説明

ガス処理装置

【課題】大容量の高電圧電源を不要としコストダウンを図る。
【解決手段】
高電圧印加手段20を設ける。ハニカム構造体4の第1の電極8を高電圧印加手段20の正電圧供給端子T1に接続する。ハニカム構造体4の第2の電極9を高電圧印加手段20の負電圧供給端子T2に接続する。高電圧印加手段20のトランジスタQ1,Q2のベースに駆動パルスPSを与え、第1の電極8に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧+V1を、第2の電極9に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧−V2を、交互に切り換えて印加する。これにより、第1の電極8と第2の電極9との間に、正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2(高電圧)が周期的に印加されるものとなり、大容量の高電圧電源が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
【0003】
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
【0004】
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
【0005】
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
【0006】
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
【0007】
図9に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って放電電極2とアース電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。貫通孔4aはハニカム構造体4に蜂の巣状に設けられている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
【0008】
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。アース電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各アース電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
【0009】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とアース電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0010】
【特許文献1】特開2000−140562号公報
【特許文献2】特開2001−276561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来のガス処理装置では、ハニカム構造体4の放電電極2とアース電極3との間に高電圧電源5からの電圧を一定値として常に印加するようにしており、この電圧の値を大きくしなければ高いガス処理能力を得ることができない。このため、高電圧電源5として、絶縁距離を十分確保した大容量の電源を用いなければならず、高価となる。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、大容量の高電圧電源を不要とし、コストダウンを図ることが可能なガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために本発明は、通風路内に配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する多孔体と、この多孔体の外側の一方および他方に配置される第1および第2の電極と、第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し多孔体の貫通孔にプラズマを発生させる高電圧印加手段とを設けたものである。
【0014】
この発明によれば、通風路内に多孔体が配置され、この多孔体の外側の一方および他方に第1の電極および第2の電極が配置され、第1の電極への正電圧(+V)の印加と第2の電極への負電圧(−V)の印加とが交互に行われる。この場合、第1の電極に正電圧(+V)が印加されると、それまで負電圧(−V)が印加されていた第2の電極の電位が接地電位に戻される。また、第2の電極に負電圧(−V)が印加されると、それまで正電圧(+V)が印加されていた第1の電極の電位が接地電位に戻される。
【0015】
ここで、第1の電極に正電圧(+V)を印加する電圧の切換時には、第2の電極への印加電圧が接地電位に戻されるまでの間、第1の電極と第2の電極との間には正電圧(+V)と負電圧(−V)との差電圧(2V)が印加される。また、第2の電極に負電圧(−V)を印加する電圧の切換時には、第1の電極への印加電圧が接地電位に戻されるまでの間、第1の電極と第2の電極との間には正電圧(+V)と負電圧(−V)との差電圧(2V)が印加される。これにより、正電圧(+V)や負電圧(−V)が低電圧であっても、第1の電極と第2の電極との間に印加される差電圧(2V)が高電圧となり、大容量の高電圧電源を用いなくても、高いガス処理能力を得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明は、通風路内に間隔を設けて配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、複数の多孔体のうち処理対象ガスの通過方向の最も上流に配置される多孔体の上流側に配置される上流側電極と、複数の多孔体のうち処理対象ガスの通過方向の最も下流に配置される多孔体の下流側に配置される下流側電極と、上流側電極および下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し、多孔体の貫通孔および多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段とを設けたものである。
【0017】
