説明

ガイドロッド付き削孔装置

【課題】ドリルロッド4とこれに平行なガイドロッド5とを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔連続する連続孔を削孔する削孔装置であって、ガイドセル1上のセントラライザ3の前方に突出するドリルロッドの部分に装着したロッドホルダ6にガイドロッド5を挿通支持するものにおいて、別のドリルロッドを用いずに最初の孔の削孔とその後の連続孔の削孔とを行うことができるようにする。
【解決手段】ドリルロッド4は、ドリフタ2に連結されるロッド本体部41と、ロッド本体部41の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部42とで構成される。アダプタロッド部42にロッドホルダ6が装着されると共に、ロッド本体部41の前端にアダプタロッド部42に代えて削孔用ビットを取付け自在とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルロッドと、ドリルロッドに平行なガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の削孔装置として、ジャンボのブーム等に取付けられるガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、ドリルロッドに平行な前後方向に長手のガイドロッドとを備え、ドリフタに搭載した油圧シリンダによりガイドロッドをドリルロッドに対し前後方向に進退自在としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このものでは、ガイドロッドの前端をドリルロッドの前端よりも前方に位置させた状態で先行孔にガイドロッドを挿入し、次に、ドリフタによりドリルロッドを回転させつつ前進させて、先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔を削孔する。この際、ガイドロッドも先行孔内を前進し、ガイドロッドの案内作用により先行孔と連続孔との平行度が保たれる。
【0004】
然し、連続孔の削孔が進行して、ドリルロッドの前端とセントラライザとの間の距離が長くなると、ドリルロッドの前端とセントラライザとの間でドリルロッドが湾曲しやすくなり、連続孔の全長に亘って先行孔に対する平行度を確保することは困難になる。
【0005】
ここで、セントラライザから前方に突出するドリルロッドの部分に、ドリルロッドとガイドロッドとの間に跨る、先行孔及び連続孔の断面積に収まる大きさのロッドホルダを装着して、ロッドホルダにガイドロッドを挿通支持したガイドロッド付き削孔装置も従来知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このものでは、ドリルロッドの前進に追従してロッドホルダが先行孔及び連続孔内を前進し、ドリルロッドがその前端近傍でロッドホルダとガイドロッドとを介して先行孔に対し所定の位置関係に保持される。従って、連続孔の全長に亘って先行孔に対する平行度を確保することができる。
【0007】
ところで、連続孔を複数形成する場合は、前回削孔した連続孔を先行孔として、これにガイドロッドを挿入した状態で次の連続孔を削孔するが、最初の孔はガイドロッドを取外した状態で削孔する必要がある。ここで、上記したロッドホルダを備える削孔装置では、ドリルロッドとガイドロッドとがロッドホルダを介して連結されるため、削孔装置からガイドロッドのみを取外すことができない。従って、ロッドホルダが装着されていない単孔用のドリルロッドを用意し、ロッドホルダを装着した連続孔用のドリルロッドをガイドロッドと共に削孔装置から取外した後、単孔用のドリルロッドを削孔装置に取付けて、最初の孔を削孔せざるを得なくなる。このように最初の孔の削孔のためだけに単孔用ドリルロッドを用意することはコスト的に不利であり、単孔用ドリルロッドの置き場所にも困る。
【特許文献1】特許第2761954号公報
