法で回収することができる。例えば遠心分離または超遠心分離、濾過、逆浸透およびそれに続く蒸発、加熱および/または真空による溶媒の蒸発、凍結乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥、または上述のいずれかの組み合わせによる方法である。
【0024】
小粒子の固体状態は、沈降速度が速いとき、すなわち水相中の有機溶媒の拡散が速いとき(例えば、有機溶媒と水の誘電率が類似することに起因する場合)は、非晶質の特性を有するかまたは部分的に結晶になるかもしれない。拡散過程が遅い場合には、カンデサルタンシレキセチルは結晶として沈澱するかもしれない。水性溶媒との関連でカンデサルタンシレキセチルの疎水性は、どのような種類の粒子が生成されるか、すなわち粒子サイズと形態にとっても重要である。
【0025】
下記の実施例により本発明を説明する。
【実施例】
【0026】
本項では、下記の実施例で使用される材料、調製手法および分析方法について述べる。ここで使用されるカンデサルタンシレキセチル(c.c.と略記)、CREMOPHOR RH40(商標)(ポリオキシル40硬化ヒマシ油)、ポリエチレングリコール6000、ポリビニルピロリドンK90、トウモロコシデンプン、ケイ酸アルミニウム、マンニトール、AVICEL(商標)(微結晶セルロース)、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム(PRUV)およびエタノール(95%)は、Astra ABから供給を受け、ポロキサマー188[PLURONIC F68(商標)]はBASFから供給を受け、ポリソルベート20[TWEEN 20(商標)]はAcrosから供給を受けた。
【0027】
溶解研究用媒体は、0.2%ポリソルベート20を500mlの0.05Mリン酸塩緩衝液(pH6.5)にパドル速度75rpm(米国薬局方溶解器具II)で溶解したものであった。すべての溶解試験で、8mgのカンデサルタンシレキセチルを溶媒に添加した(別記の場合を除く)。60%(v/v)アセトニトリル水溶液による抽出後(フィルター細孔径:0.45μm)、カンデサルタンシレキセチルの量は液体クロマトグラフィーおよび254nmにおける紫外検出により求めた。
【0028】
粒子は走査型電子顕微鏡(JEOL JSM−5400)によって観察した。分散体と粒子はFT−ラマン(パーキンエルマー2000)によって観察した。
【0029】
実施例1
本実施例は、溶融・固化方法によって調製された、ポロキサマー188中のカンデサルタンシレキセチルの固体分散体の調製について説明する。
パートA
カンデサルタンシレキセチル 10〜20%
ポロキサマー188 80〜90%
微結晶粉末状のカンデサルタンシレキセチルとポロキサマー188の混合物を約70℃で5分間加熱し(この温度はポリマーの融点よりも高いが活性化合物の融点よりも低い)、混合物を自然放冷した。室温で固化の後、分散体はストマッカー(Stomacher)を用いて粉砕した。得られた粉末を0.7mmのふるいにかけた。
分散体中の活性化合物は結晶質であることがラマン分析によって分かった。
【0030】
【表1】

【0031】
パートB:錠剤の形成
パートAからの粉砕溶融体を即放性顆粒(微小結晶セルロースとトウモロコシデンプンを主に含む)と1:2から1:5の割合(パートA対顆粒)で混合し、その結果得られた混合物の圧縮によって錠剤を作製した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
【0032】
【表2】

【0033】
実施例2
本実施例は、溶融・固化方法によって調製された、ポリエチレングリコール6000中のカンデサルタンシレキセチルの固体分散体の調製について説明する。
パートA
カンデサルタンシレキセチル 10〜20%
ポリエチレングリコール6000(PEG6000) 80〜90%
カンデサルタンシレキセチルとPEG6000の物理的混合物を約70℃(ポリマーの融点より高いが、活性化合物の融点よりかなり低い)で5分間加熱し、混合物を自然冷却した。室温で固化の後、分散体はストマッカーを用いて粉砕した。得られた粒子を0.7mmのふるいにかけた。
分散体中の薬剤は結晶質であることがラマン分析により分かった。
【0034】
【表3】

【0035】
パートB:錠剤の形成
実施例1のパートBと同様の方法により、粉砕分散体を即放性顆粒と混合し、錠剤を作製した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
【0036】
【表4】

【0037】
実施例3
本実施例は、溶解・蒸発方法によって調製された、ポリビニルピロリドンK90中のカンデサルタンシレキセチルの固体分散体を含む錠剤の調製について説明する。
カンデサルタンシレキセチル 45%
ポリビニルピロリドンK90(PVP K90) 55%
カンデサルタンシレキセチルを7%(w/w)のPVP K90と共にエタノールに溶解した(45mg/ml)。得られた溶液を、即放性顆粒の形成のために、微結晶セルロース、マンニトールおよびケイ酸アルミニウムの粉体床と共に造粒液として用いた。50℃で乾燥後、得られた混合物を圧縮して錠剤を形成した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
分散体中の薬剤は非晶質であることがラマン分析により分かった。
【0038】
【表5】

