説明

ガスタービンエンジンにおけるブリード通路用のブリード構造体

本発明は、ガスタービンエンジンにおけるブリード通路用のブリード構造体であって、通路用の開口部の第1側部を画定する第1壁部分(18)と、開口部の第1側部と反対の第2側部を画定する第2壁部分(19)とを有するブリード構造体に関する。第1及び第2壁部分(18、19)は、該開口部の延出方向において異なった位置で終端する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンにおけるブリード通路用のブリード構造体であって、通路用の開口部の第1側部を画定する第1壁部分と、開口部の第1側部と反対の第2側部を画定する第2壁部分とを有するブリード構造体に関する。ブリード構造体はガスタービンエンジン内に、第1壁部分がブリード通路開口部の上流側に位置し、第2壁部分が開口部の下流側に位置するように配置されることが意図される。
【背景技術】
【0002】
ブリード構造体は、静止ガスタービンエンジンに使用されることができるが、航空機ジェットエンジン用に特に有利である。ジェットエンジンとは、比較的低速で空気を受け入れ、燃焼によってそれを加熱し、はるかにより高速でそれを発射するさまざまなタイプのエンジンを含むものとする。ジェットエンジンという表現には、たとえばターボジェットエンジン及びターボファンエンジンが含まれる。本発明はターボファンエンジンについて以下に説明されるが、もちろん、他のエンジンタイプにも使用されるであろう。
【0003】
ターボファンタイプの航空機ガスタービンエンジンは一般的に、前側ファン及びブースタ圧縮機と、中間コアエンジンと、後側低圧出力タービンとを有する。コアエンジンは、高圧圧縮機と、燃焼器と、高圧タービンとを直列関係に有する。コアエンジンの高圧圧縮機及び高圧タービンは、高圧シャフトによって相互連結されている。高圧圧縮機、タービン及びシャフトは、実質的に高圧ロータを形成する。高圧圧縮機を回転駆動し、それにより、コアエンジンに入った空気を比較的高圧まで圧縮する。次に、この高圧空気を燃料と燃焼器内で混合して点火し、それにより、高エネルギガス流を形成する。ガス流は、後方へ流れて高圧タービンを通過し、それと高圧シャフトとを回転駆動し、その高圧シャフトが次に、高圧圧縮機を回転駆動する。
【0004】
高圧タービンから出るガス流は、第2の低圧タービンを通って膨張する。低圧タービンは、低圧シャフトを介してファン及びブースタ圧縮機を回転駆動し、これらのすべてが低圧ロータを形成する。低圧シャフトは、高圧ロータを貫通している。生成される推力のほとんどが、ファンによって発生する。
【0005】
航空機エンジンに流入する空気流の一部は、内側の主ガスダクトに入り、それが空気を圧縮機に案内し、また流入空気流の一部は、外側の補助ガスダクト(ファンダクト)に入り、その内部をエンジンバイパス空気が流れる。
【0006】
既知の航空機エンジンでは、主ガスダクト及び補助ガスダクト間にブリード通路が延在している。既知の構造では、可変ブリード通路システムが、空気を主ガスダクトから補助ガスダクトへブリードするように適応されている。一定の作動状態では、圧縮空気が、主ガスダクトからブリード通路を経てブリードし、補助ガスダクト内の高速ガス流内に導入される。
【0007】
ブリード空気がエンジンの安定性又は効率に悪影響を与える、又は振動問題を発生させる危険がある。ブリード空気がファンダクト内でガス流に出会うとき、小さいエアクッションが発生し、これにより、出口の前端部の圧力が局部的に増加する。この増加圧力により、ブリードガス流の分布が不均一になり、これは損失をもたらす。より具体的に言うと、エンジンの軸方向に所定の広がりを持つ出口の場合、ブリードガスは、出口の下流側端部では、出口の小部分を通ってガスダクトに流入するだけであろう。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、ガスタービンエンジン用のブリード構造体であって、エンジンの作動に悪影響を与えないか、少なくとも悪影響を最小限に抑えながら、有効ブリードを得るための状態を生じる、ブリード構造体を達成することである。より具体的に言うと、本発明は、空気を取り出すガスダクト内、及び/又はブリード空気を導入するガスダクト内のガス流に大した悪影響を与えることなく、ブリード通路内の流れ分布を改善することを目的とする。
【0009】
この目的は、第1及び第2壁部分が、ブリード通路開口部の延在方向において異なる位置で終端することで達成される。したがって、第1及び第2壁部分は、ブリード通路内においてブリード流の方向で異なる位置で終端する。言い換えると、第1及び第2壁部分は、開口部を画定する壁に平行な平面に対して垂直方向に異なる位置で終端する。
