説明

ガスバリアフィルムおよびデバイス

【課題】ガスバリア性に優れ、かつ、耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム1と、第一の有機層2と、無機層3と、最表有機層4とを該順に有し、最表有機層4の厚さが、0.3μm以上であり、最表有機層4の厚さをaとし、第一の有機層2の厚さをbとしたとき、a/b≧2であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子等のデバイスの基板等に用いるガスバリアフィルムおよび該ガスバリアフィルムを用いたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバリアフィルム(酸素や水蒸気を遮蔽するフィルム)を有機EL素子等のデバイスの基板等の封止に用いる場合、有効面積をできるだけ大きくすることが望まれる。より具体的には、ある一定サイズのガスバリアフィルムを所望のサイズに合うように裁断し有機ELパネル等を作成する際、その周囲あるいは側部を切断して除去する際の幅、いわゆる「捨て寸」を短くすることが望まれる。捨て寸はより短い方が望ましいが、具体的には5mm以内であることが求められている。フィルムを切断する工程では微視的な屈曲現象が起こるので、捨て寸を小さくして、ガスバリアフィルムに損傷等を与えずに適切に切断するには、ガスバリアフィルムの耐屈曲性が高いことが求められる。
【0003】
特許文献1には、有機層と、無機薄膜と、塗工層とから成るガスバリア性積層体であって、23℃の大気中においてナノインデント法により測定した塗工層の硬度が0.1〜0.5GPaであり、塗工層上に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層して成るガスバリア性積層体が開示されている。しかしながら、この文献は高温での熱水処理後の酸素バリア性を維持することを目的にしているために最上層がポリプロピレンであることが不可欠となっている。ポリプロピレンは有機EL素子に用いる場合、阻害因子となってしまう。
また、特許文献2には、リン酸エステル基を有するアクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させてなる有機層を有するガスバリアフィルムが耐屈曲性に優れることが開示されている。しかしながら、耐屈曲性の点では不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−68967号公報
【特許文献2】特開2007−290369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、ガスバリアフィルムにおける耐屈曲性は重要な課題であるが、未だ完全に解決されていない。ガスバリア性を高めようとして、例えば積層数を多くすると耐屈曲性が劣る傾向にある。本発明はガスバリア性に優れ、かつ、耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題のもと、本願発明者は基材フィルム上に有機層と無機層を有するガスバリアフィルムにおいて、最表層として厚い有機層を設置することによって、無機層に伝播する曲げ応力を軽減させ、かつ中間層としての有機層を設け、最表有機層と中間層の有機層の厚さの比を様々な条件で変えることを試みることによって、バリア性を維持しつつ、耐屈曲性を良好に維持することが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
具体的には、以下の手段により、本発明の課題は達成された。
(1)基材フィルムと、第一の有機層と、無機層と、最表有機層とを該順に有し、最表有機層の厚さが、0.3μm以上であり、最表有機層の厚さをaとし、第一の有機層の厚さをbとしたとき、a/b≧2であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。
(2)前記第一の有機層と、無機層と、最表有機層が連続して積層している、(1)に記載のガスバリアフィルム。
(3)最表有機層の硬度が、ナノインデンテーション法で0.03〜0.5GPaである、(1)または(2)に記載のガスバリアフィルム。
(4)第一の有機層と最表有機層とが同じ組成の有機層である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(5)第一の有機層および最表有機層が、それぞれ、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させることによって得られる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(6)無機層を2層以上有することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(7)最表有機層の厚さが0.3〜10μmである、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(8)さらに、基材フィルムの、最表有機層が設けられている面と同一面に、易接着層を有する、( 1)〜(7)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有するデバイス。
(10)前記デバイスが有機EL素子である、(9)に記載のデバイス。
(11)基材フィルムと、第一の有機層と、無機層と、最表有機層とを該順に有し、最表有機層の厚さが、0.3μm以上であるガスバリアフィルムの製造方法であって、第一の有機層と最表有機層とを、同じ組成の塗布液を用いて塗布し、かつ、最表有機層の塗布厚さをa’とし、第一の有機層の塗布厚さをb’としたとき、a’/b’≧2であることを特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、バリア性に優れ、かつ、耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のガスバリアフィルムの実施形態の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のガスバリアフィルムの実施形態の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含む意味で使用される。
【0011】
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルムと、第一の有機層と、無機層と、最表有機層を該順に有し、前記最表有機層の厚さが、0.3μm以上であり、前記最表有機層の厚さをaとし、前記第一の有機層の厚さをbとしたとき、a/b≧2であることを特徴とする。このような層構成とすることにより、耐屈曲性が向上し、ガスバリアフィルムを切断する際の捨て寸を小さくすることが可能になる。
