説明

カンナビノイド受容体リガンドとしてのイミン誘導体

本明細書に開示されているのは、式(I)のカンナビノイド受容体リガンドであり、式中、Y、X、X、X、RおよびRは、本明細書で定義した通りである。こうした化合物を含む組成物、ならびにこうした化合物および組成物を使用して状態および障害を治療するための方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年8月15日に出願した米国特許出願第61/089,114号優先権を主張し、これらを参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(技術分野および背景)
本出願は、カンナビノイド受容体リガンドである化合物、こうした化合物を含む組成物、ならびにこうした化合物および組成物を使用して状態および障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マリファナの主要な精神活性成分である(−)−Δ−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)は、2種のカンナビノイド(CB)受容体サブタイプCBおよびCBとの相互作用を介して広範囲な影響を与えている。CB受容体は、中枢神経系において高発現し、循環器系および胃腸管系の様々な組織における末梢においてはそれ程発現しない。対照的に、CB受容体は、脾臓、胸腺、扁桃腺、骨髄、膵臓および肥満細胞を含めて、複数のリンパ器官および免疫系の細胞において最も豊富に発現する。
【0004】
Δ−THCおよび他の非選択的CBアゴニストによって引き起こされる向精神作用は、CB受容体によって媒介される。陶酔、鎮静、低体温、強直症および不安など、これらのCB受容体媒介作用は、非選択的CBアゴニストの開発および臨床的有用性を制限してきた。近年の研究により、CB調節剤はCB受容体の活性化に伴う悪い副作用を引き起こすことなく、侵害受容性疼痛および神経因性疼痛の前臨床モデルにおいて鎮痛性があることが実証された。したがって、選択的にCB受容体を標的とする化合物は、新規な鎮痛薬の開発において魅力的な手法である。
【0005】
疼痛は、患者が医師に伝える最も一般的な疾患症状であり、最も頻繁な愁訴である。疼痛は一般に、持続期間(急性対慢性)、強度(軽度、中程度および重度)および種類(侵害受容性対神経障害性)によって区分される。侵害受容性疼痛は、疼痛の最もよく知られている種類であり、傷害部位で侵害受容器により検出される組織傷害によって引き起こされる。傷害後、該部位は、進行中の疼痛および圧痛の原因となる。この疼痛および圧痛は、「急性」侵害受容性疼痛と考えられる。この疼痛および圧痛は、治癒が進行するにつれて徐々に軽減し、治癒が完了すると消失する。急性侵害受容性疼痛の例として、外科手技(術後疼痛)および骨折が挙げられる。永久的な神経傷害がないと思われる場合でさえ、疼痛が6カ月を超える場合、一部の状態により「慢性」侵害受容性疼痛が生じる。慢性侵害受容性疼痛の例として、骨関節炎、関節リウマチ、および骨格筋状態(例えば、背痛)、癌疼痛などが挙げられる。
【0006】
神経因性疼痛は、国際疼痛学会によって「神経系における原発病変または機能不全によって開始または引き起こされる疼痛」と定義されている。脳によって疼痛として最終的に知覚される神経インパルスの通過は、侵害受容性疼痛および神経因性疼痛の両方において同じであるが、神経因性疼痛は侵害受容性刺激に関連しているのではない。神経因性疼痛という用語は、多様な病因の広範囲な疼痛症候群を包含している。神経障害の性質の最も一般に診断される3種類の疼痛は、糖尿病性神経障害、癌神経障害およびHIV疼痛である。さらに、神経因性疼痛は、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、外傷性神経痛、線維筋痛、幻肢を含めた広範囲の他の障害、ならびに起源が不定または不明である多くの他の障害を持つ患者において診断される。
【0007】
疼痛病因の範囲の管理は、主要な公衆衛生問題として残っており、患者および臨床医の双方が、疼痛を効果的に管理するための改善された戦略を模索している。現在利用可能な治療または薬物で、全ての種類の侵害受容性および神経因性疼痛状態を効果的に治療するものはない。本発明の化合物は、侵害受容性および神経因性疼痛を含めた疼痛の治療において有用性を有する新規なCB受容体調節剤である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
免疫細胞の表面上のCB受容体の位置は、免疫調節および炎症におけるこれらの受容体に対する役割を示唆している。近年の研究により、CB受容体リガンドは免疫調節および抗炎症の特性を有することが実証された。したがって、CB受容体と相互作用する化合物は、免疫性および炎症性障害の治療のための独特の薬物療法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要旨)
本明細書に開示されているのは、式(I)
【0010】
【化1】

の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの任意の組合せであり、式中、
は、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり、ここで、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は、それぞれ独立して、非置換である、またはTで表される通りの1個、2個、3個、4個もしくは5個の置換基で置換されており、ここで、各Tは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、−CN、−NO、オキソ、−G、−L−A、−SR、−S(O)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)R、−C(=N−ORm1)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、−(CR−OR、−(CR−OC(O)R、−(CR−OC(O)N(R)(R)、−(CR−SR、−(CR−S(O)、−(CR−S(O)N(R)(R)、−(CR−C(O)R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−N(R)(R)、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)、−(CR−N(R)C(O)O(R)、−(CR−N(R)C(O)N(R)(R)、−(CR−Gおよび−(CR−CNからなる群から選択され、
は、R、−(CR−A、−C(O)R、−C(O)N(R)(R)、S(O)、C(O)O(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)(R)または−N=C(R)(R)であり、
は、−C(O)R、−S(O)、−C(O)N(R)(R)、−C(S)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(=NORm1)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)S(O)N(R)(R)または−L−Rであり、
およびLはそれぞれ独立して、OまたはN(R)であり、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−SO−R、−(CR−N(R)(R)、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
はNであり、XはOまたはSであり、ここで、XとXとの間の結合は二重結合であり、XとXとの間の結合は単結合である、または
はCRであり、XはOであり、ここで、XとXとの間の結合は二重結合であり、XとXとの間の結合は単結合である、または
はNR3aまたはOであり、XはCRであり、ここで、XとXとの間の結合は単結合であり、XとXとの間の結合は二重結合であり、
はCRであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキルまたはハロアルキルであり、
3aは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキルまたはハロアルキルであり、
は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロ、シアノ、シアノアルキルまたは単環式複素環であり、
は、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロ、シアノまたはアルコキシアルキルであり、
Yは、CNまたはORであり、
は、アルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
、GおよびGは、各出現において、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であり、ここで、G、GおよびGは、それぞれ独立して、非置換である、またはG、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、=N−CN、=N−ORm1、−CN、オキソ、−NO、−OR、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−S(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)O(R)、−N(R)C(O)N(R、−(CR−OR、−(CR−OC(O)R、−(CR−OC(O)N(R、−(CR−S(O)、−(CR−S(O)N(R、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R、−(CR−N(R、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)、−(CR−N(R)C(O)O(R)、−(CR−N(R)C(O)N(Rおよび−(CR−CNからなる群から独立して選択される1個、2個、3個、4個もしくは5個の置換基で置換されており、
およびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素またはアルキルであり、
rおよびuは、各出現において、それぞれ独立して、1、2、3、4、5または6であり、
tは、各出現において、独立して、2、3、4、5または6であり、
vは、1または2であり、
wの各出現は、独立して、1、2または3であり、
は、単環式複素環、単環式ヘテロアリールまたは単環式シクロアルキルであり、
およびGはそれぞれ、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群から独立して選択される単環であり、
およびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキルまたはハロアルコキシアルキルであり、
は、各出現において、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
、R、R、R、RおよびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキルまたはハロアルコキシアルキルであり、
は、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、−(CR−ORm1または単環式シクロアルキルであり、
m1は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたは単環式シクロアルキルであり、
は、各出現において、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、
自体がR、R3a、R、G、G、G、R、R、Rm1およびRの置換基の部分であるシクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびフェニルは、それぞれ独立して、非置換である、またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロ、オキソ、シアノおよびヒドロキシからなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されている。
【0011】
別の態様は、本明細書に記載されている1種以上の化合物(単数または複数)または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物の治療有効量を、1種以上の医薬として許容できる担体(単数または複数)と組み合わせて含む医薬組成物に関する。こうした組成物は、本明細書に記載されている方法に従って、通常カンナビノイド(CB)受容体サブタイプCBに関連する状態および障害の治療または予防のための治療計画の一部として投与することができる。さらに特に、該方法は、これらに限定されないが、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、癌疼痛、腰痛、術後疼痛または眼痛などの疼痛;炎症性障害、免疫障害、神経障害、免疫系の癌、呼吸器障害、肥満、糖尿病、循環器障害に関連する状態を治療するのに、または神経保護を提供するのに有用である。
【0012】
さらに、本発明において提供されるのは、上に記載されている疾患状態の治療、特に、これらに限定されないが、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、癌疼痛、炎症性疼痛、眼痛またはこれらの組合せなどの疼痛の治療のための薬物の製造において、単独で、または1種以上の医薬として許容できる担体と組み合わせる、本化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物の使用である。
【0013】
該化合物、該化合物を含む組成物、および該化合物を投与することによって状態および障害を治療または予防するための方法を、本明細書にさらに記載する。
【0014】
本発明のこれらの対象および他の対象を、以下の段落に記載する。これらの対象は、本発明の範囲を狭めるものと見なすべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
式(I)
【0016】
【化2】

