説明

カーテン塗工機で紙/板紙を塗工するための方法

本発明は、カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法に関し、塗工は少なくとも2つの塗工材料層から成る。方法において、塗工の全体的な厚さ及び横方向プロファイルは、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを調節することによって制御され、少なくとも1つの塗工材料層は、紙/板紙ウェブ(W)上の塗工の総量を決定するために、単独で或いは一緒に、塗工の総量の少なくとも40%をもたらし、決定される塗工材料の量は、塗工のための所望の全体的な厚さ及び横方向プロファイルを達成するために横ウェブ方向においてプロファイル化されるときに、前記少なくとも1つの塗工材料層の厚さを規制するための基礎として用いられる。本発明は、方法を実施するための構成にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法に関し、当該方法は、ノズルビームの使用を含み、ノズルビームは、塗工されるべきウェブに亘って延在する長さを有するよう構成され、且つ、カーテン塗工機の長さ方向に延在し且つ供給素子によって塗工材料を備える少なくとも2つの供給室と、供給室と流れ連絡するノズルスロットとを含むノズルユニットとを含み、供給室は、カーテン塗工機の長さ方向に延在し、且つ、各供給室から供給され且つノズルスロットの出口孔からさらに放出される塗工材料も有し、当該方法は、少なくとも2つの塗工材料層から成る塗工の使用を含む。本発明は、上記方法を実施するための構成にも関する。本発明は、全体的厚さの制御の向上、及び、紙/板紙ウェブの塗工ペーストを塗布する目的のカーテン塗工機の塗工層における横方向プロファイルの規制可能性の向上に向けられている。
【背景技術】
【0002】
カーテン塗工機をスロット供給及び平面供給塗工機として特定し得る。本発明は、具体的には、平面供給塗工機に向けられている。それはノズルを用いて塗工材料を傾斜面上に供給することを含み、それは傾斜面に沿って平面のリップに向かって流れ、塗工としてカーテンが平面のリップから落ちる。結果として得られる塗工材料のカーテンは、エッジガイドによって制御され、エッジガイドは、その名前によって示唆されるように、供給リップの縁部に位置する。
【0003】
従来技術のカーテン塗工機の問題は、様々な運転条件において、塗工されるウェブへの塗工材料の塗布のために、塗工材料の横方向プロファイルを制御することに関する。塗工プロファイルに亘る有効且つ活性的な制御をもたらす従来的な手段はない。
【0004】
供給通路の形状が決定されるときに、塗工の全体的プロファイルを塗工ビームの設計段階において影響し得ることが先行的に知られている。塗工材料の特性及び/又は供給量が後続して変化するとき、変化は横方向プロファイルに明確な影響を有し、もはやそれを補正し得ない。製造における不正確性は、プロファイルに対する類似の不可逆的な影響を有する。
【0005】
単一層のための合理的に良好な横方向プロファイルを提供するために、実験的に或いは数理的に事前決定されたバイパス量を用いることによって規制することも可能である。バイパスという用語は、供給室内に供給される塗工材料の流れの一部を指し、それは供給室の他の下流端部から供給ビン又は貯蔵ビンに戻される。塗工材料バイパスの目的は、所与の最低量を超える塗工材料の流量が、ノズルユニット内の流れ通路内で、並びに、塗工材料の流れに面するその端部内で持続されることを保証することである。これの目的は、塗工材料の沈澱、及び、流れ通路の壁上の沈殿物の蓄積を回避することである。塗工材料の割合は変化するので、このバイパス量は、補正因数を用いることによって矯正されなければならない。これらは例えば粘度及び乾燥含有率の変化に起因する誤差の補償をもたらす。しかしながら、測定及び規制の角度はそのような適度なレベルにあり得るので、所望のプロファイルを全ての運転条件において制御された方法で得ることができない。
【0006】
他方、フィンランド国特許出願番号第FI20035149号は、正に特定の等級の塗工材料及び供給量のためにノズル放出塗工の横方向プロファイルを最適化することを可能にする構成を開示している。加えて、かなりの範囲内でさえ最適化を遂行し得る。しかしながら、この最適化された供給量から逸脱するとき、或いは、塗工材料の特性に変更が行われるとき、横方向プロファイルは再び不完全になる。
