説明

ガスバリア性が強化されたポリエステルおよび方法

ガスバリア性が強化されたポリエステル容器は、0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有するポリエステル組成物を含み、ポリエステルおよび反応性有機ガスバリア性強化添加剤を含む。ポリエステルは、周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択された少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成され、ポリエステルの形成によりポリエステル中に残る触媒残留物を含む。触媒残留物は、少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル容器に関する。特に、本発明は、ガスバリア性の強化が望ましい用途で使用されるポリエステル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートおよびそのコポリエステル(以後集合的に「PET」と呼ぶ)は、その透明性、機械的特性およびガスバリア性の非常に優れた組合せのために、炭酸ソフトドリンク、ジュース、水などの容器の作成に広く使用されている。これらの望ましい特徴にもかかわらず、酸素および二酸化炭素に対するPETの不十分なガスバリア性が、比較的小さいサイズのパッケージ、ならびにビール、ジュースおよび茶製品などの酸素感受性製品のパッケージングなどへのPETの適用を制限している。包装産業には、PETのガスバリア性をさらに改良するという広く表明されている要求が存在する。
【0003】
二酸化炭素に対するPETの比較的高い透過性は、炭酸ソフトドリンクをパッケージングするための小さいPET容器の使用を制限する。PET容器を通る二酸化炭素の透過率は、容器のサイズに応じて室温で1日に3〜14ccまたは1週間に1.5〜2%の範囲の損失率である。容器が小さい方が、容積に対する表面積の比率が大きくなり、その結果、相対的損失率が高くなる。この理由から、PET容器は現在、炭酸ソフトドリンクのパッケージングには大きめの容器でしか使用されず、小さい炭酸ソフトドリンク容器には金属の缶およびガラスの容器が選択される。
【0004】
パッケージングされた炭酸ソフトドリンク中に残っている二酸化炭素の量が、貯蔵寿命を決定する。通常、炭酸ソフトドリンク容器は水の体積1に対して約4の体積の二酸化炭素で充填される。一般に、パッケージングされた炭酸ソフトドリンクは、容器の側壁およびクロージャを通る二酸化炭素の透過のために、容器中の二酸化炭素の17.5%が失われると、貯蔵寿命の最後に到達する。したがって、二酸化炭素に対するPETの透過性が、パッケージングされた炭酸飲料の貯蔵寿命を決定し、それ故、パッケージング材料としてのPETの適切性を決定する。
【0005】
小さいガス分子に対するPETのバリア性を強化するために多くの技術が開発され、または開発中である。例えば、PET容器のガスバリア性を強化するための外部または内部コーティングが開発されている。コーティング層は、通常、非常に高いバリア層であり、無機質または有機質であり、ガスの拡散を減速させる。しかし、この技術を実施するには、パッケージングされる飲料の製造に通常使用されていないコーティング機器が必要であり、したがって多大な資本投資が必要で、エネルギー使用量が増加し、所要床面積も増加する。既に混雑した多くの飲料パッケージング工場では、スペースの追加は選択肢にならない。
【0006】
高いバリア性の層を2つ以上のPET層に挟む多層容器も開発されている。この技術を実施するにも、多大な資本投資を必要とし、容器層の層間剥離は、容器の外観、バリア性、機械的特性に影響を及ぼす。
【0007】
固有のバリア特性を有するPETまたはポリマーのバリア添加剤が、好ましい解決策となる。このような解決策は、追加の資本投資を必要とせず、したがって他の技術に固有の制限もない。バリア添加剤は、射出成形工程中に添加することもでき、これは下流の作業にさらに融通性を与える。
【0008】
L. M. RobesonおよびJ.A. Faucherは、J. Polymer Science, Part B 7,35−40(1969)(非特許文献1)で、逆可塑化メカニズム(antiplasticization mechanism)を通してモジュラスおよびガスバリア性を増大させるために、特定の添加剤をポリマーに組み込むことができることを開示している。この論文は、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、酸化ポリフェニレン、および酸化ポリエチレンを含有する添加剤の使用を開示している。
【0009】
国際特許第WO01/12521号(特許文献1)で、Plotzker他は、PETのガスバリア性を増大させるために、4−ヒドロキシ安息香酸および関連する分子から選択した添加剤を使用することを提案している。この公開特許出願は、以下の構造のバリア添加剤を開示している。
【0010】
HO−Ar−COOR、HO−Ar−COOR1COO−AR−OH、HO−AR−CONHR、HO−AR−CO−NHR3−COO−AR−OH、HO−AR−CONHR2NHCO−AR−OH
【0011】
上記構造では、ARは置換または非置換フェニレンまたはナフタレンで構成されたグループから選択される。R1、R2およびR3は、C1〜C6アルキル基、フェニル基、およびナフチル基で構成されたグループから選択される。
【0012】
当技術分野で述べられている上記添加剤は、PETバリア性を控えめにしか改善せず、5重量パーセントのローディングレベルで、最善の例の酸素バリア性の2.1倍より低い。しかし、このローディングレベルで、PETは、大幅な劣化、および固有粘度(IV)の大幅な低下が起こる。添加剤のレベルを低下させると、PETの劣化が減少するが、バリア性の改善率も低下させ、したがって炭酸ソフトドリンクまたは酸素感受性食品のパッケージングにこれらの添加剤を使用することには、実際の利点が存在しない。IV損失の一部は、小さい分子の添加剤を追加するためである。添加剤が、PETと反応して分子量を分解できるようにする官能基を含む場合、追加のIV損失となる。反応性官能基を含む添加剤の方が、通常は、PETにより溶解しやすく、それ故、瓶の曇りを与えない。IVが大幅に低いPETは、飲用容器などのブロー成形容器には使用することができない。さらに、IVが低いPETは、クリープ、落下衝撃などの機械的性能が低い容器を作成する。さらに、IVが低いPETから作成したPET容器は、耐応力亀裂性が不良であり、これは容器の用途には望ましくない。
【0013】