この発明によれば、通風路内に間隔を設けて多孔体が配置され、この複数の多孔体のうち最も上流に配置される多孔体の上流側に上流側電極が配置され、最も下流に配置される多孔体の下流側に下流側電極が配置され、上流側電極および下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、第1の電極への正電圧(+V)の印加と第2の電極への負電圧(−V)の印加とが交互に行われる。この場合、第1の電極に正電圧(+V)が印加されると、それまで負電圧(−V)が印加されていた第2の電極の電位が接地電位に戻される。また、第2の電極に負電圧(−V)が印加されると、それまで正電圧(+V)が印加されていた第1の電極の電位が接地電位に戻される。
【0018】
この発明において、プラズマは多孔体の貫通孔だけではなく、多孔体間の空間(空気層)にも発生する。このため、貫通孔内での有害ガスの分子分解効果に加え、多孔体間の空間での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔内での分子分解効果と多孔体間の空間での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進される。また、多孔体間の空間には、均一なプラズマが大量に発生する。
【0019】
また、この発明において、多孔体間には空気層が設けられるので、上流側電極と下流側電極との間のインピーダンスが安定し、多孔体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなり、専用に設計された特殊な高電圧電源を使用する必要がなくなる。
また、この発明において、電極は上流側電極と下流側電極の2個の電極のみでよく、多孔体毎に電極を配置する必要がなくなり、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済む。
【0020】
また、本発明は、通風路内に間隔を設けて配置され、通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、複数の多孔体のうち隣り合う複数の多孔体を1群の多孔体群とし、これら多孔体群毎にその両端に位置する多孔体の外側に配置された第1および第2の電極と、各多孔体群の第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し、多孔体の貫通孔および多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段とを設けたものである。
【0021】
例えば、この発明において、複数の多孔体を第1の多孔体群と第2の多孔体群とに分けた場合、第1の多孔体群の両端に位置する多孔体群の外側に第1の電極と第2の電極が配置され、第2の多孔体群の両端に位置する多孔体群の外側に第1の電極と第2の電極が配置され、第1の多孔体群の第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧が第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧が交互に切り換えて印加され、第2の多孔体群の第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧が第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧が交互に切り換えて印加される。
【0022】
なお、この場合、第1の多孔体群に対して配置する第1の電極および第2の電極と、第2の多孔体群に対して配置する第1の電極および第2の電極とが存在することになるが、第1の多孔体群に対して配置する第2の電極と第2の多孔体群に対して配置する第1の電極とを共通電極とするなどとしてもよい。
また、本発明において、多孔体は、処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有していればよく、その貫通孔は必ずしも蜂の巣状に設けられていなくてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1の電極に正電圧を印加する電圧の切換時には、第1の電極と第2の電極との間に正電圧と負電圧との差電圧が印加され、第2の電極に負電圧を印加する電圧の切換時には、第1の電極と第2の電極との間に正電圧と負電圧との差電圧が印加されるものとなり、正電圧や負電圧が低電圧であっても差電圧を高電圧として、大容量の高電圧電源を用いなくても、高いガス処理能力を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図9と同一符号は図9を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0025】
この実施の形態1では、ダクト1内にハニカム構造体4を配置し、このハニカム構造体4の外側の一方および他方に第1の電極8および第2の電極9を配置し、第1の電極8を導線16によって高電圧印加手段20の正電圧供給端子T1に接続し、第2の電極9を導線17によって高電圧印加手段20の負電圧供給端子T2に接続している。
【0026】
ハニカム構造体4は、セラミックス等の絶縁体で形成されており、処理対象ガスGSが通過する多数の貫通孔(セル)4aを有している。第1の電極8および第2の電極9は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。
【0027】
高電圧印加手段20は、トランスTR1,TR2と、ダイオードD1,D2,D3,D4と、コンデンサC1,C2と、トランジスタQ1,Q2,Q3と、抵抗R1,R2,R3と、スイッチング用集積回路IC1,IC2を備えている。高電圧印加手段20において、トランジスタQ1のコレクタはトランスTR2の1次巻線の一端に接続され、トランジスタQ1のエミッタは接地されている。トランスTR2の1次巻線の他端には電源電圧Vcが印加されている。
【0028】
