説明

カーテンエアバッグ装置

【課題】エアバッグの自己保形力と位置安定性を向上したカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】膨張用気体が注入されることで、車体側部ピラー3を中心に前後に相隣する2つのサイドウインドパネル19、23に亘って覆うように展開するエアバッグ11、13と、該エアバッグ11、13間に配され且つ前記車体側部ピラー3に跨って連続的に膨張するセンタークッション部12とを備えたカーテンエアバッグ装置10であって、前記センタークッション部12の前記車体側部ピラー3側の面に凹陥状の係合部14を形成してなり、該係合部14で前記車体側部ピラー3を受容可能なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自車の側面と他車とが衝突或いは、自車の側面がガードレールなどの施設物に衝突(以下、能動的衝突であれ、受動的衝突であれ、総称して「側突」という。)した時における自車の乗員の頭部を保護するカーテンエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカーテンエアバッグ装置は、車両内に配置されたエアバッグは、インフレータによりカーテン状に垂下して車体側部ピラー(一般にセンターピラーとも、Bピラーとも、2ndピラーとも言う)を挟んでの前後に着座可能なる乗員頭部を守るようになっているもの(先行技術文献1)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−500268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる先行技術文献1は、サイドウインドパネルの上縁部から下縁部にかけて、縦方向に細長いセルを掛け渡し、下縁部に重なるようにすると、車両の前後方向に湾曲しやすくなるし、引っ張り線による支えに頼るところとなることで、セル形状を選択する自由度が低下するおそれがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、エアバッグの自己保形力と位置安定性を向上したカーテンエアバッグ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載のカーテンエアバッグ装置は、膨張用気体が注入されることで、車体側部ピラーを中心に前後に相隣する2つのサイドウインドパネルに亘って覆うように展開するエアバッグと、該エアバッグ間に配され且つ前記車体側部ピラーに跨って連続的に膨張するセンタークッション部とを備えたカーテンエアバッグ装置であって、前記センタークッション部の前記車体側部ピラー側の面に凹陥状の係合部を形成してなり、該係合部で前記車体側部ピラーを受容可能なることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載のカーテンエアバッグ装置は、請求項1記載の前記係合部は、前記車体側部ピラーを室内側から覆う化粧部材を受容可能なることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3記載のカーテンエアバッグ装置は、請求項1又は請求項2記載の前記係合部が、前記車体側部ピラー又は前記化粧部材を受容した状態で、前記エアバッグそれぞれのサイドウインドパネル側の面は、前記サイドウインドパネルに当接してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、前記センタークッション部の前記車体側部ピラー側の面に凹陥状の係合部を形成してなり、該係合部で前記車体側部ピラーを受容可能なるため、側突時にエアバッグの自己保形力と位置安定性を向上しているので、乗員の頭部を確実に保護できることになる、などの効果を奏する。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、前記係合部は、前記車体側部ピラーを室内側から覆う化粧部材を受容可能なるため、側突時にエアバッグの自己保形力と位置安定性を向上しているので、乗員の頭部を確実に保護できることになる、などの効果を奏する。
【0011】
また、請求項3記載の発明によれば、前記係合部が、前記車体側部ピラー又は前記化粧部材を受容した状態で、前記エアバッグそれぞれのサイドウインドパネル側の面は、前記サイドウインドパネルに当接してなるため、側突時にサイドウインドパネル側に横倒しされる乗員を前記エアバッグそれぞれで確実にサポートすることできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る自動車の前側から室内の側部にカーテン状になったエアバッグを示すカーテンエアバッグ装置の斜視図。
【図2】図1のSA−SA線に沿った断面図。
【図3】図1のSB−SB線に沿った断面図。
【図4】図1のSC−SC線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、エアバッグの自己保形力と位置安定性を向上したカーテンエアバッグ装置を提供するという目的を、膨張用気体が注入されることで、車体側部ピラーを中心に前後に相隣する2つのサイドウインドパネルに亘って覆うように展開するエアバッグと、該エアバッグ間に配され且つ前記車体側部ピラーに跨って連続的に膨張するセンタークッション部とを備えたカーテンエアバッグ装置であって、前記センタークッション部の前記車体側部ピラー側の面に凹陥状の係合部を形成してなり、該係合部で前記車体側部ピラーを受容可能なることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、図1〜図4を用いて説明する。図1に示す自動車1は、該室内の一番前側FRに配されるAピラー(フロントピラーとも1stピラーともいう)2と、車両の側部に配される「車内側部ピラー」に相当するBピラー(センターピラーとも2ndピラーとも言う)3と、Cピラー(リアピラーとも3rdピラーとも言う)4と、これらのピラー2、3、4の上端部を結合して前側FRから後側RRに連続的に配されるサイドルーフレール9、9(図1は右側RHのサイドルーフレール9のみを示す。)と、該サイドルーフレール9の後側RRを左右方向に配されてなるリアルーフレール(図示省略)と、前記サイドルーフレール9の前側FRを左右方向に配されてなるフロントルーフレール(図示省略)と、これらに囲まれた空間を覆うルーフパネル22と、フロントサイドウインドパネル19と、フロントサイドドア20とを有する。
【0015】
