説明

ガスセンサアレー

【課題】堅牢、小型、低コストで製造できると共に、光効率が大きく且つ選択度が高いガスセンサアレーの提供。
【解決手段】ガスセンサアレー(100)は、少なくとも1個の放射源(102,104)、計測される少なくとも一つの試料を含むガス試料で充填されるガス計測室(110)、及び試料の存在、濃度に依存して出力信号を発生する少なくとも1個の放射検出器(108)を具備する。ガス計測室(110)は、ハウジング(106,112)の反射内壁により形成された少なくとも1個の凹面鏡を有し、反射内壁は、検出器(108)が配置された領域で、放出された放射を集束する結果となるように設計された円錐曲線で形成された回転体の形態を少なくとも部分的にとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射を放出する少なくとも1個の放射源と、計測される少なくとも一つの試料を含むガス試料で充填することができるガス計測室と、試料の存在、濃度に依存して主に出力信号を発生する少なくとも1個の放射検出器とを有するガスセンサアレーに関する。特に、本発明は、例えば自動車業界で使用されるような小型の態様のガスセンサアレーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばメタンガス又は二酸化炭素等の多様な試料を検出するためのガスセンサアレーは、例えば特許文献1に開示されている。ここで、ガスセンサアレーは、多くの多原子ガスが特に赤外線波長の範囲内で放射を吸収するという知見に基づいている。このような吸収は、例えば二酸化炭素の場合には4.24μmの波長である、該当ガスの波長特性に現れる。このため、このような赤外線ガスセンサを使用して、ガス成分の存在、ガス成分の濃度を決定することが可能である。
【0003】
ガスセンサアレーは、放射源、計測室又は光路とも称される吸収部、及び放射検出器を有する。放射検出器により計測される放射強度は、吸収ガスの濃度を示す。ここで、問題の波長が干渉フィルタすなわち格子により調節された状態で広帯域の放射源のいずれかを使用することができ、又は、非波長選択放射受信器と組み合わせて、例えば発光ダイオード(LED)又はレーザである選択的放射源を使用することが可能である。
【0004】
特に、二酸化炭素の検出は今日、自動車業界でますます重要になってきている。これは一つには、車両内において、必要時すなわち高濃度の二酸化端子が存在する際に、対応する換気制御システムにより新鮮な空気を供給させるために、室内の空気の二酸化炭素含有量を監視して暖房及び空調のエネルギー効率を向上させるためである。他方で、最新の空調システムは、冷媒として二酸化炭素を使用している。このため、二酸化炭素ガスセンサは、故障時に漏れる二酸化炭素に関連して監視することができる。しかし、特に自動車業界において、このようなセンサは、堅牢性、信頼性及び上述の全寸法の観点からの非常に厳しい要求事項に適合しなければならない。
【0005】
特許文献1からは、反射コーティングを有するハウジング内面が検出器に光を向ける光路を形成するように、検出器及び放射源がハウジング内に配置されることが公知である。ここで、各放射源は、半球状の凹面鏡及びチューブにより形成された分離光路を割り当てられる。
【特許文献1】特開2005−233958号公報
【特許文献2】特表2003−501622号公報
【特許文献3】米国特許第4245910号明細書
【特許文献4】特開昭61−7447号公報
【特許文献5】特開平10−19779号公報
【特許文献6】米国特許第3946239号明細書
【特許文献7】英国特許出願公開第2231951号明細書
【特許文献8】国際公開第02/093141号パンフレット
【特許文献9】米国特許第5317378号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第1541990号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に示されるアレーは、検出器の主軸から分岐する最大許容入射角の範囲では光効率が比較的低いという欠点を有する。
【0007】
従って、本発明の基礎をなす目的は、堅牢、小型、低コストで製造できると共に、光効率が大きく且つ選択度が高い、改良された上述のタイプのガスセンサアレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するガスセンサアレーにより達成される。本発明に従ったガスセンサアレーの有利な成果は従属項のテーマである。
