説明

カード処理装置及び処理方法

【課題】
現金自動取引装置による生体認証機能を有するICカードの更新において、認証の精度が低下しない更新を実現する。
【解決手段】
カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と、生体情報取得部により利用者から読み取った生体情報との比較の結果、前記利用者が前記カードの所有者であると確認された場合に、生体情報取得部により読み取った生体情報を記憶する記憶部と、前記記憶部への生体情報の記憶を規定回数実行したか否かを判断し、実行していた場合には前記記憶部に記憶された複数の生体情報を用いて、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成し、実行していない場合には生体情報の取得を利用者に指示して再び生体情報を取得する制御部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報、例えば、指紋や静脈パターン等を用いた本人確認のための認証機能を持つカードを更新するカード処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の現金支払機(以下CDと言う)や現金自動取引装置(以下ATMと言う)による取引では、カードの偽造や他人の成りすましを防ぐため、ICカードの導入が進んでいる。
【0003】
ICカードは、旧来の磁気ストライプ付きカードと比較してカードの複製が困難になると共に、内部情報が容易に盗難されないという安全性も確保できる。加えて、カード内部に格納できる情報量を飛躍的に増大すると共に、カード内部で演算処理ができることに着目し、指紋や静脈パターン等の生体情報を登録データとしてICカードに保持し、センサが読み取った利用者の生体の特徴パターンと予め登録データとして記憶された生体の特徴パターンとを照合して本人確認を実施する、生体認証機能を持ったICカードが実用化されている。
【0004】
生体認証機能を持ったICカードでは、利用者の生体情報はICカードの内部に格納されており、照合処理もICカード内部で実施するため、生体情報が外部へ漏洩することを防止でき個人情報の秘匿性を保つことができる。
【0005】
一方で、金融機関で使用するカードには、例えば発行されてから5年間というような有効期限が設定されており、カードの更新手続きが必要となる。生体認証機能を持ったICカードの更新においては、前記のとおり生体情報をICカードの外部に取り出すことができないため、旧ICカード(更新前のカード)に登録された生体情報を新ICカード(更新後のカード)へ複写することができない。従って、生体認証機能を有するICカードを更新する場合には、利用者は金融機関の窓口へ出向いて、新ICカードへ生体情報を再び登録する手続きが必要となる。
【0006】
ICカードの更新時に金融機関の窓口へ出向く煩雑さの解消方法として、ATMによる更新方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、旧ICカードに登録された生体情報とセンサが読み取った利用者の生体の特徴パターンとを照合し、本人が確認できた場合は、前記センサが一度の読み取りで読み取った利用者の生体の特徴パターンを、新ICカードの登録データとして登録する方法である。
【0007】
一方、利用者から複数の生体情報を取得して生体認証に好適な生体情報をICカードに登録する生体情報の登録方法が提案されている(特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】特開2006−195591号公報
【特許文献2】特開2006−320715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生体認証では、予め登録データとして登録された生体の特徴パターンと、センサが生体から読取った生体の特徴パターンとを照合して照合一致度を求め、一致度が閾値を超える場合に、本人確認が是認されたとみなす。照合一致度の判定する際には、生体の置き方の違いやセンサのノイズ等によって照合が完全に一致することはなく、わずかに不一致が生じる。このため、利用者の使い勝手を考慮し、例えば登録データとの照合一致度が80%を超えれば本人確認が是認されたとみなす等、本人確認のための閾値はゆとりを持って設定されている。
【0010】
従って、特許文献1では、一度の読取りで本人確認が是認された生体の特徴パターンをそのまま新ICカードへ登録すると、旧ICカードに登録された生体の特徴パターンとは100%一致していないものが新ICカードの登録データとして採用されてしまう。故に、更新手続きにより旧ICカードに登録されていた生体の特徴パターンに比べて劣化した生体の特徴パターンが新ICカードへ登録されることとなる。
【0011】
また、このように劣化した生体の特徴パターンが登録された新ICカードを用いて生体認証による本人確認をするケースでは、劣化した登録データが照合一致度を低下させる要因となり、結果として認証精度が悪化することが課題である。
【0012】
