ガイド波を用いた非破壊検査方法および装置
【課題】各ガイド波探触子の送受信感度のバラツキを改善することのできるガイド波を用いた非破壊検査方法および装置を提供する。
【解決手段】円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査する。
【解決手段】円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクや配管のような肉厚がある円筒形状をした構造物の外面及び内面に発生する減肉や欠陥傷および変形などの部位を、ガイド波を用いてその状態を長距離区間一括して検査するのに好適なガイド波を用いた非破壊検査方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクや配管などの円筒形状構造物は、使用している環境の影響を受けながら時間の経過とともに内外面から腐食が進行する。腐食しやすい箇所では、腐食が進行していくと、内容物の漏洩や破断にいたる事故の要因となるため、定期的に非破壊検査や目視検査をすることで、未然に防止し、タンクや配管の健全性を維持、確認している。
【0003】
従来から良く用いられている非破壊検査は、超音波厚さ計が一般的であるが、幾つかの課題を抱えている。超音波厚さ計では、センサと被検体との接触面に超音波が効率よく伝播するように、液体状または粘性のある接触媒質を塗布する必要がある。また、センサと被検体との接触面の厚さを、一点一点測定する一点検査となるため、検査範囲が狭く、表面積の大きいタンク検査や大口径の配管検査には長時間を費やし、結果として検査コストが増大する。
【0004】
そこで、超音波の一種であるガイド波を利用した非破壊検査が、特許文献1で提案されている。ガイド波は、配管や板の境界面を有する物体中を伝播する超音波で、配管の周方向断面積が変化する位置で反射する特徴を利用して、配管の内外面および長距離区間を一括して検査する方法である。
【0005】
特許文献1のガイド波を用いた非破壊検査装置は、配管全周にわたって複数個の超音波探触子を配置した第1探触子群と、同じく配置された第2探触子群を、検査対象の配管の軸方向に並べて隣接配置する。この第1探触子群、第2探触子群は、直接配管表面に接触させ、押し付けながらガイド波を配管に伝播させている。
【0006】
ここで、超音波探触子群のガイド波センサから配管に伝播させるガイド波の特徴は、ノンカップリング方式で送受信ができることである。つまり、先に述べた超音波厚さ計のような一般的超音波探傷検査で使用する伝播効率を良くするための接触媒質を必要としない。
【0007】
しかし反面、課題も有する。検査で用いる単一のモードのガイド波を送信するためには、第1探触子群または第2探触子群の超音波探触子を同時に駆動させる必要がある。また接触状態が超音波探触子群のガイド波センサで全て同じである必要がある。ところが、全て同じ接触状態にさせることは通常困難である。検査精度の良い測定をするためには、ガイド波センサの接触状態を揃えることがガイド波を用いた非破壊検査の課題の一つである。
【0008】
そのため、特許文献1では、接触状態に伴って、送信する電圧に補正をかけて、行っている。また、特許文献2では、接触状態をチェックするチェック機能で受信信号に補正をかけて測定後信号処理を行っている。
【0009】
一方、特許文献3に記載された、溶接部の検査方法及び装置は、単一または二個の超音波探触子の送受信面に接触媒質と接触媒質を包むシートを有し、溶接部に存在する空隙で反射したSH反射波の信号から溶接部の健全性を判断している。接触媒質を包むシートは、ポリイミドフィルムやポリエチレンビニールシートなどの浸透しない材料や、アルミ箔のような薄い金属材料でも効果があると記載されている。
【0010】
ガイド波以外の超音波探触子を用いた構造物の検査では、構造物の形状や測定対象位置により超音波探触子と検査対象物である構造物の間にシューを介在させて行うことが知られている。ここでのシューは、検査対象物との音響結合状態(接触状態)を改善する目的のものではなく、送信及び受信する超音波をある角度に屈折させるためのものであり、検査対象物の形状に沿わせるためのものである。しかし、使用するシューは、加工しやすく取扱いが容易な樹脂性のものが多く、伝播効率を良くするためには接触媒質が必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−107885号公報
【特許文献2】特許第3668936号
【特許文献3】特開2004−212308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ガイド波を伝播させて非破壊検査する技術においては、配管の周囲に複数個のガイド波探触子を配置した第1ガイド波探触子群と第2ガイド波探触子群から構成されたガイド波センサを、検査対象の配管の軸方向に並べて配置し、配管表面に直接接触させ、配管に垂直な力で押付けて検査を行う。
【0013】
このとき、ガイド波検査で用いる単一のモードのガイド波を送信するためには、第1ガイド波探触子群または第2ガイド波探触子群のガイド波探触子を同時に駆動させる必要がある。また、接触状態がガイド波探触子群のガイド波センサで全て同じである必要がある。
【0014】
然るに、全て同じ接触状態にさせることは難しい。このガイド波センサの接触状態の不均一さが原因となってノイズ(擬似信号)が発生し、検査結果の信頼性が損なわれるという問題があり、接触状態を揃えることがガイド波を用いた非破壊検査の課題の一つである。
【0015】
この点に関し、特許文献1では、接触状態に伴って、送信する電圧に補正をかけ、また、特許文献2では、接触状態をチェックするチェック機能で受信信号に補正をかけて測定後信号処理を行っている。
【0016】
しかしながら、信号処理による補正以上に接触状態が不均一で、バランスが良くないケースも考えられる。不均一が生じる要因としては、検査対象構造物の表面状態や検査対象構造物の偏心による、センサ治具とのズレにより接触する部位が各ガイド波センサで異なることが挙げられる。そのため、各ガイド波探触子の送受信感度のバラツキが生じ、ノイズ(擬似信号)が発生し、検査結果で誤判定してしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、各ガイド波探触子の送受信感度のバラツキを改善することのできるガイド波を用いた非破壊検査方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の非破壊検査方法は、円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査する。
【0019】
また、金属シートの材質を、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とする。
【0020】
また、金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられる。
【0021】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列する。
【0022】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列する。
【0023】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列するとともに、金属シートはガイド波探触子群ごとに設けられる。
【0024】
