説明

ガスバリア基板およびカラーフィルタ

【課題】寸法精度に優れた、プラスチック等のフィルム基板上に形成されたガスバリア基板および該ガスバリア基板上に形成され、同じく寸法精度に優れたカラーフィルタを提供する。
【解決手段】フィルム基板105の一方の面に第1のガスバリア層104,103を設け、他方の面に第2のガスバリア層104,103を設けたガスバリア基板であって、該ガスバリア基板の水蒸気透過率が0.001g/m/day以上1g/m/day以下であり、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けかつ他方の面にガスバリア層を設けなかった場合の水蒸気透過率をaとし、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けずかつ他方の面にガスバリア層を設けた場合の水蒸気透過率をbとしたとき、a/bが0.1〜10の範囲内にあるガスバリア基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア基板およびカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置、有機EL表示装置、分散媒溶液と電荷を帯びた電気泳動粒子とを充填した電気泳動表示装置等はテレビや携帯電話、多機能携帯端末、電子ブックリーダー、電子看板等において利用されており、その用途は今後さらに拡大することが見込まれている。
【0003】
上記デバイスのフルカラー表示においては、駆動用電極もしくはカラーフィルタの一方または両方に厚さ数百μm程度のガラス基板を用いている。近年ではガラス基板をフィルムへ置き換え、フレキシブルディスプレイとして製品化するための研究が盛んに行われている。表示装置の支持体をガラスからフィルムへと置き換えることで、ガラスを用いた場合と比較して、これまでにない軽量化や強靭化、薄型化、ロールtoロール(以下RtoR)加工等による低コスト化を図ることが可能である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
一方で一般的にフィルムはガラスと比較して、耐熱性や伸縮性、ガスバリア性がガラスに対して大きく劣るものが多い。これらがカラーフィルタ製造におよぼす弊害として、例えば、ガスバリア性がガラスに対して劣ることで液晶層や発光層、電気泳動粒子層等のいわゆる表示層や駆動電極に水蒸気が浸透し、デバイスの性能を著しく悪化させる。これに対してはフィルム上へガスバリア層を設けることでの解決が図られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、フィルム基板を静置すると温度や湿度等の保管環境の変動により、吸湿、放湿が起こり、結果としてフィルム基板が伸縮してしまう。フィルムが伸縮することでカラーフィルタ等の複数色からなる重ね合わせパターンを作製しようとすると、位置合せが困難になり、カラーフィルタの混色や色抜けが起こり、品質低下を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−282213号公報
【特許文献2】特開2005−77553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プラスチック等のフィルム基板上への微細パターン形成に関するものであって、その課題とするところは、寸法精度に優れた、プラスチック等のフィルム基板上に形成されたガスバリア基板および該ガスバリア基板上に形成され、同じく寸法精度に優れたカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、少なくともフィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設け、他方の面に第2のガスバリア層を設けたガスバリア基板であって、
該ガスバリア基板の水蒸気透過率が0.01g/m/day以上1g/m/day以下であり、
該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けかつ他方の面にガスバリア層を設けなかった場合の水蒸気透過率をaとし、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けずかつ他方の面にガスバリア層を設けた場合の水蒸気透過率をbとしたとき、a/bが0.1〜10の範囲内にあることを特徴とするガスバリア基板である。
請求項2に係る発明は、前記第1のガスバリア層および第2のガスバリア層において、有機高分子層および無機層がそれぞれ交互に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア基板である。
請求項3に係る発明は、実質的に透明であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア基板である。
請求項4に係る発明は、前記フィルム基板の厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のガスバリア基板である。
請求項5に係る発明は、前記ガスバリア基板の線膨張係数が100ppm/K以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のガスバリア基板である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の何れかに記載のガスバリア基板上に少なくとも複数色からなる画像パターンが形成されていることを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、少なくともフィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設け、他方の面に第2のガスバリア層を設けたガスバリア基板であって、該ガスバリア基板の水蒸気透過率が0.001g/m/day以上1g/m/day以下であり、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