【0010】
ブリード通路出口でのそのような開口部構造は、ブリード通路内のガス流内により好都合な圧力分布を得るための状態を生じる。同様に、ブリード通路入口でのそのような開口部構造は、ブリード通路内により好都合な圧力分布を得るための状態を生じる。
【0011】
開口部構造は、ブリード貫通流を十分な程度に、且つ意図した方向に確保するために、圧縮機部分及び補助ガスダクト(ファンダクト)間で圧力差が小さい、主ガスダクト及び補助ガスダクト間のブリードの用途に特に有利である。開口部構造は、ブリード開口部用に利用可能な空間が限定されている用途で、さらに有利である。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、ブリード通路出口の場合、上流壁部分が、上記ブリード通路開口部と向き合ってガスダクトを画定する壁に対して下流側の壁部分より近い位置で終端する。その場合、導入されたブリードガスの速度は、ガスタービンの軸方向において出口である程度は均一化されることができ、従来技術の場合より多くのブリード流を導入することができる。言い換えると、ブリードガスは、出口のより大きい部分を通ってガスダクトに流入するであろう。
【0013】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、第1及び第2壁部分の一方が、構造体の隣接面に比べて隆起している。出口でのこの開口部構造は、大きいブリード空気流をガスダクトに導入するための状態を生じる。
【0014】
本発明のさらに好適な実施形態によれば、第1及び第2壁部分の他方は、構造体の隣接面と面一である。出口でのこの開口部構造は、ブリード空気を導入するガスダクト内の通過ガス流に大した悪影響を与えないための状態を生じる。
【0015】
本発明のさらなる好適な実施形態によれば、第1及び第2壁部分の一方が、構造体の隣接面に比べて下がっている。入口でのこの開口部構造は、ブリード空気を抜き出すガスダクト内の通過ガス流に大した悪影響を与えないための状態を生じる。
【0016】
本発明のさらなる好適な実施形態によれば、上記第1及び第2壁部分の少なくとも一方から隣接のガスダクト壁への移行部が平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。移行部分は好ましくは平滑で連続し、ほぼ平坦である。
【0017】
本発明のさらなる好適な実施形態によれば、通路内のガス流を案内するために、それは上記ブリード通路開口部内に少なくとも1つのエーロフォイルを有する。エーロフォイルにより、ブリード空気をブリード通路へ/ブリード通路から所望方向に案内することができる。さらに、エーロフォイルは、設定された軸方向距離内でブリード流をより大きく偏向させるための状態を生じる。
【0018】
本発明のさらなる有利な実施形態及びさらなる利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付図面に示された実施形態を参照しながら本発明を説明する。
【0020】
ターボファンガスタービン航空機エンジン1について本発明を以下に説明し、これは、図1では、エンジン長手中心軸2を中心に描かれている。エンジン1は、外側ケーシング3又はナセルと、内側ケーシング4と、中間ケーシング5とを有し、中間ケーシングは最初の2つのケーシングに対して同心状であって、それらの間の隙間を、空気圧縮用の内側主ガスダクト6と、エンジンバイパス空気が流れる補助ダクト7とに分割している。したがって、ガスダクト6、7の各々は、エンジン長手中心軸2に対して垂直な断面において環状である。
【0021】
エンジン1は、周囲空気9を受け取るファン8と、主ガスダクト6内に配置されたブースタ又は低圧圧縮機(LPC)10及び高圧圧縮機(HPC)11と、燃料を高圧圧縮機11によって加圧された空気と混合して燃焼ガスを生成する燃焼器12とを有し、燃焼ガスは、下流に向かって高圧タービン(HPT)13及び低圧タービン(LPT)14を通過して、燃焼ガスは低圧タービン14からエンジン外へ排出される。
【0022】
高圧シャフトが、高圧タービン13を高圧圧縮機11に結合し、それにより、高圧ロータを形成する。低圧シャフトが、低圧タービン14を低圧圧縮機10に結合し、それにより、低圧ロータを形成する。高圧圧縮機11、燃焼器12及び高圧タービン13は、ひとまとめにしてコアエンジンと呼ばれる。低圧シャフトは、高圧ロータの半径方向内側でそれと同軸状に、少なくとも部分的に回転可能に配置されている。