図1は、本発明のガスバリアフィルムの実施形態の一例を示した図であって、1は基材フィルムを、2は第一の有機層を、3は無機層を、4は最表有機層をそれぞれ示している。本実施形態では、第一の有機層と、無機層と、最表有機層が連続して積層しているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で機能層等の他の層が含まれていてもよい。好ましくは、第一の有機層と、無機層と、最表有機層が連続して積層している構成である。
本発明では、最表有機層の厚さをaとし、第一の有機層の厚さをbとしたとき、a/b≧2であるが、好ましくは、a/b≧2.5であり、より好ましくは、a/b≧3である。
本発明では、最表有機層の厚さが、0.3μm以上であり、好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1.0μm以上である。上限値については、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、好ましくは10μm以下である。このように、最表有機層の厚さを厚くして、かつ、最表有機層の厚さと第一の有機層の厚さの比を所定の範囲とすることにより、耐屈曲性を向上させることができる。さらに本発明は、有機層の材料に関係なき適用できるため、その適用範囲は極めて広いという利点を有する。加えて、本発明では、最表有機層の厚さが厚いため、傷付きにくいという効果を奏する。特に、有機無機積層型ガスバリアフィルムでは傷付き易いため、かかる観点からも、本発明は極めて有益なものである。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、最表有機層の上に層が設けられている場合が考えられる。例えば、接着層や有機EL素子における発光層など、デバイスを組み立てる場合に必要とされる層や他の機能層等が考えられる。
【0012】
図2は、本発明のガスバリアフィルムの実施形態の他の一例を示したものであって、基材フィルム1上に、第二の有機層5、無機層3、第一の有機層2、無機層3、最表有機層4が設けられている。本実施形態の特徴は、無機層を2層設けたことにある。このように2層の無機層を設けることにより、バリア性がより向上する傾向にあり好ましい。さらに、本実施形態では、第二の有機層5も設けているが、さらに、1層以上の有機層および1層以上の無機層を積層してもよい。本発明におけるガスバリアフィルムは、通常、有機層と無機層が交互に積層される。
なお、本明細書中、前記第二の有機層とは、最表有機層とは別の有機層を表し、図2のように有機層が3層ある場合において、最表面から数えて3番目の有機層のことを第二の有機層と言う。以下、第三の有機層以降についても、同様に最表有機層とは別の有機層を表し、最表面から数えて4番目の有機層以降のことを表す。
【0013】
(最表有機層)
本発明における最表有機層は有機ポリマーを主成分とする、有機層であることが好ましい。ここで主成分とは、最表有機層を構成する成分の第一の成分が有機ポリマーであることをいい、通常は、最表有機層を構成する成分の80重量%以上が有機ポリマーであることをいう。
有機ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステルおよびアクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン等の有機珪素ポリマーなどが挙げられる。
【0014】
本発明における最表有機層は、好ましくは、重合性化合物を含む重合性組成物を硬化してなるものである。
(重合性化合物)
重合性化合物は、好ましくは、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物であり、より好ましくは、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物および/またはスチレン系化合物が好ましく、(メタ)アクリレート系化合物がさらに好ましい。
【0015】
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
【0016】
以下に、本発明で好ましく用いられる(メタ)アクリレート系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化1】

【0017】
【化2】

【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
(リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレート)
本発明の重合性組成物は、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートを含んでいることが好ましい。リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(P)で表される化合物が好ましい。リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートを含むことにより、無機層との密着が良くなる。
一般式(P)
【化7】

(一般式(P)中、Z1はAc2−O−X2−、重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、Z2はAc3−O−X3−、重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、Ac1、Ac2およびAc3はそれぞれアクリロイル基またはメタクリロイル基を表し、X1、X2およびX3はそれぞれアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基、またはこれらの組み合わせからなる基を表す。)
一般式(P)で表される化合物は、以下の一般式(P−1)で表される単官能モノマー、以下の一般式(P−2)で表される2官能モノマー、および以下の一般式(P−3)で表される3官能モノマーが好ましい。
一般式(P−1)
【化8】

一般式(P−2)
【化9】

一般式(P−3)
【化10】

【0023】
Ac1、Ac2、Ac3、X1、X2およびX3の定義は、一般式(P)における定義と同じである。一般式(P−1)および(P−2)において、R1は重合性基を有しない置換基または水素原子を表し、R2は重合性基を有しない置換基または水素原子を表す。