けかつ他方の面にガスバリア層を設けなかった場合の水蒸気透過率をaとし、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けずかつ他方の面にガスバリア層を設けた場合の水蒸気透過率をbとしたとき、a/bが0.1〜10の範囲内にあることでガスバリア基板の吸湿・放湿を抑制することができるため、寸法精度を向上させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、前記第1のガスバリア層および第2のガスバリア層において、有機高分子層および無機層がそれぞれ交互に積層されていることでガスバリア性とともに寸法精度をより向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、ガスバリア基板が実質的に透明であることでカラーフィルタ等の光学フィルタの基板として用いた時にカラーフィルタや画像表示媒体の色調を損なうことなく良好な表示を行うことができる。ここで言う実質的に透明とは、可視光である波長領域380nm〜780nmの範囲内で透過率が70%以上であることである。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、フィルム基板の厚みが10μm以上200μm以下であることでハンドリング性が良好であり、且つ基材の透明度が確保でき、光の損失を軽減できる。
【0013】
請求項5に係る発明によれば、ガスバリア基板の線膨張係数が100ppm/K以下であることでより寸法精度をより良好なものにすることができる。
【0014】
請求項6に係る発明によれば、請求項1乃至5の何れかに記載のガスバリア基板上に少なくとも複数色からなる画像パターンが形成されていることを特徴とするカラーフィルタであることで、寸法精度が良好で、混色や色抜けのないカラーフィルタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1におけるカラーフィルタの断面図である。
【図2】実施例1で用いた装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に用いるフィルム基板は公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース、エポキシ樹脂等のフィルムや、ガラス等の無機物と前記に代表されるようなプラスチックとの複合材料をフィルム状に加工したもの等を用いることができる。可撓性や耐候性、製造工程における耐熱性・耐溶剤性・製造コスト等を考慮し、適宜選択して用いる。
【0017】
本発明に用いる第1および第2のガスバリア層としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、有機ガスバリア膜等から適宜選択して用いることができ、蒸着法、スパッタリング法、化学的性気相成長法(CVD法)、原子層堆積法(ALD法)、ゾル‐ゲル法、各種塗布法等により形成することが可能である。所望するガスバリア性能、寸法安定性、屈折率、透明性、内部応力等を考慮し、適宜選択して用いる。
【0018】
上記ガスバリア層をフィルム基板の両面に第1および第2のガスバリア層としてそれぞれ形成するが、それぞれ単層であってもよいし、2つ以上の層を積層してもよい。積層によりガスバリア層を形成する場合には有機高分子層および無機層のガスバリア層を交互に積層すると水蒸気透過率を低くし、寸法精度を向上させるという観点から効果的である。また、ガスバリア層の材料や形成方法、膜厚、層の数等はそれぞれの面で同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、ガスバリア性能の向上とともに表面保護のためのハードコート剤を用いてもよいし、ガスバリア層のフィルム基板への密着向上のためにアンカーコートを用いてもよい。また、有機高分子層は公知の方法で形成することが可能であり、具体的にはグラビアコート、ダイコート等の各種塗布法やフラッシュ蒸着法を用いることが可能である。有機高分子層を用いる際には用いるフィルム基板自体のガスバリア性能や吸湿線膨張係数、透明性や表裏の表面粗さ、透明性、屈折率、密着性等を考慮し、材料、形成方法、膜厚等を適宜選択して用いる。
【0019】
上記のようにして得たガスバリア基板の水蒸気透過率は0.001g/m/day以上1g/m/day以下であることが好ましい。0.001g/m/day未満であると、ガスバリア層の膜厚を大きくしなければならず、ガスバリア層の内部応力が大きくなり、割れが生じやすくなるし、透明性を必要とする用途に用いる場合は光線透過率が低下するため好ましくない。また、1g/m/dayを超えると吸湿・放湿による寸法変動を抑制することが困難になるため好ましくない。
【0020】
また、上記フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けかつ他方の面にガスバリア層を設けなかった場合の水蒸気透過率をaとし、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けずかつ他方の面にガスバリア層を設けた場合の水蒸気透過率をbとしたとき、a/bが0.1〜10の範囲内にあることが好ましい。ガスバリア基板の水蒸気透過率が0.001g/m/day以上1g/m/day以下の範囲において上述のa/bが0.1未満であったり、10を超えると、フィルム基板の表裏でのガスバリア性能のバランスが悪く、一方の面のガスバリア性能が良好であっても、他方の面におけるガスバリア性能が劣るため、性能の劣る面からの吸湿・放湿が起こり、寸法変動を抑制することが困難になるため好ましくない。さらに好ましいa/bは、0.5以上5以下である。
【0021】
本発明におけるガスバリア基板は実質的に透明であることで光学フィルタであるカラーフィルタや静電容量型タッチパネル用ITOフィルム等の用途に好適に用いることができる。
【0022】
本発明のガスバリア基板の厚みは10μm以上200μm以下であることが望ましい。10μm未満であるとハンドリングが困難になるし、200μmを超えるとフィルム自体の厚み精度が悪化し、ガスバリア性能を得ることが困難になることや透明性が必要な場合には透明性が悪化するため好ましくない。