PETは、PETのガスバリア性を向上させるために、他の成分で変性されるか、それと混合されている。その例は、ポリエチレンナフタレート(PEN)/PETコポリマーまたは混合物、イソフタレート(IPA)変性PET、ポリエチレンイソフタレート(PEI)またはポリアミドと混合したPET、例えばナイロン、およびレソルシノール系ジオールで変性したPETを含む。PETコポリマーが2倍以上の中位のバリア性向上を達成するには、変性は、通常、コモノマー合計の10〜20重量またはモルパーセントを超える。PETがこのような高レベルまで変性されると、PETの延伸特性が劇的に変化し、したがって通常のPET容器のプリフォーム設計を容器の製造に使用することができない。これらのPETコポリマーを使用して従来のPET容器プリフォームを成形すると、十分に延伸しないプリフォームになり、最終的な容器の作成が、不可能ではないまでも非常に困難になる。このような容器を作成できた場合でも、これは改善されたバリア性を示さず、物理的性能の低下を示し、したがって炭酸ソフトドリンクのパッケージングには使用できない。米国特許第5,888,598号(特許文献2)および第6,150,450号(特許文献3)は、延伸倍率の増加を補償するために側壁を厚くした再設計PET容器プリフォームを開示している。しかし、この厚くしたプリフォームは、新しい型を必要とし、これは追加の資本投資を必要とする。壁を厚くしたプリフォームの冷却および加熱には、さらに長い時間がかかるので、厚くしたプリフォームの作成は生産率も低下する。さらに、ナイロンなどのポリアミドと混合したPETは、黄色度および曇りを発生し、従来のPETのように透明ではない。
【特許文献1】国際特許第WO01/12521号
【特許文献2】米国特許第5,888,598号
【特許文献3】米国特許第6,150,450号
【非特許文献1】L. M. RobesonおよびJ.A. Faucherは、J. Polymer Science, Part B 7,35−40(1969)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、当技術分野には炭酸飲料および酸素感受性飲料および食品のパッケージングの場合など、バリア性を向上させる必要がある用途で使用するPETのバリア性能を、PETの大幅な劣化を引き起こさず、PETの延伸倍率に大きい影響を与えず、PETの透明性にマイナスの影響を与えない方法で強化するという要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ガスバリア性が強化され、0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有するポリエステル組成物を有し、ポリエステルおよび反応性有機ガスバリア性強化添加剤を含むポリエステル容器を提供することにより、ガスバリア性を強化した容器に対する上記要求に対応する。ポリエステルは、周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択することが好ましい少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成され、ポリエステルの形成によりポリエステル中に残る触媒残留物を含む。触媒残留物は、少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含む。第1の重縮合触媒の選択のために、本発明のポリエステル容器は、比較的高いガスバリア性を有するが、物理的性質は大幅に損なわれない。特に、周期表の3、4、13および14族から第1の重縮合触媒を選択すると、反応性有機ガスバリア性添加剤とポリエステルとの反応を減少させるか、または防止し、それ故、ポリエステルの分子量分裂を減少させるか、防止する。したがって、ポリエステル組成物は高いIVを維持し、IVの低下が比較的小さい。3、4、13および14族以外の触媒で作成したPETの場合、触媒残留物は、反応性バリア性添加剤とポリエステルとの反応に触媒作用を及ぼすことができ、ポリエステルの過度のIV低下を引き起こす。
【0016】
さらに、好ましい実施形態では、選択された第1の重縮合触媒は、触媒残留物とポリエステルとの反応性を低下させる触媒失活剤によって効果的に不活性化させることができる。したがって、本発明によって、反応性有機ガスバリア性強化添加剤が、残留触媒から干渉されずにポリエステル組成物中で機能することができる。
【0017】
特定の実施形態によると、ポリエステル組成物中のポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)系コポリマー(PETコポリマー)を含む。望ましい実施形態では、ポリエステルは、100モル%の二酸成分および100モル%のジオール成分に基づき、20%未満の二酸成分変性および/または10%未満のジオール成分変性を有するPETコポリマーを含む。
【0018】
ポリエステル組成物は、周期表の3および4族、または周期表の13および14族の金属からの触媒残留物を有するポリエステルを含む。望ましい実施形態では、触媒残留物はチタン、アルミ、ゲルマニウムまたはガリウムを含む。
【0019】
別の実施形態によると、本発明は、0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有するポリエステル組成物を形成するためにポリエステルを反応性有機ガスバリア性強化添加剤と混合することを含むポリエステル組成物のガスバリア性を強化するための方法を含む。ポリエステルは、周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択された少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成される。ポリエステル組成物は、ポリエステルの形成によりポリエステルに残った触媒残留物を含み、触媒残留物は、少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含む。ポリエステル組成物から容器を形成する。
【0020】
本発明の特定の実施形態によると、混合するステップは、自由体積を有するポリエステルを溶融するために、固体形態のポリエステルを加熱するステップと、有機ガスバリア性強化添加剤をポリエステルに添加するステップと、有機ガスバリア性強化添加剤の少なくとも一部がポリエステルと反応しないままで、ポリエステルの自由体積内に配置されるような状態で、有機ガスバリア性強化添加剤を溶融ポリエステルと混合するステップとをさらに含む。
【0021】
さらに、本発明の別の実施形態では、容器を形成するステップが延伸ブロー成形を含む。本発明の特定の実施形態は、ガスバリア性が強化され、特に二酸化炭素および酸素に対するバリア性が強化されたPET容器などのポリエステル容器を提供する。これによって本発明のある実施形態は、炭酸ソフトドリンクおよび酸素感受性飲料および食品のパッケージングに特に適している。特定の実施形態は、この強化されたガスバリア性を達成しながら、許容可能な物理的性質および透明性を維持する。
【0022】
特定の実施形態では、重縮合触媒失活剤がポリエステル組成物に混入され、触媒残留物の反応性を低下させる。
