説明

カーペット洗剤

【課題】洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤を提供する。
【解決手段】本発明のカーペット洗剤は、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種からなる洗剤成分(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)と、カチオン性柔軟剤及び両性柔軟剤のうちの少なくとも一方からなる柔軟剤成分(例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等)と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット洗剤に関する。更に詳しくは、本発明は、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新築のオフィス及び量販店等において、床面のカーペット化が進んでいる。敷設されたカーペットに対する日常のメンテナンスとして、主にバキューム作業による除塵が行われている。このバキューム作業により、カーペット上の塵及び埃等の非付着性残留物を容易に除去することができる。しかし、このバキューム作業では、油汚れ等の付着性残留物を除去することは困難である。そして、このような付着性残留物には、汚れが更に付着することになり、汚れの蓄積が生じる。また、歩行等により圧力が集中する部分では、パイルが踏み潰されて美観が低下する。更に、踏み潰されたパイル内の汚れは上記バキューム作業により除去し難い。その結果、歩行等により圧力が集中する部分では、汚れが蓄積されやすい。
【0003】
年に1回程度、蓄積された汚れを除去するために、クリーニングが行われている。このクリーニング方法としては、洗浄力の強いシャンプークリーニング(ポリッシャーとエクストラクターとを使用するツーステップ方式)が主流である。このクリーニングに用いられる洗剤としては、例えば、洗浄性を有し、乾燥後のベタツキが無く、再汚染の懸念が少ないアニオン系及びノニオン系の界面活性剤を洗剤成分とするカーペット洗剤が用いられている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平2−255900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等の従来のカーペット洗剤の洗浄性は、未だ十分と言えず、更なる洗浄性の向上が求められている。また、従来のカーペット洗剤には、被洗浄物に柔軟性を付与する効果(柔軟効果)はなく、踏み潰されたカーペットのパイルを復元させることができないという問題がある。よって、この問題を解決できるカーペット洗剤も望まれている。
【0006】
本発明は、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す通りである。
[1]カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種からなる洗剤成分と、柔軟剤成分と、を含有することを特徴とするカーペット洗剤。
[2]上記柔軟剤成分が、カチオン性柔軟剤及び両性柔軟剤のうちの少なくとも一方からなる上記[1]に記載のカーペット洗剤。
[3]上記カチオン性柔軟剤が、脂肪族4級アンモニウム塩、アミノエステル類、ポリアミドアミノ類及びアミノ変性シリコーン油のうちの少なくとも1種である上記[2]に記載のカーペット洗剤。
[4]上記両性柔軟剤が、アルキルイミダゾリン類、アシルアミドベタイン類、アシルポリアミン類、アミンオキサイド類及びスルホベタイン類のうちの少なくとも1種である上記[2]又は[3]に記載のカーペット洗剤。
[5]上記両性界面活性剤が、アルキルジメチルベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインのうちの少なくとも一方であり、且つ常温で固体である上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のカーペット洗剤。
[6]上記ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びショ糖脂肪酸エステルのうちの少なくとも一方であり、且つ常温で固体である上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のカーペット洗剤。
[7]上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分の合計を100質量%とした場合に、該洗剤成分の含有量が、30〜95質量%である上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のカーペット洗剤。
