説明

ガスバリア性フィルム、並びに該フィルムを用いた包装材及び包装体

【課題】酸素バリア性、透明性等に優れ、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、及び薬品等の包装用に適する酸素吸収機能を有するガスバリ性フィルム、ガスバリア性包装材、及びガスバリア性包装体の提供。
【解決手段】少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層を含む積層フィルムであって、23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率は、外側の酸素吸収性樹脂層(a)が1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下であり、かつ内側の酸素吸収性樹脂層(b)が2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上であることを特徴とするガスバリア性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素バリア性、透明性等に優れ、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、及び薬品等の包装用に適する酸素吸収機能を有するガスバリ性フィルム、ガスバリア性包装材、及びガスバリア性包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
透明かつ酸素バリア性の高い包装材としては2軸延伸ポリエステルフィルム(OPET)や2軸延伸ポリアミドフィルム(ONY)等に金属酸化物を蒸着した蒸着フィルムが利用されている。しかし、この蒸着フィルムはヒートシール層をラミネートし、又は印刷する際に、あるいは使用中の屈曲等により蒸着膜に損傷を受けやすく、酸素バリア性が著しく損なわれるという欠点があった。
【0003】
また、酸素吸収材等を包装材中に含ませ、透過してくる酸素を捕集して、見かけの酸素透過率を下げる方法も知られている。この方法は、鉄粉等の酸素吸収剤を所定の樹脂に配合し、包装材の器壁として用いられるものであり、酸素吸収性能が大きいというメリットがある。しかし、配合する樹脂を固有の色相に着色する必要があるため、透明性が要求される包装の分野には使用できないという制約があった。さらにこの包装材は、金属異物検知器に反応してしまうため、異物検知器が使用できないという問題もあった。
【0004】
一方、遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂は、フィルムに成形した場合、実質上透明であるため、透明性が要求される包装容器にも適用でき、またこのフィルムは蒸着フィルム並みの酸素ガスバリア性を達成することができ、さらに金属異物検知器にも反応しないため、異物検知器を使用できるという利点を有する。そのため、ポリアミド樹脂に酸化性有機成分と遷移金属系触媒とを配合することにより酸素透過を長期に亘って低減させることができる酸素吸収性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかし、ガスバリア性樹脂を主成分とした酸素吸収性樹脂を使用した場合、外部酸素の透過阻止には有効であるが、容器内部の残存酸素を吸収するという目的には不向きであった。
【0005】
また2種類の酸素吸収性樹脂層を含むポリエステル系容器も提案されている(特許文献2参照)。この容器は、ポリエステル系樹脂中に酸素吸収機能を有するポリアミド系樹脂を分散させて2種類の酸素吸収性樹脂層を構成し、さらに外側の酸素吸収性樹脂層よりも内側の酸素吸収性樹脂層におけるポリアミド系樹脂の分散径を小さくすることにより、内部酸素の吸収開始時期を調整することが可能である。しかし、ポリアミド系樹脂の分散径を調整するためには、酸素吸収性樹脂の量や分散方法等に制限があり、広い範囲で使いにくい技術であった。
【特許文献1】特開2002−241608号公報
【特許文献2】特開2005−67609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、高い酸素ガスバリア性を有し、かつ内部酸素を効率よく吸収できるガスバリア性フィルム、ガスバリア性包装材、及びガスバリア性包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、特定のガスバリア性能を有するガスバリア性樹脂をベースにした酸素吸収性樹脂層を外側(外部空気側)に配し、かつそれよりも内側にガス透過性樹脂をベースにした酸素吸収性樹脂層を配置することで、高い酸素バリア性と内部酸素の効率的な吸収を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の課題は、少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層を含む積層フィルムであって、23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率は、外側の酸素吸収性樹脂層(a)が1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下であり、かつ内側の酸素吸収性樹脂層(b)が2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上であることを特徴とするガスバリア性フィルムにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、酸素吸収性能が異なる少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層を含むため、酸素ガスバリア性、透明性等に優れ、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、及び薬品等の包装用に適したガスバリア性フィルムを提供することができる。
【0010】
本発明は、外側の酸素吸収性樹脂層のさらに外側に所定のガスバリア性能を有するガスバリア性樹脂層を有する場合、ガスバリア性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物であり、外側の酸素吸収性樹脂層を構成する酸素吸収性樹脂がポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、又はポリエステル樹脂を主成分とし、さらに被酸化性樹脂及び遷移金属系触媒を含有する場合、内側の酸素吸収性樹層(b)を構成する酸素吸収性樹脂が、ポリオレフィン樹脂又はポリ(メタ)アクリル酸エステル誘導体を主成分とする樹脂である場合には、酸素バリア性能を向上させたガスバリア性フィルムを提供することができる。
【0011】
本発明は、内側の酸素吸収性樹脂層のさらに内側にヒートシール可能な熱可塑性樹脂層を配し、また内側の酸素吸収性樹脂層とヒートシール可能な熱可塑性樹脂層との間に臭気防止層を配することにより、シール成形可能であり、臭気の内部への移行防止可能なガスバリア性フィルムを得ることができる。
【0012】
本発明は、上記ガスバリア性フィルムを用いて包装材や包装体を作製した場合、優れた酸素バリア性を有するため、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、及び薬品等の包装用のガスバリア性包装材及び包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明のガスバリア性フィルム、並びに該フィルムを用いた包装材及び包装体について詳細に説明する。
なお、本明細書において「A層の内側にB層が積層される」とは、本発明のガスバリア性フィルムを用いて包装体を作製した場合に、A層より内容物に近い位置にB層が配されることを意味し、「A層の外側にB層が積層される」とは、A層より外気(空気中)に近い位置にB層が配されることを意味する。また本明細書において「A層にB層を積層する」とは、主としてA層上にB層を直接配する場合を意味するが、A層とB層との間にさらにC層を介在させることが可能であることを意味する。
【0014】
[層構成]
先ず、本発明のガスバリア性フィルムの好適な層構成について図面を参酌して説明する。
図1は、本発明のガスバリア性フィルムの好適な態様の断面構造を示す図である。図1において、符号1は本発明の好適なガスバリア性フィルム、符号2は外側の酸素吸収性樹脂層(a)、符号3は内側の酸素吸収性樹脂層(b)、符号4はガスバリア性樹脂層(c)、符号5は接着性樹脂層、符号6はヒートシール可能な熱可塑性樹脂からなるヒートシール性樹脂層(d)、符号7は臭気防止層をそれぞれ示す。
【0015】
図1において、ガスバリア性フィルム1は、ガスバリア性樹脂層(c)4から洩れた酸素を吸収し、内部への酸素の移行を防止するための外側の酸素吸収性樹脂層(a)2と、容器内部側に位置し、容器内部中に含まれる酸素を効率よく吸収するための内側の酸素吸収性樹脂層(b)3の少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層を含む。
【0016】
