説明

ガスセンサおよびガスセンサシステム

【課題】 故障しにくいガスセンサおよびガスセンサシステムを提供する。
【解決手段】 オフガス中に含まれる水素を検出するガス検出素子61と、ガス検出素子を収容すると共に、オフガスが取り込まれる第1収容室40aを有する第1素子収容部40と、を備え、オフガスが流通するオフガス流路6aの周壁6bに設けられる水素センサ1であって、オフガス流路6aから第1収容室40aへのオフガスの浸入を遮断するダイアフラム弁70と、第1収容室40aの内壁面40cから突出するリブ41を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高湿の環境下に置かれるガスセンサおよびガスセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、固体高分子膜型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側を燃料極と酸素極で挟み込んで膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、膜電極複合体)を形成し、この膜電極接合体を一対のセパレータで挟んでなる単セルを複数積層して一つの燃料電池スタックを構成している。そして、燃料極には、燃料として水素が供給され、酸素極には酸化剤として空気が供給されて、燃料極で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過して酸素極まで移動し、水素イオンと酸素が電気化学反応を起こして発電する。
【0003】
このような固体高分子膜型燃料電池においては、従来、燃料電池の酸素極側の排出系にガスセンサ(水素検出器)を設け、このガスセンサによって燃料極側の水素が固体高分子電解質膜を通じて酸素極側に漏洩したことを検知する技術が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。具体的に、この技術では、ガスセンサの水素取込口(気体取込部)を鉛直下方に向けた状態で排気管の上壁に設けることで、比重の軽い水素を良好にガスセンサ内に取り込むことができる構造となっている。また、このような技術では、水素取込口に撥水フィルタを設けることで、ガスセンサ内に高湿のガスが入る前にそのガス中の水滴を撥水フィルタで除去して、水素検出器内の検出素子に水滴が付着するのを防止することも考えられている。
【特許文献1】特開平6−223850号公報(段落番号0013〜0014、図1)
【特許文献2】特開2003−294675号公報(段落番号0008〜0010、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した技術では、燃料電池の発電中/発電停止中に関わらず、燃料電池から排出された高湿なオフガスが、ガスセンサ内に浸入し、ガスセンサ内で結露水が生成しやすい状況にあった。そのため、結露水が水素(被検出ガス)を検出するガス検出素子に付着し、腐食するなどした結果、ガスセンサが故障する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、故障しにくいガスセンサおよびガスセンサシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、気体中に含まれる被検出ガスを検出するガス検出素子と、前記ガス検出素子を収容すると共に、前記気体が取り込まれるガス検出室を有する素子収容部と、を備え、前記気体が流通する気体流路の壁に設けられるガスセンサであって、前記気体流路から前記ガス検出室への前記気体の浸入を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とするガスセンサである。
【0007】
このようなガスセンサによれば、遮断手段によって、気体流路からガス検出室への気体の浸入を適宜に遮断することができる。すなわち、例えば、ガスセンサが、後記する実施形態のように、高湿である燃料電池のオフガス中の水素(被検出ガス)を検出する水素センサである場合、遮断手段によって、燃料電池の発電停止時などにおいて、気体流路とガス検出室との連通させなければ、ガス検出室への水蒸気の浸入を遮断することができる。その結果として、ガス検出素子に水蒸気、結露水などの不純物が付着することを防止でき、ガスセンサは故障しにくくなる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記ガス検出室の壁面から突出する突起部を備えたこと特徴とする請求項1に記載のガスセンサである。
【0009】