[8]上記カーペット洗剤を100質量%とした場合に、上記洗剤成分の含有量が0.15〜50質量%であり、且つ上記柔軟剤成分の含有量が0.1〜40質量%である上記[1]乃至[7]のいずれかに記載のカーペット洗剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカーペット洗剤によれば、優れた洗浄性を有するため、蓄積されたカーペットの汚れを十分に除去することができる。更には、高い柔軟効果が得られるため、踏み潰されたカーペットのパイルを十分に復元させることができる。即ち、本発明のカーペット洗剤は、洗浄力が強いため、従来のカーペット洗剤に比べ、美しい仕上がりを実現することができる。また、柔軟剤成分の効果により、踏み潰されたパイルを復元させることができ、美観の回復と共に、カーペット本来の歩行感の良さを再現することができる。そして、カーペットのパイルが復元されることによって、日常のバキューム作業において効率よく除塵を行うことができる。更に、残留した洗剤成分は、粉状となり、バキューム作業で除去されるため、再汚染の心配は無い。
本発明のカーペット洗剤における柔軟剤成分が、カチオン性柔軟剤及び両性柔軟剤のうちの少なくとも一方である場合には、より高い柔軟効果が得られ、踏み潰されたカーペットのパイルを十分に復元させることができる。
上記柔軟剤成分が、特定の化合物である場合には、洗浄性を十分に維持したまま、高い柔軟効果を得ることができる。
本発明のカーペット洗剤における洗剤成分が、特定の界面活性剤である場合には、洗浄性により優れるカーペット洗剤とすることができる。
上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分が、それぞれ、特定量含有されている場合には、確実に、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のカーペット洗剤は、洗剤成分と、柔軟剤成分と、を含有するものである。
上記「洗剤成分」は、カーペットにおける汚れの原因となっている付着物を洗浄、除去する作用を有するものである。
この洗剤成分は、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種により構成される。この洗剤成分は、特に、同系の界面活性剤のみから構成されることが好ましく、より好ましくは両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの一方であり、更に好ましくは両性界面活性剤である。
【0010】
上記「カチオン系界面活性剤」(以下「カチオン系活性剤」ともいう。)としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
尚、これらのカチオン系活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
上記「両性界面活性剤」(以下「両性活性剤」ともいう。)としては、例えば、アルキルジメチルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。これらのなかでも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が好ましい。
具体的なアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
尚、これらの両性活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】
上記「ノニオン系界面活性剤」(以下「ノニオン系活性剤」ともいう。)としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのなかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等が好ましい。
具体的なポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、ポリオキシアルキレン直鎖デシルエーテル等が挙げられる。
また、具体的なショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。
尚、これらのノニオン系活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
また、上記「柔軟剤成分」は、カーペットにおけるパイルの繊維に柔軟性を付与する作用を有するものであり、繊維用の柔軟仕上げ剤として常用されているものを用いることができる。
この柔軟剤成分は、カチオン性柔軟剤、両性柔軟剤、ノニオン性柔軟剤及びアニオン性柔軟剤のうちの少なくとも1種により構成されていることが好ましい。特に、この柔軟剤成分は、同系の柔軟剤のみから構成されていることが好ましい。また、カーペットのパイル素材としては、ポリアミド系合成繊維(ナイロンを含む)が多用されており、このポリアミド系合成繊維に対する柔軟効果に優れるという観点から、カチオン性柔軟剤及び両性柔軟剤のうちの一方好ましく、より好ましくはカチオン性柔軟剤である。
【0014】