【0007】
塗工の均質性及び全体的プロファイルに関して、最も深刻な問題は、それにも拘わらず並びにとりわけ、紙/板紙ウエブの塗工が、1つよりも多い塗工材料の層によってしばしば遂行されるという事実である。各個別層は独自の特定の横方向プロファイルを有し、それは、順次、例えば、この特定層のための塗工材料の全体的供給量に依存する。多層塗工プロセスの場合には、塗工材料の供給量の変化は、全ての層の横方向プロファイルが傾き、さらに、同一方向においてさえ傾くという条件を発展しそうであり、よって、塗工の全体的プロファイルは全ての要件をもはや満足しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、これらの様々な上述された有害因子の組み合わせの結果は、塗工の全体的プロファイルが、許容し得ないほど不十分にさえなり得ることである。従って、本発明の目的は、塗工機を用いて紙/板紙を塗工する方法の改良を提供することであり、該方法は、塗工されるべきウェブの横方向でノズルユニットの全長に沿った一定の塗工の形成を可能にし、且つ、運転中、様々な塗工材料及び供給量の効果的且つ迅速な規制可能性も可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の方法は、塗工の全体的厚さ及び横方向プロファイルが、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを調節することによって制御され、少なくとも1つの塗工材料層は、紙/板紙ウェブ上の塗工の総量を決定するために、単独で或いは一緒に、塗工の総量の少なくとも40%を提供すること、並びに、塗工材料の決定された量は、塗工のための所望の全体的厚さ及び横方向プロファイルを達成するために横ウェブ方向にプロファイル化されるときに、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを規制するための基礎として用いられることを特徴とする。他方、本発明の構成は、該構成が、紙/板紙ウェブからの塗工の総量を決定するために、繊維状ウェブに関連して配置される測定素子と、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを調節するための規制素子とを含み、少なくとも1つの塗工材料層は、塗工のための所望の全体的な厚さ及び横方向プロファイルを達成するために横ウェブ方向においてプロファイル化されるときに、単独で或いは一緒に、塗工の総量の少なくとも40%を提供することを特徴とする。
【0010】
故に、本発明は、ウェブ表面から塗工の総量を決定し、供給室と供給スロットとの間の塗工材料流れの収縮を実現するために測定結果を使用し、それによって、塗工材料の少なくとも1つの層に関して、塗工材料流量の規制を自動化することに基づく。
【0011】
塗工材料の単一層の厚さを運転中に横ウェブ方向において局所的に調節し、それによって、塗工の全体的厚さに関する所望の規制を達成し得る。この脈絡において、規制の局所的性質は、調節を横ウェブ方向における所望間隔で、具体的には、他の間隔に拘わらずに可能にすることに関してである。よって、換言すれば、横ウェブ方向におけるプロファイルの他の地域に拘わらずに、塗工プロファイルの調節をそのような各間隔のために所望値に実現し得る。
【0012】
方法における基本的な目的は、一貫した横方向プロファイルを提供することである。本質的なことは、塗工材料の流量のための規制は、測定された全体的な塗工の厚さに基づき遂行され、具体的には、そこに検出される相対的欠陥又は横方向プロファイルの不一致に基づいて遂行される。例えば、ウェブに亘って延在する測定装置を用いて、横方向塗布プロファイルの測定を遂行し得る。本発明によって得られる1つの本質的な利益は、塗工材料の種類が規制及びその正確性に関連性を有しないことである。
【0013】
その上、流量の収縮が、具体的には、塗工の総量の少なくとも半分を構成するような層に関して遂行されるので、そのような規制された塗工材料層の厚さにおける小さな相対的な変更さえも、全体的な塗工の厚さにおいて検出された不一致を矯正するのに十分である。高い確度で所望の横方向塗工プロファイルをもたらすために、単一層の塗工材料のみの調節で十分である。