一般式(P)、(P−1)〜(P−3)において、X1、X2およびX3の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。X1、X2およびX3が採りうるアルキレン基の具体例、および、X1、X2およびX3が採りうるアルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基のアルキレン部分の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。アルキレン基は、直鎖状であっても分枝状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキレン基である。X1、X2およびX3として好ましいのは、アルキレン基である。
一般式(P)、(P−1)〜(P−3)において、重合性基を有しない置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、またはこれらを組み合わせた基などを挙げることができる。好ましいのはアルキル基、アルコキシ基であり、さらに好ましいのはアルコキシ基である。
アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であっても環状であっても構わないが、好ましいのは直鎖アルキル基である。アルキル基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アリール基の炭素数は、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。アリール基の具体例として、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基などで置換されていてもよい。
アルコキシ基のアルキル部分、アリールオキシ基のアリール部分については、上記アルキル基とアリール基の説明をそれぞれ参照することができる。
本発明では、一般式(P)で表されるモノマーを1種類だけ用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、組み合わせて用いる場合は、一般式(P−1)で表される単官能モノマー、一般式(P−2)で表される2官能モノマー、および一般式(P−3)で表される3官能モノマーのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、上記のリン酸エステル基を有する重合性モノマー類として、日本化薬(株)製のKAYAMERシリーズ、ユニケミカル(株)製のPhosmerシリーズ等、市販されている化合物をそのまま用いてもよく、新たに合成された化合物を用いてもよい。
【0024】
以下に、本発明で好ましく用いることができる、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートを例示するが本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0025】
【化11】

【0026】
リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートは、重合性組成物中に、0.01〜50重量%含有することが好ましく、0.1〜30重量%含有することがより好ましい。なお含有最大量は、本発明の重合性化合物と足し合わせて、重合性組成物中に、50重量%以下が好ましく、30重量%以下が好ましい。
このような範囲で含めることにより、硬化条件が不足した場合になっても未硬化物の熱移動による流出に起因する故障(ブリードアウト)が生じにくくなる。
【0027】
(重合開始剤)
本発明における最表有機層を、重合性化合物を含む重合性組成物を塗布硬化させて作成する場合、該重合性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
【0028】
(最表有機層の形成方法)
最表有機層の形成方法としては、特に定めるものではないが、例えば、溶液塗布法や真空成膜法により形成することができる。溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。本発明においてはポリマーを溶液塗布しても良いし、特開2000−323273号公報、特開2004−25732号公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。
【0029】
本発明では、通常、重合性化合物を含む組成物を、光照射して硬化させるが、照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を採用する場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm2以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
【0030】
最表有機層を構成する重合性モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とは重合性組成物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
【0031】
最表有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満が好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。最表有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、最表有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
最表有機層の硬度は高いほうが好ましい。最表有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。最表有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。最表有機層の微小硬度は、0.02〜0.5GPaであることが好ましく、0.03〜0.5GPaであることがより好ましく、0.03〜0.3GPaであることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、耐屈曲性が良化し耐傷性も実用上問題ないレベルまで良化するという効果が得られる。
【0032】
(第一の有機層、第二の有機層)
