説明

カード真贋判定用ビューワ

【課題】 あらかじめ特定の装置で真贋判定を行うために設計された専用のホログラムではない一般のホログラムによってカードの真贋の判定を可能にするカード真贋判定用ビューワを提供する。
【解決手段】 カード真贋判定用ビューワ10は、カードに付されたホログラムによってカードの真贋を判定するためのカード真贋判定用ビューワ10であって、ホログラムを観察するための窓を有する筐体12と、筐体12に設けられ、カードを載置するためのカード載置部22と真贋判定の基準となる基準ホログラム18とが並んで配置されたカードパネル12aと、カードパネル12aへの投射光を出力する点光源14と、窓に取り付けられると共にカード載置部22に載置されるカードに付されたホログラムおよび基準ホログラムの像を拡大する非球面レンズ20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カードに付されたホログラムによってカードの真贋を目視で判定するためのカード真贋判定用ビューワに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホログラムを利用してカード等の真贋を判定する装置が多数知られていた。例えば、特許文献1には、1台で複数種のホログラムに対応できるカード真贋判定装置が開示されている。この装置は、ホログラムに対して測定光を投影する測定光投影光学系と、ホログラムで反射された反射回折光を検出する検出系とカード真贋判定の動作制御を行う回路部とを備える。そして、回路部は、切換スイッチにより切換え作動するスイッチ回路と検出した光量分布によってカードの真贋を判定する第1〜第3の判定演算手段と表示器とを備える。この装置では、ある種のカードを判別したい場合、その種類に対応する判定演算手段を作動させるべく切換スイッチを操作してスイッチ回路を作動させる。
【特許文献1】特開2002−366891号公報(3頁、図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した特許文献1に見られるような従来のカード真贋判定装置は、あらかじめ決められたホログラムが付されたカードを判定するための専用品であった。つまり、従来のカード真贋判定装置は、専用のホログラムの真贋を判定するための仕様で製作されていたので、専用のホログラムが付されたカードとセットで提供されて初めて有効に利用できるものであった。従って、従来の装置では、現存するクレジットカード等に付されたホログラムによって真贋を判定することはできなかった。
【0004】
そこで本発明は上記背景に鑑み、あらかじめ特定の装置で真贋判定を行うために設計された専用のホログラムではない一般のホログラムによって、カードの真贋の判定を可能にするカード真贋判定用ビューワを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカード真贋判定用ビューワは、カードに付されたホログラムによってカードの真贋を判定するためのカード真贋判定用ビューワであって、ホログラムを観察するための窓を有する筐体と、前記筐体に設けられ、カードを載置するためのカード載置部と真贋判定の基準となる基準ホログラムとが並んで配置されたホログラム設置部と、前記ホログラム設置部への投射光を出力する点光源と、前記窓に取り付けられると共に前記カード載置部に載置されるカードに付されたホログラムおよび前記基準ホログラムの像を拡大する非球面レンズとを備える。
【0006】
このようにカードを載置するための載置部と基準ホログラムとが並んで配置されているので、カード載置部に載置されるカードのホログラムと基準ホログラムの像とを並べて同時に映し出すことができる。これにより、カードのホログラムと基準ホログラムとを目視で見比べることができるようにし、一般のホログラムによるカードの真贋の判定を可能にしている。また、非球面レンズを用いて、歪みの発生を抑制しつつホログラムの像を拡大しているので、真贋判定の精度を高めることができる。
【0007】
上記カード真贋判定用ビューワは、前記点光源からの光を平行光に変換して前記ホログラム設置部に投射させるための凹面鏡を備えてもよい。
【0008】
このように凹面鏡でホログラムに投射する光を平行光に変換することによって、ホログラムの像の再生条件を整え、明暗のはっきりとした像を再生することができる。
【0009】
上記カード真贋判定用ビューワにおいて、前記点光源および前記ホログラム設置部は前記筐体の下部に設けられ、前記凹面鏡は前記筐体の上部に設けられていてもよい。
【0010】
このように筐体の下部に設けられた点光源から出力された光を筐体の上部の凹面鏡で反射して筐体下部にホログラム設置部に投射する構成により、投射光学系を小さいスペースで実現でき、装置の小型化を図ることができる。
【0011】
上記カード真贋判定用ビューワにおいて、前記非球面レンズの光軸は、前記基準ホログラムを配置した面の法線と平行に設定されている。