【0014】
塗工材料は、ウェブ構造内に吸収されるようになる強い傾向を多かれ少なかれ常に有するので、本発明の方法の目的として引用された所望の全体的塗工厚さ及び横方向プロファイルは、早くも平面上で極めて明らかになる。よって、実際のウェブにおける結果は、所望の塗工及びウェブの組み合わせであり、そこでは、特に、その量、厚さ、及び、横方向プロファイルに関して、塗工は所望の特性を有する。
【0015】
従って、規制された塗工材料層のための塗工材料の量は、好ましくは、ウェブに塗布される塗工の総量の少なくとも40%よりも多くを構成するようにされる。よって、塗工の量は、具体的には、塗工の乾燥含有量に関連して、この脈絡で用いられる。塗工材料は、塗布前にノズルビームの平面上に供給されるので、塗工材料は、典型的には、70%未満の乾燥含有量を有する。完成商品において、即ち、抄紙機/板紙機から現れるウェブにおいて、容量に対する塗工の総量は、実質的により小さい。
【0016】
塗工全体内の乾燥物質の量に関して本発明の方法において規制される層内の乾燥物質の量も、好ましくは、半分よりも多い。本来的に、本発明の方法は、決して塗工材料中の如何なる具体的な乾燥物質含有量にも限定されないことがさらに強調されなければならない。
【0017】
塗工の容量、他方、塗布の瞬間にウェブの上に塗布される厚さは、正比例で相互に相関する。しかしながら、一部の塗工は塗布後に概ねウェブ構造中に吸収されるので、ウェブ自体の表面上の塗工混合物からのみ成る層の厚さは、完成製品において、塗工の総量によって定められる全体的な塗工の厚さともはや等しくないことが、この関係で留意されるべきである。よって、塗工材料及びウェブは、互いに部分的に一体化する感じである。
【0018】
他方、塗布前のノズルビームの表面上の状況を考えるとき、例えば塗工の総量の50%は、運転中、ウェブの全幅に亘る塗工材料層の平均厚さに関して、全体的な塗工の厚さの対応する部分も示す。その結果、もし単一の塗工材料層中の塗工材料の量が、例えば、塗工の総量の半分であるならば、塗工材料も、塗工の全体的厚さのほぼ半分である平均的な厚さを有する。例えば、単一の規制された塗工材料層の場合、この単一の塗工材料層も、全体的な塗工厚さの約半分を構成する。
【0019】
従って、規制された材料層中の塗工材料の量が、本発明に従って、塗工の総量の好ましくは40%よりも多くを正に構成するとしても、それにも拘わらず、横方向塗工プロファイルは、この規制された塗工材料層が、全体的な塗工厚さに関して、この数値に達しない地点を局所的に示し得る。よって、全体的な塗工プロファイルに現れる誤差は、この単一層の厚さを横ウェブ方向において規制することによって矯正され、それ故に、本発明の方法では、塗工層の横方向プロファイルのある地点で、その厚さが全体的な塗工厚さの前記数値よりも低い値に局所的に調節されることが可能である。しかしながら、この場合でさえも、塗工材料層は、殆どのウェブ幅の上で、全体的な塗工厚さの40%を越える厚さを有する。
【0020】
本発明の好適実施態様が従属請求項2乃至7に示される。その詳細、特徴、及び、利点に関して、本発明は、例示的な実施態様の以下の記載において、並びに、添付の図面において、より精密に例証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照すると、紙/板紙ウェブを塗工するための本発明の方法を適用した構成が基本的に示されている。本発明のこの実施態様は塗布ビーム40を用い、塗布ビームは、ウェブWに対するその塗布のための塗工カーテン4を形成し得る。本実施態様において、塗布ビーム40は3つの供給室12を備え、塗工材料が、等化室13,13bを経由して、3つの供給室から各ノズルスロット30に供給される。供給室12は、選択的に、塗工材料バイパスのためのバイパス経路(図示せず)を備える。
【0022】
よって、本実施態様では、塗工カーテン4は、3つの個々の塗工材料層1,2,3から構成される(図1)。ノズルスロット30から放出され、且つ、ノズルビームの頂面35に沿って滑動する重ね合わされた塗工材料層1,2,4は、塗工カーテン4を形成するために、塗布ビームの縁部33によって構成される供給リップの上で案内される。
