カーボンナノ構造化材料を製造するための複合触媒および方法
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、複合触媒層を基材に蒸着する工程と、複合触媒層は第8族元素と非触媒元素から成り、非触媒元素はナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成り、複合触媒層を酸化して、酸化した複合触媒層を形成する工程と、酸化した複合触媒層を還元して、還元された複合触媒層を形成する工程と、還元された複合触媒層の上に、前記カーボンナノチューブを成長させる工程とを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は2006年10月19日提出の出願の名称が「カーボン構造化材料を製造するための触媒および方法」である米国仮出願第60/862,123号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、センサーなどの様々の応用や、複合材料の強化などに使用されている。カーボンナノチューブを形成するには多くの異なった方法があるが、2つの異なったカーボンナノチューブのタイプが存在し、個々のナノチューブは、バルク合成で形成され、ナノチューブの配列は、表面合成あるいは指向性合成で形成される。個々のナノチューブはスパゲッティに非常によく似ていて、それぞれのナノチューブはランダムな指向性で成長させられている。整列したナノチューブ配列は、1つの基板の上に形成され、隣り合った文字通り、何十億ものナノチューブを含むことが出来る。
【0003】
出来るだけ長いナノチューブを形成することは常に目標だった。もしより長いナノチューブ配列を形成されれば、ナノチューブを現存するどんな繊維よりも強く軽く、また電気的に導通する繊維に紡ぐことが出来る。
【0004】
カーボンナノチューブの長さが短いことは、多くのそれの応用にとって障害だった。制御された形態のカーボンナノチューブを成長させることは鋭意研究されてきた分野である。1平方センチより大きい表面面積の上に同質で均一な構造を有するカーボンナノチューブ配列を成長させることが出来ると、カーボンナノチューブ配列が多くの異なった構造の、センシング分野の応用において使用できるようになる。
【0005】
カーボンナノチューブは伝統的に炭素を触媒基板の上に化学蒸着することによって形成されてきた。その1つの効果的な触媒基板は鉄である。ニッケルやコバルトの使用も成功している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、1平方センチから2センチを超える長さのカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ配列は、触媒を塗布した基板に炭素を蒸着することによって得られるという認識を前提としている。基板上の複合触媒は、層状の薄いフィルム構造であって、それは、鉄やニッケル、コバルトまたはその他の第8族元素などの知られたナノチューブ触媒と、カーボンナノチューブの形成のためにそれ自体では効果的な触媒ではない元素との組合せから成っている。特に、非触媒元素は、好ましくは、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、ユウロピウム(Eu)などの、それらに限られる訳ではないが、ランタノイド族金属である。好ましい実施形態では、複合触媒層は、少なくとも空気中での熱処理によって部分的に酸化される。次に、酸化された複合触媒層は、カーボンナノチューブ配列を成長させるために反応性ガスを導入する前にその元素形態に還元される。
【0007】
1つ実施形態によれば、成長させたCNT配列を取り除いた後に基板に残った複合触媒層は、基板に付加的な処理をしないで複数の配列を成長させるために再使用される。
【0008】
別の実施形態によれば、微粒子状基板はカーボンナノチューブのバルク合成のために複合触媒層によって塗布される。
【0009】
本発明の目的と効果は以下の詳細な説明と図によって更に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の方法のプロセス流れ図である。
【図2】基板上に形成された複数のカーボンナノチューブを有する複合触媒を有する基板の1つの実施形態の断面図である。
【図3】第8族元素と非触媒元素から成る合金から蒸着された複合触媒層を有する基板の別の実施形態の断面図である。
【図4】図4Aは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の層を交互に有している基板の別の実施形態の断面図であり、図4Bは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の4つの交互の層を有している基板の別の実施形態の断面図であり、図4Cは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の3つの交互の層を有している基板の別の実施形態の断面図である。
【図5】図5Aは、基板上にパターン配置された不連続な複合触媒層を有する別の実施形態の断面図であり、図5Bは、パターン配置された複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の交互の層を有している別の実施形態の断面図であり、図5Cは、パターン配置された触媒層が第8族元素と非触媒元素の4つの交互の層を有している別の実施形態の断面図である。
【図6】図6Aは、第8族元素と非触媒元素の2つの交互な層に蒸着された複合触媒層を有する微粒子状基板を有する別の実施形態の断面図であり、図6Bは、第8族元素と非触媒元素の4つの交互な層に蒸着された触媒基板を有する微粒子状基板の別の実施形態の断面図であり、図6Cは、第8族元素と非触媒元素の合金として蒸着された触媒基板を有する微粒子状基板の別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
カーボンナノチューブは指向性合成やバルク合成のような様々な技術によって成長させることが出来る。指向性合成では、カーボンナノチューブは整列され、基板上の配列する形で成長される。その配列は1つの方向に成長させられた多くのカーボンナノチューブを含んでいる。バルク合成では、カーボンナノチューブは、微粒子状基板などの多くの個々の基板の上でランダムに成長させられる。様々なカーボンナノチューブの形態が存在する。カーボンナノチューブは通常、カーボンナノチューブが有している壁の数に従って分類される。例えば、複数の壁付きカーボンナノチューブ(MWCNT)、2つの壁付きカーボンナノチューブ(DWCNT)、及び単一壁付きカーボンナノチューブ(SWCNT)などがある。ここに使われるように、カーボンナノチューブは一般的に、それ以外に言及がない限り、これらの形態のうち、いずれかを指す。
【0012】
図1と2を参照すると、本発明の1つの実施形態によれば、カーボンナノチューブ配列10は蒸着プロセスに適合する基板20の上に形成される。最初に、複合触媒30は図2に示すように、二酸化ケイ素層22とアルミニウム層24を有する基板20の上に蒸着される。基板20の様々な層を蒸着して処理するための様々な蒸着プロセスがある。例えば、これに限定される訳ではないが、電子線蒸着、熱蒸発、スピンコーティング、電気化学的蒸着、無電解蒸着、プラズマ噴霧蒸着、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザー蒸着(PLD)、及び化学蒸着(CVD)などがある。特にCVDを参考にすると、この用語は、例えば、プラズマ強化CVD,マイクロ波CVD、及びレーザ強化CVDなどを含むCVDの改良型を有している。加えて、その他の蒸着プロセスは本発明の観点によるカーボンナノチューブを成長させるために使用することが出来る。
【0013】
基板20は、化学蒸着に於けるその使用は非常に明確に文書化されているので、単一の結晶シリコンウエファである。しかし、セラミックスや、石英、多結晶シリコン、サファイア、アルミナ等の不活性基板を使用することが出来る。基板20がシリコンの場合、基板はその平らな表面上に二酸化ケイ素の層が形成されるように処理される。次に、アルミニウムの薄いフィルムが、例えば、電子線蒸着によって、二酸化ケイ素層22の上に蒸着される。このアルミニウム層の厚みは重要ではない。一般的に、約10nmから約20nmで、15nmが好ましい。
【0014】
このアルミニウムはプラズマ酸化によって酸化され、アルミナと呼ばれる酸化アルミニウム層24を形成する。アルミナ層24は多孔質の表面を提供する。実質的に、これは基板表面全体に微細な空洞を形成する。これらの空洞は複合触媒層30を格納してナノチューブの核形成と成長のための場を形成している。
【0015】
酸化アルミニウム層24はまた、酸化アルミニウムのダイレクトマグネトロンスパッタリングや酸化アルミニウムのダイレクト化学蒸着などのその他の薄膜蒸着法によって形成することが出来る。酸化アルミニウム層の形成方法は、本発明にとって決定的な意味を持つものではない。その他の不活性細孔性基板をカーボンナノチューブ形成のための触媒を格納する基材として使用することが出来る。
【0016】
複合触媒層30を、二酸化シリコン層22と酸化アルミニウム層24を蒸着した基板20の上に蒸着する。典型的なカーボンナノチューブ触媒ならどのようなものでも使用することが出来る。一般的に、これらは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(PD)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)などの第8族元素かあるいはそれらの組合せである。
1つの実施形態では、鉄はその低い融点と、その他の第8族元素に比べて低いコストの点で好ましい触媒である。
【0017】
第8族元素に加えて、複合触媒層30は非触媒金属を含んでいるが、好ましくはランタノイドで、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce),プラセオジミウム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),ルテチウム(Lu)などである。金のようなその他の不活性金属も使用可能である。複合触媒基板としての第8族からランタノイド元素の重量パーセント(wt. %)割合は5/95から95/5まで変化することが出来る。カーボンナノチューブを製造するのにさらに効果的な重量パーセント割合は、20/80、好ましくは、50/50、さらに95/5である。
【0018】
複合触媒層30は電子線蒸着、マグネトロンスパッタリング、あるいは化学蒸着などのよく知られている方法で、少なくとも2つのやり方の1つで蒸着することが出来る。好ましい触媒比率を実現するために、第8族とランタノイド元素(あるいは非触媒金属)の合金を、複合触媒層30を蒸着するために使うことが出来る。複合触媒層30は複数のスパタリングターゲットから同時にスパタリングすることによって形成することが出来る。ターゲットからスパッタされた元素は基板の上で結合される。
【0019】
図4Aに示すように、複合触媒層30は第8族元素と非触媒元素が交互になった層を蒸着することによって形成することも出来る。第一層32は鉄からなり、第二層34はガドリニウムからなることが出来、その逆の構造も可能である。鉄とガドリニウムのような2つの金属の量あるいは重量パーセントの割合はその層の厚みによって制御される。
【0020】
図4Bに示すように、複数の層を交互に蒸着することが出来る。図4Bは4つの交互な層の図である。この場合もやはり、層の厚みと数が、蒸着する第8族元素と非触媒元素の量を決定する。複合触媒層30もまた奇数の層から成り、例えば、図4Cに示すように、3つの層32、34、36から成っている。従って、非触媒元素の量に対する第8族元素の量は第8族元素か非触媒元素のどちらかの層の数を変更することによって改良することが出来る。加えて、それぞれの層の個々の厚みは触媒層30に於ける第8族元素の非触媒元素に対する特有な質量比をもたらすように変更することが出来る。
【0021】
複合触媒層30の形成された厚みは約0.5から約5ナノメートル(nm)で、約1nmと2nmの間が好ましい。従って、層32、34の厚みはそれぞれ約1nmでなければならない。1つ好ましい構造は厚み1nmを有する鉄の層と、1nmの厚みを有するガドリウムの層とを有している。この場合、ガドリニウムの密度は大体同じであるので、ガドリウムに対する鉄の重量パーセントの割合は約50/50である。図4Bを参照すると、別の好ましい構造は鉄とガドリウムの4つの交互の層を有していて、それぞれは0.5nmの厚みを有している。例えば、第一層32は鉄から成り、第二層34はガドリニウムから成り、第三層36は鉄から成り、第四層38はガドリウムから成り、それぞれの厚みの全体が2nmになる。さらに多くの層が可能であるが、0.5nmかそれ以下の厚みの層にとって、厚みの均一性を制御することは次第にさらに困難になる。例え、交互の層が記述されていても、それらの層は異なった順番で蒸着することが出来る。
【0022】
第三触媒成分を複合触媒層30に加えることが出来る。第三成分は典型的にはカーボンナノチューブの成長に使用される付加的触媒とすることが出来る。これらは、スカンジウム(Sc)、チタニウム(Nb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、ニオビウム(Ti)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、レニウム(Rh)と、例えば、イットリウム(Yt)、タンタル(Ta)を含む。これらは第8族元素や非触媒元素と同じ方法で複合触媒層30に加えることが出来る。
【0023】
図5A、5B、及び5Cに示すように、複合触媒層30は不連続の層として、例えば、1つのパターンとして蒸着することが出来る。そのパターンは図5Aに示すように合金から蒸着された第8族元素と非触媒層の複数の塗布された領域40を有することが出来、その全体の厚みは好ましくは、約2nmである。その塗布された領域40は、塗布されていない領域50によって分離することが出来る。好ましくは、触媒の蒸着領域は、約0.01から約3ミリメートルの間隔によってそれぞれ分離されている。1つの好ましいパターンは約1ミリメートルの塗布されていない基板によって分離されている直径1ミリメートルの触媒の円によって構成されており、その他のパターンでも可能である。加えて、パターンは、図5Bに示すように第8族の触媒と非触媒元素の複数の交互の層40、42として蒸着することが出来る。従って、1つの実施形態では、塗布された領域40は、第一層42と第二層44を有している。触媒層30の全体の高さは、例えば、約2nmとすることが出来る。同様に、図5Cに示すように、触媒層30は4つの交互の第8族と非触媒層42、44、46、48を有することが出来る。塗布された領域40の全体の高さは、約0.5nmと約5nmの間で、2nmが好ましい。
【0024】
一旦、複合触媒層30が蒸着されると、その複合触媒層30は小さな微粒子(ナノクラスター)に砕くのが好ましい。これは約300度から900度の温度の下で空気に触れた環境で複合触媒を加熱することによって達成出来る。温度は第8族元素の組成によって変化するが、好ましくは約300°から約500°、さらに好ましくは約5時間で約400°である。この処理によって少なくとも第8族元素が酸化されて、層の中に第8族酸化物の小さな(約4nmから約40nm)ナノクラスターを形成する。