【特許文献2】特公平6−3104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、ロッドホルダを具備するにも拘らず、単孔用ドリルロッドを用いずに最初の孔の削孔とその後の連続孔の削孔とを行うことができるようにしたガイドロッド付き削孔装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、ドリルロッドに平行な前後方向に長手のガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置であって、セントラライザから前方に突出するドリルロッドの部分に、ドリルロッドとガイドロッドとの間に跨る、先行孔及び連続孔の断面積に収まる大きさのロッドホルダが装着され、ロッドホルダにガイドロッドが挿通支持されるものにおいて、上記課題を解決するために、ドリルロッドは、ドリフタに連結されるロッド本体部と、ロッド本体部の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部とで構成され、アダプタロッド部にロッドホルダが装着されると共に、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部に代えて削孔用ビットを取付け自在とすることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ドリルロッドのアダプタロッド部をロッド本体部から分離することで、ガイドロッドをアダプタロッド部と共に削孔装置から取外すことができ、ロッド本体部は削孔装置から取外す必要がない。そして、ガイドロッドを取外した後、ロッド本体部の前端に削孔用ビットを取付けることで、最初の孔を削抗することができる。従って、最初の孔の削孔のために用意しておくのは削孔用ビットだけで済み、単孔用ドリルロッドを用意する必要がある従来例のものに比し、コストが格段に安くなり、合理的である。
【0011】
ところで、削孔に際しては、ガイドセルの振れを防止するために、岩盤等の被削孔物にガイドセルの前端を当接させている。そして、ドリルロッドがセントラライザで規制される後退位置に存する状態において、ガイドセルの前端がドリルロッドの前端より前方に位置するようにしている。これにより、被削孔物にドリルロッドに先行してガイドロッドの前端を当接させることができる。
【0012】
ここで、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端の位置は、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部を取付けた場合の方が削孔用ビットを取り付けた場合より前方になる。そのため、ガイドセルの前端は、アダプタロッド部を取付けた場合のドリルロッドの前端より前方に位置させる必要がある。然し、これでは、削孔用ビットを取付けた場合、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端からガイドセルの前端、即ち、被削孔物までの距離が長くなり、削孔位置の精度を確保することが困難になる。
【0013】
従って、本発明においては、ガイドセルを前方に伸縮する機構を備えることが望ましい。これによれば、ロッド本体部の前端に削孔用ビットを取付ける場合、ガイドセルの収縮でその前端の位置を後方に変位させて、ドリルロッドが後退位置に存するときのドリルロッドの前端からガイドセルの前端(被削孔物)までの距離を短くし、削孔位置の精度を確保できる。
【0014】
また、ガイドロッドを取付けて連続孔を削孔する場合、ガイドロッドの前端をドリルロッドの前端よりも前方に位置させた状態で先行孔にガイドロッドを挿入し、先行孔を基準にしてドリルロッドを位置決めしてからドリルロッドを前進させて連続孔を削孔する必要がある。但し、ガイドロッドとドリルロッドとの前後方向の位置関係が上記の状態に拘束されると、ガイドロッドの前端が先行孔の孔底に到達したところでそれ以上削孔できなくなり、連続孔の深さが先行孔より浅くなってしまう。そこで、上記特許文献1に記載のものでは、ドリフタに搭載した油圧シリンダにより削孔途中でガイドロッドをドリルロッドに対し後退させ、この状態でドリルロッドを前進させて先行孔と同じ深さまで連続孔を削孔できるようにしている。然し、これでは、ガイドロッドをドリルロッドに対し前後方向に進退させる油圧シリンダが必要になって、コストが高くなる不具合がある。