【0023】
基層1及び上層3の双方のために実現され且つウェブWに塗布される塗工材料の量は、ノズルビーム40に到達する塗工材料の全体的な流量と、そこから調節されるバイパス流量との間の差として得られる。塗工材料の供給量のための測定値は、塗工材料の各個別層のためにもたらされる。測定された流量は、基層1及び上層3のための供給量を所望に調節するための基礎として用いられる。
【0024】
全体的な横方向プロファイルは、運転中に、塗工材料の任意の個別の層の厚さを局所的に規制することによって制御される。規制は、好ましくは、ウェブの幅全体に亘って行われる。本発明のこの例示的な実施態様において、局所的規制に晒されるその厚さを有する層として働くのは、3つの塗工材料層の中間層2である。本来的に、中間層の代わりに、個々の塗工材料層の任意の他の1つに対して規制を行うことが可能である。同様に、局所的に規制される層の数は1つより多くてもよい。規制される塗工層又は複数の塗工層の選択に関して本質的なことは、規制されるべき関連層又は複数の関連層が、全体として、塗工の総量の十分に大きな部分を構成し、それによって、塗工の全体的厚さの十分に大きな部分も構成することである。これは、規制される層の厚さに対する単に適度の局所的変更を用いてでさえ、全体的プロファイルのための十分に正確且つ効果的な制御をもたらすことを可能にする。
【0025】
この場合、規制される中間層のための塗工の総量は、他の層のためのと同様である、即ち、議論される層のための塗工材料の全体的な供給量とバイパス量との間の差として計算可能であることが分かる。塗工材料の初期的な総量をこれに基づいて正しく設定し得る。中間層の厚さのための局所的規制は、ウェブWの表面から決定される塗工量に従って行われる。ウェブ上の塗工の総量の決定は、ここでは、ウェブ表面からの直接的な測定によって、或いは、例えば、ウェブの厚さとウェブ及び塗工から成る全体的厚さとの間の差としてそれを決定することによって行われ得る。
【0026】
例えば、ウェブに亘って延在する測定装置41によって、塗工の全体的な厚さをウェブから測定し得る。このようにして、所望の全体的な厚さからの偏差が得られる。測定装置41によって提示される測定結果は、測定地点からノズルビーム40に提供されるフィードバックを用いることによって、中間層2のための塗工材料の供給量を規制するための基礎として用いられる。受信された測定データは、先ず、自動アクチュエータ42に送信される。アクチュエータは、次に、素子19を動作する。素子は、ノズルビーム40内に配置され、且つ、塗工材料の流れに対してさらなる直接的な影響をもたらす。
【0027】
このように、中間層の厚さのための局所的な微調節は、運転中に供給室12から供給スロット30への塗工材料の流れを操作することによって行われる。図1の実施態様において、流れは、供給室12と供給スロット30との間の流れ通路の有効領域を変更することによって規制される。供給量の調節は、ここでは、供給室12と供給スロット30との間に設けられた等化室13の近傍において行われる。塗工材料の流れは、供給室12と等化室13との間に設けられた供給孔18内に収縮される。
【0028】
各供給孔18は、ノズル素子の外部に開口し且つ供給孔18の垂直区画に合流する穿孔19aで形成される。塗工材料の流れは、制御素子として機能する調節ピン19によって収縮される。各規制ロッド19は、そのような穿孔19a内への長さ方向の移動のために構成されている。それによって、前記調節ピンは、前記アクチュエータ42によって直接的に動作される。
【0029】
規制ロッドは、供給孔18内に延びる、好ましくは、傾けられた内端部23を有する。規制ロッド19は、パッキング22によって、穿孔19a内で封止される。供給孔18は、ノズル素子の長さ方向に(故に、図1の表示面に対して垂直に)、例えば、50〜600mm、好ましくは150〜300mmの相互距離を有する。その結果、前記供給孔間の間隔間隙に適合する確度で、塗工層の厚さを局所的に操作し得る。よって、それぞれに、全体的な塗工厚さは、実質的に均等な確度で調節可能でもある。
【0030】
明瞭性のためにノズルビーム組立体の1つのノズル素子39のみを描写する図2の実施態様において、塗工材料供給量の規制は、順次、等化室13内に配置されたプロファイリング部材15によって、並びに、同様に動作する規制シャンク16によって行われる。よって、この実施態様において、アクチュエータ42は、これらの素子15,16に接続されている。