また、特許文献2では、金融機関の係員の指導により生体情報を新規に登録するものであり、本発明のように金融機関の係員の指導によらずに利用者が単独で生体情報の登録(更新)をするものではない。よって、利用者が単独で生体情報の登録(更新)を行う場合であっても、生体認証に好適な生体情報を新ICカードへ登録するための考慮がなされていない。例えば、本発明は無人のATMで利用者が生体情報を登録する際には、生体の登録処理に慣れていないために、生体情報取得装置に対して指を傾けてかざしてしまったりロールさせてかざしてしまったりして、登録に適さない生体情報(本人でも再現しにくい状態の生体情報)を新ICカードへ登録してしまう可能性がある。また、係員を介在させずに実行するICカードの更新処理においては、係員がチッェクすることはできないため、悪意のある者がICカードに登録する生体情報を改ざんすることのないようセキュリティの高いシステムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題の解決のため、カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と、生体情報取得部により利用者から読み取った生体情報との比較の結果、前記利用者が前記カードの所有者であると確認された場合に、前記生体情報取得部により読み取った生体情報を記憶する記憶部と、前記記憶部への生体情報の記憶を規定回数実行したか否かを判断し、実行していた場合には前記記憶部に記憶された複数の生体情報を用いて、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成し、実行していない場合には生体情報の取得を利用者に指示して再び生体情報を取得する制御部を設けた。
【発明の効果】
【0014】
複数回取得した生体の特徴パターンの中から、好適な特徴パターンを決定して、新ICカードへ登録することで、更新手続きによる登録データの劣化を軽減させ、その結果、更新後の新ICカードを用いた認証においても、精度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、図1〜図5を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の構成図である。
【0018】
ATM(現金自動取引装置)101は、生体情報として利用者の指静脈パターンを読み取る指静脈読取部102と、利用者への取引に関する操作案内(ガイダンス)等を表示する表示部103と、利用者の操作によって取引のための情報を入力する入力部104と、ICカードの読み書きを処理するカード読取書込部(カード取扱部)105と、入出金される紙幣を処理する入出金部111と、通帳へ印字処理を行う通帳機構部112と、これら各部の処理動作を制御する制御部120とを備える。
【0019】
また、旧ICカード131及び新ICカード132は、ICチップを具備したカードであって、取引時に利用者によってICカード読取書込部に挿入されるものである。また、表示部103および操作部104はタッチパネル付き液晶モニター等により構成された入力兼表示部とすることが望ましく、様々な情報を画面表示すると同時に、この表示に含まれる色々な項目への入力押下も検知する。
【0020】
なお、ATM101は、カードの情報を読み取って各種取引を処理するため、カードをカード処理装置と言っても良い。
【0021】
図2は、指静脈読取部102の構成を示す図である。
【0022】
指静脈読取部102は、指静脈読取部での処理制御を担うプロセッサであり、後述する各種プログラム制御、データ処理を司るCPU(制御部)201と、指静脈読取部102とATM101とを接続するためのインターフェースである通信部202と、生体画像を取得するための近赤外光を照射する照明用LEDであり、例えば静脈認証では指の静脈パターンの撮影に好適な近赤外光LEDを用いた生体照明LED203と、生体画像を取得するためのセンサであり、CCDやCMOSイメージセンサなどで構成され、LED203によって照射された指の画像を取得するための画像センサ204と、装置を動作させるための、各種プログラム領域やデータバッファ領域を確保した記憶部205とを備える。
【0023】
記憶部205に記憶されている制御プログラム210は、指静脈読取部102を制御するプログラムで、上述のとおり、CPU201のハードウェア構成によって制御される。画像バッファ220は、画像センサ204で撮影した生体画像データを格納するためのメモリ領域である。生体の特徴パターンバッファ(1)221および生体特徴バッファ(2)222は、生体画像データから抽出した生体の特徴パターンを格納するためのメモリ領域である。
【0024】
なお、指静脈読取部102又は画像センサ204を生体情報を取得するのに用いる構成として生体情報取得部と言っても良い。
【0025】
図3は、旧ICカード131及び新ICカード132の構成を示す図である。これらのICカードは、生体認証機能を有しており、更新の際には利用者によってカード読取書込部105へ挿入される。
【0026】
旧ICカード131及び新ICカード132は、ICカードでの処理制御を担うプロセッサであり、後述する各種プログラム制御、データ処理を司るCPU(制御部)310と、ICカード内における照合処理において、利用者から読み取る生体の特徴パターンデータを格納する等、データを一時的に格納するRAMである記憶部311と、ICカードと、ICカード読取書込部105を介してATM101とを接続するためのインターフェースである通信部312と、ICカード内部のプログラム及びデータが保持される、不揮発性のメモリである不揮発メモリ313とを備える。
【0027】
不揮発メモリ313には、口座情報320、生体認証プログラム330、前処理データ340、及び登録テンプレートデータ341を記憶している。
【0028】
ここで、口座情報320は、ICカード所有者の氏名・口座番号・支店番号・口座種類・ICカードの有効期限等、金融取引に必要な情報が記録されている。生体認証プログラム330は、ICカードを制御するプログラムで、上述のとおり、CPU310のハードウェア構成によって制御される。