また、金属シートの厚さを、30μmから100μmとする。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明の非破壊検査装置は、円筒形状構造物と、円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群と、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に挟みこまれた金属シートと、超音波探触子を構造物表面に押付けるための加圧手段とを備えてガイド波を送受信し検査する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサを検査対象構造物の被検体表面に設置後の送受信感度のバラツキ調整を割愛または短時間で行うことができ、ガイド波を用いた非破壊波検査時間を短縮できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図2】図1のA−A断面を示す図。
【図3】図2の一部拡大断面図。
【図4】ガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャート。
【図5】第2の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図6】図5のA−A断面を示す図。
【図7】図6の一部拡大断面図。
【図8】第3の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図9】図8のA−A断面を示す図。
【図10】図9の一部拡大断面図。
【図11】金属シートなしと、本発明の実施形態で測定した結果を示す図。
【図12】本発明によりバラツキが小さくなることを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態におけるガイド波を用いた非破壊検査方法および装置について、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1、図2、図3は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図2は図1のA−A断面を示す図、図3は図2の一部拡大断面図である。
【0030】
図1において、5はタンクや配管などの円筒形状構造物であり、ここでは配管とする。配管には、2組のガイド波探触子群1、2が互いに所定距離λ/4離れた位置に設置される。各ガイド波探触子群1、2は、それぞれ複数のガイド波探触子1a〜1h、2a〜2hから構成され、各群の複数のガイド波探触子は、それぞれ配管5の周方向に配置される。また、複数のガイド波探触子は、金属シート4aを介して、配管5に接している。これら2組のガイド波探触子群1、2により、ガイド波センサ10が構成され、配管5の長手方向をガイド波送信方向9として、ガイド波が送信される。
【0031】
ガイド波は、配管や板の境界面を有する物体中を伝播し、配管の周方向断面積が変化する位置で反射する。このため、配管の肉厚部6の厚さが相違する箇所があると、ここで反射する。例えば、配管の溶接部分は肉厚部6の厚さが相違する箇所であり、反射波が生じるが、この位置は予め特定できるので、それ以外の腐食による肉厚変化部からの反射を把握することが可能である。
【0032】
図2は、図1の第1のガイド波探触子群1の周方向位置でのA−A断面を示しており、各ガイド波探触子1a〜1hの送受信部3は、金属シート4aを介して配管5に接している。また、各ガイド波探触子1a〜1hには、外部から押付け力7が与えられている。なお、各ガイド波探触子1a〜1hに対して、外部から押付け力7を与えるために図示せぬ加圧手段が備えられている。
【0033】
図3は、ひとつのガイド波探触子1aのみを拡大表示したものであり、送受信部3が、金属シート4aを介して配管5に接していることが見て取れる。
【0034】
本発明のガイド波を用いた非破壊検査においては、配管に対して上記のような取り付けを施してから、実際の測定に入るわけであるが、このための一連の手順について、図4のガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートにより説明する。
【0035】
図4のガイド波を用いた非破壊検査においては、最初に検査する配管5を決定し、検査対象部分からガイド波センサ10の設置位置、場所を決定する(ステップS101)。
【0036】
位置決定後、ガイド波センサ10を設置する部分の配管5表面の養生を実施する。これは配管5の状況によっては、表面汚れの清掃や、表面の凸凹を平らにすることや、保温材の撤去や、取付けスペースの確保や、高所の場合、足場組みなどの安全対策が必要である。また、ガイド波検査装置を準備し、使用できるようにセッティングする(ステップS102)。
【0037】
ステップS103では、ガイド波センサ10と配管5の表面の間に金属シート4を挟み込む。このことを、図3で説明する。図3に示す金属シート4aは、各ガイド波探触子の送受信部3の配管5表面に接触する部分の面積大に同一な形状で切り取り使用する。金属シート4aは、各ガイド波探触子1(1a〜1h)、2(2a〜2h)(図3では1a)の各ガイド波送受信部3が配管5表面に接触する部分に取付ける方法や、各ガイド波探触子1(1a〜1h)、2(2a〜2h)ごとの送受信部3に取付ける方法でガイド波センサ10と配管5の表面の間に挟み込み使用する。
【0038】
図1に示すガイド波センサ10は、配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群1と、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群2で構成されている。このガイド波探触子群1、2を、図2のように均等分に分割(ここでは、4分割とし、第1のガイド波探触子群1の場合には、8a、8b、8c、8d)し、4分割された各々のガイド波探触子群8のガイド波探触子1を、並列に接続し、信号ケーブルでガイド波検査装置に接続して使用する。
【0039】
ステップS104では、ステップS103で各ガイド波探触子1、2に取付けたガイド波センサ10を、配管5の設置予定位置にセッティングする。各ガイド波探触子1、2は、配管5の周方向に対してガイド波センサ10の治具によって垂直方向に押付け力7を加えて固定されている。図2にセッティングしたガイド波探触子1aと金属シート4aと配管5表面の断面図を示す。
【0040】
金属シート4aは、ガイド波探触子1aの配管5表面に接触する部分、即ち、ガイド波を配管5に送受信する送受信部3の材料よりも硬度が小さい材料が好ましい。これは、垂直に押付ける際、金属シート4aがガイド波探触子1aと配管5表面間で凹み、押しつぶされ、配管5表面の凸凹や偏心により、ガイド波探触子1aの配管5表面に接触する部位(送受信部3)の面積が各ガイド波探触子1、2でのバラツキを抑制するためである。
【0041】
ステップS105では、ガイド波検査装置を起動し、検査をする測定条件をガイド波検査装置に入力する。主な条件としては、測定する中心周波数、送信するガイド波のパワー、送信方式、測定する信号ゲイン、測定時間、遅延時間、などである。
【0042】
ステップS106では、分割した各ガイド波探触子群8の配管5表面の接触状態を確認するためガイド波を配管5に送受信してデータ収録を行い、全ガイド波探触子群8の信号の数値が設定基準値以内であるか判定する。以外であれば、ステップS107に進み、再度ガイド波センサ10の調整をして、再び、ステップS106でデータ収録を行って、判定する。
【0043】
ステップS108では、ステップS105で設定した測定パラメータで検査を実施する。収録データは保管する。検査した測定データに異常ないか、また、再測定の必要性がないか確認し、ステップS109にて検査の終了を判定する。
【0044】