上記「カチオン性柔軟剤」としては、例えば、脂肪族4級アンモニウム塩、アミノエステル類、ポリアミドアミン類、アミノ変性シリコーン油等が挙げられる。これらのなかでも、脂肪族4級アンモニウム塩、ポリアミドアミン類、アミノ変性シリコーン油等が好ましい。
具体的な脂肪族4級アンモニウム塩としては、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
また、具体的なポリアミドアミン類としては、例えば、ポリアミドアミン型カチオン、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
尚、これらのカチオン性柔軟剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
上記「両性柔軟剤」としては、例えば、アルキルイミダゾリン類、アシルポリアミン類、アミンオキサイド類、置換アミノ酸類、アシルアミドベタイン及びスルホベタイン等のベタイン類(前述のアルキルジメチルベタイン及びアルキルジメチル酢酸ベタインを除く)等が挙げられる。更には、これらの塩類を挙げることができる。
尚、これらの両性柔軟剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
上記「ノニオン性柔軟剤」としては、例えば、ポリアルキレングリコールエーテル類、ポリアルキレングリコールエステル類、及び、他のポリオキシアルキレン縮合生成物類等が挙げられる。更には、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
尚、これらのノニオン性柔軟剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
上記「アニオン性柔軟剤」としては、例えば、スルホコハク酸ジアルキルエステル類、脂肪酸塩類、スルホン化脂肪類、脂肪族アルキルフォスフェート類、脂肪酸縮合生成物類、スルホスクシナメール類等が挙げられる。
尚、これらのアニオン性柔軟剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
本発明のカーペット洗剤において、上記洗剤成分と上記柔軟剤成分との組み合わせは特に限定されないが、(1)両性活性剤と、カチオン性柔軟剤との組み合わせ、(2)ノニオン系活性剤と、カチオン性柔軟剤との組み合わせ、(3)両性活性剤と、両性柔軟剤との組み合わせ、(4)ノニオン系活性剤と、両性柔軟剤との組み合わせ、(5)カチオン系活性剤と、カチオン性柔軟剤との組み合わせ、及び(6)カチオン系活性剤と、両性柔軟剤との組み合わせのうちのいずれかの組み合わせであることが好ましい。特に、上記(1)又は(2)の組み合わせが好ましい。このような組み合わせの場合には、確実に、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤とすることができる。
【0019】
また、本発明のカーペット洗剤において、上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分の合計を100質量%とした場合に、洗剤成分の含有量は、30〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは35〜80質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。この洗浄成分の含有量が、30〜95質量%である場合には、即ち、上記柔軟剤成分の含有量が、5〜70質量%である場合には、確実に、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤とすることができる。
【0020】
更に、本発明のカーペット洗剤においては、カーペット洗剤を100質量%とした場合に、上記洗剤成分(有効成分)及び上記柔軟剤成分(有効成分)の含有量は、それぞれ、0.15〜50質量%及び0.1〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%及び0.25〜40質量%、更に好ましくは0.75〜45質量%及び0.4〜35質量%、特に好ましくは1〜45質量%及び0.9〜35質量%である。これらの含有量が、このような範囲である場合には、確実に、洗浄性に優れると共に、十分な柔軟効果が得られるカーペット洗剤とすることができる。
【0021】
尚、カーペット洗剤として使用する際の上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分の含有量は、
本カーペット洗剤を100質量%とした場合に、それぞれ、0.15〜2.5質量%及び0.1〜2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.4〜2.5質量%及び0.25〜2質量%、更に好ましくは0.75〜2.3質量%及び0.3〜1.8質量%、特に好ましくは1〜2.3質量%及び0.4〜1.6質量%である。上記洗剤成分の含有量が2.5質量%を超える場合には、それ以上の洗浄性の向上が望めない。また、上記柔軟剤成分の含有量が2質量%を超える場合には、それ以上の柔軟性の向上が望めない。そのため、洗剤成分が2.5質量%を超える場合(例えば、2.5質量%を超えて50質量%以下の範囲である場合)、或いは、柔軟剤成分が2質量%を超える場合(例えば、2質量%を超えて40質量%以下の範囲である場合)には、後述のように本カーペット洗剤を原液として用い、水を更に配合して稀釈し、上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分の含有量を調整して使用することが好ましい。