【0012】
このように非球面レンズの光軸と基準ホログラムを配置した面の法線とが平行になるような位置関係で非球面レンズおよびホログラム設置部を配置することにより、非球面レンズの光軸方向から窓を覗いたときの視野の中心にカードのホログラムおよび基準ホログラムが映し出される。従って、窓を覗く角度が、非球面レンズの光軸から多少ずれてもカードのホログラムと基準ホログラムを視野に入れることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、カードを載置するための載置部と基準ホログラムとが並んで配置されているので、カード載置部に載置されるカードのホログラムと基準ホログラムの像とを並べて同時に映し出して目視で見比べることができるようにし、一般のホログラムによるカードの真贋判定を可能にしている。また、非球面レンズを用いて、歪みの発生を抑制しつつホログラムの像を拡大しているので、真贋判定の精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態のカード真贋判定用ビューワについて図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本実施の形態のカード真贋判定用ビューワ10の外観を示す図、図2はカード真贋判定用ビューワ10の側面図、図3はカード真贋判定用ビューワ10の正面図である。カード真贋判定用ビューワ10は、複数のパネル12a〜12fからなる筐体12に取り付けられた点光源14、凹面鏡16、基準ホログラム18、および非球面レンズ20を備える。
【0016】
図1に示すように、筐体12の下面は、カードを載置するためのカード載置部22が形成されたカードパネル12aおよび点光源14を取り付けたライトカバーパネル12eによって構成される。また、カードパネル12aには、カード載置部22に載置されるカードのホログラムと隣接する位置に基準ホログラム18が取り付けられている。基準ホログラム18は、真のカードのホログラムであって、カード真贋判定の基準となるホログラムである。判定対象のカードのホログラムが基準ホログラム18と同じ場合には、真のカードであると判定される。
【0017】
筐体12の前面にはパネルがなく、カード載置部22に載置するカードを容易に出し入れできるようになっている。ライトカバーパネル12eは、カードパネル12aの後ろ側に位置している。ライトカバーパネル12eの中央に点光源14が取り付けられている。点光源14としては、ハロゲンランプが用いられる。
【0018】
筐体12の上面は、カードパネル12aを臨む窓が形成されたレンズパネル12bと、凹面鏡16が取り付けられたミラーパネル12cとによって構成される。レンズパネル12bは、カードパネル12aに対向する位置に配置されている。レンズパネル12bの窓は、基準ホログラム18およびカード載置部22に載置されるカードのホログラムに対応する位置に形成されている。窓には、ホログラムの像を拡大するための非球面レンズ20が取り付けられている。非球面レンズ20の光軸は、図2に示すように、基準ホログラム18が配置されたカードパネル12aの法線と平行となるように設定されている。
【0019】
ミラーパネル12cは、レンズパネル12bの後ろ側に位置している。図2に示すように、ミラーパネル12cには、点光源14から出力された光を平行光に変換する凹面鏡16が取り付けられている。凹面鏡16は、点光源14からの光をカードパネル12aに投射させる向きに固定されている。
【0020】
筐体12の上面と下面とは、2枚のサイドパネル12fおよびバックパネル12dによって接続されている。2枚のサイドパネル12fおよびバックパネル12dは、点光源14から凹面鏡16への光路の側面および背面を覆うようにして設けられている。
【0021】
次に、本実施の形態のカード真贋判定用ビューワ10の使用態様について説明する。まず、カード載置部22に判定対象のカードを載置する。判定対象のカードは、例えば、ホログラムが付されたクレジットカード、IDカード、ハイウェイカード等である。そして、ホログラムを再生するため、点光源14のスイッチを入れる。なお、カードの真贋判定を頻繁に行う場合には、点光源14は常時ONにしておいてもよい。点光源14から出力された光は、凹面鏡16で平行光に変換され、載置されたカードのホログラムおよび基準ホログラム18に投射される。
【0022】
平行光が投射されると、カードのホログラムおよび基準ホログラム18での反射光がホログラムの像を再生する。カードの真贋を判定する判定者は、非球面レンズ20が取り付けられた窓を通じてホログラムの像を観察する。カードのホログラムの像と基準ホログラム18の像が拡大されて並んで映し出されるので、判定者は基準ホログラム18の像とカードのホログラムの像が同じか否かに基づいてカードの真贋を判定することができる。以上、本発明の実施の形態のカード真贋判定用ビューワ10について説明した。