ガイド波を用いた非破壊検査が全て完了した場合、ガイド波検査装置を撤収し、検査終了となる。他に検査部位がある場合、ステップS110によりガイド波センサを取り外し、次の測定個所に移動して、ステップS101から検査を再スタートする。
【実施例2】
【0045】
図5、図6、図7は、本発明の第2の実施の形態を示している。図5は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図6は図1のB−B断面を示す図、図7は図6の一部拡大断面図である。
【0046】
図5、図6、図7において、金属シート4cの部分を除けば、複数個のガイド波探触子群1、2から成るガイド波センサ10の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。この例では、金属シート4cは各探触子ごとに取り付けるのではなく、配管の周上に巻きつけた形で利用する。
【0047】
また、本発明の第2の実施の形態に係るガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートは、基本的には図3に示すとおりであるが、金属シート4cを取り付ける部分において相違する。具体的には、ステップS103において、その中での作業内容が相違してくる。
【0048】
この場合、ステップS103の金属シート4cのセッティングは、被検体の配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h、記載を割愛)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群1と配管5表面と接触する部位の間に金属シート4cを一重に巻きつけて挟み込んでいる。また、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群2(2a〜2h、記載を割愛)と配管表面と接触する部位の間に金属シート4bを一重に巻きつけて挟み込みこんでいる。ここでは、各探触子群ごとに、1枚ずつ金属シート4cが使用されている。
【0049】
金属シート4cの幅は、一例として、ガイド波センサの第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2の距離の半分、即ち、測定波長λの8分の1あればよい。また、ひとつの一例として、ガイド波探触子1aのガイド波送受信部3が配管5表面に接触する幅、即ち、ガイド波探触子1aのガイド波送受信部3の幅があればよい。
【実施例3】
【0050】
図8、図9、図10は、本発明の第3の実施の形態を示している。図8は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図9は図8のC−C断面を示す図、図10は図8の一部拡大断面図である。
【0051】
図8、図9、図10において、金属シート4bの部分を除けば、複数個のガイド波探触子群1、2から成るガイド波センサ10の構成は、基本的に第1、第2の実施の形態と同様である。この例では、金属シート4bは2組の探触子群に共通に取り付けられ、配管の周上に巻きつけた形で利用する。
【0052】
また、本発明の第3の実施の形態に係るガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートは、基本的には図3に示すとおりであるが、金属シート4bを取り付ける部分において相違する。具体的には、ステップS103において、その中での作業内容が相違してくる。
【0053】
この場合、ステップS103の金属シート4bのセッティングは、被検体の配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h、記載を割愛)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群と、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群(2a〜2h、記載を割愛)で構成されたガイド波センサ10と、配管5表面の間に軸方向に幅が測定波長の4分の1以上の金属シート4cを一重に巻きつけて挟み込んでいる。
【0054】
金属シート4cの幅は、ガイド波センサ10の第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2の距離以上あれば、同時に金属シート4bの1列で両者のガイド波探触子1、2の送受信部3と配管5表面の間に挟み込むことができる。
【0055】
図11は、本発明の第1、第2、第3の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果をグラフで示す。(a)(b)は金属シート4を設置しないとき、(c)(d)は第1の実施の形態、(e)(f)は第2の実施の形態、(g)(h)は、第3の実施の形態での探傷検査結果である。
【0056】
なお、配管は、直径114mm、厚さ3.9mm、材質が炭素鋼であり、矢印の位置に模擬減肉を3箇所に付与している。また、各事例での探傷検査結果を2例ずつ紹介しているが、右側列と左側列では、それぞれ模擬減肉位置が同じ場所に設定してある。
【0057】
各グラフは、横軸に配管長手方向の距離、縦軸は信号強度を示しており、次に各測定結果について簡単に説明する。
【0058】
図11の(a)と(b)は、金属シート4が無い状態で、配管5にガイド波センサ10をセッティングし、ガイド波測定をした結果の一例を示す。ガイド波センサ10のセッティングは、図3のステップS107のセンサ調整を行わない状態で測定した結果である。
【0059】
矢印位置にある模擬減肉からの信号は、シート無しの事例(a)では、模擬減肉に相当する部位P1にほかの信号が重畳し、明確な識別が困難である。同じくシート無しの事例(b)では、模擬減肉に相当する部位P1にほかの信号は見られないが、距離1m以上の範囲P2にノイズ信号が顕著である。これは、ガイド波センサ10の各ガイド波探触子1、2と配管5表面との接触状態にバラツキが生じて、単一ガイド波の送受信がうまくいっていないためである。例えば、このバラツキをなくすように調整(図3のステップS107で実施)すると、ノイズが消えた模擬減肉からの反射信号が得られる。ただし、このためには複数の探触子間の調整に多大の時間と労力を要することになる。
【0060】
図11の(c)、(d)は、本発明の第1の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した2つの結果を示す。個々の金属シート4は、5mm×15mm(軸方向×周方向)、厚さ0.05mm(50μm)、材質がステンレスである。(c)と(d)ともに3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、良いSN比の信号で検出できている。なお、金属シート4の厚さについては、30μmから100μmの範囲とするのがよい。
【0061】
図11の(e)と(f)は、本発明の第2の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果を示す。(e)は、金属シート4の幅が10mm×2列に、(f)は、金属シート4の幅が12mm×2列に設置したときの結果である。いずれも3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、良いSN比の信号で検出できている。
【0062】
図11の(g)と(h)は、本発明の第3の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果を示す。(g)は、金属シートの幅が30mm×1列に、(h)は、金属シートの幅が50mm×1列に設置したときの結果である。いずれも3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、検出できている。