【0023】
荷重担持エンジン構造体15が、外側ケーシング3及び内側ケーシング4間に配置されている。
【0024】
円周方向に離間配置された複数のブリード通路16が、主ガスダクト6及び補助ガスダクト7間に延在している。ブリード通路16は、空気を主ガスダクト6から補助ガスダクト7へ、さらに具体的に言うと、低圧圧縮機10の端部領域から送るための流路を画定する。ブリード通路入口が、低圧圧縮機10内の上流側ロータ及び下流側ステータ間の隙間に配置されている。
【0025】
図2は、補助ガスダクト7に通じるブリード通路出口を形成するブリード構造体17の第1実施形態の破断側面図を示す。構造体17は、出口の前縁を形成する第1上流側壁部分18を有する。構造体17はさらに、出口の後縁を形成する第2下流側壁部分19を有する。第1及び第2壁部分18、19は、通路16の延在方向において異なった距離で終端している。
【0026】
ガスダクト7を画定する壁23は、ブリード開口部(出口)全体にわたってほぼ同一高さにある。したがって、壁23は、開口部を横切るほぼ直線に沿って延在する。
【0027】
より具体的に言うと、上流側壁部分18は、構造体及びガスダクト壁23の隣接面に比べて隆起している。さらに、上流側壁部分18は、下流側壁部分19に比べて隆起しており、それにより、ダクト7内の空気流107が、出口から幾分半径方向に離れる向きになり、それにより、出口の外側に低圧領域が生じる。ファンガスダクト流の不連続性を低減させるために、上流側壁部分18を平滑化するとともに流線形の丸味を付けている。さらに、上記上流側壁部分18から隣接のガスダクト壁23への移行部が平らであり、それにより、通過ガス流107に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。
【0028】
隆起した上流側壁部分18は、出口の上流側に沿って、構造体の円周方向に延びる細長い突出部分を形成しており、図5も参照されたい。下流側壁部分19は、構造体及びガスダクト壁23の隣接面とほぼ面一である。下流側壁部分19から隣接のガスダクト壁23への移行部は平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。さらに、出口17に面する下流側壁部分19の端部20が面取りされて、ブリードガス116がブリード通路16からガスダクト7へ流れる流路を画定している。
【0029】
ブリードガス流116を補助ガスダクト7へ案内するために、4枚のエーロフォイル21(静翼)が、出口内に互いにほぼ平行に配置されており、図5も参照されたい。エーロフォイル21は、エンジン1の軸方向2に互いに離間配置されている。
【0030】
ブリード通路16は、補助ガスダクト7内の通過ガス流107に対して大きい傾斜を付けてガスを偏向させるための流路を画定する。好ましくは、ガスを通過ガス流に対して少なくとも45°の角度、特に少なくとも60°の角度を付けて偏向させる。さらに具体的に言うと、図示の実施形態では、ガスを通過ガス流に対してほぼ直角に偏向させる。
【0031】
図3は、補助ガス通路7に通じるブリード通路出口を形成する構造体22の代替実施形態を示す。上流側壁部分24は、構造体及びガスダクト壁25の隣接面とほぼ面一である。さらに、上記上流側壁部分24から隣接のガスダクト壁25への移行部が平らであり、それにより、通過ガス流107に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。
【0032】
下流側壁部分26は、構造体及びガスダクト壁25の隣接面に比べて下がっている。さらに具体的に言うと、下がっている壁部分26は、出口の下流側に沿って伸長且つ延在している。さらに、下がった壁部分26は曲線状であり、ガス流に面する平滑な連続面を示す。下流側壁部分26から隣接のガスダクト壁25への移行部が平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。ファンガスダクト流107の不連続性を低減させるために、下流側壁部分26には流線形の丸味が付けられている。ブリードガス流116を補助ガスダクト7へ案内するために、4枚のエーロフォイル27が、出口内に互いにほぼ平行に配置されている。
【0033】