このようなガスセンサによれば、突起部を備えたことにより、同じ体積のガス検出室に対して、ガス検出室を取り囲む「取囲み面」の面積は大きくなる。これにより、ガス検出室に取り込まれた被検出ガスを含む高湿の気体は、前記取囲み面と接触しやすくなり、水蒸気が良好に結露する。その結果として、ガス検出素子への水蒸気(水分)の付着を低減させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のガスセンサと、前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記被検出ガスを検出する場合のみに、前記気体を取り込むように前記遮断手段を制御することを特徴とするガスセンサシステムである。
【0011】
このようなガスセンサシステムによれば、制御手段によって、被検出ガスを検出する場合のみに、ガス検出室と前記気体流路とが連通するように遮断手段を制御して、気体をガス検出室に取り込むことができる。これにより、ガス検出素子が水蒸気に曝される時間を短くすることができ、ガス検出素子(ガスセンサ)の耐久性を向上させることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記気体流路は燃料電池のオフガス流路であり、前記被検出ガスは水素であって、前記被検出ガスを検出する場合は、前記燃料電池の発電時であることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサシステムである。
【0013】
このようなガスセンサシステムによれば、燃料電池の発電時のみ、遮断手段によって、燃料電池のオフガス流路とガス検出室とを連通させて、水素を含むオフガスをガス検出室に取り込み、オフガス中の水素を検出し、その濃度を監視することができる。
一方、燃料電池の発電停止時は、遮断手段によって、燃料電池のオフガス流路とガス検出室とを連通させず、オフガス流路からガス検出室へのオフガスの浸入を遮断することにより、例えば、燃料電池の発電停止後に、オフガスが継続的にガス検出室に浸入し、ガス検出室で結露水が継続的に生成することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、故障しにくいガスセンサおよびガスセンサシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係る水素センサを備えた燃料電池システムを示す概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る水素センサ1(ガスセンサ)は、燃料電池2から排出されるオフガス(空気オフガス、希釈ガス)中の水素を検出するために、燃料電池システムS内に組み込まれている。以下、燃料電池システムSについて簡単に説明した後、水素センサ1の詳細について説明する。
【0017】
燃料電池システムSは、燃料電池自動車に搭載されたシステムであり、燃料電池自動車は燃料電池2の発電電力によって走行用の電動モータ(走行モータ)を回転させて走行するようになっている。燃料電池システムSは、燃料電池2と、燃料極(アノード)側の入口側配管3および出口側配管5と、酸素極(カソード)側の入口側配管4および出口側配管6を主に備えている。
【0018】
燃料電池2は、例えば陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を燃料極と酸素極で挟持した膜電極接合体を、更に一対のセパレータで挟持してなる単セル(図示略)を多数組積層して構成されたスタックからなる。
【0019】
この燃料電池2では、例えば高圧の水素タンク等を備える水素供給装置(図示略)から燃料極側の入口側配管3を介して燃料として水素が燃料極に供給されるとともに、コンプレッサ21により酸素極側の入口側配管4を介して酸化剤として空気が酸素極に供給される。燃料極の触媒電極上では、触媒反応により水素がイオン化され、生成された水素イオンが適度に加湿された固体高分子電解質膜を拡散・通過して酸素極まで移動する。そして、この間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。また、酸素極には酸素を含む空気が供給されているために、この酸素極において、水素イオン、電子および酸素が、酸素極の触媒の作用により電気化学的に反応して水が生成される。
そして、燃料極側の出口側配管5および酸素極側の出口側配管6から未反応の反応ガス(例えば、水素や空気等)を含むいわゆるオフガスが排出される。
【0020】
ここで、未反応の水素を含む水素オフガス(アノードオフガス)は、燃料電池2の燃料極側の出口側配管5から水素循環配管22に排出され、エゼクタ23を介して燃料極側の入口側配管3に戻され、再び燃料電池2の燃料極に供給されるようになっている。
一方、反応済みの空気中に水分を多量に含んだ空気オフガス(カソードオフガス)は、希釈器26および出口側配管6を介して大気中へ排出される。
【0021】
さらに、燃料電池2の燃料極側の出口側配管5にはパージ弁24を介して水素排出配管25が接続され、この水素排出配管25には希釈器26が接続されている。そして、水素オフガスは、パージ弁24を介して水素排出配管25に排出可能とされ、さらに、水素排出配管25を通って希釈器26に導入可能とされている。希釈器26は、水素排出配管25から取り込んだ水素オフガスを、燃料電池2から排出された空気オフガスによって適宜の倍率で希釈し、希釈ガスとして排出することができるように構成されている。