【0063】
図11によれば、金属シートを設置する本発明により高いS/N比での探傷が実現できることが理解できる。
【0064】
また本発明によれば、多くの探触子を設置する必要性があるにもかかわらず、装置設置までの時間、作業を軽減することができる。このことを図12で説明する。この図は、横軸に第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2を構成する、それぞれ4つの分割ガイド波探触子群8a〜8dを示している。縦軸には、基準値1.0に対して、各探触子の受信信号レベルを補正するときの補正係数値(相対値)を示している。また、図11の金属シートなし(a)、第1(c)、第2(e)、第3の実施形態(g)のときの補正係数値をそれぞれ●、▲、□、×で示している。
【0065】
この図によれば、金属シートなし●のバラツキが大きいことがわかる。1.0から0.7程度の範囲に散逸する。これに対し、他のケースではバラツキが小さい。このことは、金属シートなしの装置設置では、分割ガイド波探触子群ごとに探傷試験を繰り返し、調整したうえでないと実運用に入れないことを意味する。本発明の場合には、バラツキが小さく、狭い範囲に入ってくることが判っているので、分割ガイド波探触子群ごとの探傷試験、調整を簡略化し、場合によっては省略することができる。
【0066】
このように、本発明では複数個のガイド波探触子から構成されたガイド波センサの送受信部と配管などの検査対象構造物の被検体の間に金属シートが配置されるようにし、外部からガイド波センサを測定検査対象構造物の被検体表面に押付けることによって、金属シートが凹んで表面の凸凹を吸収し、ガイド波センサの送受信部の接触面が確保されることで、接触状況の違いによる感度の均一化が図られ、ガイド波センサの測定性能を維持する技術と検査結果の信頼性向上とを兼ね備えたものとすることができる。
【0067】
本発明の係る効果は、ガイド波を用いた非破壊検査において、全ての探触子を、金属シートを介して配管に押し付け力をもって設置することで達成されている。この手法では、一般の探傷のように接触媒質を使用しない。また一般の探傷では、シューを介して検査対象に信号をおくる。この場合のシューは金属とされることもあるが、ここでの目的は超音波を屈析させ、あるいは検査対象の形状に合わせ、検出感度を向上させることである。本発明では、検出感度を上げることが目的ではなく、複数のガイド波探触子の感度均一化を図っている。この具体手段が、金属シートを全ての探触子に設置するということである。
【0068】
以上、説明したように、本実施のガイド波を用いた非破壊検査方法によれば、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサのガイド波送受信部と検査対象構造物の配管表面との接触状況の不均一を、金属シートを挟み込むことによって、金属シートの適度な凹みにより、各ガイド波探触子の接触面積が確保でき、ガイド波送受信信号のバラツキが抑制され、接触状態を調整する回数を減少でき、調整時間を抑制できるため、検査の時間を短縮することが出来る。
【0069】
また、検査対象物の構造物被検体表面が多少凸凹であっても、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサと検査対象物の被検体との間に挟みこむ金属シートが凸凹を吸収するため、送受信感度のバラツキを少なくすることができ、検査でのガイド波センサの測定性能の維持が可能となり、ガイド波を用いた非破壊検査結果の信頼性向上が可能となる。
【0070】
また、検査対象物の構造物被検体表面が多少凸凹であっても、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサと検査対象物の被検体との間に挟みこむ金属シートが凸凹を吸収するため、ガイド波センサの接触部が亀裂や破壊で不良になる可能性が低減でき、長時間信頼性のよいガイド波を用いた非破壊検査が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、円筒形状構造物の非破壊検査ができるので、多くの分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:第1のガイド波探触子群
1a〜1h:ガイド波探触子
2:第2のガイド波探触子群
2a〜2h:ガイド波探触子
3:ガイド波探触子の送受信部
4a〜4c:金属シート
5:検査対象物の被検体の配管
6:配管の肉厚部
7:押付け方向
8a〜8d:分割ガイド波探触子群
9:ガイド波送信方向
10:ガイド波センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクや配管のような肉厚がある円筒形状をした構造物の外面及び内面に発生する減肉や欠陥傷および変形などの部位を、ガイド波を用いてその状態を長距離区間一括して検査するのに好適なガイド波を用いた非破壊検査方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクや配管などの円筒形状構造物は、使用している環境の影響を受けながら時間の経過とともに内外面から腐食が進行する。腐食しやすい箇所では、腐食が進行していくと、内容物の漏洩や破断にいたる事故の要因となるため、定期的に非破壊検査や目視検査をすることで、未然に防止し、タンクや配管の健全性を維持、確認している。
【0003】
従来から良く用いられている非破壊検査は、超音波厚さ計が一般的であるが、幾つかの課題を抱えている。超音波厚さ計では、センサと被検体との接触面に超音波が効率よく伝播するように、液体状または粘性のある接触媒質を塗布する必要がある。また、センサと被検体との接触面の厚さを、一点一点測定する一点検査となるため、検査範囲が狭く、表面積の大きいタンク検査や大口径の配管検査には長時間を費やし、結果として検査コストが増大する。
【0004】
そこで、超音波の一種であるガイド波を利用した非破壊検査が、特許文献1で提案されている。ガイド波は、配管や板の境界面を有する物体中を伝播する超音波で、配管の周方向断面積が変化する位置で反射する特徴を利用して、配管の内外面および長距離区間を一括して検査する方法である。
【0005】
特許文献1のガイド波を用いた非破壊検査装置は、配管全周にわたって複数個の超音波探触子を配置した第1探触子群と、同じく配置された第2探触子群を、検査対象の配管の軸方向に並べて隣接配置する。この第1探触子群、第2探触子群は、直接配管表面に接触させ、押し付けながらガイド波を配管に伝播させている。
【0006】
ここで、超音波探触子群のガイド波センサから配管に伝播させるガイド波の特徴は、ノンカップリング方式で送受信ができることである。つまり、先に述べた超音波厚さ計のような一般的超音波探傷検査で使用する伝播効率を良くするための接触媒質を必要としない。
【0007】
しかし反面、課題も有する。検査で用いる単一のモードのガイド波を送信するためには、第1探触子群または第2探触子群の超音波探触子を同時に駆動させる必要がある。また接触状態が超音波探触子群のガイド波センサで全て同じである必要がある。ところが、全て同じ接触状態にさせることは通常困難である。検査精度の良い測定をするためには、ガイド波センサの接触状態を揃えることがガイド波を用いた非破壊検査の課題の一つである。
【0008】
そのため、特許文献1では、接触状態に伴って、送信する電圧に補正をかけて、行っている。また、特許文献2では、接触状態をチェックするチェック機能で受信信号に補正をかけて測定後信号処理を行っている。