【0009】
本発明は、放射源、ガス計測室及び検出器を有するハウジングが反射内壁を有すると、光路及び製造に適する部品のアレーの形状を簡単にして光効率を著しく増加させるという基本的思想に基いている。反射内壁は凹面鏡を形成すると共に、検出器が配置された領域で放出される放射を集束するように設計された、円錐曲線で形成された少なくとも部分的に回転体の形態をとる。このようにして、同一のランプ強度で、より大きな光効率が達成できる。さらに、最大許容入射角の外側の光の割合は減少させることができるので、種々の周波数範囲をより明確に互いに分離することができる。ここで、最大許容入射角は、検出器の前に配置されたフィルタの選択としての要素に依存し、例えば20°であってもよい。製造技術の観点では、ハウジング形状は比較的簡単な工具で製造することができる。
【0010】
回転体は、回転楕円体、回転放物体又は回転双曲体、及びこれらの物体の一部により形成することができる。
【0011】
形状が最も簡単な場合、放射源は回転楕円体の第1焦点に配置されるのに対し、検出器は回転楕円体の第2焦点に配置される。第2焦点には、放射源により放出される放射が集まる。
【0012】
しかし、このアレーは、検出器のセンサをガスセンサアレーの主軸と交差するように配置しなければならないので、放射源と同じ印刷回路基板に実装することができない。本発明の有利な成果によれば、ガス計測室の回転楕円体形状に加えて、検出器のセンサに当たるように、集束された放射を再度偏向させる少なくとも1個の傾いた鏡を設けることができる。このような傾いた鏡は、好適には平坦な鏡として設計される。しかし、必要であれば、別の凹面鏡も設けることができることは明白である。
【0013】
ハウジングが、実質的に閉じたガス計測室を形成するように結合される第1半体及び第2反対で形成されるならば、本発明に従ったガスセンサアレーを自動機で生産できるような程度までガスセンサアレーの組立を簡単にすることが可能である。
【0014】
本発明の有利な成果によれば、放射源及び検出器は、少なくとも部分的に第1半体に保持される。このようにして、機械的に敏感な部品は、後続の組立工程中に第1半体内で保護される。
【0015】
本発明に従ったガスセンサアレーは、モジュールとして印刷回路基板上に実装できるように設計された特に占有面積を小さくする方法で、電子システムと一体化することができる。また、これにより、検出器が発生する出力信号の次の処理に使用される必要な評価電子回路を、例えば印刷回路基板等の同じ回路基板上に実装することができるという利点が得られる。
【0016】
次に、本発明に従ったガスセンサアレーの有利な特性は、検出される放射が赤外線放射であり、少なくとも1個の放射源が好適には広帯域光スペクトルを放出するランプである赤外線放射源により形成されると、特に有用である。或いは、発光ダイオード(LED)も使用可能であり、これにより、波長選択のフィルタアレーを要しないという利点を有する。
【0017】
特に利点のある一実施形態によれば、本発明に従ったガスセンサアレーは、計測放射源及び基準放射源を有する。これら2個の放射源はガス計測室の少なくとも一軸に対して対称的に配置され、検出器は、放射源の光線路が検出器まで同一の有効経路長を有するように、この対称軸上に配置される。このようなアレーは、例えば特許文献2に開示されているように、基準放射源が定期的に切り替えられて放射源の劣化状態を監視するように作動することができる。基準放射源がオンに切り替えられ、計測放射源がオフに切り替えられた状態で検出器の出力信号に関連したずれは、計測放射源の劣化に関する情報を提供し、これは適当なものとして補償することができる。これにより、特に自動車業界でのガスセンサアレーの信頼性及び耐用年数が著しく向上する。
【0018】
2個の放射源が互いにほぼ隣接し、放射源の光線経路が比較的小さな角度で囲むように放射源が配置される場合、ガスセンサアレーの製造は著しく簡素化できる。検出器において各放射の可能な集束を最大にするために、ガス計測室の回転楕円体形状は、2個の放射源及び検出器の間の接続領域により分断することができる。第1実施形態に従ったこの接続領域は、縦方向すなわち放射源及び検出器の間の接続方向には回転楕円体の曲率にならうが、横断方向には湾曲せず、接続領域の平坦な突起が矩形である、楕円筒状外被の一部として形成される。このようにして、2個の放射源の各々は、放射源に最も近いハウジングの回転楕円体の内面の焦点に位置し、放射源の放射は特に有効に集束される。
【0019】