【0023】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面および特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、ガスバリア性が強化されたポリエステル容器、およびガスバリア性が強化されたポリエステル容器を作成するための方法を含む。以下でさらに詳細に説明するように、本発明の実施形態は、強化されたガスバリア性、光学的透明性、および良好な物理的性質を有するポリエステル容器を提供する。
【0025】
本発明は、任意のポリエステルに適用可能であり、高いガスバリア性が望ましい用途に適切である。本発明の実施形態での使用に適切なポリエステルは、PETコポリマー、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイソフタレートなどを含む。PETコポリマーは、フィルムおよび容器などの多くのバリア用途に使用されるので、特に有用である。適切な容器は瓶、ドラム、カラフ(carafe)、冷却器などを含むが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の実施形態での使用に適しているPETコポリマーは、エチレングリコールからの反復単位を有するジオール成分、およびテレフタル酸からの反復単位を有する二酸成分を含む。幾つかの実施形態では、PETコポリマーは、100モル%の二酸成分および100モル%のジオール成分に基づき、20%未満の二酸成分変性および/または10%未満のジオール成分変性を有することが望ましい。
【0027】
本発明の実施形態によると、適切な有機ガスバリア性強化添加剤は、PETコポリマーなどの個々のポリエステルに対する親和力、および個々のポリエステルと反応しない傾向に基づき選択される。PETコポリマーを含むポリエステルは、ポリマー鎖間に自由体積を有する。当業者であれば周知のように、PETコポリマーなどのポリエステルの自由体積の量は、気体分子に対するそのバリア性を決定する。自由体積が小さいほど、気体の拡散が低下し、気体分子に対するバリア性が高くなる。したがって、効果的な添加剤は、ポリエステルに対する良好な親和力を有する。個々のポリエステルに対する添加剤の親和力は、ポリエステルの溶融処理中などに添加剤をポリエステルと混合する場合に、添加剤をポリエステル鎖間に密に取り入れて、自由体積を充填できるほど十分に密接でなければならない。ポリエステルの自由体積を充填する効果的な添加剤は、ポリマー鎖の可動性を限定して、気体分子の拡散を、それ故、浸透を減少させる逆可塑剤としても挙動する。
【0028】
有機ガスバリア性強化添加剤は、ポリエステル鎖間のポリエステルの自由体積に少なくとも一部が配置され、溶融処理後に混合物が室温まで冷却されると、自由体積内で固化することが望ましい。添加剤の親和力が低すぎる場合は、分子レベルでポリエステル内に分散せず、ポリエステルの自由体積を充填することがある。親和力が低い添加剤は、実際、ポリエステル鎖を分離し、可塑剤のように挙動して、ポリエステルの自由体積を増大させ、ポリエステルの気体透過性を上昇させ、さらに光学的透明性がない物品を生成する場合がある。
【0029】
構造的に個々のポリエステルに類似した有機化合物は、ポリエステルに対して良好な親和力を有する傾向がある。本発明の実施形態によると、望ましい有機ガスバリア性強化添加剤は、これが混合される個々のポリエステルと共通する1つ以上、好ましくは2つ以上の分子構造成分を有する。例えば、ポリエステルは、アルキル基、フェニル基、またはナフチル基を有する場合、ポリエステルへの親和力を有する有機添加剤は、これらの分子構造成分の幾つかも有する。
【0030】
候補となる有機バリア強化化合物の親和力は、ポリエステルの溶解度パラメータと比較して、候補となる添加剤化合物の溶解度パラメータの近似性に基づいて予想することができる。候補添加剤とポリエステルの可溶パラメータが近いほど、ポリエステルの自由体積を充填し、ポリエステルのガスバリア性を上昇させるために、分子レベルでポリエステルへの候補添加剤の親和力および分散が良好になる。当業者は、Krevelen D.W. Vanが、「Properties of Polymers」(Elsevierによる出版、第3完全改訂版、1990)に記載しているHoyの方法のように、基を追加する規則を使用して、化合物の溶解度パラメータを計算することができる。
【0031】
本発明の実施形態によると、有機ガスバリア性強化添加剤の溶解度パラメータは、ポリエステルの溶解度パラメータから20%以内である。有機ガスバリア性強化添加剤化合物の溶解度パラメータは、ポリエステルの溶解度パラメータの15%以内であることが好ましく、有機ガスバリア性強化添加剤の溶解度パラメータは、ポリエステルの溶解度パラメータの10%以内であることがより好ましい。
【0032】
それ故、本発明の実施形態によると、ポリエステル組成物のガスバリア性を強化するために適切な方法は、0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有するポリエステル組成物を形成するためにポリエステルを反応性有機ガスバリア性強化添加剤と混合することを含む。ポリエステルは、周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択された少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成される。ポリエステル組成物は、ポリエステルの形成によりポリエステルに残った触媒残留物を含み、触媒残留物は、少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含む。望ましい実施形態では、触媒残留物は、最高で250ppmのみの量でポリエステル組成物中に存在し、それより少ないことが好ましい。ポリエステル組成物から容器が形成される。
【0033】
この方法を使用すると、PETコポリマーとともに使用するのに適切な反応性有機ガスバリア性強化添加剤は、本発明の実施形態によるとエステル、ジエステル、アミド、ジアミド、ポリアミド、イミド、ジイミド、ポリイミド、非炭素系エステル、非炭素系ジエステル、非炭素系ポリエステル(例えば、リン酸または硫酸エステル)、アルコール、ジアルコール、ポリアルコール(例えば、フェノールおよびフェノールタイプの化合物)、および開環反応性化合物(例えば環状エステル、環状アミド、無水物およびエポキシド)と呼ばれるグループに属するものを含む。
【0034】