【0025】
複合触媒層30の小さなナノクラスターのサイズは複合触媒層30の溶解温度によって影響を受ける。複合触媒層30の溶解温度が低下すると、ナノクラスターのサイズは小さくなる。ナノクラスターが小さくなればカーボンチューブの直径も小さくなり、DWCNT成長を促す。低い溶解温度を有する異なる金属か低温共晶混合物を形成する合金を蒸着することによって融点を下げることが出来る。例えば、鉄―ランタン合金は、純粋な鉄や純粋なランタンよりも低い融点を有する。従って、そのような合金から蒸着するか、又は交互の層として蒸着した触媒は、純粋な鉄よりも低い融点を有する。酸化された複合触媒層は後で還元され、カーボンナノチューブ配列10を成長させる前に金属触媒ナノクラスターを形成する。酸化された複合触媒層は好ましくは、複合触媒層30が水素の中で約700°に加熱することによって還元される。
【0026】
カーボンナノチューブを成長させる前に触媒層を酸化させ還元する方法によって、ランタノイドの存在無しに驚くべき結果を生み出す。複合触媒層30が第8族元素と非触媒元素から成っている時、さらに優れた結果が達成される。
【0027】
カーボンナノチューブ配列10は、水素、エチレン、水及びアルゴンの混合ガスを使用して熱化学蒸着によって成長させられる。カーボンナノチューブを蒸着させるその他の方法も使用出来るが、米国ファースト・ナノ社(First Nano,Inc.)のイージーチューブ・ファーネス(EasyTubeTM Furnace)を使用することが出来る。好ましい実施形態に於いて、化学蒸着は400°のアルゴン流を使用して開始し、その後、700°の水素流が続き、第8族酸化物を元素第8族に戻す。
【0028】
水素、エチレン、水とアルゴンの混合物が700°から800°の温度、好ましくは、約750°の温度に置かれた時、カーボンナノチューブの実際の成長は開始する。エチレンの他に、その他の炭素前駆体、つまり、メタン、アセチレン、メタノール、エタノール、一酸化炭素などを使うことが出来る。室温で作動する水泡立て器を通してアルゴンを流すことによって水を提供することが出来る。ガス流は、10時間かカーボンナノチューブの成長が止まるまで反応炉に導入する。
【0029】
反応炉に流れ込むガスの混合は変化させることが出来る。例えば、反応炉を通して流れる主アルゴン流に対する水泡立て器を通して流れ込むアルゴンの体積率は0.5から3であり、アルゴンに対するエチレンの体積率は0.5から1であり、水素に対するエチレンの体積率は、0.5から3であり、アルゴンに対する水素の体積率は0.5から1である。例えば、好ましい実施形態では、エチレンは200sccmで導入される時、アルゴンは300sccmの流れで、水素は200sccmの流れで、室温でも泡立て器を通すアルゴンの流れは150sccmである。
【0030】
カーボンの触媒微粒子への流れは、基板に送ることが出来るカーボンの程度に影響する重要な変数であり、カーボンナノチューブを形成する。反応ガスの中の水は触媒機能を妨げることが出来る不必要なアモルファス炭素を駆逐するように設計される。従って、約150sccmのアルゴンキャリアガスは、十分な量の水を運搬するために、泡立て器を通して送られ、アモルファス炭素を取り除くが、カーボンナノチューブを形成する黒鉛状炭素は取り除かない。カーボンナノチューブの成長が継続している以上、炭素の蒸着は継続する。成長が止まる前に、更に成長させるために付加的な触媒を加えることが出来る。特に、フェロセンやペンタカルボニル鉄を反応性混合物に加えることが出来、この反応性混合物は鉄をナノチューブの表面に蒸着させ、ナノチューブは更に成長を促進するための触媒として働く。
【0031】
図3に示すように、複合触媒30を第8族元素と非触媒元素の合金、例えば、鉄とガドリウムの合金から蒸着する時、別の実施形態の方法で成長させたカーボンナノチューブはMWCNTを含む。従って、鉄とガドリニウムは略同時に蒸着する。一般的に、MWCNTは約20ナノメートルの直径を示す。図4Aに示すように、約1nmの層と、その上に約1nmの厚みのランタンを有して蒸着された複合触媒層30を有する別の実施形態に於いて、MWCNTは約15nmの直径を有す。MWCNTといくつかのDWCNTは、図4Aと4Bに示すように、複合触媒層30が鉄とガドリウムの交互の層に蒸着される時に成長する。以前述べた、交互の層は合金より費用効率が高いが、この交互の層は、一般的に、合金から蒸着した複合触媒層30の上に成長したカーボンナノチューブよりも長いカーボンナノチューブを成長させる。
【0032】
SWCNTは複合触媒層30の組成と、複合触媒層30の構造と、複合触媒層30の焼き鈍しと、炭素前駆体の性質と、反応炉内の成長条件をコントロールすることによって成長することが出来る。複合触媒層30の組成はカーボンナノチューブの壁の数に影響する。第8族元素と非触媒元素の原子半径が減少すると、複合触媒層30の焼き鈍しの期間に作られる触媒ナノ微粒子のサイズは減少する。より小さいサイズの触媒微粒子(ナノクラスター)はより小さい直径のカーボンナノチューブを作る。触媒の原子半径に加えて、触媒の層状構造はカーボンナノチューブのサイズに影響を与える。空気中での熱処理の間により小さい微粒子を作る焼き鈍し温度はSWCNTとDWCNTが成長するのを可能にし、好ましくは、作られた触媒微粒子は5nm以下のサイズであるべきである。小さな触媒微粒子を作るために、10分の短い熱処理の間の温度は、好ましくは、500°以上、900°近くであるべきである。
【0033】
炭素前駆体は、高い温度では、エチレンやアセチレンの様によく反応し、より早い分解速度を有しており、より高い炭素フラックスを生成するので、MWCNTを成長させる。SWCNTとDWCNTを成長させるために、反応性炭素の量はメタンのような適当な前駆体を選択することによって還元される。メタンはエチレンやアセチレンよりも熱的に安定しており、そのため、炭素の部分圧や炭素フラックスを制御するための希釈の様な管理はそれほど必要ない。
【0034】
反応炉の中の成長条件、特に、水素ガス、アルゴンガス、炭素前駆体などの流速と温度はカーボンナノチューブ成長の形態に影響する。前駆体を希釈して、炭化水素前駆体の分解を制御するために水素を導入する。従って、水素の流れを制御することは、カーボンナノチューブ成長ゾーンの中の炭素、特に、アモルファス炭素の不必要な量を防止することが出来る。水素の流速が早くなればなるほど、SWCNT成長の可能性は高くなる。水素とアルゴンはアモルファス炭素の形成を防止する希釈ガスの働きをする。アルゴン流は炭素前駆体を希釈して、成長ゾーンへの炭素原子の流れを減少させる。 炭素原子の流れが減少すると、水素はアモルファス炭素の形成を防止するので、SWCNT成長の可能性は増加する。炭素前駆体の流れは、同様に、アモルファス炭素の形成を防止するために低く保たれるべきである。低い炭素前駆体の流速はよりSWCNT成長を引き起こし易い。
【0035】
成長温度はカーボンナノチューブの形態に影響する。一般的に、温度が上がれば、炭素の原子の表面移動度は増加する。温度が高くなれば、好ましくは、約800°から1000°の間の温度で、最小限の数の壁を有しているカーボンナノチューブを成長させる可能性は上昇する。しかし、高い温度はまた前駆体の分解速度も速める。従って、炭素フラックスを制御しアモルファス炭素の形成を防止するために、より速い分解速度はアルゴン及び/又は水素ガスの流れの増加とバランスを取ることが出来る。
【0036】
好ましい反応炉は3つのゾーンの加熱炉を使用する。成長は中間ゾーンで行われる。第1のゾーンでは、反応性ガスが例えば、450°に加熱される。第3のセクションでは、排ガスが、400°などの高い温度に保持される。従って、3つのゾーンの加熱炉は中間ゾーンの温度を制御するのを助ける。
【0037】
1つの実施形態では、基板20に対する付加的な処理をしないで同じ基板上に多数の配列10を再成長するために、複合触媒層30を使用することによって、カーボンナノチューブの改良された生産が達成される。言い換えると、複合触媒層30からカーボンナノチューブを取り除くことによって、同じ複合触媒層30の上に付加的なカーボンナノチューブを成長させることが出来る。複合触媒層30はカーボンナノチューブを成長させる連続した期間の間に再処理されない。例えば、複合触媒層30から成長したカーボンナノチューブを取り除くには、特に、カーボンナノチューブが上昇した温度の反応炉の中にある時、わずかな圧力が必要なだけである。複合触媒層30の上で付加的なカーボンナノチューブの成長に続いて、前のカーボンナノチューブを取り除くことになる。従って、複合触媒層30を有する基板20は多数のカーボンナノチューブ配列10を生じる。
【0038】
複合触媒層30は、生産性を増加させるために、基板の2つの対抗しているサイドに蒸着させることが出来る。基板20は、基板の両サイドの各々の複合触媒層30が反応ガスに曝される様に、例えば、1つの端に向いている。カーボンナノチューブは、以前述べた手続きによって成長する。しかし、カーボンナノチューブはその基板20の各々のサイドから同時に成長する。加えて、あるいは交互に、各々の寸法に沿って数十センチメートル以上の基板のような、非常に大きい基板の上に複合触媒層30を蒸着することによって、生産性を増加させることが出来る。例えば、複合触媒層30をこれらの大きな基板の上にマグネトロンスパッタリングによって蒸着することが出来る。複合触媒層30は、これらの大きな基板の上にCVD技術を使用して蒸着することが出来る。
【0039】
カーボンナノチューブのバルク合成は複数の微粒子状基板60の上で成長させる。図6A,6B,6Cは球状微粒子状基板60の断面図を示している。しかし、微粒子状基板60の形は重要ではない。微粒子状基板60は一般的に、高い温度安定性を有している無反応性、耐火微粒子で、例えば、酸化マグネシュウム(MgO)、アルミナ(Al2O3),シリカ(SiO2)又はその他の酸化物などである。
【0040】
複合触媒層30は、好ましくは、以前、述べたように、交互の層で構成される微粒子状基板60の上に蒸着される。それぞれの層は第8族元素か非触媒元素によって構成される。例えば、図6Aに示すように、複合触媒層30は微粒子状基板60を塗布するが、第一の層62は微粒子層60を塗布しており、第二つまり外の層64は第一の層62を塗布している。好ましい構造は、鉄とガドリニウムの交互の層を有している。別の実施形態によれば、複合触媒層30は第8族元素と非触媒元素から成る4つの交互の層を有している。例えば、図6Bに示すように、鉄から成る第一の層62は微粒子状基板60の上に蒸着され、ガドリニウムから成る第二の層64は第一の層62の上に蒸着されており、鉄から成る第三の層66は第二の層64の上に蒸着されており、ガドリニウムから成る第四の層68は第三の層66の上に蒸着されている。
【0041】
触媒層60は合金から蒸着され、微粒子状基板60の上に触媒層30を作り出す。例えば、図6Cに示すように、微粒子状基板60は鉄とガドリウムから成る合金から塗布される。
【0042】
複合触媒層30は微粒子状基板60と基板20の上に、プラズマ蒸着装置、例えば、高周波プラズマやマイクロ波プラズマCVDなどの良く知られた方法を使用して蒸着することが出来る。プラズマ蒸着を使用して、第8族元素と非触媒元素を微粒子状基板60又は基板20に接合することが出来る。例えば、プラズマCVDは、フェロセン蒸気、Fe(C5H5)2をプラズマに導入する時に、微粒子状基板60の上に鉄を有している複合触媒層30を製造する。同様に、別の実施例では、ペンタカルボニル鉄、Fe(CO)5のような鉄前駆体を装置に導入する時、鉄は蒸着される。ガドリニウムを有している複合触媒層30を蒸着する為に、塩化ガドリニウムGdCl3,ガドリニウムプロポキシドGd(OC3H7i),ガドリニウム(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタネヂオネート)、Gd(C11H19O2)3トリ(シクロペンタデニール)、ガドリニウム(C5H5)3Gdトリ(テトラメチルシクロペンタデニール)とガドリニウム[(CH3)4C2H]3Gdなどのガドリニウム前駆体を導入する。低蒸気圧を有するどの前駆体も、個体状態からまたは溶液から泡立て器を使用してプラズマ装置の中に導入することが出来る。同様に、複合触媒層30を微粒子状基板60または基板20に蒸着するために、他の第8族元素をプラズマ装置内に導入することが出来る。
【0043】
無電解蒸着、電気化学蒸着、触媒層組成から成る1つ以上の塩の存在下での微粒子状基板60の焼成、CVD, 電子線蒸着、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発、ゾルゲル合成、1つ以上の塩の混合物又は,第8族元素又は非触媒元素から成る酸化物、又は酸化物と塩の結合の中で微粒子状基板60をボールミル粉砕する方法、あるいは様々な薄膜技術などのその他の方法が、複合触媒層30を蒸着するのに使われる。次に、カーボンナノチューブの微粒子状基板60上でのバルク合成は、カーボンナノチューブ配列10に対して上記で述べている様な成長させるステップに従って実施される。
【0044】
本発明は浮遊触媒を使って実施することが出来る。この実施形態に於いては、触媒は、例えば、気化したフェロセン又はコバルトセン及び塩化ガドリニウムガスなどのガスを使用して導入する。この触媒ガスは、以前に述べたように、エチレンのような反応性ガスと共に導入される。一般的に、触媒ガスは反応炉への全体のガス流の約1から約3wt%から成る。触媒は、層状の複合触媒30のように、第8族元素の約95から約5wt%、ランタノイド元素の約5から約95wt%になる。
【0045】
本発明の方法をより完全に理解するために、次の非限定的な実施例を掲げる。
【実施例1】
【0046】
15nmアルミニウムフィルムを,酸化された単一の結晶シリコンウエファの上に電子線蒸着によって蒸着した。酸化シリコン層は約500nmの厚みを有していた。アルミニウムフィルムは約20wt%の酸素と、約80wt%のアルゴンを含む高周波プラズマ環境に於いて10分間曝すことによって、酸化アルミニウムに変換した。高周波プラズマ能力は300Wで、酸化は60Torrの圧力の下で行った。
【0047】
約2nmの厚みを有する複合触媒層を、酸化アルミニウムの上に、電子線蒸着によって、蒸着した。複合触媒層は、約80wt%鉄と約20wt%のガドリニウムの合金から形成した。
【0048】
基板と複合触媒フィルムは空気中で、400°で5時間、熱焼き鈍しをした。焼き鈍しに続いて、その基板をCVDの中に入れて、カーボンナノチューブ配列を成長させた。温度を上昇させる前に、反応炉を、室内温度で、約10分間、約1000sccmのアルゴンでパージした。基板と複合触媒層を約400°に熱して、約20分間、その温度に保ち、アルゴン流が余熱するのを可能にした。酸化複合触媒層を還元するために、温度を700°に上昇させ、約200sccmの水素流を、約15分間、反応炉の中に導入した。CVD反応炉の温度は約750°に上昇させた。基板と還元した複合触媒層はその温度に約10時間保持して、数種類のガスを反応炉に導入してカーボンナノチューブを成長させた。
【0049】