【0015】
そのため、本発明においては、ドリルロッドのロッド本体部又はドリフタに、ガイドロッドの後端に着脱自在に連結される小ロッドと、この小ロッドを前方に付勢するばねとを備える付勢ユニットが装着されることが望ましい。これによれば、常時は、ガイドロッドをその前端がドリルロッドの前端より前方に位置するように付勢ユニットのばねで付勢保持することができる。従って、ドリルロッドを前進させて連続孔を削孔する前にガイドロッドの前端部を先行孔に挿入し、先行孔を基準にしてドリルロッドを位置決めできる。また、ガイドロッドの前端が先行孔の孔底に到達しても、ドリルロッドはばねを圧縮しつつガイドロッドに対し前進するため、先行孔と同じ深さの連続孔を削孔できる。そして、付勢ユニットは構造が簡単であり、油圧シリンダを用いる場合に比しコストが安くなる。尚、付勢ユニットを備えていても、付勢ユニットの小ロッドからガイドロッドを分離することでガイドロッドを削孔装置から取外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2は、岩盤等の被削孔物Wに、削孔済みの先行孔H1に隣接させて先行孔H1に連続する連続孔H2(図4参照)を削孔する本発明の実施形態の削孔装置を示している。この削孔装置は、図外のジャンボのブーム等に取付けられる前後方向に長手のガイドセル1を備えており、ガイドセル1上にドリフタ2が前後方向に移動自在に支持されている。ガイドセル1の前端部にはセントラライザ3が固定されており、セントラライザ3に前後方向に長手のドリルロッド4が挿通支持されている。ドリルロッド4は、その後端においてドリフタ2にジョイントスリーブ2aを介して連結される。そして、ドリフタ2によりドリルロッド4を回転させつつ前進させて、連続孔H2を削孔するようにしている。
【0017】
セントラライザ3には、更に、前後方向に長手のガイドロッド5がドリルロッド4と平行に挿通支持されている。セントラライザ3の前方に突出するドリルロッド4の部分にはロッドホルダ6が相対回転自在に装着されている。そして、ロッドホルダ6にガイドロッド5を前後方向に摺動自在に挿通している。ロッドホルダ6は、先行孔H1及び連続孔H2の断面積に収まる大きさに形成されている。
【0018】
ここで、ドリルロッド4は、ドリフタ2に連結されるロッド本体部41と、ロッド本体部41の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部42とで構成されている。アダプタロッド部42は、ロッド本体部41の前端に螺着される後端のスリーブ部42aと、スリーブ部42aから一体に前方にのびるスリーブ部42aより小径の軸部42bと、軸部42bの前端に螺着した削孔用ビット42cとを備えている。そして、軸部42bにロッドホルダ6を装着し、削孔用ビット42cとスリーブ部42aとでロッドホルダ6を前後から挟んで、ドリルロッド4に対するロッドホルダ6の前後方向の摺動が極僅かに規制されるようにしている。そのため、ロッドホルダ6はドリルロッド4に追従して前後方向に移動する。
【0019】
また、ガイドロッド5は、先行孔H1に嵌合する前端の大径部51と、大径部51から後方にのびる小径部52とを備えている。そして、ガイドロッド5を小径部52においてロッドホルダ6に前後方向に摺動自在に挿通している。尚、図3に示すように、大径部51のドリルロッド4側の側面には、削孔用ビット42cに対する逃げとなる凹欠部51aが形成されている。そして、凹欠部51aが常にドリルロッド4側を向くように、ロッドホルダ6に対しガイドロッド5は回り止めされる。
【0020】
また、ドリルロッド4のロッド本体部41には、ガイドロッド5を前方に付勢する付勢ユニット7が相対回転自在に装着されている。付勢ユニット7は、筒状ケース71と、筒状ケース71に前後方向に摺動自在に挿通した小ロッド72と、小ロッド72を前方に付勢する、筒状ケース71に内挿したばね73とを備えており、小ロッド72がガイドロッド5の後端(小径部52の後端)に着脱自在に連結される。そして、筒状ケース71にドリルロッド4側にのびるアーム部71aを形成すると共に、ロッド本体部41にジョイントスリーブ2aに螺着される後端部より所定距離前方に位置する段部41aを形成し、ジョイントスリーブ2aと段部41aとの間のロッド本体部41の部分に付勢ユニット7をアーム部71aにおいて相対回転自在に装着している。アーム部71aは段部41aとジョイントスリーブ2aとで前後から挟まれ、ロッド本体部41に対する付勢ユニット7の前後方向の摺動が極僅かに規制される。そのため、付勢ユニット7はドリルロッド4に追従して前後方向に移動する。