PETコポリマーとともに使用するのに特に適切な反応性有機ガスバリア性強化添加剤は、本発明の実施形態によると、化学式R1OOC−AR−COOR2を有するものを含み、ここで、ARはフェニレンおよびナフタレンで構成されたグループから選択され、R1およびR2は、C1〜C6アルキル基、フェニル基、およびナフチル基で構成されたグループから選択される。この場合、反応性有機ガスバリア性強化添加剤という用語は、添加剤を、アンチモンなどの伝統的な重縮合触媒から作成したPETコポリマーと結合させた場合、添加剤の希釈効果のために通常観察されるような値よりかなり大きい固有粘度(IV)の損失を引き起こす添加剤を意味する。別の実施形態によると、R1およびR2は、C1〜C6アルキル基、フェニル基およびナフチル基で構成されたグループから選択される。特定の実施形態によると、PETコポリマーに適切な有機ガスバリア性強化添加剤は、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、2,6−メチルナフタレート、ジエチルテレフタレート、およびジエチルイソフタレートで構成されたグループから選択される。
【0035】
有機ガスバリア性強化添加剤およびポリエステルは、エステル交換反応を経験して、上述したように、ポリエステル組成物のIVを許容できないレベルまで低下させるなどの問題を容器の用途に引き起こすことがある。この問題に対応する1つの方法は、ポリエステル中の残留重縮合触媒を全て不活性化することである。PETコポリマー樹脂のエステル交換反応は、残留した重縮合触媒から触媒作用を受けると考えられる。これらの触媒を不活性化する1つの方法は、リン含有化合物などの触媒不活性化合物をポリエステル組成物に添加することであった。触媒が不活性化すると、これはエステル交換反応に触媒作用を及ぼさず、このような反応が、PETコポリマーなどのポリエステルとガスバリア性強化添加剤との混合物の溶解処理中に減速する。リン含有化合物は、有機化合物と無機化合物の両方を含む。その例は、リン酸、ポリリン酸、および亜リン酸トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、トリスモノノニルフェニルフォスファイトを含むが、これらに限定されない。これらの添加剤は、通常、2000ppm未満の量でポリエステル組成物に添加される。しかし、この不活性化の程度は、重縮合反応によるポリエステルの形成に特定の重縮合触媒を使用する場合、有機バリア性強化添加剤との反応によるポリエステルの劣化を解消するには不十分である。
【0036】
望ましい実施形態では、ポリエステル組成物は、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムで構成されたグループから選択された第2の重縮合触媒を含む。第2の重縮合触媒は、ポリエステル組成物のわずか3ppm以内の量でポリエステル組成物中に存在する。何故なら、このような触媒がポリエステル組成物のIVを低下させる傾向があるからである。特に、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウム、カルシウムおよびカドミウムなどの伝統的な重縮合触媒の反応性は、リン系失活剤の使用を必要とする程度まで低下せず、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウム、またはカドミウムを含む金属触媒残留物の実質的な減少または除去と比較して、実行可能な代替物である。
【0037】
有機ガスバリア性強化添加剤とポリエステル組成物との反応は、ポリエステル組成物、およびその結果である容器プリフォームのIVを低下させることがある。上記で説明したように、IVが非常に低下したPETは、飲料容器などのブロー成形容器に使用することができない。何故なら、IVが低下したPETは、クリープ、耐落下衝撃性などの機械的性能が低い容器を作成するからである。さらに、IVが低下したPETから作成したPET容器は、CSD用途には耐応力亀裂性が低く、これは容器用途には望ましくない。十分な物理的性質、およびプリフォームを効率的に成形し、このようなプリフォームから容器をブロー成形するために適切なIVを有する容器プリフォームおよび容器を加工するために、ポリエステル組成物は、少なくとも0.65、さらに好ましくは約0.65〜約1.0、さらに好ましくは約0.70〜約0.86のIVを有することが望ましい。本明細書では、IVの単位は全て、ASTM D4603−96に従って測定したdL/gの単位であり、PET系樹脂のIVは30℃で、(重量で)60/40のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液の0.5重量パーセント濃度で測定する。上記で説明したように、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムが最低限、またはこれらがない状態で残留触媒を有するポリエステルは、IVの減少を実質的に軽減する。コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムの合計含有率は3ppm未満であることが望ましい。
【0038】
特定の実施形態によると、PETポリマーおよびコポリマーに適切な有機的ガスバリア性強化添加剤は、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムまたはカドミウムを含む残留物が存在しない状態で、チタンおよびアルミ系金属触媒残留物を有するポリエステルと混合される。PETコポリマーおよび他のポリエステルに適切な他の有機ガスバリア性強化添加剤は、本明細書から当業者には明白になるだろう。
【0039】
したがって、ポリエステルの生産時に触媒を選択すると、本発明を実施することができる。チタンおよびアルミ系触媒は、反応性有機バリア強化添加剤との反応による過度のIVの低下を最小限に抑えることに関して、非常に優れた結果を示すが、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウム、およびカドミウムに基づく触媒、共触媒または添加剤を使用するポリマー樹脂は、IV低下の軽減にほとんど役に立たない。マンガンおよびコバルトの共触媒の使用時に、通常は、ポリリン酸または他のリン酸化合物などの失活剤または金属封鎖剤を添加して、樹脂生成の第2段階中に解重合を防止する。しかし、以下の例は、このような失活剤がマンガンまたはコバルトを、反応性有機ガスバリア性強化添加剤を実際的に使用するために必要な程度まで不活性化できないことを示す。以上で説明したように、本発明の実施形態に有用であるPET樹脂生産用の追加の触媒活性金属は、周期表の3および4族、ならびに13および14族から来る。現代の周期表にある元素の周期性は、ある族全体で類似の化学反応が存在することを示唆する。したがって、ジルコニウムおよびハフニウムは、チタン触媒と同様に有用であり、ガリウム、インジウム、およびタリウムはアルミと同様に有用である。14族のゲルマニウム、スズおよび鉛も、本発明の実施形態に適切な反応性を有するはずである。
【0040】
任意選択で、反応性有機ガスバリア性強化添加剤が、ポリエステル組成物およびその結果のポリエステル容器のガスバリア性を十分に強化できるように、重縮合触媒失活剤を、ポリエステル組成物中の重縮合触媒残留物を十分に不活性化する量でポリエステル組成物に添加することができる。本発明の実施形態によると、重縮合触媒失活剤が、重量でポリエステル組成物の10〜500ppmの量でポリエステル組成物中に存在し、好ましくは重量でポリエステル組成物の100〜500ppmの量でポリエステル組成物中に存在する。