次に述べる複数のガスとその流速を調整して、反応炉に導入して、カーボンナノチューブ配列を成長させた。つまり、200sccmのエチレン,300sccmのアルゴン,アルゴンに運ばれる、150sccmの速度で流れ室内温度の泡立て器の中を通過する水蒸気、及び、200sccmの水素である。10時間後、反応炉は500sccmのアルゴンの流れの中で、室内温度に冷却された。この方法で、約7mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例2】
【0050】
複合触媒層は、実施例1で記載されているように作成されたシリコン基板の上に蒸着された。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約50/50である合金から形成された。
【0051】
基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに基づいて焼き鈍しをして、還元した。加えて、ナノチューブは、実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0052】
この方法で、約5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例3】
【0053】
複合触媒層を,実施例1に記されているように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガゴリニウムの重量パーセント比が約20/80の合金から形成した。
【0054】
基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って、焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0055】
この方法で、約7.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例4】
【0056】
複合触媒層を実施例1に記されているように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガゴリニウムの重量パーセント比が約95/5の合金から形成した。
【0057】
基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0058】
この方法で、約7mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例5】
【0059】
2つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は約1nmの厚みを有するガドリニウム層が、約1nmの厚みを有する鉄層の上になるように形成した。
【0060】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0061】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例6】
【0062】
2つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は約1nmの厚みを有する鉄層を、ガドリニウム層が、約1nmの厚みを有するガドリニウム層の上に蒸着することによって形成した。
【0063】
その基板と複合触媒層を,実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0064】
この方法で、約6mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例7】
【0065】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は、各々の層が約0.5nmの厚みを有している4つの交互の層から形成した。それらの層は、ガドリニウムが一番上の層にくるように、鉄、ガドリニウム、鉄、ガドリニウムの順序で蒸着した。
【0066】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0067】
この方法で、約11.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【0068】
この手続きを3つのゾーンを有するCVD反応炉で単独で再生させた。
【実施例8】
【0069】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。それらの層は、鉄が一番上の層にくるように、ガドリニウム、鉄、ガドリニウム、鉄の順序で蒸着した。
【0070】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0071】
この方法で、約9mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例9】
【0072】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0073】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを、CNT配列を10時間よりむしろ6時間で成長させること以外は、実施例1の条件と同様の条件の下で成長させた。
【0074】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例10】
【0075】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約50/50の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0076】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0077】
この方法で、約5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例11】
【0078】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約20/80の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0079】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0080】
この方法で、約6mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例12】
【0081】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約95/5の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0082】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0083】
この方法で、約2.5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例13】
【0084】
複合触媒層を、直径1mmの孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して蒸着した。その複合触媒層は各々の厚みが約0.5nmの4つの交互の層から成っている。それらの層は、ガドリニウムが一番上にくるように、ガドリニウム、鉄、ガドリニウム、鉄の順序で蒸着した。
【0085】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0086】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例14】
【0087】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径0.1mmの複数の孔と0.1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。
【0088】
その基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下に成長させた。
【0089】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例15】
【0090】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径0.01mmの複数の孔と0.01mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。シャドウマスクは、電子線リソグラフィーを使って、基板の表面に直接製造したポリメチルメタクリレート(PMMA)から構成された。
【0091】
その基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを、CNT配列を10時間よりむしろ1時間で成長させる以外は実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0092】
この方法で、約0.5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例16】
【0093】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。その複合触媒層は鉄の層の上にランタンの層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0094】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0095】
この方法で約9nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例17】
【0096】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。その複合触媒層はガドリニウムの層の上に鉄の層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0097】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0098】
この方法で約10nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例18】
【0099】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろ金で蒸着した。その複合触媒層は鉄の層の上に金の層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0100】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0101】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例19】
【0102】
複合触媒層はガドリニウムよりむしろ金(Au)で蒸着する。それ故、複合触媒層は各々の層が約1nmの厚みを有していて、鉄の層の上の金の層によって形成した。基板は空気中で850°で10分間焼き鈍しをして、次にCVDの中に入れた。ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0103】
この方法で約0.3mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例20】
【0104】
複合触媒層は約20wt.%の鉄と約80wt.%のガドリニウムの合金から蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有していた。その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0105】
この方法で約7.5nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0106】
このCNTは基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないでCVD反応炉に直接入れた。基板とその複合触媒層は再び、実施例1に記載する成長条件に曝した。この方法で、約1mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例21】
【0107】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成した基板の上に蒸着した。各々の交互の層は約0.5nmの厚みを有していた。それらの層は、ガドリニウムが一番上で、鉄、ガドリニウム、鉄、ガドリニウムの順序で蒸着した。
【0108】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0109】
この方法で約11nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0110】
このCNTは基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないでCVD反応炉に直接入れた。基板とその複合触媒層は再び、実施例1に記載する成長条件に曝した。この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。この手続きを、以前述べたように、3つのゾーンを有するCVD反応炉で単独で再生させて、18mmの成長を達成した。
【実施例22】
【0111】
複合触媒層はガドリニウムよりむしろランタンを使用して蒸着した。複合触媒層は鉄の層の上のランタンの層から構成された。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0112】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0113】
この方法で約9nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0114】
このCNT配列は基板から取り外されて、その使用された基板は付加的な処理をしないで、直接、CVD反応炉の中に入れた。基板と複合触媒層は再び、実施例1に記載の成長条件に曝した。この方法で約1.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例23】
【0115】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。複合触媒層はランタンの層の上に鉄の層を有していた。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0116】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0117】
この方法で約10nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0118】