【0021】
付勢ユニット7の小ロッド72の前端にはスリーブ部72aが形成されている。そして、ガイドロッド5の後端に小ロッド72がスリーブ部72aにおいて螺着される。また、筒状ケース71の後方に突出する小ロッド72の後端にはストッパ72bが設けられている。そして、筒状ケース71の後端へのストッパ72bの当接により、筒状ケース71に対する小ロッド72の前方への移動、即ち、ドリルロッド4に対するガイドロッド5の前方への移動が所定の前進ストローク端位置で規制されるようにしている。この前進ストローク端位置は、ガイドロッド5の前端(大径部51の前端)がドリルロッド4の前端(削孔用ビット42cの前端)より所定距離Lだけ前方に位置するように設定されている。また、前進ストローク端位置において、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さが上記所定距離Lに等しくなるようにしている。そのため、ガイドロッド5がドリルロッド4に対しロッドホルダ6の前端への大径部51の当接で規制される後退ストローク端位置に存するとき、ドリルロッド4の前端とガイドロッド5の前端とが前後方向同一位置に揃う。
【0022】
ガイドセル1の前端には、図2に示す如く、被削孔物Wに当接するパッド8が設けられている。そして、ドリルロッド4がセントラライザ3へのスリーブ部42aの当接で規制される後退位置に存するときに、ドリルロッド4の前端がパッド8の前端より若干後方に位置し、付勢ユニット7により前進ストローク端位置に付勢保持されるガイドロッド5の前端(大径部51の前端)がパッド8の前端より前方に位置するようにしている。
【0023】
連続孔H2の削孔に際しては、先ず、図1に示すように、ガイドロッド5の大径部51を先行孔H1に嵌合させた状態でパッド8を被削孔物Wに当接させる。これにより、先行孔H1を基準にしてガイドセル1及びドリルロッド4が被削孔物Wに対し位置決めされる。次に、ドリフタ2によりドリルロッド4を回転させつつ前進させ、先行孔H1に隣接する位置に先行孔H1に連続する連続孔H2を削孔する。この際、ガイドロッド5は、図4(a)に示す如く、付勢ユニット7の付勢力で前進ストローク端位置に付勢保持されたままドリルロッド4に追従して先行孔H1内を前進し、ロッドホルダ6もドリルロッド4に追従して先行孔H1及び連続孔H2内を前進する。そして、ドリルロッド4がその前端近傍でロッドホルダ6とガイドロッド5とを介して先行孔H1に対し所定の位置関係に保持される。従って、連続孔H2の全長に亘って先行孔H1に対する平行度が確保される。
【0024】
ガイドロッド5の前端が先行孔H1の孔底に達すると、以後、ドリルロッド4が付勢ユニット7のばね73を圧縮しつつガイドロッド5に対し前進する。そして、図4(b)に示す如く、ガイドロッド5がドリルロッド4に対しロッドホルダ6への大径部51の当接で規制される後退ストローク端位置まで相対移動して、ドリルロッド4のそれ以上の前進が不能となる位置までドリルロッド4を前進させる。ここで、後退ストローク端位置ではガイドロッド5の前端とドリルロッド6の前端とが前後方向同一位置に揃うため、先行孔H1と同一深さの連続孔H2を削孔することができる。
【0025】
連続孔H2の削孔後は、ドリルロッド4をセントラライザ3で規制される後退位置まで後退させて連続孔H2から引き抜く。この際、ガイドロッド5は付勢ユニット7の働きでドリルロッド4に対し前進ストローク端位置まで前進し、削孔装置は図1に示す状態に復帰する。次に、ガイドセル1を若干後退させて、ガイドロッド5を先行孔H1から引き抜いた後、ガイドセル1を横方向にシフトして前進させ、今回削孔した連続孔H2を先行孔としてこれにガイドセル5の大径部51を嵌合させ、次の連続孔の削孔を行う。