【0009】
一方、特許文献3に記載された、溶接部の検査方法及び装置は、単一または二個の超音波探触子の送受信面に接触媒質と接触媒質を包むシートを有し、溶接部に存在する空隙で反射したSH反射波の信号から溶接部の健全性を判断している。接触媒質を包むシートは、ポリイミドフィルムやポリエチレンビニールシートなどの浸透しない材料や、アルミ箔のような薄い金属材料でも効果があると記載されている。
【0010】
ガイド波以外の超音波探触子を用いた構造物の検査では、構造物の形状や測定対象位置により超音波探触子と検査対象物である構造物の間にシューを介在させて行うことが知られている。ここでのシューは、検査対象物との音響結合状態(接触状態)を改善する目的のものではなく、送信及び受信する超音波をある角度に屈折させるためのものであり、検査対象物の形状に沿わせるためのものである。しかし、使用するシューは、加工しやすく取扱いが容易な樹脂性のものが多く、伝播効率を良くするためには接触媒質が必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−107885号公報
【特許文献2】特許第3668936号
【特許文献3】特開2004−212308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ガイド波を伝播させて非破壊検査する技術においては、配管の周囲に複数個のガイド波探触子を配置した第1ガイド波探触子群と第2ガイド波探触子群から構成されたガイド波センサを、検査対象の配管の軸方向に並べて配置し、配管表面に直接接触させ、配管に垂直な力で押付けて検査を行う。
【0013】
このとき、ガイド波検査で用いる単一のモードのガイド波を送信するためには、第1ガイド波探触子群または第2ガイド波探触子群のガイド波探触子を同時に駆動させる必要がある。また、接触状態がガイド波探触子群のガイド波センサで全て同じである必要がある。
【0014】
然るに、全て同じ接触状態にさせることは難しい。このガイド波センサの接触状態の不均一さが原因となってノイズ(擬似信号)が発生し、検査結果の信頼性が損なわれるという問題があり、接触状態を揃えることがガイド波を用いた非破壊検査の課題の一つである。
【0015】
この点に関し、特許文献1では、接触状態に伴って、送信する電圧に補正をかけ、また、特許文献2では、接触状態をチェックするチェック機能で受信信号に補正をかけて測定後信号処理を行っている。
【0016】
しかしながら、信号処理による補正以上に接触状態が不均一で、バランスが良くないケースも考えられる。不均一が生じる要因としては、検査対象構造物の表面状態や検査対象構造物の偏心による、センサ治具とのズレにより接触する部位が各ガイド波センサで異なることが挙げられる。そのため、各ガイド波探触子の送受信感度のバラツキが生じ、ノイズ(擬似信号)が発生し、検査結果で誤判定してしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、各ガイド波探触子の送受信感度のバラツキを改善することのできるガイド波を用いた非破壊検査方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の非破壊検査方法は、円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査する。
【0019】
また、金属シートの材質を、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とする。
【0020】
また、金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられる。
【0021】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列する。
【0022】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列する。
【0023】
また、円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列するとともに、金属シートはガイド波探触子群ごとに設けられる。
【0024】
また、金属シートの厚さを、30μmから100μmとする。
【0025】
上記目的を達成するために、本発明の非破壊検査装置は、円筒形状構造物と、円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群と、超音波探触子の送受信面と円筒形状構造物の表面との間に挟みこまれた金属シートと、超音波探触子を構造物表面に押付けるための加圧手段とを備えてガイド波を送受信し検査する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサを検査対象構造物の被検体表面に設置後の送受信感度のバラツキ調整を割愛または短時間で行うことができ、ガイド波を用いた非破壊波検査時間を短縮できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図2】図1のA−A断面を示す図。
【図3】図2の一部拡大断面図。
【図4】ガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャート。
【図5】第2の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図6】図5のA−A断面を示す図。
【図7】図6の一部拡大断面図。
【図8】第3の実施形態による配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図。
【図9】図8のA−A断面を示す図。
【図10】図9の一部拡大断面図。
【図11】金属シートなしと、本発明の実施形態で測定した結果を示す図。
【図12】本発明によりバラツキが小さくなることを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態におけるガイド波を用いた非破壊検査方法および装置について、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1、図2、図3は、本発明の第1の実施の形態を示している。図1は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図2は図1のA−A断面を示す図、図3は図2の一部拡大断面図である。
【0030】
図1において、5はタンクや配管などの円筒形状構造物であり、ここでは配管とする。配管には、2組のガイド波探触子群1、2が互いに所定距離λ/4離れた位置に設置される。各ガイド波探触子群1、2は、それぞれ複数のガイド波探触子1a〜1h、2a〜2hから構成され、各群の複数のガイド波探触子は、それぞれ配管5の周方向に配置される。また、複数のガイド波探触子は、金属シート4aを介して、配管5に接している。これら2組のガイド波探触子群1、2により、ガイド波センサ10が構成され、配管5の長手方向をガイド波送信方向9として、ガイド波が送信される。
【0031】
ガイド波は、配管や板の境界面を有する物体中を伝播し、配管の周方向断面積が変化する位置で反射する。このため、配管の肉厚部6の厚さが相違する箇所があると、ここで反射する。例えば、配管の溶接部分は肉厚部6の厚さが相違する箇所であり、反射波が生じるが、この位置は予め特定できるので、それ以外の腐食による肉厚変化部からの反射を把握することが可能である。
【0032】