【0041】
同様に、有機ガスバリア性強化添加剤化合物は、ポリエステルのガスバリア性を強化するのに十分な量で、ポリエステル組成物に添加される。本発明の実施形態によると、ポリエステルは、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の99.99%〜90%の量で存在し、有機ガスバリア性強化添加剤は、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の0.01%〜約10%の量で存在する。本発明の別の実施形態によると、PETコポリマーは、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の99.99%〜95%の量で存在し、添加剤は、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の約0.01%〜約5%の量で存在する。本発明のさらに別の実施形態では、PETコポリマーは、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の約97%〜約95%の量で存在し、添加剤は、ポリエステル組成物中に重量でポリエステル組成物の約3%〜約5%の量で存在する。
【0042】
本発明の実施形態によると、固体形態のポリエステルを加熱して、ポリエステルを溶融することと、有機ガスバリア性強化添加剤および重縮合触媒失活剤をポリエステル組成物に添加することと、有機ガスバリア性強化添加剤がポリエステルと反応せず、ポリエステルの自由体積中に配置されるような状態で、有機ガスバリア性強化添加剤および重縮合触媒失活剤を溶融したポリエステルと混合することとを含む溶融処理の状態で、触媒残留物および有機ガスバリア性強化添加剤化合物を有するポリエステルと重縮合触媒失活剤を混合することとによって、有機ガスバリア性強化添加剤および重縮合触媒失活剤を、ポリエステル組成物と配合する。PETコポリマーの溶融処理温度は、例えば約270〜約300℃の範囲である。以上の実施形態によると、有機ガスバリア性強化添加剤とポリエステルとの混合物は、5分未満、好ましくは約1分〜3分間、溶融処理温度のままである。この時間の量によって成分を十分に混合することができるが、有機ガスバリア性添加剤とポリエステルとを過度には反応させない。
【0043】
バリア性強化のメカニズムは、ポリエステルの自由体積を充填することであるので、バリア性強化添加剤が化学反応によってポリエステル鎖に組み込まれると、添加剤はポリエステルの自由体積を充填するために自由に移動することができず、そのバリア性強化の有効性が低下する。それ故、PETコポリマーなどのポリエステルおよび有機ガスバリア性強化添加剤の溶融処理中に、溶融温度およびサイクル時間は、ポリエステルと添加剤との反応の可能性を最低限に抑えるために、最小限に抑えることが好ましい。低い溶融温度および短いサイクル時間は、PETコポリマーの劣化を抑え、生産中のエネルギーを節約するために、射出成形で既に実践されている。PETコポリマー溶融処理の典型的な温度は、270℃と300℃の間であり、溶融物の滞留時間は、通常、2分未満である。有機バリア性強化添加剤とPETコポリマーとの反応を抑えるために、射出成形は可能な限り低く実行することが好ましい。
【0044】
上述したように、本発明のポリエステル組成物は、ガスバリア性の強化が望ましい容器の作成に有用である。要するに、このような容器は、溶融形成などの従来の方法で上述したポリエステル組成物から所望の容器を形成することによって作成される。適切な溶融形成工程は、射出成形、押出成形、熱形成および圧縮成形を含むが、これらに限定されない。本発明の容器を形成する特に好ましい方法は、延伸ブロー成形である。
【0045】
図1は、硬質容器プリフォーム12(図2に図示)を作成し、プリフォームから硬質容器14(図3に図示)を作成する、本発明の実施形態によるシステム10を示す。図1に示すように、中実のPETコポリマーペレット20、ジメチルテレフタレート(DMT)22などの有機ガスバリア性強化添加剤、および任意選択で触媒失活剤を、フィーダまたはホッパ24に添加し、これが成分をホットメルト押出機26に送出し、ここで成分が溶融し、混合される。次に、ホットメルト押出機26は、PETコポリマー、有機ガスバリア性強化添加剤、および任意選択で触媒失活剤の溶融混合物を射出成形装置28内に押し出して、プリフォーム12を形成する。プリフォームを冷却し、射出成形装置28から取り出して、延伸ブロー成形装置30へと送出し、これがプリフォーム12を延伸ブロー成形して、完成した硬質容器14にする。
【0046】
上記で説明したように、プリフォーム生産の溶融物滞留時間は、好ましくは5分未満、より好ましくは約1分〜約3分間である。溶融温度は、望ましくは270〜約300℃、より望ましくは約270〜約290℃である。溶融物滞留時間は、PETコポリマー、触媒失活剤、および有機バリア性強化添加剤が溶融押出機26に入って、溶融し始める時に開始し、プリフォーム12を形成するために、溶融した混合物が射出成形用金型に注入された後に終了する。
【0047】
当業者には周知のように、容器は、容器プリフォームをブロー成形することによって作成することができる。適切なプリフォームおよび容器の構造の例が、米国特許第5,888,598号に開示されている。この開示の内容は、参照により全体を明示的に本明細書に組み込むものとする。
【0048】
図2を参照すると、ポリエステル容器プリフォーム12が図示されている。このプリフォーム12は、PET系樹脂を射出成形することによって作成され、ねじ付き首部のフィニッシュ112を備え、その下端は蓋フランジ114で終了する。蓋フランジ114の下には全体的に円筒形の区間116があり、これは肉厚を増加させるように、外径が徐々に増大する区間118で終了する。区間118の下には、細長い本体区間120がある。
【0049】
図2に示すプリフォーム12を延伸ブロー成形して、図3および図4に示す容器14を形成することができる。容器14は、口128を画定するねじ付き首部のフィニッシュ126、ねじ付き首部のフィニッシュの下にある蓋フランジ130、蓋フランジから延びるテーパ状区間132、テーパ状区間の下に延びる本体区間134、および容器の底部にある基部136を備える外殻124を備える。容器14は、図4に示すように、パッケージ入り飲料138の作成に適切に使用される。パッケージ入り飲料138は、容器14、および容器の首部128を密封するクロージャ140内に配置された炭酸ソーダ飲料などの飲料を含む。
【0050】
プリフォーム12、容器14、およびパッケージ入り飲料138は、本発明のプリフォームを使用する用途の例にすぎない。本発明のプロセスおよび装置は、様々な構成を有するプリフォームおよび容器の作成に使用できることを理解されたい。