(式中、Y、X、X、X、RおよびRは、発明の要旨において上記で、および発明を実施するための形態において下記で定義されている通りである。)の化合物を、開示する。こうした化合物を含む組成物ならびにこうした化合物および組成物を使用して状態および障害を治療するための方法も開示する。
【0017】
各種実施形態において、化合物は、任意の置換基または本明細書における式において1度を超えて発生し得る変形を含むことができる。各発生における変形の定義は、別の発生におけるその定義から独立している。さらに、置換基および変形の組合せは、こうした組合せで安定な化合物が得られる場合のみ容認できる。安定な化合物は、反応混合物から単離することができる化合物である。
【0018】
a.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、それとは反対の記載がない限り、以下の用語は下記の意味を有する。
【0019】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、2個から10個の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。「C−Cアルケニル」という用語は、2個−4個の炭素原子を含有するアルケニル基を意味する。アルケニルの代表例として、これらに限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル、および3−デセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニルおよび3−デセニルが挙げられる。
【0020】
「アルケニレン」という用語は、2個から4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の炭化水素から誘導された2価の基を意味し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する。アルケニレンの代表例として、これらに限定されないが、−CH=CH−および−CHCH=H−が挙げられる。
【0021】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子を介して親分子部分に付加している、本明細書において定義した通りのアルキル基を意味する。アルコキシの代表例として、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシが挙げられる。
【0022】
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義した通りのアルキレン基を介して親分子部分に付加している、本明細書において定義した通りのアルコキシ基を意味する。アルコキシアルキルの代表例として、これらに限定されないが、tert−ブトキシメチル、2−エトキシエチル、2−メトキシエチルおよびメトキシメチルが挙げられる。
【0023】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から10個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を意味する。「C−Cアルキル」という用語は、1個から4個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。アルキルの代表例として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルが挙げられる。
【0024】
「アルキルカルボニル」という用語は、C(O)基を介して親分子部分に付加している本明細書において定義した通りのアルキル基を意味する。アルキルカルボニルの代表例として、これらに限定されないが、アセチル、1−オキソプロピル、2,2−ジメチル−1−オキソプロピル、1−オキソブチルおよび1−オキソペンチルが挙げられる。
【0025】
「アルキレン」という用語は、1個から10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖炭化水素から誘導された2価の基を意味する。アルキレンの代表例は、これらに限定されないが、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−および−CHCH(CH)CH−が挙げられる。
【0026】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、2個から10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。「C−Cアルキニル」という用語は、2個−4個の炭素原子を含有するアルキニル基を意味する。アルキニルの代表例として、これらに限定されないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニルおよび1−ブチニルが挙げられる。
【0027】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、フェニルまたは二環式アリールを意味する。二環式アリールは、ナフチル、または単環式シクロアルキルに縮合しているフェニル、または単環式シクロアルケニルに縮合しているフェニルである。アリール基の代表例として、これらに限定されないが、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニルおよびテトラヒドロナフタレニルが挙げられる。二環式アリールは、二環系内に含有されている任意の炭素原子を介して親分子部分に結合している。本発明のアリール基は、非置換または置換されていてよい。
【0028】
「シアノアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義した通りのアルキル基を介して、親分子部分に付加している−CN基を意味する。シアノアルキルの代表例として、これらに限定されないが、シアノメチル、2−シアノエチルおよび3−シアノプロピルが挙げられる。
【0029】
「シクロアルキル」または「シクロアルカン」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式、二環式または三環式のシクロアルキルを意味する。単環式シクロアルキルは、3個から8個の炭素原子、0個のヘテロ原子および0個の二重結合を含有する炭素環系である。単環系の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環、または単環の2個の非隣接炭素原子が1個、2個、3個または4個の炭素原子を含有するアルキレン架橋によって連結されている架橋単環系に縮合している単環式シクロアルキルである。二環系の代表例として、これらに限定されないが、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナンおよびビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられる。三環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキルに縮合している二環式シクロアルキル、または環系の2個の非隣接炭素原子が1個、2個、3個または4個の炭素原子のアルキレン架橋によって連結されている二環式シクロアルキルによって例示される。三環系の代表例として、これらに限定されないが、トリシクロ[3.3.1.03,7]ノナン(オクタヒドロ−2,5−メタノペンタレンまたはノルアダマンタン)およびトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン(アダマンタン)が挙げられる。単環式、二環式および三環式のシクロアルキルは、非置換または置換されていてよく、該環系内に含有される任意の置換可能な原子を介して親分子部分に結合している。
【0030】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義した通りのアルキル基を介して親分子部分に付加している、本明細書において定義した通りのシクロアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの代表例として、これらに限定されないが、シクロプロピルメチル、2−シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルおよび4−シクロヘプチルブチルが挙げられる。
【0031】
「シクロアルケニル」または「シクロアルケン」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式または二環式の炭化水素環系を意味する。単環式シクロアルケニルは、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する。4員の環系は、1つの二重結合を有し、5員または6員の環系は、1つまたは2つの二重結合を有し、7員または8員の環系は、1つ、2つまたは3つの二重結合を有する。単環式シクロアルケニル基の代表例として、これらに限定されないが、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられる。二環式シクロアルケニルは、単環式シクロアルキル基に縮合している単環式シクロアルケニル、または単環式シクロアルケニル基に縮合している単環式シクロアルケニルである。単環式または二環式のシクロアルケニル環は、それぞれが1個、2個または3個の炭素原子からなり、それぞれが環系の2個の非隣接炭素原子を連結している、1個または2個のアルキレン架橋を含有することができる。二環式シクロアルケニル基の代表例として、これらに限定されないが、4,5,6,7−テトラヒドロ−3aH−インデン、オクタヒドロナフタレニルおよび1,6−ジヒドロ−ペンタレンが挙げられる。単環式および二環式のシクロアルケニルは、該環系内に含有されている任意の置換可能な原子を介して親分子部分に結合していてよく、非置換または置換されていてよい。
【0032】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0033】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、1個、2個、3個、4個、5個または6個の水素原子がハロゲンによって置き換えられている、本明細書において定義した通りのアルコキシ基を意味する。「C−Cハロアルキル」という用語は、1−4個の炭素原子のハロアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例として、これらに限定されないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−クロロ−3−フルオロペンチルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのトリフルオロプロピルが挙げられる。
【0034】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、1個、2個、3個、4個、5個または6個の水素原子がハロゲンで交換されている、本明細書において定義した通りのアルコキシ基を意味する。ハロアルキルの代表例として、これらに限定されないが、2−フルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシおよびジフルオロメトキシが挙げられる。
【0035】
「ハロアルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義した通りのアルキル基を介して親部分に付加されている、本明細書において定義した通りのハロアルコキシ基を意味する。
【0036】
「複素環」または「複素環式」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式複素環、二環式複素環または三環式複素環を意味する。単環式複素環は、O、N、およびSからなる群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3員、4員、5員、6員、7員または8員の環である。3員または4員環は、0または1つの二重結合、ならびにO、NおよびSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、0個または1個の二重結合を含有し、O、NおよびSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する。6員環は、0、1つまたは2つの二重結合を含有し、O、NおよびSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する。7員および8員環は、0、1つ、2つまたは3つの二重結合を含有し、O、NおよびSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する。単環式複素環の代表例として、これらに限定されないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾニリル、オキサジアゾリジニル、オキサゾニリル、オキサゾリジニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾニリル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニルおよびトリチアニルが挙げられる。二環式複素環は、フェニル基に縮合している単環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合している単環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合している単環式複素環、または単環式複素環に縮合している単環式複素環、または該環の2個の非隣接原子が1個、2個、3個もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋または2個、3個もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によって連結されている架橋単環式複素環の環系である。二環式複素環の代表例として、これらに限定されないが、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルを含める。)および2,3−ジヒドロ−1H−インドリルが挙げられる。三環式複素環は、フェニル基に縮合している二環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合している二環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合している二環式複素環、または単環式複素環に縮合している二環式複素環、または二環の2個の非隣接原子が1個、2個、3個もしくは4個の炭素原子のアルキレン架橋または2個、3個もしくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によって連結されている二環式複素環によって例示される。三環式複素環の例として、これらに限定されないが、オクタヒドロ−2,5−エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ−2H−2,5−メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ−1H−1,4−メタノシクロペンタ[c]フラン、アザ−アダマンタン(1−アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)およびオキサ−アダマンタン(2−オキサトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)が挙げられる。単環式、二環式および三環式の複素環は、非置換または置換されていてよく、該環内に含有されている任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に結合されている。複素環中の窒素原子および硫黄ヘテロ原子は酸化されていることができ(例えば、1,1−ジオキシドテトラヒドロチエニル)、窒素原子は四級化されていてもよい。
【0037】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式ヘテロアリールまたは二環式ヘテロアリールを意味する。単環式ヘテロアリールは、5員または6員環である。該5員環は、2つの二重結合含有する。5員環は、OもしくはSから選択される1個のヘテロ原子;または1個、2個、3個もしくは4個の窒素原子および場合によって1個の酸素原子もしくは硫黄原子を含有することができる。6員環は、3個の二重結合および1個、2個、3個または4個の窒素原子を含有する。単環式ヘテロアリールの代表例として、これらに限定されないが、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、1,3−オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、1,3−チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびトリアジニルが挙げられる。二環式ヘテロアリールは、フェニルに縮合している単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルキルに縮合している単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルケニルに縮合している単環式ヘテロアリール、または単環式ヘテロアリールに縮合している単環式ヘテロアリール、または単環式複素環に縮合している単環式ヘテロアリールからなる。二環式ヘテロアリール基の代表例として、これらに限定されないが、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、6,7−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、キノリニル、チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル、チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−2−イルおよび5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−イルが挙げられる。本発明の単環式および二環式のヘテロアリール基は置換または非置換であってよく、該環系内に含有されている任意の炭素原子または任意の窒素原子を介して親分子部分に結合されている。ヘテロアリール環の窒素ヘテロ原子は酸化されていてもよく、発明の範囲内と意図される。
【0038】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用される場合、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を意味する。
【0039】
「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を意味する。
【0040】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書において定義した通りのアルキル基を介して親分子部分に付加している、本明細書において定義した通りのヒドロキシ基を意味する。ヒドロキシアルキルの代表例として、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルおよび3−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0041】
「オキソ」という用語は、本明細書で使用される場合、=O基を意味する。
【0042】
「治療する(treat)」、「治療する(treating)」および「治療」という用語は、疾患または状態および/またはこれに伴う症状を軽減または抑制する方法を指す。
【0043】
「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」および「予防」という用語は、疾患および/またはこれに伴う症状の発症を予防する方法、または対象が疾患を獲得するのを防ぐ方法を指す。本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」および「予防」は、疾患および/またはこれに伴う症状の発症を遅延させること、および疾患を獲得する対象の危険性を減少することも含める。
【0044】
b.化合物
本明細書に記載されている特定の例示的化合物は、上記した通りの式(I)を有する。
【0045】
式(I)の化合物における変形群の特定の具体例は、以下の通りである。上文または下文に定義されている他の具体例、定義、請求項または実施形態のいずれかに適切な場合に使用することができる。
【0046】
、XおよびXは、式(I)の化合物のために一般に記載されている通りの具体例を有する。
【0047】
特定の実施形態は、XがNであり、XがOまたはSであり、XとXとの間の結合が二重結合であり、XとXとの間の結合が単結合であり、XがCRである式(I)の化合物を対象とする。したがって化合物の例として、式(II)
【0048】
【化3】

(式中、XはOまたはSであり、R、R、YおよびRは、本明細書に記載されている要旨および実施形態において開示されている通りである。)のものが挙げられる。特定の実施形態において、XはSである。
【0049】
他の実施形態は、XがCRであり、XがOであり、XとXとの間の結合が二重結合であり、XとXとの間の結合が単結合であり、XはCRである式(I)の化合物を対象とする。したがって、該例として、式(III)
【0050】
【化4】

(式中、R、R、Y、RおよびRは、本明細書に記載されている要旨および実施形態において開示されている通りである。)のものが挙げられる。
【0051】
また他の実施形態は、XがNR3aまたはOであり、XがCRであり、XがCRであり、XとXとの間の結合が単結合であり、XとXとの間の結合が二重結合である式(I)の化合物を対象とする。すなわち、該例として、式(IV)
【0052】
【化5】

(式中、XはNR3aまたはOであり、R3a、R、R、Y、RおよびRは、本明細書に記載されている要旨および実施形態において開示されている通りである。)のものが挙げられる。特定の実施形態において、XはNR3aであり、R3aはアルキルである。また他の実施形態において、XはNR3aであり、R3aはアルキルである。他の例として、XがOであるものが挙げられる。
【0053】
式(I)、(II)、(III)および(IV)の化合物内において、Y、R、R3a、RおよびRは、要旨に記載されている通りの具体例を有する。
【0054】
例えば、特定の実施形態において、Rは、水素、アルキル(例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピルなどのC−Cアルキル)、単環式シクロアルキル(例えば、シクロプロピルおよびシクロブチルなど)またはハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。また他の実施形態において、Rは、水素、アルキル(例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピルなどのC−Cアルキル)またはハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。
【0055】
特定の実施形態において、R3aは、アルキルまたはハロアルキルである。例えば、R3aはアルキル(例えば、これらに限定されないが、メチルなどのC−Cアルキル)である。
【0056】
式(I)−(IV)の化合物のためのRの例として、これらに限定されないが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環が挙げられる。特定の実施形態において、Rは、水素、アルキル、単環式シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはハロアルキルである。例えば、Rはアルキル(例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチルなどのC−Cアルキル)である。
【0057】
式(I)−(IV)の化合物のためのRの例として、これらに限定されないが、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロが挙げられる。特定の実施形態において、Rは水素である。
【0058】
式(I)−(IV)の化合物において、Yは要旨に記載されている通りの具体例を有する。例えば、YはCNである。特定の実施形態において、YはORであり、式中、Rは要旨に記載されている通りである。例えば、Rはアルキル(例えば、これらに限定されないが、メチルなどのC−Cアルキル)である。
【0059】
上記で一般に記載されている通り、式(I)−(IV)におけるRは、要旨に記載されている通りの具体例を有する。特定の実施形態において、Rは、これらに限定されないが、Tで表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルなどのアリールであり、Tは本明細書における要旨および実施形態に記載されている通りである。Tの例として、これらに限定されないが、ハロゲン(例えば、F、Cl)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、−CNおよび−L−A(式中、LおよびAは、本明細書における要旨および実施形態に記載されている通りである。)が挙げられる。例えば、LはOである。また他の実施形態において、LはN(R)であり、式中、Rは、水素またはアルキル(例えば、メチル)である。特定の実施形態において、Aは、アルキル(例えば、これらに限定されないが、メチル、エチル、イソプロピルなどのC−Cアルキル)またはハロアルキル(例えば、2−フルオロエチル)である。特定の実施形態において、L−A基は、親部分への結合点に対してオルト位に位置する。
【0060】
式(I)−(IV)の化合物におけるRは、要旨に記載されている通りの具体例を有する。例えば、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、RおよびRはそれぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、GおよびGは、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、t、u、R、R、R、Rm1、RおよびRは、要旨に記載されている通りである。特定の実施形態において、Rは、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、式中、R、R、uおよびGは、要旨に記載されている通りである。例えば、RおよびRはそれぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、Gは、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、これらのそれぞれは、本明細書における要旨および実施形態に記載されている通り任意に置換されている。式(I)−(IV)の化合物の例として、Rがアルキル(例えば、n−ブチル、イソブチル、ペンチル)、−(CH)−Gまたは−(CH−CNであり、式中、Gが本明細書における要旨および実施形態において開示されている通りであるものが挙げられる。例えば、Gは、場合によって置換されている単環式複素環(例えば、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン−2−イルを含めたテトラヒドロフラニル)または場合によって置換されている単環式ヘテロアリール(例えば、これらに限定されないが、1,3−チアゾール−4−イルを含めた1,3−チアゾリル)である。
【0061】
本発明は特定の実施形態、より特定の実施形態および好ましい実施形態を含めて、上記の実施形態を組み合わせた式(I)−(IV)の化合物を意図することが理解される。
【0062】
すなわち、一態様は、Rが水素、アルキル、シクロアルキルまたはハロアルキルであり、R3aがアルキルまたはハロアルキルであり、Rが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロであり、R、RおよびYが本明細書に開示されている要旨および実施形態に記載されている通りである式(I)の化合物の群を対象とする。
【0063】
別の態様は、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、RおよびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、GおよびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが、Tによって表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、XがOまたはSであり、T、R、u、t、Rm1、R、R、R、RおよびYが本明細書に記載されている要旨および実施形態に記載されている通りである式(II)の化合物の群を対象とする。特定の実施形態において、XはSである。特定の実施形態において、Rは、例えば、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、Rはアルキル、シクロアルキルまたはハロアルキルである。
【0064】
本発明のまた別の態様は、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、RおよびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、GおよびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが水素、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルであり、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが、Tによって表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、T、R、u、t、Rm1、R、R、R、RおよびYが本明細書に記載されている要旨および実施形態に記載されている通りである式(III)の化合物の群を対象とする。特定の実施形態において、Rは、例えば、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、Rは、例えば、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、Rは、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルである。
【0065】
さらなる態様は、Rがアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、RおよびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、GおよびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、XがOまたはNR3aであり、R3aがアルキルまたはハロアルキルであり、Rが水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、Rが水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロであり、Rが、Tによって表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、T、R、u、t、R、R、R、RおよびYが本明細書に記載されている要旨および実施形態に記載されている通りである式(IV)の化合物の群を対象とする。特定の実施形態において、Rは、例えば、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、R3aは、例えば、アルキルであり、Rは、例えば、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルであり、Rは、例えば、水素である。
【0066】
前段落に記載されている通りの式(I)−(IV)の化合物の各群内において、Yは、本明細書に記載されている要旨および実施形態に記載されている通りである。したがって、式(I)−(IV)の化合物のサブグループの例として、YがCNであるものが挙げられる。
【0067】
式(I)−(IV)の化合物の別のサブグループの例として、Yが、Rが要旨に記載されている通りであるORであるものが挙げられる。
【0068】
式(I)−(IV)の化合物のサブグループのさらなる例として、Yが、RがアルキルであるORであるものが挙げられる。
【0069】
本発明の一部として意図される化合物の具体的な実施形態として、これらに限定されないが、
N−[(3E)−2−ブチル−5−tert−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−N’−シアノ−2−エトキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−イソブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’,2−ジメトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;および
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
または医薬として許容できるこれらの塩または溶媒和物が挙げられる。
【0070】
本出願の化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する立体異性体として存在することができる。これらの立体異性体は、キラル炭素原子の周りにおける置換基の配置に依存して「R」または「S」である。本明細書で使用される「R」および「S」という用語は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry、Pure Appl.Chem.、1976年、45巻:13−30頁で定義されている通りの配置である。
【0071】
本出願は、様々な立体異性体およびこれらの混合物を意図し、これらが本出願の範囲内に含められるのは明らかである。立体異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物を含める。本出願の化合物の個々の立体異性体は、不斉中心もしくはキラル中心を含有する市販の出発原料から調製することができ、またはラセミ混合物を調製し、続いて当業者によく知られている方法を使用して個々の立体異性体を分割することによって調製することができる。分割のこれらの方法は、(1)エナンチオマーの混合物をキラル補助基に結合すること、ジアステレオマーの生じる混合物を再結晶もしくはクロマトグラフィーによって分離すること、および光学的に純粋な生成物を補助基から遊離すること、または(2)光学エナンチオマーの混合物をキラルクロマトグラフィーカラム上で直接分離することによって例示される。
【0072】
本化合物中に、幾何異性体が存在する場合がある。本発明は、炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、シクロアルキル基または複素環基の周りの置換基の配置から生じる様々な幾何異性体およびこれらの混合を意図する。炭素−炭素二重結合または炭素−窒素結合の周りの置換基は、Z配置またはE配置であるとして示され、シクロアルキルまたは複素環の周りの置換基は、シス配置またはトランス配置であるとして示される。窒素原子と官能基Yとの間の
【0073】
【化6】