上記第一の有機層は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、その組成や製造方法、諸条件等は、特に定めるものではないが、好ましくは、層の厚さを除き、最表有機層と同じであることが好ましい。第一の有機層と最表有機層の組成を同じにすることにより、製造工程を容易にすることができる。例えば、第一の有機層および最表有機層を塗布により製造する場合、両層の組成が同一であれば、塗布量を変えるだけで、容易に製造することができる。すなわち、最表有機層の塗布厚さをa’とし、第一の有機層の塗布厚さをb’としたとき、a’/b’≧2であることが好ましい。
さらに、第二の有機層、第三の有機層を設ける場合も、同様に行うことができる。
【0033】
(無機層)
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、CeおよびTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物または酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、ZnおよびTiから選ばれる金属の酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましく、特にSiまたはAlの金属酸化物、窒化物または酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有してもよい。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm以下がより好ましい。無機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
【0034】
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。
【0035】
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。無機層を、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの真空製膜法で形成する場合、有機層も前記フラッシュ蒸着法のような真空製膜法で形成することが好ましい。バリア性積層体を作製する間、途中で大気圧に戻すことなく、常に1000Pa以下の真空中で有機層と無機層を積層することが特に好ましい。圧力は100Pa以下であることがより好ましく、50Pa以下であることがより好ましく、20Pa以下であることがさらに好ましい。
有機層および無機層の積層数は特に定めるものではないが、通常は、3〜30層である。
【0036】
(機能層)
本発明のガスバリアフィルムにおいては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、耐溶剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。特に本発明では、基材フィルムの、最表有機層が設けられている層と同一面に、易接着層を有することが好ましい。
【0037】
(基材フィルム)
本発明におけるガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。基材フィルムの好ましい範囲としては、特開2009−172993号公報の段落番号0009〜0012に記載のものを好ましく採用できる。
【0038】
<デバイス>
本発明のガスバリアフィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく用いることができる。前記デバイスの例としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等)等の電子デバイスを挙げることができ有機EL素子に好ましく用いられる。本発明のガスバリアフィルムは、デバイスの基板や固体封止法による封止のためのフィルムとして用いることができる。固体封止法とはデバイスの上に保護層を形成した後、接着剤層、ガスバリアフィルムを重ねて硬化する方法である。接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が例示される。
【0039】
(有機EL素子)
ガスバリアフィルム用いた有機EL素子の例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。
【0040】
(液晶表示素子)
液晶表示素子としては、特開2009−172993号公報の段落番号0044の記載を参酌することができる。
【0041】
(太陽電池)
本発明のガスバリアフィルムは、太陽電池素子の封止フィルムとしても用いることができる。ここで、本発明のガスバリアフィルムは、接着層が太陽電池素子に近い側となるように封止することが好ましい。本発明のガスバリアフィルムが好ましく用いられる太陽電池素子としては、特に制限はないが、例えば、単結晶シリコン系太陽電池素子、多結晶シリコン系太陽電池素子、シングル接合型、またはタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池素子、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池素子、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子、色素増感型太陽電池素子、有機太陽電池素子等が挙げられる。中でも、本発明においては、上記太陽電池素子が、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池素子であることが好ましい。
【0042】
(電子ペーパー)
本発明のガスバリアフィルムは、電子ペーパーにも用いることができる。電子ペーパーは反射型電子ディスプレイであり、高精細且つ高コントラスト比を実現することが可能である。
電子ペーパーは、基板上にディスプレイ媒体および該ディスプレイ媒体を駆動するTFTを有する。ディスプレイ媒体としては、従来知られているいかなるディスプレイ媒体でも用いることができる。電気泳動方式、電子粉粒体飛翔方式、荷電トナー方式、エレクトロクロミック方式等のいずれのディスプレイ媒体であっても好ましく用いられるが、電気泳動方式のディスプレイ媒体がより好ましく、なかでもマイクロカプセル型電気泳動方式のディスプレイ媒体が特に好ましい。電気泳動方式のディスプレイ媒体は、複数のカプセルを含むディスプレイ媒体であり、該複数のカプセルのそれぞれが懸濁流体内で移動可能な少なくとも1つの粒子を含む。ここでいう少なくとも1つの粒子は、電気泳動粒子または回転ボールであることが好ましい。また、電気泳動方式のディスプレイ媒体は、第1の面および該第1の面と対向する第2の面を有し、該第1および該第2の面の内の1つの面を介して観察イメージを表示する。