【0023】
本発明におけるガスバリア基板は線膨張係数が100ppm/K以下であることが好ましい。100ppm/Kを超えると外気温の変化や、カラーフィルタや薄膜トランジスタ、有機EL発光層等を作製する際に許容範囲外の寸法変化を起こしてしまうため好ましくない。
【0024】
本発明におけるカラーフィルタは、上記のような方法にて作製したガスバリア基板上に公知の方法にて複数色からなる着色層等を設けることで形成することが可能である。具体的にはフォトリソグラフィー法、インクジェット法、印刷法等を用いることが可能である。ガスバリア基板の耐熱性等を考慮し適宜選択して用いる。
【0025】
本発明のガスバリア基板をカラーフィルタや薄膜トランジスタ、有機EL発光層等の基板として使用する場合、それらのセルや表示媒体もしくはそれらパターン形成体自体の保護のためにより高いガスバリア性が必要とされる場合、ガスバリア基板に更にガスバリア層を積層してもよいし、他の方法にて準備したガスバリアフィルムをガスバリア基板上に接着剤等を介して貼り付けてもよい。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
フィルム基板としては100μmの厚さのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン(株)製、Q65FA、300mm×300mm)を用いた。
【0028】
希釈溶媒(酢酸エチル)中で、アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートを、OH基に対してNCO基が等量となるように混合し、全固形分が5w%になるように調製した。ついでβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対して5w%添加して混合し、有機高分子層形成用コーティング液を調製した。
【0029】
上記フィルム基板に上記のごとく調製したコーティング液をバーコーターNo.3を用いて乾燥膜厚が30nmとなるように塗布し、100℃・2分間加熱して硬化させ、有機高分子層をフィルム基板の両面に形成した。
【0030】
次いで有機高分子層を形成したフィルム基板の一方の面にSiをターゲットとして、プロセスガスにAr、反応性ガスにOを用いてDCスパッタリング法にて膜厚が50nmとなるようにSiOx膜を形成した。次いで同条件にて他方の面にもSiOx膜を形成し、本発明におけるガスバリア基板を得た。
【0031】
上記のようにして作製したガスバリア基板のJIS−K7129B法による水蒸気透過率は0.03g/m/dayであった。また、JIS−K7197法による線膨張係数は10ppm/Kであった。更に、JIS−K7361法による全光線透過率は90%であった。
【0032】
上記のようにして得られたガスバリア基板上に着色層等からなる画像パターンを設け、本発明のカラーフィルタを形成するにあたっては、特開2008−105400号公報に記載の方法を用い、一色ずつ順次形成した。
【0033】
カラーフィルタのBkインキは次のように作製した。メタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、ブチルメタクリレート55部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部を、乳酸ブチル300部に溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチルニトリル0.75部を加えて70℃にて5時間の反応によりアクリル共重合樹脂を得た。アクリル共重合樹脂を樹脂濃度が10%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、アクリル共重合樹脂液とした。このアクリル共重合樹脂液80.1gに対し、カーボンブラックを35.0g、分散剤0.9gを添加し、3本ロールにて混練し、Bk着色ペーストを得た。さらにBk着色ペーストをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで顔料濃度が23〜35%になるよう調整し、レベリング剤としてメガファックF−483SF(DIC(株)製)を0.5重量部添加してBkインキを作製した。
【0034】
着色インクの作製方法を以下に示す。上記のアクリル共重合樹脂液80.1gに対し、顔料19.0g、分散剤0.9gを添加して、3本ロールにて混練し、赤色、緑色、青色の各着色ペーストを得た。この各着色ペーストをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:プロピレングリコールモノメチルエーテル=4:1で顔料濃度が8〜15%、になるように調整し、レベリング剤としてメガファックF−483SF(DIC(株)製)を0.5重量部添加してR,G,B着色インクを得た。
【0035】
インキ剥離性のフィルム基材としては、基材厚約100μmのシリコーン系離型ポリエステルフィルム:K1504(500mm×200m×100μmt;東洋紡績(株)製)を用いた。
【0036】
版としては、300mm角、厚さ0.7mmのガラスをウェットエッチングし、カラーフィルタ(8インチ、200ppi)におけるブラックマトリクスのパターンおよびそれに対応するR,G,B用ストライプパターンを使用した。それぞれの版にはアライメント用マークを設け、位置合わせに用いることとした。
【0037】
図2は、本実施例で用いた装置の概略図である。この装置はインキ剥離性フィルム201、インキ塗工部(ダイコーター)202、ホットプレート203、ガラス版204を備えたパターン除去部205、パターン転写部206を有する。
【0038】
インキ剥離性フィルム201上へダイコーター202にて乾燥膜厚が1.0μmとなるようにBkインキを塗布し、次に設置された40℃ホットプレート203上で30秒乾燥を行った。
【0039】