本発明の好適なガスバリア性フィルム1は、内側の酸素吸収性樹脂層(b)3のさらに内側に被着体とヒートシールするためのヒートシール性樹脂層(d)6が設けられる。
【0017】
本発明のガスバリア性フィルムのもう一つの好適な態様は、図2に示すように、内側の酸素吸収性樹脂層(b)3とヒートシール性樹脂層(d)6との間に、内部の臭気を吸収するための臭気防止層7を有する。
【0018】
図1及び図2において、外側の酸素吸収性樹脂層(a)2と内側の酸素吸収性樹脂層(b)3が相互に接着性を有しない場合には、層間接着強度を向上させる目的でさらに接着性樹脂層6を介在させることもできる。但し、内側の酸素吸収性樹脂層(a)2と外側の酸素吸収性樹脂層(b)3を構成する酸素吸収性樹脂が、いずれもポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂である場合や、ポリアミド系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)である場合には、接着性が比較的高いため、接着性樹脂層8を介在させずに直接積層させることもできる。
【0019】
本発明のガスバリア性フィルムは上記の層構成を採り得るが、ガスバリア性フィルム全体の厚さは、30μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、400μm以下、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、特に軟包装材として用いる場合には200μm以下、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下であることが望ましい。酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)、ガスバリア性樹脂層(c)、ヒートシール性樹脂層(d)、接着性樹脂層、及び臭気防止層の厚さについては後述する。
【0020】
本発明のガスバリア性バリアフィルムが採り得る層構成としては、以下の態様を挙げることができる。
(1)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/酸素吸収性樹脂層(b)
(2)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/酸素吸収性樹脂層(b)/ヒートシール性樹脂層(d)
(3)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/酸素吸収性性樹脂層(b)/臭気防止層/ヒートシール性樹脂層(d)
(4)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/接着性樹脂層/酸素吸収性樹脂層(b)
(5)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/接着性樹脂層/酸素吸収性樹脂層(b)/ヒートシール性樹脂層(d)
(6)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/接着性樹脂層/酸素吸収性性樹脂層(b)/臭気防止層/ヒートシール性樹脂層(d)
(7)ガスバリア性樹脂層(c)/酸素吸収性樹脂層(a)/接着性樹脂層/酸素吸収性性樹脂層(b)/接着性樹脂層/臭気防止層/接着性樹脂層/ヒートシール性樹脂層(d)
【0021】
[酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)]
本発明のガスバリア性フィルムの外側の酸素吸収性樹脂層(a)は、包装材又は包装体として用いられる場合、酸素により飽和された状態(すなわち酸素吸収性能がない場合)では23℃・50%RHの酸素透過率は、厚さ20μm当り1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下で、好ましくは800ml/m2・day・MPa(80cc/m2・day・atm)以下、さらに好ましくは500ml/m2・day・MPa(50cc/m2・day・atm)以下あることが必要である。上記条件下において上記数値より酸素透過率が大きい場合には、酸素吸収速度との関係で、内部に浸入する酸素が増加しやすく、また仮に酸素吸収能が飽和した場合、内部に酸素が浸入しやすくなり、酸素等に敏感な内容物の保存に不向きとなる場合がある。
【0022】
一方、内側に位置する酸素吸収性樹脂層(b)は、酸素により飽和された場合(すなわち酸素吸収性能がない場合)に、実質的に酸素透過性であり、酸素により飽和された状態における23℃・50%RHでの酸素透過率は、厚さ20μmあたり2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上、好ましくは3000ml/m2・day・MPa(300cc/m2・day・atm)以上、さらに好ましくは5000ml/m2・day・MPa(500cc/m2・day・atm)以上であることが必要である。内側の酸素吸収性樹脂層(b)の酸素透過率が上記数値より小さい場合には、内部酸素の吸収が遅く、食品等の保存には不向きとなる場合がある。
【0023】
ここで「飽和された状態における酸素透過率」とは、所定条件下で、酸素吸収性樹脂がその最大吸収能力まで酸素を吸収し、酸素吸収性を示さない状態における酸素透過率を示す。酸素吸収性樹脂が、主成分となる樹脂に被酸化性樹脂及び遷移金属系触媒を混合あるいは反応させたものである場合には、上記酸素透過率は主成分となる樹脂の酸素透過率に大きく影響される。
【0024】
本発明のガスバリア性フィルムにおいて、酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)で使用される樹脂は、23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率が所定の数値を満たすものであれば特に限定されないが、被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを含む樹脂組成物が好適に用いられる。
【0025】
被酸化性樹脂(S)は、遷移金属系触媒(M)の作用により、空気中の酸素で酸化される樹脂であり、具体的には(i)炭素側鎖を含む樹脂、(ii)キシリレン基含有ポリアミド樹脂、(iii) エチレン系不飽和基含有重合体、(iv)ポリエーテル含有重合体などが挙げられる。被酸化性樹脂(S)は、一般の熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂を主成分(以下「ベースポリマー」ともいう。)として、遷移金属系触媒(M)とともに混合・分散して酸素吸収性樹脂として使用することも好ましい。
【0026】
被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを含有する組成物における酸素吸収は、被酸化性樹脂(S)の酸化を経由して行われる。この酸化は、遷移金属系触媒(M)による活性炭素原子からの水素原子の引き抜きによるラジカルの発生、このラジカルへの酸素分子の付加によるパーオキシラジカルの発生、パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜きの各反応を経て行われるとの説が有力である。上記(i)〜(iv)の樹脂又は重合体は、このような活性炭素原子を有するため、被酸化性樹脂(S)として使用できる。
【0027】
炭素側鎖を有する樹脂(i)としては、(イ)変性又は未変性のオレフィン樹脂、(ロ)分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族オキシカルボン酸、又はラクトンから誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポリエステル、特に脂肪族ポリエステル、(ハ)分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジアミン、脂肪族アミノカルボン酸、又はラクタムから誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポリアミド、特に脂肪族ポリアミド等が挙げられる。
【0028】
キシリレン基含有ポリアミド樹脂(ii)としては、キシリレン基含有ポリアミド樹脂、特にキシリレンジアミンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分とから誘導されたポリアミドが挙げられる。キシリレン基含有ポリアミド樹脂(ii)は、遷移金属触媒(M)との組み合わせで酸化性を有することが知られている。すなわち、遷移金属系触媒(M)によるキシリレン基含有ポリアミド樹脂のメチレン鎖(特にアリーレン基に隣接するメチレン鎖)からの水素原子の引き抜きによりラジカルが発生し、前述と同様の反応機構で酸化が進行する。
【0029】