結合は、Yが、RおよびY基を持つC=N結合に対して式(I)−(IV)におけるRの方へ、またはRから離れて配向してよいことを意味すると理解される。したがって、例えば、式(I)の化合物として、YおよびRが、YおよびR基を持つC=N結合と同じ側にある構造(例えば、式(IA))または反対側にある構造(例えば、式(IB))が挙げられる。
【0074】
【化7】

【0075】
本発明内において、本明細書に開示される化合物は、互変異性の現象を呈することがあることを理解されるべきである。
【0076】
したがって、この明細書内における式図は、可能な互変異性形態または立体異性形態の1つのみを表す場合がある。本発明は、いずれの互変異性形態または立体異性形態およびこれらの混合物も包含し、化合物または式図の名称中に用いるいずれか1つの互変異性形態または立体異性形態だけに限定されるものではないことを理解されるべきである。
【0077】
本発明の化合物は、天然に最も豊富に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する1種以上の原子を含有する同位体標識または同位体濃縮された形態で存在することができる。同位体は、放射性または非放射性同位体であってよい。水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素などの原子の同位体として、これらに限定されないが、H、H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Clおよび125Iが挙げられる。これらの原子および/または他の原子の他の同位体を含有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0078】
別の実施形態において、同位体標識化合物は、重水素(H)、トリチウム(H)または14Cの同位体を含有する。本発明の同位体標識化合物は、当分野の技術者によく知られている一般的方法によって調製することができる。こうした同位体標識化合物は、非標識化試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識化試薬を代用することによって、実施例およびスキームの項において開示されている手順を実施することにより、好都合にも調製することができる。一部の例において、化合物は、同位体標識化試薬で処理して、正常原子をこの同位体と交換することができ、例えば、水素は重水素と、DSO/DOなどの重水素酸の作用によって交換することができる。上記に加えて、関連の手順および中間体は、例えば、Lizondo、Jら、Drugs Fut、21(11)、1116(1996);Brickner、S Jら、J Med Chem、39(3)、673(1996);Mallesham、Bら、Org Lett、5(7)、963(2003);PCT公開WO1997010223、同WO2005099353、同WO1995007271、同WO2006008754;米国特許第7538189号;同第7534814号;同第7531685号;同第7528131号;同第7521421号;同第7514068号;同第7511013号;および米国特許出願公開第20090137457号;同第20090131485号;同第20090131363号;同第20090118238号;同第20090111840号;同第20090105338号;同第20090105307号;同第20090105147号;同第20090093422号;同第20090088416号;および同第20090082471号に開示されており、該方法を参照により本明細書に組み込む。
【0079】
本発明の同位体標識化合物は、結合アッセイにおいてCB2リガンドの有効性を決定するための標準物質として使用することができる。同位体含有化合物は、非同位体標識化親化合物の作用機序および代謝経路の評価によって、化合物のインビボでの代謝的運命を調査するための医薬研究において使用されてきた(BlakeらJ.Pharm.Sci.64、3、367−391(1975))。患者に投与されたインビボ活性化合物か、または親化合物から生成される代謝物のいずれかが毒性または発癌性であると判明するため、こうした代謝研究は安全で有効な治療薬の設計において重要である(Fosterら、Advances in Drug Research 14巻、2−36頁、Academic press、London、1985;Katoら、J.Labelled Comp.Radiopharmaceut.、36(10):927−932(1995);Kushnerら、Can.J.Physiol.Pharmacol.、77、79−88(1999)。
【0080】
さらに、「ヘビードラッグ」と呼ばれる重水素化された薬物などの非放射性同位体含有薬物は、CB2活性に関連する疾患および状態の治療に使用することができる。化合物中に存在する同位体の量が天然の存在量を超えて増加することを濃縮と呼ぶ。濃縮量の例として、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、16、21、25、29、33、37、42、46、50、54、58、63、67、71、75、79、84、88、92、96モル%から約100モル%が挙げられる。正常原子の最大約15%まで重同位体との交換がもたらされ、げっ歯類およびイヌを含めた哺乳動物において、悪影響が最小限認められて数日から数週の期間保持された(Czajka D MおよびFinkel A J、Ann.N.Y.Acad.Sci.1960 84:770;Thomson J F、Ann.New York Acad.Sci 1960 84:736;Czakja D M ら、Am.J.Physiol.1961 201:357)。ヒト体液中における15%−23%もの重水素での急激な交換は、毒性の原因となると認められなかった(「Dosimetry&Treatment Planning for Neutron Capture Therapy」、Zamenhof R、Solares G and Harling O編集 1994。Advanced Medical Publishing、Madison Wis.125−134頁;Diabetes Metab.23:251(1997)におけるBlagojevic Nら)。
【0081】
薬物の安定同位体標識化は、pKaおよび脂溶性などのこの物理化学的特性を変化させることができる。これらの効果および変化は、同位体置換がリガンド−受容体の相互作用に関与している領域に影響を及ぼすと、薬物分子の薬力学応答に影響を及ぼす場合がある。安定同位体標識化分子の物性の一部が非標識分子のものと異なる一方、化学的および生物学的特性は、重同位体の質量増加のために、重同位体および別の原子を伴う任意の結合が軽い同位体とその原子との間の同結合より強くなるという1つの例外を除いて同じである。すなわち、代謝または酵素転換の部位における同位体の組入れは、非同位体化合物に比して、薬物動態プロファイルまたは効力を強力に変化させる前記反応を遅らせる。
【0082】
c.生物学的データ
(i)インビトロ方法−−CB放射性リガンド結合アッセイ
ヒトCB受容体を安定に発現するHEK293細胞を、コンフルエント単層が形成するまで成長させた。短時間で、細胞を収集し、TE緩衝液(50mMトリス−HCl、1mM MgClおよび1mM EDTA)中で、ポリトロンを使用し、2×10秒間破砕にて、プロテアーゼ阻害剤の存在下でホモジネートし、続いて45,000Xgで20分間遠心分離した。最終の膜ペレットを、貯蔵緩衝液(50mMトリス−HCl、1mM MgClならびに1mM EDTAおよび10%スクロース)中で再ホモジネートし、使用するまで−78℃で凍結した。飽和結合反応を、アッセイ緩衝液(50mMトリス、2.5mM EDTA、5mM MgClおよび0.5mg/mL脂肪酸フリーBSA、pH7.4)中で、[H]CP55,940(120Ci/mmol、Tocrisから市販されている非選択的CBアゴニスト)を含有する深いウェルプレートのウェルに、膜調製物を添加する(ヒトCBに5μg/ウェルのタンパク質濃度)ことによって開始した。30℃で90分のインキュベーション後、冷たいアッセイ緩衝液300μg/ウェルを添加することによって結合反応を終結させ、続いてユニフィルター96GF/Cフィルタープレートを通して急速に減圧濾過した(1mg/mL BSA中に2時間予浸漬)。結合活性を、マイクロシンチ20を用いてトップカウント中でカウントした。飽和実験を、0.01nMから8nMの範囲である12種の濃度の[H]CP55,940で行った。競合実験を、0.5nM [H]CP55,940および5つの濃度(0.01nMから10μM)の置換リガンドで行った。10μM非標識CP55,940(トクリス、エリスビル、MO)の添加を用いて、非特異的結合を評価した。
【0083】
ラットCB受容体を安定に発現するHEK293細胞を、コンフルエント単層が形成するまで成長させた。手短に、細胞を収集し、TE緩衝液(50mMトリス−HCl、1mM MgClおよび1mM EDTA)中で、ポリトロンを使用し、2×10秒間破砕にて、プロテアーゼ阻害剤の存在下でホモジネートし、続いて45,000Xgにて20分間遠心分離した。最終の膜ペレットを、貯蔵緩衝液(50mMトリス−HCl、1mM MgClならびに1mM EDTAおよび10%スクロース)中で再ホモジネートし、使用するまで−78℃で凍結した。飽和結合反応を、アッセイ緩衝液(50mMトリス、2.5mM EDTA、5mM MgClおよび0.5mg/mL脂肪酸フリーBSA、pH7.4)中、[H]CP55,940(120Ci/mmol、Tocrisから市販されている非選択的CBアゴニスト)を含有する深いウェルプレートのウェルに、膜調製物を添加する(ラットCBに20μg/ウェルのタンパク質濃度)ことによって開始した。30℃で45分のインキュベーション後、冷たいアッセイ緩衝液300μg/ウェルを添加することによって結合反応を終結させ、続いてユニフィルター96GF/Cフィルタープレートを通して急速に減圧濾過した(1mg/mL BSA中に2時間予浸)。結合活性を、マイクロシンチ20を用いてトップカウント中でカウントした。飽和実験を、0.01nMから8nMの範囲である12種の濃度の[H]CP55,940で行った。競合実験を、0.5nM [H]CP55,940および0.01nMから10μMの範囲から選択される5つの濃度の置換リガンドで行った。10μM非標識CP55,940(トクリス、エリスビル、MO)の添加を用いて、非特異的結合を評価した。
【0084】
上記アッセイで試験される化合物は、約1,000nM未満、例えば約400nM未満、または約200nM未満、または約100nM未満の平衡解離定数(K)を有する。
【0085】
(ii)シクラーゼ機能アッセイ
ラットおよびヒトのCBおよびCBのシクラーゼ機能アッセイを、DiscoveRx(Fremont、CA、USA)からのHitHunter(登録商標)アッセイキットを使用し、Yao BB、Mukherjee S、Fan Y、Garrison TR、Daza AV、Grayson GK、Hooker BA、Dart MJ、Sullivan JPおよびMeyer MD(2006)Br J Pharmacol 149:145−154によって記載されている通りに行った。簡潔には、細胞懸濁液を、37℃で20分間、可変濃度の試験リガンドまたは10μMのCP55,940陽性対照を用いて、所定濃度のフォルスコリン(ラットCBに対して18μM;ならびにヒトCBおよびCB、およびラットCBに対して37μM)の存在下、BSA(0.01%の最終濃度)を補充されたD−PBS緩衝液(インビトロジェン、Carlsbad、CA、USA)中でインキュベートした。該反応を、溶解緩衝液の添加により終結させ、発光を供給元の指示による手順に従って検出した。リガンドによる受容体活性化を、10μMのCP55,940のものと比較してパーセント応答として表した。EC50値および95%信頼区間を、Prism(GraphPad)ソフトウェアを使用するS字形用量応答曲線フィッティングを使用して算出した。
【0086】
上記シクラーゼアッセイで試験される化合物は、ラットまたはヒトのCB対CB受容体において、10から>1,000倍強力である。
【0087】
(iii)インビボデータ 動物
成体雄スプラーグドーリーラット(体重250−300g、Charles River Laboratories、Portage、MI)を使用する。動物の取扱いおよび実験プロトコールは、アボットラボラトリーズにて動物実験委員会(IACUC)によって承認される。全ての外科手術手技の間、イソフルラン麻酔下で動物を保持し(4−5%で導入、1−3%で保持)、外科手術の前後に、10%ポビドン−ヨウ素溶液を使用して切開部位を滅菌する。
【0088】
術後疼痛の切開モデル
術後疼痛の皮膚切開モデルは、Brennanら、1996年、Pain、64、493に記載されている手技を用いて作製することができる。全てのラットは、ノーズコーンを介して送達されるイソフルランで麻酔にかけられる。右後足の切開を、滅菌手順に従って行う。滅菌プラスチックドレープの穴を通して、左後足の足底面を置く。踵の基部端から0.5cmのところから出発し、つま先の方へ延ばして、後足の足底面の皮膚および筋膜を抜けて縦方向に1cm切開し、足底筋を上げ、筋起点および挿入点は無傷の状態で縦方向に切開する。皮膚を次いで、2本のマットレス縫合(5−0ナイロン)で閉じる。外科手術後、動物を次いで2時間回復させ、この時、下記に記載されている通りに接触性アロディニアを評価する。抗侵害受容性効果を評価するため、皮膚切開90分後、ビヒクルまたは試験化合物を動物に腹腔内投与し、化合物の投与30分後、接触性アロディニアを評価することができる。
【0089】
接触性アロディニアは、Chaplan、S.R.、F.W.Bach、J.W.Pogrel、J.M.ChungおよびT.L.Yaksh、1994年、Quantitative Assessment of Tactile Allodynia in the Rat Paw、J.Neurosci.Methods、53巻、55頁に記載されている通り、較正したフォンフライフィラメント(ストールティング、Wood Dale、IL)を使用して測定することができる。吊り下げられた金網格子上部の反転した個々のプラスチックケージ(20×12.5×20cm)にラットを入れ、20分間試験チャンバーに順化させる。フォンフライフィラメントは、ケージの下から垂直に金網床の開口を通し、切開の(直接隣接した)1−3mm以内の部位に直接適用し、次いで、この位置におよそ8秒間、フィラメントに軽度の屈曲を起こすのに十分な力で維持する。陽性応答として、刺激から後足の突然の引込み、または刺激除去直後のたじろぎ行動が挙げられる。50%引込み閾値は、上げ下げ法を使用して決定される(Dixon、W.J.、1980、Efficient Analysis of Experimental Observations、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、20巻、441頁)。
【0090】
神経因性疼痛の脊髄神経結紮モデル
KimおよびChung(Kim、S.H.およびJ.M.Chung、1992、Pain 50、355)によって当初記載された通りの脊髄神経結紮誘発(SNLモデル)神経因性疼痛のモデルを使用して、本出願の化合物を試験することができる。ラットの左L5およびL6脊髄神経を脊柱の近傍で単離し、5−0絹縫合糸を用いてDRGの遠位できつく結紮し、L4脊髄神経の損傷を回避するための手当てをする。シャムラットに、同じだが神経結紮を行わない手順を受けさせる。全動物を、接触性アロディニアの評価前に少なくとも1週間および最長3週間回復させる。
【0091】
接触性アロディニアは、較正されたフォンフライフィラメント(ストールティング、Wood Dale、IL)を使用し、Chaplan、S.R.、F.W.Bach、J.M.Pogrel、J.M.ChungおよびT.L.Yaksh、1994、Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw、J.Neurosci.Methods、53,55に記載されている通りに測定することができる。ラットを、吊るしたメッシュグリッド上の反転させた個々のプラスチック容器(20×12.5×20cm)中に置き、試験チャンバーに20分間順化させる。フォンフライフィラメントは選択された後足の足底表面に対して垂直に現れ、次いで、この位置におよそ8秒間、該フィラメント中に軽い屈曲を起こすのに十分な力で保持した。陽性応答として、刺激からの後足の突然の引込み、または刺激の除去直後のたじろぎ行動が挙げられる。50%引込み閾値は、上げ下げ法(Dixon、W.J.、1980、Efficient analysis of experimental observations、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.、20、441)を使用して決定することができる。4.25g未満のベースライン閾値スコアを持つラットのみを該研究に使用し、運動異常を示している動物を除外する。接触性アロディニア閾値も、未処置動物、偽手術動物および生理食塩水注入動物を含めたいくつかの対照群において、ならびに神経損傷ラットの対側足において評価する。
【0092】
カプサイシン誘発二次性機械的過敏症
ラットを1時間研究室に順化させた。これらを次いで短時間拘束し、カプサイシンをビヒクル(10%エタノールおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)10μL中10μgで、右後足の中央に足底内注射によって投与した。二次性機械的痛覚過敏を、カプサイシン180分後に注射部位から離れている踵で測定した(Joshiら、2006年、Neuroscience143巻、587−596頁)。試験の30分前(カプサイシン150分後)に(腹腔内に)化合物を注射した。
【0093】
接触性アロディニアを上記した通りに測定した。本試験した化合物は、約300マイクロモル/kg未満で、例えば、約100マイクロモル/kg未満で、生理食塩水ビヒクルと対比して、足引き込み潜伏期における統計的に有意な変化を示した。
【0094】
d.化合物の使用方法
一実施形態は、こうした治療を必要とする(ヒトを含めた)哺乳動物における疼痛(例えば、炎症性疼痛、神経因性疼痛、侵害受容性疼痛、癌疼痛、腰痛、術後疼痛、眼痛)を治療するための方法を提供する。該方法は、本明細書に記載されている通りの1種以上の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物の哺乳動物治療有効量(単数または複数)を、単独でまたは1種以上の医薬として許容できる担体(単数または複数)との組合せで投与することを含む。該方法は、単回投与としての本発明の化合物の投与をさらに含む。該方法は、数日、数週、数カ月またはそれ以上の期間にわたる本発明の化合物の反復投与または慢性投与も含む。特定の実施形態において、該方法は、本明細書に記載されている化合物、または医薬として許容できるこれらの塩のいずれかの治療有効量を、1種以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)もしくは他の鎮痛剤(例えばアセトアミノフェンまたはオピオイド)と、またはこれらの組合せと組み合わせて、哺乳動物に投与することを含む。
【0095】
本発明の別の実施形態はこうした治療を必要とする哺乳動物において、炎症性障害、免疫障害、神経障害、免疫系の癌、呼吸器障害および循環器障害からなる群から選択される障害を治療するための方法を提供する。該方法は、本明細書に記載されている1種以上の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物の哺乳動物治療有効量を、単独でまたは1種以上の医薬として許容できる担体(単数または複数)との組合せで投与することを含む。
【0096】
また別の実施形態は、こうした治療を必要とする哺乳動物における神経保護を提供するための方法に関する。この方法は、本明細書に記載されている1種以上の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物の哺乳動物治療有効量を、単独でまたは1種以上の医薬として許容できる担体(単数または複数)との組合せで投与することを含む。
【0097】
別の実施形態は、数日、数週または数カ月の期間にわたる反復投与または慢性投与によって、本発明の化合物の治療有効性または効力を増加させる方法を提供する。
【0098】
本明細書に含まれるデータに加えて、いくつかの一連の証拠が、CB受容体が鎮痛において役割を果たしているという断言を裏付けている。HU−308は、持続性疼痛のラットホルマリンモデルにおいて、抗侵害受容応答を誘発すると同定された最初の高選択性CBアゴニストの1つである(Hans,L.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.、1999年、96巻、14228−14233頁)。CB選択性カナビノイドのリガンドAM−1241は、急性熱痛の動物モデルにおいて強い鎮痛効力(Malan,T.P.ら、Pain、2001年、93巻、239−245頁;Ibrahim,M.M.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.、2005年102巻(8)、3093−3098頁)、持続性疼痛(Hohmann,A.G.ら、J.Pharmacol.Exp.Ther、2004年、308巻、446−453頁)、炎症性疼痛(Nackley,A.G.ら、Neuroscience、2003年、119巻、747−757頁;Quartilho,A.ら、Anesthesiology、2003年、99巻、955−60頁)および神経因性疼痛(Ibrahim,M.M.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.、2003年、100巻、10529−10533頁)を呈する。L768242としても知られているCB選択性部分アゴニストGW405833は、神経障害性疼痛、切開疼痛、ならびに慢性および急性炎症疼痛の両方のげっ歯類モデルに効果がある(Valenzano,K J.ら、Neuropharnacology、2005年、48巻、658−672頁およびClayton,N.ら、Pain、2002年、96巻、253−260頁)。
【0099】
CB調節剤がオピオイド節約効果を有する可能性が存在する。モルヒネの鎮痛効果と非選択性CBアゴニストΔ−THCとの間の相乗作用は裏付けされている(Cichewicz,D.L.、Life Sci.2004年、74巻、1317−1324頁)。したがって、CBリガンドは、より低い用量のモルヒネまたは他のオピオイドと組み合わせて使用される場合、追加鎮痛効果または相乗鎮痛効果を有し、鎮痛効力を犠牲にすることなく、耐性、便秘症および呼吸抑制などの有害オピオイド事象を低減するための戦略を提供する。
【0100】
CB受容体は、免疫機能に関連する組織および細胞型に存在し、CB受容体mRNAは、ヒトB細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、好中球およびT細胞によって発現する(Galiegueら、Eur.7.Biochem.、1995年、232巻、54−61頁)。CBノックアウトマウスの研究により、免疫系の調節におけるCB受容体の役割が示唆された(Buckley、N.E.ら、Eur.J.Pharmacol.2000年、396巻、141−149頁)。ノックアウト動物および野生型動物において、免疫細胞の発生および分化は似ているが、CB受容体ノックアウトマウスには、Δ−THCの免疫抑制効果が存在せず、免疫調節におけるCB受容体の関与に関する証拠を提供している。このように、選択性CB調節剤は、これらに限定されないが、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性ループス、重症筋無力症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、乾癬、乾癬性関節炎および肝炎を含めた自己免疫疾患、ならびにこれらに限定されないが、臓器移植における組織拒絶、グルテン過敏性腸症(セリアック病)、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、アレルギー性鼻炎、皮膚炎およびシェーグレン症候群を含めた免疫関連障害の治療に有用であり得る。
【0101】
ミクログリア細胞は、これらが免疫応答の開始および進行を制御する中枢神経系(CNS)の免疫細胞であると考えられる。ミクログリア上でのCB受容体の発現は、休止しているまたは十分活性化されたミクログリアと比べると、刺激され、増殖し、遊走するミクログリアにおいて発見されるCBのより高い濃度を持つ炎症状態に依存している(Carlisle,S.J.ら、Int.Immunopharmacol.、2002年、2巻、69頁)。神経炎症はミクログリア細胞形態において多くの変化を誘発し、CB受容体およびエンドカンナビノイド系の他の成分の上方制御がある。神経炎症はいくつかの神経変性疾患において発生し、ミクログリアCB受容体の誘発が認められた(Carrier, E.J.ら、Current Drug Targets − CNS & Neurological Disorders、2005年、4巻、657−665頁)。したがって、CBリガンドは、神経炎症の治療のために臨床的に有用であり得る。
【0102】
多発性硬化症は、インパルスを伝導する神経細胞の能力が脱髄および軸索損傷を介して損なわれる、CNSの一般的免疫介在性の疾患である。脱髄は慢性炎症という結果を招き、最終的に、予測不可能に変動し、一般に年齢とともに悪化する広範囲の臨床症状に至る。これらとして、有痛性筋攣縮、振戦、運動失調、運動脱力、括約筋機能不全および発話困難が挙げられる。(Pertwee,R.G.、Pharmacol.Ther.2002年、95巻、165−174頁)。CB受容体は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)中の活性化ミクログリア細胞上で高進する(Maresz,K.ら、J.Neurochem.2005年、95巻、437−445頁)。CB受容体の活性化は、白血球などの炎症細胞をCNSに動員することを阻止し(Ni,X.ら、Multiple Sclerosis、2004年、10巻、158−164頁)、実験的進行性脱髄において予防的役割を果たし(Arevalo−Martin,A.;ら、J.Neurosci.、2003年、23巻(7)、2511−2516頁)、これらは多発性硬化症の発生において重大な特徴である。したがって、CB受容体調節剤は、脱髄症状のための独特の治療を提供することができる。
【0103】
アルツハイマー病は、高齢者認知症の最も一般的形態を占める慢性神経変性疾患である。近年の研究により、CB受容体の発現は、アルツハイマー病患者の脳由来の神経突起プラーク関連ミクログリアにおいて上方制御されることが明らかになった(Benito,C.ら、J.Neurosci.、2003年、23巻(35)、11136−11141頁)。インビトロにおいて、CBアゴニストJWH−133を用いる治療により、CBアンタゴニストSR144528によって遮断することができる効果であるβアミロイド誘導ミクログリア活性化および神経毒性を抑制する(Ramirez,B.G.ら、J.Neurosci.2005年、25巻(8)、1904−1913頁)。CB調節剤は、抗炎症作用および神経保護作用の両方を有することができ、したがって、神経炎症を治療し、アルツハイマー病の発生に伴う神経保護を提供する上で臨床的有用性を有する。
【0104】