図2は、図1の第1のガイド波探触子群1の周方向位置でのA−A断面を示しており、各ガイド波探触子1a〜1hの送受信部3は、金属シート4aを介して配管5に接している。また、各ガイド波探触子1a〜1hには、外部から押付け力7が与えられている。なお、各ガイド波探触子1a〜1hに対して、外部から押付け力7を与えるために図示せぬ加圧手段が備えられている。
【0033】
図3は、ひとつのガイド波探触子1aのみを拡大表示したものであり、送受信部3が、金属シート4aを介して配管5に接していることが見て取れる。
【0034】
本発明のガイド波を用いた非破壊検査においては、配管に対して上記のような取り付けを施してから、実際の測定に入るわけであるが、このための一連の手順について、図4のガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートにより説明する。
【0035】
図4のガイド波を用いた非破壊検査においては、最初に検査する配管5を決定し、検査対象部分からガイド波センサ10の設置位置、場所を決定する(ステップS101)。
【0036】
位置決定後、ガイド波センサ10を設置する部分の配管5表面の養生を実施する。これは配管5の状況によっては、表面汚れの清掃や、表面の凸凹を平らにすることや、保温材の撤去や、取付けスペースの確保や、高所の場合、足場組みなどの安全対策が必要である。また、ガイド波検査装置を準備し、使用できるようにセッティングする(ステップS102)。
【0037】
ステップS103では、ガイド波センサ10と配管5の表面の間に金属シート4を挟み込む。このことを、図3で説明する。図3に示す金属シート4aは、各ガイド波探触子の送受信部3の配管5表面に接触する部分の面積大に同一な形状で切り取り使用する。金属シート4aは、各ガイド波探触子1(1a〜1h)、2(2a〜2h)(図3では1a)の各ガイド波送受信部3が配管5表面に接触する部分に取付ける方法や、各ガイド波探触子1(1a〜1h)、2(2a〜2h)ごとの送受信部3に取付ける方法でガイド波センサ10と配管5の表面の間に挟み込み使用する。
【0038】
図1に示すガイド波センサ10は、配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群1と、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群2で構成されている。このガイド波探触子群1、2を、図2のように均等分に分割(ここでは、4分割とし、第1のガイド波探触子群1の場合には、8a、8b、8c、8d)し、4分割された各々のガイド波探触子群8のガイド波探触子1を、並列に接続し、信号ケーブルでガイド波検査装置に接続して使用する。
【0039】
ステップS104では、ステップS103で各ガイド波探触子1、2に取付けたガイド波センサ10を、配管5の設置予定位置にセッティングする。各ガイド波探触子1、2は、配管5の周方向に対してガイド波センサ10の治具によって垂直方向に押付け力7を加えて固定されている。図2にセッティングしたガイド波探触子1aと金属シート4aと配管5表面の断面図を示す。
【0040】
金属シート4aは、ガイド波探触子1aの配管5表面に接触する部分、即ち、ガイド波を配管5に送受信する送受信部3の材料よりも硬度が小さい材料が好ましい。これは、垂直に押付ける際、金属シート4aがガイド波探触子1aと配管5表面間で凹み、押しつぶされ、配管5表面の凸凹や偏心により、ガイド波探触子1aの配管5表面に接触する部位(送受信部3)の面積が各ガイド波探触子1、2でのバラツキを抑制するためである。
【0041】
ステップS105では、ガイド波検査装置を起動し、検査をする測定条件をガイド波検査装置に入力する。主な条件としては、測定する中心周波数、送信するガイド波のパワー、送信方式、測定する信号ゲイン、測定時間、遅延時間、などである。
【0042】
ステップS106では、分割した各ガイド波探触子群8の配管5表面の接触状態を確認するためガイド波を配管5に送受信してデータ収録を行い、全ガイド波探触子群8の信号の数値が設定基準値以内であるか判定する。以外であれば、ステップS107に進み、再度ガイド波センサ10の調整をして、再び、ステップS106でデータ収録を行って、判定する。
【0043】
ステップS108では、ステップS105で設定した測定パラメータで検査を実施する。収録データは保管する。検査した測定データに異常ないか、また、再測定の必要性がないか確認し、ステップS109にて検査の終了を判定する。
【0044】
ガイド波を用いた非破壊検査が全て完了した場合、ガイド波検査装置を撤収し、検査終了となる。他に検査部位がある場合、ステップS110によりガイド波センサを取り外し、次の測定個所に移動して、ステップS101から検査を再スタートする。
【実施例2】
【0045】
図5、図6、図7は、本発明の第2の実施の形態を示している。図5は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図6は図1のB−B断面を示す図、図7は図6の一部拡大断面図である。
【0046】
図5、図6、図7において、金属シート4cの部分を除けば、複数個のガイド波探触子群1、2から成るガイド波センサ10の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。この例では、金属シート4cは各探触子ごとに取り付けるのではなく、配管の周上に巻きつけた形で利用する。
【0047】
また、本発明の第2の実施の形態に係るガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートは、基本的には図3に示すとおりであるが、金属シート4cを取り付ける部分において相違する。具体的には、ステップS103において、その中での作業内容が相違してくる。
【0048】
この場合、ステップS103の金属シート4cのセッティングは、被検体の配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h、記載を割愛)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群1と配管5表面と接触する部位の間に金属シート4cを一重に巻きつけて挟み込んでいる。また、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群2(2a〜2h、記載を割愛)と配管表面と接触する部位の間に金属シート4bを一重に巻きつけて挟み込みこんでいる。ここでは、各探触子群ごとに、1枚ずつ金属シート4cが使用されている。
【0049】
金属シート4cの幅は、一例として、ガイド波センサの第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2の距離の半分、即ち、測定波長λの8分の1あればよい。また、ひとつの一例として、ガイド波探触子1aのガイド波送受信部3が配管5表面に接触する幅、即ち、ガイド波探触子1aのガイド波送受信部3の幅があればよい。
【実施例3】
【0050】
図8、図9、図10は、本発明の第3の実施の形態を示している。図8は、配管にガイド波探触子群を取り付けた斜視図、図9は図8のC−C断面を示す図、図10は図8の一部拡大断面図である。
【0051】
図8、図9、図10において、金属シート4bの部分を除けば、複数個のガイド波探触子群1、2から成るガイド波センサ10の構成は、基本的に第1、第2の実施の形態と同様である。この例では、金属シート4bは2組の探触子群に共通に取り付けられ、配管の周上に巻きつけた形で利用する。
【0052】
また、本発明の第3の実施の形態に係るガイド波を用いた非破壊検査方法のフローチャートは、基本的には図3に示すとおりであるが、金属シート4bを取り付ける部分において相違する。具体的には、ステップS103において、その中での作業内容が相違してくる。