すなわち、希釈器26下流の出口側配管6内を、空気オフガスまたは希釈ガスであるオフガスが流通し、この出口側配管6内が特許請求の範囲における「燃料電池2のオフガス流路6a(気体流路)」となっている(図2参照)。
【0022】
そして、この希釈器26の下流には、水素(被検出ガス)を検出するガス接触燃焼式の水素センサ1が配置されており、これによりオフガス(空気オフガス、希釈ガス)中の水素濃度が監視されるようになっている。水素センサ1は、オフガスの流通方向が水平方向となるように配置された出口側配管6の鉛直方向上部に配置されている。また、水素センサ1は、燃料電池システムSを制御する、つまり燃料電池2の発電を制御するECU81(Electronic Control Unit、電子制御装置)と電気的に接続している。ECU81は、燃料電池自動車のIG(イグニッション)82と連動しており、IG82がONされると燃料電池システムSが起動して、燃料電池2が発電するように設定されている。また、ECU81は、後記するコンプレッサ35(空気供給手段)と電気的に接続している。そして、ECUは、燃料電池2の発電時(水素を検出する時)のみに、後記する開口40bを開き、オフガスを第1収容室40a(ガス検出室)に取り込むように、コンプレッサ35を制御するようになっている。
【0023】
≪水素センサの構成≫
続いて、図2を参照して水素センサ1の具体的な構造について説明する。図2は、本実施形態に係る水素センサの側断面図である。
図2に示すように、水素センサ1は、ケース30と、ガス検出素子61と、ヒータ62と、素子収容部Bと、素子収容部Bを構成する第1素子収容部40に設けられた複数のリブ41(突起部)と、第1収容室40aと出口側配管6内のオフガス流路6aとを適宜に遮断するダイアフラム弁70(遮断手段)と、を主に備えている。
【0024】
<ケース>
ケース30は、内蔵する制御基板31を保護するためのものであり、例えばポリフェニレンサルファイドから形成される。制御基板31は、ガス検出素子61およびヒータ62と、ECU81とに電気的に接続されている。そして、ガス検出素子61で検出された水素濃度に対応した電気信号が、ECU81に送られるようになっている。
ケース30の下端面には、制御基板31に接続されるガス検出素子61とヒータ62とが設けられるとともに、これらを収容する素子収容部Bが設けられている。
【0025】
<ガス検出素子>
ガス検出素子61は、オフガス中に含まれる水素を検出する素子であり、具体的には検出素子と温度補償素子との対により構成されている。検出素子は、周知の素子であって、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイルが、触媒を坦持したアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。触媒は、水素に対して活性な貴金属などからなる。温度補償素子は、水素に対して不活性とされ、例えば検出素子と同等のコイルの表面が、アルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
【0026】
そして、水素が触媒に接触した際に生じる反応熱により、検出素子が高温になると、検出素子と温度補償素子の抵抗値に差が生じるので、この差から水素濃度を検出することができるようになっている。なお、雰囲気温度による電気抵抗値の変化は、温度補償素子を利用することにより相殺されるように設定されている。
【0027】
<ヒータ>
ヒータ62は、後記する第2素子収容部50内(以下、この内部空間を「第2収容室50a」ともいう。)を加熱するものである。これにより、第2収容室50aにおいて結露水の発生が抑制されている。
【0028】
<素子収容部>
素子収容部Bは、ガス検出素子61およびヒータ62を二重に取り囲んで収容するケースであって、外側の第1素子収容部40(特許請求の範囲における素子収容部に相当)と、その内側の第2素子収容部50とを備えて構成されている。
【0029】
[第1素子収容部]
第1素子収容部40は、ケース30の下面に突設された筐体であり、出口側配管6の周壁6bにボルトなどの適宜な手段によって固定されている。第1素子収容部40は、その内部にオフガスが取り込まれる第1収容室40a(ガス検出室)を有しており、第1収容室40aは、開口40bを介して出口側配管6内のオフガス流路6aと連通している。なお、第1収容室40aの容積は、その内部に取り込まれるオフガスの量を少なくするため、なるべく小さくすることが好ましい。
【0030】