【0026】
ところで、連続孔を複数形成する場合、最初の孔はガイドロッド5を取外した状態で削孔する必要がある。ここで、付勢ユニット7の小ロッド72をガイドロッド5から分離しても、ガイドロッド5はロッドホルダ6を介してドリルロッド4に連結されているため、そのままではガイドロッド5を取外すことができない。この場合、ドリルロッド4をジョイントスリーブ2aから分離して、ガイドロッド5と共にドリルロッド4も削孔装置から取外し、別に用意した単孔用のドリルロッドを削孔装置に取付けて、最初の孔を削孔することが考えられる。然し、これではコストが高くなる。
【0027】
これに対し、本実施形態では、上記の如くドリルロッド4のロッド本体部41の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部42にロッドホルダ6が装着されている。そのため、付勢ユニット7の小ロッド72をガイドロッド5から分離すると共に、ロッド本体部41からアダプタロッド部42を分離すれば、ガイドロッド5をセントラライザ3の前方に引き抜くことができる。そして、ドリルロッド4のロッド本体部41の前端に、図5に示す如く、アダプタロッド部42に代えて削孔用ビット43を螺着することにより、最初の孔を削孔することができる。従って、最初の孔の削孔のために用意しておくのは削孔用ビット43だけで済み、単孔用ドリルロッドを用意する必要がある上記の場合に比し、コストが格段に安くなり、合理的である。
【0028】
尚、ロッド本体部41に付勢ユニット7が装着されたままでも、最初の孔を支障なく削孔することができる。また、ロッド本体部41をジョイントスリーブ2aから一旦分離して、ロッド本体部41の後端から付勢ユニット7を抜き取り、その後でロッド本体部41を再度ジョイントスリーブ2aに螺着し、付勢ユニット7を取外した状態で最初の孔の削孔を行うことも可能である。
【0029】
ところで、ロッド本体部41の前端に削孔用ビット43を取付けた場合、ドリルロッド4の前端(削孔用ビット43の前端)がアダプタロッド部42を取付けた場合のドリルロッド4の前端(削孔用ビット42cの前端)よりも後方に位置する。そして、ガイドセル1の前端のパッド8の位置が不変であると、削孔用ビット43を取付けた場合、ドリルロッド4が後退位置に存する状態において、ドリルロッド4の前端から被削孔物Wまでの距離が長くなる。そのため、後退位置からドリルロッド4の前端が被削孔物Wに達するまでドリルロッド4が前進する際のドリルロッド4の振れにより、削孔位置の精度を確保することが困難になる。
【0030】
そこで、本実施形態では、ガイドセル1を前方に伸縮する機構を設けている。即ち、ガイドセル1を、前端部にセントラライザ3を固定したセル本体11と、セル本体11の前端にヒンジ12を介して屈伸自在に取付けた可動セル13とで構成し、可動セル13の動きでガイドセル1を前方に伸縮自在としている。そして、ドリルロッド4のロッド本体41の前端にアダプタロッド部42を取付けて、連続孔を削孔する場合は、可動セル13を前方に伸展させて、その前端面にパッド8を取り付け、また、ロッド本体41の前端に削孔用ビット43を取付けて、最初の孔を削孔する場合は、可動セル13を後方に折り畳んで、セル本体11の前端面にパッド8を取付けようにしている。
【0031】
これによれば、最初の孔を削孔する場合、ドリルロッド4の後退位置におけるドリルロッド4の前端からパッド7の前端までの距離が短くなる。そのため、後退位置からドリルロッド4の前端が被削孔物Wに達するまでドリルロッド4が前進する際のドリルロッド4の振れが小さく抑えられ、削孔位置の精度が確保される。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、付勢ユニット7がドリルロッド4のロッド本体部41に装着されているが、ドリフタ2に付勢ユニット7を装着しても良い。更に、上記特許文献1に記載のものと同様に、ドリフタ2に油圧シリンダを搭載し、この油圧シリンダにガイドロッド5の後端を着脱自在に連結して、油圧シリンダによりガイドロッド5をドリルロッド4に対し前後方向に相対移動させるようにすることも可能である。但し、上記実施形態のように付勢ユニット7を用いた方がコストが安くなり、有利である。