【0022】
また、本発明のカーペット洗剤には、通常、水が配合される。この水の配合量については特に限定はないが、通常は、本発明のカーペット洗剤を100質量%とした場合に、1質量%以上、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは20〜95質量%、更に好ましくは40〜90質量%である。この水の含有量が1質量%以上である場合には、カーペット洗剤の粘度を低下させて作業性を向上することができるので好ましい。
尚、本発明のカーペット洗剤は、上記のように最初から水を配合した組成物とするだけでなく、使用する際に水を加えて所定の組成物として使用することもできる。また、必要に応じて、使用の際に、更に水で稀釈(通常、10〜100倍)して使用することもできる。
【0023】
また、本発明のカーペット洗剤には、必要に応じて、水質軟化剤を含有させることができる。この水質軟化剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩、ニトロ3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、L−グルタミン酸2酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸塩、クエン酸等が挙げられる。
この水質軟化剤の含有量は、上記洗浄剤成分及び柔軟剤成分の合計100質量%に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
【0024】
更に、本発明のカーペット洗剤には、ビルダー、溶剤、防腐剤、消泡剤、除菌剤、染料、香料等の他の添加剤を適宜含有させることができる。
【0025】
本発明のカーペット洗剤の調製方法は特に限定されず、洗剤成分、柔軟剤成分、及び必要に応じて水や添加剤を配合し、通常のミキサーで均一に混合することにより調製することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]カーペット洗剤の調製(実施例1〜10及び比較例1〜9)
表1及び表2に示す各成分を、表1及び表2に示す割合で配合し、実施例1〜10及び比較例1〜9の各カーペット洗剤を調製した。単位は質量%である。尚、表1及び表2に示す各成分の詳細は以下の通りである。
【0027】
<洗剤成分>
活性剤A;両性活性剤[ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、花王(株)製、商品名「アンヒトール20BS」]
活性剤B;ノニオン系活性剤[ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、第一工業製薬(株)製、商品名「ノイゲンXL−400」]
活性剤C;ノニオン系活性剤[ショ糖ラウリン酸エステル、三菱化学フーズ(株)製、商品名「リョートーシュガーエステルL−1695」]
活性剤a;アニオン系活性剤[アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テイカ(株)製、商品名「テイカパワーLN206D」]
【0028】
<柔軟剤成分>
柔軟剤A;カチオン性柔軟剤[ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、花王(株)製、商品名「コータミンD85P」)]
柔軟剤B;カチオン性柔軟剤[ポリアミドアミン型カチオン、第一工業製薬(株)製、商品名「タフロン320A」]
柔軟剤C;カチオン性柔軟剤[特殊編成シリコーン、高松油脂(株)製、商品名「TKシリコンAC−91」]
【0029】
<添加剤>
水質軟化剤;エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩(BASF社製、商品名「トリロンBパウダー」)
【0030】
[2]カーペット洗剤の性能評価
実施例1〜10及び比較例1〜9の各カーペット洗剤を用いて、下記の各性能評価を行った。その結果を表1及び表2に併記する。
【0031】
(1)洗浄性
新品のタイルカーペット[(株)タジマ製、商品名「タピスセレクト450−882」、寸法;50cm×50cm]に、人口汚垢(JISL1023の8.1、「カーペットの汚れ試験用標準汚染物質」)16g/mを均一に塗布した後、5cm×25cmに切断して、試験片とした。また、実施例及び比較例の各カーペット洗剤を水道水で20倍に希釈し、試験洗剤液とした。次いで、豚毛ブラシを装着した洗浄試験機(ウォッシャビリティーテスター、JISK39920の19)に試験片をセットした。その後、試験洗剤液10mlを試験片に散布した後、50往復洗浄した。洗浄後、エクストラクターで5秒間(1回)水洗した後、自然乾燥させた。そして、試験片の洗浄前後の明度(L値)を測定し、以下の式により洗浄率を算出した。