【0039】
実施例4
本実施例は、界面活性剤を添加した溶解・蒸発方法によって調製された、カンデサルタンシレキセチルのポリビニルピロリドンK90中の固体分散体の調製について説明する。
カンデサルタンシレキセチル 31%または21%
PVP K90 38%または26%
CREMOPHOR RH40 31%または53%
活性化合物を、7%(w/w)のPVP K90とCREMOPHOR RH40(45または112.5mg/ml)と共にエタノールに溶解した(45mg/ml)。実施例3の方法を用いて錠剤を形成した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
分散体中の薬剤は部分的に結晶質であることがラマン分析により分かった。
【0040】
【表6】

【0041】
実施例5
本実施例は、直径250〜350nmの非晶質のカンデサルタンシレキセチル粒子の調製について説明する。
活性化合物を30mlエタノールに溶解した(10mg/ml)。本溶液を、1.5%(w/w)のPVP K90(125ml)水溶液にゆっくりと添加して、粒子を形成した。粒子懸濁液は遠心分離中に水で洗浄され、水体積は約2〜3mlに減少した。懸濁液を等容量の10%(w/w)のPVP水溶液と混合し、予め混合した微結晶セルロース、マンニトールおよびプリモジェル(primojel)の粉体混合物と共に造粒液(5%PVP K90)として用いて、即放性顆粒を形成し、それを圧縮して錠剤を形成した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
形成された粒子は完全な非晶質であることがラマン分析により分かった。
【0042】
【表7】

【0043】
実施例6
本実施例は、直径1〜3μmの非晶質のカンデサルタンシレキセチル粒子の調製について説明する。
活性化合物を10%(w/w)のPVP K90エタノール液に溶解した(60mg/ml)。本溶液を、等容量の1.5%(w/w)のPVP K90水溶液にゆっくりと添加して、粒子を形成した。粒子懸濁液を、予め混合した微結晶セルロース、マンニトールおよびプリモジェルの粉体混合物と共に造粒液(約5.3%(w/w)PVP K90)として用いて、即放性顆粒を形成し、それを圧縮して錠剤を形成した。錠剤は37℃の水溶液中で10分以内に崩壊した。
粒子は主に非晶質(結晶を一部に含む)であることがラマン分析により分かった。
【0044】
【表8】

【0045】
本発明の具体的態様を述べたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく本発明の種々の変更や修正がなされ得ることは当業者に明白であろう。添付の特許請求の範囲では、本発明の範囲内にあるすべてのそのような修正の保護が意図される。
【0046】
実施例7
固体分散体(ポロキサマー188)および非晶質小粒子についての生物学的利用能をラットにより研究した。分散体は経口投与し、粉末と粒子は懸濁状態として与えた。
カンデサルタンシレキセチルに対するラットの相対生物学的利用能は懸濁物として投与した場合には19%、溶液として投与した場合には50%である。
非晶質の薬剤小粒子の懸濁物は40%の相対生物学的利用能を有した。ポロキサマー188中のカンデサルタンシレキセチルの固体分散体に対する相対生物学的利用能は25%であった。
【0047】
実施例8
主に非晶質の形態のカンデサルタンシレキセチルを含有する錠剤(A)、急速に溶解する親水性ポリマーからなる錠剤マトリクス中に分散した主に結晶性薬剤を含有する錠剤(B)について、主に結晶性薬剤を含む標準錠剤(C)との関連で、生物学的利用能をヒトボランティアにより測定した。すべての錠剤は32mgのカンデサルタンシレキセチルを含んでいた。研究は交差法に従い、各錠剤は15人の健康なボランティアに単独投与された。錠剤Cに対する錠剤AとBの相対生物学的利用能は、カンデサルタンの血漿濃度−時間曲線の曲線下面積(AUC)から求めた。
【0048】
錠剤Aについての平均AUC比は錠剤C対比で2.55であったから、生物学的利用能は錠剤Aについては標準錠剤に比べて2倍を超えたことになる。錠剤Bについての対応するAUC比は1.24であり、この錠剤は参照に比較して統計的有意差(0.05を超えるp)は検出されなかった。
錠剤Aの組成
2000個の錠剤についての成分
カンデサルタンシレキセチル 16g
トウモロコシデンプン 107g
微結晶セルロース 288g
ポロキサマー188 64g
フマル酸ステアリルナトリウム 5g
精製水* 適量
*製造工程で使用されるが、乾燥の間に除去される。
錠剤Bの組成
2000個の錠剤についての成分
カンデサルタンシレキセチル 16g
ケイ酸アルミニウム 20g
95%(v/v)エタノール* 適量
ステアリン酸マグネシウム 4.6g
マンニトール 40g
微結晶セルロース 256g
ポリオキシル40硬化ヒマシ油 40g
架橋ポリビニルピロリドン 64g
ポリビニルピロリドンK90 20g
*製造工程で使用されるが、乾燥の間に除去される。
錠剤Cの組成
錠剤CはAstraZeneca ABから商品名ATACAND(商標)として市販されている8mgカンデサルタンシレキセチルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルを含んでなり、曲線下面積(AUC)として測定された1.5を超える相対生物学的利用能を示す医薬組成物。
【請求項2】
前記有効成分は実質的に非晶質の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
さらに可溶化剤を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
相対生物学的利用能が2を超える、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−502698(P2010−502698A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527320(P2009−527320)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000771
【国際公開番号】WO2008/030161
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】