説明

ガスケットおよびタンク用キャップならびにタンク用開閉装置

【課題】ガスケットGSは、注入口FNaのシール面FNfが粗面であっても高いシール性を得ることができること。
【解決手段】ガスケットGSは、燃料キャップ10のシール保持部24とシール面FNfとの間に介在している。ガスケットGSは、シール面FNfに押圧される第1リップGScと、シール保持部24に押圧される第2リップGSdと、第1リップGScと第2リップGSdとを連結する連結部GSeとを有し、断面C字形に形成されている。第2リップGSdの内面には、アシストリブGSfが突設されている。アシストリブGSfは、第1リップGScの先端をシール面FNfに向けて押圧するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク開口とキャップとの間に介在するガスケットおよびこのガスケットを用いたタンク用キャップならびにタンク用開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタンク用キャップとして、断面C字形のガスケットを装着した閉止体を、フィラーパイプの内壁に設けられたネジに螺合することによりタンク開口を開閉する自動車用の燃料キャップが知られている(特許文献1)。こうした燃料キャップでは、操作性を良好にするために、シール面圧を所定以上確保した上で締め付けトルクを低減することが検討されている。このための技術として、ガスケットとタンク開口のシール面との接触面積を低減することが検討されている(特許文献2)。
【0003】
しかし、接触面積の低減は、以下の不具合を生じる。すなわち、近年、フィラーパイプを鉄からステンレスへの材料を変更することで耐食性を向上させることが検討されている。ステンレス製のフィラーパイプは、プレス成形により開口周縁部を形成すると、材料の加工性の点からシール面FNfが粗面になりやすい。このような粗いシール面でガスケットとの接触面積を低減するとシール性の低下を招くという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭53−20054号公報
【特許文献2】特開2005−153661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、タンク開口の開口周縁部のシール面が粗面であっても、高いシール性を得ることができるガスケットおよびこれを用いたタンク用キャップならびにタンク用開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、
タンク開口形成部材に設けたタンク開口と該タンク開口を開閉する開閉部材との間に介在し、シール面により押圧されることで上記タンク開口と上記開閉部材との間をシールする環状のガスケットにおいて、
上記シール面に押圧される第1リップと、上記シール保持部に押圧される第2リップと、上記第1リップと上記第2リップとを連結する連結部とを有し、上記第1リップ、上記第2リップおよび上記連結部により形成されたガスケット本体と、
上記第1リップまたは上記第2リップの対向する少なくとも一方の部位から上記他方の第2リップまたは上記第1リップに向けて突設されたアシストリブと、
を備え、
上記アシストリブは、上記ガスケット本体が圧縮されたときに上記第1リップの先端を上記シール面に向けて押圧するように形成されたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るタンク用キャップの開閉動作において、ガスケットの撓み代の小さい締め込み初期において、第1リップがシール面に当たり、さらに締め込むと第1リップと第2リップとの間隔を狭めつつガスケットが撓み方向に圧縮される。そして、アシストリブが第1リップの先端を押して、シール面に接触する面積を拡張するように第1リップを弾性変形させる。そして、第1リップがシール面に強く押圧された状態にて、タンク用キャップがタンク開口を閉じる。すなわち、ガスケットが撓むにつれて、第1リップはシール面との接触面積を増大するから、シール面が粗面であっても高いシール性を得ることができる。しかも、アシストリブだけを突出させ、第1リップおよび第2リップの肉厚を大きくしていないからガスケットを撓ませる力が増大することもない。
【0008】
また、本発明の好適な態様として、上記アシストリブは、上記シール面とほぼ平行に形成され、上記対向する上記第1リップまたは上記第2リップに押圧される押圧面を有する構成をとることができる。この構成により、押圧面は、第1リップをシール面に対して平行に弾性変形させるから、第1リップを弾性変形させる力がアシストリブから直角方向から大きな力で加わり、ガスケットを撓ませる力が増大することなく、シール面積を一層増大させることができる。