キシリレン基含有ポリアミド樹脂を例示すれば、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、あるいはこれらの単独重合体又は共重合体成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられる。中でもm−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが好ましい。これらのキシリレン基含有ポリアミド樹脂では、ベンゼン環の隣接メチレン鎖の部分にラジカルの生成と酸素の吸収(パーオキサイドの生成)が効率よく起きるため、酸素吸収性の観点から好ましい。
【0030】
エチレン系不飽和基含有重合体(iii)としては、例えば、酸化性重合体としてポリエンから誘導される重合体を用いることが好ましい。ポリエンとしては、炭素数4〜20の不飽和炭化水素、鎖状又は環状の共役又は非共役ジエンから誘導された単位を含む樹脂が好適に使用される。これらの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどが挙げられる。
【0031】
上記ポリエンは、単独で又は2種以上を組み合わせて、あるいは他の単量体と組み合わせて単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体を形成し得る。ポリエンと組み合わせで用いられる単量体としては、炭素数2〜20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンが挙げられ、他にスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどの単量体も使用可能である。
【0032】
ポリエン系重合体としては、具体的には、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIB)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等を挙げることができるが、これらの例に限定されない。
【0033】
ポリエン系重合体における炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子は活性を有し、水素原子の引き抜きが容易である。重合体における炭素−炭素二重結合は、特に限定されず、ビニレン基の形で主鎖中に存在しても、またビニル基の形で側鎖に存在していてもよい。
【0034】
ポリエーテル含有重合体(iv)としては、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド(2,3又は1,2)及びポリスチレンオキシドなどが好適に用いられる。
【0035】
上記酸素吸収性樹脂は、被酸化性樹脂(S)と遷移金属触媒(M)のみで構成することも可能であるが、他の熱可塑性樹脂をベースポリマーとして混合・分散して用いることが好ましい。混合・分散量を調整することで、酸素吸収性樹脂としての酸素吸収容量を調整でき、また酸素吸収後の物性低下の影響を少なくすることができる。他の熱可塑性樹脂に混合・分散して使用する場合、被酸化性樹脂(S)は、酸素吸収性樹脂全量に対して1質量%以上、好ましくは3質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲で存在するように調整するのが好ましい。その場合、被酸化性樹脂(S)を熱可塑性樹脂中に分散しやすくするために、エポキシ又は無水官能基等を被酸化性樹脂(S)に導入することが好ましい。
【0036】
被酸化性樹脂(S)へのエポキシ又は無水官能基等の導入をポリエン系重合体の酸変性を例として説明する。酸変性ポリエン系重合体は、炭素−炭素二重結合を有するポリエン系重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに不飽和カルボン酸又はその誘導体を公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したポリエンと不飽和カルボン酸又はその誘導体とをランダム共重合させることにより製造することもできる。
【0037】
本発明の目的に特に好適な酸変性ポリエン系重合体は、この重合体中に不飽和カルボン酸又はその誘導体を0.01〜10モル%含有していることが好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が上記の範囲にあると、酸変性ポリエン系重合体の他の樹脂(マトリックス樹脂)への分散が良好となると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。また、末端に水酸基を有する水酸基変性ポリエン系重合体も良好に使用することができる。
【0038】
適切な酸素捕捉剤としての官能性被酸化性ポリジエンの具体例は、エポキシ官能化ポリブタジエン(1,4及び/又は1,2)、無水マレイン酸グラフト化又は共重合体化ポリブタジエン(1,4及び/又は1,2)、エポキシ官能化ポリイソプレン、及び無水マレイン酸グラフト化又は共重合体化ポリイソプレン、アミン、エポキシ又は無水官能性ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド(2,3又は1,2)及びポリスチレンオキシドなどである。
【0039】
本発明のガスバリア性フィルムを構成する少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)は、それぞれ目的が異なるため、それぞれに適した酸素吸収性樹脂を選択し使用する必要がある。ガスバリア性包装材及び包装体として使用する場合、外側の酸素吸収性樹脂層(a)の特性として、飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率が1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下であることが必要である。酸素吸収性樹脂層(a)は、ガスバリア性樹脂を被酸化性樹脂(S)とし、遷移金属系触媒(M)とともに酸素吸収性樹脂層を構成するか、あるいは被酸化性樹脂(S)をガスバリア性樹脂からなるベースポリマーに混合させて、遷移金属系触媒(M)とともに酸素吸収性樹脂層を構成することができる。ベースポリマーとしては、厚さ20μmあたりの酸素透過率が外側の酸素吸収性樹脂層(a)1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下となるような樹脂を使用することが必要である。すなわち、23℃50%RHで厚さ20μmあたりの酸素透過率が1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下であるガスバリア性樹脂をベースポリマーとし、これに被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを混合あるいは付加すればよい。外側の酸素吸収性樹脂層(a)のベースポリマーとしては、例えば、ポリアミドホモポリマー又はコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリグリコール酸、ポリエステル樹脂等のいわゆるガスバリア性樹脂と称される樹脂が挙げられる
【0040】
好適なポリアミドホモポリマー又はコポリマーは、脂肪族ポリアミド及び脂肪族/芳香族ポリアミドから選ばれる。
【0041】
有用な脂肪族ポリアミドとしては、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6、ポリ(カプロラクタム)としても知られる)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメラミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベラミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(ナイロン10,9)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン4,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(ナイロン6/6,6)、トリメチレンアジパミド/ヘキサメチレンアゼライアミドコポリマー(ナイロントリメチル6,2/6,2)、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレン−アゼライアミドカプロラクタムコポリマー(ナイロン6,6/6,9/6)、ポリ(テトラメチレンジアミン−コ−シュウ酸)(ナイロン4,2)、n−ドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンとn−ドデカン二酸のポリアミド(ナイロン12,12)、並びにそれらのブレンド及びコポリマー、及び本明細書中に特記されていない他のポリアミドなどである。
【0042】
上記の脂肪族ポリアミドのうち、ポリカプロラクタム(一般にナイロン6とも呼ばれている)、及びポリヘキサメチレンアジパミド(一般にナイロン6,6とも呼ばれている)、並びにこれらの混合物が好適に用いられる。中でもポリカプロラクタムが最も好適である。
【0043】