このCNT配列は基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないで、直接、CVD反応炉の中に入れた。基板と複合触媒層は再び、実施例1に記載の成長条件に曝した。この方法で約2mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例24】
【0119】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。
【0120】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0121】
この方法で約3nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例25】
【0122】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上にガドリニウム、鉄の層、一番上に別のガドリニウムの層を蒸着して形成した。
【0123】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、基板は10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0124】
この方法で約5nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例26】
【0125】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上に鉄、ランタンの層、一番上に別の鉄の層を蒸着して形成した。
【0126】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0127】
この方法で約4nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例27】
【0128】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上にランタン、鉄の層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上に鉄、ランタンの層、一番上に別のランタンの層を蒸着して形成した。
【0129】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0130】
この方法で約3nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例28】
【0131】
2つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層を、約1nmの厚みを有するユーロピウムが約1nmの厚みを有する鉄の層の上になるように形成した。
【0132】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0133】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例29】
【0134】
2つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層を、約1nmの厚みを有する鉄の層を、約1nmの厚みを有するユーロピウムの層の上に蒸着して形成した。
【0135】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0136】
この方法で約0.1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例30】
【0137】
4つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は各々の厚みが約0.5nmである4つの交互な層から形成した。それらの層は、ユウロピウムが一番上の層にくるように、鉄、ユウロピウム、鉄、ユウロピウムの順序で蒸着した。
【0138】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0139】
この方法で約2nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例31】
【0140】
4つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有した。それらの層は、鉄が一番上の層にくるように、ユウロピウム、鉄、ユウロピウム、鉄の順序で蒸着した。
【0141】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0142】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0143】
これらの非制限的な実施例に示すように、本発明の方法は、長さが10mm以上のカーボンナノチューブを10時間にわたって成長させることに使用することが出来、ある実施例では、長さが12mmに迫るカーボンナノチューブを成長させることに使用することが出来る。このカーボンナノチューブはMWCNTとDWCNTを含む。これは本発明を実施するための好ましい方法とともに本発明を記述したものである。しかし、本発明そのものは、添付した特許請求の範囲によってのみ規定される。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は2006年10月19日提出の出願の名称が「カーボン構造化材料を製造するための触媒および方法」である米国仮出願第60/862,123号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、センサーなどの様々の応用や、複合材料の強化などに使用されている。カーボンナノチューブを形成するには多くの異なった方法があるが、2つの異なったカーボンナノチューブのタイプが存在し、個々のナノチューブは、バルク合成で形成され、ナノチューブの配列は、表面合成あるいは指向性合成で形成される。個々のナノチューブはスパゲッティに非常によく似ていて、それぞれのナノチューブはランダムな指向性で成長させられている。整列したナノチューブ配列は、1つの基板の上に形成され、隣り合った文字通り、何十億ものナノチューブを含むことが出来る。
【0003】
出来るだけ長いナノチューブを形成することは常に目標だった。もしより長いナノチューブ配列を形成されれば、ナノチューブを現存するどんな繊維よりも強く軽く、また電気的に導通する繊維に紡ぐことが出来る。
【0004】
カーボンナノチューブの長さが短いことは、多くのそれの応用にとって障害だった。制御された形態のカーボンナノチューブを成長させることは鋭意研究されてきた分野である。1平方センチより大きい表面面積の上に同質で均一な構造を有するカーボンナノチューブ配列を成長させることが出来ると、カーボンナノチューブ配列が多くの異なった構造の、センシング分野の応用において使用できるようになる。
【0005】
カーボンナノチューブは伝統的に炭素を触媒基板の上に化学蒸着することによって形成されてきた。その1つの効果的な触媒基板は鉄である。ニッケルやコバルトの使用も成功している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、1平方センチから2センチを超える長さのカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ配列は、触媒を塗布した基板に炭素を蒸着することによって得られるという認識を前提としている。基板上の複合触媒は、層状の薄いフィルム構造であって、それは、鉄やニッケル、コバルトまたはその他の第8族元素などの知られたナノチューブ触媒と、カーボンナノチューブの形成のためにそれ自体では効果的な触媒ではない元素との組合せから成っている。特に、非触媒元素は、好ましくは、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、ユウロピウム(Eu)などの、それらに限られる訳ではないが、ランタノイド族金属である。好ましい実施形態では、複合触媒層は、少なくとも空気中での熱処理によって部分的に酸化される。次に、酸化された複合触媒層は、カーボンナノチューブ配列を成長させるために反応性ガスを導入する前にその元素形態に還元される。
【0007】
1つ実施形態によれば、成長させたCNT配列を取り除いた後に基板に残った複合触媒層は、基板に付加的な処理をしないで複数の配列を成長させるために再使用される。
【0008】
別の実施形態によれば、微粒子状基板はカーボンナノチューブのバルク合成のために複合触媒層によって塗布される。
【0009】
本発明の目的と効果は以下の詳細な説明と図によって更に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の方法のプロセス流れ図である。
【図2】基板上に形成された複数のカーボンナノチューブを有する複合触媒を有する基板の1つの実施形態の断面図である。
【図3】第8族元素と非触媒元素から成る合金から蒸着された複合触媒層を有する基板の別の実施形態の断面図である。
【図4】図4Aは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の層を交互に有している基板の別の実施形態の断面図であり、図4Bは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の4つの交互の層を有している基板の別の実施形態の断面図であり、図4Cは、複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の3つの交互の層を有している基板の別の実施形態の断面図である。
【図5】図5Aは、基板上にパターン配置された不連続な複合触媒層を有する別の実施形態の断面図であり、図5Bは、パターン配置された複合触媒層が第8族元素と非触媒元素の交互の層を有している別の実施形態の断面図であり、図5Cは、パターン配置された触媒層が第8族元素と非触媒元素の4つの交互の層を有している別の実施形態の断面図である。
【図6】図6Aは、第8族元素と非触媒元素の2つの交互な層に蒸着された複合触媒層を有する微粒子状基板を有する別の実施形態の断面図であり、図6Bは、第8族元素と非触媒元素の4つの交互な層に蒸着された触媒基板を有する微粒子状基板の別の実施形態の断面図であり、図6Cは、第8族元素と非触媒元素の合金として蒸着された触媒基板を有する微粒子状基板の別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
カーボンナノチューブは指向性合成やバルク合成のような様々な技術によって成長させることが出来る。指向性合成では、カーボンナノチューブは整列され、基板上の配列する形で成長される。その配列は1つの方向に成長させられた多くのカーボンナノチューブを含んでいる。バルク合成では、カーボンナノチューブは、微粒子状基板などの多くの個々の基板の上でランダムに成長させられる。様々なカーボンナノチューブの形態が存在する。カーボンナノチューブは通常、カーボンナノチューブが有している壁の数に従って分類される。例えば、複数の壁付きカーボンナノチューブ(MWCNT)、2つの壁付きカーボンナノチューブ(DWCNT)、及び単一壁付きカーボンナノチューブ(SWCNT)などがある。ここに使われるように、カーボンナノチューブは一般的に、それ以外に言及がない限り、これらの形態のうち、いずれかを指す。
【0012】
図1と2を参照すると、本発明の1つの実施形態によれば、カーボンナノチューブ配列10は蒸着プロセスに適合する基板20の上に形成される。最初に、複合触媒30は図2に示すように、二酸化ケイ素層22とアルミニウム層24を有する基板20の上に蒸着される。基板20の様々な層を蒸着して処理するための様々な蒸着プロセスがある。例えば、これに限定される訳ではないが、電子線蒸着、熱蒸発、スピンコーティング、電気化学的蒸着、無電解蒸着、プラズマ噴霧蒸着、マグネトロンスパッタリング、パルスレーザー蒸着(PLD)、及び化学蒸着(CVD)などがある。特にCVDを参考にすると、この用語は、例えば、プラズマ強化CVD,マイクロ波CVD、及びレーザ強化CVDなどを含むCVDの改良型を有している。加えて、その他の蒸着プロセスは本発明の観点によるカーボンナノチューブを成長させるために使用することが出来る。
【0013】
基板20は、化学蒸着に於けるその使用は非常に明確に文書化されているので、単一の結晶シリコンウエファである。しかし、セラミックスや、石英、多結晶シリコン、サファイア、アルミナ等の不活性基板を使用することが出来る。基板20がシリコンの場合、基板はその平らな表面上に二酸化ケイ素の層が形成されるように処理される。次に、アルミニウムの薄いフィルムが、例えば、電子線蒸着によって、二酸化ケイ素層22の上に蒸着される。このアルミニウム層の厚みは重要ではない。一般的に、約10nmから約20nmで、15nmが好ましい。
【0014】
このアルミニウムはプラズマ酸化によって酸化され、アルミナと呼ばれる酸化アルミニウム層24を形成する。アルミナ層24は多孔質の表面を提供する。実質的に、これは基板表面全体に微細な空洞を形成する。これらの空洞は複合触媒層30を格納してナノチューブの核形成と成長のための場を形成している。
【0015】
酸化アルミニウム層24はまた、酸化アルミニウムのダイレクトマグネトロンスパッタリングや酸化アルミニウムのダイレクト化学蒸着などのその他の薄膜蒸着法によって形成することが出来る。酸化アルミニウム層の形成方法は、本発明にとって決定的な意味を持つものではない。その他の不活性細孔性基板をカーボンナノチューブ形成のための触媒を格納する基材として使用することが出来る。
【0016】
複合触媒層30を、二酸化シリコン層22と酸化アルミニウム層24を蒸着した基板20の上に蒸着する。典型的なカーボンナノチューブ触媒ならどのようなものでも使用することが出来る。一般的に、これらは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(PD)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)などの第8族元素かあるいはそれらの組合せである。
1つの実施形態では、鉄はその低い融点と、その他の第8族元素に比べて低いコストの点で好ましい触媒である。
【0017】
第8族元素に加えて、複合触媒層30は非触媒金属を含んでいるが、好ましくはランタノイドで、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce),プラセオジミウム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb),ルテチウム(Lu)などである。金のようなその他の不活性金属も使用可能である。複合触媒基板としての第8族からランタノイド元素の重量パーセント(wt. %)割合は5/95から95/5まで変化することが出来る。カーボンナノチューブを製造するのにさらに効果的な重量パーセント割合は、20/80、好ましくは、50/50、さらに95/5である。
【0018】
複合触媒層30は電子線蒸着、マグネトロンスパッタリング、あるいは化学蒸着などのよく知られている方法で、少なくとも2つのやり方の1つで蒸着することが出来る。好ましい触媒比率を実現するために、第8族とランタノイド元素(あるいは非触媒金属)の合金を、複合触媒層30を蒸着するために使うことが出来る。複合触媒層30は複数のスパタリングターゲットから同時にスパタリングすることによって形成することが出来る。ターゲットからスパッタされた元素は基板の上で結合される。