【0009】
さらに、本発明の好適な態様として、上記連結部と上記シール保持部との間には、上記ガスケット本体の径方向への変形を許容するギャップを設ける構成をとることができる。この構成により、ガスケットが撓み方向への力を受けると、小さな力でギャップを埋めるように弾性変形することができる。
【0010】
本発明にかかる好適なガスケットの態様として、上記アシストリブを上記ガスケット本体と一体に形成するほか、ゴム材料が異なる別の部材から形成してもよい。
【0011】
また、本発明の好適な態様として、上述したガスケットを用いたタンク用キャップにおいて、上記閉止部材は、上記タンク開口形成部材に着脱可能なキャップ本体を有し、該キャップ本体は、上記タンク開口形成部材の上記シール面に対して押圧するように上記ガスケットを保持する上記シール保持部を有するタンク用キャップに適用することができる。
【0012】
さらに、本発明の好適な態様として、タンク開口形成部材に着脱可能なキャップのほかに、タンク開口形成部材に着脱不能な閉止部材を備えたタンク用開閉装置に適用することができる。
すなわち、タンク用開閉装置は、上記タンク開口形成部材は、上記タンク開口の開口周縁部に設けられ、上記ガスケットを保持するシール保持部を有し、上記閉止部材は、上記タンク開口を開閉可能であって上記タンク開口形成部材に着脱不能に支持された弁体と、該弁体に設けられ上記ガスケットを押圧するシール部とを有する弁開閉機構である構成を備えることができる。また、タンク用開閉装置は、上記タンク開口形成部材は、上記タンク開口の開口周縁部に上記シール面を有し、上記開閉部材は、上記タンク開口を開閉可能であって上記タンク開口形成部材に着脱不能に支持された弁体と、該弁体に設けられ上記ガスケットを保持するシール保持部とを有する弁開閉機構である構成を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0014】
A.第1実施例
(1) 燃料キャップ10の概略構成および動作
図1は本発明の一実施例に係る燃料キャップ10(閉止部材)を備えたキャップ装置を示す半断面図である。図1において、燃料キャップ10は、図示しない燃料タンクに燃料を補給するための注入口FNa(タンク開口)を有するフィラーネックFNに装着されており、ポリアセタール等の合成樹脂材料から形成されたケーシング本体20(キャップ本体)と、ケーシング本体20の上部に装着されナイロン等の合成樹脂材料から形成された蓋体40と、蓋体40からの閉じ方向への回転トルクを所定範囲内で伝達するラッチェット機構などからなるトルク機構50と、ケーシング本体20の上部外周に装着されてケーシング本体20とフィラーネックFN(タンク開口形成部材)との間をシールする環状のガスケットGSとを備えている。フィラーネックFNは、ステンレス製であり、パイプをプレス成形によりラッパ状に塑性加工されている。
【0015】
次に、本実施例にかかる燃料キャップ10の各部の構成について説明する。ケーシング本体20は、ほぼ円筒状の外管体21と、外管体21の内側に一体に設けられた弁室形成体22とを備えている。弁室形成体22は、弁室22aを形成して該弁室22a内に調圧弁23を収納している。
【0016】
ケーシング本体20の上部のフランジ21aの下面には、ガスケットGSが外装されている。ガスケットGSは、フランジ21aのシール保持部24とフィラーネックFNの注入口FNaとの間に介在して、燃料キャップ10を注入口FNaに締め込むと、フィラーネックFNの開口周縁部のシール面FNfに対して押しつけられてシール作用を果たす。シール保持部24は、ガスケットGSを保持するように断面で湾曲した曲面に形成されている。
【0017】
外管体21の外周下部には、ケーシング側係合部21bが形成されている。一方、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部FNbが形成されている。燃料キャップ10をフィラーネックFNの注入口FNaに挿入した状態にて、蓋体40に閉じ方向への回転トルクを加えれば、トルク機構50を通じてケーシング本体20が回転して、ケーシング側係合部21bが開口側係合部FNbに係合することにより、燃料キャップ10がフィラーネックFNに装着される。ここで、燃料キャップ10を締め込むと、1回転である360゜で全閉される角度に設定されており、つまりガスケットGSの第1リップGScがシール面FNfに接触するまでの角度が124゜で、さらに回転してガスケットGSが撓みつつ全閉するまでの角度が236゜で設定されている。