また、高電圧印加手段20において、トランジスタQ2のコレクタは抵抗R1を介して高電位電源に接続され、トランジスタQ2のエミッタは接地されている。トランジスタQ3のコレクタはトランスTR1の1次巻線の一端に接続され、トランジスタQ3のエミッタは接地されている。トランスTR1の1次巻線の他端には電源電圧Vcが印加されている。トランジスタQ3のベースはスイッチング用集積回路IC2を介しトランジスタQ2のコレクタと抵抗R1との接続点に接続され、スイッチング用集積回路IC2とトランジスタQ3のベースとの接続ラインには抵抗R3を介して高電位電源が接続されている。また、トランジスタQ1のベースはスイッチング用集積回路IC1を介しトランジスタQ2のベースに接続され、スイッチング用集積回路IC1とトランジスタQ1のベースとの接続ラインには抵抗R2を介して高電位電源が接続されている。
【0029】
また、高電圧印加手段20において、トランスTR1の2次巻線の一端と正電圧供給端子T1との間には、そのカソードを正電圧供給端子T1側としてダイオードD1が接続されており、ダイオードD1のカソードとトランスTR1の2次巻線の他端との間にはコンデンサC1が接続されている。コンデンサC1とトランスTR1の2次巻線の他端との接続ラインは接地されている。更に、トランスTR1の非動作時の電圧降下防止用のダイオードD3が、そのカソードをダイオードD1のカソード側に向けて、そのアノードを接地側に向けて、コンデンサC1と並列に接続されている。
【0030】
また、高電圧印加手段20において、トランスTR2の2次巻線の一端と負電圧供給端子T2との間には、そのアノードを負電圧供給端子T2側としてダイオードD2が接続されており、ダイオードD2のアノードとトランスTR2の2次巻線の他端との間にはコンデンサC2が接続されている。コンデンサC2とトランスTR2の2次巻線の他端との接続ラインは接地されている。更に、トランスTR2の非動作時の電圧降下防止用のダイオードD4が、そのアノードをダイオードD2のアノード側に向けて、そのカソードを接地側に向けて、コンデンサC2と並列に接続されている。
【0031】
このガス処理装置では、高電圧印加手段20のスイッチング用集積回路IC1およびIC2に所定時間幅TWのパルス信号(駆動パルス)PSを所定周期で与える。この例では、図2(a)に示すように、オン期間Tonとオフ期間Toff とが等しいデューティ比50%の駆動パルスPSをスイッチング用集積回路IC1およびIC2に与える。なお、この実施の形態において、スイッチング用集積回路IC1およびIC2は、「494」タイプのスイッチングコントロールICを用いている。
【0032】
〔駆動パルスPSが「H」レベルとなった場合〕
高電圧印加手段20において、駆動パルスPSが「H」レベルとなると(図2(a):t1点)、トランジスタQ2がオンとされる。トランジスタQ2がオンとされると、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスによりトランジスタQ3がオン、オフされ、トランスTR1の1次巻線に電流が流れ、トランスTR1の2次巻線側に電圧V1が発生する(図3参照)。この電圧V1は、コンデンサC1によって平滑され、ダイオードD1を介してハニカム構造体4の第1の電極8に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第1の電極8に、接地電位(GND)から正方向に立ち上がる正電圧+V1が印加される(図2(b):t1点)。
【0033】
また、駆動パルスPSが「H」レベルとなると(図2(a):t1点)、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ1がオフとされ、トランスTR2の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC2の蓄積電荷がダイオードD2,トランスTR2の2次巻線の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第2の電極9に印加されていた負電圧−V2(後述)が接地電位(GND)に向かって変化する(図2(c):t1点)。
【0034】
ここで、駆動パルスPSが「H」レベルとなった時点、すなわち第1の電極8に正電圧+V1を印加する電圧の切換時には、第2の電極9への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に印加されることになる。
【0035】
〔駆動パルスPSが「L」レベルとなった場合〕
高電圧印加手段20において、駆動パルスPSが「L」レベルとなると(図2(a):t2点)、スイッチング用集積回路IC1のデッドタイムコントロール端子dc1が「L」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC1から高周波スイッチングパルスが出力される。この高周波スイッチングパルスが出力によりトランジスタQ1が高周波スイッチングパルスの出力を行い、トランジスタQ1がオン、オフされ、トランスTR2の1次巻線に電流が流れ、トランスTR2の2次巻線側に電圧V2が発生する(図4参照)。この電圧V2は、コンデンサC1によって平滑され、ダイオードD2を介してハニカム構造体4の第2の電極9に印加される。すなわち、ハニカム構造体4の第2の電極9に、接地電位(GND)から負方向に立ち下がる負電圧−V2が印加される(図2(c):t2点)。
【0036】
また、駆動パルスPSが「L」レベルとなると(図2(a):t2点)、トランジスタQ2がオフとされる。トランジスタQ2がオフとされると、スイッチング用集積回路IC2のデッドタイムコントロール端子dc2が「H」レベルとなり、スイッチング用集積回路IC2からの高周波スイッチングパルスの出力が中断される。これによりトランジスタQ3がオフとされ、トランスTR1の2次巻線を流れる電流が遮断される。これにより、コンデンサC1の蓄積電荷がトランスTR1の2次巻線,ダイオードD1の経路で放電し、それまでハニカム構造体4の第1の電極8に印加されていた正電圧+V1が接地電位(GND)に向かって変化する(図2(b):t2点)。
【0037】
ここで、駆動パルスPSが「L」レベルとなった時点、すなわち 第2の電極9に負電圧−V2を印加する電圧の切換時には、第1の電極8への印加電圧が接地電位(GND)に戻されるまでの間、第1の電極8と第2の電極9との間には正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加される。この場合、V1=V2=Vとすると、倍電圧2Vが第1の電極8と第2の電極9との間に印加されることになる。