しかし、このアレーの欠点は、検出器の側に2個の焦点が同様に生ずるという点である。この欠点を克服するために、第2実施形態によれば、ハウジングの内壁は、楕円筒状外被の形態の接続領域が台形状平坦突起を有するように設計することができる。このため、2個の放射源の各々は回転楕円体の半体の焦点に配置されるのに対し、第2焦点が一致し、検出器のセンサ上に配置される。
【0020】
計測の正確性を向上させるために、ガス計測室の温度の監視用に少なくとも1個の温度センサを設けることもできる。
【0021】
ハウジングを製造するための特に低コストで機械的に安定した選択肢は、射出成形手法を用いてプラスチック材料から製造することである。ここで、反射コーティングは、スパッタリング、蒸着又は電気めっきにより付けられる金属コーティングの形態をとることができる。例えば、金を使用することも可能である。
【0022】
本発明に従ったガスセンサアレーの有利な特性は、例えば自動車業界では二酸化炭素の検出に、車両内部の空気品質の検査と共に二酸化炭素の監視に特に有用である。しかし、本発明に従ったガスセンサアレーは、他の任意のガス検出にも勿論使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に示された有利な実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。本発明の同様の又は対応する要素には同じ参照符号が付されている。
【0024】
本発明に従ったガスセンサアレーの構造及び作動モードを、図面を参照して以下に詳細に説明する。ここで、二つの実施形態は、単一の検出器に焦点が合った計測放射源及び基準放射源を用いた差動計測原理を使用している。しかし、本発明に従った原理は、単一の放射源及び検出器のみに使用してもよく、或いは図示の放射源及び検出器より多い数であってもよい。
【0025】
本発明に従ったガスセンサアレー100は、図1に示される実施形態に従った2個の赤外線放射源102,104を具備する。これらの放射源はハウジングの第1半体106内に配置される。同様に第1半体106内に保持され、例えば焦電検出器の形態をとる検出器108は、入力赤外線放射を評価し、計測された放射の関数として電気出力信号を供給する。ここで、検出器108に届く放射の強度は、ガス計測室110に含まれるガスの組成に依存する。図1に示されるように、ガス計測室110は、第1半体106をハウジングの第2半体112に結合することにより形成される。
【0026】
本発明によれば、ガス計測室110の内壁は金が蒸着されているので、反射コーティングを形成する。これら内壁は回転楕円体の形態をとり、放射源102,104は第1焦点114に配置される。第2焦点116は、検出器108付近に配置される。図1は、本発明に従ったガスセンサアレー100の縦断面を示し、原理を明確にするために光線105が描かれている。光線105の経路からわかるように、光学法則に従うと、本発明のガス計測室110の回転楕円体形状は、検出器108における放射の集束を大きく改良する。しかし、第2焦点116では、追加の傾いた鏡がガスセンサアレー100の縦軸に平行に整列した検出器へ放射を向けるよう設けられるか、検出器108をガスセンサアレー100の縦軸に交差させて実装しなければならない。
【0027】
図1に示されるガスセンサアレー100の場合、第2半体112は、塵の粒子を除去するフィルタ120を有するガス入口118を具備する。
【0028】
第1半体106は、例えば第1印刷回路基板122である第1回路基板上に放射源102,104及び検出器108と共に配置されている。検出器108に属する信号評価電子回路は第2印刷回路基板上に配置され、検出器108の端子126に電気結合されている。塵、周囲からの影響及び不要な散乱光から保護するために、ガスセンサアレー100全体は外部ハウジング128によりさらに囲まれる。この外部ハウジング128はまた、外部ハウジング128により機械的安定性が確保されるので、ハウジングの第1及び第2半体106,112を極めて薄い壁で製造することを可能にする。しかし、この追加の外部ハウジング128無しで済ますことも可能である。
【0029】
種々の周波数範囲を明確に分離するために、0°から検出器108の主軸132からの最大許容入射角度まで偏る光の割合のみを評価すべきであることが一般に立証可能である。この最大許容入射角度は、例えば検出器の前の波長選択フィルタの選択等の要素に依存する。波長選択フィルタ自体は、検出される試料に依存する問題の光周波数に従って選択される。図示のガスセンサアレー100の場合、入射の最大許容角度は例えば約20°であるが、他の値も可能である。このため、図1に図示の実施形態において、検出器108は、検出器108の主軸132から20°を超えて偏る入射光線を防止するシールド130を具備する。しかし、シールド130無しで済ますことも可能である。