上皮CB受容体発現濃度の増加が、ヒト炎症性腸疾患組織に見られる(Wright,K.ら、Gastroenterology、2005年、129巻、437−453頁)。CB受容体の活性化により、内毒素炎症がラットにおいて誘発された後の正常の胃腸通過が再確立された(Mathison,R.ら、Br.J.Pharmacol.2004年、142巻、1247−1254頁)。ヒト結腸上皮株化細胞におけるCB受容体の活性化により、TNFα誘発性インターロイキン8(IL−8)の放出が阻害された(Ihenet,K.ら、Eur.J.Pharmacol.2003年、458巻、207−215頁)。好中球化学誘引物質IL−8など、上皮から放出されるケモカインは、炎症性腸疾患において上方制御される(Warhurst,A.C.ら、Gut、1998年、42巻、208−213頁)。したがって、CB受容体調節剤の投与は、これらに限定されないが、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、分泌性下痢、潰瘍性大腸炎、クローン病および胃食道逆流性疾患(GERD)を含めた、消化管の炎症および障害を治療するための新規な手法の代表例でもある。
【0105】
肝線維症は、慢性肝損傷への応答として発生し、最終的に、門脈高血圧症、肝不全および肝細胞癌腫の合併症を伴う重度のため、主要な世界的健康問題である肝硬変に至る(Lotersztajn,S.ら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.、2005年、45巻、605−628頁)。CB受容体は、正常なヒト肝臓において検出不可能であったが、CB受容体は、肝硬変を持つ患者由来の肝生検組織において発現した。培養した肝臓の筋線維芽細胞中のCB受容体の活性化により、強力な抗線維形成効果が生み出された(Julien,B.ら、Gastroenterology、2005年、128巻、742−755頁)。さらに、CBノックアウトマウスは、四塩化炭素の慢性投与後、野生型マウスと比して増強した肝線維症を発生した。CB受容体調節剤の投与は、肝線維症を治療するための独特の手法の代表例である。
【0106】
咳は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、ウイルス感染症および肺線維症を含めた、多くの炎症性肺疾患の顕性および持続性症状である(Patel,H.J.ら、Brit.J.Pharmacol.、2003年、140巻、261−268頁)。近年の研究により、気道において神経細胞のCB受容体が存在する証拠が提供され、咳抑制におけるCB受容体活性化のための役割が実証された(Patel,H.J.ら、Brit.J.Pharmacol.、2003年、140巻、261−268頁およびYoshihara,S.ら、Am.J.Respir.Crit.Care Med.、2004年、170巻、941−946頁)。外因性および内因性カンナビノイドリガンドの両方が、CB受容体を介してC線維の活性化を阻害し、気道組織における神経原性炎症反応を低減する(Yoshihara,S.ら、J.Pharmacol.Sci.2005年、98巻(1)、77−82頁;Yoshihara,S.ら、Allergy and Immunology、2005年、138巻、80−87頁)。したがって、CB選択性調節剤は、肺炎症、慢性の咳、およびこれらに限定されないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患および肺線維症を含めた様々な気道炎症性疾患を治療するための鎮咳薬として有用性を持ち得る。
【0107】
骨質量密度に対する実質的な遺伝的寄与があり、CB受容体遺伝子はヒト骨粗鬆症に関連する(Karsak,M.ら、Human Molecular Genetics、2005年、14巻(22)、3389−3396頁)。破骨細胞および骨芽細胞は、骨の再吸収および合成に関与する再構築と呼ばれる過程を介して、骨の構造および機能を維持するのに大きな責任を担っている(Boyle,W.J.ら、Nature、2003年、423巻、337−342頁)。CB受容体の発現は、破骨細胞および骨芽細胞前駆細胞上で検出され、マウスにおけるCBアゴニストの投与は、骨形成において用量依存的な増加をもたらした(Grotenhermen,F.およびMuller−Vahl,K.、Expert Opin.Pharmacother.、2003年、4巻(12)、2367−2371頁)。CB選択性逆アゴニストSR144528を含めたカンナビノイド逆アゴニストは、破骨細胞活性を阻害し、閉経後骨粗鬆症のモデルである、マウスにおける卵巣摘出誘発骨減少を逆転することが示された(Ralston,S.H.ら、Nature Medicine、2005年、11巻、774−779頁)。したがって、CB調節剤は、骨粗鬆症、変形性関節症および骨障害の治療および予防に有用であり得る。
【0108】
アテローマ性動脈硬化症は慢性炎症性疾患であり、心疾患および脳卒中の主要な原因である。CB受容体は、ヒトおよびマウスの両方のアテローム性動脈硬化において検出された。アポリポタンパクEのノックアウトマウスにおけるTHCの低用量投与によりアテローム性動脈硬化性病変部の進行が遅延し、これらの効果はCB選択性アンタゴニストSR144528によって阻害された(Steffens、S.ら、Nature、2005年、434巻、782−786頁)。したがって、CB受容体で活性を持つ化合物は、アテローム性動脈硬化症の治療に臨床的に有用であり得る。
【0109】
CB受容体は免疫系の悪性細胞上で発現し、CB受容体を標的にしてアポトーシスを誘発することで、免疫系の悪性腫瘍を治療する新規な手法を構成することができる。選択性CBアゴニストは、悪性神経膠腫(Sanchez,C.ら、Cancer Res.、2001年、61巻、5784−5789頁)、皮膚癌(Casanova,M.L.ら、J.Clin.Invest.、2003年、111巻、43−50頁)およびリンパ腫(McKallip,R.J.ら、Blood、2002年、15巻(2)、637−634頁)の後退を誘発する。したがって、CB調節剤は、免疫起源の腫瘍に対する抗癌剤として有用性を有し得る。
【0110】
CB受容体の活性化は、虚血および血流再開の有害作用から心臓を保護することが実証された(Lepicier,P.ら、Brit.J.Pharm.2003年、139巻、805−815頁;Bouchard,J.−F.ら、Life Sci.2003年、72巻、1859−1870頁;Filippo,C.D.ら、J.Leukoc.Biol.2004年、75巻、453−459頁)。したがって、CB調節剤は、循環器疾患および心筋梗塞発生の治療または予防に有用性を有し得る。
【0111】
本発明の医薬組成物の活性成分の実際の投与量は、特定の患者、組成物および投与方法にとって所望の治療反応を達成するのに有効である活性化合物(単数または複数)の量を得るために様々であり得る。選択される投与量は、特定の化合物の活性、投与の経路、治療期間、治療する状態の重症度ならびに治療する患者の状態および前病歴に依存する。しかし、所望の治療効果を達成するのに必要とされるのより低い濃度で該化合物の用量を開始すること、および所望効果が達成されるまで投与量を徐々に増加することは、当業技術の範囲内である。特定の病状の治療において、所望の治療反応を達成するのに、本発明の化合物の反復投与または慢性投与が必要な場合がある。「反復投与または慢性投与」は、日々(すなわち毎日)または数日、数週、数カ月もしくはそれ以上の期間をかけて断続的に(すなわち毎日ではない)本発明の化合物を投与することを指す。特に、慢性疼痛状態の治療は、本発明の化合物のこうした反復投与または慢性投与が必要であると予測される。本発明の化合物は、反復投与または慢性投与で、より有効的になることがあるので、反復投与または慢性投与での治療有効量は、単一投与の治療有効量より低いことがある。
【0112】
本発明の化合物は、1種以上の医薬として許容できる担体と組み合わせて、対象の化合物を含む医薬組成物として投与することもできる。「治療有効量」という成句は、任意の医学的治療に適用可能な妥当な効果/リスク比で治療される状態または障害の症状の1つ以上の発生を予防する、またはある程度軽減するのに十分に投与される化合物の量を指す。本発明の化合物および組成物の総1日量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることを理解されよう。任意の特定の患者に対する特定の治療有効投与量は、治療する障害および障害の重症度;用いる特定化合物の活性;用いる特定組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事療法;用いる特定化合物の投与時間、投与経路および排出速度;治療の持続期間;用いる特定化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医療技術においてよく知られている要因などを含めて、様々な要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるのより低い濃度で該化合物の用量を開始すること、および所望効果が達成されるまで投与量を徐々に増加することは、当業技術範囲内でよい。
【0113】
本発明の化合物は、単独で、または1つ以上の他の本発明の化合物と組み合わせて、または1種以上の追加の医薬品と組み合わせて(つまり同時投与で)投与することができる。例えば、1種以上の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物は、1種以上の鎮痛薬(例えば、アセトアミノフェン、モルヒネなどのオピオイド)、または1種以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、またはこれらの組合せと組み合わせて投与することができる。NSAIDの非限定的な例として、これらに限定されないが、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンおよびゾメピラックが挙げられる。特定の実施形態において、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)はイブプロフェンである。併用療法として、本発明の1つ以上の化合物および1種以上の追加の医薬品を含有する単一医薬投与製剤の投与、ならびに本発明の化合物およびこれ自体が別々の医薬投与製剤における各追加医薬品の投与が挙げられる。例えば、本発明の化合物および1種以上の追加の医薬品は、錠剤もしくはカプセルなど固定比率の各活性成分を有する単一経口投与組成物中で、一緒に患者に投与することができる、または各薬剤は、別々の経口投与製剤で投与することができる。
【0114】
別々の投与製剤が使用される場合、本発明の化合物および1種以上の追加の医薬品は、本質的に同じ時に(例えば同時に)または別々にずらした時に(例えば順次に)投与することができる。
【0115】
ヒトまたは他の動物に投与される本発明の化合物の総1日用量は、約0.01mg/kg体重から約100mg/kg体重の範囲である。より好ましい用量は、約0.03mg/kg体重から約30mg/kg体重の範囲であってよい。所望であれば、有効な日用量は、投与の目的により、複数回用量に分割することができる。その結果として、単回用量の組成物は、こうした量または日用量を構成するこの約数量を含有することができる。有効な日用量が治療の持続期間によって様々であり得ることは理解されよう。
【0116】
e.医薬組成物
本発明は、本発明の化合物またはこの医薬として許容できる塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物をさらに提供する。該医薬組成物は、1種以上の無毒性の医薬として許容できる担体と一緒に処方できる本発明の化合物を含む。
【0117】
別の態様は、本明細書に記載されている1種以上の化合物、または医薬として許容できるこれらの塩もしくは溶媒和物、および1種以上の医薬として許容できる担体を単独で、または1種以上の鎮痛薬(例えばアセトアミノフェン)との組合せで、または1種以上の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との組合せで、またはこれらの組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0118】
医薬組成物は、経口、直腸、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、(散剤、軟膏剤または点滴剤によるとする)局所、頬内に、または経口もしくは経鼻スプレーとして、ヒトおよび他の哺乳動物に投与することができる。「非経口的に」という用語は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含める投与方法を指す。
【0119】
「医薬として許容できる担体」という用語は、本明細書で使用される場合、任意の種類の無毒の不活性な固体、半固体もしくは液体充填剤、希釈剤、被包材料または製剤助剤を意味する。医薬として許容できる担体として働くことができる材料の一部の例は、これらに限定されないが、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;これらに限定されないが、コーンスターチおよびバレイショデンプンなどのデンプン類;これらに限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびこの誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;これらに限定されないが、カカオ脂および座薬ワックスなどの賦形剤;これらに限定されないが、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール類;これらに限定されないが、オレイン酸エチルおよびエチルラウレートなどのエステル類;寒天;これらに限定されないが、水酸化マグネシウムおよびアルミニウム水酸化物などの緩衝剤;アルギン酸;ピロゲンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液、ならびにこれらに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒の適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤であり、保存料および抗酸化剤も、処方者の判断に従って該組成物に存在することができる。
【0120】
非経口注射のための医薬組成物は、医薬として許容できる滅菌水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、ならびに使用直前の滅菌の注射可能な溶液または分散液中への再構成用滅菌粉末を含む。適当な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例として、水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの)ポリオール、(オリーブ油などの)植物油、(オレイン酸エチルなどの)注射可能な有機エステルおよび適当なこれらの混合物が挙げられる。適切な流動性は、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって保持することができる。
【0121】
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含有してよい。微生物活性の防止は、様々な抗菌財および抗かび剤、例えばパラベン、クロロブタノールおよびフェノールソルビン酸などの包含物によって確実にすることができる。糖類および塩化ナトリウム等などの等張剤を含めるのが望ましい場合もある。注射可能な医薬品形態の持続吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅延させる薬剤の包含物によってもたらすことができる。
【0122】
一部の例では、薬物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性を持つ結晶質または非晶質の材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。薬物吸収の速度はしたがって、この溶解の速度に依存し、溶解の速度は順次、結晶サイズおよび結晶形に依存することがある。別法として、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、油性媒体中に薬物を溶解または懸濁することによって達成される。
【0123】
注射可能なデポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコール酸などの生分解性ポリマー中に、薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの割合および用いられる特定ポリマーの性質に依存して、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポーの注射可能な製剤も、体組織に適合できるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を被包することによって調製される。
【0124】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくは他の注射可能な滅菌媒体中に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を取り込むことによって滅菌することができる。
【0125】
経口投与の固体剤形として、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が挙げられる。こうした固体剤形において、該活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなど、少なくとも1種の不活性な医薬として許容できる賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどのバインダー、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの潤滑剤と混合することができる。カプセル、錠剤および丸薬の場合、該剤形は緩衝剤も含む。
【0126】
同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの担体を使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中に充填剤として使用することができる。
【0127】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒の固体剤形は、腸溶剤皮、ならびに医薬品製剤技術においてよく知られている他の剤皮などの剤皮および外殻で調製することができる。これらは必要に応じて乳白剤を含有してよく、これらが活性成分(単数または複数)だけを放出する、または腸管の特定の部分に優先的に、必要に応じて遅延する方法で放出するような組成物であってよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0128】
該活性化合物は、適当であれば、1種以上の上記で述べられている担体を用いるマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0129】
経口投与の液体剤形として、医薬として許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。該活性化合物に加えて、該液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、ならびにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステルならびにこれらの混合物などの乳化剤など、当技術において一般に使用される不活性希釈剤を含有することができる。
【0130】
不活性希釈剤の他に、該経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料剤などのアジュバントも含むことができる。
【0131】
懸濁液は、該活性化合物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントならびにこれらの混合物などの懸濁剤を含有することができる。
【0132】
直腸投与または膣内投与のための組成物は、適当な非刺激性担体と、もしくはカカオ脂、ポリエチレングリコールなどの担体と本発明の化合物とを混合することによって調製することができる坐剤であり、または室温では固体であるが、体温では液体であるため、直腸もしくは膣腔中で融解し、活性化合物を放出する座薬ワックスであるのが好ましい。
【0133】
本化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。当技術分野において知られている通り、リポソームは一般に、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒体中に分散される単層または多層の水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる、無毒で生理学的に許容できる代謝可能な任意の脂質を使用することができる。リポソーム形態における本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料および賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、別々または一緒に使用される天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。
【0134】
リポソームを形成する方法は当技術分野において知られている。例えば、Prescott,Ed.、Methods in Cell Biology、Volume X1V、Academic Press、New York、N.Y.(1976年)、33頁以下を参照されたい。
【0135】
本発明の化合物の局所投与のための剤形として、粉末、スプレー剤、軟膏剤および吸入剤が挙げられる。該活性化合物は、滅菌条件下で、医薬として許容できる担体、および任意の必要な保存料、緩衝剤または必要とされる場合の噴霧剤と混合することができる。眼科製剤、眼軟膏、粉末および溶液も本発明の範囲であると意図される。
【0136】
化合物は、無機酸または有機酸から誘導される医薬として許容できる塩の形態で使用することができる。「医薬として許容できる塩」という成句は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激およびアレルギー応答などが無いヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適当であり、適切な効果/リスク比に見合う塩を意味する。
【0137】
医薬として許容できる塩は、当技術分野においてよく知られている。例えば、S.M.Bergeなどは、(J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66:1以下参照)において、医薬として許容できる塩を詳しく記載している。該塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で、または遊離塩基官能基と適当な有機酸とを反応させることによって別々に調製することができる。代表的酸付加塩として、これらに限定されないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸(イソチオン酸塩)、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、コチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミト酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの低級ハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミルのような硫酸ジアルキル;これらに限定されないが、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよび臭化フェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルならびに他などの薬剤で四級化することができる。水または油溶性もしくは分散性の生成物は、それらによって得られる。医薬として許容できる酸付加塩を形成するのに用いることができる酸の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびに酢酸、フマル酸、マレイン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0138】
塩基付加塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で、これらに限定されないが、医薬として許容できる金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの適当な塩基、またはアンモニアまたは有機第1級、第2級もしくは第3級アミンとカルボン酸含有成分とを反応させることによって調製することができる。医薬として許容できる塩として、これらに限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩など、これらに限定されないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミンおよびエチルアミン等を含めた無毒性の第4級アンモニアカチオンおよびアミンカチオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的有機アミンとして、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジンおよびピペラジンなどが挙げられる。
【0139】
「医薬として許容できるプロドラッグ」または「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激およびアレルギー応答などが無いヒトおよび下等動物の組織に接触して使用するのに適当であり、適切な効果/リスク比に見合い、これらの使用目的に有効である本発明の化合物のプロドラッグを表す。
【0140】
本明細書において、本発明の化合物は、合成の手段によって、またはプロドラッグのインビボ生体内変換によって意図される。
【0141】
化合物は、非溶媒和形態、ならびに半水和物などの水和物の形態を含めた溶媒和形態で存在することができる。一般に、とりわけ水およびエタノールなどの医薬として許容できる溶媒との溶媒和形態は、本発明の目的のための非溶媒和形態と同等である。
【0142】
f.一般的合成
本明細書に記載されている化合物は、合成プロセスまたは代謝プロセスによって調製される場合、この出願の範囲内に包含される。代謝プロセスよる該化合物の調製は、ヒトまたは動物体(インビボ)において行うもの、またはインビトロにおいて行うプロセスを含める。
【0143】
該化合物は、この部類の化合物の調製のためのよく知られている様々なプロセスによって調製することができる。例えば、Y基、X基、X基、X基、R基、R基、R基、R3a基、R基、R基、T基、L基およびA基が特に記載のない限り要旨の項で説明されている通りの意味を有する、本明細書に開示されている化合物は、スキーム1−9に示されている通りに合成することができる。
【0144】
該スキームおよび後続の実施例の記載において使用されてきた略語は以下である。DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DMSOはジメチルスルホキシド、EtOAcは酢酸エチル、EtNはトリエチルアミン、MeOHはメタノール、THFはテトラヒドロフラン、Msはメチルスルホニル、Tsは4−トルエンスルホニル、Etはエチル、EtOはジエチルエーテル、Pd(dba)はトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(O)である。
【0145】
【化8】