また、第1収容室40aを取り囲む第1素子収容部40の内壁面40cには、内壁面40cから突出するように複数のリブ41、41が設けられており、第1収容室40aを取り囲む「取囲み面」の面積は大きくなっている。これにより、第1収容室40aに取り込まれたオフガスと、前記「取囲み面」との接触面積が大きくなり、オフガスに含まれる水蒸気が結露し易くなっている。その結果として、ガス検出素子61への水蒸気(水分)の付着が低減されるようになっている。
【0031】
[第2素子収容部]
第2素子収容部50は、ガス検出素子61およびヒータ62を収容する第2収容室50aを有する有底円筒体であって、第1素子収容部40の内側に配置されている。第2素子収容部50の底壁には、開口50bが形成されている。そして、撥水フィルタ51および防爆フィルタ52が重ねられたものが、開口50bを塞ぐように設けられている。
【0032】
撥水フィルタ51は、気体を透過するが、液体を透過しないフィルタである。これにより、第2収容室50aへの液体(例えば結露水)の浸入を防止しつつ、気体(例えば水素、空気)が選択的に第2収容室50aに取り込まれるようになっている。
防爆フィルタ52は、防爆性を確保するためのメッシュなどであり、撥水フィルタ51の内側(ガス検出素子61側)に設けられている。
【0033】
<ダイアフラム弁>
ダイアフラム弁70は、開口40bを適宜に閉じることによって、オフガス流路6aから第1収容室40aへのオフガス(空気オフガス、希釈ガス)の浸入を適宜に遮断する遮断手段である。ダイアフラム弁70は、第1素子収容部40の一部からなる弁箱71と、開口40bを開閉する弁体72と、弁体72を開口40bの閉方向に付勢する圧縮コイルバネ73と、弁体72に固定されバルブ室71aを仕切るダイアフラムシール74を備えている。なお、図2は、圧縮コイルバネ73が伸張し、弁体72が開口40bを閉じている状態である。
【0034】
そして、ECU81からコンプレッサ35に作動信号が送られ、コンプレッサ35が作動し、配管35aを介してバルブ室71aに圧縮空気が送り込まれると、圧縮コイルバネ73の付勢力に抗して、弁体72を図2における下方向に押し下げ、開口40bが開くようになっている。このように開口40bが開き、第1収容室40aとオフガス流路6aとが連通すると、オフガスが第1収容室40aに取り込まれるようになっている。
なお、コンプレッサ35を燃料電池2のカソードに空気を送るコンプレッサ21(図1参照)と共有し、入口側配管3から分岐し、且つ、その途中に開閉弁を有する分岐配管を設け、分岐配管の下流端をバルブ室71aに接続し、ダイアフラム弁70開く場合(オフガスを取り込む場合)にECU81が前記開閉弁を開く構成としてもよい。また、ソレノイドを使用し、ECU81の指令により、電磁駆動によって弁体72を開/閉する構成としてもよい。
【0035】
ここで、本実施形態において、特許請求の範囲における「ガスセンサシステムG」は、水素センサ1(ガスセンサ)と、ECU81(制御手段)とを備えて構成されている。
【0036】
≪水素センサの作用・効果≫
次に、このような水素センサ1の作用について、図1および図2に加え、図3に示すECU81に設定された制御フローチャートを参照して説明する。なお、燃料電池2の発電時、発電停止時の順で説明する。
【0037】
<燃料電池の発電時>
燃料電池自動車を走行させるために、IG82がONされると、ECU81は燃料電池システムSを作動、つまり、燃料電池2を発電させる。このように燃料電池2が発電すると、図3に示すステップS101の判定がYesとなり、ECU81における処理がステップS102に進む。
【0038】
ステップS102において、ECU81はダイアフラム弁70を開く。具体的に説明すると、ECU81はコンプレッサ35を作動させて圧縮空気をバルブ室71aに送り込む。そうすると、弁体72が押し下げられ、開口40bが開かれる。このように開口40bが開くと、出口側配管6内を流通するオフガス(空気オフガス、希釈ガス)が、第1収容室40aに取り込まれる。
【0039】
第1収容室40aに取り込まれたオフガスの一部は、撥水フィルタ51、防爆フィルタ52を通過し、第2収容室50aに流れ込み、ガス検出素子61によって、その水素濃度が検出される。
また、第1収容室40aに取り込まれたオフガスは、複数のリブ41の表面を含め、第1収容室40aを取り囲む「取囲み面」に接触する。ここで、前記したように、リブ41が設けられたことによって「取囲み面」の面積は大きくなっているため、取り込まれたオフガスの温度が効率的に下がる。これにより、オフガスに含まれる水蒸気が結露する。すなわち、水蒸気が撥水フィルタ51を透過して、ガス検出素子61に水蒸気が付着することが防止される。
その後、ECU81における処理はリターンに進んだ後、スタートに戻る。
【0040】
<燃料電池の発電停止時>
一方、燃料電池自動車を停止させるために、IG82がOFFされると、ECU81は燃料電池システムSを停止、つまり、燃料電池2の発電を停止する。このように燃料電池2の発電が停止されると、ステップS101の判定がNoとなり、ステップS103に進む。
【0041】