【0019】
図4Aに示すように、複合触媒層30は第8族元素と非触媒元素が交互になった層を蒸着することによって形成することも出来る。第一層32は鉄からなり、第二層34はガドリニウムからなることが出来、その逆の構造も可能である。鉄とガドリニウムのような2つの金属の量あるいは重量パーセントの割合はその層の厚みによって制御される。
【0020】
図4Bに示すように、複数の層を交互に蒸着することが出来る。図4Bは4つの交互な層の図である。この場合もやはり、層の厚みと数が、蒸着する第8族元素と非触媒元素の量を決定する。複合触媒層30もまた奇数の層から成り、例えば、図4Cに示すように、3つの層32、34、36から成っている。従って、非触媒元素の量に対する第8族元素の量は第8族元素か非触媒元素のどちらかの層の数を変更することによって改良することが出来る。加えて、それぞれの層の個々の厚みは触媒層30に於ける第8族元素の非触媒元素に対する特有な質量比をもたらすように変更することが出来る。
【0021】
複合触媒層30の形成された厚みは約0.5から約5ナノメートル(nm)で、約1nmと2nmの間が好ましい。従って、層32、34の厚みはそれぞれ約1nmでなければならない。1つ好ましい構造は厚み1nmを有する鉄の層と、1nmの厚みを有するガドリウムの層とを有している。この場合、ガドリニウムの密度は大体同じであるので、ガドリウムに対する鉄の重量パーセントの割合は約50/50である。図4Bを参照すると、別の好ましい構造は鉄とガドリウムの4つの交互の層を有していて、それぞれは0.5nmの厚みを有している。例えば、第一層32は鉄から成り、第二層34はガドリニウムから成り、第三層36は鉄から成り、第四層38はガドリウムから成り、それぞれの厚みの全体が2nmになる。さらに多くの層が可能であるが、0.5nmかそれ以下の厚みの層にとって、厚みの均一性を制御することは次第にさらに困難になる。例え、交互の層が記述されていても、それらの層は異なった順番で蒸着することが出来る。
【0022】
第三触媒成分を複合触媒層30に加えることが出来る。第三成分は典型的にはカーボンナノチューブの成長に使用される付加的触媒とすることが出来る。これらは、スカンジウム(Sc)、チタニウム(Nb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、ニオビウム(Ti)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タングステン(W)、レニウム(Rh)と、例えば、イットリウム(Yt)、タンタル(Ta)を含む。これらは第8族元素や非触媒元素と同じ方法で複合触媒層30に加えることが出来る。
【0023】
図5A、5B、及び5Cに示すように、複合触媒層30は不連続の層として、例えば、1つのパターンとして蒸着することが出来る。そのパターンは図5Aに示すように合金から蒸着された第8族元素と非触媒層の複数の塗布された領域40を有することが出来、その全体の厚みは好ましくは、約2nmである。その塗布された領域40は、塗布されていない領域50によって分離することが出来る。好ましくは、触媒の蒸着領域は、約0.01から約3ミリメートルの間隔によってそれぞれ分離されている。1つの好ましいパターンは約1ミリメートルの塗布されていない基板によって分離されている直径1ミリメートルの触媒の円によって構成されており、その他のパターンでも可能である。加えて、パターンは、図5Bに示すように第8族の触媒と非触媒元素の複数の交互の層40、42として蒸着することが出来る。従って、1つの実施形態では、塗布された領域40は、第一層42と第二層44を有している。触媒層30の全体の高さは、例えば、約2nmとすることが出来る。同様に、図5Cに示すように、触媒層30は4つの交互の第8族と非触媒層42、44、46、48を有することが出来る。塗布された領域40の全体の高さは、約0.5nmと約5nmの間で、2nmが好ましい。
【0024】
一旦、複合触媒層30が蒸着されると、その複合触媒層30は小さな微粒子(ナノクラスター)に砕くのが好ましい。これは約300度から900度の温度の下で空気に触れた環境で複合触媒を加熱することによって達成出来る。温度は第8族元素の組成によって変化するが、好ましくは約300°から約500°、さらに好ましくは約5時間で約400°である。この処理によって少なくとも第8族元素が酸化されて、層の中に第8族酸化物の小さな(約4nmから約40nm)ナノクラスターを形成する。
【0025】
複合触媒層30の小さなナノクラスターのサイズは複合触媒層30の溶解温度によって影響を受ける。複合触媒層30の溶解温度が低下すると、ナノクラスターのサイズは小さくなる。ナノクラスターが小さくなればカーボンチューブの直径も小さくなり、DWCNT成長を促す。低い溶解温度を有する異なる金属か低温共晶混合物を形成する合金を蒸着することによって融点を下げることが出来る。例えば、鉄―ランタン合金は、純粋な鉄や純粋なランタンよりも低い融点を有する。従って、そのような合金から蒸着するか、又は交互の層として蒸着した触媒は、純粋な鉄よりも低い融点を有する。酸化された複合触媒層は後で還元され、カーボンナノチューブ配列10を成長させる前に金属触媒ナノクラスターを形成する。酸化された複合触媒層は好ましくは、複合触媒層30が水素の中で約700°に加熱することによって還元される。
【0026】
カーボンナノチューブを成長させる前に触媒層を酸化させ還元する方法によって、ランタノイドの存在無しに驚くべき結果を生み出す。複合触媒層30が第8族元素と非触媒元素から成っている時、さらに優れた結果が達成される。
【0027】
カーボンナノチューブ配列10は、水素、エチレン、水及びアルゴンの混合ガスを使用して熱化学蒸着によって成長させられる。カーボンナノチューブを蒸着させるその他の方法も使用出来るが、米国ファースト・ナノ社(First Nano,Inc.)のイージーチューブ・ファーネス(EasyTubeTM Furnace)を使用することが出来る。好ましい実施形態に於いて、化学蒸着は400°のアルゴン流を使用して開始し、その後、700°の水素流が続き、第8族酸化物を元素第8族に戻す。
【0028】
水素、エチレン、水とアルゴンの混合物が700°から800°の温度、好ましくは、約750°の温度に置かれた時、カーボンナノチューブの実際の成長は開始する。エチレンの他に、その他の炭素前駆体、つまり、メタン、アセチレン、メタノール、エタノール、一酸化炭素などを使うことが出来る。室温で作動する水泡立て器を通してアルゴンを流すことによって水を提供することが出来る。ガス流は、10時間かカーボンナノチューブの成長が止まるまで反応炉に導入する。
【0029】
反応炉に流れ込むガスの混合は変化させることが出来る。例えば、反応炉を通して流れる主アルゴン流に対する水泡立て器を通して流れ込むアルゴンの体積率は0.5から3であり、アルゴンに対するエチレンの体積率は0.5から1であり、水素に対するエチレンの体積率は、0.5から3であり、アルゴンに対する水素の体積率は0.5から1である。例えば、好ましい実施形態では、エチレンは200sccmで導入される時、アルゴンは300sccmの流れで、水素は200sccmの流れで、室温でも泡立て器を通すアルゴンの流れは150sccmである。
【0030】
カーボンの触媒微粒子への流れは、基板に送ることが出来るカーボンの程度に影響する重要な変数であり、カーボンナノチューブを形成する。反応ガスの中の水は触媒機能を妨げることが出来る不必要なアモルファス炭素を駆逐するように設計される。従って、約150sccmのアルゴンキャリアガスは、十分な量の水を運搬するために、泡立て器を通して送られ、アモルファス炭素を取り除くが、カーボンナノチューブを形成する黒鉛状炭素は取り除かない。カーボンナノチューブの成長が継続している以上、炭素の蒸着は継続する。成長が止まる前に、更に成長させるために付加的な触媒を加えることが出来る。特に、フェロセンやペンタカルボニル鉄を反応性混合物に加えることが出来、この反応性混合物は鉄をナノチューブの表面に蒸着させ、ナノチューブは更に成長を促進するための触媒として働く。
【0031】
図3に示すように、複合触媒30を第8族元素と非触媒元素の合金、例えば、鉄とガドリウムの合金から蒸着する時、別の実施形態の方法で成長させたカーボンナノチューブはMWCNTを含む。従って、鉄とガドリニウムは略同時に蒸着する。一般的に、MWCNTは約20ナノメートルの直径を示す。図4Aに示すように、約1nmの層と、その上に約1nmの厚みのランタンを有して蒸着された複合触媒層30を有する別の実施形態に於いて、MWCNTは約15nmの直径を有す。MWCNTといくつかのDWCNTは、図4Aと4Bに示すように、複合触媒層30が鉄とガドリウムの交互の層に蒸着される時に成長する。以前述べた、交互の層は合金より費用効率が高いが、この交互の層は、一般的に、合金から蒸着した複合触媒層30の上に成長したカーボンナノチューブよりも長いカーボンナノチューブを成長させる。
【0032】
SWCNTは複合触媒層30の組成と、複合触媒層30の構造と、複合触媒層30の焼き鈍しと、炭素前駆体の性質と、反応炉内の成長条件をコントロールすることによって成長することが出来る。複合触媒層30の組成はカーボンナノチューブの壁の数に影響する。第8族元素と非触媒元素の原子半径が減少すると、複合触媒層30の焼き鈍しの期間に作られる触媒ナノ微粒子のサイズは減少する。より小さいサイズの触媒微粒子(ナノクラスター)はより小さい直径のカーボンナノチューブを作る。触媒の原子半径に加えて、触媒の層状構造はカーボンナノチューブのサイズに影響を与える。空気中での熱処理の間により小さい微粒子を作る焼き鈍し温度はSWCNTとDWCNTが成長するのを可能にし、好ましくは、作られた触媒微粒子は5nm以下のサイズであるべきである。小さな触媒微粒子を作るために、10分の短い熱処理の間の温度は、好ましくは、500°以上、900°近くであるべきである。
【0033】
炭素前駆体は、高い温度では、エチレンやアセチレンの様によく反応し、より早い分解速度を有しており、より高い炭素フラックスを生成するので、MWCNTを成長させる。SWCNTとDWCNTを成長させるために、反応性炭素の量はメタンのような適当な前駆体を選択することによって還元される。メタンはエチレンやアセチレンよりも熱的に安定しており、そのため、炭素の部分圧や炭素フラックスを制御するための希釈の様な管理はそれほど必要ない。
【0034】
反応炉の中の成長条件、特に、水素ガス、アルゴンガス、炭素前駆体などの流速と温度はカーボンナノチューブ成長の形態に影響する。前駆体を希釈して、炭化水素前駆体の分解を制御するために水素を導入する。従って、水素の流れを制御することは、カーボンナノチューブ成長ゾーンの中の炭素、特に、アモルファス炭素の不必要な量を防止することが出来る。水素の流速が早くなればなるほど、SWCNT成長の可能性は高くなる。水素とアルゴンはアモルファス炭素の形成を防止する希釈ガスの働きをする。アルゴン流は炭素前駆体を希釈して、成長ゾーンへの炭素原子の流れを減少させる。 炭素原子の流れが減少すると、水素はアモルファス炭素の形成を防止するので、SWCNT成長の可能性は増加する。炭素前駆体の流れは、同様に、アモルファス炭素の形成を防止するために低く保たれるべきである。低い炭素前駆体の流速はよりSWCNT成長を引き起こし易い。
【0035】
成長温度はカーボンナノチューブの形態に影響する。一般的に、温度が上がれば、炭素の原子の表面移動度は増加する。温度が高くなれば、好ましくは、約800°から1000°の間の温度で、最小限の数の壁を有しているカーボンナノチューブを成長させる可能性は上昇する。しかし、高い温度はまた前駆体の分解速度も速める。従って、炭素フラックスを制御しアモルファス炭素の形成を防止するために、より速い分解速度はアルゴン及び/又は水素ガスの流れの増加とバランスを取ることが出来る。
【0036】
好ましい反応炉は3つのゾーンの加熱炉を使用する。成長は中間ゾーンで行われる。第1のゾーンでは、反応性ガスが例えば、450°に加熱される。第3のセクションでは、排ガスが、400°などの高い温度に保持される。従って、3つのゾーンの加熱炉は中間ゾーンの温度を制御するのを助ける。
【0037】
1つの実施形態では、基板20に対する付加的な処理をしないで同じ基板上に多数の配列10を再成長するために、複合触媒層30を使用することによって、カーボンナノチューブの改良された生産が達成される。言い換えると、複合触媒層30からカーボンナノチューブを取り除くことによって、同じ複合触媒層30の上に付加的なカーボンナノチューブを成長させることが出来る。複合触媒層30はカーボンナノチューブを成長させる連続した期間の間に再処理されない。例えば、複合触媒層30から成長したカーボンナノチューブを取り除くには、特に、カーボンナノチューブが上昇した温度の反応炉の中にある時、わずかな圧力が必要なだけである。複合触媒層30の上で付加的なカーボンナノチューブの成長に続いて、前のカーボンナノチューブを取り除くことになる。従って、複合触媒層30を有する基板20は多数のカーボンナノチューブ配列10を生じる。
【0038】
複合触媒層30は、生産性を増加させるために、基板の2つの対抗しているサイドに蒸着させることが出来る。基板20は、基板の両サイドの各々の複合触媒層30が反応ガスに曝される様に、例えば、1つの端に向いている。カーボンナノチューブは、以前述べた手続きによって成長する。しかし、カーボンナノチューブはその基板20の各々のサイドから同時に成長する。加えて、あるいは交互に、各々の寸法に沿って数十センチメートル以上の基板のような、非常に大きい基板の上に複合触媒層30を蒸着することによって、生産性を増加させることが出来る。例えば、複合触媒層30をこれらの大きな基板の上にマグネトロンスパッタリングによって蒸着することが出来る。複合触媒層30は、これらの大きな基板の上にCVD技術を使用して蒸着することが出来る。
【0039】
カーボンナノチューブのバルク合成は複数の微粒子状基板60の上で成長させる。図6A,6B,6Cは球状微粒子状基板60の断面図を示している。しかし、微粒子状基板60の形は重要ではない。微粒子状基板60は一般的に、高い温度安定性を有している無反応性、耐火微粒子で、例えば、酸化マグネシュウム(MgO)、アルミナ(Al2O3),シリカ(SiO2)又はその他の酸化物などである。
【0040】
複合触媒層30は、好ましくは、以前、述べたように、交互の層で構成される微粒子状基板60の上に蒸着される。それぞれの層は第8族元素か非触媒元素によって構成される。例えば、図6Aに示すように、複合触媒層30は微粒子状基板60を塗布するが、第一の層62は微粒子層60を塗布しており、第二つまり外の層64は第一の層62を塗布している。好ましい構造は、鉄とガドリニウムの交互の層を有している。別の実施形態によれば、複合触媒層30は第8族元素と非触媒元素から成る4つの交互の層を有している。例えば、図6Bに示すように、鉄から成る第一の層62は微粒子状基板60の上に蒸着され、ガドリニウムから成る第二の層64は第一の層62の上に蒸着されており、鉄から成る第三の層66は第二の層64の上に蒸着されており、ガドリニウムから成る第四の層68は第三の層66の上に蒸着されている。