符号5はフードである。符号7はドアミラーである。符号8はフロントウインドパネルである。符号19、23は「サイドウインドパネル」であるフロントサイドウインドパネル、リアサイドウインドパネルである。符号20はフロントサイドドアである。符号21は、ルーフトリムであって、該ルーフトリム21は、前記ルーフパネル22の室内側に配されてなる。符号6はインストルメントパネルである。符号24及び25は、フロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23とBピラー3との間を密接させるシール部材である。勿論、自動車の構成部材は、これらの部材以外も存在するが、周知のため、説明を省略する。
【0016】
符号10は、カーテンエアバッグ装置であって、袋状のフロントバッグ11及びリアバッグ13と、該フロントバッグ11及びリアバッグ13の間に配され且つ前記Bピラー3に跨って連続的に膨張する袋状のセンタークッション部12とを備えてなる。前記フロントバッグ11及びリアバッグ13は、図示しない周知のインフレータにより中空部10aに膨張用気体であるガスが注入されることで、サイドルーフレール9の室内側に巻き込まれて収納されてなる状態から膨張して、図1〜図3に示すように、カーテン状に降りてくる。この際、前記センタークッション部12は、前記Bピラー3を中心に前側FR及び後側RRに相隣する2つのフロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23に亘って、図1及び図3,図4に示すように、膨張することで、前記フロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23の室内側を覆うように展開する。
【0017】
更に、前記センタークッション部12は、図4に示すように、前記Bピラー3側の面に凹陥状の係合部14を形成してなるので、該係合部14で前記Bピラー3及び該Bピラー3を室内側から覆う「化粧部材」であるBピラーガーニッシュモールディングアッパー18を受容可能である。符号17は、前記Bピラーガーニッシュモールディングアッパー18の下側LWRに配されてなる「化粧部材」であるBピラーガーニッシュモールディングロアである。符号12aは、前記センタークッション部12の下側LWRに配されてなる第1非膨張部である。符号13bは、前記リアバッグ13に形成されてなる第2非膨張部である。
【0018】
前記フロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23は、前記サイドルーフレール9に沿った袋状をなし、最上端部に突出形成されてなる取付部15により、前記サイドルーフレール9に吊設されてなる。符号16は、前記Aピラー2とフロントバッグ11の前側FRとの間に橋渡しされてなるラグである。
【0019】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0020】
前記センタークッション部12の前記Bピラー3側の面に凹陥状の係合部14を形成してなり、該係合部14で前記Bピラー3を受容可能なるため、側突時にフロントバッグ11及びリアバッグ13の自己保形力と位置安定性を向上しているので、図示しない乗員の頭部を確実に保護できることになる、などの効果を奏する。
【0021】
また、前記係合部14は、前記Bピラー3を室内側から覆うBピラーガーニッシュモールディングアッパー18を受容可能なるため、側突時にフロントバッグ11及びリアバッグ13の自己保形力と位置安定性を向上しているので、図示しない乗員の頭部を確実に保護できることになる、などの効果を奏する。
【0022】
更に、前記係合部14が、前記Bピラー又は前記Bピラーガーニッシュモールディングアッパー18を受容した状態で、前記フロントバッグ11及びリアバッグ13それぞれのフロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23側の面11a、13aは、前記フロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23に当接してなるため、側突時にフロントサイドウインドパネル19及びリアサイドウインドパネル23側に横倒しされる図示しない乗員を前記フロントバッグ11及びリアバッグ13それぞれで確実にサポートすることできることになる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、以上の実施例では、ガスが封入されていない状態で巻装されてなるフロントバッグ11及びリアバッグ13は、通常時サイドルーフレール9に支持されていることを例にして説明したが、サイドルーフレール9に支持されているだけでなく、ルーフパネル22やドアサッシに支持されてなるものでも良い。
【符号の説明】
【0024】
3 Bピラー(車体側部ピラー)
10 カーテンエアバッグ装置
11 フロントバッグ(エアバッグ)
11a サイドウインドパネル側の面
12 センタークッション部
13 リアバッグ(エアバッグ)
14 係合部
18 Bピラーガーニッシュモールディングアッパー(化粧部材)
19 フロントサイドウインドパネル(サイドウインドパネル)
23 リアサイドウインドパネル(サイドウインドパネル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用気体が注入されることで、車体側部ピラーを中心に前後に相隣する2つのサイドウインドパネルに亘って覆うように展開するエアバッグと、該エアバッグ間に配され且つ前記車体側部ピラーに跨って連続的に膨張するセンタークッション部とを備えたカーテンエアバッグ装置であって、
前記センタークッション部の前記車体側部ピラー側の面に凹陥状の係合部を形成してなり、該係合部で前記車体側部ピラーを受容可能なることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1記載のカーテンエアバッグ装置であって、
前記係合部は、前記車体側部ピラーを室内側から覆う化粧部材を受容可能なることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のカーテンエアバッグ装置であって、
前記係合部が、前記車体側部ピラー又は前記化粧部材を受容した状態で、前記エアバッグそれぞれのサイドウインドパネル側の面は、前記サイドウインドパネルに当接してなることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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