【0146】
式(3)の化合物は、スキーム1において図解されている2ステップ方法に従って調製することができる。式(1)のアミノ化合物を式R−X101(式中、X101は、Cl、Br、I、OTまたはOMである。)の化合物と最初に反応させて、中間体(2)を形成する。この反応は、希釈しないで、またはこれらに限定されないが、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジオキサンなどの溶媒中でのどちらかで、ほぼ室温または最高150℃までにて、場合によって、これらに限定されないが、ヨウ化テトラブチルアンモニウムまたはヨウ化ナトリウムなどの触媒の存在下で行うことができる。特定の場合、これらに限定されないが、トリエチルアミン、炭酸カリウム、カリウムtert−ブトキシドまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下でこの反応を行うことが有益であり得る。中間体(2)は、適当な条件下で酸塩化物(RCOCl)またはカルボン酸(RCOH)との反応によって、(3)に変換することができる。例えば、中間体(2)は、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはジクロロメタンなどの溶媒中にて、約25℃から約50℃の温度で、これらに限定されないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下、および必要に応じて4−ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下で、RCOClと反応させることができる。別法として、中間体(2)は、これらに限定されないが、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドなどの溶媒中にて、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOPCl)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ポリマー担持1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(PS−DCC)、O−(7−アザベンゾチアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(HATU)またはO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)などのカップリング試薬の存在下で、これらに限定されないが、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAT)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)などのカップリング助剤の存在下または非存在下で、RCOHと反応させることができる。該反応は一般に、これらに限定されないが、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下または非存在下で行われる。
【0147】
別法として、式(3)の化合物は、スキーム2に概説されている通りの一般的手順に従って調製することができる。
【0148】
【化9】