【0051】
本発明について以上で説明してきたが、さらに以下で例示により示し、これはいかなる意味でも本発明の範囲に制限を設けるものではない。それどころか、本明細書を読んだ後、本発明の範囲および特許請求の範囲から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶような様々な他の実施形態、修正、等価物を採用することができることを明白に理解されたい。
【0052】
実施例1
実験のPET樹脂は、Ti触媒を使用して作成した。樹脂はアンチモン、コバルト、亜鉛またはマンガンを含有していなかった。PETコポリマーを真空炉内で140℃にして一晩、50ppm未満の水分レベルまで乾燥させた。添加剤を真空炉内で100℃にして2時間乾燥させ、表面の水分を除去した。PETコポリマーとローディングレベルが3wt%のDMTまたはDMIを混合して、実験室のArburgユニットのキャビティ射出成形機に射出成形し、24.5gの500mlプリフォームを作成した。次に、プリフォームをSidel SBO 2/3ブロー成形機でブロー成形し、許容可能な500mlの瓶を作成した。Mocon 2/60モデル計器を使用し、22.2℃、50%RH、10ml/分の99%N/1%Hパージ率で、瓶の酸素透過率を測定した。その結果を表1に示す。この表は、ASTM D4603−96に従って30℃、0.5重量パーセント濃度の(重量分率で)60/40のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液で測定したプリフォームのIV結果も示す。DMTとDMIは両方とも、Ti触媒残留物を有するポリエステルを含むポリエステル組成物に許容可能なIVを有している。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2
テネシー州キングスポートのEastman Chemicalが製造し、ジオールに対してシクロヘキサンジメタノール変性が3モル%未満の市販のPETコポリマー瓶等級樹脂を、対照標準として使用した。PETコポリマーを真空炉内で140℃にして一晩、50ppm未満の水分レベルまで乾燥させた。添加剤を真空炉内で100℃にして2時間乾燥させ、表面の水分を除去した。PETコポリマーとローディングレベルが5wt%の添加剤を混合して、実験室のArburgユニットのキャビティ射出成形機に射出成形し、26.5gのプリフォームを作成した。プリフォームをSidel SBO 2/3ブロー成形機でブロー成形し、許容可能な20オンスの瓶を作成した。次に、米国特許第5,473,161号に開示されている方法に従い、FTIR計器を使用して瓶のバリア性を測定した。週単位の貯蔵寿命を表2に示す。貯蔵寿命が長いほど、バリア性が高い。貯蔵寿命が20%以上改善されると、効果的と見なされる。容器の貯蔵寿命は、パッケージが22℃および50%の相対湿度という制御された条件でCO2を保持する時間の量によって判断される。報告された値は、(CO2の体積4)/(水の体積1)と同等の圧力までCO2で加圧した瓶で、CO2を17.5%損失したものであり、フーリエ変換赤外線分光計(FT−IR)を使用して測定されている。貯蔵寿命の増加の値は、添加剤入りの瓶と、添加剤がない同じ樹脂の瓶との比率で計算される。
【0055】
【表2】

【0056】
表2に示すように、ガスバリア性強化添加剤の添加は、5wt%のローディングレベルで効果的であった。さらに、以上で説明したように、添加剤とPETの溶解度パラメータが似ているほど、ガスバリア性が高くなる。
【0057】
米国特許第6,150,454号は、従来の瓶等級のPETより高いバリア性を有するPET/PEI組成物を開示している。10モル%の名目ローディングレベルのPIAを使用した場合、CO貯蔵寿命が最大で25%改善された。上記実施例では、DMIの5wt%のローディングレベルは、全DMIがPET鎖と反応し、それに組み込まれた場合、PIAと5.67名目モル%というローディングレベルと書き換えられ、これは米国特許第6,150,454号で報告された10モル%という名目ローディングレベルより非常に低い。本明細書の実施例でローディングレベルが低下した結果、米国特許第6,150,454号に開示されているようにPET鎖に組み込まれたPIAの10モル%という名目ローディングレベルから導かれた貯蔵寿命の25%の改善と比較して、貯蔵寿命が57.5%改善する。これらの結果は、DMIからのガスバリア性強化は、米国特許第6,150,454号の場合のようにPET鎖に組み込まれたDMIが寄与しているのではなく、自由体積の抑制および逆可塑化のためであることを示す。
【0058】
実施例3
触媒の選択がポリマー組成のIVに及ぼす影響を示すために、幾つかの異なるポリマー樹脂を金属分析にかけて、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウム、およびカドミウム残留物がないことを確認した。触媒、および金属残留物濃度を表3に示す。
【0059】
【表3】

【0060】
以下の樹脂は、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムが実質的になかった:Zimmer CC3、Mitsui C135、Toyobo GS−IPET。
【0061】
表3に示す樹脂を、実施例1の説明と同じ方法でDMIおよび/またはDMTと組み合わせて、プリフォームまたは押出品のIVを測定した。幾つかのサンプルを種々のリン失活剤または金属封鎖剤と同時混合し、失活剤の無益性を実証した。IVの結果を表4に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
Zimmerの樹脂、ToyoboのGS−IPETおよびFuturaの樹脂のIVの差は、本出願の好ましい実施形態の範囲内である。失活剤を使用しても、コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムを含むように、技術の範囲を拡大するのに十分ではなかった。ZimmerおよびToyobo GS−IPET樹脂のOおよびCOに対するガスバリア性を表5に示す。
【0064】
【表5】

【0065】
以上は本発明の特定の実施形態に関するものであり、特許請求の範囲で定義されているような本発明の範囲から逸脱することなしに、多くの方法で変更することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態によりガスバリア性を強化したPET容器を作成するシステムの略図である。
【図2】本発明の実施形態により作成された成形容器プリフォームの縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態による図2のプリフォームから作成したブロー成形容器の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態により作成したパッケージ入り飲料の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル組成物を含む容器であって、