ステップS103において、ECU81はダイアフラム弁70を閉じる。具体的に説明すると、ECU81はコンプレッサ35を停止して、バルブ室71aへの圧縮空気の供給を停止する。そうすると、圧縮コイルバネ73が伸張し、弁体72が上方に押し上げられ、開口40bが閉じられる。すなわち、第1収容室40aと出口側配管6内とが遮断される。
【0042】
このように遮断されると、燃料電池2の発電停止後に、出口側配管6内の高湿なオフガス(空気オフガス、希釈ガス)が第1収容室40aに継続的に浸入し続けることが防止される。これにより、燃料電池2の発電停止後に、第1収容室40aで結露水が継続的に生成することは防止され、ガス検出素子61に継続的に付着することを防止できる。その結果として、ガス検出素子61、つまり、水素センサ1は故障しにくくなる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような変更をすることができる。
【0044】
前記した実施形態では、被検出ガスを水素としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、一酸化炭素、硫化水素など他のガスであってもよい。さらに、前記実施形態では、ガスセンサとして接触燃焼式のガスセンサを採用したが、本発明はガス検出室を備えるガスセンサであればどのようなものでもよく、例えば、半導体式のガスセンサなど、他の方式のガスセンサであってもよい。
【0045】
前記した実施形態では、水素センサ1(ガスセンサ)が希釈器26の下流側の出口側配管6に取り付けられた場合について説明したが、水素センサ1の取り付け位置はこれに限定されず、例えばパージ弁24と希釈器26との間の水素排出配管25に取り付けられてもよい。
【0046】
前記した実施形態では、図2に示すように、第1素子収容部40は1つの開口40bを有し、この開口40bがオフガスの取込口と排出口として機能するとしたが、その他に例えば図4に示すように、第1収容室45aを有すると共に、取込口45bおよび排出口45cを別々に有する第1素子収容部45であってもよい。この場合、取込口45b、排出口45cの近傍に、バタフライ弁90、90(遮断手段)をそれぞれ設け、バタフライ弁90、90がECU81によって閉じられると、第1収容室45aとオフガス流路6aとが遮断される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係る水素センサを備えた燃料電池システムを示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る水素センサの側断面図である。
【図3】図2に示す制御基板に設定されたフローチャートである。
【図4】変形例に係る水素センサの側断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 水素センサ(ガスセンサ)
2 燃料電池
6a オフガス流路(気体流路)
6b 周壁
40 第1素子収容部
40a 第1収容室(ガス検出室)
40c 内壁面
41 リブ(突起部)
61 ガス検出素子
70 ダイアフラム弁(遮断手段)
71 弁箱
72 弁体
73 圧縮コイルバネ
74 ダイアフラムシール
81 ECU(制御手段)
B 素子収容部
G ガスセンサシステム
S 燃料電池システム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体中に含まれる被検出ガスを検出するガス検出素子と、
前記ガス検出素子を収容すると共に、前記気体が取り込まれるガス検出室を有する素子収容部と、を備え、
前記気体が流通する気体流路の壁に設けられるガスセンサであって、
前記気体流路から前記ガス検出室への前記気体の浸入を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記ガス検出室の壁面から突出する突起部を備えたこと特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサと、
前記遮断手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被検出ガスを検出する場合のみに、前記気体を取り込むように前記遮断手段を制御することを特徴とするガスセンサシステム。
【請求項4】
前記気体流路は燃料電池のオフガス流路であり、
前記被検出ガスは水素であって、
前記被検出ガスを検出する場合は、前記燃料電池の発電時であることを特徴とする請求項3に記載のガスセンサシステム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−40756(P2007−40756A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223285(P2005−223285)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】