【0038】
このようにして、本実施の形態では、第1の電極8と第2の電極9との間に周期的に正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加され、この差電圧V1+V2を例えば数kV〜数10kVの高電圧とすることにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aにプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解されるものとなる。
【0039】
以上の説明から分かるように、本実施の形態によれば、正電圧+V1や負電圧−V2が低電圧であっても、第1の電極8と第2の電極9との間に印加される差電圧V1+V2が高電圧となり、大容量の高電圧電源を用いなくても、高いガス処理能力を得ることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態において、差電圧V1+V2を印加した後、次の周期で差電圧V1+V2を印加するまでの期間を高電圧の休止期間とすれば、この高電圧の期間中にハニカム構造体4に処理対象ガスを吸着させ、高電圧(差電圧V1+V2)の印加中に、休止期間中に吸着された分も含めて処理対象ガスをハニカム構造体4で分解処理するようにして、ガス処理を効率的に行わせることができるようになる。
【0041】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、ダクト1内にハニカム構造体4を1つしか配置しなかったが、ダクト1内にハニカム構造体4を複数配置するようにしてもよい。
【0042】
図5にダクト1内にハニカム構造体4を複数配置した例(実施の形態2)を示す。この実施の形態2では、ダクト1内にダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って所定の間隔G(G1,G2)を設けてハニカム構造体4(4−1〜4−3)を配置し、このハニカム構造体4のうち最も上流に配置されるハニカム構造体4−1の上流側に第1の電極(上流側電極)8を、最も下流に配置されるハニカム構造体4−3の下流側に第2の電極(下流側電極)9を配置し、上流側電極8を導線16によって高電圧印加手段20の正電圧供給端子T1に接続し、下流側電極9を導線17によって高電圧印加手段20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加手段20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0043】
この実施の形態2において、各ハニカム構造体4の単位面積当たりの貫通孔4aの数は等しくされている。すなわち、ハニカム構造体4−1〜4−3として、単位面積当たりの貫通孔4aの数が等しい同一種類のハニカム構造体4を使用している。また、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1と、ハニカム構造体4−2と4−3との間の間隔G2とは等しく、例えば0.5mm〜数mmとされている。これにより、ハニカム構造体4−1と4−2との間に空気層12−1が形成され、ハニカム構造体4−2と4−3との間に空気層12−2が形成されている。以下、空気層12(12−1,12−2)を空間ギャップと呼ぶ。
【0044】
このガス処理装置においても、高電圧印加手段20のトランジスタQ1およびQ2のベースに駆動パルスPSを与える。これにより、実施の形態1と同様にして、上流側電極(第1の電極)8と下流側電極(第2の電極)9との間に周期的に正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加される。この差電圧V1+V2の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0045】
このガス処理装置において、プラズマはハニカム構造体4の貫通孔4aだけではなく、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12にも発生する。このため、貫通孔4a内での有害ガスの分子分解効果に加え、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔4a内での分子分解効果とハニカム構造体4間の空間ギャップ12での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進され、ガス処理能力が高まる。
【0046】
また、このガス処理装置において、ハニカム構造体4間の空間ギャップ12には、対向する貫通孔4aの縁面から電界が広がって、均一なプラズマが大量に発生する。これにより、貫通孔4a内に発生するプラズマのばらつきによる影響が小さくなり、ガス処理能力が安定する。
【0047】
また、このガス処理装置において、ハニカム構造体4間には空気層である空間ギャップ12が設けられるので、この空間ギャップ12により上流側電極8と下流側電極9との間のインピーダンスが安定し、ハニカム構造体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなる。これにより、上流側電極8と下流側電極9との間に加わる高電圧値の変化が小さくなり、専用に設計された特殊な高電圧電源を使用する必要がなくなる。
【0048】
また、このガス処理装置において、電極は上流側電極8と下流側電極9の2個の電極のみでよく、ハニカム構造体4毎に電極を配置する必要がない。これにより、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済み、コストダウンが図られる。
【0049】
〔実施の形態3〕
実施の形態2では、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って複数のハニカム構造体4をダクト1内に設けるようにしたが、図6に示すように、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に対し直交する方向に沿って複数のハニカム構造体4をダクト1内に設けるようにしてもよい。