図4は、図1及び図2の出口ブリード構造体17の斜視図を示す。ブリード構造体17は、補助ガスダクト7の内壁23に貫設された、円周方向に離間配置された複数のブリード通路出口を有する環状部品を形成する。矩形フレーム28が各出口を取り囲んでおり、図5も参照されたい。フレームは、図5に示すように、フランジ31、32によって互いに結合され、それにより、上記環状部品を形成している。構造体17は、隣接フレームに連結するための手段50、51を有する。連結手段は、たとえば、ボルト連結部を有してもよい。貫通穴50、51が、上記連結手段用に各フランジ31、32に貫設されている。
【0034】
フレーム28は、上記の上流側壁部分18及び下流側壁部分19を有する。したがって、フレーム28は、ガスダクト壁23内のスロット又は開口内に位置付けられた分離部材片である。フレーム28は、スロット又は開口を画定するガスダクト壁の縁部に対して、フレームがガスダクト壁に対してほぼ面一になり、それにより、通過ガス流がフレームの縁部によって擾乱されないように、配置される。
【0035】
図4に示した実施形態によれば、「ブリード構造体」という表現は、環状構成部品を形成する複数のフレームを有する。代替例によれば、ブリード構造体は、ユニゾンリングを形成する。さらなる代替例によれば、「ブリード構造体」という表現は、1つ又は複数の開口部を取り囲む単一フレームを有する。
【0036】
図5は、矩形開口部及び格子状のエーロフォイル21を有する矩形フレームを設けたブリード構造体17を示す。エーロフォイル21は、矩形フレームの2つの対向側部間に延在して、フレームに固着されている。エーロフォイル21は、上流側及び下流側壁部分18、19に平行に配置されている。伸長した突出部分18は、ガスタービンの円周方向に丸み付き縁部を有する。図6は、代替ブリード構造体52を示す。伸長した突出部分18は、両端部で、開口部の隅部分の周囲に一定長さにわたって延在している。図7は、ほぼ円形の開口部を有する矩形フレームを備えるさらなる代替ブリード構造体29を示す。図8は、ほぼ楕円形の開口部を有する矩形フレームを備えるさらなる代替ブリード構造体30を示す。図9は、さらに別の代替ブリード構造体53を示す。伸長した突出部分18は、両端部で、開口部の湾曲外周の周囲に一定長さにわたって延在している。4つの代替ブリード構造体29、30、52、53の各々は、隆起した上流側壁部分18と、格子状のエーロフォイル21とを有する。
【0037】
図10は、航空機エンジンの圧縮機部分を示す。さらに具体的に言うと、低圧圧縮機10及び高圧圧縮機11の領域が示されている。負荷担持エンジン構造体15の上流側の位置で補助ガスダクト7から空気をブリードするために、ブリード通路55が配置されている。ブリードされた空気は、主ガスダクト6のガス流内に導入される、又はエンジン構成部品などの冷却に使用されてもよい。ブリード通路55の入口が、補助ガスダクト7を画定する内壁内に配置されている。
【0038】
負荷担持エンジン構造体15の下流側の位置で補助ガスダクト7から空気をブリードするために、さらなるブリード通路56が配置されている。ブリードされた空気は、タービンの冷却用に下流へ送られるが、代替として、主ガスダクト6のガス流に導入される、又は他のエンジン構成部品の冷却に使用されてもよい。ブリード通路56の入口が、補助ガスダクト7を画定する内壁内に配置されている。
【0039】
図11は、ブリード通路入口構造体33の第1実施形態を示す。入口ブリード構造体33は、ガスを抜き取るガスダクトを画定する壁34内に配置されている。一例によれば、ガスダクト35は、図1の補助ガスダクト7によって形成されてもよく、図10を参照されたい。
【0040】
ガスダクト7を画定する壁34は、ブリード開口部(入口)全体にわたってほぼ同一高さにある。したがって、壁34は、開口部を横切るほぼ直線に沿って延在する。
【0041】
ブリード通路55、56は、補助ガスダクト7内の通過ガス流に対して大きい傾斜を付けてガスを偏向させるための流路を画定する。好ましくは、ガスを通過ガス流に対して少なくとも45°の角度、特に少なくとも60°の角度を付けて偏向させる。さらに具体的に言うと、図示の実施形態では、ガスを通過ガス流に対してほぼ直角に偏向させる。
【0042】
上流側壁部分36は、構造体及びガスダクト壁34の隣接面に比べて下がっている。さらに、上記上流側壁部分36から隣接のガスダクト壁34への移行部が平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。下流側壁部分37は、構造体及びガスダクト壁34の隣接面とほぼ面一である。下流側壁部分37から隣接のガスダクト壁34への移行部は平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられる。さらに具体的に言うと、下がっている壁部分36は、入口の上流側に沿って伸長且つ延在している。下がっている壁部分36は、ガスダクト壁34から離れるように延在して、ガスダクト35からブリード通路38へ進むブリードガス用の流路を画定している。さらに、下がった壁部分36は曲線状であり、ガス流に面する平滑な連続面を示す。ガスダクト流の不連続性を低減させるために、上流側壁部分36には流線形の丸味が付けられている。