【0053】
この場合、ステップS103の金属シート4bのセッティングは、被検体の配管5の円周方向に複数個のガイド波探触子1(1a〜1h、記載を割愛)を等間隔に全周に配列した第1のガイド波探触子群と、軸方向に測定周波数の波長以下の間隔(ここでは波長λの4分の1距離)で平行に配列した第2のガイド波探触子群(2a〜2h、記載を割愛)で構成されたガイド波センサ10と、配管5表面の間に軸方向に幅が測定波長の4分の1以上の金属シート4cを一重に巻きつけて挟み込んでいる。
【0054】
金属シート4cの幅は、ガイド波センサ10の第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2の距離以上あれば、同時に金属シート4bの1列で両者のガイド波探触子1、2の送受信部3と配管5表面の間に挟み込むことができる。
【0055】
図11は、本発明の第1、第2、第3の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果をグラフで示す。(a)(b)は金属シート4を設置しないとき、(c)(d)は第1の実施の形態、(e)(f)は第2の実施の形態、(g)(h)は、第3の実施の形態での探傷検査結果である。
【0056】
なお、配管は、直径114mm、厚さ3.9mm、材質が炭素鋼であり、矢印の位置に模擬減肉を3箇所に付与している。また、各事例での探傷検査結果を2例ずつ紹介しているが、右側列と左側列では、それぞれ模擬減肉位置が同じ場所に設定してある。
【0057】
各グラフは、横軸に配管長手方向の距離、縦軸は信号強度を示しており、次に各測定結果について簡単に説明する。
【0058】
図11の(a)と(b)は、金属シート4が無い状態で、配管5にガイド波センサ10をセッティングし、ガイド波測定をした結果の一例を示す。ガイド波センサ10のセッティングは、図3のステップS107のセンサ調整を行わない状態で測定した結果である。
【0059】
矢印位置にある模擬減肉からの信号は、シート無しの事例(a)では、模擬減肉に相当する部位P1にほかの信号が重畳し、明確な識別が困難である。同じくシート無しの事例(b)では、模擬減肉に相当する部位P1にほかの信号は見られないが、距離1m以上の範囲P2にノイズ信号が顕著である。これは、ガイド波センサ10の各ガイド波探触子1、2と配管5表面との接触状態にバラツキが生じて、単一ガイド波の送受信がうまくいっていないためである。例えば、このバラツキをなくすように調整(図3のステップS107で実施)すると、ノイズが消えた模擬減肉からの反射信号が得られる。ただし、このためには複数の探触子間の調整に多大の時間と労力を要することになる。
【0060】
図11の(c)、(d)は、本発明の第1の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した2つの結果を示す。個々の金属シート4は、5mm×15mm(軸方向×周方向)、厚さ0.05mm(50μm)、材質がステンレスである。(c)と(d)ともに3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、良いSN比の信号で検出できている。なお、金属シート4の厚さについては、30μmから100μmの範囲とするのがよい。
【0061】
図11の(e)と(f)は、本発明の第2の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果を示す。(e)は、金属シート4の幅が10mm×2列に、(f)は、金属シート4の幅が12mm×2列に設置したときの結果である。いずれも3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、良いSN比の信号で検出できている。
【0062】
図11の(g)と(h)は、本発明の第3の実施の形態によるガイド波を用いた非破壊検査方法で測定した結果を示す。(g)は、金属シートの幅が30mm×1列に、(h)は、金属シートの幅が50mm×1列に設置したときの結果である。いずれも3箇所に付与した模擬減肉からの信号は、検出できている。
【0063】
図11によれば、金属シートを設置する本発明により高いS/N比での探傷が実現できることが理解できる。
【0064】
また本発明によれば、多くの探触子を設置する必要性があるにもかかわらず、装置設置までの時間、作業を軽減することができる。このことを図12で説明する。この図は、横軸に第1のガイド波探触子群1と第2のガイド波探触子群2を構成する、それぞれ4つの分割ガイド波探触子群8a〜8dを示している。縦軸には、基準値1.0に対して、各探触子の受信信号レベルを補正するときの補正係数値(相対値)を示している。また、図11の金属シートなし(a)、第1(c)、第2(e)、第3の実施形態(g)のときの補正係数値をそれぞれ●、▲、□、×で示している。
【0065】
この図によれば、金属シートなし●のバラツキが大きいことがわかる。1.0から0.7程度の範囲に散逸する。これに対し、他のケースではバラツキが小さい。このことは、金属シートなしの装置設置では、分割ガイド波探触子群ごとに探傷試験を繰り返し、調整したうえでないと実運用に入れないことを意味する。本発明の場合には、バラツキが小さく、狭い範囲に入ってくることが判っているので、分割ガイド波探触子群ごとの探傷試験、調整を簡略化し、場合によっては省略することができる。
【0066】
このように、本発明では複数個のガイド波探触子から構成されたガイド波センサの送受信部と配管などの検査対象構造物の被検体の間に金属シートが配置されるようにし、外部からガイド波センサを測定検査対象構造物の被検体表面に押付けることによって、金属シートが凹んで表面の凸凹を吸収し、ガイド波センサの送受信部の接触面が確保されることで、接触状況の違いによる感度の均一化が図られ、ガイド波センサの測定性能を維持する技術と検査結果の信頼性向上とを兼ね備えたものとすることができる。
【0067】
本発明の係る効果は、ガイド波を用いた非破壊検査において、全ての探触子を、金属シートを介して配管に押し付け力をもって設置することで達成されている。この手法では、一般の探傷のように接触媒質を使用しない。また一般の探傷では、シューを介して検査対象に信号をおくる。この場合のシューは金属とされることもあるが、ここでの目的は超音波を屈析させ、あるいは検査対象の形状に合わせ、検出感度を向上させることである。本発明では、検出感度を上げることが目的ではなく、複数のガイド波探触子の感度均一化を図っている。この具体手段が、金属シートを全ての探触子に設置するということである。
【0068】
以上、説明したように、本実施のガイド波を用いた非破壊検査方法によれば、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサのガイド波送受信部と検査対象構造物の配管表面との接触状況の不均一を、金属シートを挟み込むことによって、金属シートの適度な凹みにより、各ガイド波探触子の接触面積が確保でき、ガイド波送受信信号のバラツキが抑制され、接触状態を調整する回数を減少でき、調整時間を抑制できるため、検査の時間を短縮することが出来る。
【0069】
また、検査対象物の構造物被検体表面が多少凸凹であっても、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサと検査対象物の被検体との間に挟みこむ金属シートが凸凹を吸収するため、送受信感度のバラツキを少なくすることができ、検査でのガイド波センサの測定性能の維持が可能となり、ガイド波を用いた非破壊検査結果の信頼性向上が可能となる。