【0050】
このようにすると、各ハニカム構造体4がダクト1の入口から出口へ向かう方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置されるので、ダクト1の入口から出口へ向かう方向に沿って配置される場合よりも、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間ギャップ12でプラズマに晒される時間が長くなる。これにより、ガス分解が行われる機会が多くなり、ガス処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことが可能となる。
【0051】
〔実施の形態4〕
図7にこの発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態4)の要部を示す。この実施の形態4では、ハニカム構造体4−1と4−2との間に間隔G1を設けて、ハニカム構造体4−3と4−4との間に間隔G2を設けて、ハニカム構造体4−1〜4−4をダクト1内に配置している。
【0052】
また、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極9を配置している。
【0053】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極9を、第2の電極として電極10を配置している。
【0054】
なお、この実施の形態4において、電極9は第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0055】
電極8,9および10は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態4では、電極8および10を導線16および18によって高電圧印加手段20の正電圧供給端子T1に接続し、電極9を導線17によって高電圧印加手段20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加手段20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0056】
このガス処理装置においても、高電圧印加手段20のトランジスタQ1およびQ2のベースに駆動パルスPSを与える。これにより、実施の形態1と同様にして、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間および第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極9と第2の電極10との間に周期的に正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加される。この差電圧V1+V2の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0057】
このガス処理装置では、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間および第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極9と第2の電極10との間に差電圧V1+V2を個別に印加しているので、空間ギャップ12−1,12−2での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となる。
【0058】
なお、このガス処理装置において、第1のハニカム構造体群4Aおよび第2のハニカム構造体群4Bに対して高電圧印加手段20を個別に設け、第1のハニカム構造体群4Aに印加する差電圧V1+V2(=VA)と第2のハニカム構造体群4Bに印加する差電圧V1+V2(=VB)とを異なる値とするようにしてもよい。差電圧VAと差電圧VBの値を異ならせるようにすると、第1のハニカム構造体群4Aと第2のハニカム構造体群4Bとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0059】
〔実施の形態5〕
図8にこの発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態5)の要部を示す。この実施の形態5では、ハニカム構造体4−1と4−2との間に間隔G1を設けて、ハニカム構造体4−3と4−4との間に間隔G2を設けて、ハニカム構造体4−5と4−6との間に間隔G3を設けて、ハニカム構造体4−1〜4−6をダクト1内に配置している。
【0060】
また、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極9を配置している。
【0061】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極9を、第2の電極として電極10を配置している。
【0062】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−5と4−6を第3のハニカム構造体群4Cとし、この第3のハニカム構造体群4Cの両端に位置するハニカム構造体4−5および4−6の外側に、第1の電極として電極10を、第2の電極として電極11を配置している。
【0063】
なお、この実施の形態5において、電極9は第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群4Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。また、電極10は第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極と第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第2のハニカム構造体群4Bの第2の電極と第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0064】