【0041】
触媒層60は合金から蒸着され、微粒子状基板60の上に触媒層30を作り出す。例えば、図6Cに示すように、微粒子状基板60は鉄とガドリウムから成る合金から塗布される。
【0042】
複合触媒層30は微粒子状基板60と基板20の上に、プラズマ蒸着装置、例えば、高周波プラズマやマイクロ波プラズマCVDなどの良く知られた方法を使用して蒸着することが出来る。プラズマ蒸着を使用して、第8族元素と非触媒元素を微粒子状基板60又は基板20に接合することが出来る。例えば、プラズマCVDは、フェロセン蒸気、Fe(C5H5)2をプラズマに導入する時に、微粒子状基板60の上に鉄を有している複合触媒層30を製造する。同様に、別の実施例では、ペンタカルボニル鉄、Fe(CO)5のような鉄前駆体を装置に導入する時、鉄は蒸着される。ガドリニウムを有している複合触媒層30を蒸着する為に、塩化ガドリニウムGdCl3,ガドリニウムプロポキシドGd(OC3H7i),ガドリニウム(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタネヂオネート)、Gd(C11H19O2)3トリ(シクロペンタデニール)、ガドリニウム(C5H5)3Gdトリ(テトラメチルシクロペンタデニール)とガドリニウム[(CH3)4C2H]3Gdなどのガドリニウム前駆体を導入する。低蒸気圧を有するどの前駆体も、個体状態からまたは溶液から泡立て器を使用してプラズマ装置の中に導入することが出来る。同様に、複合触媒層30を微粒子状基板60または基板20に蒸着するために、他の第8族元素をプラズマ装置内に導入することが出来る。
【0043】
無電解蒸着、電気化学蒸着、触媒層組成から成る1つ以上の塩の存在下での微粒子状基板60の焼成、CVD, 電子線蒸着、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発、ゾルゲル合成、1つ以上の塩の混合物又は,第8族元素又は非触媒元素から成る酸化物、又は酸化物と塩の結合の中で微粒子状基板60をボールミル粉砕する方法、あるいは様々な薄膜技術などのその他の方法が、複合触媒層30を蒸着するのに使われる。次に、カーボンナノチューブの微粒子状基板60上でのバルク合成は、カーボンナノチューブ配列10に対して上記で述べている様な成長させるステップに従って実施される。
【0044】
本発明は浮遊触媒を使って実施することが出来る。この実施形態に於いては、触媒は、例えば、気化したフェロセン又はコバルトセン及び塩化ガドリニウムガスなどのガスを使用して導入する。この触媒ガスは、以前に述べたように、エチレンのような反応性ガスと共に導入される。一般的に、触媒ガスは反応炉への全体のガス流の約1から約3wt%から成る。触媒は、層状の複合触媒30のように、第8族元素の約95から約5wt%、ランタノイド元素の約5から約95wt%になる。
【0045】
本発明の方法をより完全に理解するために、次の非限定的な実施例を掲げる。
【実施例1】
【0046】
15nmアルミニウムフィルムを,酸化された単一の結晶シリコンウエファの上に電子線蒸着によって蒸着した。酸化シリコン層は約500nmの厚みを有していた。アルミニウムフィルムは約20wt%の酸素と、約80wt%のアルゴンを含む高周波プラズマ環境に於いて10分間曝すことによって、酸化アルミニウムに変換した。高周波プラズマ能力は300Wで、酸化は60Torrの圧力の下で行った。
【0047】
約2nmの厚みを有する複合触媒層を、酸化アルミニウムの上に、電子線蒸着によって、蒸着した。複合触媒層は、約80wt%鉄と約20wt%のガドリニウムの合金から形成した。
【0048】
基板と複合触媒フィルムは空気中で、400°で5時間、熱焼き鈍しをした。焼き鈍しに続いて、その基板をCVDの中に入れて、カーボンナノチューブ配列を成長させた。温度を上昇させる前に、反応炉を、室内温度で、約10分間、約1000sccmのアルゴンでパージした。基板と複合触媒層を約400°に熱して、約20分間、その温度に保ち、アルゴン流が余熱するのを可能にした。酸化複合触媒層を還元するために、温度を700°に上昇させ、約200sccmの水素流を、約15分間、反応炉の中に導入した。CVD反応炉の温度は約750°に上昇させた。基板と還元した複合触媒層はその温度に約10時間保持して、数種類のガスを反応炉に導入してカーボンナノチューブを成長させた。
【0049】
次に述べる複数のガスとその流速を調整して、反応炉に導入して、カーボンナノチューブ配列を成長させた。つまり、200sccmのエチレン,300sccmのアルゴン,アルゴンに運ばれる、150sccmの速度で流れ室内温度の泡立て器の中を通過する水蒸気、及び、200sccmの水素である。10時間後、反応炉は500sccmのアルゴンの流れの中で、室内温度に冷却された。この方法で、約7mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例2】
【0050】
複合触媒層は、実施例1で記載されているように作成されたシリコン基板の上に蒸着された。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約50/50である合金から形成された。
【0051】
基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに基づいて焼き鈍しをして、還元した。加えて、ナノチューブは、実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0052】
この方法で、約5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例3】
【0053】
複合触媒層を,実施例1に記されているように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガゴリニウムの重量パーセント比が約20/80の合金から形成した。
【0054】
基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って、焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0055】
この方法で、約7.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例4】
【0056】
複合触媒層を実施例1に記されているように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有しており、鉄とガゴリニウムの重量パーセント比が約95/5の合金から形成した。
【0057】
基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0058】
この方法で、約7mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例5】
【0059】
2つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は約1nmの厚みを有するガドリニウム層が、約1nmの厚みを有する鉄層の上になるように形成した。
【0060】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0061】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例6】
【0062】
2つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は約1nmの厚みを有する鉄層を、ガドリニウム層が、約1nmの厚みを有するガドリニウム層の上に蒸着することによって形成した。
【0063】
その基板と複合触媒層を,実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0064】
この方法で、約6mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例7】
【0065】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。その複合触媒層は、各々の層が約0.5nmの厚みを有している4つの交互の層から形成した。それらの層は、ガドリニウムが一番上の層にくるように、鉄、ガドリニウム、鉄、ガドリニウムの順序で蒸着した。
【0066】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0067】
この方法で、約11.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【0068】
この手続きを3つのゾーンを有するCVD反応炉で単独で再生させた。
【実施例8】
【0069】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。それらの層は、鉄が一番上の層にくるように、ガドリニウム、鉄、ガドリニウム、鉄の順序で蒸着した。
【0070】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0071】
この方法で、約9mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNT配列を製造した。
【実施例9】
【0072】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0073】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを、CNT配列を10時間よりむしろ6時間で成長させること以外は、実施例1の条件と同様の条件の下で成長させた。
【0074】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例10】
【0075】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約50/50の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0076】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0077】
この方法で、約5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例11】
【0078】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約20/80の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0079】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0080】
この方法で、約6mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例12】
【0081】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約95/5の合金から、直径1mmの複数の孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。この処置でパターン化された複合触媒基盤を作成した。
【0082】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0083】
この方法で、約2.5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例13】
【0084】
複合触媒層を、直径1mmの孔と1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して蒸着した。その複合触媒層は各々の厚みが約0.5nmの4つの交互の層から成っている。それらの層は、ガドリニウムが一番上にくるように、ガドリニウム、鉄、ガドリニウム、鉄の順序で蒸着した。
【0085】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0086】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例14】
【0087】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径0.1mmの複数の孔と0.1mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。
【0088】
その基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下に成長させた。
【0089】
この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例15】
【0090】
約2mmの厚みの複合触媒層を、鉄とガドリニウムの重量パーセント比が約80/20の合金から、直径0.01mmの複数の孔と0.01mmのその複数の孔の間のスペースを有するシャドウマスクを通して電子線蒸着によって蒸着した。シャドウマスクは、電子線リソグラフィーを使って、基板の表面に直接製造したポリメチルメタクリレート(PMMA)から構成された。
【0091】
その基板と複合触媒層を、実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを、CNT配列を10時間よりむしろ1時間で成長させる以外は実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0092】
この方法で、約0.5mmの長さのカーボンナノチューブを有する一様な柱のCNT配列を製造した。
【実施例16】
【0093】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。その複合触媒層は鉄の層の上にランタンの層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0094】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0095】
この方法で約9nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例17】
【0096】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。その複合触媒層はガドリニウムの層の上に鉄の層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0097】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0098】
この方法で約10nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例18】