【0043】
ブリードガス流をガスダクト35から案内するために、複数のエーロフォイル39が、入口内に互いにほぼ平行に配置されている。
【0044】
図12は、ブリード通路入口構造体40の第2実施形態を示す。入口ブリード構造体40は、ガスを抜き取るガスダクト42を画定する壁41内に配置されている。構造体40は、第1上流側壁部分43及び第2下流側壁部分44を有する。上流側壁部分43は、構造体及びガスダクト壁34の隣接面とほぼ面一である。さらに、入口に面する上流側壁部分43の端部45が面取りされて、ブリードガスがガスダクト42からブリード通路46へ流れる流路を画定している。ガスダクト流の不連続性を低減させるために、上流側壁部分43を平滑化するとともに流線形の丸味を付けている。ブリードガス流をガスダクト42から案内するために、複数のエーロフォイル47が、入口内に互いにほぼ平行に配置されている。
【0045】
下流側壁部分44は、構造体及びガスダクト壁41の隣接面に比べて隆起している。さらに、下流側壁部分44は、上流側壁部分43に比べて隆起している。隆起した下流側壁部分44は、入口の下流側に沿って、構造体の円周方向に延びる細長い突出部分を形成している。下流側壁部分44は、入口に面するほぼ平坦な表面48を有し、また、ガスダクト流の不連続性を低減させるために、ガスダクト7に面する表面49を平滑化するとともに流線形の丸味を付けている。
【0046】
図11及び図12のブリード通路入口構造体はさらに、図5〜図9のいずれかに示されたものと同様なフレーム構造を有してもよい。
【0047】
ブリード通路開口部を画定する壁部分は好ましくは静止している、すなわち、互いに対して不変である。
【0048】
本発明はまた、上記ブリード構造体を有するガスタービンエンジン用の配置構成に関する。本配置構成は、エンジン用の主ガスダクト6の一部分と、エンジン用の補助ガスダクト7の一部分と、主ガスダクト部分及び補助ガスダクト部分の少なくとも一方に接続された上記少なくとも1つのブリード通路16とを有する。そのような配置構成は、個別ユニットを形成するように作製されてもよく、その個別ユニットを他のユニットと組み合わせ、それによってエンジンを増強することができる。
【0049】
本発明は、いずれの意味でも上記実施形態に制限されることはなく、添付の特許請求の範囲から逸脱しない限り、多くの代替及び変更が可能である。
【0050】
ブリード構造体が、円周方向に離間配置された複数のブリード通路開口部を有する環状部品を形成する実施形態の代替例によれば、それは、構造体の円周方向に連続したスロットを有する環状部品を形成してもよい。
【0051】
さらなる代替例によれば、ブリード通路は、空気を主ガスダクト6から補助ガスダクト7に送るために、ブリード通路が燃焼器12の下流側に配置される。より具体的に言うと、それは、高圧タービン13と低圧タービン14との間に配置されることができる。
【0052】
さらなる代替例によれば、出口構造は、外側ガスダクトの半径方向内側の壁に貫設して配置されることに制限されないで、主ガスダクト6のような内側ガスダクトの半径方向外側の壁に配置されてもよい。
【0053】
さらなる代替例によれば、入口構造は、ガスを半径方向内側に抜き出すために外側ガスダクトの半径方向内側の壁に貫設して配置されることに制限されないで、ガスを半径方向外向きに抜き出すために主ガスダクト6のような内側ガスダクトの半径方向外側の壁に配置されてもよい。
【0054】
さらに、入口構造は、主及び補助ガスダクト間のブリード通路に通じる入口を形成することに制限されない。入口構造は、タービン冷却システム、航空機システムなどのような補助システムに空気を送るために、ガスダクトから出るブリード通路用に使用されてもよい。
【0055】
さらに、各ブリード通路開口部内のエーロフォイルの数はもちろん、図面に示した4枚のエーロフォイルと異なってもよい。
【0056】
さらに、ブリード構造体が、円周方向に離間配置された複数のブリード通路開口部を有する環状部品を形成する実施形態の代替例として、開口部の一部、たとえば、円周方向に1つ置きの開口部にエーロフォイルがない。さらなる代替実施形態によれば、ブリード構造体にエーロフォイルがまったくない。