【0149】
式(1)の化合物は、(2)から(3)の変換に関するスキーム1に記載されている通りの反応条件を使用してRCOClまたはRCOHと反応させることによって、中間体(4)に変換することができる。中間体(4)は、(1)から(2)の変換に関するスキーム1に記載されている通りの反応条件を使用して、R−X101(式中、X101は、Cl、Br、I、OTまたはOMである。)と反応させることによって、(3)に変換することができる。
【0150】
【化10】

【0151】
スキーム3に概略されている通り、式(3)の化合物は、ローソン試薬を用いてトルエン中にて約60℃から約85℃の範囲の温度で処理され、続いて酢酸水銀(II)(または他の同様の水銀試薬)、式Y−NHの化合物、およびこれらに限定されないがトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を用いて、ジオキサンまたはアセトニトリルなどの溶媒中で処理すると、一般式(I)の化合物を生成することができる。
【0152】
【化11】

【0153】
式(7)で表される通りのY=CNである一般式(I)の化合物は、スキーム4に概略されている方法に従って調製することができる。市販のジメチルN−シアノジチオイミノカーボネートと式(2)の化合物とを、THF、ジオキサン、アセトニトリルなどのような非プロトン性溶媒中にてトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、NaHなどのような塩基の存在下、ほぼ室温から約50℃の範囲の温度で約8−24時間反応させることで、式(6)の中間体を得る。中間体(6)と式(HO)B−Rのボロン酸とを、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅または2−チオフェンカルボン酸銅)、亜リン酸トリアルキル(例えば、亜リン酸トリエチル)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)または他の選択Pd(0)触媒の存在下、ジメトキシエタン(または他の非プロトン性溶媒)中にて約80−100℃で約12−24時間反応させることで、式(7)の生成物を生成する。
【0154】
【化12】

【0155】
式(7)の化合物は、スキーム5に示されている一般的方法を使用して調製することもできる。式(8)の亜硝酸をアルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)およびHClと、ジクロロメタンなどの溶媒中にて約0℃からほぼ室温で反応させて、中間体イミノエーテル(9)を形成することができる。アセトニトリルなどの溶媒中のイミノエーテル(9)を、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物およびシアナミドの水中溶液を用いてほぼ室温で約12−24時間処理して、中間体シアノイミノエーテル(10)を生成することができる。シアノイミノエーテル(10)を式(2)の化合物と未希釈で、またはトルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミドなどの溶媒中のどちらかで、ほぼ室温から約100℃の温度で8−24時間反応させて、式(7)の化合物を生成することができる。
【0156】
ヘテロアリールアミン(1)は、市販供給源から得ることができ、または当業者によく知られている方法を使用して調製することができる。例えば、式(12)で表される通り、Xが窒素であり、Xが硫黄であり、XとXとの間の結合が二重結合であり、XとXとの間の結合が単結合である式(1)のヘテロアリールアミンは、スキーム6に例示されている通りの一般的手順を使用して調製することができる。
【0157】
【化13】

【0158】
式(11)のカルボン酸は、約90℃の温度で、これに限定されないが、ジオキサンなどの溶媒中にて、チオセミカルバジドおよびオキシ塩化リンで処理して、式(12)の化合物を生成することができる。
【0159】
式(17)で表される通り、XがN(R3a)であり、XがCRであり、XとXとの間の結合が単結合であり、XとXとの間の結合が二重結合である一般式(3)の中間体は、スキーム7に概略されている通りの一般的手順を使用して合成することができる。
【0160】
【化14】

【0161】
式(14)のヒドラジンは、これに限定されないが、エタノールなどの溶媒中にて約0℃と約80℃との間の温度で、ケトニトリル(13と反応させて、式(15)の中間体を生成することができる。これらの中間体アミノピラゾール(15)は、スキーム1および2に概説されている通りの方法に従って、式RCOOHのカルボン酸、または式RCOClの酸塩化物で処理し、ピラゾール(16)を生成することができる。(16)は、これらに限定されないが、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリルまたはジオキサンなどの溶媒中で、これらに限定されないが、ハロゲン化物、メシレート、トシレートまたはサルフェートなどの適当なアルキル化試薬とアルキル化させることによって、(17)に変換することができる。この反応は、約0℃から約150℃で行うことができる。特定の場合、塩基の添加が有益であり得る。使用することができる塩基の例として、これらに限定されないが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウムおよびリチウムジイソプロピルアミドが挙げられる。
【0162】
それぞれ式(20)および(21)で表される、XがCRであり、XがOであり、XとXとの間の結合が二重結合であり、XとXとの間の結合が単結合である一般式(2)および(3)の化合物は、スキーム8に概略されている通りの一般的手順を使用して合成することができる。
【0163】
【化15】

【0164】
式(18)の化合物は、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムの存在下で、これに限定されないが、メチルエチルケトンなどの溶媒中にて約25℃から約100℃の温度で、式(19)の化合物で処理すると、式(20)の化合物を生成することができる。式(20)の化合物は、スキーム1に記載されている通りの反応条件を使用して、RCOClまたはRCOHと反応させることによって、式(21)の化合物に変換することができる。
【0165】
式(19)の化合物は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの存在下、これに限定されないが、エーテルなどの溶媒中にて約−25℃から約0℃の温度で、式RNHのアミンと臭化シアンとを反応させることから得ることができる。
【0166】
【化16】