周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択された少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成され、前記ポリエステルの形成から前記ポリエステル中に残っている触媒残留物を含むポリエステルであって、前記触媒残留物が前記少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含むポリエステルと、
反応性有機ガスバリア性強化添加剤とを含み、
前記ポリエステル組成物が、0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有する容器。
【請求項2】
前記ポリエステル組成物が、約0.70dL/g〜約0.86dL/gのIVを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記ポリエステル組成物が、約0.75dL/g〜約0.86dL/gのIVを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の重縮合触媒が、チタン、アルミ、ゲルマニウム、およびガリウムで構成されたグループから選択される、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウム、およびカドミウムで構成されたグループから選択された第2の重縮合触媒をさらに含み、前記第2の重縮合触媒が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステルの3ppm以内の量で存在する、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記ポリエステルが、第1の溶解度パラメータおよび自由体積を有し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、第2の溶解度パラメータを有し、前記添加剤の少なくとも一部が、前記ポリエステルと反応せずに、前記ポリエステルの前記自由体積内に配置され、前記第2の溶解度パラメータが、前記第1の溶解度パラメータから20%以内である、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記ポリエステルが、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約99.99%〜約90%の量で存在し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約0.01%〜約10%の量で存在する、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)系コポリマー(PETコポリマー)を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記ポリエステルが、100モル%の二酸成分および100モル%のジオール成分に基づき、20%未満の二酸成分変性および/または10%未満のジオール成分変性を有するポリ(エチレンテレフタレート)系コポリマー(PETコポリマー)を含む、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、エステル、ジエステル、アミド、ジアミド、ポリアミド、イミド、ジイミド、ポリイミド、非炭素系エステル、非炭素系ジエステル、非炭素系ポリエステル、アルコール、ジアルコール、ポリアルコール、および開環反応性化合物で構成されたグループから選択される、請求項8に記載の容器。
【請求項11】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、化学式R1OOC−AR−COOR2を有する化合物であり、ARはフェニレンおよびナフタレンで構成されたグループから選択され、R1およびR2はC1〜C10アルキル基、フェニル基およびナフチル基で構成されたグループから選択される、請求項8に記載の容器。
【請求項12】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、化学式R1OOC−AR−COOR2を有する化合物であり、ARはフェニレンおよびナフタレンで構成されたグループから選択され、R1およびR2はC1〜C6アルキル基、フェニル基およびナフチル基で構成されたグループから選択される、請求項8に記載の容器。
【請求項13】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、2,6−ジメチルナフタレート、ジエチルテレフタレート、およびジエチルイソフタレートで構成されたグループから選択された化合物である、請求項8に記載の容器。
【請求項14】
前記PETコポリマーが、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約99.99%〜約90%の量で存在し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約0.01%〜約10%の量で存在する、請求項8に記載の容器。
【請求項15】
前記ポリエステル組成物が、前記触媒残留物と前記ポリエステルとの反応を減少させる重縮合触媒失活剤をさらに含む、請求項1に記載の容器。
【請求項16】
前記重縮合触媒失活剤が、前記ポリエステル組成物中に約50ppm〜約500ppmの量で存在する、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
前記容器が、基部、開放式口、および前記基部から前記開放式口まで延びる本体を備える延伸ブロー成形の硬質容器である、請求項1に記載の容器。
【請求項18】
パッケージ入り飲料の作成での使用に適している、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
ガスバリア性が強化された容器を作成するための方法であって、
0.65dL/g〜1.0dL/gのIVを有するポリエステル組成物を形成するためにポリエステルを反応性有機ガスバリア性強化添加剤と混合するステップであって、前記ポリエステルは、周期表の3、4、13および14族の金属で構成されたグループから選択された少なくとも1つの第1の重縮合触媒を使用して作成され、前記ポリエステルの形成により前記ポリエステルに残った触媒残留物を含み、前記触媒残留物が、少なくとも1つの第1の重縮合触媒の少なくとも一部を含むステップと、
前記ポリエステル組成物から前記容器を形成するステップとを含む方法。
【請求項20】
前記混合ステップが、
自由体積の前記ポリエステルを溶融するために、固体形態の前記ポリエステルを加熱するステップと、
前記有機ガスバリア性強化添加剤を前記ポリエステルに添加するステップと、