【0018】
蓋体40は、ハンドル41aを突設した上壁41と、上壁41の外周部に形成された側壁43とを備え、カップ形状に一体成形され、ケーシング本体20の上部に蓋体係合機構45を介して回転可能に取り付けられている。蓋体係合機構45は、側壁43の内壁から突設された蓋側係合突部46と、トルク機構50のトルクプレート51に形成された係合爪48と、トルクプレート51の係合爪48に係合する本体側係合部49とを備えている。蓋側係合突部46は、蓋体40の周方向に等間隔で8カ所形成されている。この蓋体係合機構45の構成により、ケーシング本体20の本体側係合部49とトルクプレート51の係合爪48とを介してトルクプレート51をケーシング本体20に装着し、蓋体40をケーシング本体20の上方から押し入れると、トルクプレート51の外周部を蓋側係合突部46が乗り越える。これにより、蓋体40がケーシング本体20に回転可能に装着される。
【0019】
上記燃料キャップ10の構成において、ハンドル41aを持ち、注入口FNaにケーシング本体20の下方から挿入し、その状態にて閉じ方向(時計方向)に回転すると、蓋体40からトルク機構50を通じてケーシング本体20が回転して、ケーシング側係合部21bが開口側係合部FNbに係合することにより、燃料キャップ10がフィラーネックFNに装着される。このとき、ガスケットGSが注入口FNaの周囲に設けられたシール面FNfに押圧されて圧縮されることにより、燃料タンク内が外部に対してシールされる。
【0020】
(2)ガスケットGSおよびシール保持部24
(2)−1 ガスケットGSの構成
図2は燃料キャップのシール保持部24に装着されたガスケットGSの付近を拡大して示す断面図である。ガスケットGSは、フッ素ゴムから形成され、ほぼ断面C字形であり、撓み方向の長さを短くするように圧縮されるガスケット本体GSaを備えている。ガスケット本体GSaは、外周側に開口されたほぼ断面U字形のスリットGSbを取り囲むように断面C字形に形成されており、つまりフィラーネックFNのシール面FNfに押圧される第1リップGScと、シール保持部24の上部に押圧される第2リップGSdと、第1リップGScと第2リップGSdとを連結する連結部GSeとを有し、第1リップGSc、第2リップGSdおよび連結部GSeにより断面C字形に構成されている。
【0021】
ガスケット本体GSaの内周部であり、かつ第2リップGSdの内側部位にアシストリブGSfが突設されている。アシストリブGSfは、第1リップGScがシール面FNfにより押されてガスケットGSが圧縮されたときに、第1リップGScの内面に当たる押圧面GSgを備えている。このアシストリブGSfには、周方向に4箇所、空気抜きのための通気溝GShが形成されている。また、ガスケット本体GSaの内周部であり、かつ第2リップGSdと連結部GSeとの間に回り止め部GSiが突出形成されている。
【0022】
(2)−2 シール保持部24の構成
上記シール保持部24は、ガスケットGSの外周面を支持する環状凹所であり、第2リップGSdを支持する第1シール壁面24aと、ストッパ部として作用するストッパ段部24bと、第2シール壁面24cと、シール下面24dとを備えている。上記ストッパ段部24bは、ガスケットGSの回り止め部GSiを位置決めすることにより第1リップGScがシール面FNfにより押圧されたときの回り止めとして作用する。また、第2シール壁面24cは、ガスケットGSの連結部GSeとの間にギャップGpを有するように形成されており、第1リップGScがシール面FNfから圧縮力を受けたときにガスケットGSが弾性変形してギャップGpを狭めるように形成されている。
【0023】
(2)−3 ガスケットGSによるシール作用
図3は燃料キャップ10を閉じるときのガスケットGSの圧縮される過程を説明する説明図である。燃料キャップ10の締め込み初期において、ガスケットGSの第1リップGScがシール面FNfに当たり(図3(A))、さらに締め込むとスリットGSbの開口を狭めつつ撓み方向に圧縮される(図3(B))。このとき、ガスケットGSは、回り止め部GSiがストッパ段部24bに位置決めされて回り止めされているから、第1リップGScが押されるにつれて、連結部GSeが第2シール壁面24cに対するギャップGpを狭めるように変形する。
図3(C)に示すように、アシストリブGSfの押圧面GSgが対向する第1リップGScの先端内面に当たると、アシストリブGSfは、シール面FNfに接触する第1リップGScの面積を拡張するように第1リップGScを弾性変形させる。そして、第1リップGScがシール面FNfに当たってシール面FNfに強く押圧された状態にて、つまりシール幅SAが広くなった状態にて、燃料キャップ10が注入口FNaを閉じる。