あらかじめパターン除去部205に設置しておいたガラス版204にBkインキをゴムローラーで押し当て非画像部を除去した後、パターン転写部206へ画像パターンが来るように搬送した。さらにゴムローラーでインキ剥離性フィルム201と本発明のガスバリア基板207を貼り合わせた後、インキ剥離性フィルム201とガスバリア基板207とを剥離することによって、ガスバリア基板へのブラックマトリクスパターンの転写を行った。
【0040】
次に、ホットプレートにて80℃・3分間の乾燥を行い、カラーフィルタにおけるブラックマトリクスパターンを得た。
【0041】
上記ブラックマトリクスパターンが形成されたガスバリア基板上にアライメントマークを用いて位置合わせしながら同様の方法にてR,G,Bパターンを順次形成し、本発明のカラーフィルタを得た。
【0042】
図1は、このようにして得られたカラーフィルタの断面図である。フィルム基板105の一方の面に有機高分子層104および無機層103がこの順で積層され、第1のガスバリア層が設けられ、他方の面に有機高分子層104および無機層103がこの順で積層され、第2のガスバリア層が設けられている。また、フィルム基板105の一方の面上に、ブラックマトリクス102のパターン中に着色層101が形成され、カラーフィルタが構成されている。
【実施例2】
【0043】
実施例1のフィルム基板と有機高分子層形成用コーティング液を用い、フィルム基板の一方の面にのみ有機高分子層を、また、フィルム基板の他方の面にのみ有機高分子層を実施例1と同様の方法にてそれぞれ形成した。
【0044】
上記2種類の基板の有機高分子層上へ実施例1と同様の方法にてSiOx膜を形成した(それぞれ、ガスバリアフィルムAおよびBと称する)。
【0045】
上記ガスバリアフィルムAおよびBのJIS−K7129B法による水蒸気透過率は、下表のとおりであった。なお下記の表において、a/bは、0.04/0.05=0.8となる。
【0046】
【表1】

[比較例1]
【0047】
実施例1のフィルム基板を用い、実施例1と同様のDCスパッタリング法にて一方の面(A面と称する)には膜厚が15nmとなるように、また、他方の面(B面と称する)には膜厚が50nmとなるようにフィルム基板の両面にそれぞれSiOx膜を形成し、ガスバリア基板を得た。このガスバリア基板の水蒸気透過率は0.04g/m/dayであった。
【0048】
その後、上記で得られたガスバリア基板上に実施例1と同様の方法にてブラックマトリクスパターンを得た。
【0049】
次いで、実施例1と同様にR,G,Bパターンを順次形成し、カラーフィルタを得たが、着色層形成時の加熱等により吸湿、放湿による基板寸法変化が起こり、位置合わせを良好に行うことができずに色抜けおよび混色が発生した。
[比較例2]
【0050】
比較例1のフィルム基板を用い、その一方の面(A面)にのみ、および、他方の面(B面)にのみ比較例1と同様の方法、膜厚にてそれぞれSiOx膜を形成した。(それぞれ、ガスバリアフィルムCおよびDと称する)
【0051】
上記ガスバリアフィルムCおよびDのJIS K7129法Bによる水蒸気透過率は下表のとおりであった。
【0052】
【表2】

【0053】
上記ガスバリアフィルムCの水蒸気透過率をa、ガスバリアフィルムDの水蒸気透過率をbとしたとき、a/bは34であった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明におけるガスバリア基板はカラーフィルタに好適に用いられ、その他として有機EL発光層、薄膜トランジスタ、静電容量型タッチパネル用ITO等の形成にも用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
101・・・着色層
102・・・ブラックマトリクス
103・・・無機層
104・・・有機高分子層
105・・・フィルム基板
201・・・インキ剥離性フィルム
202・・・インキ塗工部
203・・・ホットプレート
204・・・ガラス版
205・・・パターン除去部
206・・・パターン転写部
207・・・ガスバリア基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設け、他方の面に第2のガスバリア層を設けたガスバリア基板であって、
該ガスバリア基板の水蒸気透過率が0.001g/m/day以上1g/m/day以下であり、
該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けかつ他方の面にガスバリア層を設けなかった場合の水蒸気透過率をaとし、該フィルム基板の一方の面に第1のガスバリア層を設けずかつ他方の面にガスバリア層を設けた場合の水蒸気透過率をbとしたとき、a/bが0.1〜10の範囲内にあることを特徴とするガスバリア基板。
【請求項2】
前記第1のガスバリア層および第2のガスバリア層において、有機高分子層および無機層がそれぞれ交互に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア基板。
【請求項3】
実質的に透明であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア基板。
【請求項4】
前記フィルム基板の厚みが10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のガスバリア基板。
【請求項5】
前記ガスバリア基板の線膨張係数が100ppm/K以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のガスバリア基板。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のガスバリア基板上に少なくとも複数色からなる画像パターンが形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−61507(P2013−61507A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200196(P2011−200196)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】