【0057】
円形の中断しない連続リング、すなわち、隣接フレーム間に急激な移行部が全くないリングを形成するために、好ましくはフレームには、ガスダクトの円周方向に丸味が付けられる。
【0058】
以上に本発明を2軸エンジン用に説明してきたが、本発明はもちろん、単軸エンジン又は3軸エンジンに適用されてもよい。
【0059】
図4及び図5に示したブリード構造体の代替実施形態によれば、フレームは、環状支持部材に締着される。したがって、そのような構造では、フレームが互いに直接的に連結されないで、環状支持部材に連結される。したがって、連結手段用の穴を有するフランジは、フレーム開口面に対して垂直に延在するのではなく、フレームと一直線に並べて配置される。
【0060】
ブリード構造体の代替実施形態によれば、それぞれの開口部の周囲にフレームがない。したがって、開口部は、直接的にガスダクト壁で終端する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】航空機エンジンを概略的な破断側面図で示す。
【図2】ブリード構造体の出口構造の第1実施形態の破断側面図を示す。
【図3】ブリード構造体の出口構造の第2実施形態の破断側面図を示す。
【図4】図2のブリード構造体を有するガスタービンエンジン構成部品の概略的な斜視図を示す。
【図5】図2のブリード構造体の斜視図を示す。
【図6】代替実施形態に従ったブリード出口構造体を示す。
【図7】代替実施形態に従ったブリード出口構造体を示す。
【図8】代替実施形態に従ったブリード出口構造体を示す。
【図9】代替実施形態に従ったブリード出口構造体を示す。
【図10】代替実施形態に従った航空機エンジンの破断部分を概略的な側面図で示す。
【図11】ブリード構造体の入口構造の第1実施形態の破断側面図を示す。
【図12】ブリード構造体の入口構造の第2実施形態の破断側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(1)におけるブリード通路(16、55、56)用のブリード構造体(17、22、29、30、33、40、52、53)において、通路用の開口部の第1側部を画定する第1壁部分(18、24、36、43)と、開口部の第1側部と反対の第2側部を画定する第2壁部分(19、26、37、44)とを有するブリード構造体であって、第1及び第2壁部分(18、24、36、43;19、26、37、44)は、ブリード通路開口部の延出方向において異なった位置で終端することを特徴とする、ブリード構造体。
【請求項2】
第1及び第2壁部分の一方(18、44)が、構造体の隣接面に比べて隆起していることを特徴とする、請求項1に記載のブリード構造体。
【請求項3】
隆起壁部分は、開口部の前記側部に沿って伸長した突出部分(18、44)を形成することを特徴とする、請求項2に記載のブリード構造体。
【請求項4】
第1及び第2壁部分の一方(26、36)が、構造体の隣接面に比べて下がっていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項5】
下がった壁部分(26、36)は、開口部の前記側部に沿って伸長且つ延在することを特徴とする、請求項4に記載のブリード構造体。
【請求項6】
第1及び第2壁部分の他方(19、24、37、43)は、構造体の隣接面と面一であることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項7】
前記ブリード通路開口部内に少なくとも1つのエーロフォイル(21、27、39、47)を有し、それにより、通路内のガス流を案内するようにしたことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項8】
複数のエーロフォイル(21、27、39、47)が、前記ブリード通路開口部内に互いにほぼ平行に配置されることを特徴とする、請求項4に記載のブリード構造体。
【請求項9】
開口部を取り囲む少なくとも1つのフレーム(28)を有すること、及びフレーム(28)は、前記第1及び第2壁部分(18、19)を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項10】
円周方向に離間配置された複数のブリード通路開口部を有する環状部品(17)を形成することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項11】