電極8,9,10および11は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態5では、電極8および10を導線16および18によって高電圧印加手段20の正電圧供給端子T1に接続し、電極9および11を導線17および19によって高電圧印加手段20の負電圧供給端子T2に接続するようにしている。高電圧印加手段20は実施の形態1で使用したものと同じである。
【0065】
このガス処理装置においても、高電圧印加手段20のトランジスタQ1およびQ2のベースに駆動パルスPSを与える。これにより、実施の形態1と同様にして、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極9と第2の電極10との間および第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極10と第2の電極11との間に周期的に正電圧+V1と負電圧−V2との差電圧V1+V2が印加される。この差電圧V1+V2の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間ギャップ12にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0066】
このガス処理装置では、第1のハニカム構造体群4Aの第1の電極8と第2の電極9との間、第2のハニカム構造体群4Bの第1の電極9と第2の電極10との間および第3のハニカム構造体群4Cの第1の電極10と第2の電極11との間に差電圧V1+V2を個別に印加しているので、空間ギャップ12−1,12−2,12−3での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となる。
【0067】
なお、このガス処理装置において、第1のハニカム構造体群4A、第2のハニカム構造体群4Bおよび第3のハニカム構造体群4Cに対して高電圧印加手段20を個別に設け、第1のハニカム構造体群4Aに印加する差電圧V1+V2(=VA)と、第2のハニカム構造体群4Bに印加する差電圧V1+V2(=VB)と、第3のハニカム構造体群4Cに印加する差電圧V1+V2(=VC)とを異なる値とするようにしてもよい。差電圧VAと差電圧VBと差電圧VCの値を異ならせるようにすると、第1のハニカム構造体群4Aと第2のハニカム構造体群4Bと第3のハニカム構造体群4Cとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0068】
なお、上述した実施の形態2〜5では、ハニカム構造体4(4−1〜4−6)の単位面積当たりの貫通孔4aの数を等しくしているが、ハニカム構造体(4−1〜4−6)の単位面積当たりの貫通孔4aの数を選択的に異ならせるようにしてもよい。
【0069】
例えば、図7に示した構成において、ハニカム構造体4−1,4−2については単位面積当たりの貫通孔4aの数を少なし、ハニカム構造体4−3,4−4については単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くするようにしたり、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順で単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くするなどとしてもよい。
【0070】
ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順で単位面積当たりの貫通孔4aの数を多くすると、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3,4−4の順でプラズマの発生量が大きくなり、各ハニカム構造体4で分解可能な有害ガスの種類を異ならせることが可能となる。
【0071】
例えば、その分子が持つエネルギー準位が順に高い有害ガスA,B,C,Dが処理対象ガスGSに含まれていたものとした場合、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスAをハニカム構造体4−1で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスBをハニカム構造体4−2で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスCをハニカム構造体4−3で分解し、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスDをハニカム構造体4−4で分解するなど、各ハニカム構造体4で分解可能な有害ガスの種類を異ならせることができる。
【0072】
この場合、ハニカム構造体4−2での有害ガスBの分解に際し、ハニカム構造体4−1によって分解しきれなかった有害ガスAの分解が行われ、ハニカム構造体4−3での有害ガスCの分解に際し、ハニカム構造体4−1,4−2で分解しきれなかった有害ガスA,Bの分解が行われ、ハニカム構造体4−4での有害ガスDの分解に際し、ハニカム構造体4−1,4−2,4−3で分解しきれなかった有害ガスA,B,Cの分解が行われる。
【0073】
このような方法とすると、1つのハニカム構造体4で全ての有害ガスA,B,C,Dの分解を行うようにした場合よりも、有害ガスの分解に際して発生する副生成物(例えば、オゾン)の発生量を少なくすることができる。
【0074】
また、上述した実施の形態2〜5ではハニカム構造体4間の間隔G(G1,G2,G3)を等しくしているが、異ならせるようにしてもよい。例えば、図8に示した構成において、ハニカム構造体4間の間隔G1,G2,G3を異ならせると、空間ギャップ12−1,12−2,12−3でのプラズマの発生量が異なるものとなり、ハニカム構造体4−1〜4−6の単位面積当たりの貫通孔4aの数を選択的に異ならせた場合と同様の作用・効果を得ることができる。この場合、ハニカム構造体4−1〜4−6を単位面積当たりの貫通孔4aの数が等しい同一種類のハニカム構造体とすることができるので、部品の種類を増やさずに済む。
【0075】