【0029】
前処理データ340および登録テンプレートデータ341は生体認証に用いる情報であり、生体認証機能を有するICカードに保持される。詳述すると、前処理データ340は、生体から生体の特徴パターンを取得する際に利用されるデータである。また、登録テンプレートデータ341は、生体から取得した生体の特徴パターンとの照合によって、本人確認を実施するもので、ICカードの外部へ読み出すことができない。
【0030】
前処理データ340及び登録テンプレートデータ341は、旧カード131には従前から登録された状態であり、新ICカード132には従前未登録の状態である。そして、ICカードの更新によって、新ICカード132に新たに前処理データ340及び登録テンプレートデータ341が登録される。
【0031】
図4は、生体認証機能を有するICカードの更新における処理フローを示す。以下、この図を用いて、各処理ステップを説明する。
【0032】
顧客検知部により利用者がATM101に近づいたことを検知すると、制御部120は表示部103に「入金取引」、「出金取引」、「残高照会」、「カード更新」等の案内を表示する。利用者はこれらの中から実行したい内容を選択するが、本実施例においては「カード更新」が押下された場合について説明する。
【0033】
制御部120は、入力部104により「カード更新」の選択を受け付けると、表示部103に生体情報が登録済みの旧ICカード131と、新たに発行された生体情報が未登録の新ICカード132とを、カード読取書込部105へ挿入するように案内表示する。その案内に応じて、利用者は旧ICカード131と新ICカード132をカード読取書込部105へ挿入する。
【0034】
制御部120は、カード読取書込部105により旧ICカード131と新ICカード132の情報を読み取る。そして、旧ICカード131、および、新ICカード132から口座情報320を読み出してチェックし、カードの正当性確認行う。また、旧ICカード131から前処理データ340を読み出し、これを指静脈読取部102へ送信する(ステップ400)。
【0035】
次に、制御部120は、利用者に対し指静脈読取部へ指をかざすように案内を表示部103に表示する。その案内に応じて利用者が指をかざすと、制御部120は指静脈読取部102により指の画像を読み取り、その画像に対しステップ410で送信しておいた前処理データ340を用いて生体の特徴パターンを取得し、生体の特徴パターンバッファ(1)221へ格納する。また、それと同時に、カード読取書込部105を介して生体の特徴パターンを旧ICカード131へ送信する(ステップ410)。
【0036】
旧ICカード131の制御部310は、ATM101から受信した生体の特徴パターンデータを受信して記憶部311に格納し、予め旧ICカード内に記憶していた生体の特徴パターンである登録テンプレートデータ341と照合処理を実施する(ステップ420)。照合処理では2つのデータの一致度を算出し、一致度が予め設定された閾値を超える場合は、本人確認は是認され「認証OK」と判定する。また、一致度が閾値を超えない場合は本人確認が否認され「認証NG」と判定する。
【0037】
上述の照合処理の後、制御部120は、指静脈読取部102にかざされた指が離れたか否かを調べる(生体の有無を検知する)(ステップ430)。具体的には、生体照明LED203が生体の有無検知に好適な光量に調整された近赤外光を指に向けて照射して、その様子を画像センサ204で撮影し、画像を走査することで、指が指静脈読取部102にかざされたままの状態であるか否かを判定する。この判定によって指が「有り」と判定される場合は、指が離されるまで再び指の有無検知を繰り返す。また、指の有無判定によって指が「有り」と判定される間は、利用者に指を離すよう表示部103にガイダンス表示を実施する。
【0038】
ここで、制御部120において、指が指静脈読取部102にかざされたままの状態であるか否かを判定する機能を生体有無判定部とも言う。
【0039】
ステップ420の本人確認の結果が「認証NG」の場合には、特徴パターンバッファ(1)221に格納した特徴パターンは消去した上で、再び特徴パターンデータを取得するためにステップ410へ戻る(ステップ440)。
【0040】
一方、本人確認の結果が「認証OK」の場合には、ステップ410からステップ440までを繰り返して規定の個数の生体の特徴パターンを取得したか否かを判定する(ステップ450)。
【0041】
特徴パターンバッファ(1)221へ格納されている生体の特徴パターンの数が規定個数に達していれば次のステップ460へ進み、規定個数未満ならばS410へ戻り再び特徴パターンデータ取得を繰り返す。
【0042】
以上のステップ410からステップ450によって、本人確認が是認された生体の特徴パターンが特徴パターンバッファ(1)221内に複数個格納され、かつ生体特徴データを取得する毎に確実に生体が指静脈読取部102から一旦離して生体の置き直し動作が発生するため、各生体の特徴パターンには適切な摂動が含まれるようになる。
【0043】
ステップ450の後に、制御部120は、特徴パターンバッファ(1)221に格納された複数の生体の特徴パターンの中から、旧ICカード131の生体認証機能で実施した照合処理の照合一致度が最高値となったものを選択する(ステップ460)。これにより、旧ICカード131に従前登録されていた登録テンプレートデータと最も相似な生体の特徴パターンを選択できる。