【0031】
プロファイリング部材15は、連続的な供給孔によって定められる距離に亘って延在する供給孔14を備える等化室の表面上に位置している。矢印Dによって指し示される方向における横位置に関してプロファイリング部材15を調節することによって、流れ通路の有効領域を今や変更し得る。単一の供給孔又は幾つかの供給孔の群のいずれかに関して、供給孔のサイズを操作するためにバーを使用することによって、ノズルビームの長手方向において供給室12から等化室13への塗工材料の流量を局所的に規制し得る。規制素子として機能する規制シャンク16は、ノズルビームの長手方向に、即ち、横方向塗工プロファイルの方向に相互間隔を有し、それは、例えば、100〜600mm、好ましくは150〜300mmである。
【0032】
例えば、図1及び2に描写されるようなノズルビーム構造及び組立体を使用することによって、中間層を局所的な調節に晒すことは、他の層によって引き起こされる所望の塗工厚さからの全体的な偏差を補償することを可能にする。よって、横方向塗工プロファイルに所望の形状を与え、全体的な塗工厚さに所望値を与え得る。従って、単一の塗工材料層の厚さにおいて特定の一定値を与える努力することは、本発明の方法の目的ではなく、その代わり、横ウェブ方向における特定地点で所望の全体的な塗工厚さを得るために、その厚さを局所的に調節することである。厚さに関して局所的に規制されるべき塗工層、故にこの場合には中間層は、一種の制御バッファとして機能し、その幅を規制の範囲と見做し得る。よって、本方法は、様々な運動条件において並びに効果的な方法で、個々の塗工材料層の横方向プロファイルが正しい構成にあるか否かに拘わらず、所望の全体的な塗工プロファイルの達成を可能にする。
【0033】
本発明の1つのさらなる着想によれば、バイパス量の規制を追加的に使用することによって規制を強化し得る。いずれにもそれぞれ、具体的には、近似レベルで、横方向プロファイルを調節するために、並びに、塗工材料の供給流れの自動化された収縮を用いて微調節を遂行するために、塗工材料のバイパスの増減を用い得る。よって、補助的規制としてバイパスを使用することによって、供給室とノズルスロットとの間の流量を規制する必要を軽減することが可能である。
【0034】
本発明の方法において本質的なことは、成功的な規制が、たった1つの塗工材料層の厚さを操作することによって達成されること、さらに、そのような方法においてさえ、規制された層の厚さプロファイルに対する小さな変更だけで、成功的な規制が達成されることである。例えば、前記の例示的な実施態様におけるような三層塗工において、頂層及び底層上の塗工の量は、典型的には、2〜4g/mと小さくあるよう構成される。この場合、規制層として機能する中間層は、典型的には、8〜15g/mの著しくより高い厚さを有するよう選択される。この故に、頂層及び底層における高い割合の変更さえも、所望の全体的な塗工プロファイルをもたらす中間層における大きな補償変更を必要としない。被規制層として機能する塗工材料層又は複数の塗工材料層上の塗工の量は、塗工材料層上の塗工の総量の少なくとも40%を構成する。好ましくは、被規制層上の塗工材料の量は、塗工の総量の50〜80%である。それぞれ、もし厚さに関して規制されるべき1つの塗工材料層のみがあるならば、規制される層の上の塗工材料の量は、好ましくは、塗工の塗工材料層に対して最大である。全体的な塗工厚さに対する層の平均的な厚さは、実質的に同一のサイズ範疇にある。
【0035】
図3及び4は、相互に規制される塗工の横方向プロファイルに関する動作原理、及び、本発明の方法を用いて規制される動作原理を視覚化している。上記の例示的な実施態様におけるように、双方の場合とも、中間層が全体的な塗工厚さの半分より多くを構成する三層の塗工材料を用いて行われた。全幅に亘る塗工材料層の厚さは、割合としてグラフ中に示され、標的値は100である。図面中、左側は、供給側にあるカーテン塗工機の端部を指し、次いで、右側は、ウェブの他の縁部上のバイパス側にあるカーテン塗工機の端部を指している。
【0036】
