説明

カーテンウォール

【課題】嵌め殺し式パネルの枠体を構成する縦枠と開閉式障子の縦框との間隔を狭くしてもシール材の施工が容易に行なえるカーテンウォールの提供。
【解決手段】パネルを嵌め殺し式に装着した縦枠2Cと、開閉式障子11を取付ける縦枠2Aとを結合する。縦枠2Aは縦枠2Cに比べて出入り方向の幅を狭幅とする。両縦枠の結合部に室外側よりシール材15を施す。開閉式障子11の縦框を室内側縦框24と室外側縦框25に分割する。室内側縦框24にアタッチメント26を水平回動可能に枢着する。アタッチメント26の先端を室外側縦框25の溝25c内に嵌めて溝25c内の弾性材27を圧縮した状態で室外側縦框25の係止部25aを室内側縦框24の突起24bに係止させる。室外側縦框25のパネル面対向部25dとパネル1Aとの間にシール材29を介在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールに係わり、特に開閉式障子の縦框の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールは、方立に縦枠を固定し、無目に横枠を固定し、縦枠と横枠とにより構成された枠体にパネルを嵌め込んで構成される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−371657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーテンウォールにおいては、美観の向上のため、パネルを保持する枠や間隔の縮小が求められている。このため、開閉式障子を一部に設けるカーテンウォールの場合、開閉式障子を取付けるための縦枠と、開閉式障子の縦框との外観に現れる左右方向のトータルの幅を狭くするため、開閉式障子を取付ける枠体を構成する縦枠は出入り方向(室内外方向)の幅を狭くし、その縦枠を、嵌め殺し式にパネルを装着する枠体を構成する縦枠と結合し、その結合部に室外側からシール材を施し、開閉式障子の縦框は本来縦枠のある場所に位置する構成を採用することが考えられる。
しかしながら、このような構成を採用すると、開閉式障子の縦框と嵌め殺し式パネルを装着する縦枠との間の間隔が狭くなり、シール材の施工が困難になるという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、嵌め殺し式パネルの枠体を構成する縦枠と開閉式障子の縦框とが狭い間隔を挟んで対向する構造とした場合でも前記シール材の施工が容易に行なえる構成のカーテンウォールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカーテンウォールは、パネルを嵌め殺し式に装着した枠体を構成する第1の縦枠と、開閉式障子を取付けた枠体を構成する第2の縦枠とが左右に隣接し、第2の縦枠は第1の縦枠に比べて出入り方向の幅が狭幅であって、両縦枠は互いに結合されると共に方立に結合され、縦枠どうしの結合部に室外側よりシール材が施される構造を有し、
前記開閉式障子の縦框を、室内側縦框と室外側縦框とに分割し、
前記室内側縦框の室外側に、室外側縦框取付け用のアタッチメントを水平回動可能に枢着し、
前記室内側縦框に、室内側に突出した突起を設け、
前記室外側縦框はパネル縁対向部とパネル面対向部とを有し、パネル縁対向部の室内側端部に、前記突起に係止する係止部を形成すると共に、コーナー部の内部に、前記アタッチメントの室外側端部を嵌める溝を形成し、その溝内に弾性材を収容し、
前記アタッチメントの先端を前記室外側縦框の前記溝内に嵌めて前記弾性材を圧縮した状態で前記室外側縦框の係止部を前記室内側縦框の突起に係止させ、前記室外側縦框のパネル面対向部とパネルとの間にシール材を介在させてパネルと室内側縦框と室外側縦框とを組み合わせた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、開閉式障子取付け用縦枠と嵌め殺し側縦枠との結合部へのシール材の施工の際に、パネルや室外側縦框は取付けられておかず、アタッチメントをシール材の施工の邪魔にならない位置に回動させてことにより、前記結合部へのシール材の施工が容易に行なえる。