【0044】
最後に、制御部120は、前のステップ460にて選択した生体の特徴パターンデータを新ICカード132へ登録する登録テンプレートデータ341とし、また、生体の特徴パターンから前処理データ342を生成して、新ICカードへ登録する(ステップ470)。
【0045】
この後、新ICカードでの本人確認の試行確認や旧ICカード131の無効化を実施し、カードを排出して利用者へ返却し、生体認証機能を有するICカードの更新が完了する。
【0046】
以上のステップ400からステップ470によって、旧ICカードとの本人確認が是認された上で更新手続きが行われることで、無人のATM取引であっても、本人確認が厳格に行うことができ、カード更新時の不正を防止できる。また、複数回の生体の特徴パターン取得を実施して好適なものを選択して新カードのへ登録することで、従前は旧ICカードへ登録されていた生体情報と最も相似した特徴パターンデータ(生体情報)が新ICカードへ登録されることになり、登録パターンの劣化を防止できる。また、この結果、更新後の新ICカードにおける認証精度の低下を防止し、旧ICカードと同等の認証精度維持が期待できる。
【0047】
なお、図4では新ICカードを利用者がATM101まで持参してカード読取書込部105へ挿入する態様にて説明したが、新ICカードを予めATM101に用意しておいて、必要に応じて発行する態様にしても良い。これにより、利用者の手間を省くことが可能となる。
【0048】
図5は、ステップ410における、生体の特徴パターン取得の詳細な処理フローである。以下、この図を用いて、生体の特徴パターン取得の各処理ステップを説明する。
【0049】
制御部120は、生体照明LED203により生体の有無検知に好適な光量に調整された近赤外光を生体である指に向けて照射し、画像センサ204により生体の画像を撮影し、撮影した画像を走査して指の有無判定を行う(ステップ500)。ここで指が「無し」と判定される場合は、指の有無判定を繰り返して指がかざされるの待つ。指が「有り」と判定される場合は、次ステップ510へ進む。
【0050】
制御部120は、生体照明LED203により生体の静脈パターンを撮影するのに好適な光量に調整された近赤外光を生体である指に向けて照射し、画像センサ204により静脈画像を撮影し、画像バッファ220へ格納する(ステップ510)。
【0051】
さらに、制御部120は、画像バッファ220に格納された静脈画像から静脈のパターンを抽出し、前処理データ340を参照しながら認証処理に使用する部位の切り出しを行い、生体の特徴パターンデータを生成する(ステップ520)。
【0052】
制御部120は、ステップ520で行った静脈パターンの抽出を複数回繰り返すことで、以前に抽出した生体の特徴パターンと、今回抽出した生体の特徴パターンとを比較し、その一致度を用いて、生体が静止しているか否かの判定を行う。すなわち、生体が静止している場合は、指の位置が全く変わらないので複数回取得した生体の特徴パターン同士の一致度が過剰に高くなることが予想される。照合の一致度が低い場合には、生体が静止していないと判定し、ステップ510へ戻り、指が静止するまで静止判定処理を繰り返す(ステップ530)。
【0053】
一方、照合の一致度が高い場合には、生体が静止していると判定し、特徴パターンデータを、特徴パターンバッファ(2)222へ格納する(ステップ540)。
【0054】
次に、制御部120は、ステップ510からステップ540までを繰り返して規定個数の生体の特徴パターンを取得したか否かの判定を行う。ここで、規定個数未満ならばステップ510へ戻り、特徴パターンの取得を連続して継続する。
【0055】
一方、特徴パターンバッファ(2)222に格納されている生体の特徴パターンの数が規定個数に達していれば次ステップへ進む(ステップ550)。ここまでの処理により、連続して取得した複数の生体の特徴パターンが特徴パターンバッファ(2)222内に格納される。
【0056】
最後に、制御部120は、特徴パターンバッファ(2)222内に格納された複数の特徴パターンの中から、最適な特徴パターンを選択する(ステップ560)。
【0057】
最適な特徴パターンの選択方法の一例として、次のような方式で実現することができる。生体の特徴パターンは、静脈がある位置を“1”/静脈が無い位置を“0”と割り当てることによって、静脈のパターン形状を表現する。ここで、“1”が多く出現する生体の特徴パターンは、静脈を多く判定しており、生体認証のための情報量がより多く確保されていると言える。従って、生体の特徴パターン中の“1”を数え、多くの“1”が含まれる生体の特徴パターンを最適な生体の特徴パターンとする。
【0058】
ここで選択された最適な生体の特徴パターンデータは、特徴パターンバッファ(1)221へ格納すると同時に、ATM101へ転送する。
【0059】
以上のステップ500〜560によって、指静脈読取部102おいて、利用者の生体の特徴パターンを取得する処理が完了する。
【0060】
なお、上記実施例では、ステップ500では、画像の撮影により生体の有無を検知すると説明したが、別の方式として、生体の有無を検知するスイッチを設け、スイッチのON/OFFの状態によって生体の有無を検知してもよい。
【0061】
また、上記実施例では、ステップ550では、連続した生体の特徴パターンの取得において、規定個数に達するまで繰り返すと説明したが、別の方式として、連続した生体の特徴パターンの取得は規定の制限時間まで繰り返すとしてもよい。
【0062】