【0167】
式(22)で表される、Rが1個、2個、3個または4個の置換基Tによって任意に置換されているオルト−フルオロ置換フェニルである式(3)の中間体は、これらに限定されないがテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはDMFなどの溶媒中にて、これらに限定されないがトリエチルアミン、カリウムtert−ブトキシドまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、約0℃と約150℃との間の温度で、場合によってマイクロ波照射を用いてH−L−A基と反応させることによって、式(23)の化合物に変換することができる。式(23)の化合物は、スキーム3に記載されている条件を使用して、式(24)を有する本発明の化合物に変換することができる。
【0168】
実施例の項に記載されている通りの合成スキームおよび具体例は例証であり、添付の請求項において定義されているほど本発明の範囲を限定してはいないと解釈されるべきであることを認識されよう。合成の方法および具体例の全ての代替物、改変および同等物は、請求項の範囲内に含まれる。
【0169】
各個々のステップのための最適な反応条件および反応時間は、用いられる特定の反応物、および使用される反応物において存在する置換基に依存して異なってよい。別段の指定がない限り、溶媒、温度および他の反応条件は、当業者によって容易に選択することができる。具体的手順は、実施例の項に提供されている。反応物は、従来の方法で、例えば残渣から溶媒を取り除くことによって後処理し、これらに限定されないが、結晶化、蒸留、抽出、粉砕およびクロマトグラフィーなどの当技術分野において通常知られている方法論に従ってさらに精製することができる。別段の記載がない限り、出発原料および試薬は市販されている、または当業者によって、市販で入手可能な材料から、化学文献に記載されている方法を使用して調製することができる。
【0170】
反応条件、試薬および合成経路の順番の適当な操作、反応条件と適合できないと思われる任意の化学官能性の保護、ならびに該方法の反応順序における適当な時点での脱保護を含めた日常的実験法は、本発明の範囲に含まれる。適当な保護基、ならびにこうした適当な保護基を使用して異なる置換基を保護および脱保護するための方法は、当業者によく知られており、これらの例は、T.GreeneおよびP.Wuts、Protecting Groups in Chemical Synthesis(第3版)、John Wiley&Sons、NY(1999年)において見出すことができ、この全内容を参照により本明細書に組み込む。本発明の化合物の合成は、上記の本明細書および具体例に記載されている合成スキームに記載されている方法と類似の方法によって達成することができる。
【0171】
出発原料は、市販されていない場合、標準的な有機化学技術、構造的に同様の既知化合物の合成に類似している技術、または上に記載されているスキームもしくは合成例の項に記載されている手順に類似している技術から選択される手順によって調製することができる。
【0172】
本発明の化合物の光学活性形態が必要とされる場合、これは、(例えば、適当な反応ステップの不斉誘導によって調製される)光学活性の出発原料を使用して本明細書に記載されている手順の1つを行うことによって、または(クロマトグラフ分離、再結晶または酵素的分割などの)標準的な手順を使用して該化合物もしくは中間体の立体異性体の混合物を分割することによって得ることができる。
【0173】
同様に、本発明の化合物の純粋な幾何異性体が必要とされる場合、これは、出発原料として純粋な幾何異性体を使用して上記手順の1つを行うことによって、またはクロマトグラフ分離などの標準的手順を使用して該化合物もしくは中間体の幾何異性体の混合物を分割することによって得ることができる。
【0174】
以下の実施例は、例示的目的で使用することができ、本発明の範囲を制限すると見なすべきではない。
【実施例】
【0175】
g.実施例
実施例1
N−[(3E)−2−ブチル−5−tert−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例1A
5−tert−ブチル−2−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イミン
5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−アミン(3.0g、21mmol)および1−ブロモブタン(3.5mL、32mmol)の混合物を85℃に温め、70時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(4.2g、21mmol、99%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z197(M+H)
【0176】
実施例1B
メチルN−5−tert−ブチル−2−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン−N’−シアノカルバムイミドチオエート
実施例1Aの生成物(2.0g、10mmol)のアセトニトリル(75mL)中溶液に、トリエチルアミン(1.4mL、10mmol)、続いてジメチルシアノカルボンイミドジチオエート(1.4g、9.3mmol)を添加した。この混合物を50℃に温め、20時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(1.4g、4.7mmol、46%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z295(M+H)
【0177】
実施例1C
N−[(3E)−2−ブチル−5−tert−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例1Bの生成物(1.2g、4.1mmol)、5−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸(1.7g、9.4mmol)および酢酸銅(I)(1.6g、13.5mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(40mL)中混合物に、Pddba(0.75g、0.815mmol)を添加した。亜リン酸トリエチル(0.21mL、1.2mmol)を添加し、混合物を温めて還流させ、18時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、セライトを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(0.14g、0.36mmol、9%の収率)を得た。H NMR(CDCl,300MHz)δ ppm 0.97(t,J=7.1Hz,3H)、1.30−1.42(m,2H)、1.37(s,9H)、1.75−1.87(m,2H)、3.90(s,3H)、4.26(t,J=6.9Hz,2H)、6.88−6.94(m,1H)、7.04−7.16(m,1H)、7.28−7.35(m,2H);MS(DCI/NH)m/z 389(M+H);元素分析(C2025ClN)計算値:C,61.77;H,6.48;N,14.41;実測値:C,61.64;H,6.33;N,14.25。
【0178】
実施例2
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例2A
5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イミン
5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−アミン(3.0g、21mmol)および1−ブロモ−2−メチルプロパン(3.5mL、32mmol)の混合物を85℃に温め、70時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(2.5g、13mmol、60%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z197(M+H)
【0179】
実施例2B
メチルN−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン−N’−シアノカルバムイミドチオエート
実施例2Aの生成物(2.0g、10mmol)のアセトニトリル(75mL)中溶液に、トリエチルアミン(1.5mL、11mmol)、続いてジメチルシアノカルボンイミドジチオエート(1.4g、9.4mmol)を添加した。この混合物を50℃に温め、20時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、60%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(1.6g、5.6mmol、55%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z295(M+H)
【0180】
実施例2C
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例2Bの生成物(0.82g、2.8mmol)、5−クロロ−2−メトキシフェニルボロン酸(1.2g、6.4mmol)および酢酸銅(I)(1.1g、9.2mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(25mL)中混合物に、Pddba(0.51g、0.56mmol)を添加した。この混合物を、毎回Nバックフラッシュで3回脱気した。亜リン酸トリエチル(0.21mL、1.2mmol)を添加し、混合物を温めて還流させ、18時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(0.18g、0.46mmol、17%の収率)を得た。H NMR(CDCl,300MHz)δ ppm 0.98(d,J=6.7Hz,6H)、1.37(s,9H)、2.13−2.35(m,1H)、3.90(s,3H)、4.11(dd,J=8.7,7.1Hz,2H)、6.91(d,J=8.7Hz,1H)、7.08−7.21(m,1H)、7.27−7.35(m,2H));MS(DCI/NH)m/z 389(M+H);元素分析(C2025ClN・0.15C)計算値:C,61.53;H,6.57;N,13.93;実測値:C,61.59;H,6.50;N,13.62。
【0181】
実施例3
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−N’−シアノ−2−エトキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例2Bの生成物(0.50g、1.7mmol)、2−エトキシ−5−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(0.91g、3.9mmol)および酢酸銅(I)(0.69g、5.6mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(10mL)中混合物に、Pddba(0.31g、0.34mmol)を添加した。この混合物を、毎回Nバックフラッシュで3回脱気した。亜リン酸トリエチル(0.21mL、1.2mmol)を添加し、混合物を温めて還流させ、18時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、セライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、50%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、標題化合物(90mg、0.21mmol、12%の収率)を得た。H NMR(CDCl,300MHz)δ ppm 0.98(d,J=6.8Hz,6H)、1.38(s,9H)、1.48(t,J=7.0Hz,3H)、2.15−2.33(m,1H)、4.09(d,J=7.1Hz,2H)、4.21(q,J=7.1Hz,2H)、7.03(d,J=8.1Hz,1H)、7.06−7.19(m,1H)、7.56−7.63(m,2H);MS(DCI/NH)m/z 437(M+H);元素分析(C2227)計算値:C,60.54;H,6.24;N,12.84;実測値:C,60.70;H,5.95;N,12.99。
【0182】
実施例4
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例4A
N−(5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(1.57g、10mmol)および5−クロロ−2−メトキシ塩化ベンゾイル(2.05g、10mmol)のCHCl(45mL)中溶液に0℃で、トリエチルアミン(1.7mL、12mmol)を滴下により添加した。反応混合物を周囲温度に温まるままにし、12時間撹拌した。混合物を次いで、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物3.2gを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.43(s,9H)、3.88(s,3H)、7.22(d,J=8.8Hz,1H)、7.45−7.76(m,2H)、12.43(s,1H)。MS(DCI/NH)m/z 326(M+H)
【0183】
実施例4B
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
実施例4Aからの生成物(325mg、1mmol)、1−ヨードブタン(551mg、3mmol)および炭酸カリウム(276mg、2mmol)のトルエン(25mL)中混合物を、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(11mg、0.03mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素(10mg、0.03mmol)およびヨウ化テトラエチルアンモニウム(11mg、0.04mmol)で処理し、生じた混合物を8時間還流した。混合物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 2:1)によって精製して、標題化合物360mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.92(t,J=7.3Hz,3H)、1.29−1.47(m,11H)、1.73−1.88(m,2H)、3.77−3.83(m,3H)、4.34(t,J=6.9Hz,2H)、7.14(d,J=9.1Hz,1H)、7.50(dd,J=8.7,2.8Hz,1H)、7.74(d,J=2.8Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 382(M+H)
【0184】
実施例4C
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンゼンカルボチオアミド
実施例4Bからの生成物(350mg、0.92mmol)およびローソン試薬(371mg、0.92mg)のトルエン(30mL)中混合物を、40分間80℃で還流した。混合物を室温に冷却し、クロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 2:1)によって精製して、標題化合物270mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.88(t,3H)、1.23−1.34(m,2H)、1.38−1.45(s,9H)、1.75−1.89(m,2H)、3.72−3.79(s,3H)、4.46(t,2H)、7.05−7.14(m,1H)、7.37−7.46(m,2H)。MS(DCI/NH)m/z 398(M+H)
【0185】
実施例4D
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例4Cからの生成物(165mg、0.42mmol)、シアナミド(42mg、1mmol)およびトリエチルアミン(0.07mL、0.5mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に、酢酸第二水銀(143mg、0.45mmol)を添加し、生じた混合物を80℃で45分間還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 1:1)によって精製して、標題化合物150mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.89(t,J=7.3Hz,3H)、1.24−1.32(m,2H)、1.42(s,9H)、1.74−1.85(m,2H)、3.83(s,3H)、4.37(t,J=7.0Hz,2H)、7.23(d,J=8.8Hz,1H)、7.40(d,J=2.7Hz,1H)、7.55(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 406(M+H)。元素分析:C1924ClNOSの計算値:C,56.22 H,5.96 N,17.25。実測値:C,56.08 H,5.99 N,16.85。
【0186】
実施例5
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−イソブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例5A
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
実施例4Aの生成物(325mg、1mmol)および1−ヨード−2−メチルプロパン(920mg、5mmol)を、実施例4Bに記載されている方法を使用して処理し、標題化合物を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.90(d,6H)、1.39(s,9H)、2.25−2.36(m,1H)、3.76−3.83(m,3H)、4.17(d,J=7.1Hz,2H)、7.14(d,J=8.8Hz,1H)、7.51(d,J=2.7Hz,1H)、7.71(d,J=3.1Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 382(M+H)。元素分析:C1824ClNOSの計算値:C,56.61 H,6.33 N,11.00。実測値:C,56.84 H,6.43 N,10.77。
【0187】
実施例5B
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンゼンカルボチオアミド
実施例5Aの生成物(320mg、0.84mmol)およびローソン試薬(339mg、0.84mmol)を、実施例4Cに記載されている方法を使用して処理し、標題化合物を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.89(d,6H)、1.41−1.47(m,9H)、2.27−2.37(m,1H)、3.75(s,3H)、4.29(d,J=7.5Hz,2H)、7.10(d,J=9.2Hz,1H)、7.36−7.43(m,2H)。MS(DCI/NH)m/z 398(M+H)。元素分析:C1824ClNOSの計算値:C,54.32 H,6.08 N,10.56。実測値:C,54.60 H,6.10 N,10.36。
【0188】
実施例5C
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−イソブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例5Bの生成物(280mg、0.71mmol)およびシアノアミド(106mg、2.5mmol)を、実施例4Dに記載されている方法を使用して処理し、標題化合物を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.89(d,6H)、1.42(s,9H)、2.20−2.32(m,1H)、3.82(s,3H)、4.21(d,J=7.1Hz,2H)、7.23(d,J=9.2Hz,1H)、7.38(d,J=2.7Hz,1H)、7.56(dd,1H)。MS(DCI/NH)m/z 406(M+H)。元素分析:C1924ClNOSの計算値:C,56.22 H,5.96 N,17.25。実測値:C,56.27 H,5.95 N,17.02。
【0189】
実施例6
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例6A
(R)−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)ヒドラジンジヒドロクロリド
THF(100mL)中の(R)−(テトラヒドロフラン−2−イル)メタノール(4.0g、39.2mmol)、ジ−tert−ブチルヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート(3.64g、15.67mmol)およびトリフェニルホスフィン(15.41g、58.7mmol)に、(E)−ジ−tert−ブチルジアゼン−1,2−ジカルボキシレート(13.5g、5.87mmol)を添加した。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで水で希釈し、EtOAc(100mL×2)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、5−30%EtOAc/ヘキサン)による精製で、(R)−ジ−tert−ブチル1−((テトラヒドロフラン−2−イル)−メチル)−ヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート10.2g(82%)が得られ、これを4M HClのジオキサン(40mL)中溶液中に溶解し、周囲温度で終夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル(20mL)を撹拌しながら添加した。固体沈殿物を濾過し、エーテル(10mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、標題化合物7.8g(97%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.48−1.63(m,1H)、1.73−1.88(m,2H)、1.90−2.02(m,1H)、2.84−3.01(m,2H)、3.61−3.71(m,1H)、3.72−3.83(m,1H)、3.97−4.08(m,1H)、5.76(br,5H);MS(ESI)m/z 117(M+H)
【0190】
実施例6B
(R)−3−tert−ブチル−1−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1H−ピラゾール−5−アミン塩酸塩
実施例6A(7.8g、41.3mmol)および4,4−ジメチル−3−オキソペンタンニトリル(5.68g、45.4mmol)のエタノール(50mL)中混合物を90℃で6時間還流し、次いで、溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル(10mL)を撹拌しながら添加した。沈殿した白色固体を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、標題化合物10.4g(97%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.14(s,9H)、1.60−1.97(m,4H)、3.50−3.66(m,1H)、3.67−3.79(m,1H)、3.83(d,J=5.16Hz,2H)、3.99−4.16(m,1H)、4.85(s,2H)、5.15(s,1H);MS(ESI)m/z 224(M+H)、222(M−H)
【0191】
実施例6C
(R)−N−(3−tert−ブチル−1−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1H−ピラゾール−5−イル)−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
氷浴で冷却した、実施例6B(293mg、1.129mmol)およびトリエチルアミン(0.472mL、3.39mmol)のCHCl(5mL)中混合物に、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(307mg、1.355mmol)を一度に添加した。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10−60%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、標題化合物420mg(90%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.24(s,9H)、1.58−1.97(m,4H)、3.55−3.78(m,2H)、4.06−4.20(m,3H)、6.30(s,1H)、7.57(t,J=7.80Hz,1H)、8.01(q,J=8.02Hz,2H)、10.42(s,1H);MS(ESI)m/z 414(M+H)、412(M−H)
【0192】
実施例6D
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
実施例6C(400mg、0.97mmol)および硫酸ジメチル(0.37mL、3.88mmol)のトルエン(2mL)中混合物を、マイクロ波反応器(300W、CEM Explorer(登録商標))内にて150℃で1時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;溶媒A=EtOAc/MeOH/EtN(90:10:0.5);溶媒B=10−60%勾配A/B中ヘキサン)によって精製して、標題化合物331.5mg(80%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.44(s,9H)、1.50−1.67(m,1H)、1.75−1.96(m,2H)、1.99−2.14(m,1H)、3.64−3.84(m,2H)、4.12(s,3H)、4.18−4.26(m,1H)、4.55−4.77(m,2H)、6.98(s,1H)、7.63(t,J=7.73Hz,1H)、8.00−8.13(m,2H);MS(ESI)m/z 428(M+1)。
【0193】
実施例6E
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボチオアミド
トルエン(10mL)中の実施例6D(138mg、0.323mmol)に、ローソン試薬(131mg、0.323mmol)を添加した。混合物を110℃で2時間還流し、溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル;溶媒A=EtOAc/MeOH/EtN(90/10/0.2);溶媒B=5−60%勾配A/B中ヘキサン)によって精製して、標題化合物90mg(63%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.37−1.44(m,9H)、1.59−1.92(m,4H)、3.57−3.79(m,2H)、4.04(s,3H)、4.11−4.20(m,1H)、4.33−4.44(m,2H)、7.31(t,J=7.73Hz,1H)、7.55−7.65(m,1H)、7.59(s,1H)、7.81−7.90(m,1H)、8.25(s,1H)。MS(ESI)m/z 444(M+H)、442(M−H)
【0194】
実施例6F
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
アセトニトリル(8mL)中の実施例6E(82mg、0.185mmol)に、トリエチルアミン(77μL、0.555mmol)、シアナミド(15.55mg、0.370mmol)および酢酸第二水銀(77mg、0.240mmol)を添加した。混合物を2時間還流し、次いで濾過し、濃縮した。ウォーターズシンメトリーC8カラム(25mm×100mm、7μmの粒径)上にて、勾配が10%から100%のアセトニトリル:10mM酢酸アンモニウムを使用し、8分かけて(10分の実行時間)40mL/分の流量での逆相分取用HPLCによって精製して、標題化合物43mg(51.5%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.33−1.46(m,9H)、1.55−1.68(m,1H)、1.68−1.82(m,2H)、1.82−1.95(m,1H)、3.56−3.78(m,2H)、4.00(s,3H)、4.08−4.19(m,1H)、4.32−4.48(m,2H)、6.72(s,1H)、7.48(t,J=7.80Hz,1H)、7.70−7.88(m,2H);MS(ESI)m/z 452(M+H)、450(M−H)
【0195】
実施例7
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例7A
N−(5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(1.57g、10mmol)および5−クロロ−2−メトキシ塩化ベンゾイル(2.05g、10mmol)のCHCl(45mL)中溶液に0℃で、トリエチルアミン(1.7mL、12mmol)を滴下により添加し、反応混合物を12時間、周囲温度に温まるままにした。混合物を次いで水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物3.2gを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.43(s,9H)、3.88(s,3H)、7.22(d,J=8.8Hz,1H)、7.45−7.76(m,2H)、12.43(s,1H)。MS(DCI/NH)m/z 326(M+H)
【0196】
実施例7B
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
実施例7Aからの生成物(489mg、1.5mmol)、4−(クロロメチル)チアゾール(200mg、1.5mmol)および炭酸カリウム(415mg、3mmol)のトルエン(25mL)中混合物を、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(11mg、0.03mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素(10mg、0.03mmol)およびヨウ化テトラエチルアンモニウム(11mg、0.04mmol)で処理し、生じた混合物を8時間還流した。混合物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 2:1)によって精製して、標題化合物300mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D6)δ ppm 1.37(s,9H)、3.78(s,3H)、5.69(s,2H)、7.13(d,J=9.2Hz,1H)、7.49(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)、7.61(d,J=2.0Hz,1H)、7.71(d,J=3.1Hz,1H)、9.08(d,J=2.0Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 423(M+H)
【0197】
実施例7C
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンゼンカルボチオアミド
実施例7Bからの生成物(280mg、0.66mmol)のトルエン(15mL)中溶液に、ローソン試薬(268mg、0.66mmol)を添加し、反応混合物を80℃で45分間還流した。室温に冷却した後、混合物をEtOAcで希釈し、10%溶液の炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン−EtOAc)によって精製して、標題化合物260mg(89%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 1.46(s,9H)、3.78(s,3H)、5.84(s,2H)、6.87(d,J=8.8Hz,1H)、7.21−7.31(m,1H)、7.34(d,J=2.0Hz,1H)、7.51(d,J=2.7Hz,1H)、8.78(d,J=2.0Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 440(M+H)。元素分析:C1819ClNOSの計算値:C,49.24;H,4.36;N,12.76。実測値:C,49.09;H,4.37;N,12.25。
【0198】
実施例7D
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例7Cからの生成物(223mg、0.508mmol)、シアナミド(107mg、2.5mmol)およびトリエチルアミン(0.28mL、2.0mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に、酢酸第二水銀(318mg、2.2mmol)を添加し、生じた混合物を80℃で24時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 1:1)によって精製して、標題化合物150mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.36−1.45(m,9H)、3.82(s,3H)、5.73(s,2H)、7.22(d,J=8.8Hz,1H)、7.28−7.35(m,J=2.7Hz,1H)、7.55(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)、7.64(d,J=2.0Hz,1H)、9.08(d,J=2.0Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 447(M+H)。元素分析:C1821ClNOSの計算値:C,52.86;H,5.18;N,13.70。実測値:C,52.67;H,5.14;N,13.40。