また、開閉式障子を取付ける縦枠を狭い幅に構成し、縦框が室外側に露出する構成の実現が可能となるので、枠や框のトータルの幅が狭い外観の優れたカーテンウォールが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明によるカーテンウォールの一実施の形態を示す正面図(室外側から見た図)、図2はその縦断面図である。1はガラス等でなるパネル、2、3はパネル1を支持する縦枠および無目である。縦枠2は方立4の室外側の面に取付けられる。方立4は鉄筋コンクリート製床部5に取付け装置6を介して取付けられる。前記無目3は方立4に取付けられ、横枠7はこの無目3の室内側の面に取付けられる。9はパネル1の室内側に設けられた珪酸カルシウム等でなる耐火ボードであり、下階から上階への延焼を防止するものであり、この耐火ボード9は上下端を横枠7および方立4に設けたブラケット10より支持し、左右の中間部を後述の機構により方立4に押し付けて取付けられる。11はカーテンウォールの一部に開閉可能に取付けられた障子である。
【0009】
図3はこの実施の形態における開閉式障子11の取付け構造を示す横断面図、図4はその縦断面図である。図3、図4において、2A、2Bは開閉式障子11を取付ける縦枠(第2の縦枠)であり、それぞれ方立4にねじなどの固定具12により固定される。3A、3Bは同じく開閉式障子11を下面、上面に取付け、かつパネル1を上面、下面に嵌め殺し式に装着する無目であり、前記横枠7にねじなどの固定具13により固定される。2C、2Dはそれぞれ開閉式障子11を間に取付ける縦枠(第1の縦枠)であり、パネル1を嵌め殺し式に装着するものである。これらの縦枠2C、2Dはそれぞれ前記方立4に組み合わされて取付け共に、前記縦枠2A、2Bにねじなどの固定具14により固定される。
【0010】
第2の縦枠2A、2Bは第1の縦枠2C、2Dより出入り方向の幅を狭くし、これにより、開閉式障子11の後述の室外側縦框25が占有できるスペースを室外側に確保し、縦枠や縦框の占めるトータルの左右の幅を狭くし、外観を向上させる。15は縦枠2Aと2C、2Bと2Dとの間の隙間からの風雨の侵入を防止するシール材である。
【0011】
本実施の形態の開閉式障子11は縦辷り出し式のものを示す。この開閉式障子の上方の横框16および下方の横框17と、それぞれ開閉式障子11の上方の無目3A、下方の無目3Bとの間には、無目3A、3Bにそれぞれ取付けたレール19、20に沿って障子11の左右の一端を摺動させ、かつ他端を出入り方向に動かして開閉させるためのリンク機構21、22を有する。
【0012】
開閉式障子11の縦框は室内側縦框24と室外側縦框25とにより分割して構成する。室内側縦框24は前記横框16、17にタッピングねじ(図示せず)により結合される。26は前記室外側縦框25を室内側縦框24に取付けるためのアタッチメントである。このアタッチメント26は、図5の拡大横断面図に示すように、室内側縦框24の室外側に設けた枢着部24aに、障子11のパネル1A側に折り曲げられた姿勢が取りうるように、水平回動可能に枢着する。
【0013】
前記室内側縦框24には、室外側縦框25を取付けるための室内側に突出した突起24bを設ける。前記室外側縦框25はパネル縁対向部25eとパネル面対向部25dとを有し、パネル縁対向部25eの室内側端部に、前記突起24bに係止するU字形に曲成した係止部25aを形成すると共に、コーナー部25bの内側に、前記アタッチメント26の室外側端部を嵌める溝25cを形成し、その溝25c内にゴム等の弾性材27を収容する。
【0014】
図6は前記アタッチメント26を用いて前記室外側縦框25を前記室内側縦框24に組み付ける順序を示す図である。この室外側縦框25の組み付けは、前記縦枠2A、2Bに縦枠2C、2Dを結合し、シール材15を施した後に行なう。このシール材15の施工は、図6(A)に示すように、室外側縦框25を取付ける前に、アタッチメント26をパネル装着側に回した状態にして、すなわちシール材15の施工の邪魔にならないようにして行なう。
【0015】