【0030】
図2は、図1の実施形態の斜視図であり、ハウジングの上側半体112及び外部ハウジング128は、見易さのために図示されていない。この図に示されるように、放射源102,104は互いに隣接して配置されている。各放射源102,104が回転楕円体の領域に関連して第1焦点114に配置されることを確保するために、接続領域134が、放射源102,104の距離に従って検出器108及び放射源102,104の間に追加される。この接続領域134は、主軸132の方向に回転楕円体の曲率にならうが、主軸と交差して湾曲してはいない。図示の実施形態において、接続領域134の縦方向制限部135,136は互いにほぼ平行に延びており、2個の放射源102,104の光線105も互いにほぼ平行に延びている。シールド130は、主軸132からの角度が0°及び約20°の間で偏る光線105のみが検出器108に到達するように、検出器108の周りに配置される。しかし、他の最大許容入射角の値も、上述したように、検出されるガス成分に依存して同様に可能である。
【0031】
図3は、図1に示されたガスセンサアレー100を部分的に除去し、より正確に基本要素を示すために見えない線が破線で追加された平面図である。図3に示されるように、検出器108は、主軸132とほぼ平行に配置されたセンサ138を有する。このため、図1から明らかであるように、第2焦点116でセンサ138に集束された放射を偏向させるために、第2焦点116に追加の傾いた鏡を設けることが必要になる。本実施形態によれば、2個の放射源102,104は互いに隣接して配置され、接続領域134の縦方向制限部135,136は互いにほぼ平行に延びる。このため、2個の放射源102,104の各々は回転楕円体のガス計測室110の一方の半体の焦点に配置される。この変形は、組立には極めて簡単であるが、センサ138における集束が2焦点で生ずるという欠点を有する解決策である。
【0032】
このため、図4ないし図7を参照して以下に説明する改良された一実施形態は、2個の放射源102,104の光線105を方向付けるシステムを使用する。このシステムでは、図7の平面図に見られるように、接続領域134の縦方向制限部135,136が放射源102,104の中心線により囲まれる角度に対応した角度を囲むように、接続領域134が形成される。このため、異なる第1焦点114,115を有するが、検出器108に1個の第2焦点116のみを有する、ガス計測室110の二つの回転楕円体領域が形成される。
【0033】
図4には、ガスセンサアレー100の主軸132に沿って開いた第2実施形態の斜視図が示される。ここで、ガス計測室110の内壁は部分的にだけ回転楕円体の形態をとり、回転楕円体の第2焦点116に平坦な傾いた鏡140が配置されている。この態様を光線105が概略的に描かれた図5の斜視図及び図6の断面図と共に考慮すると、第2焦点116に到達する光線105が代わりにセンサ138に焦点を合わせるように、傾いた鏡140が検出器108上に配置されることが理解できる。機能原理を明確にするために、実際の光線経路及び仮想の光線経路の両方が図に記載されている。第2焦点116は本実施形態によれば仮想焦点であるが、図1の実施形態の光線105も、実際の焦点である第2焦点116に実際に到達する。
【0034】
本発明に従った小型化された本解決策はまた、凹面鏡及び傾いた鏡140等の光偏向要素の全てが、第1及び第2半体106,112に金属コーティング又は他のコーティングを付加することにより、ハウジングの第1及び第2半体106,112と一体物として製造できるという利点を有する。図4に示されるように、検出器108の下の領域に別の傾いた鏡142が設けられる。この傾いた鏡142は、放射が傾いた鏡140上に焦点を合わせることができる反対側の回転楕円体内壁に差し込む光線105を偏向させることにより、光効率をさらに増大させることができる。
【0035】
図1ないし図7を参照して、ガスセンサアレー100の組立を以下に詳細に説明する。
【0036】
検出器108及び放射源102,104は、第1印刷回路基板122に実装される。センサ信号評価及び赤外線放射源の制御等に必要な他の電子部品が実装される第2印刷回路基板124は、検出器108の端子126に接続され、従って放射源102,104にも接続される。