洗浄率(%)=(L3−L2)/(L1−L2)×100
L1;汚垢塗布前の明度
L2;汚垢塗布後の(洗浄前)の明度
L3;洗浄後の明度
【0032】
(2)柔軟性
オフィス通路で1年間使用し、パイルが踏み潰されたタイルカーペット[(株)タジマ製、商品名「タピスセレクト450−882」、寸法;50cm×50cm]を5cm×25cmに切断し試験片とした。また、実施例及び比較例の各カーペット洗剤を水道水で20倍に希釈し、試験洗剤液とした。次いで、試験洗剤液に試験片を1分間浸漬し、その後、エクストラクターで5秒間(1回)水洗した後、自然乾燥させた。そして、処理前後のカーペットの厚さを測定し、下記の式によりカーペットの厚さ回復率を算出した。
カーペットの厚さ回復率(%)=(H3−H2)×100/(H1−H2)
H1;新品カーペットの厚さ(6.5mm)
H2;踏み潰されたカーペットの厚さ(5.2mm)
H3;処理後のカーペットの暑さ(mm)
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
[3]実施例の効果
表2より、水のみ含む比較例9では、洗浄率が5%、カーペットの厚さ回復率が0%であり、洗浄性及び柔軟効果に劣っていた。洗剤成分が含有されていない比較例4〜6及び洗剤成分の含有量が少ない比較例8では、カーペットの厚さ回復率は70%であったが、洗浄率が5〜20%と低かった。一方、柔軟剤成分が含有されていない比較例2及び3、並びに柔軟剤成分の含有量が少ない比較例7では、洗浄率は80〜90%であったが、カーペットの厚さ回復率が5〜10%と低かった。また、洗剤成分としてアニオン系活性剤を含む比較例1では、洗浄率が10%と低く、しかも、カーペットの厚さ回復率も5%と低かった。
【0036】
これに対し、表1より、本発明の範囲に含まれる実施例1〜10の各カーペット洗剤では、洗浄率が70〜95%と優れており、且つカーペットの厚さ回復率が50〜90%と優れていた。特に、洗剤成分及び柔軟剤成分を特定量含有する実施例1〜5及び8〜10においては、洗浄率が90〜95%と非常に優れており、且つカーペット厚さ回復率においても80〜90%と非常に優れていた。
【0037】
以上より、本実施例のカーペット洗剤は、カーペットの汚れを十分に落とすことができ、優れた洗浄性を有することが分かる。また、本実施例のカーペット洗剤は、踏み潰されたパイルを十分に復元させることができ、十分な柔軟効果が得られることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のうちの少なくとも1種からなる洗剤成分と、柔軟剤成分と、を含有することを特徴とするカーペット洗剤。
【請求項2】
上記柔軟剤成分が、カチオン性柔軟剤及び両性柔軟剤のうちの少なくとも一方からなる請求項1に記載のカーペット洗剤。
【請求項3】
上記カチオン性柔軟剤が、脂肪族4級アンモニウム塩、アミノエステル類、ポリアミドアミノ類及びアミノ変性シリコーン油のうちの少なくとも1種である請求項2に記載のカーペット洗剤。
【請求項4】
上記両性柔軟剤が、アルキルイミダゾリン類、アシルアミドベタイン類、アシルポリアミン類、アミンオキサイド類及びスルホベタイン類のうちの少なくとも1種である請求項2又は3に記載のカーペット洗剤。
【請求項5】
上記両性界面活性剤が、アルキルジメチルベタイン及びアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインのうちの少なくとも一方であり、且つ常温で固体である請求項1乃至4のいずれかに記載のカーペット洗剤。
【請求項6】
上記ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びショ糖脂肪酸エステルのうちの少なくとも一方であり、且つ常温で固体である請求項1乃至5のいずれかに記載のカーペット洗剤。
【請求項7】
上記洗剤成分及び上記柔軟剤成分の合計を100質量%とした場合に、該洗剤成分の含有量が、30〜95質量%である請求項1乃至6のいずれかに記載のカーペット洗剤。
【請求項8】
上記カーペット洗剤を100質量%とした場合に、上記洗剤成分の含有量が0.15〜50質量%であり、且つ上記柔軟剤成分の含有量が0.1〜40質量%である請求項1乃至7のいずれかに記載のカーペット洗剤。

【公開番号】特開2009−29922(P2009−29922A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195084(P2007−195084)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000115083)ユシロ化学工業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】