【0099】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろ金で蒸着した。その複合触媒層は鉄の層の上に金の層がくるように形成した。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0100】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0101】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例19】
【0102】
複合触媒層はガドリニウムよりむしろ金(Au)で蒸着する。それ故、複合触媒層は各々の層が約1nmの厚みを有していて、鉄の層の上の金の層によって形成した。基板は空気中で850°で10分間焼き鈍しをして、次にCVDの中に入れた。ナノチューブは実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0103】
この方法で約0.3mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例20】
【0104】
複合触媒層は約20wt.%の鉄と約80wt.%のガドリニウムの合金から蒸着した。複合触媒層は約2nmの厚みを有していた。その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0105】
この方法で約7.5nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0106】
このCNTは基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないでCVD反応炉に直接入れた。基板とその複合触媒層は再び、実施例1に記載する成長条件に曝した。この方法で、約1mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例21】
【0107】
4つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成した基板の上に蒸着した。各々の交互の層は約0.5nmの厚みを有していた。それらの層は、ガドリニウムが一番上で、鉄、ガドリニウム、鉄、ガドリニウムの順序で蒸着した。
【0108】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0109】
この方法で約11nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0110】
このCNTは基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないでCVD反応炉に直接入れた。基板とその複合触媒層は再び、実施例1に記載する成長条件に曝した。この方法で、約8mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。この手続きを、以前述べたように、3つのゾーンを有するCVD反応炉で単独で再生させて、18mmの成長を達成した。
【実施例22】
【0111】
複合触媒層はガドリニウムよりむしろランタンを使用して蒸着した。複合触媒層は鉄の層の上のランタンの層から構成された。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0112】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0113】
この方法で約9nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0114】
このCNT配列は基板から取り外されて、その使用された基板は付加的な処理をしないで、直接、CVD反応炉の中に入れた。基板と複合触媒層は再び、実施例1に記載の成長条件に曝した。この方法で約1.5mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例23】
【0115】
複合触媒層をガドリニウムよりむしろランタンで蒸着した。複合触媒層はランタンの層の上に鉄の層を有していた。各々の層は約1nmの厚みを有していた。
【0116】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と時間と同様の条件の下で成長させた。
【0117】
この方法で約10nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0118】
このCNT配列は基板から取り外されて、その基板は付加的な処理をしないで、直接、CVD反応炉の中に入れた。基板と複合触媒層は再び、実施例1に記載の成長条件に曝した。この方法で約2mmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例24】
【0119】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。
【0120】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0121】
この方法で約3nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例25】
【0122】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上にガドリニウム、鉄の層、一番上に別のガドリニウムの層を蒸着して形成した。
【0123】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、基板は10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0124】
この方法で約5nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例26】
【0125】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上に鉄、ガドリニウム層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上に鉄、ランタンの層、一番上に別の鉄の層を蒸着して形成した。
【0126】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0127】
この方法で約4nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例27】
【0128】
3つの交互の層を有する複合触媒層を、実施例1に記載するように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有していた。複合触媒層は、基板の上にランタン、鉄の層、その上に別の鉄の層を蒸着することによって形成した。複合触媒層は、基板の上に鉄、ランタンの層、一番上に別のランタンの層を蒸着して形成した。
【0129】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍しをして還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、配列は10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0130】
この方法で約3nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例28】
【0131】
2つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層を、約1nmの厚みを有するユーロピウムが約1nmの厚みを有する鉄の層の上になるように形成した。
【0132】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0133】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例29】
【0134】
2つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層を、約1nmの厚みを有する鉄の層を、約1nmの厚みを有するユーロピウムの層の上に蒸着して形成した。
【0135】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ5時間かけて成長させた。
【0136】
この方法で約0.1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例30】
【0137】
4つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。複合触媒層は各々の厚みが約0.5nmである4つの交互な層から形成した。それらの層は、ユウロピウムが一番上の層にくるように、鉄、ユウロピウム、鉄、ユウロピウムの順序で蒸着した。
【0138】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0139】
この方法で約2nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【実施例31】
【0140】
4つの交互な層を有する複合触媒層を、実施例1で記載されるように作成したシリコン基板の上に蒸着した。各々の層は約0.5nmの厚みを有した。それらの層は、鉄が一番上の層にくるように、ユウロピウム、鉄、ユウロピウム、鉄の順序で蒸着した。
【0141】
その基板と複合触媒層を実施例1に記載の手続きに従って焼き鈍して還元した。加えて、ナノチューブを実施例1の条件と同様の条件の下で成長させたが、カーボンナノチューブは10時間よりむしろ約5時間かけて成長させた。
【0142】
この方法で約1nmの長さのカーボンナノチューブを有するCNTを製造した。
【0143】
これらの非制限的な実施例に示すように、本発明の方法は、長さが10mm以上のカーボンナノチューブを10時間にわたって成長させることに使用することが出来、ある実施例では、長さが12mmに迫るカーボンナノチューブを成長させることに使用することが出来る。このカーボンナノチューブはMWCNTとDWCNTを含む。これは本発明を実施するための好ましい方法とともに本発明を記述したものである。しかし、本発明そのものは、添付した特許請求の範囲によってのみ規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
第8族元素と、ナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基材に蒸着する工程と、
前記複合触媒層を酸化して、酸化した複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元して、還元された複合触媒層を形成する工程と、
前記還元された複合触媒層の上に、前記カーボンナノチューブを成長させる工程とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第8族元素は少なくとも、Fe,Co,Ni,Ru,Pd,Os,Ir,又はPt又はそれらの組合せから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非触媒元素はGdから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非触媒元素はLaから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非触媒元素はEuから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非触媒元素はAuから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複合触媒層は約0.5nmよりも大きい厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複合触媒層は約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブは化学蒸着反応炉で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複合触媒層を蒸着する間に、前記第8族元素及び前記非触媒元素は、略同時に前記基板の上に蒸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合触媒層は、少なくとも約5wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合触媒層は少なくとも約50wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複合触媒層は少なくとも約95wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
複数の前記第8族元素と前記非触媒元素との交互の層を前記基板に蒸着する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記複合触媒層は、塗布されていない領域の約0.01mmから約3mmの領域によって分離されている複数の塗布された領域から成るパターンを有する不連続な層である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記塗布された領域は直径約1mmである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複合触媒層を酸化する間に、前記複合触媒層は約300℃と約900℃の間の焼き鈍し温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記複合触媒層を酸化する間に、前記複合触媒層は約300℃と約500℃の間の焼き鈍し温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化複合触媒層の還元は、前記酸化複合触媒層を約600℃と約800℃との間に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法で成長させたことを特徴とするカーボンナノチューブ。
【請求項22】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、第8族元素とナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基板の上に蒸着する工程と、
前記複合触媒層を約300℃と約900℃との間の焼き鈍し温度に加熱することによって、前記複合触媒層を酸化して、酸化複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元ガスの中で、約600℃と約800℃との間に加熱して前記酸化複合触媒層を還元して、還元した複合触媒層を形成する工程と、
前記還元した複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記複合触媒層を蒸着する間、前記第8族元素及び前記非触媒元素が、前記基板の上に、略同時に蒸着される、請求項22の方法。
【請求項24】
前記第8族元素と前記非触媒元素との複数の交互の層を前記基板の上に蒸着する、請求項22の方法。
【請求項25】