次にアタッチメント26の先端を室外側縦框25の前記溝25c内に嵌め、室外側縦框25を室内側に押圧して弾性材27を圧縮し、図6(B)に示すように室外側縦框25の係止部25aを室内側縦框24の突起24bより室内側に動かし、図6(C)に示すように係止させる。この係止状態では、室外側縦框25は弾性材27の弾発力により室外側に押され、係止部25aと突起24bとは強固に結合される。この状態で図5に示すようにパネル1Aを室外側縦框25および上下の横框16、17内に装着し、室外側縦框25のパネル面対向部25dとパネル1Aとの間にゴム等のシール材29を押し込んでパネル1Aと室内側縦框24と室外側縦框25とを組み合わせる。この組み立てた状態では、シール材29の弾性により、室外側縦框25は室内側縦框24にさらに強固に結合される。
【0016】
このように、本発明においては、開閉式障子11の縦枠2A。2Bを狭幅に構成し、縦框を分割し、室外側縦框25を室内側縦框24に取付けるためにアタッチメント26を設け、縦枠2Aと2C、2Bと2Dどうしの結合部のシール材15の施工の際にはアタッチメント26をパネル装着側に回して退避させておくようにしたもので、シール材15の施工が容易に行なえる。また、開閉式障子を取付ける縦枠を狭幅に構成することが可能となるので、枠や框のトータルの幅が狭い外観の優れたカーテンウォールが提供できる。
【0017】
本発明は、開閉式障子が縦辷り出し式でなく、例えば横辷り出し式、開き窓あるいは回転窓などの場合にも適用できる。また、本発明を実施する場合、縦枠2A〜2D、室内側縦框24、室外側縦框25、アタッチメント26等の具体的構造や組み合わせ構造などについては上記実施の形態に限らず、種々の変更、付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のカーテンウォールの一実施の形態を示す正面図である。
【図2】本実施の形態のカーテンウォールの縦断面図である。
【図3】本実施の形態のカーテンウォールの横断面図である。
【図4】本実施の形態のカーテンウォールの縦断面図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】本実施の形態の組立順序を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1:パネル、2、2A〜2D:縦枠、3、3A、3B:無目、4:方立、5:床部、6:方立取付け装置、7:横枠、9:耐火ボード、10:ブラケット、11:開閉式障子、12〜14:固定具、15:シール材、16、17:横框、19、20:レール、21、22:リンク機構、24:室内側縦框、24a:枢着部、24b:突起、25:室外側縦框、25a:係止部、25b:コーナー部、25c:溝、25d:パネル面対向部、25e:パネル縁対向部、26:アタッチメント、27:弾性材、29:シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを嵌め殺し式に装着した枠体を構成する第1の縦枠と、開閉式障子を取付けた枠体を構成する第2の縦枠とが左右に隣接し、第2の縦枠は第1の縦枠に比べて出入り方向の幅が狭幅であって、両縦枠は互いに結合されると共に方立に結合され、縦枠どうしの結合部に室外側よりシール材が施される構造を有し、
前記開閉式障子の縦框を、室内側縦框と室外側縦框とに分割し、
前記室内側縦框の室外側に、室外側縦框取付け用のアタッチメントを水平回動可能に枢着し、
前記室内側縦框に、室内側に突出した突起を設け、
前記室外側縦框はパネル面対向部とパネル縁対向部とを有し、パネル縁対向部の室内側端部に、前記突起に係止する係止部を形成すると共に、コーナー部の内部に、前記アタッチメントの室外側端部を嵌める溝を形成し、その溝内に弾性材を収容し、
前記アタッチメントの先端を前記室外側縦框の前記溝内に嵌めて前記弾性材を圧縮した状態で前記室外側縦框の係止部を前記室内側縦框の突起に係止させ、前記室外側縦框のパネル面対向部とパネルとの間にシール材を介在させてパネルと室内側縦框と室外側縦框とを組み合わせた
ことを特徴とするカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−291623(P2006−291623A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115799(P2005−115799)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】