また、基板上に設けられるTFTは、少なくともゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層、ソース電極及びドレイン電極を有し、活性層とソース電極の間か活性層とドレイン電極の間の少なくとも一方に、電気的に接続する抵抗層をさらに有する。電子ペーパーは、電圧印加により光の濃淡を生じる。
【0043】
高精細なカラー表示の電子ディスプレイを製造する場合は、アライメント精度を確保するためにカラーフィルター上にTFTを形成することが好ましい。ただし、電流効率が低い通常のTFTで必要な駆動電流を得ようとしてもダウンサイジングに限界があるため、ディスプレイ媒体の高精細化に伴って画素内のTFTが占める面積が大きくなってしまう。画素内のTFTが占める面積が大きくなると、開口率が低下しコントラスト比が低下する。このため、透明なアモルファスIGZO型TFTを用いても、光透過率は100%にはならず、コントラストの低下は避けられない。そこで、例えば特開2009−021554号公報に記載されるようなTFTを用いることにより、画素内のTFTの占める面積を小さくして、開口率とコントラスト比を高くすることができる。また、この種のTFTをカラーフィルター上に直接形成すれば、高精細化も達成することができる。
【0044】
(その他)
その他の適用例としては、特表平10−512104号公報に記載の薄膜トランジスタ、特開平5-127822号公報、特開2002-48913号公報等に記載のタッチパネル等が挙げられる。
【0045】
(光学部材)
光学部材としては、特開2009−172993号公報の段落番号0046の記載を参酌することができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
1.ガスバリアフィルムの作製
易接着層つき、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン(株)製、テオネックスQ65FA)を20cm角に裁断し、その易接着層上に以下の手順で、有機層および無機層を形成した。
【0048】
(1−1)第二の有機層の形成
PENフィルム上に、重合性アクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、品番:EBECRYL3702、9g)、リン酸メタアクリレート(日本化薬(株)製、KAYAMER PM−21、1g)、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名:Cibaイルガキュアー907)0.6g、2−ブタノン190gからなる重合性組成物を、ワイヤーバーを用いて塗布し、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約1J/cm2)して有機層を硬化させ、膜厚が333nmの有機層を形成した。
【0049】
(1−2)無機層の形成
スパッタリング装置を用いて、前記第二の有機層の上に無機層(酸化アルミニウム層)を形成した。ターゲットとしてアルミニウムを、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素を用いた。製膜圧力は0.1Pa、到達膜厚は50nmであった。このようにして第二の有機層の上に無機層を積層した。
【0050】
(1−3)第一の有機層の形成
上記(1−1)と同様にして、第一の有機層を形成した。
【0051】
(1−4)無機層の形成
上記(1−2)と同様にして、無機層を形成した。
【0052】
(1−5)最表有機層の形成
上記(1−1)と同様にして、但し、有機層の膜厚が1.0μmとなるようにして、最表有機層を形成して、ガスバリアフィルムNo.1を得た。
【0053】
<硬度の測定>
得られたガスバリアフィルムの最表有機層の硬さを、特開2004−354842に記載の方法に従って測定した。
【0054】
<MOCON法による水蒸気透過率(バリア性)の測定>
水蒸気透過率測定器(MOCON社製、PERMATRAN−W3/31)を用いて、40℃/相対湿度90%における水蒸気透過率を測定した。この測定の検出限界値は0.005g/m2/dayである。
【0055】
<密着性の試験>
ガスバリアフィルムの密着性を評価する目的で、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行なった。上記層構成を有するガスバリアフィルムの表面にそれぞれカッターナイフで膜面に対して90°の切込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作製した。この上に2cm幅のマイラーテープ[日東電工製、ポリエステルテープ(No.31B)]を貼り付け、テープ剥離試験機を使用して貼り付けたテープをはがした。積層フィルム上の100個の碁盤目のうち剥離せずに残存したマスの数(n)をカウントした。
○:70マス以上。
△:50マス以上、70マス未満。
×:50マス未満。
【0056】
<耐屈曲性の試験>
屈曲は、各サンプルを成膜面外側にして円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1)で行った。試験後、光学顕微鏡でひび割れの有無を確認し、ひび割れの発生しない最大直径(mm)を屈曲性値とした。
【0057】
<耐傷性>
サンプルの成膜面側を0.05mmRサファイア針を装着した引っ掻き強度試験機(新東科学製、Type18)で試験を実施し、傷付き始める荷重を測定し引っ掻き強度(g)とした。
○:25g以上。
△:20g以上、25g未満。
×:20g未満。
【0058】
<捨て寸>
サンプルを裁断機で裁断した後でサンプルの裁断端部を光学顕微鏡で観察し、端部からのひび割れ発生長さを測定した。
【0059】
上記ガスバリアフィルムNo.1の作成において、最表有機層の厚さ(単位:μm)、最表有機層aと第一の有機層の厚さbの比(a/b)、リン酸アクリレートの添加の有無(添加:○、未添加:×)、基材フィルムの易接着層の有無(有:○、無:×)を以下のとおり代えた以外は同様に行って各実施例および比較例のガスバリアフィルムを作成した。
【0060】
【表1】

【0061】
上記表1から、本発明のガスバリアフィルムは、比較例のガスバリアフィルムと比較して、いずれもガスバリア性に優れ、かつ、耐屈曲性に優れていることがわかった。
【0062】