脂肪族/芳香族ポリアミドの例としては、例えば、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(m−キシレンアジパミド)(M X D6)、ポリ(p−キシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(ナイロン6,T)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(ナイロン6,I)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6T/6I 、ポリ(テトラメチレンジアミン−コ−イソフタル酸)(ナイロン4,I)、ポリアミド6/M XDT/I、ポリアミドMXDI、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレン−イソフタルアミド(ナイロン6,6/6I)、ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6,6/6T)、及び本明細書中に特記していないその他のものなどである。2種類以上の脂肪族/芳香族ポリアミド及び/又は脂肪族ポリアミドのブレンドも使用できる。脂肪族/芳香族ポリアミドは、公知の製造技術によって製造できるか、又は市販品を入手できる。
【0044】
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物は、特にエチレン含有量が38モル%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適に使用される。
【0045】
ポリグリコール酸は、繰り返し構造(−O−CH2−CO−)を60mol%以上含有する(共)重合体あるいはその混合物であり、好ましくは繰り返し構造(−O−CH2−CO−)を80mol%以上含有する(共)重合体、あるいはその混合物である。また、ポリグリコール酸には、フィルムの性能を損なわない範囲においてポリオレフィン、エラストマー、アイオノマーなどの樹脂や、滑剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤を配合することもできる。
【0046】
ポリエステル樹脂は、主鎖に(−O−CO−)を含む樹脂であって、23℃・50%RHの酸素透過率が、厚さ20μm当り1000ml/m2・day・MPa((100cc/m2・day・atm)以下であるものが使用できる。好適なポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどをあげることができる。
【0047】
上記ベースポリマーは、酸素吸収性樹脂のガスバリア性を向上させる目的でナノメータースケールの分散クレイをさらに含むことができる。好適なクレイは、天然又は合成層状ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、バイデル石、サポナイト、ノントロナイト又は合成フルオロマイカなどで、適切な有機アンモニウム塩によって陽イオン交換されている。好適なクレイは、モンモリロナイト、ヘクトライトである。好適なクレイは、天然又は合成層状ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、バイデル石、サポナイト、ノントロナイト又は合成フルオロマイカなどで、適切な有機アンモニウム塩によって陽イオン交換されている。好適なクレイは、モンモリロナイト、ヘクトライトである。クレイは、1nm以上100nm以下の範囲の平均厚と、50nm以上500nm以下の範囲の平均長及び平均幅を有し、ポリアミド系樹脂中に10質量%以下、好ましくは2質量%以上8質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上6%質量以下の範囲の量で存在するのが好ましい。
【0048】
一方、内側の酸素吸収性樹脂層(b)は、酸素により飽和された状態では酸素透過性樹脂であることが重要である。具体的には、23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率酸素が2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上であることが必要である。この酸素透過性樹脂としては、この数値ができるだけ高い、数万ml/m2・day・MPa程度を示す樹脂が好適に使用できる。2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)未満では内部酸素を効率よく吸収しにくくなるという問題がある。
内側の酸素吸収性樹脂層(b)は、酸素飽和状態で酸素透過性となる被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とで酸素吸収性樹脂層(b)を構成してもよいし、あるいは酸素透過性となる樹脂をベースポリマーとして、被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを混合して構成してもよい。
【0049】
内側の酸素吸収性樹脂層(b)のベースポリマーは、主鎖中にポリエチレン単位、ポリプロピレン単位を含むものが好適に用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、あるいはこれらを50モル%以上含みこれらと共重合可能な成分との共重合体などのポリオレフィン樹脂が挙げられる。共重合可能な成分とは、たとえば酢酸ビニル、あるいはこの部分けん化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、あるいはこれらの部分金属中和物(アイオノマー類)、ブテン等の1−アルケン類、アルカジエン類、スチレン等が挙げられる。さらに酸素吸収性樹脂層(b)のベースポリマーとしては、酢酸ビニル若しくはその部分けん化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類などのポリ(メタ)アクリル酸エステル誘導体若しくはこれらの部分金属中和物(アイオノマー類)、スチレン又はこれらとエチレン、プロピレン等との共重合体が挙げられる。中でもポリオレフィン樹脂又はポリ(メタ)アクリル酸エステル誘導体をベースポリマーとすることが好ましい。これらの構成単位は複数含まれていてもよい。
【0050】
次に本発明のフィルムで使用する遷移金属系触媒(M)について説明する。遷移金属系触媒(M)は、上記被酸化性樹脂(S)の酸化反応の触媒となるもので、遷移金属の有機酸塩又は有機錯塩等が好適に使用される。用いる遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。これらの遷移金属系触媒の中でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、特に好適なものである。
【0051】
遷移金属系触媒(M)は、上述した遷移金属の低価数の無機酸塩、有機酸塩、又は錯塩の形で一般に使用される。無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0052】
酸素吸収性樹脂において、遷移金属系触媒(M)は、主成分として含まれる熱可塑性樹脂に対して、10ppm以上、好ましくは50ppm以上、200ppm以下、好ましくは100ppm以下の割合で含まれることが望ましい。熱可塑性樹に遷移金属触媒(M)を配合する方法としては、種々の手段を用いることができる。例えば、遷移金属触媒(M)を熱可塑性樹脂に単に乾式でブレンドすることもできるが、遷移金属触媒(M)が熱可塑性樹脂に比して少量であるので、ブレンドを均質に行うために、遷移金属触媒(M)を有機溶媒に溶解し、この溶液と粉末或いは粒状の樹脂とを混合し、必要によりこの混合物を不活性雰囲気下に乾燥するのがよい。
【0053】
遷移金属系触媒(M)を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いることができる。遷移金属系触媒(M)の濃度は溶媒に対して5〜90質量%となるような濃度で用いるのがよい。
【0054】
酸化性重合体成分及び遷移金属系触媒(M)の混合物、及びその後の保存は、酸素吸収性樹脂の前段階での酸化が生じないように、非酸化性雰囲気中で行うのがよい。この目的に減圧下或いは窒素気流中での混合或いは乾燥が好ましい。この混合及び乾燥は、ベント式又は乾燥機付の押出機や射出機を用いて、成形工程の前段階で行うことができる。また、遷移金属系触媒を比較的高い濃度で含有する酸化性重合体成分のマスターバッチを調製し、このマスターバッチを未配合の重合体と乾式ブレンドして、本発明の酸素吸収性樹脂を調製することもできる。
【0055】
本発明で用いられる酸素吸収性樹脂は、場合により、一つ以上の従来の添加剤を含んでいてもよく、その使用は当業者に周知である。そのような添加剤の使用は、組成物の処理向上、並びに該組成物から形成される生成物や製品の改良のために望ましいであろう。そのような添加剤の例は、酸化及び熱安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、酸化抑制剤、染料、顔料及び他の着色剤、紫外線安定剤、粒子及び繊維充填剤を含む有機又は無機充填剤、補強剤、成核剤、可塑剤、並びに当該技術分野で公知のその他の従来の添加剤などである。そのような添加剤は酸素吸収性樹脂全量の10質量%まで使用できる。