前記交互の層の数は奇数である、前記24に記載の方法。
【請求項26】
複数の微粒子状基板を使用してカーボンナノチューブを形成する方法であって、
少なくともFe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,またはその組み合わせを含む第8族元素と、ランタノイドを含む非触媒元素との複数の交互の層を含む複合触媒層を、前記微粒子状基板の上に蒸着する工程と、
前記複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項27】
複数のカーボンナノチューブのバルク合成の為の微粒子状基板であって、
酸化微粒子と、
前記酸化微粒子を覆う複合触媒層とから成り、
前記複合触媒層は第8族元素と非触媒元素の複数の交互の層を含むことを特徴とする、微粒子状基板。
【請求項28】
前記第8族元素は少なくとも、Fe,Co,Ni,Ru,Pd,Os,Ir,又はPt又はそれらの組合せから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項29】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項30】
前記非触媒元素はガドリニウムから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項31】
前記非触媒元素はランタンから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項32】
元素形態の第8族金属と元素形態の非触媒金属とから成る複合触媒層の上に、前記カーボンナノチューブを成長させる工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを形成する方法。
【請求項33】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
前記基板の上の、第8族元素から成る触媒層を処理する工程と、
前記触媒層を酸化して、酸化触媒層を形成する工程と、
前記酸化触媒層を還元して、還元触媒層を形成する工程と、
前記還元された触媒層の上に、化学蒸着で、前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項35】
前記触媒層は約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記基板はシリコン基板である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
触媒塗布を有する基板の上にカーボンナノチューブを成長させる方法であって、
前記基板の上に前記カーボンナノチューブを化学蒸着で成長させる工程と、
前記基板から前記カーボンナノチューブを取り外す工程と、
前記基板から前記触媒塗布を取り外さないで、前記基板の上に付加的カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項38】
浮遊触媒を使用して複数のカーボンナノチューブを形成する方法であって、
第8族元素から成るガスを反応炉に流す工程と、
非触媒元素から成るガスを前記反応炉に流す工程であって、前記第8族元素と前記非触媒元素は反応して、前記浮遊触媒を形成する、工程と、
複数の反応性ガスを前記反応炉に流して、前記カーボンナノチューブを形成する工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項39】
前記非触媒元素はランタノイドであり、前記浮遊触媒は前記ランタノイドの質量に対して約5から約95%である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
第8族元素と、ナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基材の第一の側と第二の側とに蒸着する工程と、
前記複合触媒層を酸化して、酸化した複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元して、還元された複合触媒層を形成する工程と、
前記基板の前記第一の側と前記第二の側の前記還元された複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させるように前記基板を位置させる工程と、
前記基板の前記第一の側と前記第二の側との上に前記カーボンナノチューブを同時に成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
第8族元素と、ナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基材に蒸着する工程と、
前記複合触媒層を酸化して、酸化した複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元して、還元された複合触媒層を形成する工程と、
前記還元された複合触媒層の上に、前記カーボンナノチューブを成長させる工程とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第8族元素は少なくとも、Fe,Co,Ni,Ru,Pd,Os,Ir,又はPt又はそれらの組合せから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非触媒元素はGdから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非触媒元素はLaから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記非触媒元素はEuから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非触媒元素はAuから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複合触媒層は約0.5nmよりも大きい厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複合触媒層は約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブは化学蒸着反応炉で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複合触媒層を蒸着する間に、前記第8族元素及び前記非触媒元素は、略同時に前記基板の上に蒸着される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複合触媒層は、少なくとも約5wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複合触媒層は少なくとも約50wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複合触媒層は少なくとも約95wt%の前記第8族元素を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
複数の前記第8族元素と前記非触媒元素との交互の層を前記基板に蒸着する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記複合触媒層は、塗布されていない領域の約0.01mmから約3mmの領域によって分離されている複数の塗布された領域から成るパターンを有する不連続な層である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記塗布された領域は直径約1mmである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複合触媒層を酸化する間に、前記複合触媒層は約300℃と約900℃の間の焼き鈍し温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記複合触媒層を酸化する間に、前記複合触媒層は約300℃と約500℃の間の焼き鈍し温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化複合触媒層の還元は、前記酸化複合触媒層を約600℃と約800℃との間に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法で成長させたことを特徴とするカーボンナノチューブ。
【請求項22】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、第8族元素とナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基板の上に蒸着する工程と、
前記複合触媒層を約300℃と約900℃との間の焼き鈍し温度に加熱することによって、前記複合触媒層を酸化して、酸化複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元ガスの中で、約600℃と約800℃との間に加熱して前記酸化複合触媒層を還元して、還元した複合触媒層を形成する工程と、
前記還元した複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項23】
前記複合触媒層を蒸着する間、前記第8族元素及び前記非触媒元素が、前記基板の上に、略同時に蒸着される、請求項22の方法。
【請求項24】
前記第8族元素と前記非触媒元素との複数の交互の層を前記基板の上に蒸着する、請求項22の方法。
【請求項25】
前記交互の層の数は奇数である、前記24に記載の方法。
【請求項26】
複数の微粒子状基板を使用してカーボンナノチューブを形成する方法であって、
少なくともFe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,またはその組み合わせを含む第8族元素と、ランタノイドを含む非触媒元素との複数の交互の層を含む複合触媒層を、前記微粒子状基板の上に蒸着する工程と、
前記複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項27】
複数のカーボンナノチューブのバルク合成の為の微粒子状基板であって、
酸化微粒子と、
前記酸化微粒子を覆う複合触媒層とから成り、
前記複合触媒層は第8族元素と非触媒元素の複数の交互の層を含むことを特徴とする、微粒子状基板。
【請求項28】
前記第8族元素は少なくとも、Fe,Co,Ni,Ru,Pd,Os,Ir,又はPt又はそれらの組合せから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項29】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項30】
前記非触媒元素はガドリニウムから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項31】
前記非触媒元素はランタンから成る、請求項27に記載の微粒子状基板。
【請求項32】
元素形態の第8族金属と元素形態の非触媒金属とから成る複合触媒層の上に、前記カーボンナノチューブを成長させる工程を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブを形成する方法。
【請求項33】
前記非触媒元素はランタノイドから成る、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
前記基板の上の、第8族元素から成る触媒層を処理する工程と、
前記触媒層を酸化して、酸化触媒層を形成する工程と、
前記酸化触媒層を還元して、還元触媒層を形成する工程と、
前記還元された触媒層の上に、化学蒸着で、前記カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項35】
前記触媒層は約1nmと約2nmとの間の厚みを有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記基板はシリコン基板である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
触媒塗布を有する基板の上にカーボンナノチューブを成長させる方法であって、
前記基板の上に前記カーボンナノチューブを化学蒸着で成長させる工程と、
前記基板から前記カーボンナノチューブを取り外す工程と、
前記基板から前記触媒塗布を取り外さないで、前記基板の上に付加的カーボンナノチューブを成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項38】
浮遊触媒を使用して複数のカーボンナノチューブを形成する方法であって、
第8族元素から成るガスを反応炉に流す工程と、
非触媒元素から成るガスを前記反応炉に流す工程であって、前記第8族元素と前記非触媒元素は反応して、前記浮遊触媒を形成する、工程と、
複数の反応性ガスを前記反応炉に流して、前記カーボンナノチューブを形成する工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項39】
前記非触媒元素はランタノイドであり、前記浮遊触媒は前記ランタノイドの質量に対して約5から約95%である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
複数のカーボンナノチューブを基材に形成する方法であって、
第8族元素と、ナノチューブの成長に単独では触媒作用を及ぼさない1つの金属から成る非触媒元素とから成る複合触媒層を、前記基材の第一の側と第二の側とに蒸着する工程と、
前記複合触媒層を酸化して、酸化した複合触媒層を形成する工程と、
前記酸化した複合触媒層を還元して、還元された複合触媒層を形成する工程と、
前記基板の前記第一の側と前記第二の側の前記還元された複合触媒層の上に前記カーボンナノチューブを成長させるように前記基板を位置させる工程と、
前記基板の前記第一の側と前記第二の側との上に前記カーボンナノチューブを同時に成長させる工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公表番号】特表2010−511580(P2010−511580A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533422(P2009−533422)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/079528
【国際公開番号】WO2008/105936
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(302013874)ユニバーシティー オブ シンシナティ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/079528
【国際公開番号】WO2008/105936
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(302013874)ユニバーシティー オブ シンシナティ (2)
【Fターム(参考)】
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