【0037】
次の工程において、ハウジングの第1半体106は、放射源102,104及び検出器108が対応する凹部内に保持されるように、第1印刷回路基板122上に実装される。第1半体106は、回転楕円体のガス計測室110の第1半体を形成するように、この工程で形作られる。主軸132に対して交差するガス計測室110の延長用に設置空間を確保するために、ガス計測室110が届くことができる対応する開口が第1印刷回路基板122に設けられる。
【0038】
引き続く工程において、ハウジングの第2半体112がハウジングの第1半体106上に配置され、例えばねじ留めによりその位置に固定される。必要な場合、機械的応力、及び干渉を生じさせる散乱光の進入から確実に保護するために、外部ハウジング128を設けてもよい。しかし、図4ないし図7の実施形態から理解できるように、外部ハウジング128を、第1及び第2半体106,112に既に含めてもよい。
【0039】
第1及び第2半体106,112並びに外部ハウジング128のこのような一体化はより多くの材料を要し、重量が増加するが、製造工程をかなり簡略化し、また、極めて高い機械的安定性を与える。ハウジングの第1半体106及び第2半体112間の境界層は、特許文献1に示されるように、適当な封止デバイスで付加的に封止することができる。
【0040】
本発明は、円錐曲線で形成された回転体の形態でガス計測室110を設計し、2個の放射源102,104を互いに隣接して配置することにより、単純である最適化された光路を提供することを可能にし、同一の放射源のランプ強度でより大きな光効率が得られる。検出器108の主軸132に対して最大許容入射角度外の光の割合を減少させることにより、種々の周波数範囲をより明確に分離することも可能になる。これは、本発明に従ったガスセンサアレー100が、自動車業界での使用にとりわけ適することを意味する。
【0041】
図1ないし図7の実施形態において、回転楕円体形状のガス計測室110を想定したが、ガス計測室110を形成するために、他の円錐曲線を使用することも可能である。
【0042】
図8及び図9は、ガス計測室110の内壁が回転放物体の形態をとる回転楕円体(図8参照)で、例えば光線105の方向の概略比較を示している。図9の実施形態によれば、第1焦点914で放出された放射が検出器108を配置できる第2焦点916に集束する結果となるように、2個の放物線状の鏡が互いに対向して配置される。このような設計の利点の一つは、ガスセンサアレー100の感度の要求事項による長さの観点で、平行光路900の領域を選択することができることである。検出下限が極めて低い場合、ガスセンサアレー110を通る光路長さを延長し十分に大きな検出信号を発生させる必要があろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に従ったガスセンサアレーの断面図である。
【図2】図1のアレーの一部を示す斜視図である。
【図3】図1のアレーの縦断面図である。
【図4】別の実施形態に従ったガスセンサアレーの分解斜視図である。
【図5】光線の方向を考慮した図4のアレーを示す斜視図である。
【図6】図4及び図5のアレーの縦断面図である。
【図7】図4のアレーの平面図である。
【図8】回転楕円体の形態であるガス計測室内での光線経路を示す概略図である。
【図9】部分的に回転放物体の形態であるガス計測室内での光線経路を示す概略図である。
【符号の説明】
【0044】
100 ガスセンサアレー
102,104 放射源
106 第1半体
108 検出器
110 ガス計測室
112 第2半体
114,115 第1焦点
116 第2焦点
122 第1印刷回路基板
132 主軸
134 接続領域
138 センサ
140 平坦な傾いた鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射を放出する少なくとも1個の放射源(102,104)と、計測される少なくとも一つの試料を含むガス試料で充填することができるガス計測室(110)と、前記試料の存在、濃度に依存して主に出力信号を発生する少なくとも1個の放射検出器(108)と、前記放射源、前記ガス計測室及び前記検出器が内部に配置されたハウジングとを具備するガスセンサアレー(100)において、
前記ガス計測室(110)は、前記ハウジングの反射内壁により形成された少なくとも1個の凹面鏡を有し、