【0056】
酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)の厚さは、いずれも3μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下であることが望ましい。酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)の厚さが3μm以上であれば、長期間、高酸素バリア性を維持でき、またこの厚さが40μm以下であれば、高酸素バリア性能を維持でき、かつ経済的にも有利となる。
【0057】
[ガスバリア性樹脂層(c)]
本発明のガスバリア性フィルムは、外側の酸素吸収性樹脂層(a)のさらに外側にガスバリア性樹脂層(c)を配することができる。ガスバリア性樹脂層(c)で使用されるガスバリア性樹脂として、23℃・50%RHにおける酸素透過率が30ml/m2・day・MPa(3cc/m2・day・atm)以下、好ましくは20ml/m2・day・MPa(2cc/m2・day・atm)以下、さらに好ましくは10ml/m2・day・MPa(1cc/m2・day・atm)以下であり、かつ熱成形可能な熱可塑性樹脂が好適に使用される。ガスバリア性樹脂層(c)におけるガスバリア性能が30ml/m2・day・MPa(3cc/m2・day・atm)を超えた場合、酸素吸収性樹脂層(a)における酸素吸収速度が追いつかず、包装材及び包装体全体のガスバリア性能を1ml/m2・day・MPa(0.1cc/m2・day・atm)以下に維持することが困難となるほか、仮に酸素吸収性樹脂層(a)が十分な酸素吸収速度を有していても、酸素吸収性樹脂層(a)の厚さを厚くする必要があり、軟包装の用途では取り扱いが困難となる場合がある。
【0058】
ガスバリア性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(ビニルアルコール共重合体)を挙げることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、例えばエチレン含有量が20モル%以上、好ましくは25モル%以上であり、47モル%以下、好ましくは38モル%以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が好適に使用される。エチレン含有量が20モル%以上であれば、
また、エチレン含有量が47モル%以下であれば、良好な酸素バリア性能を維持しながらガスバリア性樹脂層(c)の厚さを比較的薄くできるため、軟包装材として用いた場合に柔軟性が損なわれることもない。
【0059】
ガスバリア性樹脂の適当な他の例としては、ポリグリコール酸を使用することができる。ポリグリコール酸としては、繰り返し構造(−O−CH2−CO−)を60mol%以上含有する(共)重合体あるいはその混合物であり、好ましくは繰り返し構造(−O−CH2−CO−)を80mol%以上含有する(共)重合体、あるいはその混合物である。また、ポリグリコール酸には、フィルムの性能を損なわない範囲においてポリオレフィン、エラストマー、アイオノマーなどの樹脂や、滑剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤を配合することもできる。ポリグリコール酸は、全湿度域において高い酸素バリア性を維持することが可能であるため、酸素バリア性を一層向上することができる。
【0060】
ガスバリア性樹脂層(c)の厚さは、23℃・50%RHにおける酸素透過率が30ml/m2・day・MPa(3cc/m2・day・atm)以下にできれば特に限定されないが、軟包装材としての用途に適用するためには3μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、50μm以下、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、最も好ましくは20μm以下であることが望ましい。ガスバリア性樹脂層(c)の厚さが3μm以上あれば、長期間、ガスバリア性を保持でき、またこの厚さが50μm以下であれば包装材の用途で用いた場合にもフィルムが硬すぎることなく、屈曲によるピンホールの発生を抑え、さらに、包装材コスト高も抑えることができる。
[臭気防止層]
本発明のガスバリア性フィルムは、酸素吸収性樹脂層(b)の内側にさらに臭気防止層を積層して使用することで、酸素吸収層で発生する可能性のあるアルデヒド類などを、容器内部に移行しにくくし、内容物への不要な着香を防止することができる。
臭気防止層に用いられる樹脂としては、ポリエステル類が好適に用いられ、特に脂肪族ポリエステル類が好適に用いられ、たとえば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、あるいはこれらのコポリマー(たとえば三菱化学製GSPla)や混合物などが好適に用いられる。
また、臭気防止層としては、酸素ガスバリア性のある樹脂を用いることで、その役割を果たすことができるが、内側の酸素吸収樹脂層が内部の酸素を吸収する際に障害となるので、臭気防止層の酸素ガス透過性が2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上となるような厚みとすることが好ましい。
【0061】
[ヒートシール性樹脂層(c)]
本発明のガスバリア性フィルムは、酸素吸収性樹脂層(b)の内側にさらにヒートシール性樹脂層(c)を積層し、ヒートシールすることで、包装用の袋体とすることや蓋材として使用することができる。また、ヒートシール性樹脂層を積層後、熱成型等でカップ形状等に加工して使用することもできる。
【0062】
ヒートシール性樹脂層(c)で用いられる樹脂は、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂であればいずれでもよく、被着体の材質を考慮して適宜決定される。ヒートシール可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、エステル系樹脂との接着性を有するエチレン系樹脂、スチレン系樹脂又はスチレン系樹脂との接着性を有するエチレン系樹脂などが挙げられ、シール強度、取り扱い易い等の観点からオレフィン系樹脂が好適に使用される。
【0063】
オレフィン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属中和物(例えば、そのカルボキシル基のうちの少なくとも10モル%、好ましくは10〜60モル%がナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで中和されているもの);アイオノマー、ホモポリプロピレン、ブロック共重合又はランダム共重合タイプのポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
【0064】
また、スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレンの他、スチレンモノマーに対して少量のゴム分や他のビニル系単量体が共重合されているスチレン系共重合体等が挙げられる。他のビニル系単量体としては、例えば、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマーや、アクリルニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、ゴム分の使用割合は通常0.1〜20質量%、他のビニル系単量体の使用割合は通常0.1〜30質量%である。スチレン系樹脂として好ましいものとしては、ポリスチレンや、ジエン系ゴムとスチレンの共重合体であるハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられる。
【0065】
これらの樹脂は、単独で又は混合して使用することができる。また、ヒートシール性樹脂層(c)は、必要に応じて異なる樹脂からなる2層以上で構成されていてもよい。
【0066】
ヒートシール性樹脂層(c)の厚みは、10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、100μm以下、好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。ヒートシール性樹脂層(c)の厚みが10μm以上であれば、シール強度の低下を抑えられ、内容物が洩れたり、フレーバー保持性が低下したりすることを防止することができ、また100μm以下であれば、剥離時に毛羽立ちや膜残りが発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られるとともに、経済的にも好ましい。また、ガスバリア性フィルム全体の厚みが400μm以下であれば、フィルム全体が硬くなりすぎてピンホールが発生したり、取り扱いが困難になったりすることもなく好ましい。
【0067】