よって、図3の場合には、運転条件は最適運転モードから変更し、底層及び中間層の双方のプロファイルが右に傾いている。具体的には、底層は、カーテン塗工機の供給側、即ち、図中の左側に、所望値よりも多い厚さを有し、右側、即ち、カーテン塗工機のバイパス側に、所望値よりかなり少ない厚さを有する。加えて、頂層の厚さは、ウェブの両縁部で過剰になり、ウェブの中間において、右に強調されているが、厚さは所望値に達していない。これらの欠陥の結果として、塗工の総量は、現在塗工されるウェブの右縁部で標的値に達せず、次いで、塗工の左縁部で、塗工は過剰な厚さを得ている。
【0037】
図4の場合には、個々の塗工材料層の横方向プロファイルに現れる欠陥は、ウェブの全幅に亘って局所的に単一層の厚さを規制することによって補償される。この場合、規制に晒されるのは中間層である。中間層は全体的な塗工厚さの半分より多くを構成するので、中間層の厚さにおける小さな割合の変化さえも、他の層によって引き起こされる全体的なプロファイルにおける偏差を補償するのに十分である。よって、ウェブの右側上の中間層のための塗工材料の供給を僅かに増大することによって、並びに、左側上で僅かにそれぞれ減少することによって、他の層のプロファイル欠陥を直ちに補償し得る。これは一定の総和プロファイルをもたらし、それによって、ウェブの全幅に亘る一定の横方向塗工プロファイルをもたらす。ウェブの表面からの或いはウェブからの塗工の総量の決定は、厚さの直接的な測定のみならず、例えば、先ず、ウェブの全幅に亘るウェブだけの厚さを測定し、塗工の塗布後、再びウェブの全幅に亘る塗工及びウェブの全体的な厚さを測定し、測定された厚さの差として塗工の局所的な厚さを算出することによっても達成し得る。
【0038】
厚さだけの代わりに、他のパラメータを使用することによっても、ウェブからの塗工の量を決定するプロセスを達成し得る。加えて、塗布後に直ちに決定を遂行する代わりに、決定を後にも、例えば、塗工乾燥プロセスのある地点で或いは完成最終製品からも達成し得る。
【0039】
完成最終製品の全体的プロファイルに基づいて塗工層の厚さを調節することも考え得る。その場合には、塗工の所望の全体的プロファイルに加えて或いは代えて、実際のウェブにおける厚さ変化を補償するために、ウェブ及び塗工の全体的プロファイルを所望に働きかけることも可能である。塗工材料は殆どの場合にウェブ構造中に少なくとも部分的に吸収されるので、塗工材料の規制は、この議論されたウェブ及び塗工の全体的プロファイルだけを最適化することに狙いを定められ得る。塗工及びウェブの組み合わせの厚さ及び単に塗工の量の決定は、既知の方法を用いることによって遂行され得る。
【0040】
よって、前記の実施例では、塗工材料の規制は塗工材料の単一層に焦点を絞られているだけであるが、1つだけの層よりも多い層に規制を提供することも本来的に考え得る。測定技術が許せば、必要であれば、ノズルビームの全ての供給ビームのためにさえ、上記に議論されたような局所的な規制のために求められる設計を設け得る。これは全ての塗工材料層のプロファイリングを相互に独立して可能にする。
【0041】
本発明の1つのさらなる特徴によれば、アクチュエータの使用は、横方向塗工プロファイルのみならず、機械方向塗工プロファイルの規制のためにも可能である。運転進行中、塗工厚さを横方向プロファイル全体に亘って均一に、具体的には、同時に所望の方向に規制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】紙/板紙ウェブを塗工するための本発明の構成を原寸ではなく基本的に図式的に示す概略図であり、塗工材料の供給量は、運転中に、調整ピンによって制御される。
【図2】本発明の方法において利用され得る他の平面供給ノズルビームを図式的に示す側面図であり、中間層のための塗工材料の供給量は、運転中に、プロファイリング部材及び調節ピンによって制御される。
【図3】従来技術の手動規制の場合の様々な塗工層及び全体的な塗工のための横方向プロファイルを示すグラフである。
【図4】本発明の方法によって規制されるときの様々な塗工層及び全体的な塗工のための横方向プロファイルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法であり、