【0070】
また、検査対象物の構造物被検体表面が多少凸凹であっても、複数個のガイド波探触子で構成されたガイド波センサと検査対象物の被検体との間に挟みこむ金属シートが凸凹を吸収するため、ガイド波センサの接触部が亀裂や破壊で不良になる可能性が低減でき、長時間信頼性のよいガイド波を用いた非破壊検査が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、円筒形状構造物の非破壊検査ができるので、多くの分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:第1のガイド波探触子群
1a〜1h:ガイド波探触子
2:第2のガイド波探触子群
2a〜2h:ガイド波探触子
3:ガイド波探触子の送受信部
4a〜4c:金属シート
5:検査対象物の被検体の配管
6:配管の肉厚部
7:押付け方向
8a〜8d:分割ガイド波探触子群
9:ガイド波送信方向
10:ガイド波センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、該第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し前記円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、
前記超音波探触子の送受信面と前記円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、前記超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
金属シートの材質を、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項6】
請求項4に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列するとともに、金属シートはガイド波探触子群ごとに設けられることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のガイド波を用いたガイド波検査装置において、
金属シートの厚さを、30μmから100μmとすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項8】
円筒形状構造物と、該円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、該第1ガイド波探触子群の前記円筒形状構造物の長手方向に隣接し前記円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群と、前記超音波探触子の送受信面と前記円筒形状構造物の表面との間に挟みこまれた金属シートと、前記超音波探触子を構造物表面に押付けるための加圧手段とを備えてガイド波を送受信し検査することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートの材質は、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項10】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられる個別シートであることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートは、前記円筒形状構造物の周方向に巻きつけられた1枚の金属シートであり、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートは、前記円筒形状構造物の周方向に巻きつけられた2枚の金属シートであり、各金属シートの上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子をそれぞれ配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項1】
円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、該第1ガイド波探触子群の円筒形状構造物の長手方向に隣接し前記円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群を備え、
前記超音波探触子の送受信面と前記円筒形状構造物の表面との間に金属シートを挟み、前記超音波探触子を構造物表面に押付けてガイド波を送受信し検査することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
金属シートの材質を、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項6】
請求項4に記載のガイド波を用いた非破壊検査方法において、
前記円筒形状構造物の周方向に金属シートを巻き付け、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列するとともに、金属シートはガイド波探触子群ごとに設けられることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のガイド波を用いたガイド波検査装置において、
金属シートの厚さを、30μmから100μmとすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査方法。
【請求項8】
円筒形状構造物と、該円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第1ガイド波探触子群と、該第1ガイド波探触子群の前記円筒形状構造物の長手方向に隣接し前記円筒形状構造物の周方向に複数個の超音波探触子を配列してガイド波を発生する第2ガイド波探触子群と、前記超音波探触子の送受信面と前記円筒形状構造物の表面との間に挟みこまれた金属シートと、前記超音波探触子を構造物表面に押付けるための加圧手段とを備えてガイド波を送受信し検査することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートの材質は、当該超音波探触子の送受信部の材料硬度よりも硬度が小さい金属材料とすることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項10】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
金属シートは、複数個の超音波探触子ごとに個別に設けられる個別シートであることを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートは、前記円筒形状構造物の周方向に巻きつけられた1枚の金属シートであり、その上にガイド波探触子群の複数個の超音波探触子を配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載のガイド波を用いた非破壊検査装置において、
前記金属シートは、前記円筒形状構造物の周方向に巻きつけられた2枚の金属シートであり、各金属シートの上に第1と第2のガイド波探触子群の複数個の超音波探触子をそれぞれ配列することを特徴とするガイド波を用いた非破壊検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−127832(P2012−127832A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280163(P2010−280163)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]