【0199】
実施例8
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例8A
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
実施例7Aからの生成物(645mg、2mmol)、4−ブロモブタンニトリル(0.4mL、4mmol)および炭酸カリウム(547mg、4mmol)のトルエン(35mL)中混合物をヨウ化テトラブチルアンモニウム(11mg、0.03mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素(10mg、0.03mmol)およびヨウ化テトラエチルアンモニウム(11mg、0.04mmol)で処理し、生じた混合物を8時間還流した。混合物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 2:1)によって精製して、標題化合物600mg(77%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.39(s,9H)、2.06−2.24(m,2H)、2.60(t,J=7.0Hz,2H)、3.77−3.84(m,3H)、4.43(t,J=6.6Hz,2H)、7.14(d,J=8.8Hz,1H)、7.50(dd,J=8.8,3.1Hz,1H)、7.77(d,J=2.7Hz,1H)。MS(DCI/NH)393 m/z(M+H)
【0200】
実施例8B
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンゼンカルボチオアミド
実施例8Aからの生成物(580mg、1.47mmol)のトルエン(15mL)中溶液に、ローソン試薬(597mg、1.47mmol)を添加し、反応混合物を80℃で45分間還流した。室温に冷却した後、混合物をEtOAcで希釈し、10%溶液の炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン−EtOAc)によって精製して、標題化合物470mg(77%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 1.46(s,9H)、3.78(s,3H)、5.84(s,2H)、6.87(d,J=8.8Hz,1H)、7.22−7.32(m,1H)、7.34(d,J=2.0Hz,1H)、7.51(d,J=2.7Hz,1H)、8.78(d,J=2.0Hz,1H)。MS(DCI/NH)409 m/z(M+H)
【0201】
実施例8C
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド
実施例8Bからの生成物(440mg、1mmol)、シアナミド(226mg、5mmol)およびトリエチルアミン(0.6mL、4.3mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に、酢酸第二水銀(754mg、2.3mmol)を添加し、生じた混合物を80℃で24時間還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 1:1)によって精製して、標題化合物168mgを得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 1.34−1.44(m,9H)、2.08−2.22(m,2H)、2.60(t,J=7.0Hz,2H)、3.80(s,3H)、4.43(t,J=6.6Hz,2H)、7.14(d,J=8.8Hz,1H)、7.51(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)、7.77(d,J=3.1Hz,1H)。MS(DCI/NH)417 m/z(M+H)。元素分析:C1921ClNOSの計算値:C,54.73;H,5.08;N,20.16。実測値:C,54.63;H,5.35;N,20.03。
【0202】
実施例9
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’,2−ジメトキシベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例4Cの生成物(80mg、0.2mmol)およびO−メチルヒドロキシルアミン(47mg、1.0mmol)を、実施例4Dに記載されている方法を使用して処理し、標題化合物を得た。H NMR(300MHz,DMSO−D)δ ppm 0.86(t,J=7.3Hz,3H)、1.19−1.27(m,2H)、1.31−1.39(m,9H)、1.62−1.75(m,2H)、3.66−3.77(m,6H)、4.06(t,J=7.0Hz,2H)、7.02−7.13(m,2H)、7.38(dd,J=8.8,2.7Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 411(M+H)
【0203】
実施例10
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例10A
(R)−ジ−tert−ブチル1−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)ヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート
(R)−(テトラヒドロフラン−2−イル)メタノール(Fluka、4.0g、39.2mmol)およびジ−tert−ブチルヒドラジン−1,2−ジカルボキシレート(9.1g、39.2mmol)のTHF(50mL)中混合物に、トリフェニルホスフィン(14.4g、54.8mmol)、続いて(E)−ジ−tert−ブチルジアゼン−1,2−ジカルボキシレート(12.6g、54.8mmol)を少量ずつ添加した。この混合物を周囲温度で16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、99%へクス/EtOAcから25%へクス/EtOAc)によって精製して、標題化合物(11.8g、37.3mmol、95%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z317(M+H)
【0204】
実施例10B
(R)−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)ヒドラジンジヒドロクロリド
実施例10Aの生成物(11.8g、37.3mmol)およびHCl(ジオキサン中4M、46.6mL、186mmol)の混合物を周囲温度で16時間撹拌した。固体を、濾過を介して単離し、EtOで洗浄した。生じた標題化合物(6.4g、33.8mmol、91%の収率)をさらに精製することなく続行させた。MS(DCI/NH)m/z117(M+H)
【0205】
実施例10C
(R)−3−tert−ブチル−1−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−1H−ピラゾール−5−アミン
実施例10Bの生成物(6.5g、34.4mmol)および4,4−ジメチル−3−オキソペンタンニトリル(4.3g、34.4mmol)のエタノール(40mL)中混合物を85℃に温め、4時間撹拌したままにした。混合物を周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮し、残渣をCHCl(10mL)および飽和NaHCO水溶液(10mL)中に溶解した。該層を分離し、水層をCHCl(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製標題化合物(7.8g、35.0mmol、102%の収率)を得、これを精製することなく続行させた。MS(DCI/NH)m/z224(M+H)
【0206】
実施例10D
N−{3−tert−ブチル−1−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1H−ピラゾール−5−イル}−2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
実施例10Cの生成物(7.8g、35.0mmol)およびトリエチルアミン(14.6mL、105mmol)のTHF(60mL)中溶液に周囲温度で、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(5.3mL、35.0mmol)を10分かけて滴下により添加した。混合物を周囲温度で3時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液(20mL)でクエンチし、EtOAc(20mL)で希釈した。該層を分離し、水層をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機物を無水NaSO上で乾燥させ、濾過し減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、40%ヘキサン/EtOAc)による精製で、標題化合物(11.0g、26.6mmol、76%の収率)が得られた。MS(DCI/NH)m/z414(M+H)
【0207】
実施例10E
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
実施例10Dの生成物(14.2g、34.3mmol)および硫酸ジメチル(9.9mL、103mmol)のトルエン(40mL)中混合物を90℃に温め、18時間撹拌したままにし、次いで周囲温度に冷却した。混合物を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、50%ヘキサン/EtOAcから100%EtOAcから9:1:0.1 EtOAc:MeOH:EtN)によって精製して、標題化合物(10g、23.4mmol、68%の収率)を得た。MS(DCI/NH)m/z428(M+H)
【0208】
実施例10F
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
カリウムt−ブトキシド(2.3mL、THF中1M)を、THF 1mL中の2−フルオロエタノール(0.17g、2.5mmol)に添加し、10分間撹拌した。THF 2mL中の実施例10Eを添加し、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(15mL)で希釈し、氷酢酸50μLを添加し、固体を濾過により除去し、濾液を、溶媒A=ヘキサン:EtOAc:EtN(10:30:1);および溶媒B=ヘキサン:EtOAc:MeOH:EtN(10:30:10:1)である溶媒A:B(100:0から50:50)で勾配溶出するクロマトグラフィーにかけて、標題化合物(0.4g、0.85mmol、73%の収率)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.38(s,9H)、1.66−1.79(m,3H)、1.79−1.91(m,1H)、3.58−3.66(m,1H)、3.69−3.79(m,1H)、3.88(s,3H)、4.11−4.21(m,1H)、4.25−4.30(m,1H)、4.30−4.39(m,3H)、4.60−4.66(m,1H)、4.76−4.82(m,1H)、6.81(s,1H)、7.18(d,J=8.7Hz,1H)、7.59(dd,J=8.7,2.8Hz,1H)、7.73(d,J=2.4Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 472.3(M+H)
【0209】
実施例10G
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボチオアミド
ローソン試薬をトルエン8.5mL中の実施例10F(0.4g、0.85mmol)に添加し、封管内にて80℃で1時間加熱した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンから2回再乾燥させ、次いで溶媒A=ヘキサン:EtOAc:EtN(30:30:1);および溶媒B=ヘキサン:EtOAc:MeOH:EtN、(30:30:10:1)である溶媒A:B(100:0から50:50)で勾配溶出するクロマトグラフィーにかけて、標題化合物を得た。(0.32g、0.66mmol、77%の収率)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.41(s,9H)、1.62−1.77(m,3H)、1.77−1.88(m,1H)、3.56−3.64(m,1H)、3.72(td,J=7.3,6.1Hz,1H)、4.02(s,3H)、4.09−4.19(m,1H)、4.24−4.28(m,1H)、4.30−4.45(m,3H)、4.57−4.62(m,1H)、4.73−4.78(m,1H)、7.15(d,J=9.5Hz,1H)、7.48−7.54(m,3H)。MS(DCI/NH)m/z 488.2(M+H)
【0210】
実施例10H
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
実施例10G(0.32g、0.66mmol)、シアナミド(0.06g、1.3mmol)、酢酸第二水銀(0.27g、0.85mmol)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)を、100℃でアセトニトリル15mL中にて90分間還流に付した。反応物を冷却し、セライトおよびアセトニトリルで洗浄したシリカを通して濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、溶媒A=ヘキサン:EtOAc:EtN(30:30:1);および溶媒B=ヘキサン:EtOAc:MeOH:EtN、(30:30:10:1)である溶媒A:B(100:0から50:50)で勾配溶出するクロマトグラフィーにかけて、標題化合物を得た。(0.19g、0.38mmol、58%の収率)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 1.38(s,9H)、1.58−1.69(m,1H)、1.69−1.80(m,2H)、1.81−1.92(m,1H)、3.59−3.66(m,1H)、3.69−3.77(m,1H)、3.98(s,3H)、4.11−4.19(m,1H)、4.30−4.35(m,1H)、4.35−4.40(m,2H)、4.40−4.44(m,1H)、4.62−4.67(m,1H)、4.78−4.82(m,1H)、6.64(s,1H)、7.31(d,J=8.8Hz,1H)、7.50(d,J=2.0Hz,1H)、7.73(dd,J=8.6,1.9Hz,1H)。MS(DCI/NH)m/z 496.3(M+H)。元素分析:C2429の計算値:C,58.17;H,5.90;N,14.13。実測値:C,58.15;H,5.94;N,14.18。
【0211】
前述の詳細な記述および付随の実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲の限定として受け取られるべきではなく、本発明は、添付の請求項およびこれらと同等なものによってのみ定義されることを理解されよう。開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者にとって明らかである。化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤および/または本発明の使用方法に関連するものを限定することなく含めるこうした変更および修正は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
は、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり、ここで、アリール、ヘテロアリールおよび複素環は、それぞれ独立して、非置換である、または1個、2個、3個、4個もしくは5個のTで表される置換基で置換されており、ここで、各Tは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、−CN、−NO、オキソ、−G、−L−A、−SR、−S(O)、−S(O)N(R)(R)、−C(O)R、−C(=N−ORm1)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、−(CR−OR、−(CR−OC(O)R、−(CR−OC(O)N(R)(R)、−(CR−SR、−(CR−S(O)、−(CR−S(O)N(R)(R)、−(CR−C(O)R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−N(R)(R)、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)、−(CR−N(R)C(O)O(R)、−(CR−N(R)C(O)N(R)(R)、−(CR−Gおよび−(CR−CNからなる群から選択され、
は、R、−(CR−A、−C(O)R、−C(O)N(R)(R)、S(O)、C(O)O(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)(R)または−N=C(R)(R)であり、
は、−C(O)R、−S(O)、−C(O)N(R)(R)、−C(S)N(R)(R)、−S(O)N(R)(R)、−C(=NORm1)R、−N(R)C(O)R、−N(R)C(O)OR、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)S(O)N(R)(R)または−L−Rであり、
およびLはそれぞれ独立して、OまたはN(R)であり、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−SO−R、−(CR−N(R)(R)、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
はNであり、ならびにXはOまたはSであり、ここで、XとXとの間の結合は二重結合であり、ならびにXとXとの間の結合は単結合である、または
はCRであり、ならびにXはOであり、ここで、XとXとの間の結合は二重結合であり、ならびにXとXとの間の結合は単結合である、または
はNR3aまたはOであり、ならびにXはCRであり、ここで、XとXとの間の結合は単結合であり、ならびにXとXとの間の結合は二重結合であり、
はCRであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキルまたはハロアルキルであり、
3aは、アルキル、シクロアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキルまたはハロアルキルであり、
は、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロ、シアノ、シアノアルキルまたは単環式複素環であり、
は、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロ、シアノまたはアルコキシアルキルであり、
Yは、CNまたはORであり、
は、アルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
、GおよびGは、各出現において、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であり、ここで、G、GおよびGは、それぞれ独立して、非置換である、またはG、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、=N−CN、=N−ORm1、−CN、オキソ、−NO、−OR、−OC(O)R、−OC(O)N(R、−S(O)、−S(O)N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)O(R)、−N(R)C(O)N(R、−(CR−OR、−(CR−OC(O)R、−(CR−OC(O)N(R、−(CR−S(O)、−(CR−S(O)N(R、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R、−(CR−N(R、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)、−(CR−N(R)C(O)O(R)、−(CR−N(R)C(O)N(Rおよび−(CR−CNからなる群から独立して選択される1個、2個、3個、4個もしくは5個の置換基で置換されており、
およびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素またはアルキルであり、
rおよびuは、各出現において、それぞれ独立して、1、2、3、4、5または6であり、
tは、各出現において、独立して、2、3、4、5または6であり、
vは、1または2であり、
wの各出現は、独立して、1、2または3であり、
は、単環式複素環、単環式ヘテロアリールまたは単環式シクロアルキルであり、
およびGはそれぞれ、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびフェニルからなる群から独立して選択される単環であり、
およびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキルまたはハロアルコキシアルキルであり、
は、各出現において、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
、R、R、R、RおよびRは、各出現において、それぞれ独立して、水素、アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキルまたはハロアルコキシアルキルであり、
は、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、ハロアルコキシアルキル、Gまたは−(CR−Gであり、
は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、−(CR−ORm1または単環式シクロアルキルであり、
m1は、各出現において、独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたは単環式シクロアルキルであり、
は、各出現において、独立して、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、ならびに
自体がR、R3a、R、G、G、G、R、R、Rm1およびRの置換基の部分であるシクロアルキル、複素環、ヘテロアリールおよびフェニルは、それぞれ独立して、非置換である、またはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロ、オキソ、シアノおよびヒドロキシからなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されている。)
を有する化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項2】
式(II)
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項3】
式(III)
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項4】
式(IV)
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項5】
が、水素、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルであり、
3aが、アルキルまたはハロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、ならびに
が、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロである、
請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項6】
が、Tで表される通りの1個、2個、3個、4個または5個の置換基によって置換されているフェニルである、
請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項7】
YがCNである、請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項8】
YがORであり、ならびに
がアルキルである、
請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項9】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、
およびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、Tで表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、ならびに
YがCNである、
請求項2に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項10】
が、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、ならびに
が、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルである、
請求項9に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項11】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、
およびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、Tで表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、
YがORであり、ならびに
がアルキルである、
請求項2に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項12】
が、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、ならびに
が、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルである、
請求項11に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項13】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、
およびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、水素、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、Tで表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、ならびに
YがCNである、
請求項3に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項14】
が、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、
が、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、ならびに
が、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルである、
請求項13に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項15】
が、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−O−G、−(CR−O−(CR−G、−(CR−C(O)−R、−(CR−C(=N−ORm1)R、−(CR−G、−(CR−N(R)SO、−(CR−N(R)COR、−(CR−N(R)CON(R)(R)、−(CR−N(R)SON(R)(R)、−(CR−SON(R)(R)、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−OC(O)N(R)(R)または−(CR−CNであり、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、
およびGが、各出現において、それぞれ独立して、単環式ヘテロアリール、単環式シクロアルキルまたは単環式複素環であり、
3aが、アルキルまたはハロアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、単環式シクロアルキル、ハロアルキルまたは単環式複素環であり、
が、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロであり、
が、Tで表される通りの1個、2個または3個の置換基によって置換されているフェニルであり、ならびに
YがCNである、
請求項4に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項16】
が、アルキル、−(CR−Gまたは−(CR−CNであり、
3aがアルキルであり、
が、アルキル、単環式シクロアルキルまたはハロアルキルであり、ならびに
が水素である、
請求項15に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ。
【請求項17】
N−[(3E)−2−ブチル−5−tert−ブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(3E)−5−tert−ブチル−2−イソブチルイソオキサゾール−3(2H)−イリデン]−N’−シアノ−2−エトキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−イソブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(1,3−チアゾール−4−イルメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−5−tert−ブチル−3−(3−シアノプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’−シアノ−2−メトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;
N−[(2Z)−3−ブチル−5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−イリデン]−5−クロロ−N’,2−ジメトキシベンゼンカルボキシイミドアミド;および
N−{(3E)−5−tert−ブチル−1−メチル−2−[(2R)−テトラヒドロフラン−2−イルメチル]−1,2−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イリデン}−N’−シアノ−2−(2−フルオロエトキシ)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンカルボキシイミドアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、または医薬として許容できるこの塩もしくは溶媒和物。
【請求項18】
1つ以上の医薬として許容できる担体と組み合わせて、請求項1に記載の式(I)の化合物、または医薬として許容できるこの塩もしくは溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または医薬として許容できるこの塩もしくは溶媒和物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、こうした治療を必要とする哺乳動物において、疼痛を治療するための方法。
【請求項20】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または医薬として許容できるこの塩もしくは溶媒和物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、それを必要とする哺乳動物において、炎症性障害、免疫障害、神経障害、免疫系の癌、呼吸器障害、肥満症、糖尿病または循環器障害を治療するための方法。
【請求項21】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または医薬として許容できるこの塩もしくは溶媒和物の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、こうした治療を必要とする哺乳動物において、神経保護を提供するための方法。

【公表番号】特表2012−500198(P2012−500198A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523084(P2011−523084)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/053369
【国際公開番号】WO2010/019547
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】