またヒートシール性樹脂層(c)は、凝集破壊性を有するイージーピール層を含み、あるいはイージーピール層で構成されてもよい。ここで、凝集破壊性を有するとは、例えば、本発明のガスバリア性フィルムを用いて深絞り包装体を作製し、該包装体を開封する際に、イージーピール層自身が破壊されて剥離し、破壊後のイージーピール層がイージーピール層の上層側(底材側)及び下層側(蓋材側)の双方に残ることをいう。イージーピール層を構成する樹脂は、被着体の外層を構成する樹脂層とヒートシール可能であり、かつイージーピール強度が1.96N/15mm幅以上11.8N/15mm幅以下であり、かつガスバリア性フィルムの他層の層間剥離強度より小さい値をとるものであれば特に限定されない。
【0068】
イージーピール層は、例えば、種類の異なる次の樹脂A及び樹脂Bより構成することができる。すなわち、樹脂Aとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びこれらのアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。特に樹脂Aとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を好適に用いることができる。一方、樹脂Bとしては、ポリプロピレン(PP)又はポリブチレン(PB)を用いることができる。樹脂BのPPは、ランダムコポリマー、ホモポリマー、ブロックコポリマー等のいずれも使用でき、中でもランダムコポリマーを好適に用いることができる。
【0069】
樹脂Aと樹脂Bの含有率は、シール性及び開封性の観点から、イージーピール層全体の質量に対して樹脂Aを40質量%以上、好ましくは50質量%以上とすることが望ましく樹脂Aの上限を80質量%以下、好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下とすることが望ましい。一方、樹脂Bはイージーピール層全体の質量に対して20質量%以上、好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上とし、上限を60質量%以下、好ましくは50質量%以下とすることが望ましい。樹脂Aの含有率を40質量%以上(すなわち、樹脂Bの含有率を60質量%以下)とすることにより、良好なヒートシール性を維持することができる。一方、樹脂Aの含有率を80質量%以下(すなわち、樹脂Bの含有率を20質量%以上)とすることにより、適度なイージーピール強度が得られ、良好な開封性が得られる。
【0070】
イージーピール層のイージーピール強度は、上述のように1.96N/15mm幅(200gf/15mm幅)以上11.8N/15mm幅(1200gf/15mm幅)以下の範囲であり、かつガスアリア性フィルムの他層の層間剥離強度より小さい数値である。好ましくは下限が2.94N/15mm幅以上、より好ましくは3.92N/15mm幅以上、さらに好ましくは4N/15mm幅以上である。一方、イージーピール強度の上限は、好ましくは9.8N/15mm幅以下、さらに好ましくは7.84N/15mm幅以下である。イージーピール強度が1.96N/15mm幅(200gf/15mm幅)以上あれば、使用時に破袋してしまう危険性もなく、また11.8N/15mm幅(1200gf/15mm幅)以下であれば、包装体の良好な開封性を維持できる。
【0071】
イージーピール層を含む場合、イージーピール層の厚みは、製膜性及び剥離時の外観性の点から3μm以上、好ましくは4μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限は15μm以下、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下とすることが望ましい。イージーピール層の厚みを3μm以上とすることにより、安定した製膜性が得られる。一方、イージーピール層の厚みを15μm以下とすることにより、包装体の開封時に毛羽立ちや膜残りの発生を抑えることができ、かつ良好な剥離外観が得られる。
【0072】
[接着性樹脂層]
本発明のガスバリア性フィルムは、共押出法で積層フィルムを製膜する場合、各樹脂層間に必要により接着性樹脂層を介在させることもできる。このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル(−CO−)基を主鎖又は側鎖に、1〜700meq/100g樹脂、特に10〜500meq/100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着性樹脂の適当な例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフォン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の1種又は2種以上の組み合わせた樹脂が挙げられる。
【0073】
接着性樹脂層を設ける場合、接着性樹脂層の厚みは、作業性、経済性、取り扱い性の観点から5μm以上、好ましくは8μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また上限は特に制限はないが、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。接着層の厚みが5μm以上であれば、層間剥離強度の向上させることができる。また接着層が厚すぎると、底材の総厚みが厚くなってしまうほか、製造コストも嵩むため上限は25μm以下であることが望ましい。
【0074】
本発明のガスバリア性フィルムは、必要に応じて印刷層を設けることができる。印刷層の厚みは特に限定はなく、0.5μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下の範囲で形成することができる。印刷層は、絵柄、文字等を表す層には限定されず、メジウム又は樹脂のみ(ビヒクル)よりなる無色透明の層であってもよい。また、メジウム又は樹脂のみ(ビヒクル)よりなる無色透明の層と、絵柄、文字等を表す層の二層よりなる層とすることもでき、必要に応じて帯電防止や紫外線吸収、紫外線遮蔽などの機能を有する層を有していてもよい。
【0075】
印刷層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等、公知の方法で行うことができるが、速乾性のある揮発乾燥型のインキを使用でき、巻取式輪転印刷機で高速印刷ができるなどの観点から、グラビア印刷により形成するのが好ましい。好ましい印刷法を例示すると、底材及び蓋材の内層及び中間層を共押出法でそれぞれ作製した後に、予め作製しておいた外層上にグラビア印刷により印刷し、次いでドライラミネート法により印刷層と中間層とが対向するようにラミネートすることにより(裏印刷)、印刷層を有する積層フィルムを作製することができ、外観に優れた底材又は蓋材が得られる。
【0076】
本発明のガスバリア性フィルムは、外側の酸素吸収性樹脂層(a)、内側の酸素吸収性樹脂層(b)を別々に製膜し、その後、ドライラミネート法や押出ラミネート法などを使って貼り合わせることができるが、フィルム製膜中の酸素吸収性樹脂の無駄な酸化を防止でき、かつフィルム製膜コストを低減する観点からは、共押出法で作製することが好ましい。ガスバリア性樹脂層(c)、ヒートシール性樹脂層(d)、臭気防止層や接着性樹脂層を設ける場合も同様に、共押出法で作製することが好ましい。
【0077】
多層フィルムを共押出法で作製する場合、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押し出し成形を行えばよい。更に、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
【0078】
[包装体]
本発明のガスバリア性包装体は、周囲をヒートシールして袋形状、あるいはカップ等の立体容器あるいはその蓋材の形で用いられる。
【0079】
本発明のガスバリア性包装体は、前述したガスバリア性フィルムを用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造が可能である。例えば、フィルム、シート或いはチューブの成形は、各層を構成する樹脂を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われる。さらに、フィルム又はシートを、真空成形、圧空成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器やフィルム乃至シートからなる蓋材が得られる。
【0080】
本発明のガスバリア性フィルムは、製膜時に延伸処理を施したフィルムを使用してもよい。延伸することで、フィルムの引張強度や突き刺し強度等が改良されて包装用材料として使用中のピンホールや破袋に対する耐性が向上する。さらに延伸中の熱履歴を調整することで収縮性などを付与することもできる。延伸フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することができる。まず、実質的に無定型で配向していない積層フィルム(以下「積層未延伸フィルム」という)を、共押出法で製造するのがよい。この積層未延伸フィルムの製造は、例えば、原料を3〜10台の押出機により溶融し、フラットダイ、または環状ダイから積層して押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の積層未延伸フィルムとする。