【0024】
したがって、上記実施例によれば、ガスケットGSが撓むにつれて、第1リップGScはシール面FNfとの接触面積を増大するから、シール面FNfが粗面であっても高いシール性を得ることができる。しかも、アシストリブGSfだけを突出させ、第1リップGScおよび第2リップGSdの肉厚を大きくしていないからガスケットGSを撓ませる力が増大することもない。
【0025】
燃料キャップを締め込むと、ガスケットが撓み代を増大しつつ撓むことにより、その反力が増大する。ここで、撓み代は、ガスケットが撓み方向に圧縮されて縮む長さ(圧縮量)をいう。また、撓み代と燃料キャップの回転角度との関係は、ガスケットの硬さや形状などのパラメータにもよってバラツキを生じるが、燃料キャップの360゜の回転によりガスケットGSの第1リップGScはシール面FNfに接触してから全閉するまでの角度が236゜と設定する場合には、4.0mmの撓み代を生じる。こうした燃料キャップの閉じ動作において、全閉状態における4.0mmの撓み代では、0.74Nであり、操作性に優れている。
【0026】
図4はガスケットの撓み代とシール幅との関係を示すグラフである。ここで、シール幅SAとは、上述したように、図3(C)に示す第1リップGScがシール面FNfに接触している幅をいう。図4において、実線が実施例のガスケットを、破線が従来の技術(特許文献2)に係るリップを有するガスケットをそれぞれ示す。図4に示すように、実施例によれば、2.0mmを越えると、アシストリブGSfの押圧面GSgが第1リップGScをシール面FNf側へ押して、シール幅SAが急激に増大していることが分かり、撓み代が4.0mmである全閉状態の場合に40%のシール幅の向上が得られる。
【0027】
本実施例では、従来の技術(特許文献2)のガスケットと同様のシール面圧を確保するとともに、アシストリブGSfによるシール面積の増大の効果を得るために、締め込みが完了する撓み代を3.0mm以上、好ましくは3.5〜4.5mmとすることが好ましい。
【0028】
(3) ガスケットGSの効果
上記実施例により、以下の作用・効果を奏することができる。
(3)−1 アシストリブGSfの押圧面GSgが対向する第1リップGScの先端内面に当たると、アシストリブGSfは、第1リップGScがシール面FNfに接触する面積を拡張するように第1リップGScを弾性変形させる。そして、第1リップGScがシール面FNfに当たってシール面FNfに強く押圧された状態にて、燃料キャップ10が注入口FNaを閉じる。すなわち、ガスケットGSが撓むにつれて、第1リップGScはシール面FNfとの接触面積を増大する。したがって、プレス成形することにより形成したステンレス製のフィラーネックFNにおいて、シール面FNfに1mmを越える溝や筋がある粗面であっても、溝などを覆うようにガスケットGSの第1リップGScが密着するので、高いシール性を得ることができる。
しかも、アシストリブGSfの押圧面GSgは、上記シール面FNfとほぼ平行に形成されているから、第1リップGScをシール面FNfに対して平行に弾性変形させ、シール面積を一層増大させることができる。
【0029】
(3)−2 ガスケットGSは、アシストリブGSfだけを突出させ、第1リップGScおよび第2リップGSdの肉厚を大きくしていないからガスケットを撓ませる力が増大することもない。
【0030】
(3)−3 ガスケットGSは、ストッパ21dでストッパ段部24bに位置決めされて回り止めされるとともに、ギャップGpが設けられているから、第1リップGScがシール面FNfにより押されるにつれて、連結部GSeが第2シール壁面24cと連結部GSeとの間のギャップGpを狭めるように容易に変形するから、小さな締め込み力によっても大きなシール面圧が得られ、しかも優れた操作性を得ることができる。
【0031】
B.第2実施例
図5は第2実施例にかかるガスケットGS−Bを示す断面図である。本実施例に係るガスケットGS−Bは、ガスケット本体GSa−BとアシストリブGSf−Bとを別体にした構成に特徴を有する。すなわち、樹脂材料から形成されたアシストリブGSf−Bの表面に接着剤を塗布し、これを金型にセットした後に、ゴム材料を注入することによりガスケット本体GSa−Bを形成すると同時にアシストリブGSf−Bに加硫接着により一体化している。このアシストリブGSf−Bは、ゴムよりも機械的強度が高く、第1リップGSc−Bを撓ませる力が大きく、シール幅を大きくすることが容易になる。
【0032】
C.第3実施例