前記反射内壁は、前記検出器が配置された領域で、放出された前記放射を集束する結果となるように設計された円錐曲線で形成された回転体の形態を少なくとも部分的にとることを特徴とするガスセンサアレー。
【請求項2】
前記回転体は回転楕円体であることを特徴とする請求項1記載のガスセンサアレー。
【請求項3】
前記少なくとも1個の放射源(102,104)は、前記回転楕円体の第1焦点(114,115)に配置され、
前記検出器(108)は、前記回転楕円体の第2焦点(116)の周囲領域に配置されていることを特徴とする請求項2記載のガスセンサアレー。
【請求項4】
集束された前記放射を前記検出器のセンサ(138)に偏向させるために、前記検出器が配置される領域に、少なくとも1個の平坦な傾いた鏡(140)が設けられることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項5】
前記ハウジングは、ほぼ閉じたガス計測室を形成するように互いに結合された第1半体(106)及び第2半体(112)で形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項6】
前記放射源及び前記検出器は、前記第1半体に少なくとも部分的に保持されていることを特徴とする請求項5記載のガスセンサアレー。
【請求項7】
第1印刷回路基板(122)上に実装できるように設計されていることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項8】
検出される前記放射は赤外線放射であり、
前記少なくとも1個の放射源は、赤外線放射源か、又は広帯域光スペクトルを放出するランプかにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項9】
前記ガス計測室の少なくとも1本の主軸に対して対称配置された、少なくとも1個の計測放射源(102)及び少なくとも1個の基準放射源(104)が設けられ、
前記検出器は、前記放射源の光線経路が前記検出器に対して同じ有効経路長を有するように、前記主軸上に配置されていることを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項10】
前記反射内壁は、2個の前記放射源及び前記検出器の間に接続領域(134)を有し、
該接続領域は、縦方向に沿って、前記回転楕円体の曲率にならうが横断方向には湾曲しない楕円筒状外被の一部として形成され、
前記接続領域の平坦な突起は矩形であることを特徴とする請求項9記載のガスセンサアレー。
【請求項11】
前記反射内壁は、2個の前記放射源及び前記検出器の間に接続領域(134)を有し、
該接続領域は、縦方向に沿って、前記回転楕円体の曲率にならうが横断方向には湾曲しない楕円筒状外被の一部として形成され、
前記接続領域の平坦な突起は台形であることを特徴とする請求項9記載のガスセンサアレー。
【請求項12】
前記ガス計測室の温度の監視用に少なくとも1個の温度センサが設けられていることを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項13】
前記ハウジングは、射出成形手法を用いてプラスチック材料から製造され、
前記反射コーティングは金属コーティングの形態をとることを特徴とする請求項1ないし12のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。
【請求項14】
前記反射コーティングは、スパッタリング、蒸着又は電気めっきにより付けられる金層であることを特徴とする請求項13記載のガスセンサアレー。
【請求項15】
二酸化炭素ガスの存在及び二酸化炭素ガスの濃度の一方又は両方を検出するよう設計されていることを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか1項記載のガスセンサアレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−147613(P2007−147613A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310881(P2006−310881)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(502288920)タイコ・エレクトロニクス・レイケム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Raychem GmbH
【Fターム(参考)】