【0081】
次に、上記の積層未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)、およびこれと直角な方向(横方向)で、縦横二軸方向に各々2〜10倍の範囲で延伸する。縦方向および横方向の二軸延伸方向の延伸倍率が、各々2倍より小さい時は、延伸の効果が少なく、フィルムの強度が劣り、特に突き刺し強度が低下しやすい。また二軸延伸方向の延伸倍率が各々10倍より大きい時は、延伸時に積層フィルムが裂けたり破断したりしやすいので延伸倍率の上限は上記の範囲内とするのがよい。
【0082】
二軸延伸の方法は、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、本発明の趣旨を越えない限り従来公知の延伸方法が採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、積層未延伸フィルムを50〜140℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2〜10倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内で横方向に2〜10倍に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜130℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2〜10倍に延伸することにより製造することができる。
【0083】
上記方法により延伸された積層二軸延伸フィルムは、引き続き熱処理をする。熱処理をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として使用している樹脂の最高融点より10℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率を持った延伸フィルムを得ることができる。
【0084】
フィルム等の包装材は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0085】
本発明の包装体は、酸素による内容物の香味低下を防止しうる包装体として有用である。充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【実施例】
【0086】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでない。
【0087】
[評価方法]
<酸素濃度>
密封した袋に貼り付けたラバーを通してミクロシリンジを突き刺し、PBI社製酸素分析計Dansensor CheckMateで測定した。
【0088】
<酸素透過率>
モダンコントロール社製のOXY−TRAN100型酸素透過率測定装置を使用し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で測定し、酸素透過率とした。
【0089】
[使用した樹脂組成物]
(1)酸素吸収性樹脂(a1)
ナイロン6ペレット(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバミッド1020)を窒素雰囲気下で二軸押出機にて押出しながら、ポリブタジエン(エポキシ官能化ポリブタジエン-Elf Atochem社製 Poly BD 600 /Poly BD 605E)を樹脂中5質量%となるように加えた。押出されたストランドを水浴で急冷し、次いでペレット化した後、乾燥して酸素吸収性樹脂(a1(1))を作製した。
一方、ナイロン6ペレット(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバミッド1020)に遷移金属系触媒としてステアリン酸コバルトを質量比で95:5の割合となるように混合した混合物を窒素雰囲気下で二軸押出機にて押出した。押出されたストランドを水浴で急冷し、次いでペレット化した後、乾燥してコバルトマスターバッチを作製した(a1(2))。
次いで、酸素吸収性樹脂(a1(1))とコバルトマスターバッチ(a1(2))とを質量比47:1でコバルト含有量が100ppmとなるように混合し、単軸押出機にて押出(a1)し、キャストロールで冷却後、50μmのフィルムとして巻き取った。このフィルムを60℃・80%RHの条件下で空気中1ヶ月間保管後、23℃・50%RHの条件下で酸素透過率を測定した。得られた酸素透過率から23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率を算出した。その結果、前記条件下における透過率は290ml/m2・day・MPa(29cc/m2・day・atm)であった。
【0090】
(2)酸素吸収性樹脂(a2)
(1)において、酸素吸収性樹脂(a1(1))およびコバルトマスターバッチ(a1(2))のナイロン6をEVOH(日本合成化学社製ソアノールDC3203)に変更し、(1)と同様の方法で酸素吸収性樹脂(a2)を作製し、酸素透過率を算出した。23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率は4ml/m2・day・MPa(0.4 cc/m2・day・atm)であった。
【0091】
(3)酸素吸収性樹脂(b1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン社製ノバテックEVA)に遷移金属触媒(M)としてネオデカン酸コバルト(大日本インキ化学工業(株)製)をコバルト量で400ppm付着させ、さらに被酸化性樹脂(S)としてマレイン酸変性ポリブタジエン(M-2000-20:日本石油化学(株)製)を5質量%含有する樹脂組成物を2軸押出機にて窒素雰囲気下押出し、酸素吸収性樹脂(b1)を得た。
酸素吸収性樹脂(b1)を単軸押出機にて押出し、キャストロールで冷却後、50μmのフィルムとして巻き取った。このフィルムを60℃で空気中に1ヶ月間保管した後(酸素により飽和された状態)、23℃・50%RHで酸素透過率を測定したが、当該酸素透過率は5000ml/m2・day・MPa(500cc/(m2・day・atm)を超えていた。
【0092】
(4)酸素吸収性樹脂(b2)
エチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸シクロヘキセニルメチル共重合体(Chevron Phillips Chemical社製OSP520R)及びコバルトマスターバッチ(同社製OSP101M)を質量比9:1で混合して、2軸押出機にて窒素雰囲気下で押し出しキャストロールで冷却後、50μmのフィルムとして巻き取った。このフィルムを60℃で空気中に1ヶ月間保管した後(酸素により飽和された状態)、23℃・50%RHで酸素透過率を測定した。当該酸素透過率は3000ml/m2・day・MPa(300cc/(m2・day・atm)であった。
【0093】
(実施例1)
外層から順に、第1層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):(株)日本合成化学社製ソアノール、エチレン含有量32モル%タイプ)/第2層:酸素吸収性樹脂(a1(1))とコバルトマスターバッチ(a1(2))を質量比47:1でコバルト含有量100ppmとなるよう混合した混合樹脂(a1)/第3層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第4層:酸素吸収樹脂組成物(b1)/第5層:LLDPE(日本ポリエチレン社製ノバテックC6)として、層構成比が10:20:10:20:30となるよう共押出し、キャストロールで冷却後、ワインダーで巻き取り、全厚さ90μmのフィルムを得た。このフィルムのLLDPE層を内側として周囲をヒートシールし、内側に水分を数滴加えた脱脂綿及び空気100mlと共に密封し、縦30cm、横20cmの袋を5個作った。この袋を40℃50%RHの環境下で保存した。1週間目、2週間目、3ヵ月後に内部の酸素濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0094】
(実施例2)
実施例1において、酸素吸収性樹脂(a1)を酸素吸収性樹脂(a2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0095】
(実施例3)
実施例1において、層構成比を10:10:5:30:30(計85μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0096】
(実施例4)
実施例1において、酸素吸収性樹脂(b1)を酸素吸収性樹脂(b2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0097】
(実施例5)
実施例3において、酸素バリア層の厚みを5μmに変更した以外は、実施例3と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0098】