図6はさらに第3実施例に係るガスケットGS−Cを示す断面図である。本実施例に係るガスケットGS−Cは、第1リップGSc−Cの内側からアシストリブGSf−Cを突設した構成に特徴を有する。このように、アシストリブGSf−Cの位置は、第1リップGSc−Cに対向する部位であって、第2リップGSd−Cで押圧されることにより、第1リップGSc−Cによるシール幅が拡張される箇所であればよい。
【0033】
D.第4実施例
図7は第4実施例にかかるガスケットをタンク用開閉装置に適用した構成を示す断面図である。本実施例は、タンク開口のタンク開口形成部材に着脱不能に支持された閉止部材を備え、その間にガスケットを介在させたタンク用開閉装置に適用した構成に特徴を有する。タンク用開閉装置100は、タンク開口形成部材111に、調圧機能を有する弁開閉機構120(閉止部材)を待避機構130で回動可能に支持した構成を備えている。すなわち、タンク開口形成部材111は、上壁111aと、上壁111aの外周部に筒状に形成された側壁111bとからなるパイプ形状であり、上壁111aに注入口112P(タンク開口)が形成されている。注入口112Pの開口周縁部には、図8に示すように、シール保持部111cが形成され、ガスケットGS−2が保持されている。ガスケットGS−2には、ガスケット本体GSa−2にアシストリブGSf−2が形成されている。
【0034】
図7において、弁開閉機構120は、弁体122と、弁支持移動体124と、スプリング126と、弁規制体128とを備えている。弁体122は、給油ガンに押されるための押圧部122aと、押圧部122aの外周に形成されたシール面122bと、シール面122bの外周部に円筒形状に延設された側壁部122cとを備え、下向きのカップ形状に形成されている。弁支持移動体124は、側壁124aと、側壁124aの下部に形成された底壁124bとを備え、上向きのカップ形状に形成され、その内側スペースが弁収納室124cとなっている。底壁124bには、弁収納室124cと燃料通路111Pに接続される連通孔124dが形成されている。スプリング126は、底壁124bに支持され弁体122に閉じ方向へ付勢している。弁規制体128は、弁収納室124cに収納され、弁体122を摺動可能に保持するとともに、係合爪128aを備えている。係合爪128aは、側壁部122cに形成された切欠き122eに係合することにより弁体122を抜止めしている。
【0035】
待避機構130は、側壁124aの外壁に形成された回動支持部124fと、タンク開口形成部材111の内壁に形成された軸支部131と、軸支部131に支持されたスプリング132とを備えている。弁開閉機構120は、軸支部131および弁支持移動体124の回動支持部124fを介してタンク開口形成部材111に対して回動可能に支持され、スプリング132により注入口112Pの方向へ付勢されている。
【0036】
弁開閉機構120の調圧は、以下のように行われる。図7の弁開閉機構120の閉じ状態において、弁開閉機構120の弁体122に加わっている力の関係、つまり大気圧による開き方向の力とタンク内圧およびスプリング126のスプリングによる閉じ方向への力との関係において、前者が後者を上回る負圧状態になると、図9に示すように、弁体122は、スプリング126の付勢力に抗して下方に移動し、ガスケットGS−2から離れ、その間に通気路を確保する。この通気路を通じて燃料タンクが大気に連通して燃料タンク内の負圧状態が解消する方向へ向かう。そして、弁体122に加わっている差圧がスプリング126の付勢力を下回ると弁体122が閉じる。
【0037】
タンク用開閉装置100による給油は、以下のように行われる。図10に示すように、給油ガンFGで弁体122の押圧部122aを押すと、弁体122がスプリング126のスプリング力に抗して押し下げられ、側壁部122cの底部が弁支持移動体124の底壁124bに当たると、弁体122の移動が規制される。図11に示すように、給油ガンFGで押圧部122aをさらに押すと、待避機構130の軸支部131を中心にスプリング132のスプリング力に抗して回動して、給油ガンFGが燃料通路111Pへ挿入され、この状態にて給油ガンFGから給油される。このとき、ガスケットGS−2は、図3の(C)、図3(B)を経て図3(A)のように圧縮されていない状態に戻る。そして、給油ガンFGを抜くと、待避機構130のスプリング132のスプリング力が弁開閉機構120に加わる注入口112Pを閉じる。この閉じ動作において、ガスケットGS−2は、図3(A)、図3(B)を経て図3(C)のように弾性変形する。
【0038】