最表有機層の硬度を0.6GPaにした以外はガスバリアフィルムNo.1と同様にした場合について検討した。これらのガスバリアフィルムよりも、ガスバリアフィルムNo.1、No.10、No.11の方が、密着性評価が良好となることを確認した。
【0063】
2.有機EL素子の作成と評価
(2−1)有機EL素子の作成
ITO膜を有する導電性のガラス基板(表面抵抗値10Ω/□)を2−プロパノールで洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。この基板(陽極)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
(第1正孔輸送層)
銅フタロシアニン 膜厚10nm
(第2正孔輸送層)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチルベンジジン 膜厚40nm
(発光層兼電子輸送層)
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム 膜厚60nm
最後にフッ化リチウムを1nm、金属アルミニウムを100nm順次蒸着して陰極とし、その上に厚さ5μm窒化珪素膜を平行平板CVD法によって付け、有機EL素子を作成した。
【0064】
(2−2)有機EL素子上へのガスバリア層の設置
熱硬化型の接着剤(ダイゾーニチモリ(株)製、エポテック310)を用いて、ガスバリアフィルムの試料No.1と貼り合せ、65℃で3時間加熱して接着剤を硬化させた。このようにして封止された有機EL素子を20素子作成した。
【0065】
(2−3)有機EL素子発光面状の評価
作成直後の有機EL素子をKeithley社製SMU2400型ソースメジャーユニットを用いて7Vの電圧を印加して発光させた。顕微鏡を用いて発光面状を観察したところ、いずれの素子もダークスポットの無い均一な発光を与えることが確認された。
次に各素子を60℃・相対湿度90%の暗い室内に500時間静置した後、発光面状を観察した。直径300μmよりも大きいダークスポットが観察された素子の比率を故障率と定義し、素子の故障率を測定した。故障率は1%以下であった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
ガスバリアフィルムを有機EL素子等に用いる場合、一般的に、パネルの製造工程において表面の傷付きも問題になるが、本発明では、最表面の厚さを一定以上としているため、本発明の好ましい態様の一つでは、傷付きをより効果的に抑制することができる。
特に、本発明では、ガスバリアフィルムを用いて有機EL素子等を製造する場合の、ガスアリアフィルムの取り扱い性が向上する。これは、本発明のガスバリアフィルムは耐屈曲性に優れているため、裁断した際の捨て寸を5mm以下にでき、かつ、傷付きにくいためである。加えて、本発明のガスバリアフィルムは、有機層および無機層の材料が限定されないため、その適用範囲が広いという利点がある。
また、ガスバリアフィルムの層間の密着性も重要なパラメーターであるが、本発明の好ましい態様の一つでは、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、密着性を向上させることが可能になった。
さらに、本発明では、最表有機層と他の有機層を同じ組成とすることができ、このような構成とすることにより、生産効率を向上させることができる。
加えて、本発明ではガスバリアフィルムの端部のバリが軽減されるので、パーティクルによる工程汚染を防ぐことが可能になる。
【符号の説明】
【0067】
1 基材フィルム
2 第一の有機層
3 無機層
4 最表有機層
5 第二の有機層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、第一の有機層と、無機層と、最表有機層とを該順に有し、最表有機層の厚さが、0.3μm以上であり、最表有機層の厚さをaとし、第一の有機層の厚さをbとしたとき、a/b≧2であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。
【請求項2】
前記第一の有機層と、無機層と、最表有機層が連続して積層している、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
【請求項3】
最表有機層の硬度が、ナノインデンテーション法で0.03〜0.5GPaである、請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
【請求項4】
第一の有機層と最表有機層とが同じ組成の有機層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項5】
第一の有機層および最表有機層が、それぞれ、リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含む重合性組成物を硬化させることによって得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項6】
無機層を2層以上有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項7】
最表有機層の厚さが0.3〜10μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項8】
さらに、基材フィルムの、最表有機層が設けられている面と同一面に、易接着層を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムを有するデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが有機EL素子である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
基材フィルムと、第一の有機層と、無機層と、最表有機層とを該順に有し、最表有機層の厚さが、0.3μm以上であるガスバリアフィルムの製造方法であって、第一の有機層と最表有機層とを、同じ組成の塗布液を用いて塗布し、かつ、最表有機層の塗布厚さをa’とし、第一の有機層の塗布厚さをb’としたとき、a’/b’≧2であることを特徴とする、ガスバリアフィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−51220(P2011−51220A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201849(P2009−201849)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】