(実施例6)
実施例1において、酸素吸収性樹脂(b1)の内側に接着層及び臭気防止層としてポリリ乳酸層を挿入し、外層から順に、第1層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):(株)日本合成化学社製ソアノール、エチレン含有量32モル%タイプ)/第2層:酸素吸収性樹脂(a1(1))とコバルトマスターバッチ(a1(2))を質量比47:1でコバルト含有量100ppmとなるよう混合した混合樹脂(a1)/第3層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第4層:酸素吸収樹脂組成物(b1)/第5層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第6層:ポリ乳酸層(カーキ゛ル社製NatureWorks)/第7層:
接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第8層:LLDPE(日本ポリエチレン社製ノバテックC6)として、層構成比が10:20:10:20:10:10:10:30で全厚み120μmとなるよう共押出した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0099】
(比較例1)
実施例1において層構成を外層から順に、第1層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):(株)日本合成化学社製ソアノール、エチレン含有量32モル%タイプ)/第2層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第3層酸素吸収性樹脂(b1)/第4層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第5層:酸素吸収性樹脂(a1(1))とコバルトマスターバッチ(a1(2))を質量比47:1でコバルト含有量100ppmとなるよう混合した混合樹脂(a1)/第6層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第7層:LLDPE(日本ポリエチレン社製ノバテックC6)として、層構成比(10:5:20:5:20:5:30)とし、全厚み95μmとなるように変更した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0100】
(比較例2)
実施例1において、層構成を外層から順に、第1層:エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH):(株)日本合成化学社製ソアノール、エチレン含有量32モル%タイプ)/第2層:酸素吸収樹脂(a1)とコバルトマスターバッチ(コバルト含有量100ppm)との質量比47:1の混合樹脂/第3層:接着性樹脂(三井化学社製アドマー)/第4層:LLDPE(日本ポリエチレン社製ノバテックC6)として、層構成比(10:20:10:30)となるように変更した以外は実施例1と同様の方法でフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0101】
(比較例3)
実施例3において、EVOHを三菱ガス化学社製MX−ナイロン(MXD6)に変更した以外は実施例3と同様の方法によりフィルムを作製し、測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
なお、このMX−ナイロンの23℃・50%RH条件下における厚さ20μmあたりの酸素透過率は45ml/m2・day・MPa(4.5cc/m2・day・atm)である。
【0102】
【表1】

【0103】
表1より本発明の範囲であるガスバリア性フィルムであれば、内部の酸素は数日間で1%以下に減少し、その後3ヶ月経過後もほぼ0%を維持していた。
これに対し、外側と内側の酸素吸収性樹脂層が反対に配置された場合には、2週間目までの容器内部の酸素濃度の減少速度が遅くなった(比較例1)また、1種類の酸素吸収性樹脂層のみを有するガスバリア性フィルムでは、3ヶ月経過しても容器内部の酸素濃度がほとんど減少しなかった(比較例2)。また、ガスバリア性樹脂がポリアミド系樹脂(MX−ナイロン)である場合には、外部からの浸入酸素量が多く、内部の酸素濃度を3ヶ月間は低く維持できなかった。
これより本発明のガスバリア性フィルムは、高い酸素ガスバリア性を有し、かつ内部酸素を効率よく吸収できるフィルムであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の好適な酸素吸収性容器の断面構造(その1)の示す図である。
【図2】本発明の好適な酸素吸収性容器の断面構造(その2)の示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1 ガスバリア性フィルム
2 外側の酸素吸収性樹脂層(a)
3 内側の酸素吸収性樹脂層(b)
4 ガスバリア性樹脂層(c)
5 接着性樹脂層
6 ヒートシール性樹脂層(d)
7 臭気防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の酸素吸収性樹脂層を含む積層フィルムであって、23℃・50%RHで酸素により飽和された状態における厚さ20μmあたりの酸素透過率は、外側の酸素吸収性樹脂層(a)が1000ml/m2・day・MPa(100cc/m2・day・atm)以下であり、かつ内側の酸素吸収性樹脂層(b)が2000ml/m2・day・MPa(200cc/m2・day・atm)以上であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
【請求項2】
外側の酸素吸収性樹脂層(a)のさらに外側に、23℃・50%RHにおける酸素透過率が30ml/m2・day・MPa(3cc/m2・day・atm)以下であるガスバリア性樹脂層(c)を有する請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項3】
ガスバリア性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物である請求項第2に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項4】
外側の酸素吸収性樹脂層(a)を構成する酸素吸収性樹脂が、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、又はポリエステル樹脂を主成分とし、さらに被酸化性樹脂及び遷移金属系触媒を含有する樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【請求項5】
内側の酸素吸収性樹層(b)を構成する酸素吸収性樹脂が、ポリオレフィン樹脂又はポリ(メタ)アクリル酸エステル誘導体を主成分とする樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【請求項6】
内側の酸素吸収性樹脂層(b)のさらに内側にヒートシール可能な熱可塑性樹脂からなるヒートシール性樹脂層(d)を有する請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【請求項7】
内側の酸素吸収性樹脂層(b)とヒートシール性樹脂層(d)との間に臭気防止層を有する請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
【請求項8】
酸素吸収性樹脂層(a)及び(b)の厚さが各々3μm以上40μm以下であり、かつ、ガスバリア性樹脂層(c)の厚さが3μm以上40μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【請求項9】
(1)酸素吸収性樹脂層(a)、酸素吸収性樹脂層(b)及びガスバリア性樹脂層(c)
(2)酸素吸収性樹脂層(a)、酸素吸収性樹脂層(b)、ガスバリア性樹脂層(c)及びヒートシール性樹脂層(d)
(3)酸素吸収性樹脂層(a)、酸素吸収性樹脂層(b)、ガスバリア性樹脂層(c)、ヒートシール性樹脂層(d)及び臭気防止層
上記(1)〜(3)の層構成で共押出法により成形される請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のガスバリア性フィルムを用いたガスバリア性包装材。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のガスバリア性フィルムを用いたガスバリア性包装容器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−283565(P2007−283565A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111430(P2006−111430)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】