図12は図7の実施例の変形例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。本実施例は、ガスケットGS−3を弁開閉機構120Dの弁体122Dに装着した構成に特徴を有する。すなわち、図13に示すように、弁体122Dの外周部にシール保持部122Dfが形成されて、このシール保持部122DfにガスケットGS−3が保持されている。ガスケットGS−3は、ガスケット本体GSa−3にアシストリブGSf−3を突設している。タンク開口形成部材111Dには、ガスケットGS−3に対向する注入口112P−Dの開口周縁部にシール面113Dが形成されている。このように、ガスケットを保持する部材は、弁体または注入口の開口周縁部のいずれであってもよい。
【0039】
E.他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0040】
(1) 燃料キャップは、その回転操作によるガスケットにねじり力を加える構成であるが、撓み方向(回転軸の方向)に力を加えるのであれば、上下方向への操作力で閉じる構成であってもよい。
【0041】
(2) ガスケットを使用するタンクは、燃料タンクに限らず、他の液体を貯留するタンク装置であってもよい。
【0042】
(3) ガスケットのゴム材料は、上述したフッ素ゴムに限定されず、ほかの材料、例えば、NBR・PVC等のエラストマーなどを各種の材料を用いることができる。
【0043】
(4) 上述した図7および図12で示したタンク用開閉装置は、調圧機能を有する弁開閉機構の弁体とシール面との間にガスケットを介在させたが、これに限らず、調圧機能を有しないフラップバルブにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例に係る燃料キャップを備えたキャップ装置を示す半断面図である。
【図2】燃料キャップのシール保持部に装着されたガスケットの付近を拡大して示す断面図である。
【図3】燃料キャップを閉じるときのガスケットが圧縮される過程を説明する説明図である。
【図4】ガスケットの撓み代とシール幅との関係を示すグラフである。
【図5】第2実施例にかかるガスケットを示す断面図である。
【図6】第3実施例に係るガスケットを示す断面図である。
【図7】第4実施例にかかるガスケットをタンク用開閉装置に適用した構成を示す断面図である。
【図8】ガスケットの周辺を拡大した断面図である。
【図9】弁開閉機構の動作を説明する説明図である。
【図10】タンク用開閉装置の開閉動作を説明する説明図である。
【図11】図10に続く開閉動作を説明する説明図である。
【図12】第5実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。
【図13】ガスケットの周辺を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10...燃料キャップ
20...ケーシング本体(閉止体)
21...外管体
21a...フランジ
21b...ケーシング側係合部
21d...ストッパ
22...弁室形成体
22a...弁室
23...調圧弁
24...シール保持部
24a...第1シール壁面
24b...ストッパ段部
24c...第2シール壁面
24d...シール下面
40...蓋体
41...上壁
41a...ハンドル
43...側壁
45...蓋体係合機構
46...蓋側係合突部
48...係合爪
49...本体側係合部
50...トルク機構
51...トルクプレート
100...タンク用開閉装置
111...タンク開口形成部材
111D...タンク開口形成部材
111P...燃料通路
111a...上壁
111b...側壁
111c...シール保持部
112P−D...注入口
112P...注入口
113D...シール面
120...弁開閉機構
120D...弁開閉機構
122...弁体
122D...弁体
122a...押圧部
122b...シール面
122c...側壁部
122e...切欠き
122Df...シール保持部
124...弁支持移動体
124a...側壁
124b...底壁
124c...弁収納室
124d...連通孔
124f...回動支持部
126...スプリング
128...弁規制体
128a...係合爪
130...待避機構
131...軸支部
132...スプリング
FG...給油ガン
FN...フィラーネック
FNa...注入口(タンク開口)
FNb...開口側係合部
FNf...シール面
GS...ガスケット
GS−2...ガスケット
GS−3...ガスケット
GS−B...ガスケット
GS−C...ガスケット
GSa...ガスケット本体
GSa−2...ガスケット本体
GSa−3...ガスケット本体
GSa−B...ガスケット本体
GSb...スリット