通路開口部は、構造体の円周方向に連続したスロットを形成することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項12】
ブリード通路開口部は、ブリード通路出口を形成することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項13】
ブリード通路開口部は、ブリード通路入口を形成することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項14】
前記第1壁部分(18、24、36、43)から隣接のガスダクト壁(23、25、34、41)への移行部は平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項15】
前記第2壁部分(19、26、37、44)から隣接のガスダクト壁(23、25、34、41)への移行部は平らであり、それにより、通過ガス流に対してブリードによって発生するいずれの擾乱も最小限に抑えられることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項16】
ブリード通路(16、55、56)は、通過ガス流に対して大きい傾斜を付けてガスを偏向させるための流路を画定することを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載のブリード構造体。
【請求項17】
ガスタービンエンジン(1)用のブリード配置構成において、エンジン用の主ガスダクト(6)の一部分と、エンジン用の補助ガスダクト(7)の一部分と、主ガスダクト部分及び補助ガスダクト部分の少なくとも一方に接続された少なくとも1つのブリード通路(16、55、56)とを有するブリード配置構成であって、先行する請求項のいずれかに記載のブリード構造体(17、22、29、30、33、40、52、53)を有すること、及び構造体は、第1壁部分(18、24、36、43)が開口部の上流側に位置し、第2壁部分(19、26、37、44)が開口部の下流側に位置するように配置されることを特徴とする、ブリード配置構成。
【請求項18】
ブリード通路(16、55、56)は、主ガスダクト部分及び補助ガスダクト部分間に延在することを特徴とする、請求項17に記載のブリード配置構成。
【請求項19】
主ガスダクト(6)と、補助ガスダクト(7)と、主ガスダクト(6)及び補助ガスダクト(7)の少なくとも一方に接続された少なくとも1つのブリード通路(16、55、56)とを有するガスタービンエンジンであって、請求項1乃至16のいずれかに記載のブリード構造体(17、22、29、30、33、40、52、53)を有すること、及び構造体は、第1壁部分(18、24、36、43)が開口部の上流側に位置し、第2壁部分(19、26、37、44)が開口部の下流側に位置するように配置されることを特徴とする、ガスタービンエンジン。
【請求項20】
ブリード通路(16、55、56)は、ガス流を主ガスダクト(6)から補助ガスダクト(7)へブリードするように配置されることを特徴とする、請求項19に記載のガスタービンエンジン。
【請求項21】
前記ブリード構造体(17、22、29、30)は、前記ブリード通路(16)の出口に配置されることを特徴とする、請求項20に記載のガスタービンエンジン。
【請求項22】
前記ブリード構造体(33、40)は、前記ブリード通路の入口に配置されることを特徴とする、請求項20又は21に記載のガスタービンエンジン。
【請求項23】
主ガスダクト(6)と、補助ガスダクト(7)と、主ガスダクト(6)及び補助ガスダクト(7)間に延在する少なくとも1つのブリード通路(16)とを有する航空機エンジンであって、請求項1乃至16のいずれかに記載のブリード構造体(17、22、29、30、33、40)を有することを特徴とする、航空機エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−531914(P2008−531914A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556995(P2007−556995)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000204
【国際公開番号】WO2006/091142
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(500204267)ボルボ エアロ コーポレイション (26)
【Fターム(参考)】