また、上記実施例では、ステップ460、560において複数の生体の特徴パターンの中から最適なものを選択すると説明したが、複数の特徴パターンを用いて最適な特徴パターンを生成するとしてもよい。生成方法の一例としては、複数の特徴パターンを平均化することで実現できる。
【0063】
また、上記実施例では、ICカードに指1本の生体情報が登録されているものとして説明したが、ICカードに複数の生体情報が登録された場合は、生体情報毎に同様の更新処理を繰り返し適用するとしてもよい。
【0064】
また、上記実施例では、本人確認のための特徴パターンの取得と、更新後の登録データとなる特徴パターンの取得を同時に実施するものとして説明したが、予め旧カードの有する生体認証機能を用いて本人確認を実施した後、更新のための生体の特徴パターンを取得するとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ATMの構成図
【図2】指静脈読取部の構成図
【図3】ICカードの構成図
【図4】ICカードの更新方法の処理フローチャート
【図5】生体の特徴パターンの読取処理のフローチャート
【符号の説明】
【0066】
101…ATM(現金自動取引装置)、102…指静脈読取部、103…表示部、104…入力部、105…カード読取書込部、111…入出金部、112…通帳機構部、120…制御部、131…旧ICカード、132…新ICカード、201…CPU、202…通信部、203…生体照明LED、204…画像センサ、205…記憶部、210…制御プログラム、220…画像バッファ、221…特徴パターンバッファ(1)、222…特徴パターンバッファ(2)、310…CPU、311…記憶部、312…通信部、313…不揮発メモリ、320…口座情報、330…生体認証プログラム、340…前処理データ、341…登録テンプレートデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から生体情報を取得する生体情報取得部と、
カードに記憶された情報を読み取るカード取扱部と、
前記カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と、前記生体情報取得部により利用者から読み取った生体情報との比較の結果、前記利用者が前記カードの所有者であると確認された場合に、前記生体情報取得部により読み取った生体情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部への生体情報の記憶を規定回数実行したか否かを判断し、実行していた場合には前記記憶部に記憶された複数の生体情報を用いて、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成し、実行していない場合には生体情報の取得を利用者に指示して再び生体情報を取得する制御部とを有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、複数の生体情報の中から前記カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と相似した1つの生体情報を決定することで、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成することを特徴とするカード処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を作成することで、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成することを特徴とするカード処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のカード処理装置であって、
さらに、生体が生体情報取得部から離されたか否かを判定する生体有無判定部を有し、
前記制御部は、生体情報の取得を実施する毎に生体有無判定部により生体が離されたか否かを判定し、生体が離されていないと判定した場合は生体を離すように利用者に指示することを特徴とするカード処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のカード処理装置であって、
さらに、生体が生体情報取得部の所定の位置に静止しているか否かを判定する生体静止判定部を有し、
前記制御部は、前記生体情報を取得する際に生体静止判定部により生体が所定の位置に静止しているか否かを判定し、生体が静止していると判定した場合は生体情報を取得し、生体が静止していないと判定した場合は生体を静止する旨の指示を生体が静止されるまで繰り返すことを特徴とするカード処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、前記生体情報取得部により生体情報を取得する際に、予め定められた個数の生体情報を連続して取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報の中から登録に適した1つの生体情報を決定し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、前記生体情報取得部により生体情報を取得する際に、予め定められた個数の生体情報を連続して取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を生成し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、前記生体情報取得部により生体情報を取得する際に、予め定められた時間が経過するまで連続して生体情報を取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報の中から登録に適した1つの生体情報を決定し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれかに記載のカード処理装置であって、