前記有機ガスバリア性強化添加剤の少なくとも一部が前記ポリエステルと反応せず、前記ポリエステルの前記自由体積に配置されるような状態で、前記有機ガスバリア性強化添加剤を前記溶融ポリエステルと混合するステップとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記容器を形成する前記ステップが、延伸ブロー成形を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記容器を形成する前記ステップが、前記ポリエステル組成物から容器プリフォームを成形し、次に前記プリフォームを延伸ブロー成形することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリエステル組成物が、約0.70dL/g〜約0.86dL/gのIVを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリエステル組成物が、約0.75dL/g〜約0.86dL/gのIVを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの第1の重縮合触媒が、チタン、アルミ、ゲルマニウムおよびガリウムで構成されたグループから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
コバルト、アンチモン、亜鉛、マンガン、マグネシウム、セシウム、カルシウムおよびカドミウムで構成されたグループから選択された第2の重縮合触媒をさらに含み、前記第2の重縮合触媒が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の3ppm以内の量で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリエステルが、第1の溶解度パラメータおよび自由体積を有し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、第2の溶解度パラメータを有し、前記添加剤の少なくとも一部が、前記ポリエステルと反応せずに、前記ポリエステルの前記自由体積内に配置され、前記第2の溶解度パラメータが、前記第1の溶解度パラメータから20%以内である、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリエステルが、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約99.99%〜約90%の量で存在し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約0.01%〜約10%の量で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリエステルが、ポリ(エチレンテレフタレート)系コポリマー(PETコポリマー)を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリエステルが、100モル%の二酸成分および100モル%のジオール成分に基づき、20%未満の二酸成分変性および/または10%未満のジオール成分変性を有するポリ(エチレンテレフタレート)系コポリマー(PETコポリマー)を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、エステル、ジエステル、アミド、ジアミド、ポリアミド、イミド、ジイミド、ポリイミド、非炭素系エステル、非炭素系ジエステル、非炭素系ポリエステル、アルコール、ジアルコール、ポリアルコール、および開環反応性化合物で構成されたグループから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、化学式R1OOC−AR−COOR2を有する化合物であり、ARはフェニレンおよびナフタレンで構成されたグループから選択され、R1およびR2はC1〜C10アルキル基、フェニル基およびナフチル基で構成されたグループから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、化学式R1OOC−AR−COOR2を有する化合物であり、ARはフェニレンおよびナフタレンで構成されたグループから選択され、R1およびR2はC1〜C6アルキル基、フェニル基およびナフチル基で構成されたグループから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記有機ガスバリア性強化添加剤が、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、2,6−ジメチルナフタレート、ジエチルテレフタレート、およびジエチルイソフタレートで構成されたグループから選択された化合物である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記PETコポリマーが、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約99.99%〜約90%の量で存在し、前記有機ガスバリア性強化添加剤が、前記ポリエステル組成物中に前記ポリエステル組成物の重量の約0.01%〜約10%の量で存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記混合ステップが、前記触媒残留物と前記ポリエステルとの反応を減少させるために、前記ポリエステル組成物に重縮合触媒失活剤を混入することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
前記重縮合触媒失活剤が、前記ポリエステル組成物中に約50ppm〜約500ppmの量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記容器が、基部、開放式口、および前記基部から前記開放式口まで延びる本体を備える延伸ブロー成形の硬質容器であり、前記ポリエステル組成物から前記容器を形成する前記ステップが、前記ポリエステル組成物を延伸ブロー成形することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項39】
パッケージ入り飲料の作成での使用に適している、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−542519(P2008−542519A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515682(P2008−515682)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/041572
【国際公開番号】WO2006/132671
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】