【0023】
本実施の形態のカード真贋判定用ビューワ10は、判定対象のカードを載置するカード載置部22に隣接して基準ホログラム18が配置されており、カードのホログラムの像と基準ホログラム18の像とが並んで映し出される。これにより、ホログラムによるカードの真贋判定を目視で行うことができる。この装置によって、ホログラムが付されている一般のカードの真贋を判定でき、強固なセキュリティ環境を実現することができる。
【0024】
また、本実施の形態では、ホログラムの像を観察するための窓に、非球面レンズ20が取り付けられており、ホログラムの像の歪みを低減しつつ像を拡大する。これにより、ホログラムの像を詳細に見ることができ、真贋判定の精度を高めることができる。
【0025】
また、本実施の形態では、点光源14から出力された光を凹面鏡16によって平行光に変換し、ホログラムに投射しているので、明暗のはっきりしたホログラムを再生できる。さらに凹面鏡16によって点光源14からの光を折り返してカードパネル22に投射する構成によって、小さいスペースで投射光学系を実現でき、装置の小型化を図ることができる。
【0026】
以上、本発明のカード真贋判定用ビューワ10について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0027】
上記した実施の形態では、判定対象のカードを容易に出し入れできるように前面にパネルがない筐体12を用いたが、図4に示すように、カードを出し入れするための開口が形成されたフロントパネル12gを有する構成としてもよい。
【0028】
また、上記した実施の形態では、点光源14から出力された光を平行光に変換するために凹面鏡16を用いたが、平行光に変換するための構成は凹面鏡16に限られず、凸レンズを用いることも可能である。
【0029】
また、上記した実施の形態において、基準ホログラム18を固定するのではなく、真贋判定の対象のカードに応じて、基準ホログラム18を取替え可能な構成としてもよい。
【0030】
また、本発明のカード真贋判定用ビューワを、上記した実施の形態で説明した以外の対象、例えば、トラベラーズチェック、商品券、紙幣等に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明は、目視によるホログラムの比較によって、一般のホログラムによるカードの真贋判定を可能にするという効果を有し、クレジットカード等に付された既存のホログラムによる真贋を判定するためのカード真贋判定用ビューワ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態のカード真贋判定用ビューワの外観を示す図である。
【図2】本実施の形態のカード真贋判定用ビューワの側面図である。
【図3】本実施の形態のカード真贋判定用ビューワを正面図である。
【図4】本実施の形態のカード真贋判定用ビューワの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 カード真贋判定用ビューワ
12 筐体
14 点光源
16 凹面鏡
18 基準ホログラム
20 非球面レンズ
22 カード載置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに付されたホログラムによってカードの真贋を判定するためのカード真贋判定用ビューワであって、
ホログラムを観察するための窓を有する筐体と、
前記筐体に設けられ、カードを載置するためのカード載置部と真贋判定の基準となる基準ホログラムとが並んで配置されたホログラム設置部と、
前記ホログラム設置部への投射光を出力する点光源と、
前記窓に取り付けられると共に前記カード載置部に載置されるカードに付されたホログラムおよび前記基準ホログラムの像を拡大する非球面レンズと、
を備えることを特徴とするカード真贋判定用ビューワ。
【請求項2】
前記点光源からの光を平行光に変換して前記ホログラム設置部に投射するための凹面鏡を備えることを特徴とする請求項1にカード真贋判定用ビューワ。
【請求項3】
前記点光源および前記ホログラム設置部は前記筐体の下部に設けられ、前記凹面鏡は前記筐体の上部に設けられることを特徴とする請求項2に記載のカード真贋判定用ビューワ。
【請求項4】
前記非球面レンズの光軸は、前記基準ホログラムを配置した面の法線と平行であることを特徴とする請求項1に記載のカード真贋判定用ビューワ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−76248(P2006−76248A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265470(P2004−265470)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(599131125)株式会社 ブレイネ (1)
【Fターム(参考)】