当該方法は、ノズルビームの使用を含み、該ノズルビームは、塗工されるべきウェブに亘って延在する長さを有するよう構成され、且つ、前記カーテン塗工機の長さ方向に延在し且つ供給素子によって塗工材料を備える少なくとも2つの供給室と、該供給室と流れ連絡するノズルスロットとを含むノズルユニットとを含み、前記供給室は、前記カーテン塗工機の長さ方向に延在し、且つ、各供給室から供給され且つ前記ノズルスロットの出口孔からさらに放出される塗工材料も有し、当該方法は、少なくとも2つの塗工材料層から成る塗工の使用を含む方法であって、
前記塗工の全体的厚さ及び横方向プロファイルは、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを調節することによって制御され、前記少なくとも1つの塗工材料層は、紙/板紙ウェブの上の前記塗工の総量を決定するために、単独で或いは一緒に、前記塗工の総量の少なくとも40%を提供すること、並びに、前記塗工材料の決定された量は、前記塗工のための所望の全体的厚さ及び横方向プロファイルを達成するために横ウェブ方向にプロファイル化されるときに、前記少なくとも1つの塗工材料層の厚さを規制するための基礎として用いられることを特徴とする方法。
【請求項2】
規制された塗工材料層の中の前記塗工の量は、前記塗工の総量の50%〜80%を成すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの塗工材料層を規制するために、前記塗工材料の供給をバイパスするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塗工は少なくとも3つの塗工材料層を含む請求項1に記載の方法であって、当該方法は、前記少なくとも1つの塗工材料層を2つの他の塗工材料層の間に配置するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの供給室とそれに関連する前記ノズルスロットとの間の流れ連絡は、供給室壁の1つに設けられた孔を用いた方法において達成され、前記塗工材料は、前記孔を通じて前記ノズルスロットに通過可能であること、並びに、前記ノズルユニットは、横方向塗工プロファイルを規制するために、前記供給孔の有効領域を調節し得る素子を備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、前記少なくとも1つの供給室とそれに関連するノズルスロットとの間で、前記塗工機の長さ方向に延在する少なくとも1つの等化室と、該等化室内に開口する供給孔とを使用するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの塗工材料層から成る塗工で紙/板紙を塗工するためのカーテン塗工機に関する構成であり、
当該構成は、ノズルビームを含み、該ノズルビームは、塗工されるべきウェブに亘って延在する長さを有するよう構成され、且つ、前記カーテン塗工機の長さ方向に延在し且つ供給素子によって塗工材料を備える少なくとも2つの供給室と、該供給室と流れ連絡するノズルスロットとを含むノズルユニットとを含み、前記供給室は、前記カーテン塗工機の長さ方向に延在し、且つ、各供給室から供給され且つ前記ノズルスロットの出口孔からさらに放出される塗工材料も有する構成であって、
当該構成は、紙/板紙ウェブからの塗工の総量を決定するために、繊維状ウェブに関連して配置される測定素子と、少なくとも1つの塗工材料層の厚さを調節するための規制素子とを含み、前記少なくとも1つの塗工材料層は、前記塗工のための所望の全体的厚さ及び横方向プロファイルを達成するために、横ウェブ方向においてプロファイル化されるときに、単独で或いは一緒に、前記塗工の総量の少なくとも40%を提供することを特徴とする構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−522931(P2007−522931A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553609(P2006−553609)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050052
【国際公開番号】WO2005/080682
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】