前記制御部は、前記生体情報取得部により生体情報を取得する際に、予め定められた時間が経過するまで連続して生体情報を取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を生成し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理装置。
【請求項10】
利用者から生体情報を取得する第1ステップと、
カードに記憶された情報を読み取る第2ステップと、
カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と、生体情報取得部により利用者から読み取った生体情報との比較の結果、前記利用者が前記カードの所有者であると確認された場合に、前記生体情報取得部により読み取った生体情報を記憶する第3ステップと、
前記生体情報の記憶を規定回数実行したか否かを判断し、実行していた場合には前記記憶部に記憶された複数の生体情報を用いて、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成し、実行していない場合には生体情報の取得を利用者に指示して再び生体情報を取得する第4ステップとを有することを特徴とするカード処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載のカード処理方法であって、
前記第4ステップは、複数の生体情報の中から前記カード取扱部によりカードから読み取った生体情報と相似した1つの生体情報を決定することで、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成することを特徴とするカード処理方法。
【請求項12】
請求項10に記載のカード処理方法であって、
前記第4ステップは、複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を作成することで、新規に発行するカードに記憶する生体情報を生成することを特徴とするカード処理方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載のカード処理方法であって、
さらに、生体情報の取得を実施する毎に生体有無判定部により生体が離されたか否かを判定し、生体が離されていないと判定した場合は、生体を離すように利用者に指示する第5ステップを有することを特徴とするカード処理方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかに記載のカード処理方法であって、
さらに、生体情報を取得する際に生体静止判定部により生体が所定の位置に静止しているか否かを判定し、生体が静止していると判定した場合は生体情報を取得し、生体が静止していないと判定した場合は生体を静止する旨の指示を生体が静止されるまで繰り返す第6ステップを有することを特徴とするカード処理方法。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれかに記載のカード処理方法であって、
前記第1ステップにおいて、予め定められた個数の生体情報を連続して取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報の中から登録に適した1つの生体情報を決定し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理方法。
【請求項16】
請求項10乃至14のいずれかに記載のカード処理方法であって、
前記第1ステップにおいて、予め定められた個数の生体情報を連続して取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を生成し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理方法。
【請求項17】
請求項10乃至14のいずれかに記載のカード処理方法であって、
前記第1ステップにおいて、予め定められた時間が経過するまで連続して生体情報を取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報の中から登録に適した1つの生体情報を決定し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理方法。
【請求項18】
請求項10乃至14のいずれかに記載のカード処理方法であって、
前記第1ステップにおいて、予め定められた時間が経過するまで連続して生体情報を取得したか否かを判定し、取得したと判定した場合は連続して取得した複数の生体情報を基に平均的な1つの生体情報を生成し、取得していないと判定した場合は再び生体情報の取得を試みることを特徴とするカード処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−55228(P2010−55228A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217516(P2008−217516)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】