【0033】
また、上記実施形態では、ガイドロッド5がドリルロッド4に対し前進ストローク端位置に存するときに、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さがガイドロッド5の前端とドリルロッド4の前端との間の距離Lに等しくなるようにしているが、ロッドホルダ6の長さを短くして、ロッドホルダ6の前方に突出するガイドロッド5の小径部52の長さがこの距離Lより長くなるようにすることも可能である。この場合、ガイドロッド5がドリルロッド4に対しロッドホルダ6への大径部51の当接で規制される後退ストローク端位置に存する状態では、ガイドロッド5の前端よりドリルロッド4の前端の方が前方に位置するが、ドリルロッド4の前進距離を管理することで、先行孔H1と同じ深さの連続孔H2を削孔できる。
【0034】
また、上記実施形態では、ガイドセル1を前方に伸縮する機構をセル本体11の前端に屈伸自在に連結した可動セル13で構成しているが、セル本体11に対し前後方向に摺動自在な可動セルで伸縮機構を構成することも可能である。また、可動セル13に相当する部材をセル本体11に着脱自在とし、この部材の着脱でガイドセル1を伸縮させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の削孔装置の平面図。
【図2】実施形態の削孔装置の側面図。
【図3】図1のIII−III線切断面図。
【図4】(a)実施形態の削孔装置による連続孔の削孔途中の状態を示す平面図、(b)実施形態の削孔装置による連続孔の削孔完了状態を示す平面図。
【図5】実施形態の削孔装置を最初の孔の削孔のために改変した状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0036】
W…被削孔物、H1…先行孔、H2…連続孔、1…ガイドセル、13…可動セル(伸縮する機構)、2…ドリフタ、3…セントラライザ、4…ドリルロッド、41…ロッド本体部、42…アダプタロッド部、43…削孔用ビット、5…ガイドロッド、6…ロッドホルダ、7…付勢ユニット、72…小ロッド、73…ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドセル上に移動自在に支持されるドリフタと、ドリフタにより回転駆動される、ドリフタの移動方向たる前後方向に長手のドリルロッドと、ガイドセルの前端部に固定した、ドリルロッドを挿通支持するセントラライザと、ドリルロッドに平行な前後方向に長手のガイドロッドとを備え、削孔済みの先行孔にガイドロッドを挿入した状態で先行孔に隣接する位置に先行孔に連続する連続孔をドリルロッドで削孔するガイドロッド付き削孔装置であって、
セントラライザから前方に突出するドリルロッドの部分に、ドリルロッドとガイドロッドとの間に跨る、先行孔及び連続孔の断面積に収まる大きさのロッドホルダが装着され、ロッドホルダにガイドロッドが挿通支持されるものにおいて、
ドリルロッドは、ドリフタに連結されるロッド本体部と、ロッド本体部の前端に着脱自在に連結されるアダプタロッド部とで構成され、
アダプタロッド部にロッドホルダが装着されると共に、ロッド本体部の前端にアダプタロッド部に代えて削孔用ビットを取付け自在とすることを特徴とするガイドロッド付き削孔装置。
【請求項2】
前記ガイドセルを前方に伸縮する機構を備えることを特徴とする請求項1記載のガイドロッド付き削孔装置。
【請求項3】
前記ロッド本体部又は前記ドリフタに、前記ガイドロッドの後端に着脱自在に連結される小ロッドと、この小ロッドを前方に付勢するばねとを備える付勢ユニットが装着されることを特徴とする請求項1又は2記載のガイドロッド付き削孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−75276(P2008−75276A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253019(P2006−253019)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】