GSc...第1リップ
GSc−B...第1リップ
GSc−C...第1リップ
GSd...第2リップ
GSd−C...第2リップ
GSe...連結部
GSf...アシストリブ
GSf−2...アシストリブ
GSf−3...アシストリブ
GSf−B...アシストリブ
GSf−C...アシストリブ
GSg...押圧面
GSh...通気溝
GSi...回り止め部
Gp...ギャップ
SA...シール幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク開口形成部材に設けたタンク開口と該タンク開口を開閉する開閉部材との間に介在し、シール面(FNf,122b,113D)により押圧されることで上記タンク開口と上記開閉部材との間をシールする環状のガスケット(GS)において、
上記シール面に押圧される第1リップ(GSc)と、上記シール保持部(24)に押圧される第2リップ(GSd)と、上記第1リップ(GSc)と上記第2リップ(GSd)とを連結する連結部(GSe)とを有し、上記第1リップ(GSc)、上記第2リップ(GSd)および上記連結部(GSe)により形成されたガスケット本体(GSa)と、
上記第1リップ(GSc)または上記第2リップ(GSd)の対向する少なくとも一方の部位から上記他方の第2リップ(GSd)または上記第1リップ(GSc)に向けて突設されたアシストリブ(GSf)と、
を備え、
上記アシストリブ(GSf)は、上記ガスケット本体(GSa)が圧縮されたときに上記第1リップ(GSc)の先端を上記シール面(FNf)に向けて押圧するように形成されたことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットにおいて、
上記アシストリブ(GSf)は、上記シール面(FNf)とほぼ平行に形成され、上記対向する上記第1リップ(GSc)または上記第2リップ(GSd)に押圧される押圧面(GSg)を有するガスケット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスケットにおいて、
上記連結部(GSe)と上記シール保持部(24)との間には、上記ガスケット本体(GSa)の径方向への変形を許容するギャップ(Gp)が設けられているガスケット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガスケットにおいて、
上記アシストリブ(GSf−B)は、上記ガスケット本体(GSa−B)と別の部材から形成されているガスケット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のガスケットを用いたタンク用キャップにおいて、
上記閉止部材は、上記タンク開口形成部材に着脱可能なキャップ本体を有し、該キャップ本体は、上記タンク開口形成部材の上記シール面(FNf)に対して押圧するように上記ガスケット(GS)を保持する上記シール保持部(24)を有するタンク用キャップ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のガスケットを用いたタンク用開閉装置において、
上記タンク開口形成部材(111)は、上記タンク開口の開口周縁部に設けられ、上記ガスケット(GS−2)を保持するシール保持部(111c)を有し、
上記閉止部材は、上記タンク開口を開閉可能であって上記タンク開口形成部材(111)に着脱不能に支持された弁体(122)と、該弁体(122)に設けられ上記ガスケット(GS−2)を押圧するシール部(122b)とを有する弁開閉機構(120)である、
タンク用開閉装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のガスケットを用いたタンク用開閉装置において、
上記タンク開口形成部材(111D)は、上記タンク開口の開口周縁部に上記シール面(113D)を有し、
上記開閉部材は、上記タンク開口を開閉可能であって上記タンク開口形成部材(111D)に着脱不能に支持された弁体(122D)と、該弁体(122D)に設けられ上記ガスケット(GS−3)を保持するシール保持部(122Df)とを有する弁開閉機構(120D)である、
タンク用開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−198590(P2007−198590A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264996(P2006−264996)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】