また、上述した実施の形態1〜5において、ハニカム構造体4はオゾンを分解する触媒機能を備えたものとしてもよく、例えば、図7に示した構成において、ハニカム構造体4−4の下流位置にオゾンを分解する触媒を設けるようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態2,3(図5,図6)において、ハニカム構造体4の数は、2つ以上あれば、幾つあっても構わない。また、上述した実施の形態4(図7)において、ハニカム構造体4の数は、2つ以上のハニカム構造体群を形成することができればよく、幾つあっても構わない。実施の形態5(図8)では、実施の形態4の変形例として、ハニカム構造体群を3つ設けた例を示している。
【0077】
また、上述した実施の形態1〜5において、副生成物としてオゾンを大量に発生させ、オゾン発生器として転用するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1〜5において、ハニカム構造体4には貫通孔4aが蜂の巣状に設けられているが、多数の貫通孔4aが設けられていればよく、蜂の巣状に限られるものではない。
【0078】
なお、本ガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C818の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
818+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。
【図2】このガス処理装置における駆動パルスPSおよびこの駆動パルスに従うハニカム構造体の電極への印加電圧の変化を示すタイムチャートである。
【図3】駆動パルスPSが「H」レベルとなった時のハニカム構造体の電極間への高電圧の印加状況を説明する図である。
【図4】駆動パルスPSが「L」レベルとなった時のハニカム構造体の電極間への高電圧の印加状況を説明する図である。
【図5】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。
【図6】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態3)の要部を示す図である。
【図7】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態4)の要部を示す図である。
【図8】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態5)の要部を示す図である。
【図9】放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する図である。
【符号の説明】
【0080】
1…ダクト(通風路)、4(4−1〜4−6)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4A,4B,4C…ハニカム構造体群、8〜11…電極、12(12−1〜12−3)…空間ギャップ、16〜19…導線、G(G1〜G3)…間隔、GS…処理対象ガス、20…高電圧印加手段、TR1,TR2…トランス、D1,D2,D3,D4…ダイオード、C1,C2…コンデンサ、Q1,Q2,Q3…トランジスタ、R1,R2,R3…抵抗、T1…正電圧供給端子、T2…負電圧供給端子、IC1,IC2…スイッチング用集積回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路内に配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する多孔体と、
この多孔体の外側の一方および他方に配置される第1および第2の電極と、
前記第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を前記第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し前記多孔体の貫通孔にプラズマを発生させる高電圧印加手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
通風路内に間隔を設けて配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、
前記複数の多孔体のうち前記処理対象ガスの通過方向の最も上流に配置される多孔体の上流側に配置される上流側電極と、
前記複数の多孔体のうち前記処理対象ガスの通過方向の最も下流に配置される多孔体の下流側に配置される下流側電極と、
前記上流側電極および前記下流側電極の一方を第1の電極、他方を第2の電極とし、前記第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を前記第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し、前記多孔体の貫通孔および前記多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
通風路内に間隔を設けて配置され、前記通風路内を流れる処理対象ガスが通過する多数の貫通孔を有する複数の多孔体と、
前記複数の多孔体のうち隣り合う複数の多孔体を1群の多孔体群とし、これら多孔体群毎にその両端に位置する多孔体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各多孔体群の第1の電極に接地電位から正方向に立ち上がる正電圧を第2の電極に接地電位から負方向に立ち下がる負電圧を交互に切り換えて印加し、前記多孔体の貫通孔および前記多孔体間の空間にプラズマを発生させる高電圧印加手段と
を備えることを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記多孔体は、ハニカム構造体である
ことを特徴とするガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−162455(P2010−162455A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5560(P2009−5560)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】